市川猿之助さん「両親の死因判明」
2023.05.24

■市川猿之助両親の死因とされる“向精神薬”中毒は「医療の抜け道」「致死量の入手も」専門家が警鐘

 18日朝、救急搬送された歌舞伎俳優・市川猿之助さん(47)が歩けるまでに回復し、すでに退院していることがわかった。警視庁は19日、自宅で見つかった両親の死因は司法解剖の結果、「向精神薬中毒の疑い」と発表した。

 猿之助さんは発見時「意識障害があり、会話ができない」状態だったとされるが、本人も向精神薬を服用したのかどうかはわかっていない。

 ネット上には「向精神薬が大量にある状況ってどういうものなんだろう」「いったい何錠のんだんだ?」「死んじゃうほどの向精神薬ってなに?」といった声があふれた。

■「睡眠薬」「抗うつ剤」高齢者に行われる多剤併用

「向精神薬とは、脳などに作用して、いわゆる精神活動に影響を与える物質全般を指します。例えばお酒に含まれるアルコールは、飲むと一時的に気分が高揚したり、急に眠くなったりするなど脳の働きに影響するので、広い意味では向精神薬に含まれます。

 ただ医療現場で「向精神薬」といった場合は、不眠や気分の落ち込みなど精神的な症状を訴える人に対して医師が処方する、睡眠薬や抗うつ薬などを指すのが一般的です」

 と話すのは医療ジャーナリストの市川衛さん。

 脳は、睡眠や食欲、呼吸など生命の維持に関わる働きをコントロールしていており、さらには、感情や認知、痛みの知覚など非常に多様な働きを担っているが、こうした働きのバランスが崩れて生活に支障が出た時などに向精神薬が処方される。具体的には不眠、不安、うつ、認知症など様々なケースが存在する。

「向精神薬の乱用が社会問題化している代表例が、アメリカ。アメリカでは、麻薬系鎮痛薬であるオピオイドの乱用が問題となり、“オピオイド・クライシス”と呼ばれています。過剰摂取による死亡者は、2004年には年間9千人ほどでしたが、2021年には年間8万人が亡くなっているとされます。オピオイド鎮痛薬を安易に処方する医療施設の存在や、地方都市における経済格差、近年ではコロナ禍による社会不安の増大などが背景にあると指摘されています」

 日本では、特に高齢者に対して、不眠や不安などへの対処として睡眠薬や抗うつ薬などの「多剤併用」が行われ、依存症や転倒、寝たきりなどを引き起こしているとたびたび指摘されている。

■重複処方とためこみで「相当量」の可能性

「例えば、脳の働きを抑える作用のある向精神薬を飲みすぎれば、呼吸などの活動まで抑えられてしまい、命に関わる危険があります。医療機関で医師が処方する場合には、そうした副作用が起きないよう用法や用量が決められており、ただちに命に関わるような量が処方されることは考えにくいと言えます。

 ただし、例えば2008年に発表された調査では、向精神薬を過量服用して救急外来に搬送された人(273件)のうち、薬剤の入手経路の8割以上(229件)は“患者本人に対する医療機関からの処方”。医療機関による安易な処方が疑われるケースのほか、患者側が過去に処方された薬を使わずにためておいたり、複数の医療機関を受診して重複処方を受ける場合もあると指摘されています」

 猿之助さんの父と母に持病があり、向精神薬をためていたのか、それともーー。

 入手経路や入手時期など詳しい捜査が行われる見込みだ。

■市川猿之助 両親は向精神薬中毒死の疑い 医師の見解は「無理やり飲ませるということは難しい」

 18日に東京・目黒区の自宅から救急搬送された歌舞伎俳優・市川猿之助(47)が、死亡が確認された父の市川段四郎(本名・喜熨斗弘之=きのし・ひろゆき)さん(享年76)、母の延子(のぶこ)さん(享年75)は向精神薬中毒で亡くなった疑いがあることが分かった。この日、猿之助は搬送先の病院を退院した。

