なぜ民主主義国家は独裁国家に勝つのか?
2023.05.09
■独裁者はなぜ向こう見ずな戦争を起こすのか?――計量分析(統計的な手法)から考察する戦争

 ロシアがウクライナ侵攻を開始してから早くも1年あまりが経過した。この間に日本では、ロシア・ウクライナをめぐる地域研究や、質的・理論的な国際政治学の知見がメディアを席捲してきた。日々刻々と変化する情報を現地語で得るなど、こうした研究の知見は重要である。他方、海外では政治を計量的に分析する研究が盛んであり、国際的なジャーナルでも過去の戦争のパターンをデータから分析、検討した研究がいくつも発表されている。

■戦争を計量的に分析する

 たとえば、計量的手法を用いた実証研究の大御所ダン・レイター(米エモリー大学)とアラン・スタム(米ヴァージニア大学)は、2022年3月、『ワシントン・ポスト』紙に「なぜ民主主義国家は専制国家よりも戦争に勝つのか」と題した記事を寄稿して反響を呼んだ。そこではその理由として、一つ目に、権威主義国家は民主主義国家と比較してリスキーな戦争を起こしがちであること。二つ目に、権威主義国家のリーダーは国内的に転覆される恐れがあるため、自身に権力を集中させて、下位将校などに権限を与えず、結果的に軍隊を弱らせること。三つ目に、権威主義国家のリーダーが周りにイエスマンを置くために、正確な情報が入らず、判断を誤りがちであることが挙げられている。

 一方、日本ではこうした実証分析が世間に紹介される機会があまりにも少なく、質的・理論的な研究に偏りがちにも見える。闇雲に時代の潮流に乗れば良いわけではないが、データを用いた最先端の知見も参照しなければ、言論の幅を狭めてしまうだろう。そこで本稿では、レイターとスタムのように、ウクライナ侵攻で議論の的となっている民主主義や権威主義といった政治体制間の差異や同盟、核兵器をめぐる問題について、計量的な分析手法を用いた実証研究を紹介し、また考察してみたい。

■戦争に強い民主主義国家

 民主主義という政治体制は、多くの人々の意見調整が必要なため時間や手間のコストがかかる。また、平和志向が強いというイメージがあるため、意外にも思えるが、民主主義国家は戦争に強いことが知られている。表は、先のレイターとスタムが1816年から1982年までの戦争のデータを用いて分析したものだ。

 ここでは政治体制の自由度や民主化度を、Polityというスコアを用いて計測している。-10から+10までの指標の中で、-7以下を「専制(autocracy)」、-6以上+6までを「中間(anocracy)」、+7以上を「民主主義(democracy)」と定め、いずれの政治体制が戦争に勝利したかを分析した結果である。

 一般に、戦争を開始する側の方が自信をもって攻撃するため、政治体制の差異を問わず、開始側が勝ちやすい傾向が見られる。特に民主主義国家が開始した戦争は、全15回のうち14回が民主主義国家の勝利となり、民主主義国家が攻められる側に回った場合も、全19回のうち12回は勝利している。また、それ以外の中間的な国家や専制的な国家と比較しても、民主主義国家が戦争に勝ちやすい傾向が認められる。これは、民主主義国家が権威主義国家よりも経済的に豊かで軍事力があるという要因を考慮に入れ、その影響を取り除いて比較しても妥当である。

 レイターとスタムは今回のウクライナ侵攻でも、民主主義国家の強さを強調しているが、一方でウクライナが本当に民主主義国家の要件を備えているかについては不問に付している。その点では疑問の余地が残るだろう。しかし、より民主主義的な国が戦争に勝ちやすい傾向は認められる。

 過去を振り返ると、ヴェトナム戦争のような例外もあるが、第二次世界大戦では連合国側の多くが民主主義国家であり、イギリスとアルゼンチンのフォークランド紛争などでも、より民主化度の高い国が勝った例が確認できる。

