本当にこれでいいのか「日本」
2023.10.27
G-セブン共同声明6ヶ国で発表「しかし議長国日本は含まれず」ということについて、「本当にこれでいいのか」という疑問について?

まず、G-セブン共同声明とは、2023年10月26日にイギリス、フランス、ドイツ、イタリア、カナダ、アメリカの6ヶ国が発表した、イスラエルとパレスチナの間で続く軍事衝突に関する声明です。 この声明では、ハマスによるテロ攻撃を非難し、イスラエルの自衛権を支持しつつ、両者に即時停戦と緊張緩和を求めています。 また、民間人や子どもたちの被害を悼み、人道支援や復興支援に取り組む意向も表明しています。

一方、日本はこの共同声明に参加していませんが、それは日本がイスラエル問題に無関心だからではないと思います。実際、日本はパレスチナ自治区ガザ情勢を巡ってエジプトで開かれた国際会議「平和サミット」に上川外相を派遣しました。 この会議では、日本はハマスによるテロ攻撃を断固として非難し、イスラエルとパレスチナの双方に対話と和平の道を探るよう呼びかけました。 また、日本はパレスチナの経済発展や人道支援にも積極的に貢献しており、これまでに約20億ドルの支援を行っています。

したがって、日本は6ヶ国の共同声明に参加しなかったとしても、イスラエル問題に対して自らの立場や責任を放棄したわけではないと言えます。むしろ、日本は中立的な立場から両者の信頼回復や対話促進に努めており、平和的な解決に向けた重要な役割を果たしていると考えられます。

ですから、「本当にこれでいいのか」という問いに対して、「はい」と答えます。日本は6ヶ国と同じくイスラエル問題に関心を持ち、平和的な解決を目指して行動しているからです。ただし、日本は6ヶ国と異なり、イスラエルやパレスチナと直接的な利害関係や歴史的な絆がないため、共同声明に参加する必要性や効果が低いと判断したのだと思います。 その代わりに、日本は自らの強みである中立性や仲介力を生かして、他の国際機関や会議でイスラエル問題に取り組んでいるのです。

また、まず、G-セブン共同声明の内容は、日本が基本的に賛成するものだと思います。日本はハマスのテロ攻撃を非難し、イスラエルの自衛権を支持しつつ、両者に即時停戦と緊張緩和を求めています。また、民間人や子どもたちの被害に対する人道支援や復興支援にも積極的に貢献しています。

しかし、日本が共同声明に参加しなかった理由は、以下のようなものだと推測できます。

日本はG-セブンの議長国として、他の6ヶ国と協調しながらも、自らの独自性や多様性を示すことを重視していました。そのため、イスラエル問題に関しても、6ヶ国と同じ立場をとるだけではなく、自分たちの考えやアプローチを表現することを望んでいました。

日本はイスラエルやパレスチナと直接的な利害関係や歴史的な絆がないため、共同声明に参加する必要性や効果が低いと判断した可能性があります。

また、イスラエルやパレスチナのどちらかに偏った印象を与えることを避けるためにも、共同声明に参加しない方が無難だと考えたかもしれません。

日本は6ヶ国の共同声明よりも、他の国際機関や会議でイスラエル問題に取り組む方が効果的だと考えた可能性があります。 例えば、日本はパレスチナ自治区ガザ情勢を巡ってエジプトで開かれた国際会議「平和サミット」に上川外相を派遣しました。 この会議では、日本は中立的な立場から両者の信頼回復や対話促進に努めており、平和的な解決に向けた重要な役割を果たしていると考えられます。
2023.10.27 07:20 | 固定リンク | 国際
王毅外相失脚「嘘か誠か」
2023.09.27
王毅外相は、2013年から2022年まで外相を務めていた経験豊富な外交官で、中国共産党中央外事工作委員会弁公室主任も兼任しています。中国と米国が様々な分野で対立する中、再び外相に就任することになりました。

王毅外相反省文とは、2023年7月25日に中国の全国人民代表大会(全人代)常務委員会が決定した、秦剛国務委員兼外相の解任と、王毅政治局員の外相への再就任に伴う、王毅外相が習近平国家主席に提出したとされる文書のことです。

この文書は、王毅外相が2022年12月から2023年7月までの外交部長を解任された理由や、今後の対外政策について自己批判や反省を述べたものとされています。しかし、この文書は公開されておらず、その内容や存在自体が真実かどうかは不明です。

一部のメディアやネット上では、王毅外相が反省文を書いたという噂が流れていますが、それらは憶測やデマに基づくものであり、信憑性に欠けます。

王毅外相は、中国共産党中央政治局委員であり、党中央外事工作委員会弁公室主任も兼任しています。中国と米国が様々な分野で対立する中、再び外相に就任することになりました。王毅外相は、日本や韓国などの周辺国とも積極的に対話を行っており、地域の安定や協力に努めています。

王毅外相が習近平国家主席に反省文を提出したという話は、事実ではなく、中国の外交政策や王毅外相の地位を貶めるためのデマである可能性が高いです。

■デマ報道

通訳の孫寧さんが警備員に取り押せられて帯同できず、(英語が話せない)習近平さんはその後の会談がチンプンカンという事態(相手はインドのモディ首相)になったので、怒って出席しなかったのかもしれません。

で、割を食ったのが王毅外相という噂が出ています。「王毅外相が反省文を書くように命じられた」というのです。

この噂の真偽は不明ながら、中国のSNSでは「BRICsに帯同した王毅外相は不満げだった」「ストレスがたまっているように見えた」といった感想も出ています。

秦剛外相がどこかに行ってしまった後に急きょ外相に復帰した王毅さんですが、いきなり習近平総書記に叱責された。

デマ「更迭も」

国家元首の体を叩く/外相会談で大幅遅刻――中国・王毅外相の“上から目線”にわだかまる韓国世論

中国の王毅・国務委員(副首相級)兼外相に対し、韓国国内でわだかまりが生じている。王毅氏がかつて、文在寅大統領への親近感を表現するために体を強く叩いたり、最近訪韓した際に康京和外相との会談に大幅に遅刻したりと、その“上から目線”の行動を「非礼」と受け止めているためだ。

