「このままでは死の波が来る」中国
2022.12.29
「このままでは死の波が来る」中国 コロナ感染拡大に医師らが警鐘
新型コロナの感染が急拡大している中国。現場の医師たちは、このままだと「死の波」が来るとSNS上で警鐘を鳴らし始めました。
これは河北省の動物園で撮影されたとされる映像。新型コロナに感染し、横になっている飼育員のもとに現れたのは…
飼育員
「水を持ってきて。水を飲みたいんだ」
サルです。飼育員は動物園に泊まり込みながら療養しているとしていて、サルが水を持ってくる映像が投稿されていました。
一方、こちらは24日の山東省の火葬場とされる映像。建物の前には遺体を入れたとみられる袋が並んでいます。
新型コロナによる死者の急増が指摘される中国。SNSではこんな動きが。
救急センター医師
「12月25日、きょうは救急の日勤です。食事やトイレの時間もないまま、一日中奔走しています。患者はみんな重い症状、資源は乏しい状態です」
現場からの切実な訴えを、医療関係者が相次いで投稿しているのです。
麻酔医
「一般に必要なとき以外は人工呼吸器をつけませんが、最近は多すぎます」
こちらの医師はこのままだと「死の波がくるかもしれない」と警鐘を鳴らします。
呼吸器の専門医
「呼吸器科の患者の大半はコロナで満床状態です」
新型コロナのオミクロン株について中国政府はメディアを通じて“毒性は弱い”などと訴えますが、現場からは逆に「肺炎で重症化するケースがある」との声が上がっています。
こうした中、いま人気が高まりつつあるのが…
「今日はマカオにワクチン接種を受けに行きます。伝説のmRNAワクチンです」
「ワクチン接種終わりました」
中国本土ではできない外国製のワクチン接種を受けるための、香港やマカオへの旅行です。
「接種後30分待っているよ」
感染が拡大する中、自己防衛のために接種を受ける人が増えているとみられています。
中国では、春節を迎える来月下旬に感染拡大のピークを迎えるといわれており、医師や市民の間では危機感が高まっています。
中国からの渡航者「半数陽性」
2022.12.29
中国からの渡航者 イタリア 中国からの渡航者に検査義務 半数陽性も
イタリアは新型コロナウイルスの感染者が急増する中国からの渡航者全員に検査を義務付けました。
イタリアの保健相は28日、中国からのすべての渡航者に対する抗原検査とウイルスの解析を命じたと発表しました。
「国民を守るため、発生する可能性がある変異株を確実に検出するのに必要な措置だ」と説明しています。
イタリア・ANSA通信によりますと、26日に中国からミラノに到着した飛行機2便では乗客の半分近くが陽性だったということです。
中国で新型コロナの感染が急拡大するなか、中国本土からの渡航者に対する水際対策について、台湾と香港で対照的な対応が発表されました。
台湾当局は感染が急拡大する中国本土からの入境者に対して来年1月1日から水際対策を強化すると発表しました。
リスクの高い変異株を警戒するため、空港でPCR検査を実施し、陽性の場合は5日以上の強制隔離を講じるということです。
一方、香港では29日から入境時の検査を取りやめ、ワクチン接種を証明するワクチンパスポートの確認もしないと発表しました。
中国政府は来年1月8日に入国時の隔離措置を撤廃し、市民への観光ビザなどの発給も順次再開する方針を示していて、中国人観光客の急増が見込まれています。
「ツケは必ずやってくる」=コロナ解除(感染爆発)
2022.12.28
中国はウィズコロナ通り越して“フルコロナ” 突然訪れた行動の自由…外交筋関係者「ツケは必ずやってくる」
それはある日突然訪れた。中国の厳格なゼロコロナ政策が12月7日に突然、前触れもなく大幅に緩和された。中国の衛生当局によって新たに発表された「防疫政策10条」は、まさに青天の霹靂と言えるものだった。
特に市民生活に影響を与えたのは、コロナの陽性者になっても無症状か軽症であれば隔離施設に行かなくても良くなったことだ。中国ではこれまで陽性になった場合は、問答無用で別の場所に隔離されたり、自宅の入り口が閉鎖されたりしてきたが、こういった対応が一夜にして全てなくなったのだ。
感染急拡大…「ウィズコロナ通り越して“フルコロナ”」
さらに13日には行動を追跡するアプリが廃止され、翌日14日にはコロナの無症状感染者の人数を公表しないことも発表された。また、商業施設や飲食店に入る際に求められていた48時間以内に受けたPCR検査の陰性証明も必要なくなった。
これにより、ほとんどの市民はPCR検査を受けなくても日常生活を送ることができるようになったが、これはコロナの陽性者が自覚の無いまま感染を広げていくことを意味していた。
実際、ゼロコロナ政策が大幅に緩和された12月7日以降、堰を切ったように中国全土でコロナの陽性者が続出した。
北京市でも12月に入るまでは、コロナに感染して症状が出ているという話を聞くことはほとんどなかったが、12月7日以降は周辺で感染した、発熱したという話が増え始め、今では「感染していない人はいない」というくらいに広がった。この状況に対して、ある中国人は「ウィズコロナを通り越して“フルコロナ”になっている」と皮肉を込めて言った。
中国各地で集団感染 企業の現場は
爆発的に増えたコロナの陽性は、中国で働く日本人にも多大な影響を与えている。広州市で製造業を行っている日本人の工場責任者は次のように語った。
――今の工場内の状況は?
