衝撃的な別れ「上島竜兵/仲本工事/島田陽子/渡辺徹」さん
2022.12.30

少なくなかった衝撃的な別れ 上島竜兵さん 仲本工事さん 島田陽子さん 渡辺徹さん

2022年は多くの芸能人が鬼籍に入った。その中には、衝撃的な死も少なくなかった。

ダチョウ倶楽部の上島竜兵さん(享年61)の急死の一報が入ったのは5月11日朝のことだった。4月にもトリオでイベントに登場、元気な姿を見せていただけに、にわかには信じがたかったのは言うまでもない。

「リアクション芸人だけに、コンプライアンス重視が強くなったテレビ界に生きづらさを感じていたのではないかとも取り沙汰されましたが、真相は分かりません」と週刊誌記者は話す。残された肥後克広(59)と寺門ジモン(60)は2人でダチョウ倶楽部を継続。大みそかには、NHK紅白歌合戦で純烈の応援に参加し、猿岩石の「白い雲のように」を歌うことになっている。

ザ・ドリフターズの仲本工事さん(享年81)の事故死も衝撃的だった。仲本さんは10月18日朝、横浜市内の信号機のない交差点を横断中に車にはねられ、意識が戻らないまま、19日深夜に息を引き取った。残された加藤茶(79)と高木ブー(89)の2人がグループを続けている。

女優、島田陽子さんが大腸がんによる多臓器不全のため69歳で急逝したのは7月25日のこと。男性関係や多額の借金で多くのスキャンダルに見舞われた波瀾(はらん)万丈の人生を送った島田さんだったが、死後も情報が錯綜(さくそう)し、荼毘(だび)に付されたのは8月上旬になってからだった。

俳優の渡辺徹さん(享年61)の死はあまりにも突然だった。11月28日に敗血症のため死去していたことが明らかになったのは12月2日。妻でタレントの榊原郁恵(63)と長男で俳優の渡辺裕太(33)が、明るさも交えた会見で故人を見送った。
2022.12.30 07:42 | 固定リンク | エンタメ
4人ひき逃げ犯「猪木康之容疑者(49)」逮捕
2022.12.30

堺ひき逃げ容疑者「寡黙で印象薄く」自宅で逆向き駐車 痕跡隠す?

 堺市中区の市道で27日深夜、防犯パトロール中だった男性4人が死傷したひき逃げ事件。逮捕されたのは、現場近くに住む猪木康之容疑者(49)だった。どんな人物なのか。

 建設作業員として働いていた猪木容疑者。近隣住民らによると、自宅周辺では作業着姿がよく見られ、事件直後の28日朝もトラックで出かけるところを目撃されていた。散歩の際、猪木容疑者の自宅前をよく通るという女性は「あんな事件を起こしたのだとしたら、どうして仕事になど行けるのか」と憤った。

 別の70代女性は28日、容疑者宅に止められた乗用車の異変に気付いた。普段なら道路に面したガレージにバックで止まっているが、この日は逆向きで、道路側からフロント部分が見えなかったという。府警が押収した車の前部は壊れており、女性は「事件の痕跡を隠すつもりだったのか。サイドミラーは折れ、窓ガラスにもひびが入っていた」と証言した。

 「寡黙でおとなしい」「自宅で洗車する様子を見かけるぐらい」。住民らの猪木容疑者の印象は薄い。町内会にも加わらず、近隣との交流は少なかったという。【横見知佳、郡悠介】

 ◇「地域に欠かせない人」献花台に手合わせ

 現場付近には献花台が設けられ、花束やビールが供えられた。手を合わせた人からは「ひどい事件だ」と怒りの声が相次いだ。

 容疑者の逮捕を受け、地元町内会の谷野一彦会長(64)は「被害者やご遺族の心痛を考えると逮捕で解決とは思えず、言葉にならない」と憤りを隠さない。亡くなった山中正規さんと村上伸治さんについて「地域に欠かせない人だったことは、献花やお供えの数が表している。今はご遺族を支えていくことしか考えられない」と話した。

 亡くなった山中さんは、地元の子供会でソフトボールを教える監督だった。別のチームを率いる男性(54)は献花台を訪れ、「山中さんはいつもニコニコしていて、チームの雰囲気も良かった。懇意にしてもらったので感謝の気持ちを伝えるために来た」と話した。事件については「ひどすぎる。ドライバーとして、逃げるのは絶対にいかん」と語気を強めた。
2022.12.30 07:31 | 固定リンク | 事件/事故
遺書残し失踪した妻「11ヶ月後」連絡が
2022.12.30

