男女の警察官2人が「銃を下ろしてください」長野4人死亡
2023.05.25



■男が猟銃発砲、警官ら3人死亡=1人も負傷、民家立てこもり―迷彩服姿、30代住人か・長野・中野市

 25日午後4時25分ごろ、長野県中野市江部で、「男が女性を刺した」と近隣住民から110番があった。県警によると、警察官が駆け付けたところ、男は猟銃を発砲。男女計4人が負傷し、うち女性と男性警察官2人の計3人が搬送先の病院で死亡した。男は迷彩服姿で民家に立てこもり、刃物も所持している可能性がある。目撃した近隣住民によると、男はこの民家に住む農業の30代という。

 県警は近隣住民に屋内避難を呼び掛けるとともに、現場周辺の立ち入りを規制。機動隊などを現場に派遣し、男の説得を続けているとみられる。

 県警や地元消防によると、警察官2人と女性が救急搬送され、いずれも死亡が確認された。近隣住民とみられる男性1人も負傷したが、搬送できておらず、容体は分かっていない。

 女性は、男が立てこもっている民家の北東約600メートル付近で刺された。通報を受けて駆け付けた警察官が猟銃を所持する男を発見。男は民家で発砲を始め、立てこもったという。上下とも迷彩服姿で、迷彩柄の帽子、サングラス、マスクを着用している。

 近隣住民によると、男は猟銃免許を持ち、猟犬を連れて姿を見せた際、警察官から「銃を下ろしてください」などと説得されたが応じなかったという。

 現場はJR信州中野駅の西約1.5キロ。現場周辺は半径300メートルにわたって立ち入りが規制されるなどし、県警や中野市は近隣住民に屋内から出ないよう呼び掛けた。

■「動くな」警察官の声響く 倒れる女性、緊急放送も―声震わす

 「動くな」「止まりなさい」。発砲現場周辺では、容疑者に制止を求める警察官の声が響き渡った。事件を目撃し、慌てて自宅に戻ったという近隣住民は「巻き込まれていたかもしれない」と恐怖に声を震わせた。

 近くに住む30代の女性会社員は午後4時45分ごろ、犬の散歩のため、自宅から数百メートル先の畑の方に歩いていたところ、パトカーが2台止まっているのを目撃した。別の住民からは「近寄ったら駄目だ」と引き返すように言われた。

 「動くな」「止まりなさい」。スピーカーのようなものを通じ、容疑者に制止を求める警察官の声が繰り返し周囲に響いていた。畑の上で、被害者とみられる女性があおむけに倒れているのも見えたという。

 「発砲事件があり、犯人逃走中」という市の放送が、周辺の住民に緊急事態を知らせていた。女性会社員は走って帰宅したといい、「いつもより早い時間帯に散歩に行っていたら、巻き込まれていたかもしれない。近くでこんなことが起こるなんて怖い」と語った。

■迷彩服、猟銃手に民家出入り 警官「下ろして」と説得

 発砲事件が起きた長野県中野市の現場付近の住民は、迷彩服姿の男が猟銃を手に、立てこもる民家に出入りする様子を目撃していた。

 この住民は午後4時半ごろ、パトカーのサイレンの音とともに、警察官が走って行く様子を自宅から見た。外に出ると、上下迷彩服で赤いジャケットを着たサングラス姿の男が猟銃を持ち、猟犬を連れて民家から出て来たという。

 男から10メートルほど離れたところから、男女の警察官2人が「銃を下ろしてください」と説得に当たっていた。男は発砲することなく、間もなく民家に戻ったという。その後、警察官が続々と集まり、民家を取り囲んだ。

 男は屋内をうろうろと歩き回っていたが、その後カーテンが閉められ、中の様子をうかがうことはできなくなったという。この住民は「こんな事件が起こって不安でびっくりしている。早く解決してほしい」と訴えた。
2023.05.25 21:15 | 固定リンク | 事件/事故
岸田首相G7「総括」
2023.05.25



