英・ウクライナに長距離巡航ミサイル供与
2023.05.12


イギリス、ウクライナに長距離巡航ミサイル「ストームシャドウ」を提供 射程は250キロ以上

 イギリスは11日、ウクライナに長距離巡航ミサイル「ストームシャドウ」を提供すると発表した。

 製造元によると、「ストームシャドウ」の射程は250キロ以上。アメリカがウクライナに供与している高機動ロケット砲システム「ハイマース」の射程は80キロだ。

 ベン・ウォレス英国防相は、「ストームシャドウ」がウクライナの自衛に「最大の好機」をもたらすだろうと話した。

「ストームシャドウ」は戦闘機から発射される。射程距離が長い分、ウクライナのパイロットは前線から遠く離れた位置にとどまることができる。

 発射後の「ストームシャドウ」は、敵のレーダー探知を回避するため低い高度へと移動したうえで、赤外線探知機で標的の位置を把握する。

 ウォレス国防相はこの日、英下院で「ストームシャドウ」供与を発表。ウクライナはこのところ、西側諸国に武器の追加供与を繰り返し求めていた。

 ウォレス氏は、「ストームシャドウ」によって「ウクライナは領土に駐留しているロシア軍を押し返せるようになるだろう」と述べた。

 供与決定の背景には、ロシアがウクライナの民間施設を標的にするという「暗い道を下り続けている」ことがあると説明した。

 ウォレ ス氏は昨年12月、ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相に対し、ロシアが攻撃を続けるならイギリスはさらに強力な武器をウクライナに提供することになると、警告の書簡を送っている。

「ストームシャドウ」は「もうすぐ」あるいはすでにウクライナに渡っているという。ウォレス氏は、この動きは「ロシアのエスカレーションに応じて調整された」ものだと述べた。

「ロシアが侵攻しなければ、こうした動きは何一つ必要なかった」とも、国防相は述べた。

 ウォレス氏は、「ストームシャドウ」はウクライナが所有するソヴィエト連邦時代の航空機でも使用できると述べ、それを可能にした技師や科学者を称賛した。

 一方で、イギリスが供与する「ストームシャドウ」はロシアのミサイルシステムと「同水準」ではないと警告。ロシアは、さらに射程範囲の広いミサイルも所有しているとした。

 ウクライナのオレキシイ・レズニコフ国防相は今年初め、ロシア国内の標的を狙うために長距離ミサイルを使うことはないと強調していた。

 欧州連合(EU)での会合でレズニコフ氏は、「最大300キロメートルの距離から攻撃できるなら、ロシア軍は防衛できず、負けるしかないだろう」と説明。

 その上で、「みなさんの武器がロシア領土攻撃に関与することはないと、ウクライナは保証する用意がある」と「語った。

 イギリスのリシ・スーナク首相は今年2月、ウクライナに長距離ミサイルを供与する準備があると発言。イギリス政府が調達のための入札を開始したと明らかにした。

 スーナク首相は当時、「ウクライナがロシアの爆弾やイラン製ドローンから都市を守れるよう、我々は一丸となって助けなくてはならない」、「イギリスが最初にウクライナに長距離兵器を供給する国になるのはそのためだ」と述べていた。

 ロシアのドミトリー・ペスコフ大統領報道官は11日、イギリスが供与した「ストームシャドウ」をウクライナ軍が使用した場合、「適切な」軍事的報復措置を行うと述べた。

「ストームシャドウ」はイギリスとフランスの空軍が開発し、これまでにペルシャ湾やイラク、リビアで使われた実績がある。

 イギリスが供給するものは空中でのみ発射できるが、フランスの「ストームシャドウ」は船や潜水艦からも発射できるという。

■英、ウクライナに長距離巡航ミサイル供与

英国のベン・ウォレス(Ben Wallace)国防相は11日、ウクライナに長距離巡航ミサイル「ストームシャドー(Storm Shadow)」を複数供与すると発表した。ウクライナに長距離巡航ミサイルを供与するのは、英国が初めて。

 ウォレス氏は「ウクライナには自衛権がある。ストームシャドーを使用すれば領内にとどまるロシア軍を押し返すことができる」と説明した。

 製造元の防衛機器大手MBDAによると、ストームシャドーは空中発射型の長距離ミサイルで、静止した重要目標に対するあらかじめ計画された攻撃の要件を満たすよう設計されている。
2023.05.12 16:51 | 固定リンク | 戦争
バフムトからロシア軍が撤退=ウクライナ反撃
2023.05.11


