【速報】特殊部隊が人質250人を救出「ハマス副司令官拘束」
2023.10.15
【速報】イスラエル特殊部隊が人質250人を救出 スーファ、イスラエル、10月13日 (AP) ― イスラエル国防省は10月13日、同国南部パレスチナ自治区ガザ地区の境界線のすぐ外側に位置するスーファで、イスラム武装組織ハマスに一時的に占拠された前哨基地を、海軍特殊部隊が奪回する様子を撮影した映像を公開した。

 同国防省は、ハマスによる奇襲攻撃が行われた当日の7日に実施されたこの作戦で、人質250人が救出され、約60人のハマス戦闘員が死亡、26人が拘束されたことを明らかにした。拘束されたなかにはハマス南部海軍部隊のムハンマド・アブ・アーリ副司令官も含まれていたという。

 「シャイェテット13」は、イスラエル海軍の特殊部隊で、対テロ作戦、破壊工作、情報収集、人質救出などがその主な任務であるといわれている。

イスラエル国防軍は14日、パレスチナ自治区ガザ地区の北部に住む約110万人に対して、住民が通るべきという2つの避難経路を示した。イスラエル空軍は同日、7日のイスラエル侵入作戦を指揮したイスラム組織ハマスの司令官をドローン攻撃で殺害したと明らかにした。他方、ガザ当局によると、イスラエルの空爆によるガザの死傷者は1万人を超えた。

イスラエル軍のアヴィチャイ・アドラエ報道官はソーシャルメディアで、ガザ北部から南部へ移動する経路を2つ示し、現地時間の午前10時~午後4時(日本時間の午後4時~午後10時)の間は、「危害を受けることなく」ここを通行できると、ソーシャルメディア「X(旧ツイッター)」でアラビア語で発表した。

報道官は、ガザ市の住民はハンユニスまで南へ移動するよう指示。沿岸部やザイトゥン地区西の住民にも、特定の道路を使った南への移動が認められるとした。

イスラエル軍の地上部隊によるガザ侵攻が近いとされている。イスラエルは地上攻撃の準備を進めており、ガザ地区との境界付近に兵士や重砲、戦車を集めている。

ガザ市と2つの難民キャンプが位置するガザ北部は、人口密集度の高いガザ地区でも特に人口の多い地域。南へ移動するための幹線道路は1本しかなく、自動車用の燃料はなくなりつつある。

こうした中、米国務省関係者は14日、ガザ地区にいるアメリカ国民は、エジプトへ至るラファ検問所からガザを出られることになったと明らかにした。イスラエルとエジプト両政府の合意を受け、現地時間正午から午後5時(日本時間午後6時~同11時)の間、ラファ経由の退避が認められるという。ただし、ハマスがこれを認めるかは不透明な情勢。

イスラエルとガザの間の通過地点は7日以降、すべて封鎖されてきた。ガザとエジプトを結ぶラファ検問所は、エジプトの管理下にあるものの、イスラエルの空爆が続き、ほとんど閉鎖されているか、通行が厳しく制限されている。

イスラエル政府は12日、ガザ地区のワディ・ガザ(ガザ渓谷)以北の全住民は24時間以内にガザ地区南部に退避すべきだと通告した。退避の対象となるのは、ガザ地区の人口のほぼ半数の約110万人。人口密度が高いガザ市も含まれる。

イスラエルからの通告を受けた国連は声明で、「このような人の移動は、壊滅的な人道的影響なしには不可能だ」とした。

世界保健機関(WHO)は、ガザ地区の保健当局から、危険な状態にある入院患者を病院から避難させるのは不可能だと報告を受けたと明らかにした。

ハマスは、イスラエルによるこの退避勧告は「偽のプロパガンダ」だと主張し、無視するようガザの住民に呼びかけている。しかし、すでに大勢が自宅を離れている。

ただし13日夕方には、ガザ北部から南へ避難する市民の車列が空爆され、多数が死傷したという情報が拡散した。BBCヴェリファイ(検証チーム)が現場映像などを調べたところ、ガザ地区を南北に走るサラ・アラ・ディン通りで13日午後5時半ごろ、車列が攻撃されたのが確認できた。

サラ・アラ・ディン通りは、イスラエル軍が14日の時点で「危害を加えない」避難経路として、ガザ住民に向けて発表したルートのひとつ。

13日午後の現場映像では、少なくとも12人が遺体となってトラックの荷台や路上に倒れているのが確認できる。そのほとんどが女性と子供で、子供は幼児に見える。

パレスチナ保健当局はこれについて、イスラエルの空爆で70人が死亡したとしている。

イスラエル国防軍は、事実関係を調べているとする一方、ガザ住民が北部から避難するのを阻止しようとしているのは、敵の方だと主張した。

■ガザの死傷者1万人超える=ガザ当局

ガザの保健省によると、14日までにイスラエルの空爆で死亡した人は少なくとも2215人に達し、負傷者は8714人に上る。報道官によると、死傷者の6割が女性や子供だという。

ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区では、ガザ空爆に抗議するパレスチナ人とイスラエル軍の衝突が続き、パレスチナ人54人が死亡、1100人が負傷している。

国連の人道問題調整事務所(OCHA)は13日、イスラエルによる7日からの空爆でガザ地区では「1300棟」の建物が破壊され多と発表。その中に含まれた「5540軒の住宅」が破壊され、さらに3750棟の民家が居住不可能なまでに破壊されたという。

OCHAは12日、 ガザで33万8000人以上が住む場所を失ったと発表している。

侵入作戦指揮の司令官殺害=イスラエル空軍

イスラエル空軍は14日、7日のイスラエル侵入作戦を指揮したハマスのアリ・カディ司令官をドローン攻撃で殺害したと明らかにした。イスラエル総保安庁(シンベト)とイスラエル参謀本部諜報局が入手した情報をもとに、カディ司令官殺害を成功させたとしている。

イスラエル軍はこれに先立ち13日、パレスチナ自治区ガザ地区内の一部で「テロリストのセル(小集団)とインフラによる脅威を排除」するため、地上部隊による急襲作戦を展開したと明らかにした。

イスラエル国防軍の報道官は13日、地上部隊による作戦行動は「その地域からテロリストと武器を一掃」し、「行方不明となっている人たち」を探すためだと説明した。

ハマスによって最大150人が拉致され、人質に取られたとみられている。

イスラエル軍は、部隊がガザ地区に入ることで、人質の居場所について手がかりになる証拠を集められたと説明した。

ソーシャルメディアに投稿した動画では、「イスラエル攻撃にガザ地区内のハマスのテロリスト拠点と対戦車ミサイルランチャーが使われた直後、イスラエル空軍はこれを引き続き空爆した」としている。

これに対してハマスの軍事部門「アル・カッサム旅団」は、イスラエル南部アシュケロンへのロケット弾発射を続けていると主張している。

発電所が燃料切れに

イスラエルによるガザの完全封鎖は続き、食料や水や燃料が枯渇しつつある。

イスラエルによる完全封鎖を受けて、ガザ唯一の発電所の燃料がなくなり、主要電源が切れた。電力を失い、ガザの上下水道システムも停止する見通し。

ガザの病院や家庭、事業所などは発電機を使っているが、この燃料もなくなりつつある。

ハマスや軍事部門のアル・カッサム旅団は、イスラエルのほかアメリカ、欧州連合(EU)、イギリスなどからテロ組織として認定されている。

他方でイランはハマスを支援し、資金や装備、軍事訓練などを提供している。

イスラエルによると、ハマスの戦闘員は約3万人にのぼり、自動ライフルやロケット推進式の手投げ弾、対戦車ミサイルなどの武器を所持しているという。

ガザ地区は、イスラエル、エジプト、地中海に挟まれた全長41キロ、幅10キロの領土。約230万人が暮らし、世界で最も人口密度が高い地域の一つとなっている。

ガザ地区の上空と海岸線はイスラエルが掌握しており、人と物の行き来もイスラエルが検問所で制限している。同様にエジプトも、ガザ地区との国境で出入りを管理している。

■【解説】 救出か取引か イスラエル史上最悪の人質危機

イスラエルが地上戦をにらみ、正規軍と予備軍の兵士計数十万人をパレスチナ自治区ガザ地区との境界付近に集結させている。だが、何ともしようがないような難しい状況にイスラエルは直面している。

ガザ地区のイスラム組織ハマスは7日にイスラエル南部に侵入した際、少なくとも150人を人質にとった。それらの人質は現在、ガザ地区内の秘密の場所で拘束されている。女性、子ども、高齢者もいる。

もうすぐ始まるとも言われるガザ地区での本格地上侵攻に、イスラエルが実際に踏み切った場合、どれくらいの確率で人質たちは生き残れるのだろうか。

〇妥協ムードは皆無

水面下では、カタール、エジプト、そしておそらく他の国々が、人質の一部解放に向けた交渉の努力をしているとされる。イスラエルの刑務所に収容されている36人のパレスチナ人女性と未成年者と引き換えに、ハマスが女性と子どもを解放するという案も浮上している。