遺書残し失踪した妻、11カ月後に身元特定 夫「気持ちに区切りついた」

長期間身元不明のままとなっている遺体が東京都内だけで3千体以上に上ることが29日、判明した。行方不明となったまま戻ってこない家族。帰りを待つ家族の元に帰そうと、「匠の技」で身元特定へ捜査を続ける捜査員。身元特定の今を追った。

平成29年11月18日夜、埼玉県富士見市の男性(81)宅で、同居していた内縁の妻=当時(78)=は突然、姿を消した。「ありがとう、ありがとう。葬式は安いところで良です」。そう書かれた遺書とともに、携帯電話や財布など身元を示すものは寝室に残されたままだった。

直前まで一緒に晩酌していたが、夜に目を覚ますと妻の姿はなく、慌てて夜通し捜し回ったが見つからない。その数年前、妻は愛犬の死や大病で手術を繰り返すなどし、鬱病を患っていた。男性は19日、埼玉県警に行方不明届を提出した。

妻とは元年に知り合った。男性が営む酒屋にパートとして勤めていたが、13年に閉店すると同時にプロポーズ。籍は入れずに約16年間、連れ添った。「必ず帰ってくる」。男性は心当たりのある場所は捜し尽くし、そう信じて帰りを待ち続けた。

失踪から約11カ月後の30年10月4日。男性の元に電話があった。警視庁で身元不明遺体の身元を専従で特定する鑑識課「身元不明相談室」の捜査員からだった。

29年11月下旬、東京都板橋区の新河岸(しんがし)川で見つかった女性の遺体が、妻ではないかとの連絡だった。自宅を訪れた捜査員が妻の通っていた歯科に確認すると歯の治療痕が一致。DNA型鑑定で妻と特定された。

捜査員が遺体の写真を全国の行方不明者のデータベースの写真と照合する中で、行方不明届の妻の生前の写真と鼻の形が似ていることが判明。遺体が県外で発見された上に、顔面が損傷していたことから、一致するまでに時間がかかったとみられる。

男性は「気持ちに区切りがついた。見つかっていなければ、何年でも帰りを待った」とし、「一番は生きて見つかることだったが、うちに帰って来られて本当によかった…」と話した。(王美慧)

■帰りを待つ家族の元に帰す 「身元不明相談室」

さまざまな事情を背負った死者の尊厳を守り、帰りを待つ捜索者の頼みの綱となっているのが、警視庁の「身元不明相談室」だ。

「かなり高い確率で、ご本人で間違いないでしょう」。今年9月、身元不明相談室の応接室で、ある2枚の写真をじっと見比べていた女性捜査員(35)は、行方不明の兄を捜して訪れた妹にそう告げた。

写真は、2月に都内で遺体で発見された身元不明の男性の写真と、妹が持ってきた兄の写真。男性は自殺とみられ、身分証など何も持っていなかった。相談室のホームページに公開された似顔絵を見た妹が訪問。約1カ月後、DNA型鑑定で兄の遺体と確定し、特定につながった。

捜査員が男性を特定した決め手は鼻の形とホクロだった。「遺体の鼻や耳は死後も形が変わりにくく、腐敗が進んでも特定につなげやすい」と、死後変化を踏まえた独自のノウハウで、捜査員は本人か見極める。

「自殺者の多くは誰にも知られないよう、あえて身分証や携帯電話など何も持たないとみられる」と主任の溝口和紀警部補(58)。

相談室では4人の捜査員が遺体の身元特定に専従。相談対応に加え、署だけでは特定が難しい遺体の捜査に当たり、並行して3千体を超える長期の身元不明遺体の捜査も担う。

全国の身元不明遺体と行方不明者を登録した警察庁の膨大なデータベースから合致者がいないかを捜す任務。1体に対し500~1千人以上の行方不明者の顔写真を見比べる。腕時計やメガネの製造番号、着衣の販売履歴から身元を割り出すなど、わずかな手掛かりから捜し続け、相談室は年約20体の身元を特定。溝口警部補は「ここは行方不明者を捜す人が最後に頼る場所。一日でも早くご家族の元に帰したい」と力を込めた。

似顔絵も重要な手掛かりだ。似顔絵捜査員が遺体の写真などを基に、生前の顔立ちを再現する。鑑識課の似顔絵捜査員、加藤治巡査部長(43)は遺体の死後変化も考慮するといい、「顔の陰影も起こした状態を想像し、目も開いた姿に描くなど、生前に接した方から情報が得られやすいよう工夫する」という。