■ウクライナ陸軍司令官「バフムトで効果的な反撃」ロシア軍が一部撤退

激しい攻防が続いているウクライナ東部・バフムトの戦況についてウクライナ軍の司令官は、「効果的な反撃を行っている」と述べ、一部でロシア側を押し返している模様です。

ウクライナ陸軍のシルスキー司令官は11日、SNSに投稿し、「ウクライナ部隊のよく考えられた守備で効果的な成果が出ている。このため敵は最大で2キロ後退した」と述べました。

そのうえで、「訓練された(ロシアの民間軍事会社)ワグネルの部隊が疲弊し、代わりに訓練の不十分なロシア軍部隊が配置されたが、戦闘で敗北し撤退している」と明らかにしています。

また、ワグネルの創設者プリゴジン氏は10日、ロシア軍の部隊がバフムト南部の陣地から逃走したため、ワグネルの戦闘員に多くの死者が出たと明らかにしています。

アメリカのシンクタンク戦争研究所は「バフムトではロシア側は場当たり的な対応と指揮系統の失敗で、効果的な作戦実施が妨げられている」と分析しています。

■激戦地バフムトで…ロシア側の“足並みの乱れ”表面化 民間軍事会社「ワグネル」再びロシア批判も

ウクライナ東部の激戦地バフムトで攻防が続く中、ロシアの民間軍事会社「ワグネル」の創設者・プリゴジン氏が9日、新たな動画を公開しました。動画によると、届いた弾薬は要求していた量のわずか10%で「我々はだまされた」とロシア側への不満をあらわにしました。足並みの乱れが表面化しています。

   ◇◇◇

ロシアでは9日、第二次世界大戦の「戦勝記念日」を迎えました。プーチン大統領は演説で「祖国に対して、再び本当の戦争が行われている」と述べ、西側諸国を非難しウクライナへの軍事侵攻を続ける考えを改めて強調しました。

同じ日の朝、ウクライナの首都・キーウ上空には一筋の煙が…。ロイター通信はウクライナ側の発表として、ロシア軍が9日朝にかけて巡航ミサイル25発をキーウなどに発射し、うち23発が迎撃されたと報じました。

ゼレンスキー大統領は、“ロシア側が戦勝記念日(9日)までにウクライナ東部の激戦地バフムトを制圧できなかった”として、攻防が続いていることを強調しました。

   ◇◇◇

戦闘の最前線となっているバフムト。今ここでロシア側の足並みの乱れが表面化しています。バフムトで戦闘を続ける民間軍事会社「ワグネル」創設者のプリゴジン氏は、9日に公開した新たな動画で「昨日(8日)戦闘命令が来た。(バフムトの)陣地を離れると、祖国に対する反逆とみなされることが明記されていた」と話しました。

バフムトから撤退した場合、「国家への反逆」とみなすと脅されたというのです。プリゴジン氏は5日、十分な弾薬が供給されていないとして「10日にバフムトから撤退する」と表明していました。そして、ロシア国防省を猛批判しました。

ワグネル創設者・プリゴジン氏(5日公開 プリゴジン氏SNSより)
「ショイグ(国防相)! ゲラシモフ(参謀総長)! 弾薬はどこだ!」

その後、7日になって方針を転換。“必要な弾薬と武器が約束された”として、バフムトでの戦闘の継続を示唆していました。

新たに9日に公開した動画によると、届いた弾薬は要求していた量のわずか10%で、「我々はだまされた」と不満をあらわにしました。その上で、プリゴジン氏は「“おじいさん”が最終的にクソ馬鹿であることが明確になったら、国はどうすればいい? 戦争にどうやって勝てばいいのか?」と批判しました。