■ゼレンスキーG7大統領〝電撃参加〟に狼狽したロシアプーチンor中国習近平

 ウクライナのゼレンスキー大統領が電撃的に出席し、同国へのF16戦闘機への供与が事実上決まった広島での先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)の結果に、ロシアのプーチン政権が狼狽している。ロシア外務省は閉幕日の21日に「広島サミットはプロパガンダ・ショーに成り下がった」などと批判する声明を出したが、具体性のない空疎な言葉が並べ立てられている印象は否めない。ゼレンスキー氏はG7サミットへの出席を通じ、インドなどグローバル・サウスの主要国とも連携することにも一定の成果を出した。

 ロシアはミシュシチン首相を急遽中国に派遣し、ロシア・中国の連携をアピールするが、G7は中国には協議を呼び掛けるなど露中の接近にもくさびを打つ。中国からの支援を確保するために、ロシアは中国に対し一層下手に出ざるを得ないのは必至だ。

■空疎な言葉の羅列

「G7首脳らは広島で開催されたイベントをプロパガンダ・ショーに変質させた」「反ロシア、反中国をヒステリックにあおっている」「欧州はアングロ・サクソンに主権を譲り渡した」

 ロシア外務省の声明は、具体性のない言葉でG7への批判を並べ立てた。その内容からは、ロシアがむしろ今回のG7サミットでの決定事項や声明に対しての反論や、対応を決めることができていない現状が浮かび上がっている。それだけ今回のG7サミットの結果は、ロシアにとり衝撃的なものだったと推察される。

 最大の焦点は、米国のバイデン政権がウクライナ軍パイロットに対するF16戦闘機の訓練を支援すると発表し、欧州などの同盟国がウクライナに対してF16を提供することを容認した事実だ。この報道が流れた翌日の20日、ロシア外務省のグルシュコ次官が「事態をエスカレートさせる動きであり、西側に途方もないリスクを背負わせることになる。しかし、われわれは対応する用意がある」と反応し、その後のロシアメディアの報道もF16の供与に向けた動きをつぶさに報じ続けている。ロシア側がF16投入を強く警戒している実態を伺わせている。

■F16投入へのウクライナの期待

 F16戦闘機は長射程の攻撃能力を持ち、ウクライナ軍が制空権を確保する作戦に重要な役割を担うと期待されている。戦闘能力は現在ウクライナ軍が主力とする旧ソ連製のミグ29の数倍とされ、ロシアが保有する戦闘機を上回る。ウクライナ軍はこれまで、ロシア軍の戦闘機からの長射程攻撃に悩まされてきたが、F16の投入により事態が大きく変化する可能性がある。

 米メディアはF16をめぐり、「ウクライナでの戦況を本質的に変化させうる武器」だと指摘する。欧米諸国はこれまで最新鋭戦車の提供などは発表していたが、それらは長距離の攻撃を仕掛けるには限界があり、さらにロシアの占領地に侵入すれば燃料などの補給面などで大きな困難を伴う。一方で戦闘機は、一度の出撃で複数個所での作戦に従事でき、ロシア領内などから発射されたミサイルの迎撃能力にも優れるためだ。

 ウクライナ軍兵士に対する訓練は今後数週間以内に始まるとも報じられており、訓練期間は「数カ月」(サリバン米大統領補佐官)を要する見通しだ。米国のどの同盟国がどれくらいの規模の戦闘機を提供するかも未発表だが、ゼレンスキー大統領は21日に広島市内で行われた会見で、「詳細は答えられないが、相手国と話し合いを進めている」と述べており、すでに訓練の実施や戦闘機の供与規模などをめぐっても詳細な協議が実施されている状況が伺えた。

 ゼレンスキー氏はさらに「ロシアが(その威力を)〝実感〟する武器になる」と述べるなど、強い自信をのぞかせる。今回の米国の決定が、戦況に重大なインパクトを与えるのは確実だ。