白骨遺体も復顔法で、顔立ちをよみがえらせる。頭蓋骨の撮影と計測をし、骨格から目の位置や鼻の高さ、口の大きさを再現。筋肉や皮膚の厚みなどは医学的な統計値を参考に肉付けする。体形は、着衣や捜査で得た生活状況の情報を総合して判断する。加藤巡査部長は「似顔絵が身元特定につながる一助になってほしい」と話した。
2022.12.30 07:11 | 固定リンク | 社会
感染爆発「中国武漢」=「当局の報復はひそかに始まった」
2022.12.30

中国・武漢で感染爆発、死者急増 住民ら証言、ゼロコロナ政策崩壊

中国「ゼロコロナ」を崩壊させた4日間の闘争 導火線になったW杯、当局の報復はひそかに始まった。

 中国湖北省武漢市で12月に新型コロナウイルスの感染爆発が起き、感染者の死亡が急増していると、住民らが29日までに共同通信に証言した。習近平指導部の「ゼロコロナ」政策が崩壊する中で流行が拡大した。コロナ発生を世界で初めて武漢当局が通知してから30日で3年。流行初期に都市封鎖を経験した市民らは再び難局に直面している。

 市内の葬儀場には29日、遺影や遺灰を持った人や車が大勢集まった。医療関係者によると流行のピークは過ぎたもようだが、現在も重症者の増加で病床が逼迫。武漢の人口は約1300万人だが複数の住民は「体感で9割近く」が感染したと話している。

 中国全土で一時的に広がった新型コロナウイルス対策に反対する抗議行動は首都北京にも波及し、長期支配を固めた習近平共産党総書記(国家主席)の退陣要求まで飛び出す異例の展開をたどった。マスクなしの世界を示したサッカー・ワールドカップ(W杯)カタール大会が市民の不満を爆発させる導火線になった。

 新疆ウイグル自治区ウルムチ市の火災をきっかけに全国拡大した4日間の闘争デモで、参加者は「PCR検査は要らない、自由がほしい」と訴えた。習指導部は事態収拾に向け厳しい行動制限を強いる「ゼロコロナ」政策を大幅に緩和。その結果各国の周回遅れで感染が広がり、世界に先駆けて感染症を克服したと誇ってきた中国の“神話”は事実上崩れた。

 共産党の強権的な統治に、白い紙を掲げ「ノー」を突き付けた市民の反抗は一定の譲歩を引き出した。しかし、当局の報復はひそかに始まっている。

 ▽北京中心部で千人規模のデモ、その中でも垣間見えた思慮深さ

 11月27日夜から28日未明に北京市中心部で抗議デモは起きた。「(習氏の共産党総書記)3期目続投に反対」。参加者が習氏の長期支配への反対を表明すると一瞬場がぴりついた。続いて「続投反対」のシュプレヒコールが拡大した。新型コロナ対策への抗議が体制批判に発展した瞬間だった。

 抗議活動は日本など各国大使館や外資系企業が集中する朝陽区の繁華街で起きた。川沿いにある広場にはウルムチ市で発生した火災の10人の犠牲者を悼む献花台が設けられ、市民が集結した。11月24日に起きたこの火災では防疫対策による封鎖で救助が遅れたとされ、ゼロコロナの被害を象徴する事件と見なされていた。

 参加者が抗議を意味する白い紙を掲げて行進を始めると、若者らが続々と合流し、最終的には千人規模まで膨らんだ。明確な組織者は不在とみられ、駆け付けた30代男性は「交流サイト(SNS)のグループチャットで情報が瞬時に広がった」と語った。

 2012年の習指導部発足以降、首都での本格的な政府批判行動は初めてだ。習氏は今年10月の第20回党大会で異例の3期目の総書記に就任した。新指導部を発足させて1カ月余りで、足元の北京で自身の退陣要求を含む抗議デモが起きた。

 ただ北京のデモでは、政治体制批判は主流にならなかった。政治的に過激な発言が出るたびに「それ以上踏み込むのはやめよう」「私たちの要求はあくまでロックダウン(都市封鎖)や隔離の解除だ」と周囲が制止した。政治に敏感な首都の市民らしく、当局に鎮圧の口実を与えない思慮深さが垣間見えた。

 ▽11月10日規制緩和の決定。政策修正は失敗し行動制限は強化された

 北京の抗議デモからさかのぼること17日。習氏は最高指導部の会議を主宰し、新型コロナ対策の緩和を協議していた。重大方針は習氏の鶴の一声で決めることが多いが、この日はメンバー7人で決を採った。内幕を知る中国メディア幹部が明らかにした。

