秦剛外相失踪か
2023.07.13
中国・王毅氏が出席へ ASEAN関連会合、秦剛氏は体調不良で欠席 実は失踪

中国外務省は11日、インドネシアのジャカルタで同日から始まった東南アジア諸国連合(ASEAN)関連の外相級会議に、中国から共産党外交部門トップの王毅(ワンイー)政治局員が出席すると発表した。本来の担当の秦剛(チンカン)国務委員兼外相は体調不良により、欠席するという。

中国外務省の汪文斌副報道局長は11日の定例会見で、秦氏が「体調の理由により、今回の会議に出席できない」と説明した。秦氏は6月25日を最後に動静が伝えられていなかった。香港メディアは同氏が新型コロナウイルスに感染した可能性があると指摘していた。

王氏は昨秋に昇格するまで、秦氏の前任としてASEANの会合にも出席してきた。中国側は格上の王氏を「代理」として出席させることで、ASEANを重視する姿勢を示す狙いもあるとみられる。

ASEANの関連会合には日米中など主要国も参加する。日本からは林芳正外相が出席する。期間中、林氏と王氏が会談する可能性も
2023.07.13 22:04 | 固定リンク | 国際
トランプ氏「おしまい」元司法長官
2023.06.15


トランプ前大統領、元司法長官は起訴状正しければ「おしまい」

核兵器情報を含む数百点の機密文書を権限なく自宅に保管していた罪で米司法省に起訴された、ドナルド・トランプ前米大統領は12日、フロリダ州マイアミに近い自分のゴルフ・リゾートに到着した。13日午後にも、マイアミにある同州南部地区の連邦地裁へ出廷する。他方、トランプ政権で司法長官を務めたビル・バー氏は米FOXニュースに対して、起訴状の内容が正確なら、前大統領は「おしまいだ」と話した。

ニュージャージー州にある自分のゴルフ場からマイアミ近くのリゾート施設「トランプ・ドーラル」へと移動した前大統領は、ステーキハウスにいた客たちと記念撮影などしながら歓談。何かを質問されて「何もしてない」「何もなかった」と答えるのが聞かれた。

「ずっと応援してますよ」とバーの客が声をかけると、「どうもありがとう」と前大統領は答えた。

他方、マイアミのフランシス・スアレス市長は記者団に、前大統領の出廷に備えて市内の警備体制を強化していると話した。最大5万人規模の群衆を想定して、警官を配備する方針という。ただし複数の米メディアは消息筋の話として、集まるのは数千人だろうとの見通しを伝えている。

「全員、平和的に行動してほしい」とスアレス市長は話した。

起訴状によると、罪状は37件。前大統領が退任後、フロリダ州の自宅兼リゾート施設「マール・ア・ラーゴ」の大広間やシャワーなどに、機密文書の入った箱を積み上げていたという。さらに、捜査員にうその証言をしたほか、機密文書に関する連邦捜査局(FBI)の捜査を妨害しようとしたという。

「この国を危険にさらす違法行為」 トランプ前大統領起訴について特別検察官

アメリカの大統領経験者が、連邦法違反で起訴されるのは史上初めて。前大統領はすでに今年3月末、2016年大統領選直前に元ポルノ女優に支払った性的関係の口止め料をめぐり、ニューヨーク州の大陪審によって34件の事業記録改ざん罪で起訴され、4月に逮捕され、初出廷していた。大統領経験者が起訴されるのは、この時が初めて。

トランプ前大統領は、すべての起訴内容について、全面的に否定。司法省のジャック・スミス特別検察官を「狂人」だと罵倒している。

週末に開いた支持者集会では、今回の起訴を「腐敗した」FBIによる「選挙妨害」だと攻撃。さらに、たとえ有罪になっても2024年大統領選で再選を目指すことには変わりないと強調した。

米司法省が公開した起訴状には、トランプ邸のシャワー室や広間に積み上げられた機密書類の箱の写真が掲載されていた



■「手堅い起訴内容」=元司法長官

前日11日には、2019年2月から2020年12月にかけてトランプ政権の司法長官だったビル・バー氏がFOXニュースで、スミス特別検察官による起訴内容は手堅いものだと述べ、「(罪状の)半分も真実なら、(前大統領は)おしまいだ。非常に詳細な起訴内容で、非常に深刻だ」と話した。

バー元司法長官が使った「He is toast」という表現は、「彼はこんがり焼かれてしまう」から転じて「おしまいだ」という意味の慣用表現。バー氏は在任中、トランプ大統領(当時)を強力に支持していたが、辞任後は批判に転じている。