■イエスマンで固める独裁者のリスク

 なぜ民主主義国家は戦争に強いのか。ここでは、その理由を国内要因と国外要因の二つに分けて見てみたい。民主主義国家と権威主義国家の決定的な違いは、競争的な選挙を通じて国民の意思が考慮されるか否かである。このことを前提に、国内要因として「有権者・市民の生命に対する政治家・リーダーの態度」の差異を検討する。また、国外要因として、こうした価値観を共有する民主的「同盟関係」に起因する差異についても検討する。

 そもそもの前提として、民主主義国家には自由で公正かつ競争的な選挙がある。再選を目指すリーダーは、世論への影響を考えて、大きな被害を出す負ける戦争は当然避け、勝てる戦争を選んで戦うため、戦争に勝ちやすいと指摘されてきた(権威主義国家も形を変えながら選挙制を導入しているが、自由や公正さは担保されないことが多い)。

 ただ、最近の研究では、民主主義国家のリーダーが慎重であるというより、権威主義国家の中でも特にロシアのプーチン大統領のような個人支配(独裁)のリーダーが、向こう見ずな戦争を起こすとされる。

 エリカ・フランツ(米ミシガン州立大学)は、データ分析による知見に基づいて、「ほかの権威主義体制と比べて、個人独裁は他国との紛争をはじめやすい。個人独裁は、万が一敗北した際の国内からの反発の恐れなしに国家間紛争を仕掛けることができるので、権威主義体制の中ではもっとも好戦的である。いいかえると、説明責任の欠如ゆえに、よりリスクのある行動がとられやすい」(『権威主義』102頁)と指摘している。

 加えて、「個人独裁のリーダーは周囲をご機嫌取りに囲まれ、それらは罷免を避けるため、リーダーに正確な情報を伝えないことが多い。それゆえ個人独裁は、単に戦争をはじめやすいだけではなく、負けやすくもある。個人独裁のリーダーは意図的に自身の周りを『イエスマン』で固めるため、結果として部下からの不正確な情報を受け取りやすく、外交政策で誤りを犯しがちでもある」

 さらに、Sirin and Koch(2015)は、権威主義国家の中でも特に個人支配は、戦争犠牲者も多く出すと分析している。こうした先行研究に基づく知見は、その後、世界中から上がってきている情報とも一致している。

 これも、個人支配のリーダーが国内からの反発を気にしないせいだろう。たとえば、Croco and Weeks(2016)は、戦争に敗北した民主主義国家のリーダーが、選挙で責任を取らされるのは当然だが、同時に、権威主義国家においても、政党や軍を味方に付けたリーダーだと、これらの勢力が失敗の責任を取らせる可能性がある一方、リーダーに権力が集中している個人支配だと戦争の責任を取らされにくいというのである。この研究は、戦争を開始して敗戦したリーダーの在職期間が、民主主義国家だけではなく、個人支配以外の権威主義国家においても短くなる(逆にいうと、個人支配だと短くならない)ことを1919年から2003年までのデータを用いて分析している。

 こうした知見をまとめると、プーチンのような個人支配の権威主義国家のリーダーは、向こう見ずな戦争を起こしやすく、なおかつ敗戦時には政治的責任を負わされにくい状況にあるといえるだろう。しかしながら、Chin et al.(2022)は、個人支配の権威主義国家のリーダーは、失敗しても制度的に追い出されることはないが、支配の度合いを強めると政権転覆や、さらには暗殺によって排除されやすいとも分析している。これを踏まえると、プーチンの今後も不穏なものが予想され、彼は最悪の事態を避けようと是が非でも戦争の結果を好転させようとすると考えられる。そのために、闇雲な攻撃に至っている可能性もあるだろう。

 もちろん、こうした研究の多くは、各国の情勢を現在進行形で追う地域研究とは異なり、過去のデータから分析したものである。そのため、個人支配の権威主義国家がいつでも不利なわけではないし、またこうした研究は、いつ、どの国が行動を起こすか予測する類いのものでもない。たとえば2014年のロシアのクリミア併合時のように、これまで一貫してウクライナが優勢だったわけではなく、今回の戦争でも開戦前は明らかに劣勢と予想されていた。今回ウクライナが大善戦しているのは、欧米の支援があったからだといえるだろう。したがって、レイターとスタムが考えるように、政治体制に内在する性質のみから今回の侵攻を考えるのは十分ではない。
2023.05.09 21:10 | 固定リンク | 戦争
【銀座仮面強盗】恐怖の瞬間
2023.05.09
【銀座仮面強盗】逮捕現場マンション住人が語った恐怖の瞬間 「6階に犯人が」警察官は「あきらめろ!」と怒号