 会議では感染が広がっていた新疆ウイグル自治区のケースなどから、重症化率や死亡率が低いオミクロン株の特性が重視された。習氏が「私は緩和に賛成だ」と言うと、他も追随したという。ゼロコロナ政策を続けながらも、隔離期間を短縮するなど緩和を進める方針を決めた。

 これを受け、一部の地方都市はコロナ関連の規制を大幅に撤廃した。ところが全土で感染が急拡大し、北京や広東省広州などは行動制限を強化した。ゼロコロナの継続と規制緩和という相反する方針に、地方や市民は振り回され、政策の軌道修正は失敗した。

 習指導部はこれまで、中国が日米欧など先進国に比べて感染症を効果的に抑え込み、「社会主義制度の優位性を示した」と宣伝してきた。

 コロナ対応に苦戦する海外の情報を大々的に取り上げ、中国だけが成功しているとの構図を演出。国民の多くは「他国に比べて犠牲は少ない」と納得して厳しい行動制限を受け入れてきた。だが11月20日に開幕したW杯カタール大会がこの構図を突き崩した。

 「W杯で現地のファンは誰もマスクを着けていない。彼らは私たちと別の星に暮らしているのか?」。中国のSNSで、中国政府の対応を疑問視する投稿が広がった。すぐに閲覧不能となった。

 共産党・政府は海外の情報が国内に流入することを厳しく規制しているが、W杯を遮断するわけにはいかない。当局はW杯中継の関係者に「観客のマスク未着用や集団でお祭り騒ぎしている場面を突出させたり、国内のコロナ政策と結び付けたりしない」よう求める内部通達を出した。ただSNSでは、観客席の動画を投稿するなどして抗議する人が相次いだ。

 地方政府は感染拡大の責任追及を恐れ緩和に踏み切れず規制強化に傾く。庶民の間では緩和への期待が高かっただけに落胆が激しく、不満に火が付きやすくなっていた。

 ▽11月24日ウルムチで火災。「封鎖を解除せよ」抗議は全国に拡大

 ゼロコロナは習氏の看板政策で、他国のような「ウイルスとの共存」戦略への転換は難しい。「中国だけが取り残されている」(SNS利用者)との認識が広がる中、習指導部は出口戦略を描けずにいた。当局が右往左往する中、その虚を突くような形で市民は反旗を翻した。

 内陸部の重慶市の路上で男性がゼロコロナ政策を批判する演説を行った。「自由がないのなら死んだほうがましだ」「W杯を見たくないか、広場で盛り上がりたくないか」と熱弁した男性は警察に連行されそうになるが、住民が救出し、観衆から歓喜の声が上がった。11月24日、この動画がSNSで瞬く間に広がった。

 この日の夜、新疆ウイグル自治区ウルムチ市で火災が発生。その犠牲に怒りと悲しみを爆発させた群衆が25日に「封鎖を解除せよ」と叫びデモを起こした。ウルムチ市のデモに呼応しゼロコロナへの抗議の動きが燎原の火のように全国に拡大した。北京の複数の居住区では封鎖に反対する住民が立ち上がり、解除を勝ち取った。

 26日、江蘇省南京の学校では全身黒服姿の女性が静かに白い紙を掲げた。抗議と受け止めた学校側がその紙を没収する動画がSNSに投稿されると、コロナ発生から約3年にわたりほぼ校内に閉じ込められ、息が詰まるような閉塞感を抱く全国の若者らを刺激し、白い紙は強権的なゼロコロナ政策に対する抵抗の象徴となった。言論統制により奪われた言葉を取り戻したい願いも込められていた。

 同じ日の夜、上海市中心部の火災現場の地名が入る「ウルムチ中路」に、白い紙を持つ人々が続々と集まった。行動制限の解除や習氏の退陣を求めるシュプレヒコールが上がった。翌27日には北京、上海のほか、湖北省武漢、広東省深セン、甘粛省蘭州、吉林省吉林などで抗議行動が確認された。

 中国当局は携帯電話会社のビッグデータや先端技術を駆使して国民の移動を厳格に監視するシステムを築いており、全国で同時に抗議行動を起こすことはほぼ不可能とみられていた。

 北京のデモ参加者は、異例の抗議活動が実現した理由について(1)人々が「生きていけない」と感じるほど追い詰められていた(2)急速な抗議活動と情報の拡大に当局の対応が追いつかなかった(3)自発的な行動で組織者が不在だった―と分析した。

 習氏は12月1日、北京で欧州連合(EU)のミシェル大統領と会談した。EU高官によると、習氏は「コロナの感染が約3年続き、人々が不満を抱いている」と新型コロナを巡る抗議活動に言及し、厳しい規制の緩和を示唆した。

