中国の三重苦「処方箋はないのか」
2023.09.10

「三重苦」ゼロコロナ政策、不動産不況、輸出減速が波乱要因

■中国のゼロコロナ政策は失敗

新型コロナウイルスの感染状況や行動制限の度合いに応じた政策の影響が避けられず、振れ幅が大きくなる可能性があります。

習近平国家主席は、その厳格さから物議を醸している「ゼロコロナ」政策を直ちに緩和するつもりはないことを示唆しました。

彼は「ゼロコロナ」政策を「ウイルスのまん延を阻止するための人民の戦争」と表現し、この政策は人命を救ってきたが、それと同時に中国国民と経済に大打撃を与えたと述べました。ロックダウンや移動制限に対する国民の疲労感は高まっていました。

中国のゼロコロナ政策とは、新型コロナウイルスの感染を徹底的に封じ込めようとする方針や政策を指す言葉です。中国は2020年の半ばには国内の新型コロナ新規感染者はほぼいなくなったとされるほど、都市封鎖(ロックダウン)などの強権的な措置を取りました。

しかし、2022年12月に突如、ゼロコロナ政策を大きく軌道修正しました。残された主な制限も2023年1月初旬には撤廃される予定であり、中国への渡航者についても入国時の隔離や新型コロナウイルス検査が免除されることになりました。この政策転換の背景には、全国規模の厳しいロックダウン措置に対する抗議行動や経済的自立の観点があったと考えられます。

しかし、ゼロコロナ政策の緩和に伴い、新型コロナウイルスの感染者と死者が急増しています。病院や葬儀場に行列ができたり、混雑した病院の待合室の真ん中に設置されたベッドに患者が収容されたりするなど、医療サービスのひっ迫が深刻化しています。中国で使用されている主なワクチンはオミクロン株に対する有効性に疑問があり、ワクチン接種率も高齢者を中心に低いままです。

以上のことから、中国のゼロコロナ政策は、国際的な摩擦や国内的な課題だけでなく、経済発展段階の変化にも関係していると言えるでしょう。

一方では、中国は2020年の半ばには国内の新型コロナ新規感染者はほぼいなくなったとされるほど、都市封鎖(ロックダウン)などの強権的な措置を取り、感染拡大を抑え込むことに成功しました。

また、ゼロコロナ政策の緩和に伴い、経済活動や社会生活が回復し、国民の不満や不安を和らげることにも成功しました。

しかし、他方では、中国のゼロコロナ政策は多くの問題や課題を残しています。まず、ゼロコロナ政策の緩和に伴い、新型コロナウイルスの感染者と死者が急増しており、医療サービスのひっ迫が深刻化しています 。

中国で使用されている主なワクチンはオミクロン株に対する有効性に疑問があり、ワクチン接種率も高齢者を中心に低いままです。これらの点から見れば、中国のゼロコロナ政策は失敗したと言えるでしょう。

また、中国のゼロコロナ政策は国際的な摩擦や経済発展段階の変化にも関係しています。中国は世界最大の経済大国であり、他国との貿易や交流が重要ですが、ゼロコロナ政策はそれらを制限することになります。

中国は高度成長期から成熟期へと移行しつつありますが、ゼロコロナ政策はその過程で必要な経済構造や産業構造の変革を遅らせる可能性があります。これらの点から見れば、中国のゼロコロナ政策は適切ではないと言えるでしょう。

■不動産市況の低迷

不動産バブル崩壊の影響で、不動産市場が低迷しています。不動産会社の多くは資金不足のため新規投資の余力がなく、市況の改善は期待しにくいとされています。

中国の不動産市況は、いくつかの要因により低迷しています。以下に主な要因を挙げます。

不動産バブルの崩壊

中国の不動産市場は、住宅価格が異常に高騰する「不動産バブル」の様相を呈しています。このバブルが崩壊すると、不動産市場全体が低迷します。

不動産会社の資金繰り問題

中国の不動産大手である中国恒大集団が巨額の負債を抱え、経営危機に陥っていることも影響しています。

政府の規制強化

中国政府は、バブル抑制のために不動産関連の金融規制を強化しています。これにより、新築マンションの販売が低迷しています。

新型コロナウイルスの影響

新型コロナウイルスの感染拡大とそれに伴う経済活動の停滞も、不動産市況に影響を与えています。

中国の不動産市場は、米中貿易戦争や新型コロナウイルスの影響により、住宅価格や販売、投資、建設などが大幅に減少しています。

中国政府は、不動産市場を安定させるために、金融規制や地方別の調整策などを強化していますが、効果は限定的であり、地方政府の財政難や開発業者の資金繰り悪化などの問題も深刻化しています。

中国の不動産市場は、高度成長期から成熟期へと移行しつつあり、経済構造や産業構造の変革が必要とされています。

中国は人口構造の変化や環境問題などに対応するために、住宅は住むもので投機の対象ではないという方針を堅持しています。

以上のことから、中国の不動産市況は、国際的な摩擦や国内的な課題だけでなく、経済発展段階の変化にも関係していると言えるでしょう。今後、中国はどのように不動産市場を調整していくかが課題と言えます。

■輸出の減速

世界規模の景気減速が鮮明になると、中国の輸出は成長エンジンとして機能しなくなる可能性があると警告されています。

中国の輸出は、いくつかの要因により減速しています。以下に主な要因を挙げます。

内需の低迷

中国国内の需要が低迷しており、輸出が減少しています。

外需の低迷

世界経済の減速に伴い、中国からの輸出需要が減少しています。

貿易摩擦

米中貿易摩擦など、貿易関係の悪化が輸出に影響を与えています。

これらの要因が相互に影響し合い、中国の輸出が減速しています。

中国の輸出の減速の理由には、いくつかの要因が考えられます。

一つは、米中貿易戦争による対米輸出の低迷です。中国は米国にとって最大の貿易相手国であり、米国からの関税措置や制裁措置により、中国の輸出品の競争力が低下しました。2023年8月の対米輸出額は前年同月比で20.1%減となりました。

もう一つは、中国国内の経済減速です。中国は不動産不況や若年層の失業率の高さなどにより、内需がふるわず、輸入も減少しています。これにより、中国向け輸出を行う他国の経済にも悪影響を及ぼしています。日本は中国にとって最大の輸入国であり、2023年7月の対中輸出額は前年同月比で13.4%減となりました。特に機械類や化学製品などが大きく減少しました。

さらに、中国は高度成長期から成熟期へと移行しつつあります。これは日本が40年前に経験したことと似ています。中国は人口構造の変化や環境問題などに対応するために、経済構造を変革しようとしています。その過程で、労働集約型から技術集約型へと産業構造がシフトし、輸出品の質や価値が向上する可能性があります。

以上のことから、中国の輸出の減速は、国際的な摩擦や国内的な課題だけでなく、経済発展段階の変化にも関係していると言えるでしょう。今後、中国はどのように輸出戦略を調整していくかが注目されます。
2023.09.10 09:31 | 固定リンク | 国際
習近平暗殺未遂
2023.09.08

中共の内憂 習近平暗殺未遂

中国共産党内部の権力闘争が激化しています。主に江沢民派主導の反習近平派閥が何度も習近平主席の暗殺を計画するも失敗しました。そして、中共司法部元部長の傅政華氏など、複数の国家安全局、公安部の高位幹部が粛清されたのは、ほぼ全員が、習近平暗殺に関与していたためという噂があります。