 バイデン米大統領はこれまで、F16の提供に慎重な姿勢を崩さなかった。ただそれでも実際には、提供に踏み切るタイミングを模索していた跡もうかがえる。米軍はすでに3月の時点で、ウクライナ軍パイロット2人を国内の米軍基地に招き、フライトシュミレーターを使ってF16の訓練操縦に必要な期間を見定めようとしていたという。

 同盟国からのF16提供も、ゼレンスキー氏の発言からはすでに水面下で進められていた実態がうかがえる。F16提供に向けた準備が整っていたことも踏まえ、最終的な調整を対面で行いたかったゼレンスキー氏が、日本政府に対し訪日を働き掛けていた可能性がありそうだ。

■グローバル・サウスの反応

 ゼレンスキー氏はさらに、G7サミットへの対面出席を実現させたことで、対ロシア制裁に加わらない南半球の国々との首脳との会談も実現させた。注目されたのはインドのモディ首相との会談だ。

 ゼレンスキー氏の訪日が極秘裏に行われた背景のひとつは、ロシアへの制裁に否定的な国々がゼレンスキー氏訪日を事前に知れば、G7サミットへの出席を断る可能性があるためだった。そのような中、ロシアに融和的な国の象徴的存在であるインドのモディ首相は、ゼレンスキー氏との距離を感じさせない老獪な振る舞いを見せた。

 モディ氏は会談で「あなたは私たちの誰よりも、戦争の痛みを知っている。インドも、私個人も、この問題の解決に向けてできることはどのようなことでもすると約束する」とゼレンスキー氏に語り掛けた。モディ氏はウクライナに留学していた自国の学生たちと話し合い、「ウクライナがどのような状況に陥ったか、詳細を聞いた」とも述べて、ウクライナを支援する姿勢を示した。モディ氏は会談で「これは、政治、経済の問題ではなく、人道の問題だ」とも語り、政治・経済とは切り離して対応する考えを強調した。

 インドは制裁を受けるロシアから膨大な量の原油を輸入し、ロシア経済を事実上支えているうえ、4月末にはロシアとの防衛協力の強化にも合意している。そのようなインドが、ウクライナにどこまで実質的な支援を提供できるかは見通せないが、ウクライナを支える言質をインドのトップからゼレンスキー氏が直接得た意義は少なくない。

■ロシア首相は〝中国詣で〟

 そのような中、ロシアは同じくG7で批判の目を向けられた中国との連携強化に動き出している。23日にはミシュスチン首相が中国を公式訪問。それに先立つ22日には、パトルシェフ安全保障会議書記がモスクワを訪れた中国共産党幹部と会談し、テロ対策などをめぐり意見を交換した。

 G7から名指しで批判された両国が連携を一層深めることは必至だ。ただ、実際にはウクライナに軍事侵攻をしかけているロシアと、台湾や日本などの周辺国を威圧するものの、ロシアのような軍事行動を起こしていない中国とは、置かれる環境が異なる。

 G7は首脳声明で「中国に率直に関与し、われわれの懸念を中国に直接表明する」としながらも「中国と建設的かつ安定的」な関係を構築する用意があると呼びかけた。台湾情勢に言及されたことに中国は激しい反応を見せたが、「残酷な侵略戦争」を仕掛けたと指弾されたロシアとは同列には扱われていない。

 中国はロシアに対する協力姿勢を強調するが、実際には欧州に売れなくなったロシア産原油を格安で買いたたくなど、その実態は打算的だ。旧ソ連諸国に対するロシアの影響力が弱まる中、中国の習近平国家主席は5月下旬に西安で、旧ソ連諸国である中央アジア5カ国首脳との初の首脳会議を対面で行った。これらの国々への影響力を高めようとする中国の意図は明白だが、ロシアは異論をはさむことすら困難だったに違いない。

