中国がキューバに米通信傍受のスパイ基地
2023.06.30



中国がキューバに米通信傍受のスパイ基地、ファーウェイ従業員の動向追跡米紙報道

 米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)は8日、中国とキューバが米国の通信を傍受するスパイ施設をキューバ国内に設置することで合意したと報じた。米政府関係者の話として、中国が財政難のキューバに数十億ドル(数千億円)を支払うと説明。軍事基地がある米南東部と近いキューバから、中国が通信情報を盗聴し、米船舶の動きを監視するという。

 キューバのカルロス・フェルナンデス・デ・コシオ外務次官は8日、「我々は中南米・カリブ海地域での全ての外国軍の駐留を拒否している。全くの作り話で根拠のない報道だ」と否定。米国防総省のパット・ライダー報道官も8日の記者会見で「我々の情報に基づけば、報道は正確ではない。中国とキューバによるいかなるスパイ拠点の開発も把握していない」と述べた。

アメリカのバイデン政権は、中国が中米のキューバに情報収集のための施設を設け、4年前の2019年に増強させていたと指摘し、キューバ政府に懸念を伝えたと明らかにしました。中国がアメリカ本土に近いキューバで、情報収集活動を活発化させているとして警戒を強めているものとみられます。

アメリカのブリンケン国務長官は12日、記者会見で、中国が中米のキューバに情報収集のための施設を設け、4年前の2019年に増強させていたと指摘しました。

そのうえで「中国は自国から離れたところでも軍事的な影響力を行使できるよう、世界各地で情報収集拠点を拡大しようとしている」と述べ警戒感を示しました。

また、ホワイトハウスのカービー戦略広報調整官は記者会見で「中国がキューバで情報収集能力を手に入れようとするのは新しいことではない」としながらも、キューバ政府に対し懸念を伝えたと明らかにしました。

アメリカ国防総省が去年公表した報告書では、中国軍は、カンボジアやケニア、それにタジキスタンなど各地で軍事拠点の設置の可能性を検討しているとされています。

バイデン政権としては、アメリカ本土に近いキューバで、軍事力を増強させている中国が、情報収集活動を活発化させているとして警戒を強めているものとみられます。

一方、キューバのロドリゲス外相はみずからのツイッターに動画を投稿し「中国のスパイ施設がキューバにあるというアメリカ国務長官の主張は完全なうそだ」と反論しました。

■中国外務省報道官 米側の主張を強く否定

中国外務省の汪文斌報道官は、12日の記者会見で「アメリカ当局やメディアは、中国がキューバにいわゆるスパイ施設を設置したなどと一連の矛盾した情報を拡散した」と述べ、アメリカ側の主張を強く否定しました。

そのうえで「アメリカが、どれだけ中傷しても中国とキューバの友好関係を壊すことはできない。アメリカが、世界各地で大規模かつ無差別に、盗聴や機密情報を盗んでいる事実も隠すことはできない」と反論しました。

■専門家 “今後も拠点として強化していくと考えられる”

中国と中南米の関係に詳しい上智大学の岸川毅教授は「ラテンアメリカの中ではキューバは中国にとって長い間、国交を結んでいるし、思想的にも一緒で、一番情報収集の拠点として使いやすいところだ。アメリカに近くて情報もいろいろあるはずなので今後も拠点として強化していくと考えられる」と指摘しました。

中国は、台湾で「1つの中国」の原則を認めない蔡英文政権が2016年に発足して以降、経済援助などをてこに、中南米で台湾の友好国の切り崩しを進め、ホンジュラスやニカラグアなど台湾との断交を表明し、中国と国交を結ぶ国が増えています。

岸川教授は、中国が中南米への影響力を拡大させるねらいについて「中南米全体が『アメリカの裏庭』と長く言われ、いわゆるアメリカの覇権が一番強力な地域だった。そこに自分たちが確実に存在感を高めているというひとつの宣伝材料の意味もあると思う」と分析しました。

そして、今回の件が今後の米中関係に与える影響については「アメリカは中国を刺激しないような言い方をしている。今後、中国との交渉や会談を進めていく前なので、あまり荒だてない程度にひと言、言ったというように見える」と述べ、限定的だとする考えを示しました。

■ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は21日、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)と中興通訊(ZTE)の社員が、中国がキューバに設置した情報収集のためのスパイ施設に出入りしていると報じた。米政府関係者が社員の動きを追跡したところ、中国政府が通信会社をスパイ活動に利用している可能性があることが分かったとしている。

米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は21日、米政府関係者が中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)と中興通訊(ZTE)の社員らを追跡調査したところ、キューバに設置した中国のスパイ施設に出入りしていることを突き止めたと伝えた。同紙によると、米当局は中国政府がこれらの社員を諜報活動に利用している可能性があるとみている。