「(前大統領が自宅で)保管していた書類の機密性の高さとその数に、衝撃を受けた。(中略)機密文書を意図的に保持していたという、スパイ防止法にもとづく罪状は手堅い内容だと思う」とも、バー氏は話した。

「バー元司法長官(左)」は在任中、トランプ大統領(当時)を強力に支持していたが、辞任後は批判に転じている

バー氏のこの発言の直後、トランプ前大統領はバー氏について「不満だらけの元従業員」で、「弱くてまったく無能だった、怠慢な司法長官」だったと攻撃した。

共和党内の実力者の多くは、2024年大統領選の共和党候補指名争いで先頭に立ち続ける前大統領を、正面から批判していない。その多くは今回の起訴について、司法省やジョー・バイデン政権、民主党に批判の矛先を向けている。

BBCがアメリカで提携するCBSニュースが18日に公表した世論調査によると、大統領選の共和党予備選で投票する予定の有権者のうち、76%が今回の起訴について、前大統領の行動がアメリカの安全保障を脅かしたのかどうかよりも、起訴が政治的動機によるものなのかどうかが気がかりだと答えている。

大統領記録法は、大統領や副大統領について、公務に関する記録を退任時に国立公文書館に提出しなければならないと定めている。その上で政府文書は、厳重に管理・保管されなくてはならないとしている。

複数の法曹関係者は、今回の起訴内容を受けて前大統領が有罪となった場合、量刑は相当なものとなり、場合によっては長期の禁錮刑につながる可能性もあると話している。

スミス特別検察官は9日、フロリダ州の連邦地裁が起訴状を開示したことを受け、異例の記者発表に臨み、「この国の法体系はひとつでそれは全員に適用される。法律を適用し事実を集める。それが捜査の結果を決定する。それ以上でも、それ以下でもない」と言明していた。

米司法省は、フロリダ州のドナルド・トランプ前大統領の自宅から押収された書類が、連邦捜査局(FBI)の捜索を妨害する目的で隠されていた可能性が高いとみている。8月30日に公表された裁判書類で判明した。

FBIは8月初め、トランプ氏の私邸兼リゾート施設「マール・ア・ラーゴ」を家宅捜索した際、機密文書を含む書類などを押収。これに対してトランプ氏は、捜査の差し止めを求めて、司法省を提訴している。

この裁判の中で司法省は、トランプ氏の機密文書の取り扱いについて、捜索を「妨害するために対策が取られていた可能性が高い」とする文書を提出した。

トランプ氏は、不正を否定している。

アメリカの大統領は退任時に、在任中のすべての政府文書や電子メールなどを、国立公文書館に移す決まりになっている。FBIは、トランプ氏が2021年1月に退任した際にこうした記録を不適切に扱い、ホワイトハウスからマール・ア・ラーゴに移したかどうか捜査している。
2023.06.15 22:59 | 固定リンク | 国際
8月プーチン氏「南アフリカ訪問」外交特権
2023.06.01



■南ア、国際会議参加者に外交特権 プーチン氏も出席可能に

南アフリカが、8月に開催が予定されている新興5カ国(BRICS)首脳会議について、参加者全員に対する外交特権を認めたことがわかった。これにより、国際刑事裁判所(ICC)から逮捕状が出ているロシアのプーチン大統領も南アフリカを訪問することが可能となる。

南アフリカは5月29日、官報で今回の決定を発表した。南アフリカの当局者はICCの逮捕状を無効にすることはできないと主張した。南アフリカはICCに加盟しており、プーチン氏を逮捕する法的な義務を負っている。ICCは3月、ウクライナからロシアへ子どもを強制的に移送しているとの疑惑をめぐり、プーチン氏に逮捕状を発行していた。

南アフリカの外務省は声明で、「これは、参加者のレベルに関係なく、南アフリカで開催されるすべての国際会議や首脳会議における標準的な免責の付与だ」と述べた。

外務省は、今回の決定について、会議と出席者を保護するための通常の措置であり、特定の個人のためのものではないとした。

南アフリカの最大野党「民主同盟」は30日、声明で、プーチン氏が入国した場合、政府がプーチン氏を拘束してICCに引き渡すよう、裁判所に要請したと明らかにした。民主同盟によれば、要請では、ICCからプーチン氏の逮捕を求められた場合に取るべき手順をまとめており、従うべき手順と国に課された義務に関する法的なあいまいさがないようにしたという。

南アフリカ政府に対しては、ロシアのウクライナ侵攻に対する姿勢に関して批判の声が出ている。南アフリカは、国連総会におけるロシアに対する非難決議を繰り返し棄権している。