江沢民派と習近平派の衝突は、中国共産党内の権力闘争の一つの側面です。江沢民派は、元国家主席の江沢民とその側近や後継者である胡錦濤派、温家宝派などを含むグループで、改革開放路線や市場経済を推進した派閥です。習近平派は、現国家主席の習近平とその盟友や支持者である王岐山派、李克強派などを含むグループで、強権的な支配体制や国家主導型経済を推進した派閥です。

江沢民派と習近平派の衝突は、2012年に習近平が党トップに就任してから激化しました。習近平は反腐敗キャンペーンを展開し、江沢民派の多くの高官や軍人を粛清しました。例えば、周永康元政治局常務委員や孫政才元政治局委員、郭伯雄元中央軍事委員会副主席などが逮捕されました。これらの人物は江沢民や曽慶紅元国家副主席などの側近であり、習近平に対する政敵でした。習近平はこれらの人物を「反党反革命分子」として排除し、自らの権力基盤を強化しました。

一方、江沢民派は習近平に対抗するために様々な手段を用いました。例えば、インターネット上で習近平の批判や風刺を流布したり、暗殺未遂事件を起こしたりしました。これらの行動は習近平に対する不満や反発を表現するものでしたが、効果は限定的でした。習近平はインターネットの検閲や情報統制を強化し、暗殺未遂事件に関与した人物を摘発しました。

以上のように、江沢民派と習近平派の衝突は中国共産党内の深刻な対立を示しています。この対立は中国の政治的安定や経済的発展に影響を与える可能性があります。今後も両派間の争いに注目が集まります。

■反対派残存勢力は顕在

習近平国家主席は、中国共産党のトップとしてほぼ権力を掌握していますが、反対派を完全に粛清したというのは正確ではありません。

習近平氏は、反腐敗キャンペーンを名目に、江沢民派や胡錦濤派などの旧派閥の多くの高官や軍人を逮捕や追放しました。しかし、これらの派閥は完全に消滅したわけではなく、習近平氏に対する不満や反発を抱いている可能性があります。

また、習近平氏は、自らの権力を強化するために、党章や憲法に自らの思想を盛り込んだり、任期制限を撤廃したりしました。

この「任期制限撤廃」は、反対派残存勢力からの巻き返しを恐れ、自ら身を護るため行われたと言われてます。

しかし、これらの強権的な措置は、国内外からの批判や反発を招いたり、国民の支持率を低下させたりする可能性があります。

以上のように、習近平国家主席はほぼ権力を掌握していますが、反対派を完全に粛清したというのは事実ではありません。

中国共産党内では、今後も権力闘争や対立が起こる可能性があります。また、習近平氏の強権的な支配体制は、中国の政治的安定や経済的発展に影響を与える可能性があります。

中国の不安定化の原因は、複雑で多面的なものですが、前述の要因も含まれ、以下のように挙げられます。

■経済的な要因

中国は過去数十年間に急速な経済成長を遂げましたが、その一方で構造的な問題や不平等な分配、環境汚染、不動産バブル、負債の膨張なども抱えています。新型コロナウイルスのパンデミックは、中国経済に大きな打撃を与え、成長率の鈍化や失業率の上昇、外国からの投資の減少などを招きました。中国政府は経済刺激策や金融緩和策を講じていますが、それらは根本的な問題の解決には至っていません。中国経済は「時限爆弾」であり、危機と根深い課題に直面しています。

■政治的な要因

中国共産党は国内の政治的安定を維持するために、習近平国家主席を中心とした強権的な支配体制を強化しています。しかし、その結果として、人権や民主主義の抑圧、反対派や少数民族の弾圧、メディアやインターネットの検閲、社会信用システムの導入などが行われており、国民の不満や反発を招いています。また、香港や台湾といった周辺地域では、中国政府の介入や圧力に対する抵抗運動が起こっており、中国政府はこれらを武力で鎮圧しようとしています。中国政府は国内の不安定化を防ぐために、ナショナリズムや愛国主義を煽り、外敵を作り出すことで国民を団結させようとしています。

■国際的な要因

中国は世界第二位の経済大国として台頭しており、その影響力や野心は世界各地に及んでいます。しかし、その一方で、中国は自国の利益や主張を優先し、国際法やルールに従わないことも多くあります。例えば、東シナ海や南シナ海では、中国は自らの領有権を主張し、軍事的な挑発や嫌がらせを行っています。また、「一帯一路」構想と呼ばれる巨大なインフラ整備計画では、中国は途上国に対して多額の借款や投資を行っていますが、それらはしばしば不透明で不公平なものであり、借金漬けや影響力の喪失につながっています。こうした中国の行動は、アメリカや日本をはじめとする西側諸国や周辺諸国との対立や緊張を高めており、新冷戦や衝突の危険性を増しています。

台湾侵攻のために「国防の国民動員」を強化

習近平主席のように、権力を固めるため、海外に向かって軍事挑発し、国内を団結させる手法は、中国共産党の十八番。これを反映しているのが、中国と周辺国の軍事衝突です。

中国共産党は、台湾に対して軍事的・政治的圧力を強めています。「福建省の軍部が、台湾への戦争準備に関する内部調査の資料を入手し、習近平が予定より早く台湾を侵攻する可能性がある」と報じました。福建省は台湾に最も近い省です。

10月1日の中華人民共和国の国慶節(建国記念日)の後、台湾では10月10日の双十節(中華民国の建国記念日)が祝われました。今年は中国と台湾がそれぞれ政治的に対抗する姿勢をアピールしました。まずは中国の国慶節に、習近平主席が「必ず台湾統一を実現する、中国領土の完整」とアピールしました。その後、実際の台湾侵攻の下準備とみられる工作がありました。「中国領土の完整」には、尖閣諸島の侵攻も視野に入っているはずです。

中国共産党は、台湾に対して軍事的・政治的圧力を強めています。「福建省の軍部が、台湾への戦争準備に関する内部調査の資料を入手し、習近平が予定より早く台湾を侵攻する可能性がある」と報じました。福建省は台湾に最も近い省です。

中国共産党軍は10月11日、SNSの「微博(ウェイボー)」を通じて、福建省南部で最近、海浜上陸訓練を行ったと発表しました。投稿に添付された動画では、ディンギー(小型船)に乗った少人数の「民間人になりすました」人民解放軍の兵士たちが、浜辺で発煙弾を投げたり、有刺鉄線を破ったり、塹壕を掘ったりしている様子が映し出されています。

習近平は、戦争に備えることや戦争をすることについて、公の場で何度も言及しています。近年、中国共産党は、戦争に備えることを目的とした、いわゆる「国防の国民動員」の可能性に関する統計調査を集中的に行っています。

中国共産党から流出し、防衛出動の可能性を示す、福建省泉州市にある恵安県国防動員委員会の「国防動員可能性調査に関する通知」と題した内部文書によると、調査・統計は「軍事闘争準備の必要に応じて」「国防動員資源を総合的に、正確に、タイムリーに把握することで、国防動員の迅速な対応能力と平和的戦力転換能力を向上させ、効率的な戦力参加と戦闘の支援・保障という目的を達成する」としています。

次に「政党・官公庁登録書」では、しめい、連絡先、所属以外の項目を記入し、18歳から35歳、36歳から45歳、45歳以上の年齢別にカウントすることになっています。

「国防動員法」は2010年2月26日に当時の中国共産党主席である胡錦濤氏によって公布され、2010年7月1日に施行されました。第3章の第15条には「国は、国防動員計画、国防動員実施計画及び国防動員可能性の統計調査の制度を実施する」と記載されており、2019年4月の中国国防報によると、潜在的統計調査は「国防動員の基本プロジェクト、基本システムであり、経済や社会に潜む戦力を把握することを目的とし、どのような戦争を、どのくらいの規模の戦争を、どのくらいの期間、国が軍隊を支えて戦うことができるのか、その底辺の数値を測定、評価すること」とされています。