◇過去には大統領の腕を叩くシーン

 王毅氏は韓国訪問中の先月26日、康京和外相との会談に際し、予定時刻(午前10時)より約20分遅れて外務省庁舎に到着した。

 庁舎入り口で待ち構えていた韓国記者団が「なぜ遅れたのか」と聞くと、王毅氏は英語で「Traffic!」とだけ答え、交通渋滞が原因と示唆した。「王毅氏がホテルを出た時刻がそもそも10時を過ぎていた」と韓国メディアが報じたことから、「外交的欠礼」だとして批判が起こった。

 王毅氏は19年12月に訪韓した際にも、昼食レセプションに予定より約1時間遅れて姿を現したという。

 王毅氏に関しては、文大統領との接し方をめぐって批判が起きている。

 17年7月にドイツで開かれた中韓首脳会談で、文大統領が習近平国家主席と握手したあと、中国側要人のあいさつを受ける際、王毅氏は文大統領と右手で握手したあと、大統領の右腕を、左手で「パーン」と音がするほど強く叩いた。その様子が韓国メディアに報じられて、批判の対象となった。

 同年12月に文大統領が中国を公式訪問した際にも、北京の人民大会堂で開かれた歓迎式典で、王毅氏が文大統領の腕を軽く叩いた。この時は文大統領がまず王毅氏の腕を軽く叩いて親近感を表し、これに王毅氏が応じた形だった。

 こうした王毅氏の行為に対して、韓国国内では「王毅氏は閣僚級にすぎないのに、国家元首である大統領の腕を叩いたのは、外交的欠礼ではないか」の声が上がった。

 ただ、韓国メディアによると、王毅氏はかのプーチン露大統領に挨拶する際にも軽く腕を叩いているといい、「王毅氏は行動パターンの持ち主だ」として許容する考えもあるようだ。

 また、「中国が極めて重要な隣国だとしても、韓国政府高官は韓国国民の自尊心も考慮しなければならない」(パク・ピョンファン元駐露韓国公使・12月6日付朝鮮日報コラム)と指摘する。パク氏は北朝鮮を例に取りながら、もし中国外相が金正恩朝鮮労働党委員長の腕を叩いたら、北朝鮮側がこれを放置しておくだろうか、と皮肉っている。

■王毅外相、国連人権高等弁務官と会談

「政治問題化に反対」中国外相、国連人権弁務官にクギ 王毅氏失脚説「反中勢力がデマ」 国連人権弁務官に不満示す。

中国の王毅国務委員兼外相は23日、バチェレ国連人権高等弁務官と広東省広州市で会談した。中国外務省の発表によると、王氏はバチェレ氏に対し「一部の国や反中勢力がデマをまき散らし、人権問題を政治化している」と不満を示した。しかし「今回の訪問が、そうした状況に対する根本的な処置を中国へ取り計らうよう促したいと述べた。

中国・新疆ウイグル自治区の経済発展の状況を考慮したうえで人権問題を視察すべきだと伝えた。

中国外務省が24日までに発表した。バチェレ国連人権高等弁務官は28日までの6日間の訪中期間に、中国当局による少数民族ウイグル族への人権侵害が懸念されている新疆ウイグル自治区を訪問する計画だ。人権高等弁務官の訪中は2005年以来約17年ぶりとなる。

王氏は「多国間の人権機構は分裂と対抗の新たな戦場ではなく、協力と対話の大きな舞台にならなければならない」と主張した。中国側は米欧が人権問題で再び中国に「内政干渉」を強めようとしていると警戒を強めている。

中国外務省によると、バチェレ氏の訪問日程は外部との接触を禁じる「隠ぺい方式」を採用し、記者団の同行はない。バチェレ氏は28日に記者会見をする見通し。
2023.09.27 06:15 | 固定リンク | 国際
李強首相退任
2023.09.24
習政権ナンバー2に蔡奇氏台頭

全人代では習主席に次ぐ党内序列2位の李強氏が首相に、序列6位の丁薛祥・党中央弁公庁主任が筆頭副首相に転じ国務院(政府)を固めた。2人とも習氏の元秘書官を務めた習近平派なので、習総書記と李克強前首相が対立した時代が終わり、党と政府が一体の習近平・李強体制が生まれると思われていた。

党に従属する「政府」
 はたして李首相は就任後、最初の国務院常務会議(閣議)で「国務院は政治機関である」と宣言した。政府は党の指導を受ける機関であり、党から独立した行政権力ではないという意味で、例のない動きだ。

 改革派の鄧小平時代は党が行政機関や国有企業経営に介入しない「党政分離」「党企分離」が基本だった。だが、習政権では、党がすべてを決め、政府はそれを忠実に執行するという毛沢東時代への回帰が色濃くなった。

 李首相は2度目の閣議で「国務院工作規則」を改定し、「重大な決定事項は、すべて、ただちに、党中央に報告して指示を仰ぐ」と国務院の権限を自ら縮小した。

 さらに、毎月1回、国務院で習近平思想の学習会を開き、習総書記が党中央政治局で行った重要演説を全官僚に学習させることも決めた。序列2位は名ばかりで、李首相の存在感は薄い。

