「アイアンドーム」とは何か?
2024.04.23
イランがイスラエルに対して実施したミサイルやドローン(無人機)を使った大規模な攻撃で、イスラエル軍は**99%**の攻撃を迎撃したことが明らかになっています。
イスラエルの防空システム「アイアンドーム」は、襲来するロケット弾やドローンを迎撃する短距離ミサイルで、過去数年にはイスラム組織「ハマス」やレバノンの親イラン組織「ヒズボラ」が発射した数千規模のロケット弾やドローンを撃ち落としてきた戦績を持っています。
ただし、アイアンドームの能力には限界もあり、近くから撃たれると対応が難しく、4キロ以内から撃たれた場合は危険だと言われています。さらに、中長距離用のミサイルやドローンに対抗するために、防空システム「ダビデ・スリング」も導入されています。
このような対空兵器の運用は、地域紛争から世界的大戦に発展する可能性もあるため、慎重な対応が求められています。
「アイアンドーム」は、イスラエルが開発した防空システムで、Counter-RAM(対ロケット弾)に分類されます。 このシステムは、ロケット弾や対空ミサイルを迎撃するために設計されています。以下に詳細を示します。
概要
アイアンドームは、ラファエル・アドバンスド・ディフェンス・システムズとイスラエル国防軍によって共同開発されました。
主な目的は、ロケット弾やミサイルを迎撃してイスラエルの都市を守ることです。
迎撃成功率は高く、2011年末で75%、2012年3月には80%、6月には90%とされています。
特徴
アイアンドームは、4キロメートル以上70キロメートル以内から発射されるロケット弾や対空ミサイルを迎撃できます。
全天候型で、重要性の低い目標を除外することでミサイルの消費を抑えることができます。
成功例
アイアンドームは、ガザ地区からの攻撃を防ぐために展開されており、その迎撃能力は高い評価を受けています。
ただし、大規模な攻撃に対しては完全に防げないこともあります。
このように、アイアンドームはイスラエルの対空防衛システムとして重要な役割を果たしています。
アイアンドームはイスラエルが開発した高度な防空ミサイルシステムで、特に短距離のロケット弾や迫撃砲、そして一部の航空機や誘導爆弾に対して高い迎撃能力を持っています。以下はアイアンドームの主な能力に関する情報です。
迎撃範囲
アイアンドームは4キロメートル以上70キロメートル以内から発射される155mm砲弾やロケット弾、さらには10キロメートル以内の無人航空機(UAV)や航空機、誘導爆弾に対する近接防空を担うことができます。
命中率
アイアンドームの命中率は約95%に上り、これは実戦配備されてからのデータに基づくものです。ロケットが発射されると、イスラエル側は着弾地点を計算し、人がいない場所では迎撃せず、人がいる場所に飛んできた場合にのみ撃ち落とします。
全天候型
アイアンドームは全天候型のシステムとして構築されており、重要性の低い目標へ向かう攻撃を対象から除外することで、ミサイルの消費を抑えることが可能です。
運用
イスラエルでは10個中隊の配備を計画しており、各中隊は予備役による運用を含む人員不足に対応しています。
アイアンドームは、イスラエル市民を守るための重要な防衛システムとして機能しており、その迎撃能力は世界的にも高く評価されています。ただし、完全に無敵ではなく、特定の条件下では突破される可能性もあることが指摘されています。
アイアンドームの開発には非常に高度な技術が必要です。以下は、その開発に関わる技術的要素の一部です。
先進的なレーダーシステム
アイアンドームは、敵のロケットや迫撃砲を検出するために、高度なレーダーシステムを使用しています。このレーダーは、発射された瞬間にロケットを追跡し、その飛行経路を計算する能力を持っています。
検出と解析
レーダーがロケット弾や迫撃砲の発射を感知します。
飛行経路や着弾地点に関するデータを収集し、コンピューターに送信します。
計算と判断
コンピューターはロケットの飛行先を計算します。
人口密集地域や戦略的に重要な場所にロケットが着弾するとの計算結果を出した場合、迎撃ミサイルを発射します。
迎撃
ランチャーが起動し、空中でロケットを撃墜します。
ロケットがコースを外れて広い範囲で人のいない場所に着弾すると計算された場合、アイアンドームは動作しません。
アイアンドームは、数万発もの短距離ロケット弾を迎撃し、イスラエル国民の安全を護っています。
精密な迎撃ミサイル
迎撃ミサイルは、目標に対して高い命中率を達成するために、精密な誘導システムを備えています。これには、高度なコンピューターアルゴリズムと飛行制御技術が必要です。
戦闘管理と武器制御システム
システムは、複数の迎撃ミサイルを同時に制御し、最適な迎撃ミサイルを選択して発射するための戦闘管理と武器制御システムを持っています。
アイアンドームは、数万発もの短距離ロケット弾を迎撃し、イスラエル国民の安全を護っています。
連続的なアップデートと改良
アイアンドームシステムは、運用中にも継続的にアップデートされ、新たな脅威に対応するための改良が行われています。これには、ソフトウェアの更新やハードウェアの改良が含まれます。
全天候型の運用能力
アイアンドームは全天候型のシステムとして設計されており、様々な気象条件下でも機能するようになっています。
これらの技術要素は、アイアンドームを世界で最も進んだ防空システムの一つにしています。
課題
迎撃能力の限界