そのため、バイデン政権は中国がキューバで情報収集を拡大する取り組みを続けていると警戒。両社を巡っては、米国などが安全保障上の脅威があるとして排除を進めている。これに対し、ファーウェイとZTEは、それぞれ声明で「根拠がない」として、スパイ施設との関与を否定。中国外務省もキューバでのスパイ活動を否定している。

WSJ紙によると、両社は中国へのデータ送信に使用できるネットワーク機器などを専門に扱っているが、傍受に使う高度な機器は製造していないとみられる。

米政府当局は今月10日、同紙が8日に中国がキューバで諜報活動を展開するための基地を置く計画があると報道したことを受け、記事は正確ではないと指摘し、異例の反応を示した。その上で米政府当局は、中国が以前から世界各地で情報収集施設を拡充し、少なくとも19年にはキューバで情報活動をする4つの施設を置き、両国で共同運営しているとの見方を明らかにした。

さらにWSJ紙は20日、中国とキューバがスパイ施設のほかに、共同でキューバに新たな軍事訓練施設を設置する交渉を進めていると、現職と元職の米当局者の情報として報道。中国軍を常駐させ、スパイ活動強化に道を開く可能性があると伝えた。

カリブ海に浮かぶ社会主義国であるキューバと米国・フロリダ州最南端キー・ウェストとの距離はわずか160キロ足らず。目と鼻の先に中国軍が駐留する可能性があるため、米政府は強い懸念を抱いているという。

複数の関係者の話としてWSJ紙が伝えたところによると、中国側はキューバ政府と共同で、米国に近い北岸に軍事訓練施設を設置する計画について協議し、まだ結論は出ていないものの、同紙は「かなり進んだ段階」まで進んでいるようだとした。

同紙はまた、訓練施設は兵士が常駐するだけでなく、米国を監視・盗聴する拠点となりかねないため、計画を察知したバイデン政権はキューバ側に接触し、思いとどまるよう働きかけているとの関係者の情報を伝えた。

米国防総省のシン副報道官は20日の記者会見で、訓練施設の報道について直接言及することは避け、「中国が西半球に関心を持ち、軍事的な拠点を拡大しようとしていることは承知しており、われわれは監視し続ける」と述べるに留まった。

また、中国外務省の毛寧報道官は同日の定例記者会見で、報道された問題について承知していないと述べた。
2023.06.30 21:18 | 固定リンク | 速報
プーチン反撃「(FSB)プリゴジン氏周辺逮捕」へ
2023.06.30



プーチン氏反撃にでた。(FSB)プリゴジン氏周辺洗い出し・スロビキン氏拘束、ワグネル・プリゴジン氏に近い人物次々拘束。 粛清始まる。

戦争どころではない。プーチン氏が粛清開始か、ワグネル反乱を事前把握?の副司令官を拘束…報道相次ぐ。

セルゲイ・スロビキン副司令官がワグネル創設者エフゲニー・プリゴジン氏との関係について数日にわたり軍検察官の聴取を受けた。副司令官はある場所に拘束されているが、拘置所ではないという。関係者は注意を要する情報を話しているとして匿名を要請した。

スロビキン氏(56)はワグネルによる24日の反乱が収拾して以来、公の場に姿を現していない。プーチン大統領はこの反乱について、ロシアを「内戦」の瀬戸際に追いやったと述べていた。

プーチン氏は昨年10月、スロビキン氏をウクライナ戦争のロシア軍総司令官に指名。同氏はこの翌月にヘルソン市からのロシア軍撤退を指揮し、今年1月には総司令官がゲラシモフ軍参謀総長に交代されていた。

プリゴジン氏はスロビキン氏の軍事手腕を繰り返し高く評価する一方で、ゲラシモフ氏やショイグ国防相ら他の軍幹部を厳しく批判していた。

ワグネルの反乱を受けてスロビキン氏は24日、プリゴジン氏とワグネルに蜂起をやめ、プーチン氏の「意思と命令に従う」よう呼び掛ける動画を国防省のテレグラムに投稿した。これ以来、消息を絶っている。

インタファクス通信によると、ロシアのペスコフ大統領府報道官は29日の記者会見で、スロビキン氏が解任または拘束されたのかと問われたが、コメントを控え、国防省に照会するよう促したという。

■ショイグ国防相プリゴジン氏反乱後初の発言

ロシアのショイグ国防相は27日、ロシアの民間軍事会社ワグネルによる反乱未遂が起きてから初めて、カメラの前で発言した。

ショイグ氏は首都モスクワで開催されたキューバ国防相との会合で発言した。ショイグ氏はロシアとキューバの関係が「今日、高まりつつある」と述べた。ショイグ氏は、キューバはロシアにとって依然として重要な同盟国であり、ウクライナでの「特別軍事作戦」が開始された理由について十分に理解していると述べた。

ショイグ氏は、米国が何十年にもわたってキューバに対し、違法かつ非合法な貿易や経済の封鎖を行っている状況で、ロシアは「自由の島」に援助を提供し、キューバの友人に肩を貸す用意があると述べた。