 猿之助の両親、市川段四郎さんと延子さんは司法解剖の結果、向精神薬中毒死の疑いがあることが判明した。

 向精神薬とは、抗うつ剤や睡眠導入剤などの総称。脳の中枢神経に作用し、思考や感情、意欲などに影響するもので、睡眠障害やパニック障害の治療などに用いられる。そうした薬はドラッグストアなどでは購入できず、一般的には医師に処方されるケースが多いとされている。

 司法解剖によると、2人は睡眠導入剤のようなものを大量摂取したとみられる。外傷や注射痕は体からは見つかっていない。両親がどのような経緯で、どの程度の薬を服用したのかも分かっておらず、今後警視庁は両親の血液を調べるなどして、薬物の特定を急ぐ。

 医療ガバナンス研究所の上昌広理事長(医師)は死因について「中毒死するほどの薬物を大量に摂取するとなると、自分で(意思を持って)飲まないと難しいでしょう」と指摘する。「錠剤では(致死量は)何十錠にもなるので、誰かが物理的に無理やり飲ませる、ということは難しいと思います。どんな薬でも大量に飲めば死に至りますが、ドラッグストアなどで手に入る一般的な薬を大量に飲んで、中毒死するということも考えにくいと思います」と述べた。

■市川猿之助、一家心中か 「家族会議をした」 向精神薬中毒の疑い 両親の死因判明

 歌舞伎俳優の市川猿之助(47)が都内の自宅で倒れている状態で発見され、父で歌舞伎俳優の市川段四郎さん(76)と母の喜熨斗(きのし)延子さん(75)の死亡が判明してから一夜明けた19日、3人が一家心中を図った可能性があることが分かった。猿之助が警視庁の聴取に両親と「家族会議をした」と説明していたことも明らかになった。両親は司法解剖の結果、向精神薬中毒で亡くなった疑いがある。

 18日に病院に搬送された猿之助。同日中に警視庁の事情聴取に対し「(死亡した両親と)家族会議をした」と話していたことが捜査関係者への取材で判明した。一家心中を図った疑いがあり、警視庁は猿之助からさらに詳しく事情を聴くなどし経緯を調べる。マネジャーは猿之助について、搬送の前日まで「変わった様子はなかった」と話しているという。猿之助は19日午後、退院した。

 一方、両親2人の遺体は、この日午前7時半ごろ、安置されていた目黒署を出て、都内の司法解剖を行う施設に運び込まれた。夕方、向精神薬中毒で亡くなった疑いがあると公表された。2人に外傷や注射痕はなく、17日から18日にかけて死亡したとみられる。

 発見時の3人は嘔吐(おうと)した状態だったことも判明。捜査関係者によると、いずれも吐いたような跡や口から泡が出ていた状態だったという。警視庁は口から睡眠導入剤のようなものを大量に摂取したとみているが、19日に猿之助宅の現場検証と家宅捜索を実施した結果、関連する薬物や容器は見つからなかった。家には土足痕など、一家以外の第三者が関与した形跡もなかった。家宅捜索ではスマートフォン複数台などを押収した。

 現場で死亡が確認された延子さんが、発見時、死後数時間が経過していたとみられることも分かった。死後硬直が始まっていたという。夫妻は2階リビングで1枚の布団が掛けられた状態で横たわっていたが、段四郎さんは搬送先の病院で死亡が確認された。延子さんは発見される前日に死亡していた可能性もあり、2人の死亡時間の差についても捜査を進める。

 3人は18日午前、マネジャーが猿之助宅を訪れた際に返答がなかったため室内を確認した際に見つかった。段四郎さんと延子さんは目立った外傷は確認されず、検視では死因は不詳だった。