 12月に入り、党・政府はオミクロン株の「毒性が弱い」などと強調するようになった。これまでは、新型コロナの重症化や死亡のリスクを強調してゼロコロナを正当化してきたが、感染は怖くないとの宣伝に転じた。ゼロコロナ政策の看板は下ろしていないが、党・政府関係者による政策への言及は明らかに減った。

 中国政府は7日、コロナに関する規制の大幅な緩和策を発表した。これまで集中隔離の対象だった無症状や軽症の感染者に自宅隔離を認めた。大規模なPCR検査はせず、縮小する方針を明確にした。

 中国は感染者を一人残らず洗い出すため頻繁なPCR検査を実施してきた。対策を大幅に緩和したことで感染者が急増し、検査体制は破綻した。当局は感染しても報告せず、自宅療養するよう呼びかけている。

 ゼロコロナは混乱のうちに幕を閉じた。3年にわたる行動制限に嫌気が差していた市民の不満は、封鎖が解除されただけでもひとまず解消され、抗議行動は収束に向かいつつある。

 新型コロナ流行後、習指導部は国民の行動を徹底管理する強権の強みを生かし、米欧の感染者数や死者数の多さを強調しながら未曽有の疫病すら権力の源泉に変えようとしてきた。

 感染症という公衆衛生上の問題を西側との競争と位置付けた時点で、国民の不幸は始まっていた。「勝利の物語」は日常や経済活動の犠牲の上に成り立っていたためだ。戦時体制のような統制にどこまで耐えられるかというストレステスト(耐性評価)のような状態が続き、約3年で臨界点に達した。国民の不満に圧倒される形でコロナ克服の神話は崩れた。

 米欧への対抗意識が潜む「中華民族の偉大な復興」に代表される党が押しつける世界観は、経済成長に伴い成熟しつつある市民社会に必ずしもそぐわなくなってきている。今回の抗議活動は、そのズレを可視化させ、一定の譲歩を引き出した意義は大きい。

 北京や上海のデモでは習氏個人を批判したり嘲笑したりする若者も多かった。党の公式文書上は建国の指導者、毛沢東に並ぶ地位を確立した習氏だが、その権威は外形上ほど浸透していない実態をうかがわせた。ゼロコロナも中国産ワクチンも無意味だったとの国民的な記憶が定着すれば、政権にとって潜在的なリスクとなる可能性がある。

 ▽今後起こり得るのは「海外からの情報遮断」

 当局は北京のデモ参加者らへの圧力を強めている。ある20代の若者は「誰に扇動された」と問い詰められ、抗議活動の背後にいる「敵対勢力」を自白するよう迫られた。中国で1989年に民主化要求運動を武力弾圧した天安門事件が起きた際、当局は国内外の「敵対勢力」が扇動したと主張した。当局は今回の抗議活動も「敵対勢力」と結び付けて取り締まる動きを水面下で進めている。

 一連のデモで、若者たちは当局の情報規制を回避してインターネットに接続できる「VPN(仮想私設網)」を使い、ツイッターや通信アプリのテレグラムなどを通じて情報を集め、連絡を取り合った。北京や上海では当局がデモ参加者を拘束しこれらの機能を使っていないか調べているとの情報も確認されている。

 コロナ政策を批判し一時拘束された中国人記者は「今後最も起こり得ることは、海外からの情報の遮断だ。共産党は恐怖と洗脳による統治を一段と強化するだろう。外部の情報にアクセスできない中国人は抗議活動が起きたことも知らない。社会の分断は既に深刻だ」と語った。
2022.12.30 06:44 | 固定リンク | コロナ
ベラルーシ「偽旗で参戦」=ミサイル迎撃
2022.12.30

ベラルーシ政府は29日、ウクライナ領内から発射されたミサイルを防空システムで迎撃したと発表した。ロシアによるウクライナ侵攻後、ロシアの主要同盟国であるベラルーシがこのような報告をしたのは初めて。

 「偽旗で参戦」ベラルーシ国防省は、同日午前10時(日本時間午後4時)ごろミサイル1発が迎撃され、ウクライナおよびポーランドと国境を接する西部ブレスト(Brest)州の村でその残骸が見つかったと発表。残骸は、初期調査段階で「ウクライナ領内から発射された地対空誘導ミサイルS300の破片とみられる」としている。

 メッセージアプリのテレグラム(Telegram)に、大統領府に関係するアカウントから先に投稿された声明によると、ミサイル着弾はアレクサンドル・ルカシェンコ(Alexander Lukashenko)大統領に「直ちに伝えられた」という。死傷者の有無に関する情報はない。
2022.12.30 06:23 | 固定リンク | 戦争

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