アイアンドームは約95%の高い命中率を持っていますが、一度に大量のロケット弾が発射されると、システムが飽和状態になり、すべてを迎撃できない可能性があります。特に、短距離からの攻撃や、同時に多数のミサイルが発射された場合には、防衛システムが突破されるリスクが高まります。
運用上の課題
アイアンドームは、イスラエル国内の特定の地域を守るために設計されており、国土全体をカバーするわけではありません。また、敵対勢力がアイアンドームの配備場所や能力を把握し、それを回避する戦術を取る可能性も指摘されています。
政治的・社会的な問題
アイアンドームの存在は、イスラエルと周辺国との間の複雑な政治的な状況に影響を与えています。一部では、アイアンドームがイスラエルに対する攻撃を誘発する要因になっているとの見方もあります。
コスト
アイアンドームの迎撃ミサイルは高価であり、大量のロケット弾に対して一つ一つ迎撃することは経済的に負担が大きいという批判があります。
これらの批判や課題は、アイアンドームシステムが直面している実際の問題点を反映しており、防衛システムとしての完全性や、将来的な改善の必要性を示唆しています。ただし、アイアンドームはイスラエルの国民を守るための重要な防衛手段として、依然として高い評価を受けています。
米国も試験運用(アイアンドーム)
米軍がアイアンドームという対空防衛システムをグアムで試験運用していることは事実です。このシステムは、中国からの攻撃リスクに対処するために警戒されています。アイアンドームは特定のミサイルに対して迎撃能力を持っており、中国の弾道ミサイルの脅威に備えて米国はさらなる防衛能力の強化を計画しています。この試験運用は、中国の軍拡に対処するために、米国がアジア太平洋地域に多岐にわたる軍装備を展開している現状を浮き彫りにしています。
アイアンドームは、イスラエルが米国の資金を受けて開発し、2011年に実戦配備した対空防衛システムです。以下は、アイアンドームの機能についての詳細です。
検出と解析
レーダーがロケット弾や迫撃砲の発射を感知します。
飛行経路や着弾地点に関するデータを収集し、コンピューターに送信します。
計算と判断
コンピューターはロケットの飛行先を計算します。
人口密集地域や戦略的に重要な場所にロケットが着弾するとの計算結果を出した場合、迎撃ミサイルを発射します。
迎撃
ランチャーが起動し、空中でロケットを撃墜します。
ロケットがコースを外れて広い範囲で人のいない場所に着弾すると計算された場合、アイアンドームは動作しません。
イスラエルの防空システム「アイアンドーム」は、襲来するロケット弾やドローンを迎撃する短距離ミサイルで、過去数年にはイスラム組織「ハマス」やレバノンの親イラン組織「ヒズボラ」が発射した数千規模のロケット弾やドローンを撃ち落としてきた戦績を持っています。
ただし、アイアンドームの能力には限界もあり、近くから撃たれると対応が難しく、4キロ以内から撃たれた場合は危険だと言われています。さらに、中長距離用のミサイルやドローンに対抗するために、防空システム「ダビデ・スリング」も導入されています。
このような対空兵器の運用は、地域紛争から世界的大戦に発展する可能性もあるため、慎重な対応が求められています。
「アイアンドーム」は、イスラエルが開発した防空システムで、Counter-RAM(対ロケット弾)に分類されます。 このシステムは、ロケット弾や対空ミサイルを迎撃するために設計されています。以下に詳細を示します。
概要
アイアンドームは、ラファエル・アドバンスド・ディフェンス・システムズとイスラエル国防軍によって共同開発されました。
主な目的は、ロケット弾やミサイルを迎撃してイスラエルの都市を守ることです。
迎撃成功率は高く、2011年末で75%、2012年3月には80%、6月には90%とされています。
特徴
アイアンドームは、4キロメートル以上70キロメートル以内から発射されるロケット弾や対空ミサイルを迎撃できます。
全天候型で、重要性の低い目標を除外することでミサイルの消費を抑えることができます。
成功例
アイアンドームは、ガザ地区からの攻撃を防ぐために展開されており、その迎撃能力は高い評価を受けています。
ただし、大規模な攻撃に対しては完全に防げないこともあります。
このように、アイアンドームはイスラエルの対空防衛システムとして重要な役割を果たしています。
アイアンドームはイスラエルが開発した高度な防空ミサイルシステムで、特に短距離のロケット弾や迫撃砲、そして一部の航空機や誘導爆弾に対して高い迎撃能力を持っています。以下はアイアンドームの主な能力に関する情報です。
迎撃範囲
アイアンドームは4キロメートル以上70キロメートル以内から発射される155mm砲弾やロケット弾、さらには10キロメートル以内の無人航空機(UAV)や航空機、誘導爆弾に対する近接防空を担うことができます。
命中率
アイアンドームの命中率は約95%に上り、これは実戦配備されてからのデータに基づくものです。ロケットが発射されると、イスラエル側は着弾地点を計算し、人がいない場所では迎撃せず、人がいる場所に飛んできた場合にのみ撃ち落とします。
全天候型
アイアンドームは全天候型のシステムとして構築されており、重要性の低い目標へ向かう攻撃を対象から除外することで、ミサイルの消費を抑えることが可能です。
運用
イスラエルでは10個中隊の配備を計画しており、各中隊は予備役による運用を含む人員不足に対応しています。
アイアンドームは、イスラエル市民を守るための重要な防衛システムとして機能しており、その迎撃能力は世界的にも高く評価されています。ただし、完全に無敵ではなく、特定の条件下では突破される可能性もあることが指摘されています。
