充電器に接続しなくても最大7カ月走行可能
2022.12.13

太陽光発電EVの先駆けになれるか。オランダ発の電気自動車登場 従来型の充電器に接続しなくても最大で7カ月、走行可能

オランダの自動車系スタートアップであるライトイヤー社が、量産準備が整ったとして「ライトイヤー・ゼロ(Lightyear 0)」を公式発表しました。これは太陽光発電で充電する電気自動車(EV)で、従来型の充電器に接続しなくても最大で7カ月、走行可能とされています。

6年におよぶ研究開発の成果であるこの自動車には、60kWhの小型バッテリーパックが搭載され、ルーフとボンネットには曲面の太陽光パネルが複数枚取り付けられています。この組み合わせによって航続可能距離は388マイル(625キロメートル)にもなり、そのうち44マイル(70キロメートル)は太陽光発電の電力のみでまかなえるということです。

ライトフライヤー・ゼロは、太陽光を浴びている間に自動的に充電されます。そのため、例えば44マイル(70キロメートル)未満の走行であれば、電源に接続することなく数カ月間続けて走行することができます。

もちろん太陽光パネルで発電される電力量は利用する地域の日射量に依存しますが、ライトイヤー社によれば「一度の充電でオランダのような気候でも2カ月、スペインやポルトガルであれば7カ月は持つ」とのことです。

さらに、同社が特許を取得している「ダブルカーブ・ソーラーアレイ」は、年間1万1000キロメートル相当の電力を生み出すように設計されているとも説明しています。

ただ、バッテリーの大きさが限られているので、ライトフライヤー・ゼロはまだ十分な車とは言えません。前述した60kWhのバッテリーパックにより、174馬力と1,269ポンドフィート(約1,720.5ニュートンメートル)のトルクが得られますが、これによる0-62マイル加速(1-100キロメートル加速)には約10秒必要となり、やや物足りない印象ではあります。スピードメーターも、最高で時速100マイル(約160キロメートル)まで設定されています。

とはいえ、この車は性能で業界を変えることを目指してはいません。ライトイヤー社が望むのは、優れた走行可能距離を約束することで、メルセデスやアウディ、テスラのような高級EVの「先にあるもの」に期待してもらうことなのです。

同社は、25万ユーロ(約3,440万円)で946台を生産する計画だと述べています。公式Webサイトからすぐにでも注文可能ですが、最上級クラスのEVである「メルセデスEQS」が2台、あるいはEVスポーツカーの「ポルシェ タイカン4S」を3台買ってもまだお金が余るほど高額です。

これを踏まえると、ライトフライヤー・ゼロが現在のEV市場に破壊的な変革を起こすとは考えにくいかもしれません。ただ、太陽電池を搭載するEVの未来の可能性を示唆する、紛れもなく躍動的なイノベーションであることは間違いないでしょう。

「太陽光発電EV」時代の到来か?
ここ数年間は人々を引きつけるための取り組みが中心だったように見えたものの、自動車業界はいよいよ太陽光発電の実用化に向けて動き出しています。ライトイヤー社に加えて数社が現在、間もなく路上に登場するであろう、量産可能な太陽光発電EVの生産を始めようとしています。メルセデス、ヒョンデ(現代自動車)、テスラ、トヨタなどの大手ブランド数社が、太陽光で発電するモデルやハイブリッド型の自動車開発に積極的に取り組んでいるのです。

こうした新しいEVの開発において課題はたくさんあります。悪天候やその他の障壁(ルーフの太陽光パネルに日光が当たるのを遮る多くの建物や橋、樹木、トンネルなど)による発電量の低下だけでなく、車両の安全性や信頼性を高めながら費用効率の良いモジュールを製造する難しさも含まれます。

ライトイヤー社は、性能よりも効率を重視してきました。ライトフライヤー・ゼロは日常的な使用を想定した車であり、理想的な条件下であれば、継続的なトリクル充電(二次電池の自然放電を補うため、微小電流により絶えず充電する方法)に相当する約1.05キロワットを、太陽光パネルから得られるとされています。

同社のこうした取り組みの価値を判断するには、ライトフライヤー・ゼロが実際に路上を走り始めるまで待つ必要があるでしょう。ライトフライヤー・ゼロの初回注文分の引き渡しは、早ければ2022年11月になるとのこと。今後の動向にも注目です。
2022.12.13 19:50 | 固定リンク | 化学
「ワグネル」のプリゴジン氏`権力掌握
2022.12.13
FBIによるプリゴジン氏指名手配書(FBIのサイトから)

最側近が謀反か 窮地のプーチン大統領に追い打ち 屋台店主から異例の出世、民間軍事会社「ワグネル」創設者の素顔 すでに「軍事独裁」との見方も 現状を「軍事クーデターなしの軍事独裁」と呼ぶ

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領はウクライナ侵攻について長期化するとの見通しを示した。核兵器の脅しも使うが戦況の劣勢は誰の目にも明らかだ。プーチン氏の求心力に陰りが見えるなか、政権内で力を強め、「ポスト・プーチン」との観測も浮上するのが民間軍事会社「ワグネル」創設者で実業家のエフゲニー・プリゴジン氏だ。強硬派と知られる側近が謀反を起こすのか。

