米国イラン直接攻撃も示唆
2024.04.14
イスラエル政府高官は、イランの攻撃に対して「重大な対応をする」と発言 イランが反撃に出れば「措置はかなり厳しくなる」と警告 米国はイランとの直接衝突は望んでいないが、アメリカの要員が攻撃された場合は、迅速かつ断固とした対応を取る考えを示した

イランがイスラエルに対して直接ミサイル攻撃を行った原因についての要点は以下の通りです。

在シリアのイラン大使館への攻撃

イランは、今月1日にシリアのイラン大使館が攻撃を受けたことに対する報復として、イスラエルに対する攻撃を実施しました。この攻撃で革命防衛隊の司令官らが殺害されたとされています。

イラン革命以来、イランはシリアに軍を駐留させ、ヒズボラの訓練と資金提供に関与しています。シリア内戦が勃発して以来、イスラエルはシリア国内のヒズボラ拠点を標的に数百回の空爆を実施してきました。

詳細は2024年4月1日、シリアのダマスカスにあるイラン大使館領事館別館がイスラエル国防軍によって空爆され、破壊されました。この空爆でイラン革命防衛隊兵士7名、イラン支援の民兵5名、ヒズボラ戦闘員1名、イラン人顧問1名、民間人2名を含む合計16名が殺害されました。

攻撃の主な標的は革命防衛隊の精鋭部隊ゴドス軍司令官であるモハマド・レザー・ザヘディ准将でした。ニューヨーク・タイムズ紙は、今回の攻撃はガザ戦争について話し合っていたイラン諜報当局者とパレスチナ・イスラム聖戦の指導者らパレスチナ過激派との会談を標的としたものだと報じています。

イラン最高指導者はこの攻撃を非難し、報復を誓いました。イスラエル国防軍は、攻撃された標的は「ダマスカスにある民間施設を装ったゴドス軍の軍事施設」だったと述べています。

イランの声明

イランは、この攻撃が「正当防衛」であると主張しており、自国内からイスラエルを攻撃するのは今回が初めてです。

イラン最高指導者アリー・ハメネイは、「憎しみに満ちたイスラエルの政権による犯罪だ」と非難し、「邪悪な政権は罰せられるだろう。我々はこの犯罪を後悔させる」として報復を誓いました。

エブラーヒーム・ライースィー大統領は、「抵抗戦線の意志を打ち砕くことに失敗したシオニスト政権(イスラエル)は、自国を救うために再び無差別的な暗殺を実行した」と非難しました。

また、ハメネイの政治顧問アリー・シャムハーニーは、「この攻撃を実行する意図を認識していたか否かにかかわらず、米国には直接責任がある」と述べました。

イランは国連安全保障理事会に書簡を送り、「断固たる対応をする正当かつ固有の権利を留保する」と述べました。

イラン国内の反応は、首都テヘランをはじめ、タブリーズやイスファハーンを含むイラン全土のいくつかの都市では、大群衆がパレスチナとイランの旗を振りながら復讐を要求して集まりました。





攻撃の規模と効果

イランは約200以上の無人機やミサイルでイスラエルに攻撃を加え、攻撃は約5時間続きました。

イランは、大規模なドローンやミサイル攻撃を行いました。この攻撃は、イスラエルの防衛システム「アイアンドーム」によって大半が撃墜されましたが、いくつかはイスラエル領内に落下し、南部の軍基地に着弾する事例もありました。

イスラエルの救急医療組織によると、イランの攻撃が直接の原因となった負傷者は発生していません。しかし、避難場所へ向かう際やパニック状態に陥った際に軽傷を負った人が31人いました。

市民生活への影響は、攻撃により、イスラエルでは全地球測位システム(GPS)の信号が遮断され、位置情報を使うアプリが使用できなくなるなど市民生活にも影響が出ました。また、戦争規模の拡大を懸念して発電機の購入や飲料水、食料の買いだめ、ATMからの現金引き出しが急増しました。



イスラエルの対応は厳しいものへ

イスラエルは、イランの攻撃の大半を迎撃しました。イスラエル軍は、攻撃が収まったと判断し、市民に対する避難場所近くでの待機要請を解除しました。

人的被害: 攻撃による直接的な負傷者は報告されていませんが、避難中やパニック状態に陥った際に軽傷を負った人がいるとされています。

イスラエル政府の声明は、イスラエルの政府高官は、イランの攻撃に対して「重大な対応をする」と発言しました。イスラエルメディアは、この方針を伝えており、イランが反撃に出れば「措置はかなり厳しくなる」と警告しています。

イスラエル軍の報道官によると、イランはイスラエルに対して200以上の無人機や巡航ミサイルのほか、120発以上の弾道ミサイルを発射しましたが、その99%の迎撃に成功したと発表しました。

また、米国家安全保障会議(NSC)の報道官は、イランのイスラエル攻撃について、「数時間にわたって行われた可能性が高い」との見方を示し、バイデン大統領はイスラエルの対応について協議を行っていると述べました。

米国の対応

米国は、イランが中東でイスラエルあるいは米国の権益を狙った「相当な規模」の攻撃を仕掛けるとの判断を強め、高度な警戒態勢に入り、対応措置の準備を急いでいると報じられています。バイデン米政権の高官がこの情報を明らかにし、攻撃は「不可避」との見方をしており、イスラエル側も同様の認識を抱いているとのことです。

また、イランはシリアの首都ダマスカスにある自国の大使館施設が空爆された後、イスラエルの仕業と断定し、報復を宣言していました。米国、イスラエル両国政府はイランによる攻撃は異なった多数の方法で起こされる可能性があると予期し、この事態に対処する態勢づくりを急速に進めているとのことです。

このような状況の中で、米国はイランとの直接対決を避けつつ、イスラエルへの支持を表明していると考えられます。ただし、具体的な対応策や今後の展開については、公式な声明や詳細な情報は限られています。米国は中東地域での緊張の高まりを警戒しており、パレスチナ自治区ガザ地区での軍事衝突がより広い範囲に飛び火する地域紛争が勃発することを回避しようとしているとの見方が強いです。

しかし、イランと関係のある基地と司令官らを攻撃も。イラクとシリアには、イランが支援する武装勢力の基地、武器庫、訓練施設が多数存在し、アメリカはこれらの施設を精密誘導ミサイルで攻撃することができます。これは、過去にも使用された方法ですが、抑止としての効果は限定的であるとされています。

また第二の対策は、イランを直接的に攻撃も。しかし、これは大規模な軍事行動の激化を意味し、アメリカが軽々しく検討するものではありません。アメリカもイランも本格的な戦争を望んでおらず、その可能性は極めて低いとされています。

報復しない選択肢も。しかし否定される可能性も。一部のアメリカの権力者は、現在の中東情勢の緊張を考慮すると、イラン側を攻撃することは無責任であり、特に大統領選の年に実施するのは適切ではないと主張しています。しかし、この選択肢は、アメリカの抑止政策が失敗していると主張する人々によって否定される可能性があります。

また、アメリカはミサイル迎撃システムの配備など抑止力の強化に動いており、イランとの衝突は望んでいないが、アメリカの要員が攻撃された場合は、迅速かつ断固とした対応を取る考えを強調しています。