アイアンドームの開発には非常に高度な技術が必要です。以下は、その開発に関わる技術的要素の一部です。
先進的なレーダーシステム
アイアンドームは、敵のロケットや迫撃砲を検出するために、高度なレーダーシステムを使用しています。このレーダーは、発射された瞬間にロケットを追跡し、その飛行経路を計算する能力を持っています。
検出と解析
レーダーがロケット弾や迫撃砲の発射を感知します。
飛行経路や着弾地点に関するデータを収集し、コンピューターに送信します。
計算と判断
コンピューターはロケットの飛行先を計算します。
人口密集地域や戦略的に重要な場所にロケットが着弾するとの計算結果を出した場合、迎撃ミサイルを発射します。
迎撃
ランチャーが起動し、空中でロケットを撃墜します。
ロケットがコースを外れて広い範囲で人のいない場所に着弾すると計算された場合、アイアンドームは動作しません。
アイアンドームは、数万発もの短距離ロケット弾を迎撃し、イスラエル国民の安全を護っています。
精密な迎撃ミサイル
迎撃ミサイルは、目標に対して高い命中率を達成するために、精密な誘導システムを備えています。これには、高度なコンピューターアルゴリズムと飛行制御技術が必要です。
戦闘管理と武器制御システム
システムは、複数の迎撃ミサイルを同時に制御し、最適な迎撃ミサイルを選択して発射するための戦闘管理と武器制御システムを持っています。
アイアンドームは、数万発もの短距離ロケット弾を迎撃し、イスラエル国民の安全を護っています。
連続的なアップデートと改良
アイアンドームシステムは、運用中にも継続的にアップデートされ、新たな脅威に対応するための改良が行われています。これには、ソフトウェアの更新やハードウェアの改良が含まれます。
全天候型の運用能力
アイアンドームは全天候型のシステムとして設計されており、様々な気象条件下でも機能するようになっています。
これらの技術要素は、アイアンドームを世界で最も進んだ防空システムの一つにしています。
課題
迎撃能力の限界
アイアンドームは約95%の高い命中率を持っていますが、一度に大量のロケット弾が発射されると、システムが飽和状態になり、すべてを迎撃できない可能性があります。特に、短距離からの攻撃や、同時に多数のミサイルが発射された場合には、防衛システムが突破されるリスクが高まります。
運用上の課題
アイアンドームは、イスラエル国内の特定の地域を守るために設計されており、国土全体をカバーするわけではありません。また、敵対勢力がアイアンドームの配備場所や能力を把握し、それを回避する戦術を取る可能性も指摘されています。
政治的・社会的な問題
アイアンドームの存在は、イスラエルと周辺国との間の複雑な政治的な状況に影響を与えています。一部では、アイアンドームがイスラエルに対する攻撃を誘発する要因になっているとの見方もあります。
コスト
アイアンドームの迎撃ミサイルは高価であり、大量のロケット弾に対して一つ一つ迎撃することは経済的に負担が大きいという批判があります。
これらの批判や課題は、アイアンドームシステムが直面している実際の問題点を反映しており、防衛システムとしての完全性や、将来的な改善の必要性を示唆しています。ただし、アイアンドームはイスラエルの国民を守るための重要な防衛手段として、依然として高い評価を受けています。
米国も試験運用(アイアンドーム)
米軍がアイアンドームという対空防衛システムをグアムで試験運用していることは事実です。このシステムは、中国からの攻撃リスクに対処するために警戒されています。アイアンドームは特定のミサイルに対して迎撃能力を持っており、中国の弾道ミサイルの脅威に備えて米国はさらなる防衛能力の強化を計画しています。この試験運用は、中国の軍拡に対処するために、米国がアジア太平洋地域に多岐にわたる軍装備を展開している現状を浮き彫りにしています。
アイアンドームは、イスラエルが米国の資金を受けて開発し、2011年に実戦配備した対空防衛システムです。以下は、アイアンドームの機能についての詳細です。
検出と解析
レーダーがロケット弾や迫撃砲の発射を感知します。
飛行経路や着弾地点に関するデータを収集し、コンピューターに送信します。
計算と判断
コンピューターはロケットの飛行先を計算します。
人口密集地域や戦略的に重要な場所にロケットが着弾するとの計算結果を出した場合、迎撃ミサイルを発射します。
迎撃
ランチャーが起動し、空中でロケットを撃墜します。
ロケットがコースを外れて広い範囲で人のいない場所に着弾すると計算された場合、アイアンドームは動作しません。
ウクライナ「早期警戒機2機撃墜」
2024.03.12
ウクライナ、ロシアの早期警戒機「A50」撃墜 空軍司令官
ウクライナ空軍のオレシチュク司令官はSNSテレグラムへの投稿で、ウクライナ軍がロシアの早期警戒管制機「A50」を撃墜したと発表した。
ウクライナ国防省情報総局(GUR)の情報筋はCNNの取材に、A50はアゾフ海東岸上空、ロシアの都市エイスクとクラスノダールの間で撃墜されたと説明した。空軍とGURの共同作戦だという。
オレシチュク氏がテレグラムに投稿した短い動画には、夜空に走る複数の明るい光が映っている。ロシア軍機が発射した囮(おとり)のフレアとみられる。フレアは熱探知ミサイルを回避するための囮として軍用機が利用するが、目標探知をエンジンの高温の排気口に頼らないレーダー誘導ミサイルには影響しない。
ロシア南部クラスノダール地方の公式声明ではウクライナの攻撃に言及せず、航空事故によって地上で火災が発生したと報告した。