■南アフリカ、プーチン氏への対応めぐり法改正を検討 ICCから指名手配

南アフリカの政府高官は、国際刑事裁判所(ICC)に指名手配されている指導者の逮捕に関して自国が決定権を持つよう、法律の改定を計画していることをBBCに明らかにした。同国には夏にロシアのウラジーミル・プーチン大統領が訪問する予定で、対応が焦点となっている。

南アフリカ大統領府のオベド・バペラ次官は、「6月に議会に法律を提出する予定だ」とBBCの番組で語った。

同国では8月に、ブリックス(BRICS)と呼ばれる新興5カ国(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)の首脳会議が予定されいる。プーチン大統領も招待されているが、ロシアは大統領が出席するのか明らかにしていない。

プーチン氏に対しては、ウクライナにおける戦争犯罪に関わった疑いがあるとして、ICCが3月に逮捕状を発行した。ロシア側は容疑を否認している。

南アフリカは現行法に基づき、プーチン氏が来訪した場合には、ICC加盟国として同氏を逮捕しなくてはならない。

そのため、南アフリカがプーチン氏に対する招待を維持するのか、さまざまな憶測が飛び交っている。

南アフリカは、首脳会議に出席予定のロシア政府関係者に外交特権を与えており、標準的な手続きだと説明している。

南アフリカはロシアのウクライナ侵攻を非難しておらず、中立を保ちたい考えだ。

南アフリカの主要野党の民主同盟(DA)は、プーチン氏が8月に到着した場合には当局に逮捕させるよう、裁判所に申請している。

■ICCの「二重基準」を非難

バペラ次官はBBCの番組で、今回の法律によって南アフリカは、「誰を逮捕し、誰を逮捕しないかの適用除外を自らできることになる」と述べた。

バペラ氏はまた、南アフリカがICCに、権利の放棄について通知していると説明した。

これは、2002年にICCを設立させた条約「ローマ規定」に関わるもの。同規定は第27条で、誰もICCによる訴追を免れないとしている。一方で第98条は、ロシアがプーチン氏の訴追免除を放棄しない限り、ICCは南アフリカにプーチン氏の逮捕を求めることができないと定めているように思われる。

バペラ氏は、ICCの「ダブルスタンダード」を非難。戦争犯罪法廷には、南アフリカ初の民選大統領となったネルソン・マンデラ氏(故人)も失望しただろうと述べた。

そして、「ICCが今日あるようなものになるとは思ってもみなかった。トニー・ブレア(元英首相)も(ジョージ・W)ブッシュ(元米大統領)も、イラクの人々の殺害について起訴されなかった」と、2003年のイラク侵攻に言及しながら批判した。

「マンデラなら、ICCの不平等や矛盾は問題だと言ったはずだ」

バペラ氏はさらに、国際的な司法が適用除外となった過去の例を指摘。イギリスが1998年にチリのアウグスト・ピノチェト将軍(故人)の身柄を引き渡さなかったことを挙げた。

ピノチェト氏は、17年間の統治時代に行った人権侵害を裁こうとしたスペインの裁判官の要請で、ロンドンで拘束された。しかし英政府は、同氏が裁判を受ける体調にはないとする医療専門家の助言を受け、16カ月後に釈放した。同氏はその後帰国し、2006年に死去した。

■身元偽り国際刑事裁判所のインターンになろうと……ロシアのスパイ特定=オランダ当局

オランダの情報機関・総合情報保安局(AIVD)は16日、国際刑事裁判所(ICC)に潜入しようとしていたロシアのスパイを特定したと発表した。

AIVDによると、この人物は「ヴィクトル・ミュラー・フェレイラ」という名のブラジル人を名乗っていた。ICCでインターンとして働くため今年4月、オランダに入国しようとしたところを阻止され、ブラジルへ強制送還された。本名はセルゲイ・ウラディミロヴィッチ・チェルカソフで、ロシア軍参謀本部情報総局(GRU)のスパイだという。

チェルカソフ氏はハーグにあるICCでのインターンシップに応募する前、数年間をかけて偽のアイデンティティーを作り上げていたとされる。

AIVDは、もしチェルカソフ氏がインターンとしてICCで実際に働き始めていたら、具体的な被害が出ていただろうと述べた。

「この情報職員の脅威は、非常に高いものになり得ると考えられる」と、AIVDは述べている。

「ヴィクトル・ミュラー・フェレイラ」を知る人にとって、彼は国際問題に興味のあるブラジル人だった。しかしAIVDによると、チェルカソフ氏は実際には、「非合法」と呼ばれる職種のスパイだという。

