シリコン量子ビット誤り修正を観測
2023.10.11
シリコン量子ビット誤り修正を観測 理化学研究所 東京工業大学

理化学研究所(理研)創発物性科学研究センター 量子機能システム研究グループの樽茶 清悟 グループディレクター、量子システム理論研究チームのダニエル・ロス チームリーダー、東京工業大学 超スマート社会卓越教育院の米田 淳 特任准教授らの共同研究グループは、シリコン量子ビット[1]間に強い誤り相関[2]を観測しました。

本研究成果は、経済・産業・安全保障を飛躍的に発展させる誤り耐性型汎用量子コンピュータ[3]を実現する有力候補の一つである、シリコン量子コンピュータの将来設計と性能向上に大きく貢献することが期待されます。

大規模量子コンピュータで実用的な計算を行うには、量子ビットの誤りに対する耐性(訂正機能)が必要と考えられます。その際、量子ビット誤りの特性、とりわけ量子ビット間の誤り相関が、誤り耐性に大きく影響することが知られています。

今回、共同研究グループは、高密度集積の観点で有望なシリコン量子ビットを用い、量子ビット誤りをもたらす電子スピン[4]の位相回転速度のゆらぎ[5](時間的変動)を測定しました。このゆらぎの量子ビット間相関を評価することで、隣接するシリコン量子ビット間では誤り相関が強くなり得ることが分かりました。これは、シリコン基板に量子ビット列を高密度集積した際の量子誤り耐性、ひいてはシリコン量子コンピュータの将来設計に影響を及ぼす重要な知見です。

■誤り修正を観測

誤り耐性型汎用量子コンピュータは、あらゆる量子計算を実行できる量子コンピュータで、圧倒的な情報処理能力を持ち、社会に変革をもたらすと期待されています。特に従来の量子コンピュータとは異なり、量子ビットに生じる誤りに対して耐性(訂正機能)があるため、大規模集積化による情報処理能力の向上が可能です。

大規模な誤り耐性型汎用量子コンピュータを実現する手法として注目されているのが、シリコン量子ドット[6]中の単一電子スピンを用いるシリコン量子ビットです。シリコン量子ビットは、現在の大規模集積回路技術との親和性が高く、大規模集積化に有利と考えられます。近年、その基本動作や特性の確認などを行う原理検証として、誤り耐性獲得に必要とされる、極めて高い精度での操作や量子非破壊測定[7]が示されるなど、目覚ましい進展が見られています。

今後の研究開発で集積化を推し進め、誤り耐性の獲得を目指すにあたり、量子ビットに生じる誤りの特性を理解しておく必要があります。シリコン量子ビットの誤りに関しては、主に単一の量子ビットを対象として、これまでに多くの詳細な測定がなされてきました。しかし、複数のシリコン量子ビットに生じる誤りの特性の評価は技術的に困難であり、とりわけ誤り耐性の獲得に大きな影響を与える量子ビット間の誤り相関に関して、精密な測定が待たれていました。

■研究手法と成果

共同研究グループは、高密度に集積されたシリコン量子ビット列において期待される誤りの特性を調べるため、100ナノメートル(nm、1nmは10億分の1メートル)程度離れたシリコン量子ビットのペアに対して、各量子ビットに誤りをもたらす、位相回転速度のゆらぎ(時間的変動)の同時測定を行いました。

シリコン量子デバイス中に隣接して電子スピンを二つ閉じ込め、金属電極(黄土色)に制御信号を与えることで、それぞれを量子ビットとして動作させた。これらの量子ビットのペアに対し、誤りをもたらす位相回転速度のゆらぎ(時間的変動)を同時に測定することで、量子ビット間の誤り相関を評価した。

このようにして同時測定されたゆらぎのデータを解析し、それらの間の相関の強さや位相関係を周波数ごとに評価しました(図2)。0.02Hz程度以下の低い周波数においては、量子ビット間に負の相関が観測された一方で、0.06Hz程度以上の周波数領域では、量子ビット間に正の相関が観測されました。1Hzにおけるゆらぎの量子ビット間相関の強さは0.7程度と、最大値1の70%に達しました。これらの結果から、100nm程度離れたシリコン量子ビット間では、強い誤り相関が観測され得ることが分かりました。

シリコン量子ビットに誤りをもたらす位相回転速度ゆらぎの、量子ビット間での相関の強さや、位相関係を周波数ごとに評価した結果。各データ点の色は、相関の位相を表す。低周波側では相関の位相が180°に近く、一方の量子ビットにおいて位相回転が速い場合には他方では遅いというような、負の相関が観測された。高周波側では相関の位相が0°に近くなっており、一方の量子ビットで位相が進んでいる場合には他方でも進んでおり、一方が遅れている場合には他方でも遅れているというような、正の相関が観測された。