ウクライナによると、標的となったのは旧ソ連時代に開発されたA50の近代化改修機。GURは撃墜された機体について、ウクライナの都市へのミサイル攻撃を管制・誘導する目的でロシアが使用していたとの見方を示した。
CNNは現時点で双方の主張を検証できていない。
A50の撃墜が事実なら、ここ6週間で2度目となる。ウクライナは先日、アゾフ海上空で1月15日にA50への攻撃に成功したと述べていた。
ウクライナ、ロシアの早期警戒機を撃墜と 先月に続き
ウクライナ軍は23日、ロシア軍のA50早期警戒管制機を撃墜したと明らかにした。ウクライナ軍は今年1月半ばにも、同型の偵察機を撃墜したと発表している。
ウクライナ軍関係者によると、A50は前線から約200キロ離れた、ロシア南西部のロストフ・ナ・ドヌと南部クラスノダールの間で、撃墜されたという。
現地当局はクラスノダール地方のカネフスコイ地区で、機体の残骸を発見し、炎を鎮圧したとしている。
ウクライナ空軍のミコラ・オレシチュク司令官は同日、ソーシャルメディア「テレグラム」で、A50を撃墜できたのは空軍と軍情報機関のおかげだと感謝した。23日がロシアの「祖国防衛者の日」でもあることを念頭に、「祖国防衛者の日だ。占領者、おめでとう」とも皮肉った。
オンラインで共有されている動画では、飛行中のA50が撃墜されたように見える。大きな炎と黒煙が上がる様子も映っている。
「テレグラム」ではロシア軍関係チャンネルのひとつが、A50は味方に撃たれた可能性があると指摘。「現時点では、だれが撃墜したのか不明だ」と、チャンネル運営者は書いた。
ウクライナ政府は、1月14日にもA50を撃墜したと発表。A50のほか、空中指揮機「IL22」も撃墜したとしていた。
イギリス国防省は過去に、ロシア軍はおそらく運用可能なA50を6機所有していると説明していた。
A50は防空システムを探知し、ロシアの戦闘機用に攻撃対象を選定・調整する。1機当たりの製造費は数百億円とされる。
ウクライナ軍はこのところ、南東部でロシア軍に対して苦戦している。
A50は、ソ連及びロシア連邦の早期警戒管制機で、北大西洋条約機構(NATO)は「メインステイ」というNATOコードネームを割り当てています。
2024年1月15日、ウクライナはA-50を撃墜したことを発表しました。一方、ロシアの独立系メディアは味方のミサイルによる誤爆を示唆しています。
ロシア
2月23日にもロシア・クラスノダール地方で1機が墜落したことが報告されています。
ウクライナ空軍のオレシチュク司令官は、ウクライナ軍がロシアの早期警戒管制機「A50」を撃墜したと発表しました。撃墜されたA50はアゾフ海東岸上空、ロシアの都市エイスクとクラスノダールの間で撃墜されたとされています。
A-50は、ソ連及びロシア連邦の早期警戒管制機(Самолет ДРЛО)である。
北大西洋条約機構(NATO)は、「メインステイ」(Mainstay:大黒柱の意)というNATOコードネームを割り当てた。
Il-76を母機として開発された早期警戒機であり、機体部分であるIl-76の開発はイリューシン設計局であるが、総合的なシステムとしてのA-50の開発はベリエフ設計局で行われた。
Il-76MDとの概観上の違いは以下である
主翼フェアリング前方にバルジを追加
APUの強化とそれに伴う発熱に対応するため垂直尾翼付け根にエアインテークを追加
機首航法士窓や尾部銃座窓の閉鎖
空中給油プローブの装備
なお、A-50とはベリエフ設計局における試作時の仮名称だが、開発が完了し正式採用されて量産型が生産されているにもかかわらず、そのまま「A-50」と呼称され続けており、改良型等の派生型も「A-50M」のように接尾記号を附けて呼称されている。
大型の皿型レーダードームを搭載した開発試験支援機である「IZdeliye-976«СКИП»(Il-76-SKIP)」とA-50は外見がよく似ているためか混同されている事が多い。
開発
ソ連の国土防空軍では、1962年に初飛行を果たしたツポレフ設計局製のTu-126を同軍初の本格的早期警戒管制機として運用していた。旅客機であるTu-114をもとに開発されたTu-126は、大型の(リアーナ:ツル科植物の意)レーダー複合体を搭載していたが、十分な能力を有するとはいえなかった。
その後、1960年代末にツポレフ設計局はTu-126を代替する目的でTu-156または«156»と呼ばれる機体を計画したが、完成には到らなかった。Tu-156はのちのE-3Aに類似した航空機であったが、胴体はTu-154に基づくもののエンジンがTu-154の3発からD-30KP4発に変更されるなど機体設計が大幅に変更されており、軍の希望に沿わなかった。
Tu-156の失敗により、次はTu-126と同様に既存の航空機の設計を全面利用することになった。量産型貨物機Il-76MDをもとに開発されたのがベリエフ設計局のA-50で、レドームなしの状態で機体は1978年12月19日に初飛行を果たした。ついで、完全装備となった状態で1979年8月16日に飛行が行われた。特徴的な大型のレドームは、のちに「«грибы»(グリブィ:きのこの意)」と渾名された。
1984年からは改良型のA-50Mの開発が開始され、1987年には搭載するシュメーリ2のテストがTu-126LLに乗せての開始された。その後A-50を改造して製作が開始されたが当初完成を予定していた1989年にプロトタイプを完成できず、1990年10月に予算が大幅にカットされ、1991年にはソ連が崩壊し1機も完成しなかった。
1992年には同じ名称で開発された改良型の1機(赤51)がMAKSにおいて展示された。このA-50M改修を2011年までに26機が受けたとされている。