ロシアの情報機関では、外交官として諜報活動を行う「合法」スパイと、「非合法」のスパイを区別している。多くの国のスパイが一般人になりすまして活動しているが、ロシアでは長年、国籍を全く変えて身元を隠す非合法のスパイ活動を得意としてきた。こうしたスパイはアメリカ人やイギリス人、カナダ人、あるいは「フェレイラ」氏の場合はブラジル人に成りすまし、ロシア人のままでは疑われて活動しづらい組織に入り込んでいるという。

■偽の家族の物語

AIVDは今回、チェルカソフ氏が2010年頃に書いたとされる文書を公開。偽のアイデンティティーの内容を覚えるための書類だと思われる。

文書は「私の名前はヴィクトル・ミュラー・フェレイラだ」という一文から始まっている。

こうした文書の発見からは、チェルカソフ氏のずさんさが見て取れる。文書には、4ページにわたって偽の家族の物語が記されている。

別の部分には、「父親はとてもフレンドリーな人物だが、驚いたことに、私は母親や叔母の死、そして自分が人生で味わった困難や屈辱を全て、父親のせいにしていることに気が付いた」と書かれていた。

さらに、父親の葬儀のためにアイルランドに行ったことなどにも触れている。

「非合法」スパイが訓練を受け、偽のアイデンティティーを確立するには5~10年の歳月がかかるとみられている。そのため西側諸国は、こうしたスパイの数は少なく、GRUにも30人以下しかいないだろうとみている。

■「ICCの日々の業務環境に触れる」インターンシップ

ロシアの情報機関は以前からICCを標的にしており、「フェレイラ氏」は昨年末からインターンになるための活動を開始していたとされる。

ロシアのウクライナ侵攻が始まって以来、ICCの重要性は増している。3月初めにはICCのカリム・カーン主任検察官が、ロシアがウクライナ侵攻で戦争犯罪を犯した疑いについて、捜査を開始したと発表した。

ICCは無給のインターン200人を募集しており、「ICCの日々の業務環境に触れ、現役専門家の監督のもとで知識と経験を実践する」機会を提供すると説明していた。

この立場を獲得すれば、フェレイラ氏は業務内容に触れる貴重な機会を得ることになっただろう。

AIVDは声明で、「もしこのスパイがICCで働くことに成功していたなら、情報を集め、情報源を探し(あるいは採用し)、ICCのデジタルシステムにアクセスできるよう手配できたはずだ」と指摘した。

「そうなれば、GRUが求めている情報の入手に、大きく貢献することができたはずだ。また、ICCの刑事手続きに影響を与えることができたかもしれない」

正体を厳重に隠しているスパイにとって、インターンへの応募はリスクを伴う。しかしモスクワの上司は、その危険を冒すだけの価値があると考えたに違いない。「非合法」スパイを見つけるのは非常に難しい。チェルカソフ氏の正体に気づいたのはICCではないとみられている。オランダ当局は、同氏をどうやって特定したか明らかにしていない。

■ソーシャルメディアへの投稿

BBCが確認したフェレイラ氏のものとみられるソーシャルメディアのアカウントには、多くの友人の名前が連なっていた。中には、フェレイラ氏が通っていた米ジョンズ・ホプキンス大学とアイルランドのトリニティー・カレッジの学生も数多く含まれていた。こうした友人らは現在、米投資ゴールドマン・サックスから米ワシントンのシンクタンクや連邦規制当局まで、さまざまな場所で働いている。誰も、フェレイラ氏がロシアのスパイだとは知らなかったはずだ。

フェレイラ氏の受講クラスを受け持っていたというある講師はBBCの取材に対し、同氏には「どこのものか分からないアクセントがあったが、ロシア語ではなかった」と話した。「フェレイラ」氏は2020年9月の時点でICCに申請していたと思われるが、新型コロナウイルスの影響で遅れた可能性もあるという。

フェレイラ氏はあるとき、「ブラジルはICCでは代表者が少ないので、チャンスかもしれない!」と言っていたという。

フェレイラ氏のSNSアカウントのプロフィール欄には、同氏が2018年8月にワシントンに移住したと書かれている。また記録では、2020年にジョンズ・ホプキンス大学を卒業している。同氏はSNSに、ロシアに軽く批判的な内容を含め、様々な意見を投稿していた。これも、自分の偽装工作の一環だったと解釈することもできる。