まさに福建省で今、その国防の国民動員が実施されています。

■蔡英文総統、台湾死守をアピール

このような警戒の中、台湾ではCH47輸送ヘリコプターが、巨大な青天白日旗(台湾国旗)を掲げて総統官邸の上空を飛行し、記念日のクライマックスを迎えました。

 長さ18メートル、幅12メートルの旗は、式典で掲揚されたものとしては台湾史上最大のもので、国旗にはアメリカ製の戦闘ヘリ、アパッチと攻撃ヘリ、コブラが続きました。

 さらに、F16V戦闘機、ミラージュ2000戦闘機、C130H輸送機など12種類、計42機の軍用機が展示されたほか、地上では各種ミサイルランチャーやデコイ、レーダー車などの軍用車両も展示されました。

中共の軍用機が頻繁に台湾の防空識別圏に侵入するようになってから、まさに一触即発の状況下、蔡英文総統は演説で台湾を守る決心をアピールしました。

この蔡英文総統のスピーチに、中国共産党は猛反発しました。

10月10日の蔡英文総統の演説の直後、中国共産党の在台湾事務弁公室はその日の夜に長文の記事を発表しました。「蔡英文は台湾独立を唱えて、対立を煽っている」と批判し、両岸関係に関する中国共産党の主張は、「両岸関係の平和的発展を促進し、一つの中国の原則に基づいた、いわゆる平和的統一を最終目標としたい」ということだと主張しています。

■中国とインド国境での小競り合い

さらに、中国とインドの国境で、小規模の戦争が何度も勃発しました。昨年6月、ガルワン渓谷でインド軍と中国軍の間で45年ぶりの国境紛争が発生しました。

10月8日にさらに規模が拡大しました。「インディア・トゥデー」紙の報道によりますと、インド軍と中国軍のにらみ合いは、中国国境付近での定期的なパトロール中に起こりました。

同紙は情報筋の話として、インド軍が国境近くで約200人の中国人民解放軍兵士を迎え撃ち、数時間後に地元の指揮官が既存の合意に基づいて問題を解決したことで、にらみ合いが終わったと伝えています。

この間、インドの要塞は被害を受けませんでした。

また、インドのメディア企業と提携しているCNNの英語版テレビ「CNN-18News」は、政府高官の情報を引用して、約200人の中国人民解放軍兵士がインド側の無人の掩蔽壕(えんぺいごう)*を破壊しようとして、チベット自治区からアルナチャル・プラデーシュ州に入ったと伝えました。中国人民解放軍兵士が国境を越えてインド側に入ったところ、インド軍に激しく抵抗され、一部の中国兵士が一時的に拘束されました。結局その後、中国人民解放軍兵士は解放され、両国の緊張は一時的に緩和しました。

以上のように、中国不安定化の原因は経済的な要因、政治的な要因、国際的な要因が相互に影響しあっていると言えます。中国はこれらの問題にどのように対処していくのか、そして日本は中国とどのような関係を築いていくのか、今後の展開に注目が集まります。

■飛行機に乗れない習近平

飛行機に乗れない習近平というのは、インターネット上で流れている噂の一つですが、事実ではありません。

習近平国家主席は、新型コロナウイルス感染症の対策のために、海外から帰国した人は10日間隔離することが義務付けられている中国のルールに従っているだけです。習近平氏は9月27日に北京で展示会を視察し、党中央政治局常務委員会の全メンバーと並んで姿を見せました。

また、習近平氏は10月9日からインドで開かれる主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に欠席することを決めましたが、これは飛行機に乗れないからではなく、政治的な判断だと考えられます。習近平氏は日米欧の主要7カ国(G7)への対抗軸としてG20の枠組みを重視してきましたが、今回はオンラインでの参加も見送りました。これは、中国が米国や欧州などの西側諸国との対立や緊張を高めており、新冷戦や衝突の危険性を増していることを反映していると言えます。
2023.09.08 13:59 | 固定リンク | 国際
変な中国「普通じゃないな~!」
2023.08.27


恐ろしい…政府要人が「突然消える」中国。現地駐在員が思わず「この国、おかしくない?」と感じた出来事 「独裁国家では茶飯事」 ゼロコロナ解除後「2カ月間で187万人が死亡」

日本では考えられないことが日常茶飯事の国、中国。東洋証券上海駐在員事務所の奥山要一郎所長は「日本がこうだから中国も同じはず」という妄想や勘違いを捨て去るのが賢明だといいます。しかし、その奥山氏でさえ、最近「中国、おかしくない?」と感じることが増えてきたそうです。いったいなにがあったのか、詳しくみていきましょう。

“外交の顔”失踪も…中国当局「提供できる情報はない」
要人が表舞台から突如として消える。そんなことが中国ではままある。

しかし、「外交の顔」の長期不在は異例の事態だった。当局は「提供できる情報はない」の一点張りで、真偽不明の噂や観測が浮上。新型コロナウイルス感染説、不倫関係のこじれ説、権力闘争に巻き込まれた説……。現地メディアは不在の事態や理由は一切取り上げず、ほとんどの市民は何も知らない(そもそも関心がないのかもしれないが)。

果たして7月25日、秦剛外相の解任が発表された。動静が途絶えてからちょうど1カ月後のことである。

現地駐在員の筆者が肌で感じる「中国の異変」

最近、「中国、おかしくない?」と感じることが増えてきた。自分の主張だけを強烈に押し出し、相容れない意見には罵るかの如くヒステリックに反応する。相変わらずと言えば相変わらずだが、ここに来てその度合いが大きくなった気がする。

ゴールドマン・サックス(GS)は7月4日付のレポートで、中国の一部銀行に対して弱気判断を示した。地方政府債務に対するエクスポージャーなどを懸念材料とし、「収益の悪化を受け、配当目標を達成できない可能性がある」という。この内容が悪材料視され、香港市場では銀行株が軒並み安となった。

一方、これに噛み付いたのは中国国営メディアの証券時報。「市場は悲観的な想定に基づいて中国の銀行について弱気な見解を示すべきではなく、否定的な論拠は事実を誤って解釈したものだ」と、半ば上から目線で反論した。

また、国家金融監督管理総局は複数の大手行に対し、同レポートに適切に対応するよう求めたという。招商銀行は早速、「(GSの見解は)一部の投資家に誤解を与え、資産の質について懸念を生じさせた」と批判。目には目を、レポートにはレポートを。「戦狼外交」ならぬ「戦狼レポート」で対抗とでも言えようか。

いずれにせよ、中国当局がネガティブな市場コメントに神経をとがらせていることが図らずも示された。

■中国原潜大爆発事故「核爆発」か

中国原潜大爆発事故とは、2019年11月22日に中国の海南島沖で発生したとされる原子力潜水艦の爆発事故です。

この事故は、中国政府やメディアによって公表されていませんが、インターネット上には爆発の映像や音声が流出し、多くの議論を呼びました。

この事故は中国の新型原潜「094A型」が核兵器を搭載して試験航海中に起きたもので、核爆発が起こった可能性があります。

爆心地付近では、高い放射線量によって生物や環境に深刻なダメージを与えます。また、水中で起こった場合は、水蒸気や水滴を含むキノコ雲が形成され、降下物として放射性物質を広範囲に拡散させます。