 猿之助を巡っては、雑誌「女性セブン」(小学館)が性加害やハラスメント疑惑を報じていた。

■市川猿之助さん両親、向精神薬中毒が死因か…警視庁が発表

 歌舞伎俳優・市川猿之助さん(47)の東京都目黒区にある自宅で倒れているのが見つかり、死亡が確認された両親について、警視庁は19日、司法解剖の結果、向精神薬中毒が死因とみられると発表した。猿之助さんは19日に都内の病院を退院しており、警視庁は回復状況を見て事情を聞き、詳しい経緯を調べる。

 死亡したのは、猿之助さんの父親で、歌舞伎俳優の市川段四郎さん(76)と、母親(75)。ともに死後1~2日経過していた。19日の現場検証で室内から薬物などは見つからなかった。

■向精神薬とは

 向精神薬は、医師から処方され、調剤薬局でのみもらえる睡眠導入剤や抗不安薬などの精神安定を目的とした薬。元麻薬取締官の高濱良次氏は「近年、幸福感や快楽を目的として薬を服用する若者が増えている」と指摘した。「今回は死を目的として、一度に規定量以上を服用した可能性が高い」と推測。また、死後硬直の時間のずれについては「順番に服用し、最後に猿之助氏が飲んだのではないか」とした。高濱氏は今後について「向精神薬を普段から服用していたのか、今回偽って処方してもらい使用に至ったのかについて捜査するのではないか」とした。

■所属事務所「情報把握に努めている」

 猿之助が退院したことを受け所属事務所は19日、公式サイトで「引き続き各方面からの情報把握に努めているところ」と説明。「現時点で、弊社として報道を超えた情報を把握いたしておりません」とコメントを発表した。
2023.05.24 06:49 | 固定リンク | エンタメ
ロシア国防省認める
2023.05.24

■ロシア国防省、領内の攻撃認め「粉砕した」 国境警備隊など狙ったか

 ロシア国防省は23日、「ウクライナの組織」が22日、国境地帯のベルゴロド州グライボロンスキー地区を攻撃したと発表した。国防省は国境検問所が砲撃を受け、領土に侵入されたが、ロシア軍が「粉砕した」としている。

 ウクライナを拠点とするロシア人の軍事組織とされる「自由ロシア軍団」が22日にSNSで攻撃を認めていた。現地の国境警備隊などが攻撃対象となったとみられるが、詳細は不明だ。

 自由ロシア軍団はロシア人に向けたSNSに「我々はあなた方と同じくロシア人だ。クレムリンの独裁を終わらせるときが来た。軍団は母国に戻る」などと投稿。国境検問所があるコジニカ村を「解放した」ともしている。

■「ウクライナ側の破壊工作グループを撃退」ロシア国防省 国境近くで掃討作戦続く「70人以上を殺害」

ロシア国防省は、ウクライナと国境を接する西部ベルゴロド州でウクライナ側から侵入したとする破壊工作グループを撃退したと発表しました。「70人以上を殺害した」としています。

 ロシア西部ベルゴロド州の知事は、22日にウクライナ側から破壊工作グループが侵入したとし、これまでに女性1人が死亡、12人が負傷したとしています。

ロシア国防省は翌23日、軍の空爆や砲撃により破壊工作グループを撃破したとし、「テロリスト70人以上を殺害、装甲車4台、トラック5台を破壊した」と発表しました。そのうえで「ウクライナ側が要衝バフムトで敗北したためテロ行為に及んだ」と主張しています。

 独立系メディア「ノーバヤ・ガゼータ・ヨーロッパ」は、掃討作戦にはロシア軍およそ4200人と軍事車両60台が投入されたとし、いまも続いていると報じています。

 侵入については、ウクライナ側として戦うロシア人部隊とされる複数のグループが関与を主張する一方、ウクライナのポドリャク大統領府長官顧問は「直接の関係はない」とコメントしています。
2023.05.24 05:54 | 固定リンク | 戦争
G7「グローバルサウス」核脅威の位置付け→ゼレンスキー氏
2023.05.23