具体的な名前は挙げませんでしたが、ロシア側の関係者を“おじいさん”と、やゆしたものとみられます。

■「我々はぬけぬけとだまされた!」プリゴジン氏、ロシア軍幹部にまたキレる 弾薬が要求の10%しか届かず…内輪もめ再燃か

ロシアの民間軍事会社「ワグネル」のトップ、プリゴジン氏が、再びロシア国防省へ怒りのメッセージを発した。

数日前、鬼の形相でロシア国防省への怒りをあらわにしていた、民間軍事会社「ワグネル」のトップ、プリゴジン氏。

軍の支援を受けることが決まり、プリゴジン氏の怒りも収まったはずだった。しかし…。

プリゴジン氏:
のんきなじいさん、まったくもって能ナシ野郎だ。

内輪もめに、再び火が付いた。

真っ暗な夜空に、ロシアの国旗を表した白・青・赤の花火が輝いている。

9日は、ナチスドイツへの勝利を祝うロシアの戦勝記念日だ。

モスクワでは、プーチン大統領が国民を鼓舞する演説をした一方で、戦場にいるプリゴジン氏は怒っていた。

「ワグネル」プリゴジン氏:
我々は、ぬけぬけとだまされたんだ。

プリゴジン氏は額に深いしわを作りながら、カメラに向かって訴えかける。

「バフムト離れたら母国への反逆とみなす」
軍から届いた戦闘命令には、こう書かれていたという。

「ワグネル」プリゴジン氏:
「バフムトを離れたら、母国への反逆とみなす」だと…。弾薬が無ければ、我々は離れる。本当に母国を裏切っているのは誰なのか、問いただしてやる。

弾薬の供給を訴え続けてきたプリゴジン氏。しかし、届いた弾薬は、要求のわずか10パーセントだということだ。

■ワグネル創設者「ロシア国家は国民を守れない」

「弾薬がない!」と激怒していた顔からは一転、悟ったような穏やかさでロシアの終わり?を示唆するプリゴジン

ロシアがナチス・ドイツに勝利を収めた戦勝記念日の5月9日、ロシア民間軍事会社ワグネルのトップ、エフゲニー・プリゴジンは、ロシア政府とロシア軍幹部は祖国を守れないと厳しく糾弾した。

プリゴジンはこの発言を自身のテレグラム・チャンネルでおこなったが、その前から「戦勝記念日の祝賀パレードが終わったら自身の見解を明らかにする」とほのめかしていた。

プリゴジンはこれまで、ウクライナでの戦争遂行に関してロシア軍の司令部をたびたび批判。東部の激戦地バフムトで戦うための弾薬を提供しないロシア国防省をも激しく非難、バフムトからの撤退もほのめかしていた。

ワグネルの部隊は結局バフムトに留まるとプリゴジンは述べた。部隊が持ち場を離れれば、それは「反逆」と見なされると言われたという。弾薬が足りなくて撤退する場合、反逆者はどっちだとプリゴジンは言う。必要な弾薬はすべて与えるとも言われたが、「それはワグネルに去られては困るからで、感情的な話だ」と冷めている。

ワグネルの部隊が撤退すれば、「ウクライナ軍は、ロストフ(ウクライナとの国境に面したロシアの州)に達するだろう」とプリゴジンは述べる。

ウクライナの反攻は近い
また「ロシア軍の一部隊が持ち場を放棄して脱走」し、前線に2キロにわたる穴を開けたという。「前線が崩壊しないようにするため、あらゆる手を尽くしているところだ」とプリゴジンは述べた。

また、ロシア西部のベルゴロド州に対して、ウクライナ軍によるものとされる越境攻撃(ウクライナは否定)が増えていることに触れ、当地の住民は「パニックにはなっていないが、おおいに心配している。なぜ政府は自国民を守れないのか?」と言った。

プリゴジンによれば、ウクライナ軍はバフムト防衛線の側面を突き、ザポリージャで再結集し、まもなく「反攻を始める」という。そんなときにロシア軍兵士が塹壕から逃げ出すのは司令官の責任だとし、「兵士は、リーダーの愚かさのせいで死ぬべきではない」。

「各地の部隊指導者たちは、上からくる犯罪的に愚かな命令に従わされている」と言う。「ロシアの破壊、祖国への裏切りともいうべき犯罪だ」

■「ロシア軍最精鋭72旅団、バフムトで壊滅し撤退」

ウクライナ軍が東部ドネツク州の要衝バフムトの前線地帯からロシア陸軍最精鋭部隊の第72自動小銃旅団を撃退した。米政府系放送「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」や英国の日刊紙インディペンデントなどが10日に報じた。