さらに、量子ビット間に働くスピン交換相互作用[8]に観測されるゆらぎと、それぞれの量子ビットの位相回転速度のゆらぎの交差相関[9]に着目したところ、強い相関が観測されました。スピン交換相互作用は磁気的なノイズには鈍感であることから、そのゆらぎは電気的なノイズによってのみ生じると考えられます。従って、今回実験に用いたシリコン量子ビットに生じる誤りが、デバイス中の欠陥、不純物などに由来する電気的なノイズに支配されていることが、実験によって直接的に示されました。

■期待は

今回、シリコン量子ビットの隣接ペアに対して誤りをもたらすゆらぎを測定し、強い相関を観測しました。シリコン量子ビット間において誤り相関が強くなり得るという知見は、シリコン技術に立脚した誤り耐性型汎用量子コンピュータの将来設計と性能向上に大きく貢献すると考えられます。

また、本研究で確立した交差相関に基づくノイズ源の同定手法を用いることで、従来方法ではノイズ源の特定が困難な状況においてもノイズ源の特定が可能になり、より高品質な量子ビットデバイスの開発につながると期待されます。
2023.10.11 20:32 | 固定リンク | 化学
イスラエルの防空システム破りの主犯は、中国人民解放軍61398部隊か
2023.10.11
ハマスの進行を許した原因は、イスラエルがハマスの能力を過小評価し、ガザ地区への封鎖や分離フェンスで十分な防御ができると過信していたと思われる。さらにイスラエルはハマスのロケット弾攻撃に対して「鉄ドーム」ミサイル防衛システムで対処できると考えていたが、ハマスは大量かつ連続的にロケット弾を発射し、鉄ドームの限界を突いたのか。

イスラエルがハマスの越境攻撃に対して情報収集や警戒態勢に不備があった。イスラエルは中東で最も優秀な諜報機関を持っているとされるが、ハマスがガザ地区から数百人の戦闘員を送り込む計画を事前に察知できなかったか、あるいは対応できなかったのではないか。

一方、イスラエルがハマスの攻撃に対して迅速かつ効果的な反撃を行えなかったこともあり、イスラエルはガザ地区への空爆や地上戦でハマスのインフラや戦闘員を破壊しようとしたようだが、ハマスは市民やメディアなどを盾に抵抗し、それを攻撃すれば国際社会から非難される恐れもあったと言われる。

■イスラエルの集落で住民虐殺か 取材班が現地入り、焼け跡に遺体も

イスラム組織「ハマス」の攻撃を受けたイスラエル南部のキブツ(農業共同体)クファルアザに10日、CNNなど外国の取材班が入った。イスラエル軍によると、ここでは女性や幼児、高齢者らが虐殺された。焼け跡には住民やハマス戦闘員らの遺体が横たわっていた。

取材班を先導したイスラエル軍の部隊は、民家を1軒ずつ回って遺体を収容し、トラックに積み込んでいた。

ハマスは7日、イスラエル側の複数の集落に越境攻撃を仕掛けた。クファルアザもそのひとつだ。

軍将校はCNNに、ハマスは女性や子どもらを過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」のような手口で容赦なく虐殺したと語った。

軍は死者の数を確認できていない。殺害された状況など、詳細も今のところ不明だ。

クファルアザの民家は略奪されて放火され、地面には遺体とともに壊れた家具やマットレス、アクセサリー、不発弾が散乱していた。

軍将校はCNNとのインタビューで、「40年間のキャリアで見たことも、想像したこともない光景だ」と語った。

イスラエル軍はこの数時間前、クファルアザなどハマスが侵入した地域を制圧したばかりだった。同将校によれば、兵士らは丸2日、路上や周辺の集落で次々に襲い掛かるハマス戦闘員と戦い続けた。完全武装の戦闘員らはアパートや部屋を順に回って、寝室の乳児や父母らを殺害したという。