その後次の段階の改修であるA-50U計画が進められた。A-50Uではアナログの機材をデジタル式のものへ置き換え、燃料搭載量の増加、休憩スペースの設置などを行っており、2009年秋に最初の試作機が初飛行した。
能力
A-50は、Tu-156も搭載する予定であったレーダー複合体を搭載した。このレーダーは空中目標を300機探知・追尾でき、戦闘機などをコマンド誘導で12機、機上誘導で30機管制できると言われている。Tu-126が持たなかったグランドクラッター除去能力や移動目標探知能力を持つため、地上目標の識別と低空飛行している航空機の識別能力は高いと言われる。実際の能力については、当然ながら最高レベルの機密事項であるので不明である。
輸出用ダウングレード型のA-50Eではベリエフの公式サイトにて値が公表されており以下の性能を持つとされる。
爆撃機に対する最大探知距離 650 km
RCSが250m2の艦艇に対する最大探知距離 電波が地平線に隠れるまでの距離
弾道ミサイルに対する最大探知距離 800 km
RCSが1m2の航空機に対する最大探知距離 215 km
地上の短距離弾道ミサイル発射機に対する最大探知距離 300 km
地上の戦車クラスの目標に対する最大探知距離 250 km
航空機の追跡が可能な最大距離 300 km
そのほか、463kmの距離で巡航ミサイル等を探知できるとされる[6]。これらの情報は機内に9個ある丸型のカラーCRTディスプレイに表示される。
運用
A-50は、1984年よりTu-126にかわってソ連の空軍部隊への配備が始められた。ソビエト連邦の崩壊後はロシア空軍で運用されている。その他の旧ソ連諸国では運用されておらず、ロシア空軍でも貴重な戦力となっている。ロシア空軍では、A-50を少なくとも2020年まで使用する予定であり[3]、後継機としてはA-100の開発が進められている。それまでの繋ぎとしてA-50Uへの改修が決定され、作業が進められている。
ソ連の早期警戒管制機としては1985年に初飛行したアントノフ設計局のAn-71も開発されているが、こちらは量産されることなく長年の試験ののちウクライナのキーウ・ジュリャーヌィ飛行場で保管されていた。現在は飛行可能状態になく、キーウ・スヴャトーシノ空港の旧アントノフ設計局敷地跡の駐機場に移されている。
2016年にはシリア内戦に絡んで本機がシリアに展開されていることがジェーン・ディフェンス・ウィークリーによって報じられている。
2019年7月には竹島の上空で本機が領空侵犯したとして18機の韓国空軍の戦闘機F-15KとF-16が出動して360発警告射撃を行ったと大韓民国軍は発表したが[8]、ロシア国防省と中華人民共和国国防部はロシア空軍のTu-95爆撃機2機と中国人民解放軍空軍のH-6爆撃機2機で初の共同警戒監視活動を行ったとして領空侵犯は否定した。
2022年ロシアのウクライナ侵攻にも使用された。2024年1月15日、ウクライナはA-50を撃墜したことを発表。一方、ロシアの独立系メディアは味方のミサイルによる誤爆を示唆した(2024年のA-50撃墜(ロシア語版))。
2月23日にもロシア・クラスノダール地方で1機が墜落したことをウクライナが発表した。
派生型
A-50
最初の量産型。NATOコードネームはメインステイA。
A-50M
搭載機器をデジタル化し、新たな航法装置を搭載、近代的なレーダー複合体であるシュメーリ2を搭載し、エンジンをPS-90に換装した発展型[1]。計画中止。
A-50M
同じ名称で開発された改良型。左舷船首に位置する航空士用の部屋と窓を排除し、旧貨物室の船尾側面に1組の半滴状誘電体カバーを設置、機体後尾にチャフ・フレア・ディスペンサを追加して改良されたレーダーや通信機材を搭載した。NATOコードネームはメインステイB。
A-50U
レーダー複合体をシュメーリMに換装、アビオニクス類も換装が行われデータ処理能力や目標の探知・追尾能力が向上している。アビオニクスの近代化により重量、消費電力、容積が低減され最大離陸重量が増加、信頼性も向上したほか、問題であった居住性の改善(乗務員の休憩所、トイレ、調理室の設備のアップデート等)も行われた。
そのほか、洗練された通信スイートや航法システムへの衛星誘導システムの追加、使いやすさや視認性改善のためシステムコンソールパネルがカラー液晶ディスプレイ化されるなどの改良が施されている。
2012年のエアフォースモンスリー(英語版)よればA-50Uへのアップグレードで得られたものは後継機であるA-100の基礎概念に使用され、機材などの構成なども似たものになるとしている。
A-50E(A-50Eh)
装備品がダウングレードされた輸出型。1988年に1機が改造された。
A-50Ah
アメリカの圧力でA-50Iがキャンセルとなったため代替としてベリエフが中国に提案したダウングレード型。計画のみ
A-50I
中華人民共和国向け輸出型。レドーム内にはイスラエル・エアロスペース・インダストリーズの子会社であるエルタ・システムズが開発したEL/W-2090アクティブ・フェーズドアレイ・レーダーを3面三角形状に配置しており、機械的な回転を必要としないためレーダーは非回転式となった。また、機体尾部にはベントラルフィンが装備された。アメリカの外交圧力によりキャンセルされた。
KJ-2000(空警2000)
キャンセルされたA-50Iを、レーダーと電子装備を除いた機体部分を中国が引き取って自主開発を続行し、国産の早期警戒管制機とした機体。詳細は「KJ-2000 (航空機)」を参照