これらの選択肢は、アメリカが中東地域での緊張の高まりを警戒し、地域紛争の拡大を回避するための態勢づくりを進めていることを示しています。具体的な対応策は、状況の変化に応じて決定されることになるでしょう。さらに詳細な情報が必要な場合は、お知らせください。
2024.04.14 18:45 | 固定リンク | 戦争
前兆なのか「ロシア中国の影が」
2024.04.03
シリアの首都ダマスカスにあるイラン大使館領事部がミサイル攻撃を受けたという報道があります。この攻撃でイランの革命防衛隊の高官らが死亡し、イランの最高指導者は報復を宣言しています。国連安全保障理事会はこの事件について緊急会合を開きました。

シリアのダマスカスにあるイラン大使館へのミサイル攻撃に対する他国の対応については、以下の情報があります。

イランは、攻撃がイスラエルによるものだと主張し、外交施設への攻撃は明らかな国際法違反であり、テロ行為だと非難しています。イラン国連次席大使は、報復も辞さない姿勢を強調しています。

アメリカは、攻撃への関与を否定し、事前に知っていたわけでもないと述べています。また、イランに対し、中東地域の緊張を高めないよう求めています。

国連安全保障理事会は、緊急会合を開き、イスラエルによるとみられる攻撃への対応を協議しました。会合では、ルールに基づく国際秩序の重要性が強調され、安保理はそれを維持する責任があると述べられています。

イスラエルは、この会合に参加しておらず、攻撃について「コメントしない」としています。

他国の反応は

イラン大使館へのミサイル攻撃に対する他国の反応は、様々な国際的な懸念を引き起こしています。この攻撃は、イラン革命防衛隊の幹部らが死亡したとされ、イラン側はイスラエルによる攻撃だと主張し、報復を行うとしています。

特に、この攻撃が外交関連施設を狙ったものであるため、国際法違反と見なされる可能性があり、国際社会における緊張の高まりが懸念されています。また、イランの最高指導者は報復を宣言しており、最悪の場合は全面戦争に発展する可能性も指摘されています。

イラン大使館へのミサイル攻撃に対する各国の具体的な対応について、以下の情報があります:

イランは、攻撃がイスラエルによるものだと主張し、外交施設への攻撃は明らかな国際法違反であり、テロ行為だと非難しています。イラン国連次席大使は、報復も辞さない姿勢を強調しています。

アメリカは、攻撃への関与を否定し、事前に知っていたわけでもないと述べています。また、イランに対し、中東地域の緊張を高めないよう求めています。

国連安全保障理事会は、緊急会合を開き、イスラエルによるとみられる攻撃への対応を協議しました。会合では、ルールに基づく国際秩序の重要性が強調され、安保理はそれを維持する責任があると述べられています。

イスラエルは、この会合に参加しておらず、攻撃について「コメントしない」としています。

パキスタンは、イラン領土をミサイル攻撃して報復しており、イランによる空爆で子供2人が死亡したと発表しています。パキスタンは、自国の主権と領土保全を明確に侵害したイランの攻撃に対抗すべきと考え、イラン領内の「テロリスト」拠点を攻撃したと説明しています。

イラクは、イランによる弾道ミサイル攻撃に激怒しており、国連安全保障理事会に非難の書簡を送付しています。

イラン、イスラエルに報復表明 大使館空爆受け

イランは2日、在シリアのイラン大使館の建物が空爆されたのを受け、イスラエルへの報復を宣言した。

この空爆で、イラン革命防衛隊の隊員7人が死亡。うち2人は将官だった。

イラン国営メディアが駐シリアのイラン大使の話として報じたところによれば、この空爆で計13人が死亡。イスラエル軍のF35戦闘機がミサイル6発を発射し、大使館に隣接する領事部の建物が破壊されたという。

イランの最高指導者アリ・ハメネイ師は「(イスラエルは)わが国の勇者たちの手で処罰される。犯してきた数々の罪を後悔させる」と述べた。

イブラヒム・ライシ大統領は、大統領府のウェブサイトに掲載した声明で、空爆を「明らかな国際法違反」だと非難し、「必ず報いを受けさせる」と報復を誓った。

「抵抗戦線の戦士たちの信仰と意志の前に敗北と失敗を繰り返したシオニスト政権(イスラエル)は、自国をどうにか救おうと、やみくもな暗殺を実行した」と続けた。(c)AFP/Payam DOOST MOHAMADI and Maher AL MOUNES in Damascus

「後悔させる」イラン大使館空爆、ハメネイ最高指導者が報復を宣言

シリア国防省とイラン外務省は1日、イスラエル軍が同日にシリアの首都ダマスカスにあるイラン大使館領事部の建物をミサイルで攻撃したと発表した。イランの革命防衛隊の高官らが死亡し、ハメネイ最高指導者は2日、「我々はこの罪を後悔させる」と述べ、イスラエルへの報復を宣言。今後の展開によって、昨年10月以来、パレスチナ自治区ガザをめぐって高まった中東地域の緊張が一層激化する可能性がある。

革命防衛隊の発表によると、この攻撃で革命防衛隊の准将2人と隊員5人が死亡した。准将のうち1人は、国外での作戦を担う精鋭「コッズ部隊」の司令官でシリアやレバノンを担当していたとされるモハンマドレザ・ザヘディ氏という。

在英のシリア反体制派NGO「シリア人権監視団」は、この攻撃でザヘディ氏らを含む14人が死亡したとしている。革命防衛隊はハメネイ師に直結する軍事組織。イスラエルはこれまでもシリアで活動する革命防衛隊員らを標的としてきたが、在外公館を攻撃したのは初めてとみられる。

イスラエル軍の報道官は攻撃したかについて、ロイター通信の取材に「外国メディアの報道には答えない」と回答を拒否した。攻撃をめぐり、米国務省のミラー報道官は1日の会見で「情報を集めている」とし、「標的や誰の責任かについては確認できない」と語った。

イラン大使館攻撃で国連安保理 緊急会合

中東のシリアにあるイランの大使館がイスラエルによるとみられる攻撃を受けたことを受けて、国連の安全保障理事会で緊急会合が開かれました。イランやロシアは、在外公館への攻撃は国際法違反だとしてイスラエルを厳しく非難しましたが、イスラエルを擁護してきたアメリカは逆に、地域の安定を脅かしているのはイランだと非難しました。

1日、シリアの首都ダマスカスにあるイラン大使館の領事部の建物がミサイル攻撃を受けて軍事精鋭部隊の幹部らが殺害され、イランはイスラエルによる攻撃だとして、報復する構えを見せています。

安保理ではイランやロシアの要請を受け、2日午後、日本時間の3日朝4時すぎから、緊急会合が開かれました。

この中でロシアのネベンジャ国連大使は「イスラエルの攻撃は主権の侵害で容認できない。この無謀な行為を国際社会は糾弾しなければならない」と強く非難し、イランの国連次席大使もテロ攻撃だと非難したうえで「イランには断固とした対応をとる正当な権利がある」と述べ、対抗措置をとると主張しました。

これに対してイスラエルを擁護してきたアメリカのウッド国連次席大使は「攻撃を受けた建物が外交施設といえるのか確認できない」とした上で「イランとイランが支援する組織は地域の緊張を高めてはならない」と述べ、逆に地域の安定を脅かしているのはイランだと非難しました。

ガザ地区でイスラエルとイスラム組織ハマスとの戦闘が続き、イスラエルとハマスを支援するイランとの対立も深まる中、各国からは中東全域に緊張が広がることを懸念する意見が相次ぎ、日本の志野国連次席大使も「いま切実に求められているのは安定だ」と訴えました。