遠隔地では、風向きや海流によって放射性物質が運ばれます。特にヨウ素131やセシウム137などの長寿命の放射性物質は、食物連鎖や土壌・水質汚染を通じて人間や動植物に影響を及ぼします。

放射能汚染による健康被害は、急性放射線障害や白血病・甲状腺がんなどの癌リスクの増加などがあります。また、遺伝的影響や心理的影響も考えられます。

中国はこの事故で放射性物質拡散の懸念から、何れ知れ渡ると見ており、その前に原発処理水放出を強烈に批判、雲散霧消を謀った。

■ゼロコロナ解除後「2カ月間で187万人が死亡」

米研究報告書「中国のゼロコロナ解除後、2カ月間で187万人が死亡」

昨年末、中国防疫当局が「ゼロコロナ」政策を突然解除した後、2カ月間約200万人の超過死亡者が発生したという米国の研究結果が発表された。

米国シアトルのフレッドハッチンソンがん研究センター研究チームが中国の大学病院とインターネット検索サイトの死亡関連検索キーワードを基にチベットを除く中国30省・市で2022年12月と2023年1月の2カ月間発生した30歳以上の超過死亡者を187万人と推算したとロイター通信が25日、報じた。

昨年12月、中国当局が3年間集団核酸検査と厳格な封鎖と隔離に代表される「ゼロコロナ」政策を解除し、新型コロナに感染した患者が大勢病院を訪れ、政府が発表していない数多くの死亡者が発生した。

24日、米国医学協会ジャーナル(Journal of American Medical Association)に掲載された「ゼロコロナ政策終了後、中国の超過死亡」研究によると、中国当局が昨年12月から2月23日まで病院で新型コロナで死亡したと発表した8万3255人より22倍多い187万人が死亡した。研究者たちは北京と黒竜江省の大学病院が公開した訃報資料と中国検索サイト「百度」で「葬儀場」「火葬場」「埋葬」などの検索キーワード10億件以上を参考にして死亡者データを推定した。

研究者は「中国でゼロコロナの終了に関連した超過死亡者研究はベンチマーク推定を通じて実証的に行われた」として「このような発見は人口全体で新型コロナの突然の感染が全体死亡率にどのような影響を及ぼすかを理解するのに重要だ」と話した。中国の国家衛生健康委員会はロイターの関連質問に答えなかった。

国際保健専門家は、新しい変異ウイルスの脅威が懸念され、中国に入院と死亡に関するより多くの資料を公開することを繰り返し促した。中国は2022年末、一日死亡者数の発表を中止した。世界保健機関(WHO)は12万1628人が新型コロナによって中国で死亡した場合、これを含めて全世界で約700万人が死亡したと集計した。

中国浙江省政府は7月、今年1-3月期の火葬件数が前年同期比73%増の17万1000件だったと発表した。ただ、この数値が報じられると、浙江省政府は昨年10-12月期の火葬件数とともに関連データを削除した。中国の最高指導者は2月、新型コロナに決定的な勝利を収めたと宣言した。しかし、新型コロナウイルスの変異株は依然として中国で広がっている。ギリシャ神話で紛争の女神「エリス(Eris)」と呼ばれる変異EG・5の割合が4月0.6%から8月71.6%に増加したとし、このような傾向が続く可能性が大きいと中国国家疾病管理庁が21日、発表した。

■中国当局の呆れた言い分「自国リスク記述は抑制せよ」「独裁国家では茶飯事」

7月下旬には、中国証券当局が法律事務所などに対し、企業の上場目論見書に中国の政策やビジネス、法的環境について否定的な記述を含めないように求めたという。金融業界ではリスク提示は当たり前。ただ、当局の言い分は「自国リスク記述は抑制せよ」。どうやらディスクロージャーの概念がかなり異なるらしい。

統計面でも不思議なことがあった。浙江省が発表した今年1~3月の火葬遺体数が、公開後すぐに削除されてしまったという。その内容は「火葬遺体数が前年同期の約2倍となった」というもの。「新型コロナの感染爆発が要因ではないか」「死者数が最多になったから公開できないのではないか」などの見方も広まっていた。

事実は事実。それを直視できない何か都合が悪いことでもあったのだろうか。民政部が3ヵ月に一度発表していた火葬遺体数も、昨年10月以降は更新が止まっている。

これらを受け、「だから中国は……」と短絡的な結論を出すつもりは毛頭ない。言いたいのは、「ところ変われば事情も変わる」ということ。

事の良し悪しは別にして、一筋縄では行かないのが中国。現状では「中国はこういうものだ」と大局的に捉えていくしかないだろう。

「日本がこうだから中国も同じはず」という妄想や勘違いも捨て去るのが賢明。みんな違って、みんないい。もちろん好き嫌いはあるけれど。

くだんの外相の解任発表後、ネットのコメント欄やSNSは「国と党を支持します!」「新外相ガンバレ!」的な正能量(ポジティブエネルギー)系の投稿で埋め尽くされた。

一方、NHK海外放送のニュース番組は、解任を報じる際に画面が切り替わり、カラーバーのみとなった。お約束の当局検閲。報じてほしくない一件らしい。実に分かりやすい。

■ほぼ「脱出」に近い形の帰国だった。「改正反スパイ法」

ウイグル書いた北京特派員の帰国記 8月上旬、3年間の西日本新聞中国総局長(北京特派員)の任期を終えて日本に戻った。

中国で7月、スパイ行為の定義を拡大し、摘発機関の権限を強める改正反スパイ法が施行された。3月に北京で日系企業幹部がスパイ容疑で拘束されたばかり。理不尽な取り締まりの強化を恐れ、今夏に帰任予定の日系企業社員には法施行前に帰国した人が少なくなかった。

 スパイ行為や機密の定義が曖昧で、どんな取材が違法とされるか不明。統計資料を入手して新疆ウイグル自治区の強制不妊疑惑に迫った調査報道などで当局から批判され、圧力をかけられてきた私も狙われかねないと、日中両国の関係者から助言を受けた。実際、中国政府の役人に「どんな記事を書くかで、後任にビザ(査証)が下りるか、あなたが無事に帰国できるか、中国を再訪できるかが決まる」と警告されてきた。

 近年の邦人拘束事案を踏まえると帰国日が最も危険で、単独行動は避けるべきだとの見方があり、同僚と私の家族が北京まで迎えに来た。帰国日は、北京に駐在する日本メディアの仲間たち十数人が見送りと警護を兼ねて私の自宅前や北京の空港に集まり、当局をけん制するために動画撮影もしてくれた。

 私が乗る車の前後を挟み、車列を組んで空港に到着。車寄せから保安検査場まで私を取り囲んでガードしてくれた。日本行きの飛行機に乗る際、客室乗務員から日本語で「お帰りなさい」と言われた時はグッときた。

3年で、外国人記者の立ち入りが制限されたチベット自治区以外の30省・自治区・直轄市を全て訪れ、100都市以上を踏破した。公安当局に幾度も取材を妨害されたが、中国が嫌いになったかといえばその逆だ。

 中国共産党、役人、人民を分けて考える必要があると知った。大半の分野で日本を追い越した中国の発展ぶり、歴史や文化の奥深さと多様性、民間の熱と力、大陸で生きる人々のたくましさやおおらかさ、温かさに魅せられ、ファンになった。

 中国で先日、日本への団体旅行が解禁された。引っ越しできない隣人として是々非々で向き合う対中関係では、中国の市井の人々に日本のファンを増やすことが大きな意味を持つ。

 共産党の集団指導体制から習近平国家主席(党総書記)の個人独裁に移行し、さまざまな統制と忖度が強まる中、富裕層や知識人が日本に「脱出」する動きもある。清朝末期、日本に身を寄せた孫文を九州の先人たちが支え続けたことが、中国に変革をもたらす追い風となった。
2023.08.27 11:19 | 固定リンク | 国際
皇帝を守るため「百万人犠牲」に
2023.08.10



中国・北京の大洪水は「人災」、治水失敗の皇帝・習近平は天から見放された?