 これらのメディアによると、ウクライナ軍第3強襲旅団はこの日声明を出し「ロシア軍第72旅団が戦略の要衝バフムトから後退した」と発表した。

 ウクライナ軍アゾフ連帯のアンドリー・ビレツキー氏は「実際にバフムトでロシア第72旅団の第6大隊と第7大隊はほぼ全滅し、情報部隊も撃破された」と伝えた。

 ビレツキー氏は「ロシア軍が使っていた戦闘車両の多くが破壊され、かなりの兵力も捕虜として捕らえられた」と明らかにした。

 またビレツキー氏はロシア軍第72旅団の撃退に成功した作戦について「幅3キロ、縦2.6キロのウクライナ領土内で行われた。ロシア占領軍から完全に解放された」とも説明た。

 ウクライナ陸軍のシルスキー司令官も「反撃作戦の結果、ロシア軍がバフムトから最大で2キロ後退した」としてこれらの情報を認めた。

 ロシアの民間軍事会社ワグネルを率いるプリゴジン氏は9日、「ロシア軍がバフムトから後退している」とした上で「第72旅団は3平方キロの占領地を奪われ、ワグネルも500人の戦闘員を失った」と明らかにした。

 ウクライナによるバフムトでの戦果の発表は、プリゴジン氏によるロシア軍敗北の主張を裏付けている。

 ロシア軍旅団は通常の場合は数千人の兵力で編成される。ロシア軍は第72旅団がバフムト南西部で壊滅的な打撃を受け、陣地を放棄したとの報道に現時点ではコメントを出していない。

 一方のウクライナ軍当局は10日、第3強襲旅団第2大隊がロシア軍第72旅団部隊の駐留地域を攻撃する様子を撮影した映像をSNS(交流サイト)で公開した。

 米国のシンクタンク「戦争研究所(ISW)」もロシア軍がバフムトから逃亡する様子をツイッターで公開した。

■ワグネル部隊に「大きな被害」 ウクライナ軍幹部、SNSで成果主張

 激戦が続くウクライナ東部ドネツク州の要衝バフムート近郊の戦況について、米CNNは10日、ウクライナ軍幹部が「(ロシア軍に)多大な損失」を与えたと主張していると伝えた。CNNによると、この幹部は、SNSに投稿した動画で、ロシアの民間軍事会社「ワグネル」の部隊も「大きな被害をこうむった」とした。

 バフムートは、交通の要衝で最も激しい戦地の一つで、ワグネルの部隊を中心にロシア軍が昨年末から攻勢を強めている。ウクライナ軍も反撃を続けているが、3月上旬には、侵攻開始後もウクライナ軍が維持してきた市内にロシア軍が進軍。受刑者を勧誘して前線に送り込み、兵力を増強するワグネルが、部隊に膨大な死傷者を強いる消耗戦を続け、現在はその9割以上を掌握したとされる。
2023.05.11 19:44 | 固定リンク | 戦争
トランプ氏「性的虐待or名誉毀損6億8000万円賠償」
2023.05.11


■米陪審、トランプ氏による性的虐待と名誉毀損を認定 6.8億円賠償命令

トランプ前米大統領から性的暴行を受け、名誉を毀損されたとして元雑誌コラムニスト、E・ジーン・キャロルさんが賠償金を求めた民事訴訟で、ニューヨーク連邦地裁の陪審は9日、トランプ氏の性的虐待を認定し、500万ドル(約6億8000万円)支払うよう命じる評決を下した。

賠償金の内訳は暴行に対して200万ドル、名誉毀損で300万ドル。

キャロルさんはトランプ氏の行為がレイプ、性的虐待、同意なしの接触だったため性犯罪に該当すると主張して同氏を訴えた。陪審はレイプであることは認めなかったが、性的虐待と認定した。

昨年5月に成立したニューヨーク州の成人サバイバー法では、民事訴訟の時効を過ぎていてもその行為が法に照らして性犯罪であることを証明できれば、被害者が損害賠償を求めて加害者を相手取って訴えを起こすことができる。

評決の後、キャロルさんは笑みを浮かべ、弁護士らと手をつないで裁判所を後にした。キャロルさんには報道陣から質問が集中したが、コメントは一切なかった。

キャロルさんの弁護士のロバータ・カプラン氏が「我々は大変嬉しく思っている」と述べるにとどまった。

一方、トランプ氏はSNSへの投稿で、評決は「完全な恥辱」であり「史上最大の魔女狩りの継続」だと反論した。また、キャロルさんが誰だか知らないとこれまでの主張を繰り返した。