この攻撃は国際的な影響を及ぼす可能性があるか

このイラン大使館へのミサイル攻撃は、確かに国際的な影響を及ぼす可能性があります。イランのメディアによると、シリアの首都ダマスカスにあるイラン大使館の建物周辺でのミサイル攻撃により、重大な被害が出る可能性があり、特に人の健康や旅客・貨物輸送への影響が懸念されています。また、イランの精鋭軍事組織「革命防衛隊」は、領事部ビルがイスラエルのミサイル攻撃を受けたと主張し、現地司令官ら7人が死亡したと報じています。

イラン外相は、この攻撃がすべての国際条約に違反していると非難し、国際社会における緊張の高まりが予想されます。このような事件は、関係国間の外交関係に影響を与え、さらには地域の安定性や国際政治にも影響を及ぼす可能性があります。最新の情報に注意して、今後の動向を見守ることが重要です。

「前兆」なのか・今後の展開

現在の国際情勢における第三次世界大戦の可能性についての分析は、以下のような見解があります。

一部の専門家は、複数の紛争や緊張が呼応し、偶発的な大戦争に発展する可能性を懸念しています。特に、米中間の対立が激化する場合や、2024年の米国大統領選挙前後に中国が台湾に対して武力行使をする可能性があるという分析があります。

ドイツでは、ロシアとの「全面戦争」に備え始めた動きがあり、ロシアがウクライナとの戦線を拡大し、NATOと直接衝突することが懸念されています。このようなシナリオが「第3次世界大戦」につながる可能性があるとの見方も示されています。

また、中小国同士の衝突が広がる「大乱」的状況が起きる可能性も指摘されており、大国が直接対決する「大戦」は起きにくいが、中小国の衝突が広がる可能性はあるとの見解もあります。

これらの分析は、現在の国際情勢における様々な要因を考慮したものであり、第三次世界大戦の発生を予測するものではありません。しかし、国際的な緊張が高まる中で、各国がどのように対応するかが重要であり、平和と安定を維持するための国際的な協力が求められています。最新の情報に注意して、今後の動向を見守ることが重要です。😊

シリアの首都ダマスカスにあるイランの大使館施設が攻撃され、イラン革命防衛隊の司令官が死亡しました。イスラエルによる攻撃とみられていますが、狙いは何なのか。イランは今後、どう対応するのか。イラン政治に詳しい慶応大の田中浩一郎教授に聞きました。

殺害されたイランの革命防衛隊の司令官は、レバノンの親イラン組織ヒズボラとの連携を担当する責任者だった。おそらくこの攻撃はイスラエルによるもので、司令官を殺害することで最大の敵ヒズボラへのイランによる支援を断ち、機能不全に陥らせることを狙ったものとみられる。

イスラエル軍はレバノン国境に近いイスラエル北部でかなり大がかりな軍事作戦を準備している兆候がある。司令官は前々からイスラエルのターゲットであったとしても、このタイミングから考えると、近くイスラエル軍がヒズボラ攻撃を激化させることが予想される。今回の攻撃は、その前兆のような位置づけだったのではないか。

イランが近隣の3カ国をミサイル攻撃

イランは、シリアとイラク、パキスタンの友好3カ国の標的を相次ぎ空爆しました。

この攻撃は、イランの革命防衛隊が国内のイスラム主義強硬派から行動するよう圧力を受けていたこと、およびイスラエルがパレスチナ自治区ガザ地区で多くのパレスチナ人を殺害している中で、イラン政府が手をこまねいているとして不満を募らせていた強硬派の存在が背景にあるとされています。

パキスタンは、イラン領土をミサイル攻撃して報復しました。イランによるパキスタン領内への空爆で子供2人が死亡したと発表されており、パキスタンは自国の主権と領土保全を明確に侵害したイランの攻撃に対抗すべきと考え、イラン領内の「テロリスト」拠点を攻撃したと説明しています。

イラクは、イランによる弾道ミサイル攻撃に激怒しており、国連安全保障理事会に非難の書簡を送付しています。イランは、イスラエルの諜報機関モサドの作戦本部を標的にしたと主張していますが、イラクとクルドの当局は、著名な男性実業家の自宅がミサイルの直撃を受け、彼と妻、2人の子供が殺されたとしています。
2024.04.03 17:38 | 固定リンク | 戦争
「海底で爆発・原子力核魚雷」ロシア
2024.03.19
「高さ500mの津波も」ロシア/北朝鮮「原子力核魚雷」 人類史上最大の核兵器を世界で最も深い海底で爆発させたら何が起こるのか? 

ロシアの「ポセイドン」と呼ばれる原子力核魚雷は、海中で爆発すると放射性物質を含む高さ500mの津波を発生させるとされています。この兵器は、沿岸部の都市に甚大な被害をもたらす可能性があります。また、北朝鮮も同様の水中核兵器システム「ヘイル」の実験を行ったと報じられており、これは日米韓の海上共同訓練への対抗措置とされています。これらの兵器は、使用された場合には国際的な緊張を高め、広範囲にわたる環境への影響を及ぼすことが懸念されています。


第二次世界大戦後の冷戦時に人類は競争するように核兵器開発を進め、自分たちの手に余るほどの力を手にしました。もし地球上で最も深いところで、人類が今まで開発した中で最も強力な核兵器を爆発させた場合、地球に一体何が起こってしまうのかを、科学的な疑問を論理的に解説する。

地球上で最も深い場所は、フィリピンの西にあるマリアナ海溝です。

マリアナ海溝は、太平洋プレートがフィリピン海プレートの下にもぐりこんでいる場所で、最深部は水深およそ1万900mです。これはタイタニックが沈没していた場所よりも3倍深い場所です。

一方、最強の核兵器といえば、「ツァーリ・ボンバ」と呼ばれる、ソビエト連邦が開発した史上最大の水素爆弾です。その威力はTNT換算で9万9000キロトンで、1945年に広島へ投下された原子爆弾「リトルボーイ」のおよそ3300倍の威力があるといわれています。

ツァーリ・ボンバは1961年に、一度だけ実験が行われました。実験の際は威力は半分ほどに抑えられましたが、北極海上のノヴァヤゼムリャに投下された時は、高さ約60km・幅30~40kmほどという巨大なキノコ雲が観測されています。さらに、ツァーリ・ボンバの爆発による衝撃波は地球を3周したといわれています。

そんなすさまじい威力を持つツァーリ・ボンバを、深さ1万900mのマリアナ海溝最深部に投下したらどうなるのでしょうか?

ツァーリ・ボンバが水深1万900mで起爆すると最初の数マイクロ秒で核燃料に連鎖反応が進行し、TNT火薬50メガトン分に匹敵する力で爆発します。マリアナ海溝は今まで見たことないほどのまぶしい光に照らされることになるでしょう。

そして、爆発時の熱で生まれた水蒸気と放射性物質を含んだ泡が水中に出現します。泡は周囲の海水を気化させながら大きくなります。

世界中の地震観測点が感知するほどの衝撃波が発生しますが、衝撃波は一瞬で収まることでしょう。なぜなら、爆発は一瞬で終わってしまうからです。

地上で爆発した場合、その火球は爆発後1秒で10kmに達してから、大気に押し戻されます。

しかし、水深1万900mでは1072気圧に相当する水圧が加わります。そのため、爆発後1秒で火球は直径1kmほどまで成長するも、すぐに水圧に負けて縮小してしまいます。