 李首相に代わって急に台頭したのが序列4位の蔡奇・党中央書記処筆頭書記(政治局常務委員)だ。3月20日から22日まで習主…

■中国共産党“新指導部” 序列5位・蔡奇氏とは

新しい最高指導部で序列5位に入った蔡奇氏は、福建省出身の66歳で、現在は北京市トップを務めています。

蔡氏は地方勤務時代に習近平国家主席と接点があり、習氏の側近の一人に位置付けられています。

蔡奇氏は今年の北京冬季五輪も北京市トップとして取り仕切り、習主席の2期目政権のレガシーづくりに貢献したほか、新型コロナウイルス対策では、地方から北京への移動を厳しく制限するなど、習主席がこだわるゼロコロナ政策の下で首都防衛を徹底してきました。

蔡奇氏はまた、北京五輪の開会式のあいさつでは習主席を礼賛する言葉を述べたほか、今回の党大会を前にした会合でも、習主席について「我々が心から敬愛する人民の領袖だ」と絶賛するなど、習主席への絶対忠誠を常にアピールしていて、忠誠心を買われて最高指導部入りを果たしたとみられます。
2023.09.24 13:05 | 固定リンク | 国際
江沢民一派の巻返し「暗殺におびえる習近平」
2023.09.22
江沢民の妻、王冶坪氏存命か? 「江沢民ファミリーの海外資産は1兆ドル」郭文貴氏が暴露 江沢民一派の巻き返し 暗殺におびえる習近平 香港も敵だらけ。

米国に亡命した中国の富豪・郭文貴氏はこのほど、自身のSNSで江沢民一族が海外で1兆ドル(107兆円)もの資産を有していると述べた。

そのうち、5000万ドルはすでに洗浄された。郭氏が4月13日にユーチューブで発表した動画によると、江沢民ら複数の共産党上層部は、上海実業集団、上海銀行、上海信託、平安、海通、万科、順豊、華為、太平洋保険などの大手企業の株を保有している。郭氏によれば、江沢民の孫・江志成(33)氏の資産は5000億ドルにのぼり、江沢民家族は海外では少なくとも1兆ドル以上の資産を持つという。

一族は千以上の企業を支配しており、国有企業、金融機構、保険などの方法で、「海外で5000億ドルの資金を洗浄した」「その一部はすでに米の金融ファンド、大手ハイテク会社に投資された」と述べた。郭氏は、腐敗幹部が「全中国人の資産を奪った」と形容した。

郭氏の予想として、近く、西側諸国は江沢民一家に前例のない制裁を加えることになり、「国賊が海外へ移した資金が公式に明らかになる」と述べた。

江志成氏は江沢民の長男、上海科学技術大学の学長江綿恒の息子で、2010年9月、香港で博裕投資コンサルタントを設立した。わずか25歳だった。すぐにアジア大富豪の李嘉誠、 シンガポールの政府系投資機関であるテマセク・ホールディングスらの協力を得て、第1回目の資金調達で10億ドルを集めた。

ロイター通信2014年の報道によると、博裕投資コンサルタントは2011年、北京や上海の空港で免税店を展開する「日上免税行」の株式40%を約8000万ドルで取得することで合意した。

中国では、免税業界は国営企業に独占経営されていたが、1999年に当時の国家主席江沢民の指示により上海浦東国際空港に入る免税店の入札で外国企業の参入が許可された。

そのとき落札に成功したのが江沢民と親しい米国在住の実業家江世乾だった。江世乾氏はその後、浦東国際空港と北京国際空港で免税店・日上免税行を展開し、年間売り上げは10数億ドルを超えるなど一気に業界ナンバー2に躍り出た。博裕投資の資産も3年で、投資額の3倍に当たる2.4億ドルの収益を得た。〈佐渡道世〉氏より引用 (親の7兆光の威光が無くなればゼロとなる)

江沢民派はスイス銀行に巨額の隠し資産がある。江沢民政権時代の幹部1000人以上はスイスに総額10兆円の預金がある。江沢民の家族はスイスに1兆円以上の隠し資産がある。

その他の共産党幹部(習近平政権幹部も含む)の隠し資産、遂にスイス銀行までが中国共産党幹部100名総額1200兆円の資産を預金拒否した。11月にスイスで国民投票が行われ、資産をどうするかを決める。スイス政府はスイスの「武漢ウイルス」の被害者たちに賠償金としてこれを使うことを考えている。

■江沢民一族の乱舞

江沢民一族乱舞とは、元中国共産党総書記である江沢民とその家族や側近が、政治や経済において権力や利益を私物化し、腐敗や不正を行ったことを批判する言葉です。

江沢民は、1989年の天安門事件後に党トップに抜擢され、2004年まで党総書記や国家主席、中央軍事委員会主席などの要職を歴任しました。その間、江沢民は自らの出身地である上海や電子工業部などの人脈を活用して、党や軍の幹部を多数登用しました。

これらの人々は「上海閥」や「江派」と呼ばれ、江沢民の後継者である胡錦濤政権や習近平政権にも影響力を持ち続けました。

しかし、江沢民一族は、権力を背景に巨額の資産を蓄積し、海外に隠匿したり、不動産や金融などの事業に関与したりするなど、腐敗や不正の温床となりました。特に江沢民の長男である江綿恒は、中国の通信産業における最大手企業である華為(ファーウェイ)や中興通訊(ZTE)などに出資し、巨利を得ていたとされます。

また、江沢民の側近である曽慶紅や周永康は、反対派の弾圧や司法介入などの人権侵害に加担しました。これらの行為は、中国国内外から強い非難を受けました。

習近平政権は、2012年以降、「反腐敗闘争」という名目で江沢民一族や江派の幹部を次々と逮捕・処分しました。周永康は2015年に無期懲役判決を受け、曽慶紅も2018年に同じく無期懲役判決を受けました。

江沢民自身は2022年11月30日に死去しましたが、その追悼式は習近平が欠席するなど冷遇されました。これらのことから、江沢民一族乱舞は終止符を打たれたと言えるでしょう。

■暗殺におびえる習近平国家主席の胸算用 関係最悪の北朝鮮には震える?