 東京・銀座の高級時計ロレックス専門店「クォーク銀座888店」で起きた、白い仮面姿の男らによる強盗事件。警視庁は関与したとみられる男4人を邸宅侵入容疑などでスピード逮捕したが、衆人環視での犯行に衝撃が広がっている。犯行の一部始終は周囲の通行人らのスマートフォンで撮影されており、事件直後からSNSで話題となっていた。

 事件発生は午後6時20分ごろ。白い仮面をかぶった3人組が店に侵入し、店員に刃物を見せて「殺すぞ!」などと脅した。男たちはバールのようなものでガラスケースを次々と破壊し、腕時計など100点以上を袋に入れて強奪し、白いワンボックスカーで逃走した。

 それから1時間も経たないうちに、逃走した車は港区・赤坂で発見された。警察が周囲を捜索すると、マンション内に侵入していた男らが見つかった。現場にはあっという間に多くの警察官が集まって大捕物になった。

 逮捕現場のマンション住民が、その恐怖を語った。

「うちは2階で、見上げる感じで男たちが捕まる様子を見てたんです。6階に犯人がいました。端っこに追い詰められている状況でした。下にも警察官がいて。6階なので飛び降りたら死んじゃう……と思って緊張して見ていました」

 別のフロアの住民は、「何が起きているかはわかりませんでしたが、どんどんおまわりさんとパトカーがやってきて。『落ち着けー!』『あきらめろ!』といった怒号が響いていていました。強盗犯を追っていたというのはのちに報道でわかりました」と、当時の緊迫した様子を語った。

 男たちが逃げ込んでいた6階の住民にも話を聞いた。

「私は6階の端のほうに住んでいるのですが、事件が終わったあとに見たら、非常用ハシゴが開いていたんです。うちのベランダを通ったのかもしれないです……。怖かったので、すぐに非常用ハシゴは閉めました」

 逮捕された4人はいずれも横浜市に住む無職の少年(16)、職業不詳の少年(19)、アルバイトの少年(19)、私立高校に通う少年(18)で、強盗にも関与した疑いがあるとみて捜査が進められている。お互いに面識はなかったと供述しているという報道もあり、「闇バイト」に応募した可能性も指摘されている。

 被害にあった時計は100本以上とみられているが、うち見つかっているのは約30本。警察は他に関与した者がいる可能性を含め、捜査を急いでいる。
2023.05.09 19:55 | 固定リンク | 事件/事故
銀座仮面強盗「16歳~19歳」
2023.05.09


犯行グループは横浜市の高校生含む「16歳~19歳」 銀座のロレックス専門店“仮面強盗” 1億円超の被害か 残る1人の行方追う

東京・銀座の高級時計店で起きた強盗事件で、犯行グループとみられる男4人が高校生を含む16歳から19歳であることがわかりました。

この事件は、きのう午後6時すぎ、中央区銀座のロレックス専門店に白い仮面姿の男3人が押し入り、刃物で従業員を脅したうえ、ショーケースをバールで割って、1億円相当を超える100点以上とみられる商品を奪ったものです。