■音楽フェス会場に260人の遺体、ガザで人質にされた観客の映像拡散

ロケット弾の砲撃が始まったのは午前6時半ごろだった。イスラエルの音楽フェスティバル会場にいた数百人は、ガザ戦闘員の銃撃を受けて逃げ惑った。

この会場は、7日午前、パレスチナ自治区ガザのイスラム組織ハマスによる一斉攻撃を受けた場所の一つだった。

イスラエル救助隊によると、フェスティバル会場では少なくとも260人の遺体が見つかった。観客の一部は人質に取られ、ガザから投稿された映像がSNSで拡散されている。

音楽フェスティバルに参加していたイスラエル人女性ノア・アルガマニさんと交際相手のアビナタン・オルさんも、武装集団に拉致された。

映像の中のアルガマニさんは、走り去るバイクの後ろに乗せられて助けを求めていた。近くにいたオルさんは数人の男たちにつかまり、後ろ手にしばられて歩かされていた。

家族や友人は、2人の居場所を突き止めて無事解放させるため、この映像が広く拡散することを望んでいる。

アルガマニさんの知人は、フェスティバル会場にいて行方が分からなくなった人を5~6人知っていると語った。

別の映像には、フェスティバル会場からガザに連れ去られた女性が意識を失った状態で映っていた。この女性はドイツとイスラエルの二重国籍をもつシャニ・ロークさんと判明。ロケット弾を手に持った男がロークさんの腰に足をかけ、別の男がロークさんの髪をつかんで、アラビア語で「神は偉大なり」と声を上げていた。

トラックの周りに集まった群衆からも声が上がり、1人の男はロークさんの頭につばを吐きかけた。

ロークさんの母はドイツのメディアの取材に対し、娘がツアーの一行と共にハマスに拉致され、意識を失った状態で車に乗せられた映像が送られてきたと訴えている。

■ハマスのイスラエル攻撃、外国人も犠牲に 「イスラム国」並みに野蛮で残酷と米高官が非難

パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム武装組織ハマスによるイスラエルへの奇襲攻撃で、外国人の犠牲者が相次ぎ報告されている。タイ外務省は9日、イスラエルでタイ人12人がハマスに殺害され、11人が連れ去られたと明らかにした。アメリカ政府も、イスラエルで少なくとも11人の自国民が死亡したと発表。その野蛮な残酷ぶりは武装勢力「イスラム国(IS)」に匹敵すると、ハマスを非難した。

7日朝、ガザ地区からイスラエルに向けてロケット弾が発射された。同時に、パレスチナ側の戦闘員が陸海空のルートに分かれて、一斉にイスラエル南部へ侵入。イスラエルはこれに空爆で応戦した。

タイ外務省によると、7日から続く暴力行為で、イスラエルにいるタイ人8人が負傷した。このほか、12人がハマスに殺害され、11人が連れ去られたという。

同省は、タイ市民を帰国させるための空軍機が待機していると明らかにした。

イスラエルでは、約3万人のタイ人が農業に従事している。その多くはガザとの境界付近で働いている。

ネパール政府も、イスラエルで自国民10人が死亡したと発表した。

このほか、アメリカやイギリス、ドイツなどが、イスラエルでの暴力行為で自国民が死亡したり、誘拐されたり、行方不明になっていると発表している。

イギリス政府筋は、イギリス人10人以上が死亡または行方不明になっている恐れがあると、BBCに話した。

インド政府は、イスラエルにいる自国民を帰国させるために「積極的に」取り組んでいるとしている。報道によると、イスラエルには約1万8000人のインド人が居住し、働いている。

イスラエルのタイ人労働者が巻き込まれる

タイのピパット・ラチャキットプラカーン労働相は、戦闘が起きている地域で約5000人のタイ人労働者が働いているが、イスラエル軍が安全な場所への労働者の移送を開始したと、AFP通信に述べた。また、労働者1099人が帰国を希望していると付け加えた。

ガザ地区に近いミヴタヒム町の農場で働く人々は、7日早朝にロケット弾が発射された後、ハマスの武装集団が農場を襲撃した時のことを語った。

「ハマスの武装集団はまずロケット弾を発射して、私たちの農場を襲撃した。私は走って自分の寝室に隠れなくてはならなかった」と、ウドムポーン・チャンパホムさんはBBCに話した。

チャンパホムさんはその後、イスラエル兵に助け出された。その時一緒にいた同僚のタイ人は、足に「瓶のふたほどの大きさ」の銃創を負ったが、回復しつつあるという。

別のタイ人労働者は、「走ってトラックの下に潜り込んだら、ハマス(の戦闘員)に引きずり出され、至近距離で銃を突き付けられた。(戦闘員は)地面に向けて発砲した」と、名前を伏せてBBCに語った。この労働者はその後、なんとか逃げ出したという。