 そして23日夜にはロシアの首相が北京に駆け付けた。ウクライナ侵攻から抜け出せないロシアの首脳が、実質的に中国の支援を求めて訪中した格好だ。ロシアを取り巻く国際的な状況が、改めて浮き彫りになっている。
2023.05.25 11:02 | 固定リンク | 国際
ウ軍総司令官「われわれのものを取り戻す時が来た」
2023.05.25

■ロシア国境付近で爆発相次ぐ中、ウクライナ軍総司令官 反転攻勢開始を示唆

旧ソ連のベラルーシやバルト三国と国境を接するロシア西部の石油パイプラインの管理棟が爆発した。ロシア側は、ドローン攻撃を受けたと主張している。

ロシア西部プスコフ州知事によると、27日朝、州内の石油パイプラインの管理棟が破損した。

州知事は、2回のドローン攻撃があったとしている。

けがをした人はいない。

このほか、ロシア西部の国境周辺では、石油タンクなどの爆発が相次いでいて、ロシアはウクライナ側から攻撃を受けたとの主張を繰り返している。

こうした中、ウクライナ軍のザルジニー総司令官が、反転攻勢の開始を示唆した。

ザルジニー総司令官は27日、自身のSNSに「われわれのものを取り戻す時が来た」と書き込んだ。

「われわれの勇士たちは、ロシアの侵略からウクライナを解放し、勝利の旗を掲げるために攻勢に出る」とも書き込み、ウクライナ軍による反転攻勢が始まったことを示唆したとみられる。

反転攻勢については、ウクライナのポドリャク大統領府顧問が24日、イタリアメディアのインタビューで「反転攻勢は何日も続いている。1,500kmの国境をめぐる激しい戦いだが、行動はすでに始まっている」と語っており、様々な地域で続くとの認識を示している。

■打倒プーチン〟ロシア人義勇兵が反乱! 祖国と戦う4000人がウクライナ軍と共闘「ウクライナの勝利とロシアの自由のため戦う」

自由ロシア軍orロシア義勇軍は、ベルゴロドとブリャンスク、クルスクの攻撃を決定。

自由ロシア軍「シーザー」orロシア義勇軍「ホワイトレックス」は、国境近くで西側メディアと会見。我らは、プーチン独裁からロシアを開放するまで徹底的に戦うと宣言。

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領に対し、ロシア人義勇兵による「反乱」が起きている。プーチン政権の打倒を掲げ、ウクライナ側でロシア軍と戦うロシア人義勇兵団体が22日、通信アプリに、ウクライナと国境を接するロシア西部ベルゴロド州の一部を「解放した」と投稿したのだ。報道によると、ロシア人義勇兵は約4000人で、3つの部隊が存在している。ロシア人のプーチンへの抵抗はついに、「戦闘」という形にまで発展した。

ロシア主要メディアは、ベルゴロド州に22日、ウクライナの破壊工作グループが侵入し、国境付近の町で住宅や工場など数カ所を銃撃したと伝えた。これに対し、ロシア軍や連邦保安局(FSB)が合同で掃討作戦を実施したとされている。

一方、ロシアの民間軍事会社「ワグネル」の創設者プリゴジン氏は23日、SNS「テレグラム」でのインタビューで、ロシア反体制派が同国南西部ベルゴロド州に侵入したとされる攻撃については、ロシア軍の防衛部隊は全く抵抗できる態勢にないと断じた。

英国防省の分析によると、19日から22日にかけて、ベルゴロド州内の少なくとも3カ所でロシアの治安部隊と破壊工作グループが衝突した可能性が非常に高いという。グループについては「正体は確認されていないが、ロシアの反体制派が実行を主張している」と説明した。