■英紙報道

英紙フィナンシャル・タイムズは29日、ロシアの民間軍事会社「ワグネル」創設者のエフゲニー・プリゴジン氏による反乱に絡み、ロシアのウクライナ侵略で副司令官を務めるセルゲイ・スロビキン上級大将が拘束されたと報じた。スロビキン氏はプリゴジン氏と近い関係で、反乱計画を事前に知っていたとされる。プーチン露大統領がプリゴジン氏に近い勢力の粛清を始めた可能性がある。

スロビキン氏はプリゴジン氏が武装蜂起を宣言した直後、動画でワグネル戦闘員に自制を呼びかけたが、その後消息が途絶えた。同紙は、反乱を支持した疑いでの逮捕か監視下に置くための拘束かは不明としている。露独立系紙「モスクワ・タイムズ」は逮捕だと報じた。

スロビキン氏は航空宇宙軍のトップを兼ね、今年1月まで侵略作戦の総司令官を務めた。プリゴジン氏らウクライナ侵略で強硬路線を主張する一派に支持され、セルゲイ・ショイグ国防相とは緊張関係にあった。

ロシアの有力な軍事SNS「Rybar」は28日、露軍部で「大規模粛清が行われている」と指摘した。露軍内部の混乱はウクライナの戦況にも影響を与えるとみられる。

一方、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは28日、プーチン政権がワグネルの事業吸収に乗り出したと報じた。今後、汚職摘発などでプリゴジン氏の影響力をそぐ可能性がある。

ロシアの軍事ブロガーや独立系の一部メディアは28日、ウクライナで続く「特別軍事作戦」を統括する露軍のスロビキン副司令官が逮捕されたと報じた。英紙フィナンシャル・タイムズも29日、欧米政府高官らの話として同氏の拘束を報じた。露民間軍事会社「ワグネル」がプーチン政権に反旗を翻した事件の余波で、軍が揺らいでいる模様だ。

逮捕情報に先立ち、米紙ニューヨーク・タイムズは27日、軍への不満を募らせていたワグネルの主張にスロビキン氏が理解を示してきたと報道。米政府関係者の見方として、同氏が事前に武装蜂起の動きを把握していたと伝えている。

ペスコフ露大統領報道官は29日、スロビキン氏について問われると「国防省に尋ねてほしい」と言葉を濁した。その上でプーチン大統領がショイグ国防相ら現任の軍首脳部と働き続けるとの立場を強調した。

ワグネルの反乱を受けながらも、プーチン氏はウクライナで戦闘を続ける部隊を再び結束させることを重視。反乱を主導したワグネル創設者のプリゴジン氏ら幹部や戦闘員を訴追しない決定を下した。だが、軍首脳部に属するスロビキン氏の逮捕が事実で反乱関連の容疑だった場合、新たな混乱を引き起こしそうだ。

■スロビキン氏(反乱翌日の25日に逮捕)

ロシアの有力軍事ブロガー、ウラジーミル・ロマノフ氏は28日、通信アプリ「テレグラム」にスロビキン氏の現況に関する情報を投稿。反乱翌日の25日に逮捕され、モスクワの施設で拘束されているという。ロシアの独立系英字メディア「モスクワ・タイムズ」も28日、複数の情報筋の話として同氏の逮捕を報じ、「蜂起の際、スロビキン氏がプリゴジン氏側を選んだことから、(政権に)首根っこを押さえられた」との情報筋の発言を紹介している。

別の有力軍事ブロガーの情報によると、政権側が国防省や軍の高官の「忠誠度」を調べる動きも始まっているという。

航空宇宙軍総司令官を務めてきたスロビキン氏は2022年10月、ウクライナでの軍事作戦を統括する司令官に就任。今年1月にプーチン氏がてこ入れし、制服組トップのゲラシモフ参謀総長を統括司令官兼務に据え、スロビキン氏は副司令官の一人にしていた。
2023.06.30 09:47 | 固定リンク | 戦争
ベラルーシのキャンプは罠?
2023.06.29



プリゴジンのものと見られるプライベートジェットが6月27日、ベラルーシに着陸したが、プリゴジンが率いる民間軍事会社ワグネルの未来は不明なままだ。 ベラルーシのキャンプは罠? プーチン更迭か?

プリゴジンの所有とされる「エンブラエル・レガシー600型機」(エンブラエルはブラジルの航空機メーカー)が、現地時間午前7時37分にミンスク南西の飛行場に着陸したと、ベラルーシの人権監視団体「ハジュン・プロジェクト」が報告した。

ロシアで武装反乱を起こしたプリゴジンは24日、ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領が仲介したウラジーミル・プーチン大統領との取り決めにより、モスクワへの進軍を止めて隣国のベラルーシにやってきたとみられる。2日後、プリゴジンは「進軍の狙いは、ロシア軍指導部の無能さを追及することにあり、プーチン政権の転覆ではなかった」と述べた。

プリゴジンはさらに、ワグネルの独立性の維持も求めていた。これについてロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのシンクタンク「LSE IDEAS」のシニア・アソシエイト、レオン・ハートウェルはニューズウィークの取材に対し、「ワグネルはロシア正規軍に吸収される可能性もある」と話した。

■ベラルーシのキャンプは罠?