中国・北京を襲った記録的な大雨による被害は「人災」との指摘が広がっている。

表面的な開発を優先し十分な治水事業を怠った習近平・国家主席の失策との声も。

皇帝の紋章である竜は治水の象徴で、風水師は天に見放されたと騒ぎ立てている。

■福建省を直撃した台風5号(トクスリ)は、熱帯低気圧に変わった後も、北京で12年ぶりに最高レベルの暴雨警報が出るほどの集中豪雨をもたらした。8月1日までに洪水によって北京、河北ですでに20人以上の死者が出ている。SNSには、北京市西部郊外の門頭溝区は道路が濁流と化し、人が乗ったままの数十台の自動車を押し流す動画などが多くアップされている。

被害は1日までに、北京市だけで4.4万人が被災し、12万人以上が避難。災害救急隊員2人の殉職を含めて11人が死亡し、27人が行方不明だ。台風5号は福建省ですでに被災者266万人以上、直接経済損失147.5億元以上の大被害を出している。中国全土で被災者は300万人を超える。この大災害は、人災の側面もあり、習近平の治水事業の失敗ではないか、という声も上がっている。

台風5号は7月28日に福建省に上陸、その後北上し熱帯低気圧に変わったのちに、北京、天津、河北地域で連日の豪雨災害をもたらした。特に北京市西部の山間地域の門頭溝区の集中豪雨により永定河の水位が急上し氾濫、川沿いの道路は濁流と化し、沿道の店舗が水没した。

北京、天津、河北地域の豪雨は29日から始まって、8月1日午前にようやくやんだ。

SNS上では数十台の自動車が濁流に流される様子や、永定河大橋が水流で破壊される様子、おぼれた少年の蘇生を試みるも間に合わなかった様子などが映された動画が拡散されている。撮影者が悲鳴のように「雨よ、やんで!」「天よ!」と叫ぶ音声なども記録されている。門頭溝賈溝村は洪水で流れてきた土砂や樹木、自動車などで埋もれてしまい村民全員が村を脱出して緊急避難した。

主要な被災地の門頭溝では洪水や土砂崩れによって多くの電線、変圧器が損壊し、電気供給や通信が途絶えるところも多く出た。1日未明、解放軍は4基のヘリを緊急出動させ、車両や建物に閉じ込められた市民に飲食や雨具などの救援物資を届けたり、傷病者の救援を行ったりしたという。

門頭溝豊沙線安家荘駅付近では冠水で、列車が立ち往生していた。列車内は、夏休みで新疆ウルムチ旅行からの帰路にある家族連れが多く、高温と飲料水不足で具合が悪くなる乗客も多く出た。門頭溝は水道、電気、ガス、通信の供給が停止され、公共交通もすべて停止。陸の孤島となったのだった。

門頭溝に近い房山区も洪水で、1万人以上が暮らす社区(コミュニティー)が深さ1.5mの水につかった。永定河大橋から、河面が急上昇して家を押し流す様子が目撃された。永定河の氾濫は50年以上ぶりだという。最新の排水設備が設計されているという触れ込みだった北京大興空港の停機場の大部分が冠水し巨大な湖のようになった。

■天災は今回の大雨だけでは終わらない

北京でこれほどの水害に見舞われたのは2012年7月21日午後から深夜にかけての集中豪雨による大水害以来だ。この時の集中豪雨は10時間以上続き過去60年間で最大の降水量が記録された。当時、79人の死者、直接経済損失100億元と公式発表された。だが今回の豪雨は67時間以上続き、降水量も記録を確認できる1883年以降最大で、2日朝までに744.8mmを記録した。被害の全容はまだ出ていないが、2012年7月を超える規模となるとみられている。
 
台風5号は北京に来る前に福建省で記録的な被害を引き起こしていた。泉州で体育館の屋根が吹き飛び、数十階の高層アパートが暴風によってゆがみ、倒壊した様子が報じられている。道路の自動車や街路樹が洪水に押し流され、橋などを破壊した。台風は厦門、泉州、福州を破壊し、浙江、江蘇、上海にも甚大な被害を出しながら移動し、亜熱帯低気圧になったのちも河北、北京を襲った。

今年は台風5号上陸前から中国各地で豪雨災害が発生しており、異様に水害の多い年と言われている。5月下旬は河南を中心に華中を豪雨が襲い、10年に一度の規模の「爛産雨」(小麦の収穫に甚大な被害をもたらす雨)といわれた。

また、異常高温が続く夏でもあり、北西部では気温50度超えがたびたび発生。広西チワン族自治区や江蘇省では暑さで養殖の魚や家畜の豚が大量死する事案も報告された。新疆北西部の高温と豪雨、雹に襲われ小麦生産に大規模被害をもたらした。

 今年は世界的な異常気象であり、こうした天災被害は何も中国に限ったことではない。だが昨年の河南省の7月21日の大水害といい近年、中国で大規模水害が頻発していることについては「人災」を指摘する人も多い。

■防災などの都市インフラで「手抜き」か

今回、北京の洪水のすさまじさが大きく報道されているが、北京市を守ろうと河北省に対して予告なく行われた永定河などの「泄洪」(水門を開いて河水を放出する)の結果南部にある70万人が暮らす河北省涿州市が水没したのはまさしく「人災」だ。

また過去40年の都市開発の在り方が問題だったという声もある。奇抜な形の高層ビル建設など表面的な繁栄を追うばかりで、防災や排水など目に見えない都市インフラ建設に手抜きをしてきたせいだという批判も起きている。

門頭溝の水害がここまでひどかったのは、単に予期せぬ長時間の集中豪雨のせいだけでなく、近年、郊外観光地として開発が進められていたこの地域が、表面上の景観ほどには地下インフラが整備されていなかった、という地元民の批判の声もSNSなどであがっていた。

ドイツ・日本の植民時代にインフラが整備された青島で、これまで水害が発生したことがないことを例にあげて、中国の都市計画、都市開発の未熟さを指摘する声もあった。

■習近平は「皇帝」としての力不足

人々が人災説を強く感じたもう一つの背景は、7月19日に「習近平の治水に関する重要論術」なる本が出版され、水利部、メディアを挙げて、「習近平がこの10年自ら計画し、配置し、推進し、全国の海綿都市(水害に弱い都市)の治水事業を完成させた」と大々的に喧伝していたこともある。水利部機関紙「中国水利報」(7月19日)は、「長期間解決しがたかった治水問題を(習近平が)解決した」と報じていた。

だが、その1週間後に、福建から上海、江蘇、河北、北京、天津の至るところが水没したのだ。これは、宣伝と実情がまったく異なるということであり、何も解決できていないのに、解決できたというウソを浸透させたがために、台風上陸前に準備すべき対応策や泄洪計画に手が抜かれたのではないか、と思われた。

暴れる竜のような黄河、長江の大河ほか無数の河が走る中国はもともと水害が多い国であり、治水で国家指導者の能力が試されてきた国でもあった。中国の皇帝が竜の紋章を使うのは、竜が治水の象徴だからだ。ならば、習近平はその治水に失敗しているのだから、果たして「皇帝」としての能力が足りているといえるかどうか。