ある時には、GRUがオンラインで使うアイデンティティーを発見したという調査グループ「べリングキャット」の報告書まで、SNSに投稿している。現在、自身がGRUのスパイだとされている人物としては、かなり珍しい動きだ。

だが身元の偽装が露見した今、チェルカソフ氏の潜入スパイとしての未来はこれでおしまいになるはずだ。

■NATO、ロシア代表部7人を追放 元スパイ殺人未遂受け

北大西洋条約機構(NATO)のイェンス・ストルテンベルグ事務総長は27日、英国で今月4日に起きたロシアの元情報部員と娘に対する殺人未遂を受けて、ロシア代表部の外交官7人を追放すると発表した。

NATO本部があるベルギー・ブリュッセルで会見したストルテンベルグ事務総長は、認証が保留されていた3人のロシア人職員についても受け入れないと表明。さらに、ロシア代表部の人員を現在の30人から20人に削減すると述べた。

ストルテンベルグ事務総長は今回の対応が、ロシアに対して、自らの行為には「代償と結果」が伴うとのメッセージを送ることになると説明した。

NATOは2015年にも、ロシアによるウクライナ・クリミア半島の併合を受けて、ロシア代表部の人員を60人から30人に削減している。

過去2日間で、26カ国が英国への連帯を表すためロシアの外交官を国外追放すると発表している。英国は、同国南西部ソールズベリーでセルゲイ・スクリパリ氏(66)と娘のユリアさん(33)の殺人未遂に軍事兵器レベルの神経剤が使われたことに、ロシア政府が関与したと断定。26カ国も英政府の判断を支持している。

一方のロシア政府は関与を否定している。

ロシアは先に、多数のロシア外交官を国外追放すると発表した米国が他国に対しても同様の対応を取るよう圧力をかけたと非難。ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は、米政府が「壮大な脅迫」を計画したとし、現代の欧州は「独立国をわずかに残すのみとなった」と述べた。

入院中のスクリパリ氏とユリアさんの容体は安定しているものの、依然として危険を脱していないという。

■ロシアの反応

ラブロフ外相は、多数の外交官追放への対抗措置は避けられないとし、米国が責めを負うべきだと語った。同外相は、「あちこちの国が1人か2人の外交官を追放する一方で、我々の耳元で謝罪をささやいているのだから、壮大な圧力、壮大な脅迫が計画された結果であるのは確かで、残念なことにそれらは、米国が今、国際社会で主に使う道具だ」と述べた。

「現代の世界、現代の欧州は、わずかに独立国を残すのみとなったと、我々はこれまでに何度か強調してきたが、我々は正しかったという結論を持たずにはおれない」

ロシア外務省は現在、ウラジーミル・プーチン大統領に提案する報復措置の選択肢をまとめていると考えられている。

ロシアのウラジーミル・ディハバロフ上院議員は、ワシントンのロシア大使館から48人、ニューヨークにある国連本部から12人がそれぞれ国外退去させられたことへの「仕返し」があるだろうと語った、と報じられている。

セルゲイ・リャブコフ外務次官は先に、厳格な対応が必要だが、米政府との戦略的安定性に関する対話は放棄しないと強調した。
2023.06.01 18:52 | 固定リンク | 国際
退耕還林→退林還耕(穀物増産)穀物以外廃棄へ
2023.05.31



実は食糧輸入大国の中国、「退林還耕」で食糧危機に備え始めた 「退耕還林→退林還耕(穀物増産)へ」 穀物以外は強引に廃棄(キューリー・トマト(野菜果物) 中国の農村総合執法隊は農民を虐げているSNSで拡散

90年代末に森林を保護する環境政策として始まった「退耕還林」。それを習近平が捨てて「退林還耕」に転換した背景には、国際情勢の変化がある。

福建省のとある村のスイセン畑70畝(ムー)以上が政府の命令で強行破壊され、耕地に改造へ「成都市政府がかつて341億元で建設した緑地帯10万畝を耕地に改造へ」全く毛沢東時代の再来 退林還耕で災害食料飢饉も

最近の中国SNSやネット上でこんなニュースが流れた。習近平(シー・チンピン)国家主席の「1000億斤の食糧生産能力建設」という重要談話をきっかけに、「退林還耕」という政策が始まったらしい。中国通にとって「退耕還林」はよく耳にしていた言葉だが、退林還耕は初耳だっただろう。

退耕還林は洪水や土壌浸食など深刻な環境問題の緩和を目的として、1990年代末に始まった森林保護政策。一方、退林還耕は食糧危機を防止するため、緑地を農地に戻すことだ。