アメリカのシンクタンク戦争研究所(ISW)も、プーチンが26日にワグネルの指揮官と戦闘員に向けて発したメッセージを受けて、ワグネルをロシア国防省に組み込みたいというロシア政府の意図を示していた、と述べた。

ワグネルは分割され、それによってロシア軍の既存の編成が強化される可能性がある。だが、プリゴジンの百戦錬磨の部下たちが果たしてロシア正規軍の命令に従うのか、という疑問は残る。

「反逆者を正規軍に吸収することは大きなリスクを伴うが、ウクライナの戦場では正規軍よりワグネルのほうがはるかに大きな戦果を上げてきたことを思えば、プーチンはワグネルの人的資源と経験を何としても必要としている」と、ハートウェルは言う。「プリゴジンを取り込まないことも、リスクを伴う。プリゴジンを野放しにしておけば、ウクライナ戦争の大義について、ロシアの公式プロパガンダと矛盾する発言を続ける可能性がある」

ロシアの反体制メディア「Verstka」は26日、ベラルーシ当局が、プリゴジンに従うワグネルの戦闘員を収容するためモギリョフ州に新たにキャンプを建設していると伝えた。プーチンは、ベラルーシはロシア正規軍に加わりたくないワグネル戦闘員たちの「避難所」だと説明した。だが、これが「罠」である可能性もあるとISWは述べている。ロシア政府は、そうした戦闘員たちを裏切り者と見なすからだ。

ワグネルが今後どうなるにしても、この軍事会社は、ロシア政府にとってきわめて便利な存在だった。これは、ワグネルがドネツク州の都市バフムトでの戦いを制したウクライナに限った話ではない。

■ワグネルの今後

プーチンがウクライナに侵攻した2022年2月以前のワグネルの中核事業は、中央アフリカ共和国やマリなどの政府を警護することだった。

ワグネルとロシア政府とのつながりは長く謎に包まれていたが、いまや公然の秘密だ。その証拠にロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は26日、ワグネルはアフリカにとどまるだろうと発言した。またプーチンは27日、ワグネルには国家予算から年間860ドル余りの資金提供をしてきたと認めた。

LSE IDEASのアソシエイト、ヴク・ヴクサノヴィッチはニューズウィークに対して、「ワグネルは、アフリカ大陸におけるロシアの安全保障上の存在感を担う大きな要素だ。その見返りにロシア政府は、アフリカのレアアース鉱物などの重要資源を入手する」と話した。

「したがって、ワグネルは今後も、ウクライナでも国際的にも、活動を継続するだろう。ただし、ロシア国防省の厳しい統制下で、ということになる可能性が高い」とヴクサノヴィッチは述べる。

「プリゴジンがいなくなっても、ワグネルは「ウクライナや、その他の安全保障に関わる現場にとどまり続ける」と続けた。「ロシア政府は、ワグネルという資産を手放したくはないだろう」と、ヴクサノヴィッチは言う。
プリゴジンは海外での活動継続を許される可能性もある。「プリゴジンが、国外におけるワグネルの活動の指揮を続けられるかどうかは、プリゴジンとロシア指導部との関係を理解するうえで重要な鍵になる」と、欧州外交評議会(ECFR)広域欧州プログラム長のマリー・デュムランはニューズウィークに話した。

■「プリゴジンの乱」で、プーチン早期退陣の可能性

ロシアが混乱状態に陥れば、予測不能で核兵器も持つロシアは世界にとって危険な存在に

傭兵は、カネの切れ目が縁の切れ目。犬は捨てられると、飼い主にかみついてくる。1979年のソ連のアフガニスタン侵入後、アメリカが支援した反ソ連・ムジャヒディンの勢力は、ソ連軍撤退後はアメリカに見捨てられて、反米テロリスト集団「アルカイダ」に衣替えしている。

今回のプリゴジンの乱については、プリゴジン特有の大げさな物言いが横行していて判断を鈍らせるが、昨日までのロシア・西側の報道を総合すると、実情は次のようなものだろう。

■西側の報道を総合すると

プリゴジンが囚人から身を起こし、ケータリング・サービスで軍に取り入り、プーチンに取り入り、「プーチンの料理長」と呼ばれるようになったのは周知の事実。その後、彼は「軍隊ケータリング」、すなわち傭兵業に手を伸ばす。2014年、ロシア軍が東ウクライナに侵入した時、米国の傭兵会社が活動していたが、ロシア軍諜報部GRUは同じような企業をロシアにも作っておくと便利だと思い、プリゴジンをくわえこんだのだろう。