さらには中国には「易姓革命思想」という伝統的な考えかたがあり、天は己に成り代わって皇帝に地上を支配させるが、その皇帝が徳もなく悪政を行っていると天が判断すると、皇帝の姓、血統を入れ替え、王朝交代が起きるという。天が為政者に徳や能力がないと判断した場合、疫病や天災、飢饉などが続き、人々は皇帝が天に見放されそうだと知ることになる。

これは暴力によってしばしば王朝が簒奪(さんだつ)されてきた中国で、簒奪者が自分の正統性を示すための考え方だ。そういう考えに基づくと、習近平の治水は失敗し、近年、疫病、天災などが続いたのは、天の啓示ではないか、というわけだ。

今回の北京の大水害では、過去600年水没した記録がない故宮紫禁城も冠水した。そのため、迷信を信じる人達や風水師はこれを凶兆だと騒ぎはじめた。

ある風水師動画では「この台風5号はもともと台湾を襲うものだったが、意外なことに台湾を迂回し、上海、北京を襲った。台風と香港の間を通って中国を直撃し、紫禁城を水没させた。これには意味があろう。大凶兆であり、王朝が不安定化する」「天の現象は人間社会の現象を反映している。この数年、異常気象が続き、王権の象徴である紫禁城が600年来初めて、台湾と香港からの風によって水没した」「天が民衆に何かを啓示している」という。

■習近平の威信が崩れ始めている

紫禁城の水系は紫禁城内と太和門前を流れる内金水河が天安門前から外金水河に続き中南海(中海と南海の2つの人口池をもつ紫禁城西側の皇帝の離宮の呼び名。今は共産党中枢の建物群がある場所で、中国共産党政権中枢を指す言葉として使われる)に流れ込むようになっている、という。今回の大雨で、大量の雨水が金水河を通じて中南海に流れこんだが、中南海では水は排水されず、金水河が逆流し、紫禁城が冠水した。

風水師的には「台湾、香港からの風によって、大雨が降り、中南海で排水できない雨水が王権の象徴の紫禁城を水没させた」ということに何がしかの予感を感じるわけだ。

新型コロナが辛亥革命発生の地である武昌(武漢)で最初にアウトブレークし、その打撃から中国経済は回復できず、若者失業率の更新が続き、さらには次々と天災、人災が襲われた。政治においても、外相が突然理由も示されずに解任されたり、解放軍ロケット軍幹部が総入れ替えになったり、政権内部の不安定さも露見しつつある。

風水や天命の話はさておき、習近平は実際、災害時に十分なリーダーシップを発揮できていない。国内の治水事業も口でいうほど成功していない。体制内の人心も掌握しきれておらず、経済回復の処方箋も持たず、米国との外交的緊張も緩和の兆しがみえていない。

こういう状況で、14億の中国人が習近平体制の支配に従順に甘んじ続ける時代が続くのかどうか、という疑問はやはり強まっていくのだ。

■首都・北京を守るために河北省で犠牲者。中国の“仰天”洪水対策

台風5号の影響で集中豪雨に襲われた中国の首都・北京では、7月29日からの約3日で400ミリから700ミリという降水量を記録。北京の街が冠水する映像もありましたが、それほど大きな被害が出なかった理由は、まさかの洪水対策にあったようです。今回のメルマガ『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』では、多くの中国関連書を執筆している拓殖大学の富坂教授が、現地に住む友人の「北京の水を河北省に流した」という証言を紹介。120万人以上が避難しなければならないほどの水が河北省に流れ込んだのは、首都を守るために計画されていたことだと、驚きの事実を伝えています。

首都の大水没という可能性が垣間見えた台風5号の豪雨被害

6月を過ぎた中国では豪雨や洪水のニュースがにわかに増える。政府の頭痛の種だ。香港で民主化デモが激化した2019年にも、李克強総理が関心を示したていたのは、むしろ各地で起きている洪水対策だった。

中国で「出水期」と呼ばれる危険な季節は年々厳しさを増してきている。2022年には〈中国全土の降水量は例年より約3割も多く、増水は例年だけでなく昨年と比べても厳しい状態になりつつある〉と『人民日報』が報じている。

そして洪水の後に中国全土に襲い掛かるのは干ばつである。国内のメディアは大雨から一転して水不足のニュースに振り回される。これも恒例の展開だ。

だから洪水と聞いても驚きはなくなっていた。しかし今年は少し事情が違っていた。首都、北京に被害が及んだからだ。雨が少なく乾燥している。それが一般的な北京のイメージだ。故に大雨の想定はあまりなく、洪水対策は遅れているのではないか、と思われがちだ。だが、そうした思い込みはいろいろな意味で裏切られた。

対策が万全だったという意味ではない。まずは北京を襲った大雨から見てゆこう。党中央機関紙『人民日報』は、北京市水害・干ばつ対策指揮部の劉斌副指揮官の説明として、7月31日、北京市の平均降水量が「2012年7月21日に北京で降った集中豪雨と同じ水準に達した」と報じている。なかでも被害が深刻だったのは房山区と門頭溝区。平均降水量はいずれも400ミリを超え、12年時を大きく上回った。

今回の集中豪雨の原因は中国に上陸した台風5号(トクスリ)だ。北京では7月29日から激しい雨となり、市内の西部、南西部、南部で集中豪雨となった。水はけの悪い地区では道路が冠水する映像も届けられた。記録的な大雨の犠牲者は8月1日の時点で死者20人、行方不明19人と発表された。

これは大変なことになったと、筆者は7月31日から現地と連絡を取り合った。しかし意外なことに北京で暮らしている友人たちはみな落ち着いている。その理由はこうだ。「首都を守るために河北省へと水を流した。
だから北京の洪水被害は、それほど酷い状況じゃない」。

■中国河北省で100万人近く避難、北京守るため「保水地区」へ放流

中国河北省では7月下旬からの豪雨により、100万人近くが避難を余儀なくされた。あふれかえった河川の水を多くの住民が暮らしている幾つかの「保水地区」に誘導せざるを得なくなったからだが、首都北京を守るためのこうした措置の犠牲になって家を失った人々がインターネットで怒りの声を上げている。

豪雨で氾濫したのは海河。流域面積は河北省の大部分と北京市、天津市など、ポーランドに匹敵する広大さがあり、特に河北省では洪水被害が大きい。

中国の法律では、大規模洪水で貯水ダムの容量オーバーとなった場合、一時的に指定された低地の保水地区に水を放流することが定められている。

こうした中で7月31日に河北省は13の保水地区のうち7カ所に水を放流。対象にはタク州市や、習近平国家主席が打ち出した国家プロジェクトの一環として設置された雄安新区なども含まれた。

河北省共産党トップは8月1日、北京の洪水対策を巡る重圧を和らげる上で、これらの措置が必要だと強調した。

ただネットには、自分の住んでいた場所が保水地区に指定され、いざという場合に犠牲にされるとは知らなかったとの投稿も寄せられている。

■北京市の記録的豪雨 

人災を指摘する声も… わずかの雨でも道路が水浸しになってしまう根本原因

猛烈な勢力で沖縄県などにも被害をもたらした台風5号の影響により、中国では7月末から記録的な豪雨が続き、北京市や河北省、天津市、福建省などで300万人以上が被災、20人以上が死亡した。

