イタリアの女子大生ら「アジア人差別」
2023.04.29

■列車内で東洋人をからかったイタリアの女子大生ら、身バレで大学が調査

 イタリアの列車内で女子大生3人がアジア系の乗客らをからかう人種差別動画が、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(会員制交流サイト、SNS)で公開され、波紋を広げている。

 問題を起こした3人の身元が明らかにされたことで、大学側は「相応の措置を下す」と表明した。

 26日(現地時間)にイタリアのメディアが伝えたところによると、パキスタン出身の映画監督マフノア・ユセフ氏は最近、イタリアで人種差別に遭った動画をTikTokにアップロードした。

 一瞬で再生数1700万を超えたこの動画は、今月16日にイタリアの観光地コモ湖からミラノに向かう列車の中で撮られた。

 ユセフ氏は中国人ボーイフレンドと、同じく中国人の彼の母親、そして白人の父親と一緒に旅行中だった。

 ところが列車に乗っていた3人の若い女性は、ユセフ氏一行を眺め続け、くすくす笑いを抑えきれなかった。

 さらに中国語のあいさつ「ニーハオ」の真似をすることもあった。

 このようなからかいが面白いのか、3人はなおも人種差別的な行動を続けた。

 ユセフ氏は「自分の人生で、これほど露骨な人種差別に遭ったことはない」とし、「米国にも人種差別問題があるが、欧州は20年は遅れている」と憤った。

 動画はSNSに載って急速に拡散され、ネットユーザーらの怒りが爆発した。

 その結果、女子大生3人の名前や通っている大学まで、そっくりそのまま暴露された。

 3人が通う各大学も見解を出すほどに事件は大きくなった。

 大学側は「当該学生のこのような行為は、大学が追求する価値とは無関係」であるとし、「あらゆる形態の人種主義と差別に反対する」と表明した。

 大学側は、今回の事件について調査中であり、その結果に基づいて相応の措置が下される得る、と発表した。

 ユセフ氏は「あなた個人はもちろん国の評判もおとしめた。あなたは本物の人種差別主義者であって、自分の行動の責任を取り、学んでほしい」とコメントした。

■上海モーターショー、今年の標的はBMW…アイス配布で「差別だ」と批判殺到

 中国で27日まで開かれる世界最大級の自動車展示会・上海モーターショーでは外国企業が度々やり玉にあげられる。前回のテスラに続き今回標的となったのは独BMW。アイスクリームを巡って会場の熱気を冷ますような騒動が起きた。

 19日、同社のブースで中国人女性がお土産のアイスの提供を求めたところ、女性スタッフに「終了した」と断られた。だが、直後に来た外国人男性には渡された。一連の動画がSNSに投稿され「差別だ」との声が殺到。BMWは「誤解があった」と謝罪したが、抗議は収まらない。

 21日、来場客が「中国人には無料だ!」と叫んで大量のアイスをBMWブース前に置いた。100人以上が殺到し、騒然とした雰囲気に。前日にはBMWを批判する動画中継をしていた若い女性が、頭から黒い布をかぶせられて警備員に連行される一幕もあった。

 「BMWの心は中国にある」。開幕日の18日、同社のツィプセ会長は会場の演説で語ったが、巨大市場への期待とは裏腹にアイス騒動の直後、不買運動への懸念から同社の株価は3%以上も下落。現地メディアの記者は「騒動が次回以降の出展に影響しないだろうか」と語った。

■「アイス事件」怒り続ける中国、BMW不買運動も…抗議のため自ら買った大量のアイス配る来場者

 中国の上海モーターショーで起きた独BMWによるアイスクリーム配布を巡る騒動で、中国国内では一部で不買も呼びかけられた。自社の車を巨大市場にアピールする好機だった世界最大級の自動車展は、BMWへの強い批判を招く場に一変した。

 中国は、生産と販売の両面で世界最大の自動車大国となる。BMWも21年の世界販売252万台のうち、中国が85万台と3分の1を占め、ドイツを含めた欧州に並ぶ最重要市場と位置づけてきた。ショー開幕日の18日、ツィプセ会長は「BMWの心は中国にある」と会場で演説し、投資を拡大する方針を示したばかりだった。

 今回の騒動は、中国共産党の意向で近年強まる愛国主義の矛先が、わずかなきっかけで外資企業に向かうリスクを改めて浮き彫りにした。

■不買呼びかけ 車に落書き

 中国紙は「アイス事件」として一連の騒動や余波を大きく報じている。ショーの会場で取材する官製メディアの記者は「国民はみんな怒っている」と本紙に述べた。

 中国でBMWは、同じ独自動車大手のベンツ、アウディの頭文字を取った「BBA」と称される独高級車の代表格だ。BMW車に乗ることが成功者の証しと言われていた。

 同社のブース前では連日、抗議の意思を示すために自ら買った大量のアイスを配る来場者の姿が見られる。出展する中国企業もアイスの無料配布を始め、主催者が「禁止」を通達する事態となった。

 江蘇省のある企業は21日、BMW車を保有する社員向けに「1か月以内に売却する誓約書を書いてください。応じない従業員は解雇します」との通知を出した。代わりに2万元(約40万円)の補助金を出し、国産の最高級車「紅旗」を購入するようにも求めている。事実上の不買運動の強制ともいえ、中国メディアによると労働契約法に違反する疑いがある。

 23日には、ボンネットに「ドイツへ帰れ」と落書きされたBMW車の写真がSNSに投稿されるなど、ショーが閉幕する今月27日までの沈静化は難しい状況だ。

 BMW側の対応も後手に回り、火に油を注ぐ形となった。20日、公式SNS上に「社内管理の不足とスタッフの怠慢が原因」との謝罪コメントを掲載した。だが、不十分との声が強まると、翌日には3倍の分量で経緯の詳しい説明や再度の謝罪に追い込まれた。

 20日には、ブース前でBMWを批判する動画中継をしていた中国人女性が連行された。同社側が依頼し、当局も騒動の拡大を抑えるために応じたとみられる。しかし、十数人の警備員が頭から黒い布を強引にかぶせて連れ去る様子がSNSで拡散して反発を招いた。

 業績への影響が懸念され、騒動後に欧州市場でBMWの株価は3%超下落した。時価総額では21億ユーロ(約3100億円)に相当し、一部の中国メディアは「市場価値がとけた分で、5億個のアイスが購入できたはず」と皮肉まじりに報じた。

2023.04.29 13:05 | 固定リンク | 差別

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