男たちは白色のレンタカーで逃走しましたが、警視庁はこの車を追跡し、犯行からおよそ15分後、港区赤坂の路上で乗り捨てられているのを見つけました。

その後、16歳の無職の少年や18歳の私立高校生の男、19歳のアルバイトの男ら4人を近くのマンションのベランダなどに不法侵入したとして現行犯逮捕しました。

4人はいずれも横浜市に住んでいて、警視庁は関係性を調べるとともに、強盗事件に関与しているとみて、詳しく事情を聴く方針です。

強盗事件をめぐっては「現場に5人がいた」という目撃情報もあり、警視庁は残る1人とまだ見つかっていない被害品の行方を追っています。

■銀座強盗 逮捕全員19歳以下 「現場に5人がいた」という目撃情報も

東京・銀座の高級時計店で起きた強盗事件で、犯行グループとみられる男4人が高校生を含む16歳から19歳であることがわかりました。

この事件は、きのう午後6時すぎ、中央区銀座のロレックス専門店に白い仮面姿の男3人が押し入り、刃物で従業員を脅したうえ、ショーケースをバールで割って、1億円相当を超える100点以上とみられる商品を奪ったものです。

男たちは白色のレンタカーで逃走しましたが、警視庁はこの車を追跡し、犯行からおよそ15分後、港区赤坂の路上で乗り捨てられているのを見つけました。

その後、16歳の無職の少年や18歳の私立高校生の男、19歳のアルバイトの男ら4人を近くのマンションのベランダなどに不法侵入したとして現行犯逮捕しました。

4人はいずれも横浜市に住んでいて、警視庁は関係性を調べるとともに、強盗事件に関与しているとみて、詳しく事情を聴く方針です。

強盗事件をめぐっては「現場に5人がいた」という目撃情報もあり、警視庁は残る1人とまだ見つかっていない被害品の行方を追っています。

■「ぶっ殺すぞ!」銀座で“覆面男”が1億円相当以上のロレックス強盗 目撃者「演技じゃない?リアル?」赤坂で男の身柄確保も

人通りの多い夕方の銀座で事件は起きました。
高級時計店のショーケースをバールで破壊する覆面をした3人組。

犯行の様子を撮影している人
「演技じゃない?リアル?」
「お姉さん逃げといた方がいいかもしれないですよ」

覆面の男は鞄に商品を詰め込みます。

近くにいた女性
「110番しました?」

撮影者
「してない。お願いします」

犯人が開けた扉を近くにいた女性が閉めると・・・

そしてそのまま店を出ます。

白い車に乗り込み、逃走。ドアは開いたままです。
赤信号を無視し、現場を立ち去りました。

「現場となったのは、銀座のメインストリートに面するビルです。かなり人通りがありますが、現場検証が行われています。ビルの1階にある時計店です。ショーケースは割れ、床にガラスが散っています。また、店内には空になった時計の箱も残されています」

強盗事件が起きた現場は東京・中央区銀座8丁目。
中央通り沿いで、土日は歩行者天国になる銀座のメインストリートです。

捜査関係者によりますと、男らは高級腕時計ロレックスを、少なくとも100点以上奪い、被害は1億円相当以上と見られています。

現場近くで働く男性
「まさか銀座であるとは思わなかったですね。人通りも多いし、車の通行量も多いので、まさかその時間帯に…」

男たちは車で逃走していましたが、その車は東京・港区の赤坂で発見されました。

「ちょうど規制線が張られた向こうに白い車が止まっています。犬を連れて、鑑識の方が出てきました。ちょうど住宅地、マンションとマンションに囲まれた辺りに、車が斜めに止められています。先ほどまで光をあてて、警察官が中を捜査していました」

事件から数分後に赤坂付近で撮影された映像。マンションのベランダのふちに男が立ち、警察が男に声をかけています。

撮影者「警察官がいっぱいだったし、すごく走り回っていました。 危ないから『飛び降りないで』と警察が促していた。端っこの方に行ってそこで追い詰められて捕まったという状態」

警察は午後7時ごろ港区内で、男4人の身柄を確保しました。

当時、店内には5人の従業員が居たといいます。男3人のうち1人が30代の男性従業員に対して刃物を突き付けて「伏せろ、殺すぞ」などと脅し、ショーケースをたたき割り、高級腕時計を奪いました。

犯行時間は約10分とみられ、従業員にケガはないということです。

確保の瞬間を目撃した人
「黒っぽい服装で、外国の方じゃなかった。 日本語をしゃべっていました」

警視庁は男らに事情を聴く方針です。
2023.05.09 14:31 | 固定リンク | 事件/事故

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