中国は農業大国だが、食糧輸入大国でもある。2021年だけでも、中国の食糧輸入総量は食糧総生産量の20%超に当たる1億6000万トン以上に達する。

西側諸国との関係の悪化や、特にロシアによるウクライナ侵攻や新型コロナウイルス禍は人口大国の中国に強い危機感を与えた。いつの日か起きる台湾武力統一のための準備も、重要な目的と推測されている。

環境保護のための退耕還林から、食糧確保のための退林還耕へ。中国が政策を逆方向に急転換するのは初めてではない。毛沢東の独裁時代から鄧小平の改革開放政策へと、かつて政治は180度転換した。

そして今、再び習近平は政治を180度転換し終身独裁へと舵を切ろうとしている。共通するのは共産党政権を強化するという目的だ。

退耕還林は環境保護が目的だったが、本音としては砂漠化を防止しないと共産党政権、そして中国そのものの基盤が崩れるという危機感があった。

鄧小平が改革開放の時に西側に頭を下げて資本主義の教えを請うたのは、経済発展がないと政権の正統性が失われるからだった。今、習近平が独裁に戻り、退林還耕を始めたのも、共産党政権を守るためでしかない。

鄧小平はかつて「韜光養晦(能ある鷹は爪を隠す)」という言葉を残した。改革開放の鄧小平も独裁の毛沢東・習近平も、共産党指導者の本質は同じ。習近平が退林還耕で食糧を確保した時、中国は「爪」を誰かに突き立てるだろう。

■中国の「退林還耕」政策が超ヤバい

中国政府は前世紀末頃から「退耕還林」(退耕还林)という政策を実施していた。これは行き過ぎた農地拡大に歯止めをかけるもので、あまり生産効率のよくない畑や林や山に戻すことを指す。それによって洪水や土砂崩れなどの災害を抑えるという目論見だ。

中国政府がその方針を180度転換させ、退林還耕(退林环耕)を強力に推進している。

これは習近平主席のトップダウン政策で、食糧自給率を上げることで国力を強化するという狙いだ。世界各国で食糧安保が叫ばれる今日この頃、食糧自給率向上は急務だとは思うのだが、独裁国家ならではのトンデモ事件が頻発している。

一例

・四川省成都市中心部に近い緑地公園(多額の費用をかけて造成)を畑に変更

・バナナやショウガの畑(栽培中)を強制的に潰して主食の農地に変更

・植林した山を坊主にし、重機を使って頂上まで千枚田or段々畑を造成

この政策がどのくらいヤバいかというと、中国共産党政権を永年に亘りヨイショしまくっている中日新聞グループが「懸念のお言葉」を表明。

・農地に向いてない所に畑を作って食糧(主に米・麦・トウモロコシ)が生産できるのか

・こんな山の方に農地を作ったら誰が面倒を見るのか

・あぜがひび割れており、大雨が降ったら崩壊しそう

・野菜や果物の栽培をやめて食糧を生産するとして、穀物だけ食って満足できるのか

・1950年代の「大躍進」の二の舞になるのではないか

という内容である。

■山林を耕して農地を作る中国

1998年夏、中国に100年ぶりの大洪水が襲った。水害現場に駆けつけた首相の朱鎔基は波頭が立つ堤防に上り「抗洪(洪水に勝とう)」を叫んだ。雨を浴びながら濡れそぼった半袖姿の首相が抗洪を絶叫し、長江に散った涙は中国人民の心を動かした。崩壊する堤防を人間の鎖で守った。しかし被害は大きかった。約3000余人の死亡者に1500万人の水害民が発生した。

何が問題だったか。どしゃ降りの雨は明らかに天災だったが途方もない死傷者の背後には人災があった。もともと河川の両側には広い遊水池があったが、人々が住み着いて畑を作るなどしていつの間にか生活の拠点となった。洪水になると多くの人命被害が出ざるを得ない構造だった。そのため出てきたのが「退耕還林」政策だ。農地を放棄して再び森を作ろうというものだ。

ところが20年以上にわたり進められてきた退耕還林政策が最近、逆の方向に進んでいる。昨年、ウクライナ戦争が起きて食糧安保問題が台頭したことを受けて森を切り開き農地にする「退林還耕」措置が推進されている。昨年の春、習近平国家主席は各地方政府に農地を徹底して保護するよう厳命を下した。その間の退耕還林政策にも、産業化と都市化の影響で耕作地は右肩下がりだったためだ。