■G7対面出席、英首相が提案 ゼレンスキー氏に、英紙報道

英紙ガーディアンは22日までに、ロシアの侵攻を受けるウクライナのゼレンスキー大統領がG7広島サミットに出席した背景にスナク英首相の提案があったと報じた。サミット開催の約1カ月前に対面で出席するべきだと電話で伝えたという。

同紙は、ゼレンスキー氏の出席には、同氏が呼びかけるウクライナ和平を議論するサミットの実現を各国首脳に支持してもらう狙いがあったと分析。特にロシアへの非難を避けるインドが「最大のターゲット」で、ゼレンスキー氏はインドのモディ首相との会談でウクライナの和平案を説明して協力を求めたという。

■4月にウクライナ大統領から対面参加要望と首相

岸田文雄首相は22日の自民党役員会で、ウクライナのゼレンスキー大統領の先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)対面出席は同氏の強い要望だったと明かした。「先月になってゼレンスキー氏から対面参加の強い要望があった。大統領の安全な来日を確保するため水面下での調整を集中的に行った」と説明した。

首相は「ゼレンスキー氏を交え、ウクライナ支援についてG7の連帯を強く発信することができた」と振り返った。

■ロシアの核使用…被爆都市・広島から強く牽制 ゼレンスキー大統領、訪日の目的とは

G7サミット広島が終わった。今回のサミットはこれまでの歴史の中で最も象徴的ものとなり、議長を務めた岸田総理は極めて重要な役割を果たした。そして、最大の象徴となったのは言うまでもなくゼレンスキー大統領の電撃的な訪日だ。

サミットが始まった当初、ゼレンスキー大統領はオンライン参加の予定だったが、急遽対面で参加するため、サウジアラビアのジッダから広島に向けて出発した。20日夕方前に広島空港に到着したゼレンスキー大統領は、すぐさまサミット会場に向かい、スナク首相やマクロン大統領、モディ首相などと相次いで会談した。

翌日にはサミットのウクライナ情勢や平和と安全に関するセッションに参加し、原爆資料館や平和公園を岸田総理と訪れ、最後に「戦争に勝利する」「広島のようにウクライナの復興を目指す」という決意を世界に向けて演説の中で発信し、帰国の途についた。

ゼレンスキー大統領も言及していたように、ウクライナ軍は不法占拠を続けるロシア軍に対する大規模な反転攻勢を開始するという。そのような過密なスケジュールの中、広島の訪問したゼレンスキー大統領の目的はどこにあったのだろうか。少なくとも大きく2つの目的があったように思う。

1つは、原爆投下の悲劇を受けた広島という存在だ。今日、ロシア軍は戦況で劣勢が続き、今後の反転攻勢によってさらなる弱体化を余儀なくされれば、プーチン大統領の脳裏には核という文字が鮮明になってくる。要は、今日ウクライナは核使用という現実的脅威にさらされており、ウクライナ軍優勢と核使用の脅威は皮肉にも比例的な関係にあるのだ。

それを十分に認識しているゼレンスキー大統領としては、このタイミングで世界唯一の被爆国の広島から反戦、核使用反対という強いメッセージを世界に向けて発信することで、ロシアを強くけん制する狙いがあった。被爆都市・広島から被爆の脅威にさらされている国の大統領が核使用反対を訴えるという、極めて象徴的な出来事が21日に現実のものとなった。

そして、もう1つの狙いはグローバルサウスの存在だ。今回のサミットにはG7諸国だけでなく、韓国やオーストラリアに加え、インドやブラジル、インドネシアやベトナムなどいわゆるグローバルサウスの国々が参加した。

ウクライナ侵攻以降、ロシアへ制裁を実施しているのは欧米日本など40カ国あまりにとどまり、グローバルサウスには欧米と中国ロシアのどちらにも寄らない国々が多い。グローバルサウスの盟主であるインドも、自由民主主義という価値観を欧米と共有する一方、ロシアとの経済関係を維持している。

