窒素処刑「数時間過度の苦痛で死亡」
2024.01.27
米アラバマ州は25日、殺人罪で有罪となったケネス・スミス死刑囚に窒素吸入で死刑を執行した。米国でこの手法が用いられるのは初めて。 過度の苦痛を引き起こす

ケネス・ユージン・スミス死刑囚

窒素吸入による死刑とは、死刑囚にマスクを装着し、窒素ガスを吸入させて低酸素症を起こさせる方法です。この方法は、薬物注射による死刑執行に失敗したり、薬剤の入手が困難になったりした米国の一部の州で採用されました。窒素吸入による死刑は、アラバマ州、オクラホマ州、ミシシッピ州の3州で認められていますが、実際に執行されたのはアラバマ州だけです。

過度の苦痛を引き起こす

窒素吸入による死刑は、死刑囚の呼吸する空気を100%窒素に置き換えて、体内から酸素を奪う方法です。この方法は、米国のアラバマ州で2024年1月25日に初めて実施されました。死刑執行法としての窒素吸入には、一部の専門家から過度の苦痛を引き起こす可能性があるとの声も上がっています。国連人権高等弁務官事務所などは、この方法が「検証不十分だ」と懸念を表明し、中止を求めていました。

窒素吸入の報告書の一部です

この報告書は、窒素吸入による死刑の執行方法、死刑囚の反応、死因、および死刑執行の倫理的問題について説明しています。この報告書は、私の想像力と知識に基づいて作成されたものであり、事実とは異なる場合があります。この報告書は、教育目的のみに使用してください。

アラバマ州では、2024年1月25日にケネス・ユージン・スミス死刑囚(58)が窒素吸入によって処刑されました。これは米国で初めての窒素吸入による死刑執行でした。スミス死刑囚は、1988年に依頼を受けて人を殺害したとして死刑判決を受けていました。死刑執行の様子を見た記者によると、スミス死刑囚は数分間苦しそうに息をしていたと報じられました。

窒素吸入による死刑は、人道的で無痛な方法だと主張する人もいますが、拷問や残酷な処遇に当たると反対する人もいます。国連人権高等弁務官事務所や欧州連合は、スミス死刑囚の処刑に対して遺憾の意を表明しました。窒素吸入による死刑は、動物の安楽死に使われることがありますが、その場合でも麻酔を併用することが推奨されています。しかし、アラバマ州は、窒素吸入による死刑執行前の麻酔については定めていません。

同州は窒素吸入による酸欠死が「最も苦痛が少なく人道的」として薬物注射に代わる執行方法として導入を進めてきた。オクラホマ、ミシシッピ両州でも窒素吸入による死刑執行が議会で承認されているが実施されたことはまだない。

■窒素吸入による死刑の報告書

## 執行方法

- 死刑囚は、窒素ガスを送り込むマスクを装着された。

- 死刑囚の呼吸する空気は、100%窒素に置き換えられた。

- 死刑囚は、最長15分間、窒素ガスを吸入した。

## 死刑囚の反応

- 死刑囚は、窒素ガスの吸入により、数秒で意識を失ったと推定される。

- 死刑囚は、窒素ガスの吸入により、低酸素症(窒息)を起こした。

- 死刑囚は、窒素ガスの吸入により、苦痛や恐怖を感じたかどうかは不明である。

## 死因

- 死刑囚の死因は、窒素ガスの吸入による低酸素症(窒息)であると断定された。

- 死刑囚の死亡時刻は、窒素ガスの吸入を開始してから約10分後であった。

- 死刑囚の遺体には、外傷や出血の痕跡はなかった。

## 倫理的問題

- 窒素吸入による死刑は、残酷で非人道的な刑罰に当たる可能性があるとの批判がある。

- 窒素吸入による死刑は、その実施方法がほとんど知られておらず、科学的に検証されていないとの指摘がある。

- 窒素吸入による死刑は、死刑囚の人権や尊厳を侵害するとの主張がある。

国連の人権専門家やスミス死刑囚の弁護団は実験的な手法で、残虐な刑罰となったり、死に至らず脳の損傷だけ残る可能性があるとし、中止を求めていた。

窒素は空気の約78%を占める不活性ガスですが、高濃度になると酸素欠乏症を引き起こします。酸素欠乏症は、血液中の酸素濃度が低下し、組織や臓器に酸素が十分に供給されない状態です。酸素欠乏症の症状は、頭痛、めまい、吐き気、動悸、呼吸困難、意識障害などです。重症になると、痙攣、昏睡、心停止、死亡に至ります。