2009年から2019年までの10年間、中国の農地は1億1300万畝(1畝は約200坪)が消え、現在19億1800万畝程度だ。中国の目標は農地18億畝を死守し、年間6億5000万トン以上の食糧を生産することだが、このままでは危険だと判断した。そのため耕作地確保を「政治の任務」にすえて100億人民元(約1,950億円)を農家にバラまいて農地開墾を奨励している最中だ。

しかし問題が噴出している。多額の資金を費やして整えた山林と緑地が毀損されている。四川省成都は400億元を投じて都心郊外周辺循環道路周辺に作った緑地を耕して農地にした後、小麦など農作物を植えた。また、完工を控えた公園を撤去して農地に変えて住民の怒りを買っている。中国当局は衛星を利用して農地が十分に活用されているかどうかまで監視している。

食糧安保に総力を挙げる中国の姿はさまざまな想像の空間を提供している。過去8年間連続で目標値以上の食糧を生産したにも関わらず非常措置を取るということは、ひょっとして台湾海峡での武力衝突のような非常事態に備えているのではないか、という点でだ。
2023.05.31 06:24 | 固定リンク | 国際
岸田首相G7「総括」
2023.05.25



■ゼレンスキーG7大統領〝電撃参加〟に狼狽したロシアプーチンor中国習近平

 ウクライナのゼレンスキー大統領が電撃的に出席し、同国へのF16戦闘機への供与が事実上決まった広島での先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)の結果に、ロシアのプーチン政権が狼狽している。ロシア外務省は閉幕日の21日に「広島サミットはプロパガンダ・ショーに成り下がった」などと批判する声明を出したが、具体性のない空疎な言葉が並べ立てられている印象は否めない。ゼレンスキー氏はG7サミットへの出席を通じ、インドなどグローバル・サウスの主要国とも連携することにも一定の成果を出した。

 ロシアはミシュシチン首相を急遽中国に派遣し、ロシア・中国の連携をアピールするが、G7は中国には協議を呼び掛けるなど露中の接近にもくさびを打つ。中国からの支援を確保するために、ロシアは中国に対し一層下手に出ざるを得ないのは必至だ。

■空疎な言葉の羅列

「G7首脳らは広島で開催されたイベントをプロパガンダ・ショーに変質させた」「反ロシア、反中国をヒステリックにあおっている」「欧州はアングロ・サクソンに主権を譲り渡した」

 ロシア外務省の声明は、具体性のない言葉でG7への批判を並べ立てた。その内容からは、ロシアがむしろ今回のG7サミットでの決定事項や声明に対しての反論や、対応を決めることができていない現状が浮かび上がっている。それだけ今回のG7サミットの結果は、ロシアにとり衝撃的なものだったと推察される。

 最大の焦点は、米国のバイデン政権がウクライナ軍パイロットに対するF16戦闘機の訓練を支援すると発表し、欧州などの同盟国がウクライナに対してF16を提供することを容認した事実だ。この報道が流れた翌日の20日、ロシア外務省のグルシュコ次官が「事態をエスカレートさせる動きであり、西側に途方もないリスクを背負わせることになる。しかし、われわれは対応する用意がある」と反応し、その後のロシアメディアの報道もF16の供与に向けた動きをつぶさに報じ続けている。ロシア側がF16投入を強く警戒している実態を伺わせている。

■F16投入へのウクライナの期待

 F16戦闘機は長射程の攻撃能力を持ち、ウクライナ軍が制空権を確保する作戦に重要な役割を担うと期待されている。戦闘能力は現在ウクライナ軍が主力とする旧ソ連製のミグ29の数倍とされ、ロシアが保有する戦闘機を上回る。ウクライナ軍はこれまで、ロシア軍の戦闘機からの長射程攻撃に悩まされてきたが、F16の投入により事態が大きく変化する可能性がある。

 米メディアはF16をめぐり、「ウクライナでの戦況を本質的に変化させうる武器」だと指摘する。欧米諸国はこれまで最新鋭戦車の提供などは発表していたが、それらは長距離の攻撃を仕掛けるには限界があり、さらにロシアの占領地に侵入すれば燃料などの補給面などで大きな困難を伴う。一方で戦闘機は、一度の出撃で複数個所での作戦に従事でき、ロシア領内などから発射されたミサイルの迎撃能力にも優れるためだ。

 ウクライナ軍兵士に対する訓練は今後数週間以内に始まるとも報じられており、訓練期間は「数カ月」(サリバン米大統領補佐官)を要する見通しだ。米国のどの同盟国がどれくらいの規模の戦闘機を提供するかも未発表だが、ゼレンスキー大統領は21日に広島市内で行われた会見で、「詳細は答えられないが、相手国と話し合いを進めている」と述べており、すでに訓練の実施や戦闘機の供与規模などをめぐっても詳細な協議が実施されている状況が伺えた。