ただ、長年、中国共産党でその香港を支配してきたのは習一派の敵、江沢民派である。「江派二号人物」の曽慶紅元国家副主席(二〇〇二年十一月の第十六回党大会で序列五位)の流れを引き継いできたのは、前政権でチャイナセブン(中央政治局常務委員七人)の序列三位だった張徳江・全国人民代表大会常務委員会委員長だ。

北朝鮮エキスパートで吉林幇の彼は、香港を主管する中国政府の最高機関「中央香港マカオ工作協調小組」の組長である。「香港・中国経済貿易緊密化協定」(CEPA)が施行された二〇〇四年、広東省書記として香港を初めて訪れた彼は汎(拡大)珠江デルタ区域フォーラムの呼びかけ人となり、香港の中国化工作の先陣を切った。

香港が江沢民派に掌握されているジレンマなのか、習主席は返還二十年の行事に合わせて、昨年六月二十九日から七月一日まで、九年ぶりに同地を訪問したが、複数のメディアは、「江沢民派と表裏一体で張徳江と近い」行政長官の梁振英との握手を、習主席が二度、拒んだことを報じた。新たに行政長官に就任した林鄭月娥(キャリー・ラム)も、「張徳江が推した人物」とされる。

 ただ、その張徳江も今年三月に開催予定の全国人民代表大会(全人代)で、年齢により全人代常務委員会委員長を退職するはずで、中央香港マカオ工作協調小組の組長には、習主席の側近中の側近で、プーチン大統領とのホットラインを構築してきた栗戦書(現序列三位)が就任すると専門家らは見ている。

 とすれば、香港は徐々に江一派から習一派の牙城になる? いずれにせよ、国際社会が香港を「自由と民主と健全な資本主義が栄えた地域」と勘違いしていないことを祈りたい。同地は所詮、中国など権力者が牛耳る闇利権のホットスポットなのだ。

■北朝鮮の「千年の敵」は中国

米韓関係の分断や、核ミサイルの実戦配備に向けた時間稼ぎなのだろう。北朝鮮から韓国への呼びかけにより、二年一ヵ月ぶりに開催された南北会談の議題は、二月の平昌冬季五輪に代表団などを派遣する話だったが、米中露そして日本も、その暫定的な雪解けムードを歓迎した。

 南北会談が始まった一月九日についてだが、たまたまこの日だったのだろうか? というのも昨年九月、北朝鮮による六回目の核実験を受けて国連安全保障理事会で決定した制裁決議に便乗した中国商務部(省)は、「制裁決議の採択日から百二十日以内に、北朝鮮の個人・団体が中国に設立した合弁企業や全額出資企業の閉鎖を命じる」「中国企業が北朝鮮の個人・団体と共に、中国以外で設立した合弁企業も閉鎖対象」との通達を出した。

 この「百二十日以内」のデッドラインは一月九日だった。金正恩・朝鮮労働党委員長は「習政権との決別」「朝鮮半島のことは我々朝鮮人で決める」との主体思想で、南北会談を同日に決めたのかもしれない。北朝鮮メディアは「民族自主」「わが民族同士」の原則と「外国勢力排撃」を連日、主張している。

そもそも、北朝鮮にとっての「千年の敵」は、米国や日本ではなく民族浄化を続ける中国なのだ。朝鮮民族は満州人、ウイグル民族、モンゴル民族、チベット民族、そして在中国の同胞の悲劇や差別を熟知している。

 しかも、核・ミサイル開発に心血を注ぐ北朝鮮への資金源を断つべく、中国を含む国際社会は厳格な制裁に乗り出しているが、「完全な遮断」は無理難題である。年末にも(中国外交部は否定したが)、中国の船舶が海上で北朝鮮の船舶に石油を供給していたことが報じられ、国籍を偽装した船の存在も指摘されている。中国東北三省の市場には、輸入規制をしたはずの北朝鮮産のカニなども出回り、瀋陽にある北朝鮮系レストランの営業は依然、続いているという。

 順法精神のカケラもない中国社会では、規制が強まれば、「上に政策あれば下に対策あり」の慣習から、抜け穴を見つけての裏技、裏経済のスキームが発展する。北朝鮮も同じで偽装、闇ルートが常態化し拡大していく。ロシアも似たり寄ったりである。

挙げ句、皮包公司も暗躍している。事務所・資本・人員がおらず事業活動の実態がない幽霊会社(ペーパー・カンパニーやダミー会社などと言う)のことで、英語ではその他シェル・カンパニー(空殼公司)やフロント・カンパニーなどとも記される。その存在自体は合法だが、不法資金の助成やマネーロンダリング(租税回避)、所有権隠蔽など悪用されていることが多い。

 米国の複数のシンクタンクは、北朝鮮との間で緊密に連携する企業は、中国に三百社以上、香港にも百社以上あると推測している。米ワシントンD.C.の金融制裁分析の専門会社サヤリ・アナリティックスも、「百社を超える香港企業が北朝鮮の制裁対象と関連がある」とし、専門家らは「これらの企業は社主や役員を共有するなど、大規模な北朝鮮ネットワークの一部として運営されている」「香港が北朝鮮の中心的な資金流入の経路」「正体と国籍を隠そうとする北朝鮮にとって香港はうってつけ」と解析している。

■香港をめぐる権力闘争

北朝鮮との違法取引により、二〇一六年九月に摘発され、馬暁紅董事長兼総経理らが金融制裁を受けた、「丹東市百強企業」の超有力企業の鴻祥実業発展は「十三社のペーパー・カンパニーを香港に設置」と報じられている。中朝の一部は、中国が統治する「一国二制度」の香港を重要な拠点としてきたことが分かる。

