G7「核なき世界」ゼレンスキー氏演説
2023.05.20
G7広島サミットの主会場で記念撮影を終えた(前列左から)韓国の尹錫悦大統領、インドネシアのジョコ大統領、岸田首相、AUの議長国コモロのアザリ大統領、ブラジルのルラ大統領、(後列左から)ドイツのショルツ首相、インドのモディ首相、フランスのマクロン大統領、バイデン米大統領、カナダのトルドー首相=20日午後、広島市



■政府、G7首脳声明発表を前倒し ゼレンスキー氏来日が影響か

日本政府は20日、G7広島サミットの成果をまとめた首脳声明について、英語版のみ突然発表した。サミット日程は21日までで、最終日より前に公表するのは異例。注目が集まるウクライナのゼレンスキー大統領の来日が影響し、首脳声明への関心が低下するのを懸念したため、発表を前倒しして目立たせたいとの思惑が働いたようだ。

例年のG7サミットは、日本外務省が最終日に首脳声明を英語と日本語でほぼ同時に発表するのが通例だ。特に日本開催のサミットでは、日本語版の速やかな発表が期待されている。

今回、21日の発表予定が前倒しになった理由について、外務省は「各国との文言調整が終わったためだ」と説明。

■ゼレンスキー氏、なぜフランス機で日本へ? 外交筋が明かした舞台裏

ウクライナのゼレンスキー大統領が今月14日にパリを訪問した際、フランスのマクロン大統領に広島での主要7カ国首脳会議(G7サミット)に出席する意向を示し、航空機の手配を頼んだことがわかった。フランス外交筋が明らかにした。ゼレンスキー氏は、訪問先のサウジアラビア西部ジッダから、フランスの政府専用機で広島に20日午後到着した。

フランス外交筋によると、今回の準備が始まったのは、ゼレンスキー氏が今月14日、G7サミットを前に、イタリアとドイツに続いてパリを訪問した時だった。ゼレンスキー氏とマクロン氏は同日夜にフランス大統領府で夕食をともにしながら会談。この際に、ゼレンスキー氏が「G7に出席したい」と述べ、マクロン氏に航空機の手配を直接依頼したという。

サミットを前にした欧州諸国歴訪では、ゼレンスキー氏が欧州に軍事支援を訴えかける場面が目立っていたが、水面下では訪日への調整が始まっていたことになる。この外交筋は、ゼレンスキー氏がフランスの政府専用機で日本に来たことについて、「両大統領の継続的な関係性による信頼の証しだ」と話す。

マクロン氏は昨年5月、ロシアとウクライナの停戦交渉をめぐり、「両国は侮辱しあってはならない」と発言し、ウクライナ側から批判を浴びた。しかし、今年1月には、米国やドイツに先駆けて、軽戦車「AMX―10RC」の提供を決定。ドイツなどが自国独製主力戦車「レオパルト2」などを提供する流れをつくるなど、ウクライナに寄り添う姿勢を打ち出してきた。

ゼレンスキー氏とマクロン氏は侵攻1年を迎える直前の今年2月にもパリで会談し、フランス大統領専用機で一緒に欧州連合(EU)の本部があるブリュッセルに向かっていた。

■政府関係者「最大の援護射撃」 ゼレンスキー氏の広島訪問、日本政府の本音は?

ウクライナのゼレンスキー大統領が20日夕方、G7サミットに出席するため広島に到着しました。ゼレンスキー大統領の広島訪問を日本政府は本音ではどうみているのでしょうか? 政治部官邸キャップ・平本典昭記者の解説です。

今回のサミットの岸田首相の最大の目的は「核なき世界」に向けた強いメッセージを出すことでした。ある政府関係者は「最大の援護射撃となった」と話しています。

岸田首相は「強いメッセージ」実現に向け、2つの仕掛けにこだわりました。1つ目は「G7首脳による、原爆資料館訪問」。2つ目は核軍縮に向けて特別に用意した「広島ビジョン」です。

ある政府関係者は、この2つの効果は「想定内」だったと話しています。

――「想定内」とはどういうことでしょうか?

例えば、1つ目のG7首脳らによる資料館訪問は歴史上初のことで、G7リーダーが直接被爆の実相にふれるという成果があった一方で、「視察の中身が非公開なのは残念だ」という声もでています。

また、2つ目の「広島ビジョン」については、「核兵器の不使用の継続」「核戦力の透明性向上のためのデータ共有」などをG7で確認した意義がある一方、専門家からは「ビジョンと言いながら核軍縮の実質的な前進をもたらす中身になってない」という批判もでています。

つまり、最初用意した2つの「仕掛け」は成果も批判も「想定内」だったというわけです。

ここにひそかに狙ってはいたものの、ある意味「想定外」といえるゼレンスキー大統領の来日が実現したことで、核なき世界に向けたメッセージに「強さ」「説得力」が増し、「援護射撃」となったわけです。

――注目のゼレンスキー大統領の平和記念公園の訪問は、いつになりそうでしょうか?

最新情報によりますと、政府内には2つの選択肢が浮上しています。

1つ目は、21日午前に韓国・インドなど招待国と一緒に訪問するという案。2つ目はサミット閉幕後に岸田首相と2人で訪れるという案で、ギリギリの調整が続いています。

■【速報】ゼレンスキー大統領がG7広島サミットに対面で参加 日本政府が発表 岸田首相との2国間会談も予定

日本政府は20日、ウクライナのゼレンスキー大統領が、21日にG7広島サミットに出席すると発表した。

ゼレンスキー大統領は、21日に開催されるG7首脳のウクライナに関するセッションに対面で参加する他、G7と招待国の首脳による平和と安定に関するセッションにもゲストとして参加する予定。

岸田首相が3月にウクライナを訪問した際、広島サミットへのオンライン参加で合意していたが、その後、ゼレンスキー大統領から、サミットに対面で参加したいという強い希望が表明されたという。

岸田首相との2国間の会談も予定されている。
2023.05.20 22:01 | 固定リンク | 戦争

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