ベルゴロド州での交戦について、ウクライナ政府は「状況を注視しているが、ウクライナは関係ない」と関与を否定している。ただ、「解放した」と宣言したのは、ウクライナサイドに立ってロシア軍と戦うロシア人義勇兵団体「自由ロシア軍」と「ロシア義勇軍」だった。

ウォロディミル・ゼレンスキー大統領率いるウクライナが今後、ロシアへの大規模反攻に出る見込みのなか、祖国との戦闘という形で「反プーチン」の姿勢を示す義勇兵団体はどんな存在なのか。

24日付の産経新聞は、義勇兵らの取りまとめ役とされるロシアの元下院議員、イリヤ・ポノマリョフ氏への取材をもとにロシア人義勇兵団体の詳細を伝えている。

ポノマリョフ氏によると、義勇兵は約4000人おり、「自由ロシア軍」「ロシア義勇軍」「国民共和国軍」の3団体が存在する。3団体は昨年8月末、キーウ近郊のイルピンで、ウクライナ軍と共闘するとの宣言に署名。宣言では「ウクライナは勝たなければならない。プーチン政権を崩壊させる」とうたった。

ロシア軍兵士が自軍の略奪や性犯罪といった戦争犯罪に嫌気がさしたり、もともとウクライナにいたロシア人が義憤にかられたりして、義勇兵になるケースが多いという。ポノマリョフ氏は「ウクライナの勝利とロシアの自由のため、ロシア人部隊は全力で戦う」と語っており、今後さらに義勇兵団体の動向が注目されそうだ。

■ロシア義勇兵西部越境攻撃、死者2人に 国境警備の脆弱ぶり露呈

ウクライナ領から侵入した武装集団の攻撃を受けたロシア西部ベルゴロド州のグラトコフ知事は23日、攻撃で男性1人が死亡、計13人が負傷したと通信アプリで明らかにした。ほかに80歳代の女性1人も避難の途中に死亡しており、死者は2人になった。

ロシア西部の各州はウクライナ側からの砲撃やドローン攻撃をたびたび受け死傷者が出ている。今回の攻撃で国境警備の脆弱ぶりが改めて露呈し、プーチン政権は一層の対応を迫られる。

 ロシア内務省などによると、武装集団は22日早朝に国境付近に集中的な銃撃や砲撃を行い、昼過ぎに米国製の装甲車やトラックなどで車列を組んでロシア領内に侵入。住宅や工場に銃撃を続けた。

■自由ロシア軍団とは何か、「ロシアを自由にする」ため自国と戦うロシア人志願兵たち

ロシア南西部ベルゴロド州で起きた攻撃事案で実行を主張する集団「自由ロシア軍団」は一つの野心を抱いている。「シーザー」と呼ばれるメンバーの男性は祖国への越境攻撃に参加する前、仲間と共に動画に残した声明で「ロシアを自由にする」と語った。

この集団は頑強に抵抗する、戦闘に強いロシア人志願兵数百人からなり、ウクライナ軍と共に自国民と戦っている。

シーザーは元教師で、子どもがいて、ウクライナ首都キーウに妻が住んでいる。昨年のCNNのインタビューでは、ロシアのプーチン大統領を倒し、赤の広場とクレムリンに行進するために人生をささげてきたと述べていた。

正教会の熱心な信者のシーザーは、旧ソ連以前の皇帝時代に郷愁を感じている。自身の部隊は近代的な装甲車両、照準器、最新の自動兵器を備えている。

自由ロシア軍団は以前、東部の激戦地バフムート南部の厳しい戦いに参加した。今回はロシア領内に侵入し、22日午後の時点で前線付近でロシア軍に対する戦闘作戦を継続中だと主張している。SNS「テレグラム」への投稿では、ベルゴロド州の集落を「解放した」とも述べた。

ウクライナの当局者は、この集団がロシア領内に入ったことを認めつつ、メンバーは「ロシア国民」として独立した行動をとっていると主張した。

自由ロシア軍団は自分たちがウクライナ兵からよく疑いの目を向けられていると認めている。一方、戦場での勇敢さを示すことでウクライナ側の信頼を勝ち取れるとも期待している。