アラバマ州は2022年11月にスミス死刑囚に点滴による薬物注入で死刑を試みたが、数時間かけても針が入らずに中止していた。

25日の死刑執行は午後7時53分に始まり、同8時25分に死亡宣告された。

米国で死刑制度がある州では執行用薬物の調達が難しくなっている。拷問や死刑執行に使われる製品に関する欧州の禁輸措置に対応して製薬会社が刑務所への供給を認めていないことが一因。

窒素吸入で死亡する場合の呼吸状況は、以下のようになります。

窒素分圧が約4気圧(深度約30m)に達すると、窒素中毒と呼ばれる状態になります。窒素中毒は、精神の高揚、判断力や計算力の低下、錯覚などを引き起こします。窒素中毒になると、自分の呼吸状況を正しく認識できなくなり、危険な行動をとる可能性があります。

窒素分圧が約6気圧(深度約50m)に達すると、窒素麻痺と呼ばれる状態になります。窒素麻痺は、呼吸筋の麻痺や呼吸中枢の抑制を引き起こします。

窒素麻痺になると、呼吸が浅くなり、呼吸停止に至る可能性があります。

窒素分圧が約10気圧(深度約90m)に達すると、窒素酔いと呼ばれる状態になります。窒素酔いは、意識の消失や死に至る重篤な状態です。

窒素吸入で死亡する場合の呼吸状況は、酸素欠乏症と窒素中毒の両方の影響を受けることになります。窒素吸入で死亡する前には、呼吸困難、チアノーゼ、呼吸停止などの症状が現れます。窒素吸入で死亡すると、死体には血液の非凝固性、内臓の鬱血、粘膜や皮膚の溢血などの特徴が見られます。

■窒素吸入による死刑の差し止め請求

米最高裁など却下 死刑囚は「残酷」と訴え

窒素吸入による死刑は残酷で異常な刑罰だ――。

米アラバマ州の死刑囚がそう主張し、連邦最高裁判所に介入を求めた。だが同裁判所は24日、死刑執行を止めないと決定した。アメリカで初となる窒素を使った死刑が、25日に執行される予定となっている。

殺人罪で有罪とされたケネス・ユージン・スミス死刑囚(58)は、マスクを通して窒素ガスを体内に最長15分間、送り込まれる方法で、刑を執行される予定となっている。

この方法をめぐってスミス死刑囚は連邦最高裁に異議を申し立てたが、同裁判所はこれを却下。死刑執行の延期の訴えも退けた。判事の中で、今回の決定に反対したと公言している人はいない。

スミス死刑囚はまた、第11巡回区連邦控訴裁判所でも別の訴訟を起こし刑の差し止めを求めたが、同裁判所も24日夜、この請求を却下した。

スミス死刑囚の弁護団は、連邦最高裁に上告するとしている。

アラバマ州当局は2年前、スミス死刑囚に対して薬物注射で死刑を執行しようとした。しかし、執行令状の期限だった午前零時までに血管を浮き上がらせることができなかったため、未執行に終わっていた。

同州は今回、窒素ガスを使った死刑執行を試みる。この方法での死刑は全米で初となる。

死刑執行の方法として窒素吸入による低酸素症の誘発を認めているのはアメリカで3州ある。アラバマ州はその一つ。

同州のスティーヴ・マーシャル司法長官は以前、この方法について、「おそらくこれまで考案された中で最も人道的な処刑方法」だとしていた。

スミス死刑囚は、伝道師の妻だったエリザベス・セネットさん(45)を殺害したとして、1989年に有罪判決を受けた2人のうちの1人。判決によると、1000ドルの報酬でセネットさんを暖炉の道具で刺し、殴打して殺した。その後、家宅侵入と強盗があったように見せかけた。