プーチン氏は7日、ウクライナでの軍事作戦が「長期にわたる可能性がある」と発言。「(黒海北部の)アゾフ海がロシアの内海になった。(帝政ロシアの)ピョートル1世はアゾフ海進出を目指し戦った」と皇帝になぞらえて侵攻を正当化し、世界的な核戦争のリスクについて「脅威が増している」と語った。

プーチン氏の強気とは裏腹に、ロシアの空軍基地が無人機(ドローン)で攻撃されるなど混乱は続く。そうしたなか、ウクライナで苦戦するロシアの正規軍を批判するなど、発言力を増しているのがプリゴジン氏だ。

新興財閥「オリガルヒ」として知られるプリゴジン氏は、ウクライナの前線に傭兵部隊を派遣する「ワグネル」の創設者であることを最近になって認めた。

11月に行われた米中間選挙を含む米国の選挙に介入してきたことも公言している。インターネット企業を使ってトランプ氏を大統領選で勝たせる工作を行ったとして、米連邦捜査局(FBI)はプリゴジン氏を賞金25万ドル(約3400万円)で指名手配した。

筑波大名誉教授の中村逸郎氏は「米中間選挙の最中にフリーハンドの発言をすることで米国を相手に自身の影響力を誇示し、『プーチン大統領より上だ』とアピールした形だ。24年のロシア大統領選への事実上の〝出馬宣言〟とみることもできる」と解説する。

露独立系メディア「メドゥーザ」などによると、プリゴジン氏は1990年代にサンクトペテルブルクでホットドッグの屋台を始め、97年ごろに同市でレストランを開業。当局の職員や副市長だったプーチン氏も客となり、信頼を得た。

プーチン氏が大統領となってから、クレムリン(大統領府)とケータリング契約を結んだほか、フランスのシラク元大統領、ブッシュ元米大統領ら海外要人との会食もプリゴジン氏の店で行われるなど、「プーチン大統領の料理人」と呼ばれるようになった。

プリゴジン氏が、軍事作戦を公に支える勢力となったことで、政府当局者や富裕層が身の安全への不安を募らせているとブルームバーグは伝えた。現状を「軍事クーデターなしの軍事独裁」と呼ぶ向きもあるという。
2022.12.13 19:22 | 固定リンク | 戦争
露領への攻撃「権利ある」ウクライナ外相
2022.12.13

 ウクライナのクレバ外相は8日の米紙ウォールストリート・ジャーナル電子版のインタビューで「ロシアがウクライナで何をしてもよい一方で、ウクライナには同様の権利がないという考え方は道義的にも軍事的にも誤りだ」と述べ、ウクライナ軍はロシア領内を攻撃する権利があると主張した。

 ロシア内陸の空軍基地に対する最近の無人機(ドローン)攻撃への自国の関与を示唆した発言とみられる。

 クレバ氏はまた、ロシアが2014年に併合した南部クリミア半島については国際的に認められた「他のウクライナ領と同じだ」と述べ、米国が供与した高機動ロケット砲システム「ハイマース」などをロシア領内への攻撃に使用しないとする原則は、クリミア半島への攻撃には適用されないとの認識を示した。
2022.12.13 19:09 | 固定リンク | 戦争
最新ドローンで「クレムリン」も標的
2022.12.13

プーチン大統領に〝逃げ場なし〟ウクライナの最新ドローンがモスクワを急襲も 「ロシア側は対抗できない」元陸上自衛隊・渡部悦和氏

ロシア国内の空軍基地への長距離無人機(ドローン)攻撃で、戦争は新局面を迎えた。ウクライナに残された旧ソ連時代の無人機が使われたとの見方のほか、ウクライナ製最新兵器の可能性を指摘する専門家もいる。いずれにせよ、ロシアの防空網の脆弱(ぜいじゃく)さが露呈し、首都モスクワのクレムリン(大統領府)も標的となり得ることが明らかになった。ウラジーミル・プーチン大統領に逃げ場はなくなりつつあるのか。

無人機攻撃を受けたのは、モスクワ南東リャザニ州のジャギレボ空軍基地と、南部サラトフ州のエンゲリス空軍基地。核兵器搭載可能な「ツポレフ160」や、「ツポレフ95」など主力長距離戦略爆撃機が配備されている重要拠点で、それぞれウクライナ国境から約500キロ離れている。

ロシア国防省は、ウクライナからのソ連製無人機による攻撃と発表した。同国の軍事専門家は、1970年代に偵察用として開発された無人機「ツポレフ141」との見方を示す。航続距離は約1000キロで約150機生産され、ソ連崩壊後は大半がウクライナ領内に残されたという。

一方、ウクライナでは国営の軍需企業、ウクロボロンポルムが航続距離1000キロ、搭載量75キロの新型攻撃用無人機のテストに成功したと地元メディア、ウクルインフォルム通信が伝えた。