しかしプリゴジンのワグネル社は、ロシア軍には敵視される。国のカネで活動しているのに(プーチンは27日、2022年5月からの1年間で、政府がワグネル社に兵員給料・賞与用に約10億ドル分の資金を払ったと言っている)、軍の命令を受けず、「いいとこ取り」ばかりするからだ。2015年秋にはロシア軍とともにシリアに駐留したが、この時も夜間勝手に油田の接収に向かい、守っていた(とは知らなかった)米軍から壊滅的な攻撃を受けている。ロシア政府は「ワグネルは民間会社」ということでしらを切ったが、本当は米ロの軍事衝突すれすれだった。

これでワグネルはさすがに中央から冷や飯を食わされ、リビアとか中央アフリカ共和国でのドサ周りをさせられる。ここで地元の鉱産資源利権などに食い込もうとしたが、多分うまくいかなかったのだろう。2022年2月、ウクライナ戦争が始まると、欧州に舞い戻る。

そして戦線が膠着すると、ワグネルは中央から便利に使われ始めた。ロシア軍が兵員確保に苦労する中で、ワグネルは月2000ドルを超える給与を提示。戦死保険まで備えて、兵員を募集した。そして100万人に上る囚人という人材プールに目を付け、当局とのコネで囚人を戦線に叩き込む。死刑の代わりに。

この半年、ワグネルは「バフムトの戦い」の主役だった。冬季に軍は大きく動けないが、戦略拠点(と言うほどでもない)のバフムトを決戦の場に仕立て上げて、ウクライナ軍を消耗させた。ロシア軍本体は温存され、二重・三重の塹壕・堡塁線と地雷原を構築した。

この防御線のせいで今、ウクライナ軍の逆攻勢は止められていて、ロシア軍の間では「ドネツクでのサファリ」という言葉が流行している。つまりドイツがウクライナに供与した戦車レオパルト(豹)を鹵獲(ろかく)、あるいは破壊しに行こうと言うのだ。ウクライナ軍が消耗した時を見計らって、ロシア軍が逆逆攻勢に出れば、占領地域を拡大することができるだろう。

これで、ワグネルは不要になった。カネがかかるし、弾薬をやらないとすぐ国防相や総参謀長の悪口をSNSに書き立てる。これはもう、軍の中に吸収してしまおうということで、6月末にはその契約への署名受付を始めることになった。

■モスクワへの「進軍」

ここでワグネルは立ち上がる。ウクライナに接するロストフ州の首都ロストフ・ナ・ダヌーにあるロシア軍南方軍管区の建物などを「占拠」、23日にはトラックなどを連ねてモスクワへの「進軍」を始める。その模様をSNSなどで流すから、ロシアの国営テレビもニュースで詳しく流さざるを得ない。というわけで、外部からは1917年のロシア革命後、地方から「反乱軍」が攻めあがった時と同じに見えてしまった。

しかし一連の騒ぎは、白昼夢のごとく、音も色もついていない感じ。と言うのは、「反乱軍」がロシア軍(国内軍)の抵抗を何も受けていないのだ。抵抗しても、ワグネル軍の戦力にはかなわなかっただろうという見方もあるが、ハイウェーを高速で走るワグネル軍がミサイルとか大砲を落ち着いて撃てるはずもない。

要するに、「ワグネル軍を止めろ」という指令がクレムリンから下りてこなかったから、軍、国家親衛隊(国内軍)、警察等々、ロシア専制国家を支える装置の数々はばらばらのまま、動き始めなかった、というのが実情なのだろう。日本でもよくある、「上からの調整が不十分で、諸省庁の谷間に落ちて」しまったのだ。

それに、「プリゴジンはプーチンのお抱え」という意識が浸透しているから、現場では自分の判断で何かをしようという気が起きない。

加えて、今回の「進軍」は当初、「反乱軍の進軍」ではなかった。「プーチンお抱え傭兵隊の陳情のためのクレムリン詣で」だったのだ。日本の戦前の二・二六事件で、天皇の意を受けた「兵に告ぐ」声明が出るまでは、反乱軍はまだ反乱軍ではなかったのと同じ。

だから24日10時、意を決した――自分の責任であることを認めるのと同じだったので――プーチンが声明を発して、ワグネルを反乱軍扱いしたところで、プリゴジンも反転を即座に決めた。プーチンはプリゴジンと直接取引はできないので、ルカシェンコにプリゴジンとの交渉を委ねた。ルカシェンコにとっては、プーチンに恩を売る絶好の機会。