今回ロシア側に侵入したとみられる国境地帯は、ロシア軍の迫撃砲チームや大砲の発射地点として利用される場所で、自由ロシア軍団に対するウクライナ国内の評価をさらに高める結果につながるとみられる。

今回の事案は継続中の心理作戦の一部にもなっている。これによりロシア国内での戦争への支持を減らすとともに、ロシア兵に対していつ何時自国民から攻撃を受けるかわからないと示すことで戦意をそぐ狙いがある。

ロシア大統領府のペスコフ報道官は記者団に「ロシア軍はウクライナの妨害工作、偵察集団をロシア連邦領内から駆逐し、壊滅させる。十分な部隊と手段がある」と語った。

■ウクライナ軍総司令官が負傷か ロシア通信社「任務継続困難」


国営ロシア通信は24日、ウクライナ軍のザルジニー総司令官が今月初めに前線で負傷して開頭手術を受け、今後の任務継続が困難な見通しだとのロシア治安当局筋の話を報じた。一方、ザルジニー氏のフェイスブックには23日、北大西洋条約機構(NATO)の欧州連合軍最高司令官を兼務する米国のカボリ欧州軍司令官と電話会談を行ったと投稿があった。

報道によると、ザルジニー氏は5月初め、ロシア軍との交戦が続いているウクライナ南部ヘルソン州内の陣地でロシア軍のミサイル攻撃を受け、破片で頭蓋骨に多数の傷を負ったため首都キーウ(キエフ)の病院で手術を受けた。ウクライナ軍内の複数の消息筋から得た情報という。

■モスクワ大学の上に反体制旗か、自由ロシア軍団が映像を投稿

ロシア南西部ベルゴロド州で起きた攻撃事案で実行を主張する集団「自由ロシア軍団」は22日夜、SNS「テレグラム」に、モスクワ大学の上空に反体制旗が掲げられている様子を映したものとみられる映像を投稿した。

映像では、風船に持ち上げられる形で、自由ロシアの旗とよばれる青色と白色のストライプからなる旗が大学の主要建物の上に掲げられているように見える。自由ロシア軍団はこれを実行したと直接認めてはいない。

テレグラムへの投稿には「我々を支持し、待っていた人々のおかげだ!」「ロシア、自由のための軍団!」との記述があった。

同集団が投稿した他の映像には、モスクワのさまざまな場所で反体制旗が掲げられているように見える様子も収められている。

CNNはこうした事案の真偽を独自に検証できていない。

この旗は反プーチンのロシア反体制グループの一部で使用され、ウクライナ侵攻以降は使用が広がっている。

■プーチンに衝撃 ウクライナ側に立つもう1つの『ロシア軍』

今月22日、軍事侵攻を続けるロシアに衝撃が走りました。

ウクライナと国境を接する西部の州で戦闘が起きたのです。

ロシアはウクライナによる攻撃と発表しましたが、ウクライナ側はこれを否定。

一方で、ウクライナ側に立つロシア人などの義勇兵を名乗る2つの組織が関与を主張しました。

いったい彼らはどういう存在なのか?ウクライナ軍と関係はあるのか?

ウクライナ軍の幹部に、反転攻勢に向けた最新の動きとともに、話を聞きました。

■ロシア国内で何が起きた?