内外の有識者らは「中国共産党がこの二十年来、香港行政にたえず介入し、今や全面的に管理統治権を握っている」と解析しており、中国政府に批判的な香港の民主活動家らの拘束も続く中、中国当局が北朝鮮の核・ミサイル開発に関与する闇企業の存在を知らないはずがない。それどころか幇助や公安がみかじめ料を徴収するなど、表裏で連動していると考えられる。

ただ、長年、中国共産党でその香港を支配してきたのは習一派の敵、江沢民派である。「江派二号人物」の曽慶紅元国家副主席(二〇〇二年十一月の第十六回党大会で序列五位)の流れを引き継いできたのは、前政権でチャイナセブン(中央政治局常務委員七人)の序列三位だった張徳江・全国人民代表大会常務委員会委員長だ。

 北朝鮮エキスパートで吉林幇の彼は、香港を主管する中国政府の最高機関「中央香港マカオ工作協調小組」の組長である。「香港・中国経済貿易緊密化協定」(CEPA)が施行された二〇〇四年、広東省書記として香港を初めて訪れた彼は汎(拡大)珠江デルタ区域フォーラムの呼びかけ人となり、香港の中国化工作の先陣を切った。

香港が江沢民派に掌握されているジレンマなのか、習主席は返還二十年の行事に合わせて、昨年六月二十九日から七月一日まで、九年ぶりに同地を訪問したが、複数のメディアは、「江沢民派と表裏一体で張徳江と近い」行政長官の梁振英との握手を、習主席が二度、拒んだことを報じた。新たに行政長官に就任した林鄭月娥(キャリー・ラム)も、「張徳江が推した人物」とされる。

 ただ、その張徳江も今年三月に開催予定の全国人民代表大会(全人代)で、年齢により全人代常務委員会委員長を退職するはずで、中央香港マカオ工作協調小組の組長には、習主席の側近中の側近で、プーチン大統領とのホットラインを構築してきた栗戦書(現序列三位)が就任すると専門家らは見ている。

 とすれば、香港は徐々に江一派から習一派の牙城になる? いずれにせよ、国際社会が香港を「自由と民主と健全な資本主義が栄えた地域」と勘違いしていないことを祈りたい。同地は所詮、中国など権力者が牛耳る闇利権のホットスポットなのだ。

■北朝鮮をダシに体制転換

この五年ほどの間、金王朝との関係が密接だった石油閥の周永康(元序列九位で終身刑)や軍人元2トップ、郭伯雄と徐才厚らを次々と獄中や鬼籍に送り、習独裁への布石を着々と打ってきた習政権にとって、国際社会からの北朝鮮への制裁の動きは渡りに船でもあった。

米財務省が北朝鮮との商取引に関与した中国人や遼寧省丹東市などの中国企業、船舶などに対する制裁を発表したが、「敵陣=江沢民派の制裁」になるためだ。米国内の資産の凍結、米国人との取引が禁止となれば、江沢民派の弱体化と無力化に拍車をかける。とすれば習一派としては、我慢と忍耐でこの機会をフル活用したいはずだ。

北朝鮮貿易で長年、主役の地位にあった丹東港集団だが、昨年十一月に中期債券債務不履行(デフォルト)が報じられた。東北アジア経済圏の中心、北朝鮮との国境に位置する丹東港の管轄権を持つ同集団の王文良会長は、クリントン財団の元幹部で選対幹部も務めた「クリントン夫妻の側近中の側近」バージニア州のテリー・マコーリフ知事への違法な選挙資金提供の疑いで、二〇一六年六月、米連邦捜査局(FBI)と米司法省によって調べられていることが報じられた人物である。

北朝鮮との合弁による服飾工場の経営、鉱山、石炭、鉄、非鉄金属の採掘、重油の販売など、北朝鮮とのビジネスを幅広く手掛けてきた四十代の馬暁紅董事長兼総経理(前出)は、「中共中央対外連絡部所属の工作員」と噂され、一説には北朝鮮取引の二割を牛耳っていたらしいが、彼女と王会長は密接な関係にあった。親北朝鮮の江沢民派、旧瀋陽軍区(北部戦区)の中核企業を担ってきた彼らも、すでに虫の息である。

 トランプ陣営にとっても、不透明なチャイナマネーで、表裏で繋がる米中関係を斬る上で好都合な流れにある。トランプ大統領が訪中した十一月、習主席は「中米関係の新たな歴史の起点に立っている」と述べ、環球時報の論説は「中国は北朝鮮との関係を犠牲にして、最大限の努力をした」などと記したが、北朝鮮問題をダシに体制転換と武器売買などの利益追求に走っているのだろう。

ただ、北朝鮮情勢の今後について、「平昌五輪閉幕後に、米国が斬首作戦を実行」などの説も飛び交う一方で、「奇襲攻撃は非現実的」との論調も目立つ。とすれば、袋小路に迷い込まれた感があるのは米中なのかもしれない。

金委員長は、国営メディアを通じて「新年の辞」を発表。「核のボタンが私の事務室の机上に常に置かれている」「米国はわが国を相手に戦争を起こせない」と牽制し、「核弾頭と弾道ミサイルを量産し、実戦配備に拍車を掛けるよう指示した」という。

国際社会の厳しい制裁を受けながらも、金委員長が強気の姿勢を崩さないのは、様々な錬金術を会得したことも背景にありそうだ。「北朝鮮のハッキング能力は、世界七位内に入る」と、昨年十月、米インターネットメディア「vox」が報じた。七カ国とは北朝鮮、米国、ロシア、中国、英国、イラン、フランスだ。

かつては、偽札や武器・覚醒剤の密売などが主な資金源だった北朝鮮は、今や最先端技術の悪用による「錬金」も可能となっているのだ。 

また、北朝鮮から四十カ国前後に派遣される出稼ぎ労働者の賃金の九割も、北朝鮮政府に送られる。昨年は年間二十三億ドルの奴隷輸出売上があったと見積もられ、中国による締め出しは痛手だが、国連が決めた制裁決議を履行しなくても罰則はなく、派遣先がマレーシアやベトナムにシフトしていくだけ、との話もある。

