「軍が間もなくクリミアに入る」戦場はロシアへ
2023.07.31



■モスクワにドローン攻撃「戦場はロシアへ」「軍が間もなくクリミアに入る」

ウクライナのゼレンスキー大統領は30日の定例ビデオ演説で「ウクライナは強さを増し、戦争は次第にロシアの領土へ戻りつつある」と述べた。ロシア側はこの数時間前、首都モスクワがウクライナによるドローン(無人機)攻撃を受けたと発表した。

ゼレンスキー氏は演説で、ロシアの象徴的な中心地や軍基地を攻撃していると述べ、「これは不可避かつ自然で、絶対的に正当な」動きだと主張した。

ロシアの国営タス通信がロシア国防省の話として伝えたところによると、30日にモスクワを狙ったドローン攻撃があり、3機が撃墜されたが、同市西郊にある50階建てのオフィス兼商業ビルの5、6階部分が被害を受けた。死傷者は報告されていない。現場の動画には、がれきや救急隊の様子が映っている。

ウクライナ軍は同日、ロシアが実効支配するウクライナ南部クリミア半島にもドローン攻撃を仕掛けた。

ロシア国防省は、クリミア上空でドローン25機を迎撃し、このうち16機を防空システムで撃墜したと発表。残る9機は電子戦システムで通信を妨害した結果、黒海に墜落したと述べた。死傷者の報告はないとされるが、CNNは発表の真偽を確認できていない。

ウクライナ空軍の報道官はモスクワなどロシア本土への攻撃について、これまで戦争を遠い話だと感じていた市民にも影響を与えることが狙いだとコメント。「ロシア当局がすべて撃墜したと主張し、見て見ぬふりをしようとしても、どれかが命中する」と強調した。

ウクライナ軍のドローン調達計画を監督するフェドロフ・デジタル変革相は、夏の反攻作戦が進むにつれてドローン攻撃も増えると予告している。

ウクライナは24日にも、モスクワで国防省本部付近のビルを含む非居住用ビル2棟を攻撃したことを認めた。ロシア側はこれを「テロ攻撃」と呼んで非難した。

またロシア軍は28日、南部タガンログでウクライナ軍のミサイルを迎撃したと発表した。

一方、ウクライナ側では引き続き、ロシア軍の攻撃による民間人の犠牲が相次いでいる。北東部の都市スーミでは29日夜、ロシア軍のミサイル攻撃で民間人少なくとも2人が死亡、20人が負傷した。現地の当局によれば、1日のうちに25回の砲撃があった。

南部ザポリージャ州ではこの週末、ロシア軍が20カ所の集落を77回にわたって攻撃。2人が死亡し、住宅31棟やインフラ施設に被害が出た。

■「軍が間もなくクリミアに入る」ウクライナ高官

反転攻勢を進めるウクライナ軍が「まもなくクリミアに入る」とウクライナの高官が主張しました。

 ウクライナメディアは29日、2014年にロシアに侵攻されたクリミア半島について、ウクライナ国防省のブダノフ情報総局長は「ウクライナ軍は間もなくクリミアに入るだろう」と述べたと報じました。

 一方、ウクライナ軍の反転攻勢が遅れていると指摘する声も上がるなか、ゼレンスキー大統領はSNSで東部ドネツク州のバフムトの前線を訪れたと明らかにしました。

 バフムト周辺ではロシア軍との激しい戦闘が続いていて、ゼレンスキー大統領は地図を見ながら戦況を確認したほか、特殊部隊の兵士たち一人ひとりと握手をして激励しました。

■ウクライナ軍、最新型無人艇 ロシア軍艦船狙う

ウクライナ軍はこのほど、同国が開発した最新型とする遠隔操作式の水上ドローン(無人艇)をCNNに初めて公開した。黒海内に展開するロシア軍艦船への攻撃に使われる。

この無人艇は重さ約300キロの爆発物の搭載が可能。高速で、約800キロ離れた海域にいる標的への攻撃が可能とした。

無人艇の操作要員は、制御は容易であり、ロシア海軍艦船の動きを制限出来る効果を持つと説明。無人艇の開発元は、ロシア軍艦船の装備は他の艦船への攻撃を想定しており、それだけ自船の防御は弱くなっていると指摘した。

ウクライナ海軍の無人艇は今月中旬、ロシアが実効支配するウクライナ南部クリミア半島とロシア本土を結ぶ橋の攻撃にも使われた。

ロシアは最近、トルコや国連が仲介した黒海を通じたウクライナ産穀物輸送の協定からの離脱を発表。これ以降、ロシアは黒海を航行する船舶への威嚇行動にも言及しており、無人艇はロシアに対抗する重要な兵器となる可能性もある。