今日、世界ではG7の影響力が薄まるなか、グローバルサウスの存在感が強まっており、ゼレンスキー大統領には第三国的立場を維持するグローバルサウスの国々に軍事、経済的支援を呼び掛けることで、自らの陣営に引き込みたい狙いがあった。そういう意味で、今回のサミットというタイミングを利用し、多くの国々の指導者と意見を交わせたことは同大統領にとって大きな成果となった。特に、大国として台頭しつつあるインドのモディ首相と会談できたことは、今後大きな意味を持つかもしれない。

当然のことだが、G7広島サミットとゼレンスキー大統領の訪日について、中国とロシアは早速反発している。中国は在中日本大使を呼び出して強く抗議するなど、対抗措置を辞さない構えだ。しかし、今こそ自由や人権、民主主義といった価値観を共有する国々の連携が求められている時はない。韓国のユン政権の誕生で日韓関係も劇的に改善し、今後はG7やクアッド、EUやNATOがグローバルサウスと如何に強固な関係を作れるかが最大の課題だろう。

■ロシア外務省、G7首脳声明を批判 「西側こそ核の脅威」 広島サミット

ロシアのリャプコフ外務次官は22日、先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)で発表された首脳声明に関して「(西側諸国は)現実をねじ曲げている」と批判した。

内容を検討し、必要な結論を出すとも述べた。タス通信が伝えた。

ロシア外務省は21日、核軍縮に関する「広島ビジョン」が問題視した「ロシアの核兵器の威嚇」に反論。G7の「作り話」と一蹴した上で「核の脅威は実際、モスクワではなくワシントン、ロンドンなど西側諸国の首都からもたらされている」と主張した。

■中国 G7首脳宣言に強く反発「中国の内政に干渉することに断固反対する」

G7広島サミットの首脳宣言で、台湾問題などへの懸念が示されたことを受けて、中国外務省は「中国の内政に干渉することに断固反対する」などとした談話を発表、強く反発しています。

G7広島サミットの首脳宣言を受け、中国外務省の報道官は20日、「G7のやっていることは国際平和を妨害し、地域の安定を損なうものだ」と批判する談話を発表しました。

サミットでは首脳宣言に「台湾海峡の平和と安定の重要性を再確認する」と明記されるなど、中国への懸念が示され、談話では「G7が中国を中傷し、中国の内政に干渉することに断固として反対する」としたうえで、台湾問題について「台湾は中国の台湾であり、中国人自身が決めることである。国家主権と領土保全を守る中国人民の強い決意を過小評価してはならない」と警告しています。

また、サミットの首脳宣言が香港や新疆ウイグル自治区、チベットなどの問題に触れたことについても、「中国の内政問題であり、人権を口実にした外部勢力の干渉に断固反対する」と反発しました。

さらに、「欧米の一部の先進国が恣意的に他国の内政に干渉し、世界情勢を操っていた時代は終わった」と指摘。「閉鎖的で排他的な『小さなグループ』が他国を封じ込め、抑圧することをやめるべきだ」と主張しました。

在日本中国大使館はG7議長国である日本に対し厳正な抗議を申し入れたことを明らかにしています。
2023.05.23 12:08 | 固定リンク | 戦争
バフムト「ワグネル包囲され殲滅」か
2023.05.22
■ウクライナ軍報道官「ワグネルを包囲し全滅させるだろう」 米軍元司令官「今週酷い目に遭うだろう」
  バフムト陥落を改めて否定



ロシアによるウクライナ侵略で、露国防省が制圧したと主張した最激戦地の東部ドネツク州バフムトに関し、ウクライナ軍東部方面部隊のチェレバティ報道官は21日、市内の南西部をなおウクライナ軍が保持しているとし、バフムトの陥落を改めて否定した。ウクライナ軍のシルスキー陸軍司令官は21日、「バフムト郊外でウクライナ軍が前進している」と述べた。ウクライナメディアが伝えた。