半世紀前と最新の無人機、使われたのはどちらか。元陸上自衛隊東部方面総監の渡部悦和氏は、「両方の可能性が考えられる」としたうえで、こう解説する。

「ツポレフ141だとすると、航続距離では到達可能だが、GPS(全地球測位システム)のない時代に開発されたものなので、攻撃の正確性からみると、GPSを付けて飛ばした可能性もある。ウクライナ製だとすると、最新の誘導装置を使った可能性もあるほか、ウクライナの特殊部隊が誘導に関わったとの情報もある。いずれにせよ、ウクライナ製無人機は今後、威力を発揮するだろう。1000キロの航続距離を持つ無人機を保有するのはほかに米国と中国ぐらいとみられ、ロシア側には対抗できる無人機はない」

ロシア側にとっては、空軍基地にやすやすと攻撃を許した防空網の手薄さも重大問題だ。

渡部氏は「ロシア側の防空システムは通常、近距離の対空機関砲から中距離、長距離の『S300』などの対空ミサイルによって重層的に構築される。領内への攻撃を油断して24時間体制の警戒ができていないか、戦力が不足している可能性もある」と分析する。

無人機攻撃について米国は、アントニー・ブリンケン国務長官が「ウクライナにロシア国内への攻撃を促してもいない」とする一方、ロイド・オースティン国防長官が「ウクライナ自らの能力を高めるのは妨げない」と攻撃兵器開発を容認する姿勢を示した。

ウクライナの政府顧問は、遠隔攻撃を「繰り返し行える。距離に制限なく、近くシベリアを含むあらゆるロシア内部の標的を攻撃できるようになる」とし、「ロシアに安全地帯はなくなるだろう」と警告している。

ウクライナの首都キーウから750キロ程度の距離しかないモスクワも標的となるのか。

前出の渡部氏は「ウクライナ製の無人機は理論上、モスクワも攻撃することができるが、ロシア側の戦術核使用を招きかねないなど過激なメッセージになる面もある。米国が今回、攻撃を是認したのは国際法にも合致しているからに過ぎない。ウクライナは軍事目標のみの攻撃を貫くべきだ」と述べた。
2022.12.13 18:49 | 固定リンク | 戦争
計画は「最側近のクーデター」
2022.12.13

プーチン大統領の亡命計画は強硬派の〝追放〟作戦か 南米ベネズエラのリゾート島が候補地 計画は「最側近のクーデター、国外では安全の保障ない」

ウクライナ侵攻で苦戦が続くロシアのプーチン大統領が、ひそかに「亡命計画」を練っていることが分かった。敗戦した場合、南米ベネズエラのリゾート島への脱出が候補地として有力視されているというが、専門家は「強硬派がプーチン氏を追い出そうとしている可能性がある」との見方を示す。

「ノアの箱舟作戦」と非公式に呼ばれるプーチン氏の亡命計画は、ロシア大統領府(クレムリン)の元スピーチライターで、イスラエルに亡命しているアッバス・ガリャモフ氏がSNSのテレグラムチャンネルで明らかにし、米誌ニューズウィークなどが報じた。

ロシアは2月24日にウクライナに侵攻を開始したが、ガリャモフ氏は信頼できる情報筋の話として、春の時点で敗北した場合の亡命計画を検討し始めていたという。

亡命先として当初は中国が浮上していたが、アルゼンチンやベネズエラの名前が出ているとした。ロシア国営エネルギー大手幹部が計画を手配しているとされる。

米ネットメディアのデイリービーストによると、ほかにはエクアドル、パラグアイも候補になったが、ロシア政府高官はベネズエラのリゾート地として知られるマルガリータ島で不動産を取得しており、身柄の引き渡しからも免れることができ、安全だと確信しているという。

ベネズエラが有力視されていることについて、筑波大の中村逸郎名誉教授は「ロシアとベネズエラはソ連時代からの友好国だ。ベネズエラとしては、プーチン氏を受け入れることで、国際法廷に引きずり出したい米国に経済制裁を解除させる強力な外交カードとなる」と解説する。

ロシア軍のウクライナにおける戦争犯罪をめぐっては、国際刑事裁判所(ICC)が捜査を行い、「人道に対する罪」やジェノサイド(集団殺害)での立件を目指している。さらに、欧州などからは、プーチン大統領を「侵略罪」で裁くことを目指す特別法廷の設置案が浮上している。

一方で中村氏は「プーチン氏にとって亡命計画は最側近らの裏切りによるクーデターに近い。プーチン氏は国外に出てしまえば安全の保障はない」とも述べる。

強硬派からは、プーチン氏の軍事作戦での指導力が手ぬるいという不満や反発が公然と出始めているという。中村氏はこう指摘する。

「プーチン氏が失脚すれば、民間軍事会社『ワグネル』創設者でオリガルヒ(新興財閥)のエフゲニー・プリゴジン氏と同じくオリガルヒのユーリー・コヴァリチュク氏。そして米女子バスケットボール選手との囚人交換でロシアに帰国した武器商人のビクトル・ボウト氏という強硬派3人のトロイカ体制が新政権を牛耳ることになるだろう。西側諸国にとっては手放しで喜べる事態ではない」
2022.12.13 18:35 | 固定リンク | 戦争

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