■「トランプにレイプされ、それを書いたら否定された」 元雑誌コラムニストが法廷で証言

米国の元雑誌コラムニスト、E・ジーン・キャロルさんは26日、トランプ前大統領を暴行と名誉毀損(きそん)で訴えた裁判の証言台に立った。ニューヨーク市内のデパートでトランプ氏から性的暴行を受けたと主張し、被害の詳細を生々しく証言した。

キャロルさんは「私がここにいるのは、ドナルド・トランプにレイプされたから。私が被害について書いたところ、彼はそんなことは起きていないと述べた」と証言。「彼はうそをつき、私の評判を破壊した。私は人生を取り戻すためにここにいる」と語った。

キャロルさんは訴訟で、1996年春にデパート「バーグドルフ・グッドマン」の試着室でトランプ氏からレイプされたと主張。何年も後に被害を公表した際、名誉を毀損されたと訴えている。トランプ氏はキャロルさんの主張を繰り返し否定している。

キャロルさんは証言台で、トランプ氏とショッピングができて「うれしかった」と振り返り、友人との会話で絶好の話の種になると思っていたと語った。

トランプ氏は気さくで面白く、怖いとは全く思わなかったといい、「私は完全に魅了されていた。絶好の話の種になるとしか思っていなかった」と振り返った。

おそらく、暴行が起きるまでずっとトランプ氏とふざけていたとキャロルさん。そこに親密さや真剣さがあるとは思わなかったという。

2人がランジェリー売り場に向かうと「おふざけはエスカレートした」ものの、トランプ氏からレイプを受ける可能性は全く思い浮かばなかった。

トランプ氏は上下一体型の補正下着に目を付け、キャロルさんに試着を勧めた。キャロルさんも冗談交じりに、代わりにトランプ氏が試着したらどうかと応じた。

キャロルさんは試着する気はなかったものの、トランプ氏の身ぶりに従う形で試着室に入った。コメディー番組「サタデー・ナイト・ライブ(SNL)」の面白い寸劇の一幕になるかもしれないと考えていたという。

キャロルさんの証言によると、トランプ氏は抵抗するキャロルさんを壁に押しつけ、指と男性器を挿入した。

キャロルさんは後頭部と女性器に痛みが走ったと振り返っている。

トランプ氏の暴行が続いた時間はわずか数分間で、アドレナリンが出ていたために恐怖を感じる時間はなかった。トランプ氏を押し返し、自力で部屋を出たという。

暴行の痛みは後まで残り、その夜は気持ちを落ち着けるのに時間がかかったが、キャロルさんは病院を受診しようとは思わなかったという。「とても動揺していた。自分が誰なのか分からず、自分の身に起きたことだとは信じられなかった」

友人の女性に電話で笑いながら話したところ、笑い事ではないと諭され、レイプされたのだから警察に通報すべきだと言われた。

キャロルさんは結局、二度とこの話をしないことで友人と合意。トランプ氏との間に起きたことが恥ずかしかったと振り返った。

翌日に相談した別の男性友人からは、トランプ氏の弁護士に「葬られる」ことになるので、絶対に通報や口外しないよう警告された。

キャロルさんはこの男性の意見に従った。「ドナルド・トランプが怖かった。彼に報復されると思っていたし、恥ずかしかった。自分のせいだと持っていた」

キャロルさんは自分が民主党員として有権者登録しており、トランプ氏のことを「邪悪」かつ「卑劣」でひどい大統領だったと思っていることを認めたものの、自身の政治的な見解は訴訟と全く関係ないと証言した。

トランプ氏が最初に大統領選に立候補したときに公表しなかった理由を弁護士から問われると、「告発女性の数が増えるほど、世論調査の結果がよくなっていたことに気づいた」と答えた。

■トランプ米前大統領の娘、ドイツで父を称賛、ブーイング

トランプ米大統領の娘のイバンカ・トランプ氏がメルケル独首相の招きでドイツを訪れ、ベルリンで25日に開かれた女性の活躍をテーマとするパネルディスカッションに出席した。女性の社会進出を後押しする大統領として父を印象付けようとしたイバンカ氏だが、聴衆からはブーイングも浴びせられた。