そして、放射性物質を大量に含む、極めて高温の泡が水面へ浮上します。

爆発のエネルギーは、水面に上がる頃には打ち消されてしまいます。水面に浮かぶのは、小さな波と、放射能を浴びた温かい水蒸気を含んだ泡となります。

日本にもカリフォルニアにも津波は来ません。しかし、辺りを航行する船やクジラには放射能の影響があります。

爆発で発生した大量の放射性物質は数日で深海から太平洋中に広がり、希釈されます。

放射能に汚染された水は蒸発して雲となり、雨となって降ってくることも予想されます。

汚染された雨雲は風によってフィリピンまで運ばれてきますが、放射能を帯びた雨の影響が大きいのは陸地よりも、フィリピンに至るまでの洋上でしょう。

地震や噴火への影響については、プレートの上で核兵器が爆発しても問題ありません。

爆発によって深海の一部は蒸発し、砂はガラスになってしまうでしょうが、爆発のエネルギーの大部分は水に吸収されるため、プレート周辺で核兵器を爆発させても世界を滅ぼすほどの地震が発生するとは限りません。

ツァーリ・ボンバ級のエネルギーを持つ地震も、年に数回は世界中のプレートのどこかで起きているものです。

地球上から特に質量が大きく増えたり減ったりしたわけではないので、地球の軌道が変化することもありません。

ここ70年の間に1000回以上の核実験が地球上で行われましたが、軌道に影響を与えた例は一つもありませんでした。人類が持つ最大の力といえども、自然界の力に比べれば話になりません。

つまり、世界で最も深い場所で世界で最も威力のある核兵器を爆発させても、放射能以外の影響はほとんどないということです。














ポセイドンは、ロシアが開発中の原子力核魚雷で、非常に強力な戦略兵器とされています。この兵器は、敵国の海岸線や港湾施設を破壊することを目的としており、原子力推進によって高速・長距離での航行が可能な巨大魚雷です。

ポセイドンは全長約20m、幅2mとされ、大洋を渡り、敵の沿岸都市や海軍基地を熱核弾頭で攻撃するために開発されました。水中から沿岸に接近し、海の中で核爆発を起こすことにより、衝撃で高さ500mの津波を発生させるといわれています。ただし、これは理論上の話であり、実際にはそのような津波が発生するかは未知数です。

ポセイドンの開発は、国際的な緊張を高める要因となっており、核兵器使用の脅威に直面する可能性が指摘されています。核兵器の使用は、国際法や条約によって厳しく制限されており、そのような兵器の使用は人類にとって大きな後戻りとなるでしょう。平和的な解決策を模索し、核兵器のない世界を目指すことが重要です。安全な未来のために、科学技術の進歩を利用して、核兵器の脅威から守る方法を探求することが求められています。安全な社会を守るために、こうした技術の進歩は非常に重要です。


高さ500mの津波が…「使ったら世界が終わる」ロシアの“終末兵器”ポセイドンとは

「ウクライナによるロシア国内への脅威が続けば対応は厳しいものになる」

10日、ウクライナ全土への報復爆撃を行ったプーチン大統領。依然、核兵器使用も辞さない構えは崩していません。

こうした状況に、アメリカのバイデン大統領は「このまま事態が推移すれば、我々はキューバ危機以来となる核兵器使用の脅威に直面する」と警告しました。

危機的状況の中、世界が注視しているのが、世界を終わらせるほどの脅威になりうるという開発中のロシアの核兵器…原子力核魚雷 『ポセイドン』

終末兵器とも呼ばれる最新型の核兵器。水の中を進み、海中で爆発すると放射性物質を含む高さ500mもの津波を発生させ、沿岸部の都市に襲いかかります。

この終末兵器が使用される事態になったらどうなってしまうのか?

「めざまし8」はプーチン大統領研究の第一人者、筑波大学・中村逸郎名誉教授にお話しを伺いました。

“クリミア橋爆破”から見えてくるプーチン大統領の危機感
きっかけは、10月8日。ロシア本島とクリミア半島をつなぐ「クリミア橋」の爆発でした。10日のロシア安全保障会議でプーチン大統領は、この爆破をウクライナによるテロと断定し「脅威が続けば対応は厳しいものになる」と発言しました。

中村氏は、「今後も報復の連鎖は続き、核使用の可能性が高まった」と指摘します。

筑波大学・中村逸郎名誉教授:
実はこのクリミア橋というのは、22年続いているプーチン政権で最大の偉業なんですね。2018年の5月に開通したときに、プーチン大統領自らトラックを運転して開通式をやったんです。そのときに、シートベルトをしていなかったんです。それでロシア国民の中から、あれは交通違反だという指摘が上がったんですね。それに対してペスコフ大統領報道官は「プーチン大統領が通った後に公道になるから、これは交通違反ではない」と言ったんです。まさに、プーチン大統領が一番誇りに思っている“偉業”なんです。

しかし、ロシア側がウクライナを攻撃する口実にするために、橋への攻撃を自作自演した可能性はないのでしょうか?

筑波大学・中村逸郎名誉教授:
それは違うと思います。やはり今回「橋が落ちる」、あれはある意味で「プーチン政権が崩落した」と重ねることもできますので、橋が落ちてしまったことに関しては、プーチン大統領にとっては大変な危機感を抱いているんです。と同時に、ウクライナが関わったと言うことになれば、大変な復讐心に燃えていると考えられます。

原子核魚雷“ポセイドン”とは?

核兵器使用の緊張が高まる中、海外メディアが注目しているのは、ロシアの原子核魚雷「ポセイドン」です。

水中から沿岸に接近し、海の中で核爆発を起こすことにより、衝撃で高さ500mの津波を発生させるといいます。

2022年4月にイギリスのジョンソン首相(当時)がキーウを電撃訪問し、ウクライナ支援についての首脳会談を行うなど、ロシアに対して強硬姿勢を示した際、ロシア国営テレビが「ポセイドンは最大100メガトンの核弾頭を搭載」「イギリスの海岸近くでこの魚雷が爆発すれば最大500mの高さの津波がイギリスをのみ込み放射能の砂漠と化すだろう」と警告するなど、すでに“威嚇”としても使用されています。

さらに10月2日、イタリアの一般紙「ラ・レプブリカ」は「ポセイドン」を積んだ原子力潜水艦が北極圏の基地を出港し、核実験を行う可能性があると報じました。

また、アメリカのバイデン大統領は6日、「プーチン氏が核を使えば、アルマゲドン(世界最終戦争)は避けられない」と発言。

そしてこの「ポセイドン」についてCNNは、2020年11月に当時のアメリカ国務次官補が「米沿岸部の都市に放射能の津波を押し寄せさせる狙いで設計された」と語ったと報じました。

高さ500mの津波の脅威…どれだけの被害に?

高さ500mの津波とはいったいどれほど恐ろしいものなのか?

ニューヨークが標的にされた場合、建物の大きさと比べると、自由の女神は高さ93m、エンパイアステートビルは443m、これらを優に上回る高さの津波が街を襲うことになります。

ロシア・科学情報誌によると、平坦な地形の場合、押し寄せた津波が内陸最大500kmの地点まで到達し、首都であるワシントンD.Cやさらにその先まで押し寄せるとも言われています。

標的となった海岸の大部分は数十年間は居住不能に。

では、「ポセイドン」を迎撃することはできないのでしょうか?

軍事ジャーナリストの井上和彦氏は、「ポセイドン」は水深1000mの深さを時速130kmで進み、原子力推進のため、ほぼ無限と言っても過言ではないほど長大な航続距離を有していることにふれ、射程が限られた通常のミサイルでは迎撃は困難と指摘します。

井上氏によると、「ポセイドン」は現状まだ実験段階にあるものの、本格的な実験を行うだけで大惨事になりかねないといいます。

対するアメリカは現段階では「ポセイドン」に匹敵する兵器を持っていないため、大きな脅威に。

プーチン大統領はこの“脅威”を完成させるつもりなのでしょうか?