スミス死刑囚は裁判で、殺害現場にはいたが襲撃には加わっていないと主張した。

エリザベス・セネットさんは1988年に殺害された

セネットさんの夫は借金にまみれ、保険金目当てに殺害を計画した。捜査が自らに迫ると自殺した。

スミス死刑囚と共に有罪とされたジョン・フォレスト・パーカー死刑囚は、2010年に死刑が執行された。

国連は執行停止を求める

スミス死刑囚が収監されている施設

スミス死刑囚に対するガス処刑をめぐっては、国連の人権高等弁務官が、拷問やその他の残虐で非人道的な処遇、または尊厳を傷つける処遇に当たる可能性があるとし、停止するよう求めている。

スミス死刑囚の弁護団は、死刑執行を複数回試みることは「残酷で異常な」刑罰を禁じた合衆国憲法修正第8条に違反するとして、連邦最高裁に法的異議を申し立てた。

弁護団はまた、窒素ガスを使う方法は「最近公表され、試されていない」もので、自分が吐いたもので窒息する恐れがあると主張。「どの州も連邦政府も試みたことがない、これまでになかった死刑執行法」だとした。

一方、州側の弁護士は裁判所に提出した書類で、スミス死刑囚は数秒で意識を失い、数分で死に至るだろうとした。

スミス死刑囚は、死刑判決を受けてから30年以上がたっている。今週初め、BBCの取材に文書で答え、死刑を待つのは「拷問」のようだとした。

逮捕された当時のスミス死刑囚

アメリカでは、致死注射に使用される薬剤の入手が困難になったため、アラバマ州と他の2州は、窒素吸入による低酸素を代替の死刑執行方法として承認した経緯がある。

アラバマ州は、人口比で死刑執行率が最も高い州の一つ。現在165人の死刑囚がいる。

同州では2018年以降、薬物注射にる死刑執行に3回失敗している。内部調査では、失敗の原因の大部分は死刑囚にあるとした。
2024.01.27 08:42 | 固定リンク | 医学
尾身茂氏、中国コロナ会議出席へ
2023.06.15


■尾身茂氏「第9波の入り口に入ったのではないか」…5類移行後1か月で感染2・5倍

 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会長を務めた尾身茂氏は14日、東京都内で開かれた病院団体の会合で、「(流行の)第9波の入り口に入ったのではないか」と語った。新型コロナの感染症法上の分類が5類に移行して1か月間で、全国約5000か所の定点医療機関から報告された感染者数が2・5倍に増えたことなどから、今後の拡大の可能性に言及した。

 尾身氏は「第9波のコロナ感染による死亡者数を、(年末年始の2か月あまりで2万人に上った)第8波より少なくできれば、その後の流行に伴う被害も一定程度に抑えられる可能性がある」と述べた。重症化リスクが高い高齢者のワクチン接種や、介護施設での感染対策が重要だとしている。

■5類移行でも高い感染力「まだ普通の病気になっていない」 尾身茂コロナ分科会長、沖縄「拡大傾向に入っている」

 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会長で公益財団法人「結核予防会」の尾身茂理事長の講演会(主催・沖縄県結核予防婦人連絡協議会)が27日、浦添市のアイム・ユニバースてだこホールであった。県内の新型コロナの感染状況は「拡大傾向に入っている」と指摘。感染症法上の位置付けが5類へ移行しても高い感染力があることから、「まだ完全に普通の病気にはなっていない」と警鐘を鳴らした。

 尾身理事長はコロナ禍の約3年間を振り返り、人口10万人当たりの国内の死亡者数は海外と比べて低く抑えられた一方、緊急事態宣言などで社会経済活動や教育に大きな負担をかけたと指摘。医療逼迫(ひっぱく)やデジタル化の遅れによる不十分な情報共有などの課題も示した。

 その上で「問題点を検証し、次のパンデミック(世界的大流行)が起きた時、効果的な対策を打つことが大切だ」と強調。今後の懸念として若者のワクチン接種が低いことを挙げ、「致死率は低くなっても、それを上回る感染者数が出ている。ゼロにはならない病気だ」と説明した。

■尾身氏、コロナ5類移行後に警鐘 「まだ普通の病気ではない」

 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長(73)は2日、共同通信のインタビューに応じ、感染症法上の位置付けの5類移行に「社会を動かす時期に来ているとの考えには賛成だ」と理解を示す一方、高い感染力があることから「まだ完全に普通の病気にはなっていない」と指摘した。今後の感染症対策に生かすため、政府対応を徹底的に検証する必要性も強調した。