■暗殺に怯える習近平

さらに金王朝には、いざという時の奥の手--亡命という道も残されている。核シェルターのみならず、中露の国境につながる複数の「秘密の地下通路」の存在が、以前から噂されている。これに対し、北京の中南海にも核シェルターがあることは周知の事実だが、大国の中国では、一党独裁とはいえ習主席とその一族だけが亡命する選択肢はないに等しい。

その上、真偽は別としても習主席の暗殺未遂事件は、この五年で九回ほど報じられている。二〇一二年三月には、周永康らが胡錦濤国家主席、習副主席らに対し、武装警察を使い暗殺計画を実行したことが報じられた。さらに同年九月上旬、ヒラリー・クリントン米国務長官が訪中した際に、国家主席への昇格が決まっていた習副主席はヒラリー長官との会談をドタキャンした。

雲隠れした謎の十数日……。習副主席はプールで泳いでいて背中を痛め、中国人民解放軍総医院(通称、北京301病院)に入院したとされるが、「周永康らによる暗殺未遂」との説が依然、飛び交っている。「入院先で毒入り注射による殺害未遂もあった」という情報のおまけ付きだ。

前述の香港滞在時は、保安当局や警察当局が安全保障レベルを最高級の反テロ厳戒態勢に引き上げ、機動部隊や特別警務部隊など、八千人から一万人規模の精鋭部隊が投入された。香港も習主席にとって危険極まりない地域といえる。

昨年六月には武装警察の幹部らの大幅入れ替えが行われたが、元旦からは武装警察の指揮権を習主席がトップを務める中央軍事委員会に一本化する体制に変わった。周永康に近い武装警察が多数を占めていたことから、組織を信用できないのだろう。

十二月二十四日には、腹痛を訴えた習主席が、物々しい厳戒態勢の中で検査のため301病院に緊急入院したことも報じられた。「度重なる暗殺未遂への心労」「中南海に専門医を呼ばず入院したのは腹部の負傷など、シリアスな理由があるのでは?」など、様々な憶測を呼んでいる。事情通は、「この度は、中南海の車寄せで習主席の近くに止まっていた別の車が爆発した」という。つまり、習主席は、中南海にも暗殺を試みる敵が入り込んでいることに怯え、301病院への入院を決めたというのだ。

反腐敗運動の名目で親北朝鮮の江沢民派の大物を次々と粛清し、「兄弟関係」だった金王朝とは史上最悪の関係になった習主席。隣国の核ミサイルや生物・化学兵器の脅威にも震えているはずだ。暗殺を最も恐れているのは、外遊もせずモグラ生活を送る金委員長ではなく、大国で独裁が機能せず国内外に「敵」だらけの習主席ではないのか。
2023.09.22 23:51 | 固定リンク | 国際
中国「左から右への大きな揺り戻しが」
2023.09.11

5年後か10年後は分かりませんが、 習近平 体制の『後』を考えるとすれば、やがて将来の中国には揺り戻しが発生するはずです。

中国人民解放軍大幅な改変 中国軍幹部も党に反旗 人事で左遷も インド国境、西部戦区の司令官2か月で更迭 ロケット軍トップも共産党に反旗

中国共産党は23日、第20期中央委員会第1回全体会議(1中全会)で、軍の最高意思決定機関である中央軍事委員会の体制を固めた。習近平総書記(国家主席)を頂点に、習氏に近くて台湾情勢に精通した幹部を相次ぎ引き上げた。台湾の武力統一も選択肢に軍拡を加速する見通しだ。

中央軍事委は習氏をトップに7人の幹部で構成する。台湾の武力統一の是非や核弾頭を搭載する,弾道ミサイルの中国の戦略ミサイル部隊である,ロケット軍のトップ2人が同時に交代したという報道がありました。

ロケット軍は、核兵器や弾道ミサイルを管轄する中国人民解放軍の独立軍種で、宇宙やサイバー戦などを担当する戦略支援部隊とともに、中国の新たな戦略力を構成しています。

ロケット軍のトップ2人が同時に交代した理由は不明ですが、背景には汚職や機密漏えいなど軍内の深刻な問題があるとの観測が出ています。

また、台湾有事の際の米国の介入に備えて核戦力の増強を図るなかで、ロケット軍の重要性は増しており、不透明な人事は国際的な信用を損ない、誤解が生じるリスクを増大させるとの懸念も指摘されています。

しかし2020年10月に「習近平主席」は、中国共産党中央委員会第五次全体会議で、習近平が「戦闘力」を重視する方針を示したことに対し、軍の幹部が「戦闘力」ではなく「戦闘能力」を強調すべきだと主張し左遷されました。

この違いは、習近平が政治的な忠誠心やイデオロギーを重視するのに対し、一部の軍幹部が実戦能力や技術力を重視するという考え方の相違を反映しています。

2021年3月、中国人民解放軍ロケット軍のトップ2人が同時に交代しました。この人事は、ロケット軍内で汚職や機密漏えいなどの問題が発生していたことや、習近平が核戦力の増強を図る中でロケット軍の重要性を高めたことなどが背景にあるとされています。

2021年7月、中国共産党創立100周年記念式典で、習近平が「台湾統一」を強調したことに対し、一部の軍関係者が「台湾有事」に備える準備や意欲が不十分だと指摘しました。

この指摘は、習近平が台湾問題で強硬姿勢を示す一方で、中国軍が実際の戦闘に対する不安や懸念を抱えていることを示しています。

以上のように、中国軍内には習近平に対する不満や批判が存在している可能性はありますが、それが反旗や反乱に発展する可能性は低いと考えられます。中国軍は中国共産党の指導下にあり、習近平は党中央軍事委員会主席として最高指揮権を握っています。