ドイツ経済誌の編集者は、米大統領の娘で補佐官というイバンカ氏の立場について、「あなたは誰を代表しているのですか。自分の父親、米国民、それとも自分のビジネスですか」という質問を投げかけた。

これに対してイバンカ氏は、「もちろん後者ではありません。私はこの役職についてあまりよく知らないのです。私にとって全く新しいことなので」と返答。続いてトランプ大統領の業績に話を移し、「まだ100日足らずですが、目覚ましい、素晴らしい軌跡でした」と称賛した。

女性に対するトランプ大統領の姿勢については、「父が大統領に就任するずっと前から女性の権利を支持してきたことを誇りに思います。これに関して父は予備選でも擁護していました。家族の支援においても素晴らしい擁護者です」と持ち上げたものの、この発言は観客の冷笑やブーイングに遮られがちだった。
2023.05.11 07:32 | 固定リンク | 事件/事故
ロシア国防省に脅された「プリゴジン氏」
2023.05.10


■プリゴジン氏 ロシア国防省に脅されたと主張 弾薬供給10%

 ロシアの民間軍事会社「ワグネル」の創設者、プリゴジン氏は、前線から撤退した場合、国家反逆罪となるとロシア国防省から脅されたと主張しました。

 プリゴジン氏は9日、SNSで、「ワグネル」がウクライナ東部の激戦地バフムトから撤退すれば、国家反逆罪とみなされるとロシア国防省に脅されたと訴える動画を投稿しました。

 プリゴジン氏は5日にバフムト撤退を宣言しましたが、その後、ロシア国防省が弾薬の供給を約束したとして一転して前線にとどまる意向を示していました。

 新たに公開した動画では、これまで要求していた弾薬が届いたとしつつも、希望する量の10%にも満たないと不満を述べています。

■ワグネル、バフムト撤退方針転換か 「武器供給約束された」

- ロシア民間軍事会社ワグネル創設者のエフゲニー・プリゴジン氏は7日、ロシア政府がさらなる武器供給を約束したとして、ウクライナ東部ドネツク州の要衝バフムトからの撤退方針を転換し攻撃を継続する可能性を示唆した。

ワグネルはロシアによるバフムトでの攻撃を主導してきたが、プリゴジン氏は5日、弾薬が不足し「無駄で不当な」損失を被っているとして、10日に部隊をバフムトから撤退させると表明していた。

しかし、7日にテレグラムに投稿された音声メッセージでは「われわれはさらなる作戦を継続するために必要なだけの弾薬と武器を約束されている。敵がわれわれを(物資から)遮断するのを防ぐのに必要なもの全ての配備が約束されている」と述べた。

■ロシア国防省報道官はコメント要請に応じていない。

 ウクライナ東部軍の広報担当官、セルヒー・チェレバティ氏はプリゴジン氏の発言に関するロイターの質問に対し、ロシアの部隊は「十分すぎるほど」弾薬を持っていると指摘。プリゴジン氏の発言はワグネルがかなり多くの兵力を投入して受けた大きな損失から目をそらさせるのが狙いだと述べた。

■ロシア政府、ワグネルがバフムト撤退なら「反逆」と示唆=プリゴジン氏

 ロシア民間軍事会社ワグネルの創設者エフゲニー・プリゴジン氏は9日、ウクライナ東部ドネツク州の要衝バフムトから部隊を撤退させれば祖国に対する反逆と見なすと示唆されたと明らかにした。

 プリゴジン氏は5日、十分な弾薬が供給されていないため、ロシアの対独戦勝記念日の翌日に当たる10日にバフムトから部隊を撤退させると表明。その後、政府が兵器供給を確約したとして撤退方針を転換していた。

 プリゴジン氏はこの日、冒涜的な言葉を多用した音声メッセージで「昨日に下された戦闘命令で、われわれが(バフムトの)陣地を離れれば祖国に対する反逆と見なすと明らかに示された」とし、「弾薬がなければわれわれはポジションを離れ、誰が実際に祖国を裏切っているのかを問いただす。祖国を裏切っているのは十分な弾薬を供給しないとの命令に署名した人物ではないのか」と述べた。