A-50EI(A-50EhI)
インドへの輸出型。基本的にはA-50Iと同じだがエンジンをPS-90A-76(推力:142 kN (31,900 lbf))に換装している。2016年に予算が認められた2機はアップグレードされたセンサーが含まれており、よりシームレスに作業することが可能である。
初期型のA-50
A-50M
A-50U
A-50EI
KJ-2000
運用国
ロシア空軍
2017年3月の時点で4機のA-50Uおよび15機のA-50を運用しているほか、4機のA-50が保管状態にある。2018年には追加で2機の改良を予定している。
インド空軍
ウズベキスタン空軍で過剰となったIl-76を3機購入してロシアにおいてA-50仕様に改造後、イスラエルにおいてレーダーの搭載が行われた。3機運用中で、アグラ空軍基地(英語版)の第50飛行中隊に配備されている。
2015年10月にはアップグレード契約が結んでいる。契約には新しいアビオニクスとエンジンが含まれ、改修により寿命は20年延長される。
追加で2機を発注する予定であり、2016年に予算が承認され、同年末にはイスラエルとの間で契約を結び、2017年2月に開催されたエアロインディアにおいて供給契約を締結した。
仕様
乗員:16人(操縦士 5人、ミッションクルー 11人)
全長:49.59 m(15.2 ft 8 in)
全幅:50.50 m(16.5 ft 6 in)
全高:14.76 m(48 ft 5 in)
翼面積: 300 m2(3,228 ft2)
空虚重量:75,000 kg (165,000 lb)
最大離陸重量:190,000 kg (419,000 lb)
エンジン:ソロヴィヨーフ D-30KUターボファン 推力117.68 kN (26,500 lbf)×4
最高速度:900 km/h(559 mph)
航続距離:6,400 km(3977 mi)
実用上昇限度:12,000 m(393,71 ft)
燃料搭載量:109,480 L
離陸距離:1,540 m
飛行時間
給油なし最大:9.3時間
1,000kmの距離でのパトロール:
給油なし:4時間
1回給油:7時間
翼面荷重:633kgf/m2
推力対重量比: 0.34kgf/kg
周波数範囲
ELINT:0.5–18 GHz
SIGNT:50-500 MHz
ウクライナ空軍のオレシチュク司令官はSNSテレグラムへの投稿で、ウクライナ軍がロシアの早期警戒管制機「A50」を撃墜したと発表した。
ウクライナ国防省情報総局(GUR)の情報筋はCNNの取材に、A50はアゾフ海東岸上空、ロシアの都市エイスクとクラスノダールの間で撃墜されたと説明した。空軍とGURの共同作戦だという。
オレシチュク氏がテレグラムに投稿した短い動画には、夜空に走る複数の明るい光が映っている。ロシア軍機が発射した囮(おとり)のフレアとみられる。フレアは熱探知ミサイルを回避するための囮として軍用機が利用するが、目標探知をエンジンの高温の排気口に頼らないレーダー誘導ミサイルには影響しない。
ロシア南部クラスノダール地方の公式声明ではウクライナの攻撃に言及せず、航空事故によって地上で火災が発生したと報告した。
ウクライナによると、標的となったのは旧ソ連時代に開発されたA50の近代化改修機。GURは撃墜された機体について、ウクライナの都市へのミサイル攻撃を管制・誘導する目的でロシアが使用していたとの見方を示した。
CNNは現時点で双方の主張を検証できていない。
A50の撃墜が事実なら、ここ6週間で2度目となる。ウクライナは先日、アゾフ海上空で1月15日にA50への攻撃に成功したと述べていた。
ウクライナ、ロシアの早期警戒機を撃墜と 先月に続き
ウクライナ軍は23日、ロシア軍のA50早期警戒管制機を撃墜したと明らかにした。ウクライナ軍は今年1月半ばにも、同型の偵察機を撃墜したと発表している。
ウクライナ軍関係者によると、A50は前線から約200キロ離れた、ロシア南西部のロストフ・ナ・ドヌと南部クラスノダールの間で、撃墜されたという。
現地当局はクラスノダール地方のカネフスコイ地区で、機体の残骸を発見し、炎を鎮圧したとしている。
ウクライナ空軍のミコラ・オレシチュク司令官は同日、ソーシャルメディア「テレグラム」で、A50を撃墜できたのは空軍と軍情報機関のおかげだと感謝した。23日がロシアの「祖国防衛者の日」でもあることを念頭に、「祖国防衛者の日だ。占領者、おめでとう」とも皮肉った。
オンラインで共有されている動画では、飛行中のA50が撃墜されたように見える。大きな炎と黒煙が上がる様子も映っている。
「テレグラム」ではロシア軍関係チャンネルのひとつが、A50は味方に撃たれた可能性があると指摘。「現時点では、だれが撃墜したのか不明だ」と、チャンネル運営者は書いた。
ウクライナ政府は、1月14日にもA50を撃墜したと発表。A50のほか、空中指揮機「IL22」も撃墜したとしていた。
イギリス国防省は過去に、ロシア軍はおそらく運用可能なA50を6機所有していると説明していた。
A50は防空システムを探知し、ロシアの戦闘機用に攻撃対象を選定・調整する。1機当たりの製造費は数百億円とされる。
ウクライナ軍はこのところ、南東部でロシア軍に対して苦戦している。
A50は、ソ連及びロシア連邦の早期警戒管制機で、北大西洋条約機構(NATO)は「メインステイ」というNATOコードネームを割り当てています。
2024年1月15日、ウクライナはA-50を撃墜したことを発表しました。一方、ロシアの独立系メディアは味方のミサイルによる誤爆を示唆しています。
ロシア