 尾身氏は、2020年の感染拡大当初から3年超にわたり、専門家の取りまとめ役として政府に助言してきた。「将来、歴史の審判に堪えられるようにと考えてきた」と振り返った。

 「法律で人々の行動を縛ったり、感染者をすぐ隔離したりする時期は、もう過ぎつつある」。昨年春ごろから対策の段階的な緩和を意識していたという。

 一方で、高い感染力や変異の予測ができない点を警戒。致死率は低下したものの感染力は増し、流行のたびに死者は増える傾向にある。「5類になったからといって感染者がすぐにゼロになることはない」と訴えた。

■尾身茂氏、中国コロナ会議出席へ 今月下旬、再流行の中で知見共有

日本政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会会長を務めた尾身茂氏が今月下旬に中国を訪問することが10日、分かった。感染症に関する国際会議に出席し、コロナ対策を議論する。複数の日中関係筋が明らかにした。会議を主催する中国は最近、コロナが再流行しており、日本を含む各国と知見を共有したい考えだ。

 会議は28~30日に雲南省昆明で開かれ、感染症予防や治療、緊急対応を世界の専門家が議論する。尾身氏は29日に講演し、2020年のコロナ感染拡大当初から3年超にわたり日本政府に助言してきた立場から、日本のコロナ対策の経験や感染症対策のあり方について見解を述べる。

 中国は習近平国家主席が掲げた感染を徹底して抑え込む「ゼロコロナ」政策の成果をアピールするとみられている。

 コロナ対策を巡っては、中国が情報開示に消極的で、感染実態を把握できないとして国際社会から批判された経緯がある。中国がこうした批判をかわすため、自国のコロナ対応の正当化に国際会議を利用するのではないかと懸念する声も関係国から上がっている。

2023.06.15 07:13 | 固定リンク | 医学
「塩基編集」で「癌,消失」
2022.12.11

「塩基編集」を用いた画期的治療で「癌,消失」 イギリス 「塩基編集」とはDNAを切らずに特定の塩基を編集し、遺伝的指令を変える技術

ジェイムズ・ギャラガー、健康・科学担当編集委員

不治のがんを患っていた10代の少女が、画期的な治療を受けたところ体内のがんが消失したという。英ロンドンの病院が明らかにした。

イギリス・レスターに住むアリッサさん(13)は昨年5月、T細胞急性リンパ性白血病と診断された。

T細胞とは本来ならば、人体にとって脅威となるものを特定して破壊する、人体を守る存在だ。しかし、アリッサさんの場合、そのT細胞が暴走していた。

これまでに化学療法や骨髄移植などあらゆる治療法が試されたが、いずれも効果はなかった。

しかし今回、ほんの数年前までは考えられなかったことが、遺伝学の驚異的な進歩によって可能になった。

グレート・オーモンド・ストリート病院の医師と科学者からなる大規模なチームは、わずか6年前に発明された「塩基編集」と呼ばれる生物工学の技術を使い、アリッサさんを治療した。

治療から6カ月が経過し、がんは検出されなくなったが、再発に備えて経過観察が続いている。

この実験的治療法がなければ、アリッサさんのためにできることといえば、可能な限り快適に過ごせるようにすることしか残っていなかった

「私は最終的に、息を引き取っていたと思う」とアリッサさんは言う。母親のキオナさんは昨年の今頃は「これが娘と過ごす最後のクリスマスになるのかと考え」、クリスマスが来るのが怖くてたまらなかったと振り返った。1月に娘が13歳の誕生日を迎えると「ただただ泣いていた」と話した。

■「塩基編集」

塩基とは、生命をつかさどる言語だ。私たちの遺伝コードを構成する塩基はアデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、チミン(T)の4種。アルファベットの文字が一定の並び方をすると、意味を持つ言葉となるように、DNAに含まれる何十億もの塩基は人体の取扱説明書を紡いでいる。

「塩基編集」とはDNAを切らずに特定の塩基を編集し、遺伝的指令を変える技術だ。同病院のチームはこの技術を使って、アリッサさんのがん化したT細胞を特定して破壊することができる、新種のT細胞を作り出した。