筑波大学・中村逸郎名誉教授:
完成させるつもりで動いていると思います。実は2019年にプーチン大統領の年次教書の中で初めて“ポセイドン”に触れたんですね。このポセイドンの開発は2015年頃から開発がスタートしたと言われています。それはどのような時期に重なるかというと、国を挙げてロシアがドーピングを行ったということで、欧米から制裁を課せられた。そうした中で、対欧米ということで、ポセイドンを作るという構想ができあがりつつあるということなんですね。ですから、プーチンとすれば最後までやりきるつもりで作っているのだと思います。

2024.03.19 19:00 | 固定リンク | 戦争
NATOロシア攻撃「即応部隊30万人以上」
2024.03.17
NATOロシア攻撃 即応部隊を30万人以上「ロシア攻撃・時間との競争」 大規模演習も

ロシアはNATOの動きに対して、自国の安全保障を脅かすものと見なしています。NATOが即応部隊を30万人以上に増強を発表したことに対し、ロシアは欧州の安全保障を直接脅かす存在として位置づけられており、これは冷戦以来最大の規模での集団抑止と防衛体制の調整とされています。

また、NATOが新たな戦略概念を採択し、ロシアを「同盟国の安全保障と欧州大西洋地域の平和と安定に対する最も重要かつ直接の脅威」と位置づけたことに対しても、ロシアは反応しています。NATOは対立を求めず、ロシアに脅威を与えることはないとしていますが、防衛体制強化による抑止力を追求する方針を示しています。

ロシアはこれらの動きに対して、東欧からのNATO軍の撤退と過去約25年にわたる勢力拡大の巻き戻し、新たな加盟国の受け入れの停止を公然と要求しています。これは、NATOとの緊張関係が高まっていることを示しており、今後の国際政治の動向に注目が集まっています。

NATOは最近、数十年で最大規模の軍事演習を開始しました。これには約90,000人の人員が参加し、数ヶ月にわたる戦争ゲームが行われ、NATOがその領土全体を守る能力を示しています。

また、NATOは、変化するグローバルな安全保障環境において競争に先んじるために、NATOの戦争概念を策定しています。これには、技術革新や政治経済的な要因が含まれ、戦争の性質を変える可能性があります。NATOは、平和と紛争の境界が曖昧になり、戦略的および戦術的なレベルでの挑戦に直面しています。そのため、同盟国は焦点を合わせ、努力を同期させ、一致させる必要があります。

NATOは、ロシアのウクライナ侵攻に対する最強の非難を表明しており、ウクライナに前例のないレベルの支援を提供しています。

これには、寒冷地用衣類、ボディアーマー、燃料、輸送車両、安全な通信、戦闘用食料、地雷除去装置、医療用品などが含まれます。さらに、NATOはウクライナのソビエト時代の基準からNATO基準への移行を支援するための多年にわたる支援プログラムを約束しています。NATOはまた、NATOウクライナ評議会を設立し、すべてのNATO加盟国とウクライナが平等に座る危機協議と意思決定のフォーラムを提供しています。

ドイツ外交政策協会(DGAP)のシンクタンクが発表した報告書によると、NATOはロシアとの大規模な戦争を5年から9年以内に行う能力を持つ必要があり、モスクワがウクライナでの無期限の戦争を西側同盟とのより広範な対立に拡大する「機会の窓」を否定すると警告しています。

報告書によると、NATOはロシアとの「時間との競争」にあり、ウクライナでの激しい戦闘が終わった後、モスクワは武装勢力を再構築するのに6年から10年しかかからないかもしれません。その時間枠内で、ドイツとNATOは、必要に応じてロシアとの戦争を抑止し、戦うために自国の軍隊を有効にする必要があります。そうすることで、ヨーロッパで別の戦争が勃発するリスクを減らすことができます。

これらの情報は、NATOがロシアの侵攻にどのように対応しているか、そしてウクライナをどのように支援しているかについての最新の情報を提供しています。詳細については、NATOの公式ウェブサイトをご覧ください。また、NATOがロシアとの戦争に備えるための「時間との競争」にあるという報告書の詳細については、Newsweekの記事を参照してください。

NATO即応部隊、大規模増強へ ロシアの脅威受けて

北大西洋条約機構(NATO)は、即応部隊を30万人超の態勢に増強する計画を発表した。イェンス・ストルテンベルグ事務総長は記者会見で、ロシアが欧州の安全保障を直接脅かしている事態を受けての措置だと説明した。

即応部隊は現在4万人からなり、その多くはNATOの東端に配備されている。

で構成し、そのうち高機動部隊が2万人を数えるが、これを何倍もの規模に拡大する。28日夕からマドリードで開く首脳会議で決定するという。

ストルテンベルグ事務総長は、東欧に展開するNATO戦闘群の一部を、兵数千人からなる「旅団規模」に増強する方針を示した。これはロシアに対する明確な抑止の合図になると、事務総長は述べた。

「ロシア政府と(ウラジーミル)プーチン大統領は、我々の集団安全保障の仕組みを理解し、NATO加盟国を攻撃するとどうなるかも理解していると、確信している」と、ストルテンベルグ氏は記者会見で述べた。

NATO加盟国を攻撃すれば「同盟全体が反応することになる。そのメッセージを裏打ちするため、NATOのプレゼンスを拡大する」と、事務総長は話した。

NATO即応部隊は、攻撃された時点で素早く対応するため、陸海空の兵力を組み合わせて作られた。2014年に兵1万3000人で発足して以来、現在の4万人規模へと拡大してきた。

ロシアのウクライナ侵攻を受けて、即応部隊の多くは初めて「高度の即応態勢」に置かれた。多国籍の戦闘群が現在、ロシアと国境を接するラトヴィア、エストニア、リトアニア、ポーランドなどに展開している。さらに、ブルガリア、ハンガリー、ルーマニア、スロヴァキアにも戦闘群を増派する計画もある。

ストルテンベルグ事務総長が発表した計画は、28日夕からマドリードで開かれるNATO首脳会議で決定される見通し。

NATOにとってロシアの位置づけは

マドリード会議ではこのほか、ロシアに対するNATOの正式な姿勢を変更するものとみられている。NATOは2010年に採択した新戦略概念で、ロシアを「戦略的パートナー」と位置付けていた。

「マドリードで合意する戦略概念では、そのようなことにならない」と、ストルテンベルグ氏は記者会見で述べた。「ロシアは我々の安全保障や価値観、ルールにのっとった国際秩序を、直接脅かす存在だと、同盟各国は言明するものと思う」。

これに加えて米政府筋は、マドリード会議では中国についても「強い表現」が採択されることになると、報道陣に説明している。

アメリカもイギリスも、中国による台湾攻撃の脅威が高まっているという認識で、これに対抗するため、従来より強硬な姿勢をNATOとして示すことを強く求めているとされる。

他方、NATO関係者はロイター通信に対し、中国に対してフランスやドイツはそれよりも抑制的な姿勢を重視していると話した。

解説

ストルテンベルグ事務総長、NATO即応部隊の大幅な拡大について、「我々の集団抑止と防衛体制を、冷戦以来最大の規模で調整することになる」と説明している。

現在のNATO即応部隊は4万人強で、理論的には15日以内で兵員が現場に配備される。これに対して新しい即応部隊は、はるかに大勢が陸・海・空で高度の即応体制をとることになると、NATOは説明している。

理論的には、約30万人のうちの一部が数日で配備され、残りはさらに長期間にわたり展開することになる。NATO関係者は、「様々なレベルの即応態勢」を用意すると話す。

これは明らかに、ロシアへメッセージを送るための措置だ。ロシアは今や「同盟にとって最も重大で、直接的な脅威」になったのだから。

加えて、ロシアと最も国境が近いNATO加盟国を安心させるための措置でもある。2014年にロシアがクリミアに侵攻した際、NATOは真っ先にバルト各国にそれぞれ1000人規模の戦闘群を送り込んだ。

ロシアのウクライナ侵攻を受けて、NATOはすでに兵数百人を増派しており、さらに戦闘群を増強する用意がある。しかし、バルト諸国のように自国内に展開するNATO軍の大幅拡大を期待してきた加盟国は、これで満足するだろうか?