■プーチン早期退陣の可能性

プーチン早期退陣の可能性が出てきたと思う。「プリゴジンの乱」のごたごたはプーチンの責任だ、彼がウクライナ戦争を始め、プリゴジンなどを引き込んだせいで、ロシアは破滅に向かっているではないか――という声が、ロシアの要人たちの喉から出かかっている。ロシアは、プーチン独裁の国ではない。公安=FSBを核とする保守エリート層の神輿として、プーチンは存在している。神輿が古くなると、次の神輿が担ぎ出される。

プーチンは1999年12月、エリツィンに禅譲を受け、首相から大統領代行に昇格。翌年3月の選挙で正式に大統領になった人物。当時のエリツィンは1998年8月のデフォルトで経済をめちゃめちゃにした上、病気で執務もできず、周囲から圧力を受けていた。禅譲の4カ月前の99年8月、プーチンは国家保安庁長官から首相に横滑り、9月にはチェチェン独立運動鎮圧戦争を開始。首相が司令官役を務めるというのは異例なことなのだが、首都グロズヌイを灰燼に帰すという決然たる指揮ぶりで大人気を得ると、その勢いで2000年3月の大統領選挙で勝利する。

当時の情勢を、ウクライナ戦争の今に当てはめるとどうなるか? 「ロシアはこれからウクライナで逆逆攻勢に出て、キーウをミサイルで大規模攻撃。ドネツク州、ザポリッジャ州、ヘルソン州全域を占領。それを成果にして停戦合意を結ぶ。この逆逆攻勢はプーチンに差配させるのではなく、後任の大統領代行にさせる。その代行は逆逆攻勢での「功績」を支えに、来年3月の大統領選挙で国民のお墨付きを得る。もともと有力な対抗馬はいない。しかし後任者の人気を盛り上げるには、禅譲は早い方がいい」ということになる。

■「ミシュスチン(首相)大統領代行」の可能性

となると、ミシュスチン首相が最も自然な禅譲相手。大統領が執務不能の場合の代行は首相、と憲法で定められているからだ。また、彼は元国税庁長官で、経済のマネジメントに優れているし、2020年1月首相就任以来、権力の黒幕FSBとも信頼関係を築いているだろう。

西側のマスコミでは、プーチンの後任として、シロビキの親玉であるニコライ・パトルシェフの息子、ドミトリー・パトルシェフ農業大臣が云々されることが増えている。まだ経験不足だと思うが、6月14日には国賓として来訪したテブン・アルジェリア大統領を空港に出迎えている。

7月11日にはリトアニアでNATO首脳会議がある。今のところ、ここではNATOのウクライナ支援の限界が明らかになる情勢だ。ここまでロシアは静かにしているのが得策。そして夏、西側諸国の関係者が皆休暇に出て、緊急対応がしにくい時を狙ってプーチンは退陣。「大統領代行」が「逆逆攻勢」を開始する、という寸法だ。

■ロシア軍のメルト・ダウン? 「動乱時代」へ?

話しは続く。で、逆逆攻勢を開始すると、消耗しているウクライナ軍は抵抗できないかもしれない。しかしこの時、天祐が働く。と言うのは、ロシア軍、国防省の上層部ががたがたになって、派閥闘争も生じている可能性があるので、そういう時ロシア軍の兵士は「自主性」を発揮することがあるからだ。第1次大戦の時、本国首都の情勢が流動化する中、上官を射殺したり(これは自衛隊でも同じ)、勝手に故郷に帰ってしまう兵まで続出している。

26日付のBBCロシア語ニュースは、「何が何だかわからない混乱期が到来するかもしれない。17世紀初頭の『動乱時代』のような時期が10年以上続き、予測不能で核兵器も持つロシアは、世界にとって危険な存在になるだろう」と書いている。

■『砂の器』

6月10日付の英エコノミスト誌は面白い記事を掲載している。プーチンの実の母親はベラ・プチーナと言って、5月31日ジョージアの寒村で97歳で亡くなったとしている。彼女はロシアにいた頃、大学のパーティーで知り合った男と一夜を過ごしてプーチンを懐妊。その後ジョージアの兵士と結婚して、ジョージアに移住。プーチンは一緒にいたが、9歳の時、ベラの両親のもとに厄介払いされた。ところがこの両親(祖父母)は病身で、プーチンを軍の寮に送り、その後ベラとの音信は途絶えた、というのだ。

これはまるで松本清張の小説、映画『砂の器』のような可哀そうなロマン。暗い思い出を抱えた男が名声を博すも、追いつめられて殺人を冒すという物語。プーチンは戦争犯罪を犯して、国際刑事裁判所のお尋ね者となり、うっかり海外に出られない。これではロシアの外交は麻痺してしまう。これもまた、ロシアの保守エリートたちが「彼を更迭する」理由の一つになるだろう。
2023.06.29 08:28 | 固定リンク | 戦争
プリゴジン氏の言い分(メッセージ)
2023.06.28