■プーチン大統領、新たに艦船30隻加わると表明

ロシアのサンクトペテルブルクで30日、「海軍の日」を記念する海上軍事パレードが行われた。パレードには兵士らが参加し、ロシア海軍の力を誇示した。

ロシアのプーチン大統領は海上軍事パレードで演説し、ロシア海軍は今年、艦隊の補充のため、さまざまなクラスの艦船30隻を確保すると述べた。

プーチン氏は「ロシアは、国家の海洋政策の大規模な課題を自信を持って実行し、一貫して艦隊の戦力の増強を行う」と述べた。

ロシア大統領府のペスコフ報道官によれば、ロシア・アフリカ首脳会議のためにサンクトペテルブルクに滞在していたアフリカの首脳4人もプーチン氏とともにパレードに参加した。

海軍の日は1939年に制定された。当初は7月24日に実施されていたが、80年に7月の最後の日曜日に変更された。海軍の日には、大規模なパレードが主要な港湾都市で実施される。

■中国のロシアへの技術供与、ウクライナ戦争で重み増す 米報告

ロシアによるウクライナでの戦争に関連し、中国がロシアにとって重要性が増す一方の技術や装備を供与していると分析する報告書を米国家情報長官室が30日までにまとめた。

新たに公表された報告書は機密扱いの指定はされず、一般公開のデータや報道機関の記事などを大きく取り入れている。ただ、「ロシアによる戦争遂行の取り組みで重要な支柱としての中国の役割が一層募っている」などとの米情報機関内の分析も盛り込んでいた。

米下院情報委員会の民主党議員たちが出した報告書によると、今年3月時点で中国がロシアへ輸出したドローン(無人機)や関連部品は1200万米ドル以上に達した。この数字はロシアの税関上のデータを「第三者」が精査した結果に基づく。

中国国営の国防企業は欧米の制裁対象にあるロシア国営の国防企業に、ウクライナでの戦争続行に利する軍事転用が可能な技術を供与しているとも指摘。これらの技術には、航法装置、電波妨害技術や戦闘機の部品などが含まれるとした。

中国からロシアへの半導体輸出も2021年以降、激増していることも判明。欧米による厳しい制裁や輸出規制があるにもかかわらず、ロシアへ流出している米国製あるいは米国の商標がある半導体は数百万ドル規模に相当することがわかったとした。

中国企業はこれら制裁をかわすためにロシアをおそらく手助けしているとも指摘。ただ、その支援の規模を突き止めるのは困難とも認めた。

米情報機関は中国内で関係者との面談や調査を行ったものの、中国が輸出規制など履行する米国の努力を意図的に妨害しているのかは確信が持てないともした。

その上で、中国はロシアのウクライナ侵略が始まった昨年2月以降、ロシアにとって経済的に必要不可欠な協調国としての存在感を深めていると形容した。

中国によるウクライナ侵攻への対応についてバイデン米政権はこれまで中国企業がロシアへウクライナで用いられる非致死性の装備を売り付けていることを示唆する証拠を取り上げ、懸念を再三表明。一方で米政府当局者は中国が兵器そのものやあるいは殺傷能力がある軍事支援をロシアに行ったとの形跡は把握していないともつけ加えていた。

米国はロシアが侵略を始めた当初、中国はウクライナへ流れるであろう致死性兵器を引き渡すだろうとの見方を強めていた。米政府当局者が以前、CNNの取材に明かした見立てだったが、中国は結局、戦争が続くと共にこの計画を大幅に縮小した。バイデン政権が勝利として受け止める展開だったとした。

■米国防システムに中国サイバー攻撃 米紙報道

米軍の通信、補給活動にかかわるさまざまな国防システムに、中国がマルウェア(悪意あるプログラム)を仕掛けたとして、米当局者らが調査を進めていることが分かった。29日付の米紙ニューヨーク・タイムズが報じた。

同紙が当局者らの話として伝えたところによると、マルウェアは米軍基地への送電、給水や通信システムを管理するネットワーク内に仕掛けられたとみられ、有事の際に米軍の活動を妨げる恐れがある。

ある議員は同紙に、中国がマルウェアを「時限爆弾」のように使い、米軍の展開や補給活動を遅らせる可能性を指摘。同じ供給インフラを使う民間の住宅や事業所も影響を受けかねないと語った。

CNNは最近、中国のハッカーらによる一連の工作を報じてきた。

米マイクロソフトとホワイトハウスは今月、米国務省や商務省を含む二十数組織のメールアカウントに5月中旬、中国を拠点とする高度なハッカー集団が侵入していたことを確認した。ブリンケン米国務長官の訪中を控えた米政府内部のやり取りに関する情報を、中国政府に流したとされる。

事情に詳しい米当局者3人がCNNに語ったところによると、先週はバーンズ駐中国米大使のメールアカウントがハッカーの被害を受けた。

米連邦捜査局(FBI)は中国政府のハッキング活動について、他国をすべて合わせた規模よりも大きいとの見方を示している。
2023.07.31 11:38 | 固定リンク | 戦争

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