工場には約500人従業員がいますが、これまで70人の感染が確認されています。それ以外にも休みを取っている従業員は100人くらいいて、家族が感染したので看病のためと、陽性にはなっていないものの発熱や咳などの症状があるので、数日間休暇をとって自宅で様子をみている者がいます。これは私の工場だけではなくて周辺の企業も同じようになっています。
――現場の対応は?
工場の中では窓を開けて空気の換気をしっかり行いつつ、マスクおよび手洗い、一定時間での消毒を励行しています。従業員にとっては寒い環境でも今は耐え忍んで対応をしてもらっています。
現在のウイルスは重症化することは少ないと言われていますが、感染による重症化を心配しています。今は病院に行くこと自体が非常に難しくなっていて、患者が多いので中々診察をしてもらえない状況になっています。物質的なことを言うと抗原検査キットが入手できない、従業員が薬やネット上で風邪薬、解熱剤を購入することができないということが起きています。
――中国政府が方針を一気に変えたことをどのように感じている?
国の規制が12月7日に解除されて5日から1週間経って感染が爆発的に広がったと感じています。国の急激な方針転換に対して、会社の対策が十分に追いついていないというのが現状です。
会社を閉めて在宅勤務にしているとこともありますけど、私たちのように製造現場をもっている会社は工場を止めることはできません。工場を稼働しつつ従業員の健康を守るというのは非常にハードルが高くなっています。
――この混乱はいつまで続くと思うか?
今がまさに第1波かなと思っています。次が来年1月20日以降の春節前後で、市民が大移動して中国全土にコロナの感染が広がっていくのが第2波になるのではないかと心配しています。
「中国のボーナスステージの時間は終わり」
厳格なゼロコロナ政策の下では、市民は毎日のようにPCR検査を受けさせられていた。
コロナに感染してしまうと幼い子供でも親と離れ隔離病院に強制入院させられ、同居していたペットは殺処分された。陽性者が1人出ただけで街全体がロックダウンとなり、そこから数万人が出られなくもなった。しかし、今ではPCR検査を受けなくても陽性になっても中国で普通に生活できる。
一方で、突然の方針転換は市民に混乱をもたらした。病院の発熱外来には多くの人で溢れかえり、火葬場でも順番を待つ人の車列が見られた。日常生活の中で爆発的に広がったコロナ感染はこれまで厳格なゼロコロナ政策に従っていた中国人に少なくない痛みを与えている。
「中国のボーナスステージの時間は終わりを迎えた」。日中外交筋の関係者は今の中国の状況をこう指摘し、次のように語った。
「厳格なゼロコロナ政策で3年近く大規模な感染を抑え込んできた中国は、この時間に重症化リスクが高い高齢者に有効な外国製ワクチンを接種させるべきだった。しかし、中国はメンツかお金の問題かは分からないが、そういったことをしなかった。この“ツケ”は必ずやってくる」
まもなく中国では延べ10億人以上の市民が一斉に移動する旧正月の「春節」を迎える。その時、コロナウイルスは市民と共に中国全土に移動し、地方の高齢者などに感染する可能性がある。
既に人口約1000万人の山東省青島市では、1日当たりの感染者が50万人前後に上っている。さらに、人口約6540万人の浙江省は、25日に1日当たりの感染者が100万人を超え、元旦ごろには倍の200万人になると発表した。
医療体制が脆弱な地方で感染が爆発的に広がった場合、果たして中国は耐えられるのか。中国の本当の危機はこれからやってくる。
日本政府、中国渡航者「コロナ検査義務付け」
2022.12.28
広州銀河園火葬場「1日530体焼却」
2022.12.28
12月27日、広州銀河園葬儀場は深夜4時に列に並び、1日530体以上の死体を焼き、火葬場は完全に麻痺した。