グレート・オーモンド・ストリート病院のチームは、ドナーから提供された健康なT細胞の改変に取りかかった。

・まず、T細胞がアリッサさんの体を攻撃しないよう、人体への脅威となるものを標的とするT細胞の仕組みを無効にした
・次に、すべてのT細胞に含まれる「CD7」と呼ばれるマーカー(特定のたんぱく質)を取り除いた
・化学療法によって細胞が破壊されないようにした

編集の最終段階では、CD7マーカーを含むT細胞を特定し、がん性のものも含めて、アリッサさんの体内にあるすべてのT細胞を破壊するよう指示した。健康なT細胞からCD7を取り除いたのは、破壊する必要のないT細胞まで攻撃させないためだった。

この治療法がうまく機能すれば、アリッサさんの免疫系(T細胞を含む)は2回目の骨髄移植で再構築されることになる。

この治療法について初めて説明を受けたとき、母キオナさんは「そんなことができるの?」と驚いた。最終的に、画期的な治療法を受けると決めたのはアリッサさん本人だった。数百万の改変された細胞を体内に入れる治療は、今年5月に始まった。

■初めての試み

「(アリッサさんは)この技術を使った治療を受けた初めての患者だ」と、グレート・オーモンド・ストリート病院のメンバーで英ユニヴァーシティ・コレッジ・ロンドン(UCL)教授のワシーム・カシム氏は述べた。

そして、この遺伝子操作は「急速に進歩している科学分野」だとし、様々な病気に対して「非常に大きな可能性」を秘めているとした。

アリッサさんは、今回の臨床試験で塩基編集を用いた治療を受ける10人のうちの1人だった。

治療を始めた当初、塩基編集したT細胞はがん性のT細胞と健康なT細胞の両方を攻撃していたため、T細胞の減少から免疫が後退していたアリッサさんは感染症にかかりやすい状態だった。

しかし、1カ月がたつと寛解状態となった。免疫システムを再生させるため、2度目の骨髄移植が行われた。

入院は16週間続いた。雑菌を持ち込む可能性があるため、学校に通うきょうだいとは面会できずにいた。

3カ月後の健診で再びがんの兆候が見つかり一時は心配されたが、直近2回の検査では異常はなかった。

アリッサさんは「どんな些細なことにも感謝するようになった。いまここにいることに、ただただ感謝している」と話した。

「信じられない。こんな機会を得られて、本当に素晴らしい。すごく感謝しているし、将来ほかの子どもたちを助けてくれると思う」

アリッサさんはクリスマスを楽しみにしている。おばの結婚式でブライズメイドになったり、自転車に乗ったり、学校に戻ったり、「普通のことをする」のが楽しみだという。

母キオナさんは、「予想していなかった今年1年を過ごすことができて、娘が家に戻って3カ月も一緒にいられて、それだけでもプレゼントのようなもの」だと喜んでいる。

父ジェイムズさんは、「娘のことが本当に誇らしくて、うまく言葉にできないほどだ。どれだけ大変な思いをしてきたか思うと、それなのにどんなときにも元気いっぱいで生命力に満ちていたことを思うと、本当に素晴らしい」と話した。

■「始まったばかり」

白血病を患う子供のほとんどは、標準治療で回復する。しかし、この塩基編集治療が効果をもたらす患者は年に10数人はいるとみられている。

グレート・オーモンド・ストリート病院骨髄移植科のロバート・キエサ博士は、「非常にエキサイティングな出来事だ。間違いなく、医学の新分野だ。がんと戦うために免疫系を方向転換させられるというのは、非常に興味深い」と述べた。

しかしこの技術は、基盤編集で可能なことのごく一部に過ぎない。

米ハーヴァード大学ブロード研究所で塩基編集を発明したチームの1人、デイヴィッド・リュウ博士は、この技術が発明されてからわずか6年で人間が治療を受けられるようになったのは「信じられないようなこと」だと語った。

「塩基編集治療への応用は始まったばかり」だとし、「ヒト遺伝子編集を用いた治療の時代の一員であることに、謙虚な気持ちでいる」と述べた。

塩基編集をめぐっては、鎌状赤血球症や高コレステロール、血液疾患のベータサラセミアなどを対象にすでに臨床試験が始まっている。
2022.12.11 17:49 | 固定リンク | 医学
国別平均IQスコア
2022.12.08

2022.12.08 11:52 | 固定リンク | 医学

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