2月23日にもロシア・クラスノダール地方で1機が墜落したことが報告されています。
ウクライナ空軍のオレシチュク司令官は、ウクライナ軍がロシアの早期警戒管制機「A50」を撃墜したと発表しました。撃墜されたA50はアゾフ海東岸上空、ロシアの都市エイスクとクラスノダールの間で撃墜されたとされています。
A-50は、ソ連及びロシア連邦の早期警戒管制機(Самолет ДРЛО)である。
北大西洋条約機構(NATO)は、「メインステイ」(Mainstay:大黒柱の意)というNATOコードネームを割り当てた。
Il-76を母機として開発された早期警戒機であり、機体部分であるIl-76の開発はイリューシン設計局であるが、総合的なシステムとしてのA-50の開発はベリエフ設計局で行われた。
Il-76MDとの概観上の違いは以下である
主翼フェアリング前方にバルジを追加
APUの強化とそれに伴う発熱に対応するため垂直尾翼付け根にエアインテークを追加
機首航法士窓や尾部銃座窓の閉鎖
空中給油プローブの装備
なお、A-50とはベリエフ設計局における試作時の仮名称だが、開発が完了し正式採用されて量産型が生産されているにもかかわらず、そのまま「A-50」と呼称され続けており、改良型等の派生型も「A-50M」のように接尾記号を附けて呼称されている。
大型の皿型レーダードームを搭載した開発試験支援機である「IZdeliye-976«СКИП»(Il-76-SKIP)」とA-50は外見がよく似ているためか混同されている事が多い。
開発
ソ連の国土防空軍では、1962年に初飛行を果たしたツポレフ設計局製のTu-126を同軍初の本格的早期警戒管制機として運用していた。旅客機であるTu-114をもとに開発されたTu-126は、大型の(リアーナ:ツル科植物の意)レーダー複合体を搭載していたが、十分な能力を有するとはいえなかった。
その後、1960年代末にツポレフ設計局はTu-126を代替する目的でTu-156または«156»と呼ばれる機体を計画したが、完成には到らなかった。Tu-156はのちのE-3Aに類似した航空機であったが、胴体はTu-154に基づくもののエンジンがTu-154の3発からD-30KP4発に変更されるなど機体設計が大幅に変更されており、軍の希望に沿わなかった。
Tu-156の失敗により、次はTu-126と同様に既存の航空機の設計を全面利用することになった。量産型貨物機Il-76MDをもとに開発されたのがベリエフ設計局のA-50で、レドームなしの状態で機体は1978年12月19日に初飛行を果たした。ついで、完全装備となった状態で1979年8月16日に飛行が行われた。特徴的な大型のレドームは、のちに「«грибы»(グリブィ:きのこの意)」と渾名された。
1984年からは改良型のA-50Mの開発が開始され、1987年には搭載するシュメーリ2のテストがTu-126LLに乗せての開始された。その後A-50を改造して製作が開始されたが当初完成を予定していた1989年にプロトタイプを完成できず、1990年10月に予算が大幅にカットされ、1991年にはソ連が崩壊し1機も完成しなかった。
1992年には同じ名称で開発された改良型の1機(赤51)がMAKSにおいて展示された。このA-50M改修を2011年までに26機が受けたとされている。
その後次の段階の改修であるA-50U計画が進められた。A-50Uではアナログの機材をデジタル式のものへ置き換え、燃料搭載量の増加、休憩スペースの設置などを行っており、2009年秋に最初の試作機が初飛行した。
能力
A-50は、Tu-156も搭載する予定であったレーダー複合体を搭載した。このレーダーは空中目標を300機探知・追尾でき、戦闘機などをコマンド誘導で12機、機上誘導で30機管制できると言われている。Tu-126が持たなかったグランドクラッター除去能力や移動目標探知能力を持つため、地上目標の識別と低空飛行している航空機の識別能力は高いと言われる。実際の能力については、当然ながら最高レベルの機密事項であるので不明である。
輸出用ダウングレード型のA-50Eではベリエフの公式サイトにて値が公表されており以下の性能を持つとされる。
爆撃機に対する最大探知距離 650 km
RCSが250m2の艦艇に対する最大探知距離 電波が地平線に隠れるまでの距離
弾道ミサイルに対する最大探知距離 800 km
RCSが1m2の航空機に対する最大探知距離 215 km
地上の短距離弾道ミサイル発射機に対する最大探知距離 300 km
地上の戦車クラスの目標に対する最大探知距離 250 km
航空機の追跡が可能な最大距離 300 km
そのほか、463kmの距離で巡航ミサイル等を探知できるとされる[6]。これらの情報は機内に9個ある丸型のカラーCRTディスプレイに表示される。
運用
A-50は、1984年よりTu-126にかわってソ連の空軍部隊への配備が始められた。ソビエト連邦の崩壊後はロシア空軍で運用されている。その他の旧ソ連諸国では運用されておらず、ロシア空軍でも貴重な戦力となっている。ロシア空軍では、A-50を少なくとも2020年まで使用する予定であり[3]、後継機としてはA-100の開発が進められている。それまでの繋ぎとしてA-50Uへの改修が決定され、作業が進められている。
ソ連の早期警戒管制機としては1985年に初飛行したアントノフ設計局のAn-71も開発されているが、こちらは量産されることなく長年の試験ののちウクライナのキーウ・ジュリャーヌィ飛行場で保管されていた。現在は飛行可能状態になく、キーウ・スヴャトーシノ空港の旧アントノフ設計局敷地跡の駐機場に移されている。