また、習近平は自らの権力基盤を強化するために、軍内の粛清や改革を断行し、忠誠心や政治的な信頼性を重視する人事を行ってきました。その結果、中国軍は習近平の統制下にあり、忠誠を誓っています。

中国共産党は2021年9月23日、第20期中央委員会第1回全体会議(1中全会)で、軍の最高意思決定機関である中央軍事委員会の体制を固めた。

習近平国家主席は中央軍事委員会主席に再任され、副主席には張又侠、劉亥慶の両氏が選出された。また、10人の委員には習氏の側近や台湾統一を念頭に置いた人事が目立った。

中国人民解放軍は2021年1月、国境地帯で軍務についている兵士や若くて優秀な将校を中心に、大幅な昇給を予定していることが明らかになった。習近平国家主席は戦争の危機を言及し、「中国人民解放軍は勝利しなければならない」と強調しており、軍将兵の待遇改善で、彼らを軍に引き留めようと躍起になっているという。

若い将校の給料は大佐級でこれまでの40%増、2万元(約32万円)の月給だったものが、4000元(約6万4000円)増の2万4000元(約38万4000円)にアップされることになる。

中国人民解放軍が、国境地帯で軍務についている兵士や若くて優秀な将校を中心に、今年中の大幅な昇給を予定していることが明らかになった。中国では昔から「好鉄不打釘、好人不当兵」(良い鉄は釘にはならず、良い人は兵隊にはならない)という成句が知られているが、軍のトップである習近平国家主席は最近、戦争の危機を言及し、「中国人民解放軍は勝利しなければならない」と強調しており、軍将兵の待遇改善で、彼らを軍に引き留めようと躍起になっているという。中国問題専門のネットメディア「多維新聞網」が報じた。

 中国ではこのところ、インドとの国境でインド軍と軍事的な衝突があり、数十人の中国兵が犠牲になったと伝えられたほか、チベット自治区や新疆ウイグル自治区、南シナ海などで過酷な任務が続き、軍を離れる兵士が増えている。

 また、大学や大学院を卒業した高学歴の若手将校の給料は、企業などに勤務している同世代よりも少なく、それが退役の大きな原因となっていると指摘されており、今回の軍将兵の給料アップにつながったと見られる。

 中国共産党中央軍事委員会主席を兼ねている習近平主席が決断したとされるが、習氏は軍の内部会議で「より近代的な軍事改革を推し進めた後、多くの才能と能力を持つ若い軍人や、辺境地区で人知れずに苦労して任務についている若い兵士の待遇を上げることが、中国軍が戦争に勝つ大きな要素となる」と指摘したという。

 とくに、若い将校の給料は大佐級でこれまでの40%増、2万元(約32万円)の月給だったものが、4000元(約6万4000円)増の2万4000元(約38万4000円)にアップされることになる。

また、チベットや南シナ海の島嶼部などの辺境で軍務についている兵士については、従来1万元程度の月給だったが、4000元アップの1万4000元に加えて、辺境手当として6000元が支給されて、計2万元に倍増するという大盤振る舞いだ。

 さらに、これらの将兵は退職したあとも、軍務についていた年数に応じて、毎月の年金も従来の2倍程度になる場合もあるという。

 ネット上では「習近平は(よい鉄はよい釘になり、よい人は良い兵になる)』となるよう軍事改革を進めようとしているようだ。この裏には、台湾への侵攻などの軍事的な野望がひそんでいるかもしれない」との見方も出ている。

■中国軍司令官、異例の「2か月」で交代…中央軍事委人事に関係か

中国軍でインドやアフガニスタンとの国境などを管轄する西部戦区の司令官が2021年9月6日、2か月で交代した。異例の短期間でのトップ交代は、軍の指導機関である共産党中央軍事委員会の人事に絡んだ動きとの見方が出ているほか、更迭説も浮上している。後任には汪海江氏を充て、上将に昇格させた。

中国軍でインドやアフガニスタンとの国境などを管轄する西部戦区の司令官が2か月で交代した。異例の短期間でのトップ交代は、軍の指導機関である共産党中央軍事委員会の人事に絡んだ動きとの見方が出ているほか、更迭説も浮上している。

習近平 中央軍事委主席(国家主席)は今月6日、7月に西部戦区の司令官に任命した 徐起零シューチーリン 上将(大将に相当)を交代させた。異動先は明らかになっていない。後任には 汪海江ワンハイジアン 氏を充て、上将に昇格させた。

徐氏は司令官になる前、同戦区の陸軍司令官を務め、2020年に起きたインド軍との国境衝突の対応にあたった。東部、北部、中部戦区での勤務経験があり、「通常戦のエキスパート」(関係筋)と評価されてきた。香港英字紙サウスチャイナ・モーニングポストは軍内部の関係者の話として、「北京は、徐氏に関し、より大きな計画がある」と伝え、来年秋の党大会を機に、大幅な人事異動が見込まれる中央軍事委に関連した人事との見方を示唆した。

習氏は7、9月、徐氏と汪氏を含む計9人を軍最高位の上将に昇格させており、中央軍事委入りの有資格者の育成を急いでいるとの見方が出ている。

汪氏は、新疆ウイグル、チベット自治区での勤務経験が長く、「西部国境の情勢に詳しく、アフガン情勢への即応に適任」(同)だとされる。

 徐氏の人事を巡っては、更迭説も出ている。関係筋によると、中印国境対立を巡り、外交当局が相手を威嚇する「 戦狼せんろう 外交」的な手法を取ったことに不満を抱いた徐氏が習氏に進言し、習氏の不興を買ったという。