 その上で、供給された弾薬は要求量の10%にとどまっているとし、ワグネルは「騙された」と主張。ただ、ワグネルの戦闘員はバフムトにとどまり、「あと数日」は弾薬の供給を要求し続けると語った。
2023.05.10 08:38 | 固定リンク | 戦争
なぜ民主主義国家は独裁国家に勝つのか?
2023.05.09
■独裁者はなぜ向こう見ずな戦争を起こすのか?――計量分析(統計的な手法)から考察する戦争

 ロシアがウクライナ侵攻を開始してから早くも1年あまりが経過した。この間に日本では、ロシア・ウクライナをめぐる地域研究や、質的・理論的な国際政治学の知見がメディアを席捲してきた。日々刻々と変化する情報を現地語で得るなど、こうした研究の知見は重要である。他方、海外では政治を計量的に分析する研究が盛んであり、国際的なジャーナルでも過去の戦争のパターンをデータから分析、検討した研究がいくつも発表されている。

■戦争を計量的に分析する

 たとえば、計量的手法を用いた実証研究の大御所ダン・レイター(米エモリー大学)とアラン・スタム(米ヴァージニア大学)は、2022年3月、『ワシントン・ポスト』紙に「なぜ民主主義国家は専制国家よりも戦争に勝つのか」と題した記事を寄稿して反響を呼んだ。そこではその理由として、一つ目に、権威主義国家は民主主義国家と比較してリスキーな戦争を起こしがちであること。二つ目に、権威主義国家のリーダーは国内的に転覆される恐れがあるため、自身に権力を集中させて、下位将校などに権限を与えず、結果的に軍隊を弱らせること。三つ目に、権威主義国家のリーダーが周りにイエスマンを置くために、正確な情報が入らず、判断を誤りがちであることが挙げられている。

 一方、日本ではこうした実証分析が世間に紹介される機会があまりにも少なく、質的・理論的な研究に偏りがちにも見える。闇雲に時代の潮流に乗れば良いわけではないが、データを用いた最先端の知見も参照しなければ、言論の幅を狭めてしまうだろう。そこで本稿では、レイターとスタムのように、ウクライナ侵攻で議論の的となっている民主主義や権威主義といった政治体制間の差異や同盟、核兵器をめぐる問題について、計量的な分析手法を用いた実証研究を紹介し、また考察してみたい。

■戦争に強い民主主義国家

 民主主義という政治体制は、多くの人々の意見調整が必要なため時間や手間のコストがかかる。また、平和志向が強いというイメージがあるため、意外にも思えるが、民主主義国家は戦争に強いことが知られている。表は、先のレイターとスタムが1816年から1982年までの戦争のデータを用いて分析したものだ。

 ここでは政治体制の自由度や民主化度を、Polityというスコアを用いて計測している。-10から+10までの指標の中で、-7以下を「専制(autocracy)」、-6以上+6までを「中間(anocracy)」、+7以上を「民主主義(democracy)」と定め、いずれの政治体制が戦争に勝利したかを分析した結果である。

 一般に、戦争を開始する側の方が自信をもって攻撃するため、政治体制の差異を問わず、開始側が勝ちやすい傾向が見られる。特に民主主義国家が開始した戦争は、全15回のうち14回が民主主義国家の勝利となり、民主主義国家が攻められる側に回った場合も、全19回のうち12回は勝利している。また、それ以外の中間的な国家や専制的な国家と比較しても、民主主義国家が戦争に勝ちやすい傾向が認められる。これは、民主主義国家が権威主義国家よりも経済的に豊かで軍事力があるという要因を考慮に入れ、その影響を取り除いて比較しても妥当である。

 レイターとスタムは今回のウクライナ侵攻でも、民主主義国家の強さを強調しているが、一方でウクライナが本当に民主主義国家の要件を備えているかについては不問に付している。その点では疑問の余地が残るだろう。しかし、より民主主義的な国が戦争に勝ちやすい傾向は認められる。

 過去を振り返ると、ヴェトナム戦争のような例外もあるが、第二次世界大戦では連合国側の多くが民主主義国家であり、イギリスとアルゼンチンのフォークランド紛争などでも、より民主化度の高い国が勝った例が確認できる。