2016年にはシリア内戦に絡んで本機がシリアに展開されていることがジェーン・ディフェンス・ウィークリーによって報じられている。
2019年7月には竹島の上空で本機が領空侵犯したとして18機の韓国空軍の戦闘機F-15KとF-16が出動して360発警告射撃を行ったと大韓民国軍は発表したが[8]、ロシア国防省と中華人民共和国国防部はロシア空軍のTu-95爆撃機2機と中国人民解放軍空軍のH-6爆撃機2機で初の共同警戒監視活動を行ったとして領空侵犯は否定した。
2022年ロシアのウクライナ侵攻にも使用された。2024年1月15日、ウクライナはA-50を撃墜したことを発表。一方、ロシアの独立系メディアは味方のミサイルによる誤爆を示唆した(2024年のA-50撃墜(ロシア語版))。
2月23日にもロシア・クラスノダール地方で1機が墜落したことをウクライナが発表した。
派生型
A-50
最初の量産型。NATOコードネームはメインステイA。
A-50M
搭載機器をデジタル化し、新たな航法装置を搭載、近代的なレーダー複合体であるシュメーリ2を搭載し、エンジンをPS-90に換装した発展型[1]。計画中止。
A-50M
同じ名称で開発された改良型。左舷船首に位置する航空士用の部屋と窓を排除し、旧貨物室の船尾側面に1組の半滴状誘電体カバーを設置、機体後尾にチャフ・フレア・ディスペンサを追加して改良されたレーダーや通信機材を搭載した。NATOコードネームはメインステイB。
A-50U
レーダー複合体をシュメーリMに換装、アビオニクス類も換装が行われデータ処理能力や目標の探知・追尾能力が向上している。アビオニクスの近代化により重量、消費電力、容積が低減され最大離陸重量が増加、信頼性も向上したほか、問題であった居住性の改善(乗務員の休憩所、トイレ、調理室の設備のアップデート等)も行われた。
そのほか、洗練された通信スイートや航法システムへの衛星誘導システムの追加、使いやすさや視認性改善のためシステムコンソールパネルがカラー液晶ディスプレイ化されるなどの改良が施されている。
2012年のエアフォースモンスリー(英語版)よればA-50Uへのアップグレードで得られたものは後継機であるA-100の基礎概念に使用され、機材などの構成なども似たものになるとしている。
A-50E(A-50Eh)
装備品がダウングレードされた輸出型。1988年に1機が改造された。
A-50Ah
アメリカの圧力でA-50Iがキャンセルとなったため代替としてベリエフが中国に提案したダウングレード型。計画のみ
A-50I
中華人民共和国向け輸出型。レドーム内にはイスラエル・エアロスペース・インダストリーズの子会社であるエルタ・システムズが開発したEL/W-2090アクティブ・フェーズドアレイ・レーダーを3面三角形状に配置しており、機械的な回転を必要としないためレーダーは非回転式となった。また、機体尾部にはベントラルフィンが装備された。アメリカの外交圧力によりキャンセルされた。
KJ-2000(空警2000)
キャンセルされたA-50Iを、レーダーと電子装備を除いた機体部分を中国が引き取って自主開発を続行し、国産の早期警戒管制機とした機体。詳細は「KJ-2000 (航空機)」を参照
A-50EI(A-50EhI)
インドへの輸出型。基本的にはA-50Iと同じだがエンジンをPS-90A-76(推力:142 kN (31,900 lbf))に換装している。2016年に予算が認められた2機はアップグレードされたセンサーが含まれており、よりシームレスに作業することが可能である。
初期型のA-50
A-50M
A-50U
A-50EI
KJ-2000
運用国
ロシア空軍
2017年3月の時点で4機のA-50Uおよび15機のA-50を運用しているほか、4機のA-50が保管状態にある。2018年には追加で2機の改良を予定している。
インド空軍
ウズベキスタン空軍で過剰となったIl-76を3機購入してロシアにおいてA-50仕様に改造後、イスラエルにおいてレーダーの搭載が行われた。3機運用中で、アグラ空軍基地(英語版)の第50飛行中隊に配備されている。
2015年10月にはアップグレード契約が結んでいる。契約には新しいアビオニクスとエンジンが含まれ、改修により寿命は20年延長される。
追加で2機を発注する予定であり、2016年に予算が承認され、同年末にはイスラエルとの間で契約を結び、2017年2月に開催されたエアロインディアにおいて供給契約を締結した。
仕様
乗員:16人(操縦士 5人、ミッションクルー 11人)
全長:49.59 m(15.2 ft 8 in)
全幅:50.50 m(16.5 ft 6 in)
全高:14.76 m(48 ft 5 in)
翼面積: 300 m2(3,228 ft2)
空虚重量:75,000 kg (165,000 lb)
最大離陸重量:190,000 kg (419,000 lb)
エンジン:ソロヴィヨーフ D-30KUターボファン 推力117.68 kN (26,500 lbf)×4
最高速度:900 km/h(559 mph)
航続距離:6,400 km(3977 mi)
実用上昇限度:12,000 m(393,71 ft)
燃料搭載量:109,480 L
離陸距離:1,540 m
飛行時間
給油なし最大:9.3時間
1,000kmの距離でのパトロール:
給油なし:4時間
1回給油:7時間
翼面荷重:633kgf/m2
推力対重量比: 0.34kgf/kg
周波数範囲
ELINT:0.5–18 GHz
SIGNT:50-500 MHz