李強首相退任
2023.09.24
習政権ナンバー2に蔡奇氏台頭

全人代では習主席に次ぐ党内序列2位の李強氏が首相に、序列6位の丁薛祥・党中央弁公庁主任が筆頭副首相に転じ国務院(政府)を固めた。2人とも習氏の元秘書官を務めた習近平派なので、習総書記と李克強前首相が対立した時代が終わり、党と政府が一体の習近平・李強体制が生まれると思われていた。

党に従属する「政府」
 はたして李首相は就任後、最初の国務院常務会議(閣議)で「国務院は政治機関である」と宣言した。政府は党の指導を受ける機関であり、党から独立した行政権力ではないという意味で、例のない動きだ。

 改革派の鄧小平時代は党が行政機関や国有企業経営に介入しない「党政分離」「党企分離」が基本だった。だが、習政権では、党がすべてを決め、政府はそれを忠実に執行するという毛沢東時代への回帰が色濃くなった。

 李首相は2度目の閣議で「国務院工作規則」を改定し、「重大な決定事項は、すべて、ただちに、党中央に報告して指示を仰ぐ」と国務院の権限を自ら縮小した。

 さらに、毎月1回、国務院で習近平思想の学習会を開き、習総書記が党中央政治局で行った重要演説を全官僚に学習させることも決めた。序列2位は名ばかりで、李首相の存在感は薄い。

 李首相に代わって急に台頭したのが序列4位の蔡奇・党中央書記処筆頭書記(政治局常務委員)だ。3月20日から22日まで習主…

■中国共産党“新指導部” 序列5位・蔡奇氏とは

新しい最高指導部で序列5位に入った蔡奇氏は、福建省出身の66歳で、現在は北京市トップを務めています。

蔡氏は地方勤務時代に習近平国家主席と接点があり、習氏の側近の一人に位置付けられています。

蔡奇氏は今年の北京冬季五輪も北京市トップとして取り仕切り、習主席の2期目政権のレガシーづくりに貢献したほか、新型コロナウイルス対策では、地方から北京への移動を厳しく制限するなど、習主席がこだわるゼロコロナ政策の下で首都防衛を徹底してきました。

蔡奇氏はまた、北京五輪の開会式のあいさつでは習主席を礼賛する言葉を述べたほか、今回の党大会を前にした会合でも、習主席について「我々が心から敬愛する人民の領袖だ」と絶賛するなど、習主席への絶対忠誠を常にアピールしていて、忠誠心を買われて最高指導部入りを果たしたとみられます。
2023.09.24 13:05 | 固定リンク | 国際

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