 ゼレンスキー氏はさらに「ロシアが(その威力を)〝実感〟する武器になる」と述べるなど、強い自信をのぞかせる。今回の米国の決定が、戦況に重大なインパクトを与えるのは確実だ。

 バイデン米大統領はこれまで、F16の提供に慎重な姿勢を崩さなかった。ただそれでも実際には、提供に踏み切るタイミングを模索していた跡もうかがえる。米軍はすでに3月の時点で、ウクライナ軍パイロット2人を国内の米軍基地に招き、フライトシュミレーターを使ってF16の訓練操縦に必要な期間を見定めようとしていたという。

 同盟国からのF16提供も、ゼレンスキー氏の発言からはすでに水面下で進められていた実態がうかがえる。F16提供に向けた準備が整っていたことも踏まえ、最終的な調整を対面で行いたかったゼレンスキー氏が、日本政府に対し訪日を働き掛けていた可能性がありそうだ。

■グローバル・サウスの反応

 ゼレンスキー氏はさらに、G7サミットへの対面出席を実現させたことで、対ロシア制裁に加わらない南半球の国々との首脳との会談も実現させた。注目されたのはインドのモディ首相との会談だ。

 ゼレンスキー氏の訪日が極秘裏に行われた背景のひとつは、ロシアへの制裁に否定的な国々がゼレンスキー氏訪日を事前に知れば、G7サミットへの出席を断る可能性があるためだった。そのような中、ロシアに融和的な国の象徴的存在であるインドのモディ首相は、ゼレンスキー氏との距離を感じさせない老獪な振る舞いを見せた。

 モディ氏は会談で「あなたは私たちの誰よりも、戦争の痛みを知っている。インドも、私個人も、この問題の解決に向けてできることはどのようなことでもすると約束する」とゼレンスキー氏に語り掛けた。モディ氏はウクライナに留学していた自国の学生たちと話し合い、「ウクライナがどのような状況に陥ったか、詳細を聞いた」とも述べて、ウクライナを支援する姿勢を示した。モディ氏は会談で「これは、政治、経済の問題ではなく、人道の問題だ」とも語り、政治・経済とは切り離して対応する考えを強調した。

 インドは制裁を受けるロシアから膨大な量の原油を輸入し、ロシア経済を事実上支えているうえ、4月末にはロシアとの防衛協力の強化にも合意している。そのようなインドが、ウクライナにどこまで実質的な支援を提供できるかは見通せないが、ウクライナを支える言質をインドのトップからゼレンスキー氏が直接得た意義は少なくない。

■ロシア首相は〝中国詣で〟

 そのような中、ロシアは同じくG7で批判の目を向けられた中国との連携強化に動き出している。23日にはミシュスチン首相が中国を公式訪問。それに先立つ22日には、パトルシェフ安全保障会議書記がモスクワを訪れた中国共産党幹部と会談し、テロ対策などをめぐり意見を交換した。

 G7から名指しで批判された両国が連携を一層深めることは必至だ。ただ、実際にはウクライナに軍事侵攻をしかけているロシアと、台湾や日本などの周辺国を威圧するものの、ロシアのような軍事行動を起こしていない中国とは、置かれる環境が異なる。

 G7は首脳声明で「中国に率直に関与し、われわれの懸念を中国に直接表明する」としながらも「中国と建設的かつ安定的」な関係を構築する用意があると呼びかけた。台湾情勢に言及されたことに中国は激しい反応を見せたが、「残酷な侵略戦争」を仕掛けたと指弾されたロシアとは同列には扱われていない。

 中国はロシアに対する協力姿勢を強調するが、実際には欧州に売れなくなったロシア産原油を格安で買いたたくなど、その実態は打算的だ。旧ソ連諸国に対するロシアの影響力が弱まる中、中国の習近平国家主席は5月下旬に西安で、旧ソ連諸国である中央アジア5カ国首脳との初の首脳会議を対面で行った。これらの国々への影響力を高めようとする中国の意図は明白だが、ロシアは異論をはさむことすら困難だったに違いない。

 そして23日夜にはロシアの首相が北京に駆け付けた。ウクライナ侵攻から抜け出せないロシアの首脳が、実質的に中国の支援を求めて訪中した格好だ。ロシアを取り巻く国際的な状況が、改めて浮き彫りになっている。
2023.05.25 11:02 | 固定リンク | 国際

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