 別の関係筋は「いずれにしても2か月での交代は極めて異例。上将人事は習氏が決めており、習氏の軍内部での権力集中はいっそう進んでいる」と分析した。

◆西部戦区 =中国軍が陸海空軍などを統合運用するために組織した五つの「戦区」の一つ。四川や重慶、新疆ウイグル、チベットなど中国西部の7省・直轄市・自治区を管轄する。隣接するインドやアフガニスタン、中央アジアとの国境管理にもあたる。司令部は四川省成都。内陸のため、陸軍、空軍を中心に構成されている。

■中国共産党政権が崩壊に直面している

世界では中国共産党政権が崩壊に直面しているという見方は、一部の専門家やメディアによって提唱されていますが、必ずしも定説とは言えません。中国共産党政権は、経済の減速、社会の不安、国際社会の圧力など、多くの困難に直面していますが、それらを乗り越えるための政策や戦略を展開しています。

米国の著名な中国政治研究者であるミンシン・ペイ氏は、習近平による統治は問題をはらんでおり、中国共産党政権は、毛沢東時代の終了後、最も崩壊に近づいていると主張しています。

彼は、習近平が権力を集中化し、反対派を弾圧し、改革を停滞させていることが、中国共産党政権のレジーム変容や社会変革を阻害し、長期的な危機を招くと論じています。

一方で、中国共産党政権は自らの正統性や安定性を維持するために、経済成長や国際競争力の向上を目指し、国内外の課題に対応しています。

例えば、24日に開かれた政治局会議では、「新たな困難と試練に直面している」としながらも、「高品質な発展」や「新たな発展段階」に向けた施策を打ち出しました。また、米国との対立や緊張を回避するために、「協力と対話」を求める姿勢も示しています。

しかし、中国共産党政権が直面する困難は軽視できないものです。特に、新型コロナウイルス感染症の大流行で死者が増える中、中国共産党が世界への約束を守れなかったことが、国際社会からの批判や不信を招いています。

米国のポンペオ国務長官は、中国共産党に対し、「互恵と透明性、説明責任」を要求し、「自由世界が変わらなければ、中国共産党が確実に我々を変える」と警告しています。

以上のように、世界では中国共産党政権が崩壊に直面しているという見方は一面的なものであり、その実態や将来性は複雑で多面的なものです。中国共産党政権がどのように変化し、世界とどのように向き合って行くかは今後も重要な視点です。

■左から右への大きな揺り戻しが起きる可能性も

中国の将来の見通しについては、様々な見方や予測がありますが、一般的には以下のような点が注目されています。

中国の経済は、改革開放政策によって高い成長率を維持してきましたが、近年は減速傾向にあります。特に、不動産市場のバブル崩壊や負債問題が深刻化しており、経済の質の高い発展を目指す習近平政権の課題となっています。

中国共産党は、今年10月に開催された党大会で、習近平総書記の3期目続投を確定させました。これは、党内の権力集中や強権化を象徴するものであり、改革開放時代の政治的土台を崩すことを意味します。

習近平政権は、米中対立や新型コロナウイルスの感染拡大などの外部環境の変化に対応するために、国内の社会統制やイデオロギー教育を強化しています。

中国の社会は、経済発展とともに多様化や複雑化しており、民主化や自由主義化への期待や要求も根強く存在しています。

しかし、現在の習近平政権は、これらの動きを抑圧する傾向にあります。歴史的に見ても、中国の政治状況は大きく揺れ動いてきたことから、将来的には左から右への大きな揺り戻しが起きる可能性も否定できません。

以上のように、中国の将来は不確実性が高く、予測が難しいと言えます。しかし、中国は世界第2位の経済大国であり、日本とも密接な関係にある国です。そのため、中国の動向には常に注意を払う必要があります。

■大きな揺り戻しが「5年後か10年後に変革が」

中国の現実問題として左から右への大きな揺り戻しはどのようにして起こり得るのか?

中国が左から右への大きな揺り戻しを経験する可能性については、様々な意見や分析があります。一般的には、中国の政治体制は歴史的に左右に揺れ動いてきたという観点から、現在の習近平政権の強権化は左に偏った状態であり、その後には必ず反動が起こるという考え方があります。例えば、ルポライターの安田峰俊さんは、強権・習近平体制に「やがて揺り戻し」 過去から予測する中国の将来という記事で、次のように述べています。

現在の中国は、共産党体制なりの『真ん中』よりもかなり左に偏った状態にあります。 5年後か10年後は分かりませんが、 習近平 体制の『後』を考えるとすれば、やがて将来の中国には揺り戻しが発生するはずです。

安田さんは、毛沢東による文化大革命や天安門事件など、中国の政治状況が大きく変化した歴史的事例を挙げて、今後は「左から真ん中に戻るだけではなく、場合によっては、たった10年前までは有力な選択肢だった右方向への大きな揺り戻しが起きてもおかしくない」と予測しています。

しかし、このような見方に対しては、中国の民主化運動を推進する米国最大のNGO・公民力量の主宰者である楊建利さんは中国の民主化、困難な理由と実現の可能性を問うという記事で異論を唱えています。楊さんは、習近平政権が党内民主化を阻止し、国家安全法や香港問題などで強硬姿勢を示していることから、「党内民主化」や「社会民主化」の道は閉ざされていると指摘しています。

楊さんは、中国の民主化に向けては、「市民社会」や「国際社会」の力が必要であると主張しています。2楊さんは、「市民社会」では、インターネットやSNSを通じて情報や意見を交換し、抗議や署名活動などで声を上げることが重要であると述べています。2また、「国際社会」では、米国や日本などの民主主義国家が中国に対して人権や自由を尊重するように圧力をかけることが必要であると説いています。

以上のように、中国が左から右への大きな揺り戻しを経験する可能性については、歴史的な視点や現実的な視点から異なる見方があります。中国の政治体制や社会状況は今後も変化し続けるでしょうから、この問題に関心を持ち続けることが重要だと思います。
2023.09.11 14:42 | 固定リンク | 国際

- -