ロシア大統領府によれば、事態収拾に向けた取引の一環として、プリゴジン氏の隣国ベラルーシへの出国を認め、同氏とワグネル戦闘員に対する反乱罪での刑事訴追に向けた手続きを取り下げるとプーチン大統領が自ら保証したという。ロシアのペスコフ大統領報道官は「これ以上の犠牲を伴わず、緊張のレベルをさらに高めることなく、事態を収拾することができた」とコメントした。

衝撃的な発表により、ロシアの民間軍事会社ワグネルのトップ、エフゲニー・プリゴジン氏が、不可避と思われたプーチン大統領の軍隊との衝突を停止することが明らかになった。この状況をクーデターや内戦と呼ぶ見方もあったが、実際のところクレムリン(ロシア大統領府)の門前で血みどろの戦闘が繰り広げられるとの見通しは除外された。

プリゴジン氏は自身の部隊の向きを変えていた。モスクワへの前進から、亡命先とも思えるベラルーシへと進路は変更された。

差し当たっての危機は食い止められたが、根底にあるものは変わらない。それはプリゴジン氏とプーチン氏に起因する、かなり以前からの問題だ。

何よりも、多くのロシア人にはかねて口にすることのなかった信念があった。自らの声が聞かれるのを恐れる国民ではあるが、根本的にウクライナでの戦争は戦う価値もなければそのために命を落とす値打ちもない、そんなものとは全くかけ離れているというのが彼らの考えだ。今やそうした不穏な内容の小さな秘密は、まだ完全ではないにせよ十分に知れ渡っている。そしてその点だけでも、影響は途方もないものになる可能性がある。

最も差し迫った、恐らくは天啓に導かれて訪れたその瞬間は、23日に始まった。プリゴジン氏は公開した驚くべき30分間の動画で、ウクライナへの侵攻を腐敗したエリートによる「悪徳行為」だと断じた。ただプーチン氏に直接言及することだけは慎重にこれを避けた。

「ロシアを支配する寡頭体制の一派が戦争を必要とした」「精神を病んだ卑劣漢どもが決めたのだ。かまわないから、ロシアの男たちをあと数千人投入して砲弾の餌食にしてしまえと。連中は砲火を浴びて死ぬだろうが、我々は欲しいものを手にできると」。プリゴジン氏はそう主張した。

もちろん、プリゴジン氏が極めて直接的にエリートの腐敗について発言したのはこれが初めてではない。同氏の考えによれば、こうした腐敗はロシアの国家と軍隊を侵食する存在に他ならない。

先月、プリゴジン氏は親ロシア派のブロガー、コンスタンティン・ドルゴフ氏との扇情的なインタビューでこう言い放っている。「エリートの子どもらがクリームを塗りたくってネットに出ている間、庶民の子どもは戦場で八つ裂きにされている。母親は我が子を思い、嘆き悲しんでいる」

この戦争はウクライナの武装解除というその目的を一切果たしていないと指摘しつつ、プリゴジン氏はさらに畳みかける。「以前のウクライナ軍の戦車が500両だったとすれば、今は5000両だ。熟練の兵士がかつては2万人いたとすれば、今は40万人いる」

ベラルーシへの再配置で、プリゴジン氏はおとなしくなるだろうか? そうは思えない。現在、理論上同氏はプーチン氏の法体系の及ばないところにいるが、依然として携帯端末とノートパソコンの威力にものを言わせる可能性はある。

しかし、恐らくそれにも増して重要なのは、同じように口にはされていないもののほとんど露見しているあの兆候の方だろう。今や現実になったも同然のその兆候とはつまり、皇帝は裸だということだ。もう認めるしかない。

確かにプーチン氏は暴力的な衝突を回避することができた。それが起きていれば自身は失脚した可能性があった。とはいえ同氏は、全国放送で誓った自らの約束を破らざるを得なかった。プリゴジン氏の部隊が進軍する間、プーチン氏は「裏切りの道」を歩む者には罰が下ると明言。「軍事的反抗を(組織すると共に)準備し、武器を戦友に向ける者たちはロシアを裏切った。その責任を問われることになるだろう」と述べていた。

実際のところ、そうはならなかった。今回の事案は疑いなく、同氏の大統領の地位に対する最大にして最も直接的な挑戦だった。にもかかわらず、現時点ではっきりとした結果が生じていない。

当然、場合によってはしばらくはっきりしない事柄もあるだろう。

第一に、プーチン氏が対応するのはプリゴジン氏ただ一人ではなく、数千人の兵士も含まれる。彼らはかつてないほど疑問に駆られているかもしれない。一体なぜ自分たちは、プーチン氏の戦争を戦っているのだろうかと。

プリゴジン氏の23日の動画は、SNSテレグラムの自身のチャンネルで公開したもので、間違いなく広範に視聴された。とりわけ戦場の兵士たちや、ロシア全土の数百万人の間で。過去の同氏のインタビューも、特に前出のドルゴフ氏とのものは同じようにフォローされた。

この状況で、プーチン氏と同氏の将軍たちはどうやってウクライナに派遣された部隊を説得できるだろうか? 自分たちが戦っている戦争には命を投げ出すだけの価値があるのだと、どうすれば納得させられるというのか?

