「人工知能」無料で試せる「チャットGPT」
2022.12.11
12月5日、最先端技術における人工知能(AI)利用が急速な進展を続けている。米サンフランシスコの企業オープンAIが作ったチャットボット「チャットGPT」は11月30日から一般公開され、無料で試せるようになった

情報BOX:チャットGPTとは何か、その活用方法は

最先端技術における人工知能(AI)利用が急速な進展を続けている。米サンフランシスコの企業オープンAIが作ったチャットボット「チャットGPT」は11月30日から一般公開され、無料で試せるようになった。チャットボットとは、ユーザーの入力に反応して人間のように会話するソフトウエア・アプリケーションだ。

オープンAIのサム・アルトマン共同創業者兼最高経営責任者(CEO)によると、公開から1週間で100万人を超えるユーザーがチャットGPTとの会話を試みている。

◎オープンAIの所有者はだれか、イーロン・マスク氏は関係しているか

研究開発企業のオープンAIは2015年、シリコンバレーの投資家サム・アルトマン氏と富豪イーロン・マスク氏によって非営利企業として設立された。ベンチャーキャピタリストのピーター・ティール氏など、他にも数人が出資している。19年には外部から投資を受け入れるため、関連する営利企業を設立した。

最近ツイッターを買収したマスク氏は、18年にオープンAIの取締役会から外れているが、流行のチャットGPTについてこのほど「恐ろしいほど良い」とツイートした。

マスク氏はその後のツイートで、オープンAIがツイッターのデータベースをAIの「訓練」に使っていることが分かったため、同社によるデータベースへのアクセスを一時的に中止したと明かしている。

◎オープンAIの仕組み

オープンAIはチャットGPTのモデルについて、「人間のフィードバックによる学習強化(RLHF)」という機械学習技術を用いて訓練されており、会話をシミュレーションし、追加質問に答え、間違いを認め、不正確な前提には異議を唱え、不適切な要求は拒否すると説明している。

初期開発においては、AIトレーナーがユーザーとAIアシスタントによる会話を演じてみせることで、モデルに情報を提供した。今回公開されたチャットGPTのバージョンは、ユーザーの質問を理解し、人間が書く会話文体に似せた文章で深い答えを返すようになっている。

◎何に使えるか

チャットGPTのような道具は、デジタルマーケティング、オンラインコンテンツのクリエーション、カスタマーサービスにおける質問への回答などに実用できる可能性がある。一部のユーザーは、コードのバグ(欠陥)を修正するのにも役立つことを発見した。

チャットGPTは人間の会話形式をまねて幅広い質問に答えることができる。

◎問題はあるか

多くのAI関連イノベーションと同様、チャットGPTにも心配な点はある。オープンAIが認めている通り、「まことしやかに聞こえるが、不正確もしくは理にかなっていない答え」を返す傾向がある。これは修正の難度が高い点だという。

AI技術はまた、人種、性、文化などを巡る社会的偏見を固定させかねない。アルファベット傘下のグーグルやアマゾン・ドット・コムなどの巨大IT企業は以前、AIを使って試したプロジェクトの一部が「倫理的に危うい」ものであり、限界があったと認めている。複数の企業では、AIが引き起こした混乱を修正するのに人間が介在する必要が生じた。

こうした懸念はあるものの、AI研究は依然として魅力的だ。調査会社ピッチブックのデータによると、AI開発・運営企業に対するベンチャーキャピタル投資は昨年130億ドル近くに増加し、今年も10月までに60億ドルに達した。
2022.12.11 06:59 | 固定リンク | AI

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