高度な警戒態勢にある即応部隊を国内に置くのは、明らかに譲歩だ。しかも、その方が選択肢としては安上がりだ。

NATO、「ロシアは直接の脅威」 アメリカは欧州での軍事プレゼンス拡大へ

北大西洋条約機構(NATO)首脳は29日、ロシアによるウクライナ侵攻に対処するため、抑止力と防衛の「根本的な転換」を行うことで合意した。アメリカは欧州全域で軍事的プレゼンスを高める。

NATOはこの日、スペイン・マドリードで開かれている首脳会談で、今後10年の指針となる新たな「戦略概念」を採択した。ウクライナに侵攻したロシアについては、「同盟国の安全保障と欧州大西洋地域の平和と安定に対する最も重要かつ直接の脅威」だとした。

また、「同盟国の主権と領土保全に対する攻撃の可能性を否定することはできない」としている。

NATOはさらに、2023年以降、緊急時に対応する即応部隊を現在の4万人から30万人以上に増強することで合意した。

米軍はポーランドに司令部設置へ

アメリカは、ポーランドに恒久的な陸軍司令部を設置し、軍艦をスペインに、戦闘機をイギリスに、地上部隊をルーマニアに配備するなど、欧州での米軍態勢を強化する方針を明らかにした。

ジョー・バイデン米大統領は、NATOは「かつてないほど必要とされている」と主張。「陸空海すべての領域で強化される」と述べた。

英国防省も、軍艦や戦闘機、陸上の待機部隊を増やし、NATOの集団防衛に利用できる軍事力を大幅に増強するとしている。ただ、「軍事機密」であるため具体的な数は明かしていない。

欧州での米軍態勢強化

バイデン氏は同盟国の領土を「隅々まで守る」というNATOの取り組みについて繰り返し言及。「1カ国に対する攻撃は全加盟国に対する攻撃だ」と述べた。

アメリカは今後、スペインに駐留する米海軍の駆逐艦を4隻から6隻に増やす。

ルーマニアには戦闘機3000機と2000人の戦闘チームからなる「交替制旅団」を追加配備する。

イギリスにはステルス戦闘機「F-35」の2部隊を増派し、ドイツとイタリアの防空能力なども高める。

イギリスはすでにエストニアでの軍事的プレゼンスをほぼ倍増させ、1600人強の部隊を配置している。

NATOがロシアを敵国認定、中国の「組織的な挑戦」初明記…首脳会議で新たな「戦略概念」採択

北大西洋条約機構(NATO)の首脳会議が28日夜、スペインの首都マドリードで開幕した。29日には、今後10年間の行動指針となる新たな「戦略概念」を採択し、ウクライナを侵略したロシアを事実上の敵国と認定した。中国についても欧米への「組織的な挑戦」を突きつけていると初めて明記し、NATOは冷戦後最大の転換点を迎えている。

NATOの戦略概念の改訂は冷戦後4回目で、2010年以来となる。

 ロシアは破壊的な手段で直接的な支配の確立を試みているとして、米欧の安全保障への「最も重大で直接的な脅威」と位置づけた。現行の戦略概念では、ロシアを「戦略的パートナー」としており、NATOの危機管理の指針を大きく転換させた。ただ「NATOは対立を求めず、ロシアに脅威を与えることはない」として、防衛体制強化による抑止力を追求する方針を改めて示した。

中国については「多岐にわたる政治的、経済的、軍事的な手段を使って、力を誇示しようとしている」と覇権的な行動のリスクに言及した。経済面でも「重要インフラや戦略物資を握ろうとしている」と強調した。欧州とインド太平洋の安全保障は不可分として、日本、韓国、豪州、ニュージーランドとの協力強化を推進する方針だ。

29日午後~30日には具体的な戦略も協議される。欧州東部の防衛体制を大幅に見直し、強化を図る方針を打ち出す。安全保障上の危機が起きた際に出動する「即応部隊」を現在の4万人規模から30万人以上まで増員する考えだ。

NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は29日の首脳会議で「ロシアや中国のような権威主義体制が、ルールに基づく国際秩序に挑戦している。NATOは組織を強化する」と訴えた。

ウクライナ支援策には、長期の軍事支援を強調し、旧ソ連製が主流のウクライナ軍の兵器をNATO基準に近づけることを含めた「包括的支援」策も盛り込む。29日の会議には、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領がオンライン形式で出席し、追加支援を訴えた。

スウェーデンとフィンランドのNATO新規加盟を巡っては、反対していたトルコが28日、北欧2国と首脳協議を開き、加盟を認める覚書に署名した。北欧2国は、トルコが求めるクルド人勢力らの引き渡しなどに応じる。これにより、29日の首脳会議では、北欧2国の加盟申請が全会一致で認められ、近く、加盟に向けた手続きが始まる。
2024.03.17 06:04 | 固定リンク | 戦争
湾岸戦争以来「空母五隻」
2024.03.07
バイデン大統領が原子力空母を北朝鮮近海に派遣する計画について、北朝鮮は「強力な武力」で防衛すると述べ、激しく非難しています。

中国とロシアも米国の行動に反対しており、中国は「米国とその同盟国が緊張を高めている」と主張しています。一方、イラン政府内部からはフーシ派の行動に対する困惑の声が漏れており、フーシ派への統制力が弱まっている可能性があると報じられています。また、米海軍空母の派遣は、フーシ派の行動に対する抑止力としての役割を果たす可能性があります。

中国は全国人民代表大会(全人代)を開催中であり、香港の国家安全条例案の立法手続きが急加速していることが注目されています。これらの動向は、地域の緊張を高める要因となっており、今後の展開が注目されます。

また、中国はこの動きに対して、地域の緊張を高めるものとして懸念を表明しており、北朝鮮との軍事行動の可能性に言及しています。また、中国は米国とその同盟国が緊張を高めていると主張し、米国の行動に反対しています。

米空母の展開は、地域の安定を維持するためのバランスを取りながら進められている中国の行動に影響を与える可能性があります。中国は北朝鮮との複雑な関係を考慮しながら、地域の安定を維持するための対応を模索していると考えられます。



米国は、朝鮮半島近海の西太平洋に原子力空母5隻を集結させると報じられています。この動きは、4月10日の韓国総選挙や5月20日の台湾新総統就任を念頭に置いたものとされています。

展開される空母(湾岸戦争以来)