少なくともロシア軍からは、ここまで1万人が自主的な投降を願い出た。そうした求めはウクライナ軍が設置した専用のホットラインに、昨年9月以降寄せられている。

しかもプーチン氏が近い将来、配下の将軍の誰か一人でも見限るような兆候はほとんどない。プリゴジン氏は彼らの無能と戦争での敗北について警告。ずっと以前に迅速かつ無傷での勝利を自ら約束していながら、それを果たせていないと警鐘を鳴らしていた。この点ではプリゴジン氏に易々(やすやす)と軍配が上がるように思える。

実際のところプリゴジン氏が率いるワグネルは、最近のウクライナで組織的に勝利している唯一の部隊のようだ。本人が指摘するように、東部の要衝バフムートを数週間にわたる無益な戦いの後に制圧したのは、同氏の指揮する戦闘員たちだった。

戦場以外にも、別の不確定要素がプーチン氏に迫る可能性がある。今や同氏は自らが招いた状況に直面し、明らかにそれを制御できていないように見える。プーチン氏は長年にわたり事実上自身の言いなりだったルカシェンコ氏を頼り、ともすれば命取りになりかねない危険な状況を鎮めなくてはならなかった。この動きは、かねてプーチン氏が支援を当てにしてきた取り巻きの間で注目を集めずにはおかない。またプーチン氏の信頼厚いぺスコフ報道官がプリゴジン氏の所在を記者団に告げることができなかったという事実も、一段と厄介な話に思われる。

何よりも、現場で起きている事実が本質的にプーチン氏のこれまでの発言とことごとく食い違う。ロシアはこの戦争で勝利していない。1年前にはものの数日もしくは数週間で終わるはずだったにもかかわらず。ウクライナは一段と強化され、戦力の高まりに拍車がかかる。プリゴジン氏が最も直接的な形で指摘した通りだ。そして、プーチン氏はもう比類ない強者ではないのかもしれないとの懸念が広がる。同氏は過去20年間にわたり、自身をそうした強者と位置づけてきた。

なるほど、仮に誰がより強い権力を握っているかと問うなら、プーチン氏は輝きを失いつつある側だということができるかもしれない。

「16カ月前、ロシア軍はウクライナの首都キーウの玄関口にいた。ものの数日で街を奪取し、ウクライナを地図から消せると考えながら」。ブリンケン米国務長官は25日、CNNの番組でそう述べた。「今や彼らは、自分たちの首都モスクワの防衛に注力せざるを得なくなっている。相手はプーチン氏自身が作り上げた傭兵(ようへい)部隊だ。ここから多くの意味深い問いが浮かび上がる。答えは向こう数日、数週間で出ると思う」(ブリンケン氏)

最終的に焦点はウクライナへと移り、ゼレンスキー大統領と配下の将軍たちが今回の贈り物をどのように最大限活用し得るのかに注目が集まっている。プリゴジン氏が突如として彼らにもたらしたこの贈り物を。

果たしてウクライナ軍からの強力な攻撃がその答えなのだろうか? プリゴジン氏がこの常軌を逸した週末に露見させた、厳しい問いの答えとなり得るのだろうか? もしそうであるなら、ここは単に身を引いて、クレムリンの権力闘争がどのように繰り広げられるのかをじっくり観察すればいいのかもしれない。
2023.06.28 16:17 | 固定リンク | 戦争
ロシア・セルゲイスロビキン氏「反乱知っていた」
2023.06.28

米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)は27日、米政府高官の話として、ウクライナでのロシアの軍事作戦副司令官であるセルゲイ・スロビキン氏が、民間軍事会社ワグネルの創設者エフゲニー・プリゴジン氏による反乱計画を事前に知っていたと報じた。写真はスロビキン氏

米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)は27日、米政府高官の話として、ウクライナでのロシアの軍事作戦副司令官であるセルゲイ・スロビキン氏が、民間軍事会社ワグネルの創設者エフゲニー・プリゴジン氏による反乱計画を事前に知っていたと報じた。

同紙によると、この件に関する米情報当局の情報について説明を受けた政府高官らは、スロビキン氏がプリゴジン氏の計画を支援したかどうかを把握しようとしているという。

また、他のロシア軍指揮官らがプリゴジン氏を支援した可能性も示されているという。

米国防総省はロイターのコメント要請に応じていない。ロシアの大統領府と国防省も、ロイターの問い合わせに回答していない。

スロビキン氏は昨年10月にウクライナでの作戦の司令官に任命されたが、今年1月、ショイグ国防相はゲラシモフ軍参謀総長を最高司令官に任命し、スロビキン氏を副司令官とした。
2023.06.28 15:14 | 固定リンク | 戦争

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