各地で洪水が発生し、道路が冠水、住宅は浸水、道路が寸断されたり、河川が氾濫したりした。習近平政権は早急な救助活動を指示したが、北京市では過去140年間で最多の降水量を記録するなど、復旧にはかなりの時間がかかりそうだ。

SNSなどでは被害を嘆く声だけでなく、「人災ではないか」といった厳しい声も散見される。

2012年、2021年にも豪雨被害があった

今回の台風被害について、中国のSNSなどを見てみると、政府の対応や、都市・道路インフラの悪さを指摘する声がある。

もちろん、台風による被害はどの国や地域でも起こることとはいえ、中国での被害は同程度の台風が起きた他国の被害よりも大きいのではないか、と感じている人が少なくないからだ。

地形や気象条件、河川などの状況によって異なるので一概に比較することはできないが、北京市では今から13年前の2012年7月21日(721と呼ばれる)に発生した集中豪雨の際も70人以上が死亡し、政府に対する批判の声があがっていた。

これに対し、政府は「海綿都市(スポンジシティー)」建設を提唱、洪水対策に本腰をあげると宣言した。海綿都市とは緑化を進めたり、透水性のある舗装材を使用したりして、豪雨に強い都市にすることだ。

だが、2021年7月にも河南省鄭州市で大規模な洪水が発生、地下鉄が浸水し、3000万人を超える被災者が出た。こうしたことから、現実には中国政府による豪雨対策はあまり進んでいないのではないか、という疑惑が噴出している。

中国メディア「新京報」の2022年の記事でも「北京市の排水システムはいまだに完璧ではない。排水施設がないところや、老朽化した建物で整備が遅れているところ、でこぼこした道路も多く、排水がスムーズではない」と指摘されている。

インフラ整備が遅れているのは政府の責任

読者のコメント欄にはハッとさせられる内容があった。たとえば、「これほどの大都市なのにインフラ整備が遅れているのは政府の責任だ」、「排水システムの問題だけでなく、排水溝をきちんと掃除していないので、そこにゴミが溜まっていて、いざというときに排水溝の役割が果たせていないからだ」、「ふだんの小雨でも、道路の水はけが悪いじゃないか」といった意見だ。

これらのコメントを見て、私も雨の日に中国の街を歩いて、実際に自分が感じたことを思い出した。

北京だけに限らないが、中国のどの都市を訪れても、いったん雨が降れば、すぐに道路には水が溜まり、靴や靴下がビショビショになる。道路の水はけがとても悪いからだ。

もともとでこぼこ道が多く、コンクリートも一部が剥がれていたり、わずかな段差があったり、気をつけて歩かないとつまずいてしまいそうになる道路が多い。その上、いざ雨が降り始めると、さらに大量の雨水が足元にあふれてくるので、大変なことになってしまう。

■ホテルの玄関で見かけた驚きの光景

建物の入り口にも雨水は押し寄せてきて、通常の雨でも玄関先は水浸しとなり、なかなか水が引かない。

7~8年ほど前、北京市内の4つ星ホテルに宿泊していた際、雨が上がってすでに数時間ほど経っているのに、玄関先の雨水がなかなか引かず、なんと、地面にたくさんの毛布が敷いてあった。

雨水を吸収するために置かれた応急処置だったようだが、ホテルを出入りするためには、その毛布を踏まなければならない。水をたっぷり含んだ毛布を靴で踏むことに私は抵抗があり、「ここは本当に経済発展している中国だろうか?」と感じた。

台風や豪雨とは関係ないが、ホテル内のシャワールームの水はけもとても悪い。

安いホテルだけでなく、かなり高級ホテルでも、シャワールームと室内の段差がわずかしかないため、日本人のようにバスタブを使用してたくさんのお湯を一度に使ったり、シャワーを大量に出したりすると、お湯が室内まで溢れ出てきそうになる。

コロナ禍以降、中国に行っていないので、さすがに最近の高級ホテルではそのような設計はされていないだろうと思うが、外観やデザインはすばらしいのに、使い勝手が悪い、残念、と感じることが中国では非常に多い。

これはホテルや一般家庭の排水だけでなく、都市インフラも同様で、ビルや幹線道路、ターミナル駅などの外観や内装はすばらしいのに、使う人の身になって考えていない設計や動線になっている。

見た目だけを重視し、見えないところ、使うときのことまでしっかり考えて作っていないからだ。

中国から一歩も外国に出たことのない人や、無頓着な人は感じないかもしれないが、一度でも日本で生活したことのある中国人ならば、国内のこうした不便さ、インフラの人への不親切さをひしひしと感じるのではないだろうか。豪雨被害でも、都市の脆弱さを嘆いた人は多いはずだ。

台風による豪雨は、自然災害なのでやむを得ない部分もあり、被災した人々には心からお悔やみを伝えたいが、政府のやり方次第で被害を最小限に抑えることができるのではないか。台風6号が接近する中、そうしたことを痛感した。
2023.08.10 17:28 | 固定リンク | 国際
秦剛外相不倫疑惑「カショギ氏殺害に関与」
2023.07.20



中国・秦剛外相の「長期不在」に憶測広がる “不倫疑惑”が浮上した香港のアナウンサーと台湾が報道 「習氏の任命責任浮上」

中国の秦剛国務委員兼外相(57)が先月25日から23日間(18日現在)も公開活動を中断し、憶測が飛び交っている。北京外交関係者の間では「秦剛蒸発事件」が今年の中国外交の最大「ブラックスワン(突発事件)」になったという評価が出ている。

秦外相は6月25日に北京でスリランカ外相、ベトナム外相、ロシア外務次官と相次いで会談した後、突然、姿を消した。今月初めに青島で開催された韓日中フォーラム、先週のジャカルタASEAN地域安保フォーラム(ARF)まで外務次官でなく上級者の王毅共産党政治局員が出席し、異例という指摘が出ていた。

17日には海外の記者が「秦剛外相が香港フェニックスTVの傅暁田記者(40)との不倫疑惑で調べられ、彼女が米国で最近出産したという噂について立場を聞きたい」と質問すると、中国外務省の毛寧副報道局長は「状況について知らない」と答弁を避けた。「秦剛氏は現在、中国の外相なのか。なぜ数週間も姿を見せないのか」という質問には「最初の質問は中国外務省のサイトを見てほしい。私が提供できるそれ以上の情報はない」と答え、当惑した表情だった。中国外務省のホームページには秦剛外相の先月25日の活動が最新の動静として紹介されている。ただ、この日の秦外相に関する報道官の答弁はホームページに掲載されなかった。

秦外相の潜伏が長期化すると、まず健康不安説が提起された。親中性向の香港星島日報は10日、秦外相が新型コロナに感染して半月間ほど療養中で、近く活動を再開すると報じた。汪文斌報道官も11日、「秦外相が身体の問題」でARFに出席できないと伝えた。

秦外相の機関調査説は13日に提起された。香港明報がこの日、「療養中の外相と欠席した上将」と題して先月28日、軍進級式に異例にも出席しなかった李玉超ロケット軍司令官と秦外相の潜伏を一つのコラムにして掲載したのがきっかけだ。明報は先月末に逮捕説が浮上した李司令官だけでなく張振中連合参謀部副参謀長、劉光斌ロケット軍副司令官までが関与し、すでに3年前に退役した呉国華元ロケット軍副司令官が5日に突然脳溢血で死亡したと伝え、尋常でない軍部内の事件にまで言及した。