空母「ロナルド・レーガン」は日本の横須賀に、空母「セオドア・ルーズベルト」は米領グアムに、空母「カール・ビンソン」は日本の沖縄南方海域に展開しています。

さらに、空母「エイブラハム・リンカーン」が訓練を終えて西太平洋に到着する予定であり、空母「ジョージ・ワシントン」も西太平洋地域に展開することが予定されています。

意図と影響

この派遣は、湾岸戦争以来、最大の空母の集結であり、朝鮮半島周辺の海では史上初めてのことです。

米国のこの行動は、北朝鮮と中国に対する抑止の意思を示すものと見られており、地域の緊張を高める可能性があります。

専門家は、空母5隻が集結すれば「北朝鮮は恐怖に震えるだろう」と述べており、中国と北朝鮮が軍事的挑発を強行する可能性が少なくないと指摘しています。

このリポートは、公開されている情報に基づいており、連動戦争を止めるための米国の戦略的な動きについての概要を提供しています。今後の展開に注目が集まっています。

「史上初、空母5隻が北朝鮮近海に展開」米メディア報道

米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)は7日、米海軍の原子力空母5隻が4月から5月にかけて、朝鮮半島に近い西太平洋に集結すると見られると報じた。米空母5隻がこの地域に集結するのは初めてで、4月10日の韓国総選挙や5月20日の台湾新総統就任が念頭にあるはずだとする専門家の分析も伝えている。

RFAは米海軍研究所(USNI)を引用し、今月5日の時点でロナルド・レーガン(CVN76)は日本の横須賀に、セオドア・ルーズベルト(CVN71)は米領グアムに、カール・ビンソン艦(CVN70)は日本の沖縄南方海域に展開していると伝えた。

また、すでに米西海岸のサンディエゴから艦載機を積んで出航したエイブラハム・リンカーン(CVN72)が、訓練を終えて同時期に西太平洋に到着するという。さらに、現在は大西洋にいるジョージ・ワシントン(CVN73)が、ロナルド・レーガンと交代するため、やはり4〜5月ごろ、西太平洋地域に展開するとのことだ。

米海軍は現在、11隻の空母を保有している。韓国のNGO・自主国防ネットワークのイ・イル事務局長はRFAに対し、「米空母5隻が朝鮮半島の近くに集結すれば、これは米国にとって湾岸戦争以来、最大の空母の集結であり、朝鮮半島周辺の海では史上初めてのことだ」とコメントしている。

また、米ランド研究所のブルース・ベネット上級研究員は、米空母5隻が集まれば「北朝鮮は恐怖に震えるだろう」としながら、展開時期は韓国の総選挙や台湾総統就任のタイミングと合っていると指摘し、北朝鮮と中国の軍事行動の可能性に言及した。

米国による空母5隻の派遣に対する北朝鮮と中国の反応は、以下の通りです。

北朝鮮の反応

北朝鮮は、米国の空母集結に「恐怖する」との見方があります。これは、空母5隻が朝鮮半島の近くに集結すれば、北朝鮮にとって史上初の事態であり、湾岸戦争以来、最大の空母の集結となるためです。

中国の反応

中国は、米国の抑止の意思を示す空母集結に対して、韓国の総選挙と台湾総統就任を前後して軍事的挑発を強行する可能性があると見ています。米国のこの行動は、中国と北朝鮮が政治的目的で軍事行動をすることに米韓が相応の対応をする必要があるという見方も出ています。

これらの反応は、地域の緊張を高める可能性があり、今後の展開に注目が集まっています。

米空母5隻、4~5月に韓半島周辺に展開

米国の軍事力の象徴ともいえる5隻の原子力空母が4~5月ごろ、韓半島付近の西太平洋に集結することが分かった。米国が保有する空母11隻(稼働10隻)のうち5隻がこの地域に集結するのは初めて。4月10日の韓国総選挙と5月20日の台湾総統就任式を前後して緊張が高まる可能性があるとの観測によるものとみられる。

米自由アジア放送(RFA)は7日(現地時間)、米海軍研究所(USNI)を引用し、「5日現在、米空母『ロナルド・レーガン』(横須賀)と『セオドア・ルーズベルト』(グアム)、『カール・ビンソン』(沖縄)の3隻が、韓半島付近の西太平洋に展開された」と明らかにした。

また、主に韓半島地域を担当する米第7艦隊所属の「エイブラハム・リンカーン」も5日、カリフォルニア州サンディエゴから出港し、西太平洋に向かった。現在、大西洋にいる「ジョージ・ワシントン」も4、5月ごろ、「ロナルド・レーガン」と交代するために、この地域に移動することが分かった。

RFAによると、5隻以上の米空母が同時に一海域に集結するのは、1990~91年の湾岸戦争以来初めてだという。米海軍報道官は、米空母5隻の同時展開について、「空母の移動は作戦のセキュリティ上の問題であり、今後の作戦については言及しない」と伝えた。

米空母の西太平洋集結は、中国と北朝鮮に対する米国の抑止の意思を示すという見方もある。韓国の総選挙と台湾総統就任を前後して、中国と北朝鮮が軍事的挑発を強行する可能性が少なくないためだ。米シンクタンク、ランド研究所のブルース・ベネット上級研究員は、「5隻の空母が韓半島付近に集結すれば、北朝鮮は恐怖に震えるだろう」とし、「北朝鮮と中国が政治的目的で軍事行動をすることに米韓が相応の対応をする必要がある」と強調した。

■バイデン大統領が来日、空母2隻を率いた真意とは

バイデン大統領は、就任後初めて来日し、**IPEF(インド太平洋経済枠組み)**の始動を宣言しました。

彼はこの訪問で、空母2隻を伴っていました。これは、軍事力と外交力を総動員した訪日外交の一環とされています。

IPEFは、日米豪印を中心とする13カ国が参加する新しい経済連携枠組みで、知財などのルール作りを中心としています。

この訪日は、軍事力を総動員し、大統領の生身の体さえ使って、知財を中核とする新しい経済枠組み、IPEF実現に動いていることを示しています。

バイデン大統領が初訪日し、バイデン政権では2度目となる日米首脳共同声明が行われたが、過去にない異例の措置が行われた。空母打撃群(1隻の空母と数隻の水上艦艇と1隻の潜水艦を1グループとして構成される部隊)を2つこの地域に展開させ、基地祭により多くの群衆がにぎわっている横田基地にバイデン大統領が生身をさらした。

それから1カ月が経過し、こうした軍事力と外交力を総動員した異例の訪日外交がIPEFという新たな知的財産(知財)における対中攻勢を実現するためだったということが明らかになってきた。

このIPEFはバイデン訪日時に東京で始動が宣言された、日米豪印を中心とする13カ国が参加する経済連携枠組みだ。従来の関税を中心とする貿易協定ではなく、知財などのルール作りを中心とするユニークな枠組みである。

つまりバイデン政権は、軍事力を総動員し、大統領の生身の体さえ使って、知財を中核とする新しい経済枠組み、IPEF実現に動いているというわけだ。本稿では、訪日に懸けたバイデン政権の動きと、そこまでして実現しようとするIPEFについて論じる。

バイデン政権が投じた膨大な対日攻勢、空母を展開させ、横田基地の観衆に身をさらす

今回のバイデン大統領の初訪日は、前例のない複数の軍事・外交手段が“コンボ”として発揮された。個別の施策が全て連携していたのだ。

まず今年5月20日、横須賀を母港とする米空母「ロナルド・レーガン」が通常のパトロール任務に就くために護衛艦艇とともに出港した。

次に21日に米海軍の空母「エイブラハム・リンカーン」が艦載機を満載するという珍しい状態で横須賀基地に初入港した。しかも、横須賀を母港としない米空母の入港は数少なく、異例ずくめだろう。