チェレバティ氏は、バフムト市内には露民間軍事会社「ワグネル」の部隊が展開しているが、同市郊外で前進しているウクライナ軍が「ワグネルを遅かれ早かれ包囲し、全滅させるだろう」とも述べた。

一方、ワグネルトップのプリゴジン氏は21日、「バフムト制圧の任務は完了した。25日にワグネルは戦闘地域を離れる」と改めて表明。今後、ワグネルは確保した陣地を露正規軍に引き渡した上で撤退し、部隊の再編成に着手するとし、今後2カ月間は戦闘に参加しない予定だと主張した。

ただ、米シンクタンク「戦争研究所」は、バフムト郊外にウクライナ軍が展開する中、ワグネルが無傷で撤退できる可能性は低いとの見方を示している。

■ウクライナ軍、最前線から100キロの露軍部隊本部を攻撃…長射程兵器を使用か

ウクライナ軍は21日、ロシア軍の占領下にある南部ザポリージャ州の港湾都市ベルジャンシクの露軍部隊の本部を攻撃し、損害を与えたと発表した。ベルジャンシクは戦闘の最前線から約100キロ・メートル離れており、長射程兵器を使った模様だ。ベルジャンシクはウクライナ軍が大規模な反転攻勢で奪還を目指す候補地として取りざたされている。

ウクライナ軍は使用した兵器については明らかにしていない。露軍側はウクライナ軍が英国から供与された長距離巡航ミサイル「ストームシャドー」(射程250キロ・メートル超)を使ったと主張している。

ウクライナ軍は英国がストームシャドーの供与を正式発表した11日以降、米国が供与した高機動ロケット砲システム「HIMARS」(射程約80キロ・メートル)で届かない距離にある露軍拠点への攻撃を活発化させている。

東部ドネツク州の港湾都市マリウポリでは19日夜に露軍が基地として使用している空港で大規模な爆発があった。露軍側は20日、マリウポリがストームシャドーによる攻撃を受けたと発表した。マリウポリもウクライナ軍による反攻の候補地の一つに浮上している。

一方、ウクライナ陸軍の司令官は21日、露国防省が「全域制圧」を宣言したドネツク州の要衝バフムト周辺の最前線を視察したとSNSで発表した。司令官はバフムト周辺での反撃で成果を上げており、奪還の機会がくると強調した。ウクライナ側はバフムトの陥落を認めていない。

■ワグネルは今週、酷い目に遭う――米軍元司令官

バフムトを「完全制圧」と主張したばかりだが、まもなくウクライナ軍に包囲される?

ロシアの民間軍事組織ワグネルは来週、ウクライナで「悲惨な状況」に直面するだろう――アメリカ欧州・アフリカ陸軍のマーク・ハートリング元司令官が21日、そんな見方を示した。東部の激戦地、バフムトがウクライナ側に包囲されているからだという。

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は昨年2月、「特別軍事作戦」の名の下にウクライナ侵攻を開始。短期間で勝利を収めるはずが兵士たちの士気の低さなどさまざまな問題に見舞われ、開戦後1年以上経っても戦いは続いている。中でも激しい戦闘が続いているのはウクライナ東部のドネツク州バフムトだ。

ワグネルは実業家のエフゲニー・プリゴジンが創設した。戦闘員の多くは元受刑者だ。バフムトでロシア軍とともに戦ってきたワグネルは、かつてはロシアの勝利の鍵を握ると見られていた。

バフムトを巡る戦況は数カ月間、膠着状態が続いていたが、ここを落とせばプーチンにとっては象徴的な勝利となるはずだった。だが激しい戦いの結果、どちらの勝利とも言いにくい状況になっている。

■バフムート攻防戦はまだ終わらない

プリゴジンは20日、メッセージアプリのテレグラムに、ワグネルがバフムトを完全制圧したと投稿し、ロシア側の勝利を主張した。だがウクライナはこれを否定。激しい戦闘はまだ続いており、今後の形勢のカギを握っているのは自分たちだと主張した。