イスラエルのアボカド農園で夫のアヌチャ・アンケオさんが2年近く働いているというワニダ・マールサさんは、夫も武装集団に捕らえられたと、BBCタイ語に話した。

ハマスが先週末に公開した動画には、アンケオさんが映っていた。「(動画の男性は)絶対に夫」だと、マールサさんは述べた。

そして、「バンコク時間の7日午前2時(イスラエル時間6日午後10時)以降、夫と連絡が取れていない。娘が寝る直前に、電話をかけたのが最後」だと付け加えた。

「イスラム国」に匹敵

アメリカのジョー・バイデン大統領は9日、ハマスによるイスラエルへの攻撃で少なくともアメリカ人11人が死亡したと明らかにした。

米国防総省高官は、ハマスによる前例のない攻撃について、「その野蛮な残酷ぶりは、ISに匹敵する」と非難した。

米当局は、殺害された人の身元は明らかにしていない。

バイデン大統領は、ハマスが人質として拘束している人の中に米市民が含まれている可能性は「高い」と述べた。

「非常につらい。許しがたい憎悪と暴力によって、家族が引き裂かれている」と、バイデン氏は声明で述べた。

さらに、アメリカはイスラエルによる人質発見を支援するため、専門家を派遣し、情報を共有しているとした。

国防総省高官は、防空と軍需品の支援を増やしているとしている。

行方不明者の中には、アメリカ系イスラエル人のハーシュ・ゴルバーグ=ポリンさん(23)も含まれる。武装集団に襲撃された、ガザ地区に近いイスラエル側の砂漠で開かれていた「スーパーノヴァ」音楽フェスティバルに参加していたという

ゴルバーグ=ポリンさんの両親は、イスラエル紙エルサレム・ポストに対し、息子から「愛している」と「ごめんね」という2つのメッセージを受け取ったと語った。

「息子に無事でいてほしい。ただそれだけだ」と、父親のジョナサン・ポリンさんは話した。

アメリカとイスラエルの二重国籍を持つイスラエル国防軍の兵士、イタイ・チェンさんは、7日から行方不明になっていると報じられている。

父親のルビー・チェンさんは米CNNに対し、息子を見つけるために国務省に助けを求めたが、アメリカは率先して捜索しようとはしていないようだと話した。

米オハイオ州シンシナティ出身で、イイスラエルで長く暮らしているハナ・カッツマンさんは、息子のハイムさんがガザ地区との境界に近いイスラエル南部のキブツ(農業共同体)で殺害されたと、フェイスブックに書いた。

イスラエル在住の米市民アビー・オンさんは米MSNBCに対し、親族5人が人質に取られたと語った。7日に親族から、ガザ地区に近い南部ニル・オズの自宅にハマスの戦闘員がいるというワッツアップ・メッセージが届いたという。

その後、インターネット上に投稿された動画に、親類の12歳男子が映っているのを見たという。

こうした中、カナダの国際関係省は、少なくとも1人のカナダ人が死亡し、2人が行方不明になっていると認めた。

音楽フェスティバルに参加していた、モントリオール在住のアレクサンドル・ルックさん(33)が死亡した。父親のハイムさんがCBCの取材で認めた。

「息子はごく普通のやり方で、日常のひとコマを楽しもうとしていた、普通の若者だった」

ネパール人学生10人が死亡

イスラエル国内では、50カ国以上の国民が働いていると考えられている。

ネパール政府は8日、イスラエルで農業を学ぶネパール人学生10人が死亡したことを認めた。

犠牲者の1人は、ネパール東部のマドゥワン村出身のラジェシュ・クマール・スワルナカルさん(27)。農学部の最終学年で、オーストラリアへ行くことを希望していたと、きょうだいのムケシュさんはBBCネパール語に語った。

スワルナカルさんを「イスラエルに送り出すことに、私は乗り気ではなかった」と、ムケシュさんは話した。「自分は奨学金をもらえたのだと彼は強調して、イスラエルでのプログラム終了後にオーストラリアへ行く手続きができるよう、お金を貯めるつもりだと言っていた」。

父親のラジ・クマール・スワルナカルさんは、紛争が起こりやすい地域での職業訓練に息子を送り込んだ、イスラエル当局の怠慢を感じているという。

ネパールによると、計265人の学生が、イスラエル国内の様々な農場で働いている。

同国のファーウェスタン大学の学生17人が、ガザ地区近郊でハマス戦闘員に襲撃された。10人が死亡し、4人が地元の病院で治療を受けている。2人はイスラエル・テルアヴィヴまで助け出されたが、1人が行方不明になっている。

在イスラエルのネパール大使館によると、200人以上の自国民が、帰国希望の書類に記入している。イスラエルでは農業従事者に加えて、4500人のネパール人が介護士として働いているとの報告がある。
2023.10.11 19:59 | 固定リンク | 戦争

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