今月22日、ウクライナと国境を接するロシア西部・ベルゴロド州の州知事が、ウクライナの工作員が州内に侵入し、銃撃や無人機による攻撃を受け、戦闘が起きていると発表。

これに対し、ウクライナ側は関与を否定しました。

一方、ウクライナ側に立って戦うロシア人などの義勇兵を名乗る2つの組織がSNSで、ロシア領内に入りベルゴロド州で戦闘を行っていると主張。

イギリス国防省も「ベルゴロド州の国境近くの少なくとも3か所でロシア治安部隊とパルチザン組織が衝突した可能性が高い」などと指摘し、攻撃はプーチン政権に反発するロシアの反体制組織によるものだという見方を示しました。

組織の規模など詳しいことはわかっていませんが、欧米やロシアのメディアによりますと、「自由ロシア軍」は、ロシアによる軍事侵攻が始まった直後にあたる2022年3月に結成され、ロシア人やベラルーシ人などで構成されているということです。団体のウェブサイトでは「ウクライナ軍と協力し、ウクライナの指揮下で活動している」と記されています。そしてプーチン政権の打倒を目標に掲げています。

■話を聞いたのはウクライナ軍大佐

戦闘の衝撃が走るなか、急きょ話を聞いたのは、ウクライナ軍の大佐ロマン・コステンコ氏です。

コステンコ氏は2022年10月、日本に支援を呼びかけるウクライナ議会の議員団の一員として来日しました。

これまでに南部ヘルソン州の奪還作戦に従事したほか、ウクライナ軍の幹部として、各前線にいる兵士とも常に情報交換をしています。

23日、NHKの取材にオンラインで答えました。

Q、ロシアで戦闘を行ったという2つの組織はどんな存在か

彼らは、プーチン政権に反対するロシア人であり、自分の意思で戦っています。ロシアで圧政が行われる中、解放のために「プーチンの軍」と戦う『ロシア軍』なのです。

私たちも、ロシアの現体制に罪があると考えているから、彼らを応援しています。

Q、ウクライナ軍との関係は?

いまロシアで起きていることは、彼らだけで行っていることです。

彼らは私たちウクライナ軍の誰かによって調整されているとは思いますが、彼らにはプーチン大統領の軍隊を倒すという、彼ら自身の目標があります。戦争においては、なんらかの調整なしに、銃器を持って自由気ままに戦うことは不可能です。ですから、なんらかの調整はあったでしょう。

ウクライナ国内では、多くの外国人が戦ってくれています。ウクライナ軍には「外国人部隊」があって、合法的に戦闘に参加しています。

Q、ウクライナ軍は今回の戦闘に加わっている?

(戦闘を行ったとする組織は)今回の行動は、自分たちだけでやっているとしていて、プーチン政権を打倒し、ロシアを解放するためのものだと主張しています。

私たちは彼らを応援してはいますが、私たちは、自国の領土の解放を進めているのであって、『ロシアの土地』を求めてはいないのです。

ベラルーシを見てください。ベラルーシはロシアを助けています。同様に私たちも、ウクライナ人を殺害するロシアの政権と戦うあらゆる存在を、応援する権利を持っているのです。

もしロシア人が、自分の国に不満を持ち、行動を起こそうとするのであれば、それは彼ら自身の問題です。

Q、反転攻勢に向けた準備は?

前線の多くの場所では、目立った変化がありません。いま重要なのは、ウクライナとロシアの均衡を崩すことです。「反転攻勢」と呼ぶ人もいますが、私は「春から夏にかけての作戦」と呼びたいと思います。

それは、単純な作戦ではなく、攻撃と防御それぞれの作戦の組み合わせになるでしょう。夏の終わりから秋の中頃までには、その後の戦争の行方がどうなるか、分かるようになるはずです。

「春夏作戦」のために、私たちはそれなりの量の兵器を蓄えてきましたが、ロシア軍の兵器の備蓄はウクライナの何倍もあります。私たちは少なくとも、航空戦力と砲撃において、優位に立つ必要があります。

Q、反撃を成功させるだけの兵器は足りている?