ウクライナ陸軍のオレクサンドル・シルスキー司令官は21日、ウクライナ軍は近くバフムトの「戦術的包囲」を行うと述べた。本誌はウクライナとワグネルのどちらの主張についても真偽を確認できていない。

ハートリングはウクライナの発表を受け、21日にプリゴジンに警告するこんなツイートを投稿した。

「われわれが何度も言ってきたように、プリゴジンもワグネル戦闘員もプロの兵士ではない」「エフゲニー、おめでとう。バフムトの中心に旗を立てたんだね。だが、その君たちは包囲されている」

米シンクタンクの軍事研究所は21日、バフムトの一部地点がワグネルに制圧されたものの、いずれも「戦術的もしくは作戦上、重要な場所ではない」との見方を明らかにした。また、同研究所ではワグネルが勝利したという主張を裏付ける位置情報データは得られていないという。

一方でウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領は20日夜、メディアに対し、ロシア軍とワグネルの部隊はバフムトの「すべてを破壊した」と述べたが、21日の記者会見で制圧を否定した。
2023.05.22 14:29 | 固定リンク | 戦争
プーチンG7睨んで「バフムト制圧」と発表
2023.05.21



■ロシア軍、バフムト制圧へ兵力増派…ウクライナ軍報道官「戦闘は続いている」

 英国防省は20日、ウクライナに侵略するロシア軍が東部ドネツク州の要衝バフムトで、兵力を増強したとの分析を明らかにした。これに対してウクライナ軍は東部での反撃を強化し、反転攻勢の準備を進めている。

 ウクライナ国防次官は19日、露軍側が「数千人規模」の兵力を増派し、バフムト市内全域の制圧を試みていると指摘した。バフムト周辺でのウクライナ軍の戦闘については「ペースはやや落ちたが、前進が続いている」と述べた。

 これに対し、バフムト攻略で露軍側の主力を担う露民間軍事会社「ワグネル」の創設者エフゲニー・プリゴジン氏は20日、バフムト市内全域を制圧したとSNSで主張した。ウクライナ軍の報道官は20日、「戦闘は続いている」と述べ、陥落を認めていない。

 露軍は20日、首都キーウを3日連続で攻撃した。ウクライナ空軍によると、露軍は19日夜と20日未明に自爆型無人機20機を発射し、ウクライナ軍が全機を撃墜した。20日に発射された18機は全てキーウが標的だったという。ウクライナ軍の地対空ミサイルを消耗させて、反転攻勢を遅らせる狙いとみられる。

 一方、タス通信は、ウクライナ軍が20日、露軍の占領下にあるドネツク州の港湾都市マリウポリを複数のミサイルで攻撃したと報じた。露軍が基地にしている空港などで爆発が発生したとの情報もある。

■【速報】ロシア国防省がウクライナのバフムト制圧を発表 プーチン氏も祝福 G7睨んで タス通信

ロシア国防省はウクライナ東部の激戦地バフムトの完全制圧を発表し、プーチン大統領もこれを祝福しました。

 ロシア国防省は21日、ウクライナ東部の激戦地バフムトについて、「ロシア軍の支援を受けたワグネルの攻撃で、解放が完了した」と発表しました。

 これに先立ちロシアの民間軍事会社「ワグネル」の創設者・プリゴジン氏も廃墟の街の中でロシア国旗を掲げる映像をSNSに投稿し、バフムトの完全制圧を主張していました。

 タス通信によりますと、プーチン大統領がバフムトでの作戦完了を受け、ワグネルとロシア軍を祝福したということです。

 一方、ウクライナ軍の報道官は20日、現地メディアに対して「戦闘は続いており、我々はバフムトで多くの建物を保持している」とプリゴジン氏の主張を否定しています。
2023.05.21 19:55 | 固定リンク | 戦争

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