「エイブラハム・リンカーン」はカリフォルニア州サンディエゴを母港としている。今回の寄港は短期間の休息のためとしているが、バイデン政権の意思を示すものとして行われたことは間違いない。バイデン大統領の発言が、軍事力による裏付けに基づくものとするためだ。

これは筆者だけの考えではない。米軍の準機関紙『星条旗』によれば、米海軍大学教授のライル・ゴールドスタインは「バイデン大統領の訪日と軌を一にして、米海軍最大の海外基地2つの空母打撃群が入れ替わったのは、恐らく偶然ではない。バイデン政権は、インド太平洋に焦点を合わせつつも、入り組んだ状態のロシア・ウクライナ戦争に対処することで、『歩きながらガムをかめる』と証明しようとしている」と指摘している。

つまりバイデン政権は、ロシア・ウクライナ戦争でウクライナを全面支援(=ガムをかむ)しつつも、本来の焦点であるインド太平洋における中国軍を封じ込める(=しっかり歩ける)ことを証明すべく、2隻の空母に艦載機を満載させた状態でこの地域に展開させ、1隻は洋上でパトロールさせ、もう1隻は横須賀に寄港させたというわけだ。

軍事力を裏付けにしたバイデン政権の外交の妙であり、空母打撃群を活用する伝統的な米外交の最良の部分が発揮されたと評価できる。しかも、バイデン政権の“コンボ”はここで終わらなかった。

バイデン政権の次の一手は、この翌22日、3年ぶりに開催されていた横田基地友好祭の末尾に、大統領専用機であまたの観衆の中に着陸して登場するというサプライズだ。確かに横田基地友好祭は、写真付き身分証を提示し厳しい身体検査を受けた上で入場するが、万単位の群衆の中に大統領専用機で降り立ち生身をさらした意味は大きい。

バイデン政権は、それだけ日本と日本人を同盟国として信頼し信用しているというメッセージに他ならない。これら一連の出来事を組み合わせたことで、一部で懸念されていた「韓国よりも後回し」に対する批判を吹き飛ばした。

このように、米海軍と米空軍をフル活用したバイデン政権の巧みな演出により、日米同盟を新たな方向へとアップデートするという意思を軍事力によって示すことに成功した。これは日本に対する安心供与であり、中国、台湾、その他のアジア諸国などへのメッセージになったと評せる。

異例の取り組みで日本重視を示したバイデン大統領だが、これは「IPEF」という知的財産権からの対中攻勢に日本を巻き込むためだったとみるべきだ。これはIPEFの実態を見れば明らかだ。

バイデンが軍事力と大統領の体を懸けてまで実現したい「IPEF構想」とは

今回の訪日に際しバイデン大統領は、IPEFの発足を表明し、日米以外にはオーストラリア・インド・インドネシア・マレーシア・ベトナム・フィリピンなどの海洋国家の13カ国で発足した。繰り返すが、この枠組みに日本を入れて、さらにインドをも巻き込むために、全ての軍事的資源と大統領の生身をバイデン政権は投じたのだ。

それは、IPEFの本質を見ればよく分かる。巷間、IPEFはTPP(環太平洋パートナーシップ協定)と同列に語られることもあるが、実際は違う。もし同列であるならばTPPを再度進めればよいだけであり、新たに作る必要はない。

またIPEFは、TPPでは議会が貿易協定を認めなかったことを踏まえた苦肉の策との指摘もあるが、これも違う。そうであるならば、純粋な貿易協定に近いものにすればよいだけだが、実態は明らかに知財やサプライチェーンの問題に主眼が置かれており、異なる。

つまり、TPPではできないことがIPEFの本質ということになる。ここで、TPPとIPEFの違いを見てみよう。TPPは関税・非関税を含めた経済障壁を取り除くことに重点が置かれており、IPEFはTPPや他の自由貿易協定を結ぶ自由主義陣営を知的財産の枠組みでまとめ上げるものとなっている。

特に、バイデン政権は知的財産権で中国を締め上げようとしたオバマ政権の事実上の後継であり、この問題に関する関心は強い。オバマ政権がやり残し、トランプ政権で止まっていた知的財産権の問題を再起動しようというもくろみだ。

要するに、これまでの自由貿易を広げていくだけではなく、中国やロシアといった、自由主義ではなく知的財産権も軽視するような国家体制を排除することが、IPEFの主眼なのだ。こうなってくると、インドを巻き込むことの重要性が分かる。インドは自由主義陣営だが、知的財産権に関してはかなり甘く、しかも中ロと日米のはざまに位置する地域大国だ。

インドは、日本とは関係を強化しており、QUAD(日米豪印4カ国による外交・安全保障の協力体制で、当初は対話がメインだったが最近では実務的な協力が増えて緩やかな“同盟”へと徐々に向かっている)の文脈で、日本と一丸となってIPEFに引きずり込めるか、それとも引きずり込めないかでは、戦略的な要件がまるで変わってしまう。

このインドを引きずり込むために、バイデン政権は空母2隻を動員し、大統領自身まで使い、わざわざ東京でIPEFを宣言したとみるべきだ。QUADを発案した日本としても、そこまでされればインドの説得に全力を傾けざるを得ない。日米からの説得を受けたインドも、まずは合意に乗らざるを得ない――というのがバイデン訪日の実態だろう。

このように、IPEFは知的財産権を使った自由主義陣営の勢力圏であり、中国とロシアと長い戦いを行っていく上で必須アイテムといえるだろう。

そうなれば日本としても、これだけの抑止力と対処力を用意し、東京で宣言するという花を持たされた以上は、米国の知財政策に呼応していくべきだ。

IPEFを中心とした対中知財攻勢は、日本と東南アジアやインドを知的財産権を尊重するグループとし、自然と中国などと価値観が明示的に異なる集団を形成し、長期的な結束力と経済的利益をもたらすからだ。

もしも知的財産権で、中国やロシアの方式に東南アジアやインドが流れてしまえば、それは成熟した多くの知財を抱える日本の国益にならなくなる。この点では日本政府の政策論は弱いようだが、米国のこの地域における知財政策や連携をリードするような提案を図るべきだ。それは日本のイノベーションを促進し、過去の知財からの利益を正当に受け取れるという意味で、国益となる。

例えば、中国を中心とするBRICs諸国やWTO事務局は、WTOを舞台に新型コロナウイルスワクチンの特許などの知財保護を放棄させるべく、外交攻勢を始めている。一見もっともらしいが、こうしたことが許されるならば、パンデミック時やそれに備えてワクチン開発を行う西側の製薬企業は消滅してしまうだろう。

なぜならば、せっかく多額の投資と多年の研究を経て開発したワクチンが、人類救済の美名のもとに著作権を放棄させられ、中国などによって安価に大量生産され市場から駆逐されてしまうからだ。これは西側諸国のみならず、世界の人道のためにも好ましいことではない。

しかも中国は、これを契機に知財保護を自国にとって都合のよい緩やかなものとし、IPEFの野望を台無しにしようとしているとの指摘もある。その意味では、日本は米国と連携し、中国を中心とするWTO加盟国が知財保護を順守するように要求していくべきだ。

同時に今回のバイデン訪日で展開された、こうした複数の軍事力を組み合わせた非軍事目的での活用は、日本としても学ぶ点は大きい。今後の日本外交の範とすべきだ。単に防衛費を2倍にするのでは芸がない。全ては使い方なのだ。
2024.03.07 15:40 | 固定リンク | 戦争

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