ウクライナがこれまでに供与を受けた兵器には、最先端のものが含まれます。そうした兵器の性能のおかげで、相手より少ない戦力で、ロシア軍に対してより多くの損害を与えることができます。

いま「戦闘機連合」で議論がされていますが、将来、F16や、スウェーデンのグリペンといった戦闘機が供与されれば、ウクライナの空を守り、戦力を高めることになるでしょう。

また、ミサイルや射程の長い兵器といった、これまでに供与を受けた兵器について、さらに量を増やしていく必要があります。ロシアはソビエト時代を通じて、ずっと戦争に備え続けてきたからです。

Q、反転攻勢が成功するかどうか?

よく使うたとえですが、(いまの状況は)2人の強いボクサーが、リング上で殴り合っているようなものなのです。どちらが勝つか、誰にも分かりません。

ゼレンスキー大統領は、「(もうすぐ)反転攻勢の準備ができる」と発表しています。ただもちろん、補充のための兵器は必要になります。多くの損失が生じるかもしれず、絶えず兵器の支援を受ける必要があります。

Q、ロシアが「掌握」を主張する激戦地・バフムトの状況は?

いまもウクライナ軍が街の小さい区画を保持しています。現地からの情報によれば、バフムト郊外の標高の高い場所を確保していて、それがロシア軍の攻撃を防いでいます。

ウクライナはバフムトの一部を守っていますが、ロシアも前進を図っていて、厳しい状況が続いています。

Q、G7広島サミットにゼレンスキー大統領が対面で参加した意義は?

決定的に重要な出来事でした。出席した国々の首脳と、ゼレンスキー大統領との間で温かなコミュニケーションがとれたようでした。各国から支援に理解を得ること、そしてインドも含め、各国から支援を受けることは非常に重要です。

■ロシア人などの義勇兵を名乗る2つの組織とは?

ロシアのベルゴロド州に侵入し、戦闘を行っていると主張しているのは、ロシア人などの義勇兵を名乗る「自由ロシア軍」と「ロシア義勇軍」です。

一方、「ロシア義勇軍」は2022年8月に極右のロシア人たちによって設立され、ウクライナ側に立って戦闘を続けているということです。

2023年3月には、ウクライナと国境を接する西部のブリャンスク州で、ロシア側はウクライナから武装集団が侵入したと発表していて、「ロシア義勇軍」がSNSで関与を主張していました。

さらに今月22日以降もSNS上で「戦闘員が再び祖国を訪れるだろう。戦闘の炎が燃え上がる」などと投稿。ロシア側から奪ったとする軍用車両などの映像を公開しています。

■モスクワ攻撃、自由ロシア軍orロシア義勇軍がモスクワ攻撃か クレムリンに無人機、米分析

24日モスクワ中心部で炎が、ロシア国防省か、自由ロシア軍orロシア義勇軍が、プーチン独裁打倒とロシア解放の旗のもと、を無人機で攻撃。当局者は火災発生の情報を否定。

 米紙ニューヨーク・タイムズは24日、ロシアの中枢に当たるモスクワのクレムリン(大統領府)が今月3日に受けた無人機攻撃について、米当局者の話として、ウクライナ側の関与が疑われるとの米情報機関の分析を報じた。ウクライナのゼレンスキー大統領ら政府高官が作戦を把握していたかどうかは不明だという。

 無人機攻撃は、ロシアによる自作自演の可能性も指摘されていた。ウクライナに大量の武器を供与するバイデン米政権はロシアを必要以上に刺激するウクライナの攻撃に神経をとがらせており、ロシアの報復で戦況の拡大につながりかねないと懸念している。

 同紙によると、無人機攻撃について協議するロシア当局の会話を米国側が傍受したところ、無人機の侵入に驚いてウクライナを非難しており、ロシア側の自作自演ではないと判断した。ウクライナの特殊部隊か情報部隊が実施した可能性が高いとみられ、政府が攻撃を直接許可した確証はないという。

 海底パイプライン「ノルドストリーム」のガス漏れも、米当局はウクライナ側を疑っている。
2023.05.25 09:49 | 固定リンク | 戦争

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