■イエスマンで固める独裁者のリスク

 なぜ民主主義国家は戦争に強いのか。ここでは、その理由を国内要因と国外要因の二つに分けて見てみたい。民主主義国家と権威主義国家の決定的な違いは、競争的な選挙を通じて国民の意思が考慮されるか否かである。このことを前提に、国内要因として「有権者・市民の生命に対する政治家・リーダーの態度」の差異を検討する。また、国外要因として、こうした価値観を共有する民主的「同盟関係」に起因する差異についても検討する。

 そもそもの前提として、民主主義国家には自由で公正かつ競争的な選挙がある。再選を目指すリーダーは、世論への影響を考えて、大きな被害を出す負ける戦争は当然避け、勝てる戦争を選んで戦うため、戦争に勝ちやすいと指摘されてきた(権威主義国家も形を変えながら選挙制を導入しているが、自由や公正さは担保されないことが多い)。

 ただ、最近の研究では、民主主義国家のリーダーが慎重であるというより、権威主義国家の中でも特にロシアのプーチン大統領のような個人支配(独裁)のリーダーが、向こう見ずな戦争を起こすとされる。

 エリカ・フランツ(米ミシガン州立大学)は、データ分析による知見に基づいて、「ほかの権威主義体制と比べて、個人独裁は他国との紛争をはじめやすい。個人独裁は、万が一敗北した際の国内からの反発の恐れなしに国家間紛争を仕掛けることができるので、権威主義体制の中ではもっとも好戦的である。いいかえると、説明責任の欠如ゆえに、よりリスクのある行動がとられやすい」(『権威主義』102頁)と指摘している。

 加えて、「個人独裁のリーダーは周囲をご機嫌取りに囲まれ、それらは罷免を避けるため、リーダーに正確な情報を伝えないことが多い。それゆえ個人独裁は、単に戦争をはじめやすいだけではなく、負けやすくもある。個人独裁のリーダーは意図的に自身の周りを『イエスマン』で固めるため、結果として部下からの不正確な情報を受け取りやすく、外交政策で誤りを犯しがちでもある」

 さらに、Sirin and Koch(2015)は、権威主義国家の中でも特に個人支配は、戦争犠牲者も多く出すと分析している。こうした先行研究に基づく知見は、その後、世界中から上がってきている情報とも一致している。

 これも、個人支配のリーダーが国内からの反発を気にしないせいだろう。たとえば、Croco and Weeks(2016)は、戦争に敗北した民主主義国家のリーダーが、選挙で責任を取らされるのは当然だが、同時に、権威主義国家においても、政党や軍を味方に付けたリーダーだと、これらの勢力が失敗の責任を取らせる可能性がある一方、リーダーに権力が集中している個人支配だと戦争の責任を取らされにくいというのである。この研究は、戦争を開始して敗戦したリーダーの在職期間が、民主主義国家だけではなく、個人支配以外の権威主義国家においても短くなる(逆にいうと、個人支配だと短くならない)ことを1919年から2003年までのデータを用いて分析している。

 こうした知見をまとめると、プーチンのような個人支配の権威主義国家のリーダーは、向こう見ずな戦争を起こしやすく、なおかつ敗戦時には政治的責任を負わされにくい状況にあるといえるだろう。しかしながら、Chin et al.(2022)は、個人支配の権威主義国家のリーダーは、失敗しても制度的に追い出されることはないが、支配の度合いを強めると政権転覆や、さらには暗殺によって排除されやすいとも分析している。これを踏まえると、プーチンの今後も不穏なものが予想され、彼は最悪の事態を避けようと是が非でも戦争の結果を好転させようとすると考えられる。そのために、闇雲な攻撃に至っている可能性もあるだろう。

 もちろん、こうした研究の多くは、各国の情勢を現在進行形で追う地域研究とは異なり、過去のデータから分析したものである。そのため、個人支配の権威主義国家がいつでも不利なわけではないし、またこうした研究は、いつ、どの国が行動を起こすか予測する類いのものでもない。たとえば2014年のロシアのクリミア併合時のように、これまで一貫してウクライナが優勢だったわけではなく、今回の戦争でも開戦前は明らかに劣勢と予想されていた。今回ウクライナが大善戦しているのは、欧米の支援があったからだといえるだろう。したがって、レイターとスタムが考えるように、政治体制に内在する性質のみから今回の侵攻を考えるのは十分ではない。
2023.05.09 21:10 | 固定リンク | 戦争

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