秦外相の不倫疑惑は先週末から海外ツイッターを中心に広まった。北京大学学士、英ケンブリッジ修士学位を持つ香港フェニックスTVのアナウンサー傅暁田氏が自身のウェイボー(微博・中国版ツイッター)に昨年3月、当時の秦剛駐米大使へのインタビュー写真と今年3月に彼女の息子の写真を載せたのが不倫疑惑の根拠になった。

中国外務省内の権力闘争説も登場した。10日、趙立堅元報道官の夫人がウェイボーに夫の写真と共に「今日はいい日」という意味深長なコメントを載せた。秦外相の就任直後に趙報道官の左遷人事を記憶するネットユーザーが各種憶測を出した。最近は、新任の駐米大使が5月末にワシントンに赴任した直後に秦外相事件を把握し、退職した元老の助けを受けて上部に報告したという主張も登場した。

在米時事評論家の鄧聿文氏は「秦剛報道官は第20回党大会以降に発生した最初の高官スキャンダル」とし「強権統治は政権自体が不安定で高官1人の非常識な行動が政権に無限の憶測を呼ぶという事実を証明した」と今回の事態の推移に懸念を表した。

中国外務省のホームページによりますと、秦剛外相は先月25日にベトナムの外相などと会談して以降、動静が途絶えています。

今週、開かれたASEAN(東南アジア諸国連合)関連の国際会議にも欠席し、代わりに王毅政治局委員が出席しました。

欠席の理由について、中国外務省は会見で「健康問題」と説明しましたが、ホームページには掲載せず、中国国内で秦剛外相の健康問題はほとんど報じられていません。

一方、中国国外のネット上で不倫が原因ではないかという憶測が広がり、台湾メディアなどが引用して報じています。

この件に関し外交筋は「新型コロナにしては長すぎる。重い病気なのか、別の事態を『病気』と説明している可能性はある」と分析しています。

中国外務省の毛寧(もう・ねい)報道官は17日の記者会見で、王氏の女性問題に関する報道について「状況を把握していない」と回答。「中国の外交活動は正常に行われている」と秦氏不在による外交への影響を否定した。中国外務省はホームページに報道官の会見内容を毎日掲載しているが、秦氏の動静に関するやり取りは削除しており、情報管理に神経をとがらせているとみられる。

秦氏は57歳で、外務省報道官や外務次官、駐米大使などを歴任し、昨年末に外相に就任。今年3月からは国務委員(副首相級)を兼任し、スピード出世を果たしている。

キャリア外交官で、習近平国家主席の最側近の1人とされる秦氏は、駐米大使を短期間務めた後、昨年12月に外相に抜擢された。外交部門ではトップの王毅(おう・き)政治局員に次ぐナンバー2だ。

中国の偵察気球が今年2月に米国上空に侵入し、米軍に撃墜された問題により悪化していた米中関係は最悪の事態に陥った。秦氏は外相として米国を痛烈に批判したが、6月中旬には緊急訪中したブリンケン米国務長官と会談し、双方の対話を継続することで関係安定化を図ることに合意するなど、重要な役割を果たした。

だが、秦氏は6月25日に北京でスリランカ、ベトナム、ロシアの当局者らと会談して以来、動静が途切れた。ロシアの民間軍事会社ワグネルによる反乱の後、中国当局に状況説明のため急きょ北京入りしたルデンコ露外務次官と並んで笑顔で歩いている様子が伝えられたが、それが公の場で確認された最後となっている。

元共産党紙・学習時報の編集長で現在米国在住のアナリスト鄧聿文氏は米CNNに、「世界における中国の地位と影響力を考えると、外相が20日以上公の場に姿を現さないのは実に奇妙だ」と指摘した。

秦氏は今月初めに北京で欧州連合(EU)のボレル外交政策責任者と会談する予定だったが、中国側はEUに「(日程は)都合がつかない」と通告したため、会談は延期されたとロイター通信がEU報道官の話として伝えた。ボレル氏は中国到着の予定日だった5日のわずか2日前に延期を知らされたという。

秦氏は先週、インドネシアで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)年次外相会議も不在だった。代わりに王毅氏が出席した。中国外務省報道官は定例記者会見で、秦氏は「健康上の理由」でASEAN会議に出席できないと述べた。詳しい健康状態は説明しなかったが、香港紙は新型コロナウイルスに感染したと報じていた。だが、「健康上の理由」だけでは、憶測の高まりを鎮めることはできていない。

中国の高官らは過去にも公の場から姿を消した数か月後に、中国共産党の中央規律検査委員会によって拘束されていたことが明らかになった例は少なからず知られている。CNNによると、このような突然の失踪は、習主席の反汚職キャンペーンではよく見られる現象となっている。

アナリストの鄧氏は、秦氏の消息不明が注目される理由の一つは、昨年秋に異例の3期目続投を決めた習氏の新たな指導部にあって、習氏の厚い信頼を受けて外相に抜擢されたという事実だ。「秦氏は習氏の独断で現在の地位に引き上げられた。これは秦氏が問題を起こした場合、習氏の任命責任になりかねず、政権にとってダメージでしかない」と解説した。

■香港フェニックスTVの傅暁田記者との不倫疑惑

現在米国で保護されてます。

傅暁田氏の経歴と疑惑

彼女は北京大学学士、英ケンブリッジ修士学位を持ち、中国の秦剛国務委員兼外相との不倫疑惑が報じられています。

秦外相は先月25日から公開活動を中断し、憶測が飛び交っています。傅暁田氏は自身のウェイボー(微博・中国版ツイッター)に昨年3月、当時の秦剛駐米大使へのインタビュー写真と今年3月に彼女の息子の写真を載せたことが不倫疑惑の根拠になっています。

疑惑

彼女はカショギ氏殺害に関与「サウジ(カショギ氏)記者殺害に関して、カショギ氏に対し総領事館に書類を取りに行くよう促す電話をかけた」

CIAの分析では「彼女はムハンマド皇太子の指示で(カショギ氏)へ電話をかけた」と分析。

経歴

不倫問題だ。秦剛が駐米大使時代に愛人関係にあったとされる元香港フェニックステレビの美人キャスター、傅暁田が2022年11月に秦剛の子供を出産したという噂が流れた。

傅暁田は1983年生まれ、英国ケンブリッジ大学チャーチル学院留学などを経て、2009年にフェニックステレビに入社し、英国駐在記者も経験した。美人で、英国の政界関係者に食い込み、中英の架け橋的な評価もされてきた。帰国後の2013年から人気政客対談番組「風雲対話」の看板キャスターとして活躍し、2015年には同番組のプロデューサーも兼任。安倍晋三首相(当時)や、キッシンジャー・元米国長官、ゴードン・ブラウン元英国首相ら世界の大物政治家と対談してきた。

彼女は2022年3月放送の番組でゲストとして当時駐米大使だった秦剛を迎えたが、その後まもなく番組キャスターを降板し、単独で米国に移住。2022年11月25日に米国で未婚のまま男児を出産したことを自分のブログで報告していた。

彼女の子供の父親は秦剛だと噂されていた。彼女がブログに載せている赤ん坊の顔は秦剛によく似ているし、彼女自身、その赤ん坊の父親が秦剛であるような思わせぶりな発言をブログでしていた。

たとえば今年、秦剛の誕生日である3月19日の前の18日夜に赤ん坊の写真を掲載し、「パパ、誕生日おめでとう」とコメントしたが翌日削除。また、彼女はわが子をEr-kinと呼んでいるが、Erは中国語の二世の意味、kinはqin(秦)を英語発音にしたときの音で、「二秦」つまり秦二世の意味ではないかと思われた。
2023.07.20 11:13 | 固定リンク | 国際

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