しかし、イスラエルのライヒマン大学政策戦略研究所のシニアアナリスト、マイケル・ミルスティーン氏は、イスラエルが最優先するのは平時なら人質の返還だが、現在は軍事的脅威であるハマスの排除だと話した。

イスラエルとハマスは共に緊張と怒りが頂点に達している。妥協や譲歩の雰囲気はない。

イスラエル国民は、南部で国境がいとも簡単に武装集団に突破され、少なくとも1200人が(多くは冷酷な方法で)殺害されたことに衝撃と憤りを感じている。

一方のパレスチナ人は、ハマス以外の人々も含め、イスラエルによる2000回以上のガザ空爆で1000人超が死亡していることに大きなショックを受けている。ガザ地区では現在、燃料、電気、水、医薬品の供給が断たれている。

ハマスは、イスラエルが警告なしに空爆を実施し、ガザ地区で民間人の死者が出るたび、人質を1人ずつ「処刑する」と脅している。それがこれまでに実行された証拠はない。他方、イスラエルにも自制の兆しはほぼ見られない。意図的にガザ地区の大部分をがれきへと変えている。

ただ、ライヒマン大学のミルスティーン氏は、女性や子ども、高齢者を拘束し続けることには、ハマスはこだわっていないだろうとみている。それらの人々は、拘束すれば国際的に非難されるし、世話が大変だからだ。空爆が続き、人質の居場所をガザ内のイスラエル側スパイに知られないようにしている状況では、面倒をみるのは簡単ではない。

対照的に、拘束した兵士については、ハマスは最大限に利用するだろう。今後、交渉が始まった場合は、最大限の対価を要求するはずだ。

〇困難な選択

こうした状況が、イスラエル政府をジレンマに陥れている。リスクを伴う軍事的な救出作戦を試みるのか。それとも、ハマスが空爆で弱体化して取引に応じる気になるのを待つのか。

後者にもリスクはある。人質は地下トンネルや地下壕(ごう)で拘束されているとみられるが、空爆の影響が及ぶ可能性がある。また、ハマス戦闘員が衝動的な怒りや、救出されてしまうとの見通しに基づいて、人質を殺す恐れは常にある。これは実際、2012年にナイジェリアでジハード(聖戦)主義者に拘束された人質2人の救出作戦で、イギリスとナイジェリアの特殊部隊が失敗した時に起きたことだ。

イスラエルは今回、人質対応の専門部署を素早く設置し、人質一人ひとりの身元と状況の確認を進めている。

イスラエル領内で拘束されていた人々については、イスラエル軍と警察の特殊部隊が救出した。その際、一緒にいたハマス戦闘員らは全員殺害した。しかし、イスラエル軍情報部に20年間在籍していた前出のミルスティーン氏は、「イスラエルがガザのすべての家や通りのデータを握っているわけではない」と警告する。ハマスは地下の部屋やトンネルのネットワークに、自らと人質を隠すことができる。

イスラエルは人質救出の実績をもち、訓練も集中的に実施している。1957年に創設されたイスラエルの秘密部隊「サイェレット・マトカル」は、イギリス軍の特殊空挺部隊(SAS)やアメリカの陸軍特殊部隊(デルタフォース)に似ている。1976年に、ウガンダの空港でハイジャックされた飛行機から人質を救出した「エンテベ空港奇襲作戦」で一躍有名になった。

この部隊の指揮したヨナタン・ネタニヤフ大佐は、イスラエル軍側の唯一の死者となった。現在のイスラエル首相のベンヤミン・ネタニヤフ氏は、その弟だ。交渉による人質解放に望みをかけるのか、それとも武力による救出という強硬手段に出るのか、その決断は彼が下す。

〇「史上最も難しい人質事案」

イスラエルに対しては、アメリカが機密情報と、おそらくは特殊部隊による支援も提供しているとの報道が出ている。米海軍は、地中海東部の沖合に大型空母群を展開させている。

しかしハマスは、戦力が大きく上回る相手と戦えることを、これまでに証明している。イスラエルはテクノロジーと火力で圧倒的優位に立っているが、ハマスはその差を補うことができる。

通信を最小限に抑え、デジタルの痕跡を残さないようにすることで、ハマスは7日のイスラエル奇襲を可能にした。150人超の人質を拘束している戦闘員らは、可能な限りオフラインの状態を保ち、電波を使わないだろう。人質たちからはほぼ間違いなく、すべてのデジタル機器を取り上げているはずだ。

「これは間違いなく、イスラエルにとって史上最も難しい人質事案だ」。前出のミルスティーン氏はそう話す。

■米、2隻目の空母派遣へ 地中海に、中東情勢緊迫で

米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は11日の記者会見で、米海軍の空母「ドワイト・D・アイゼンハワー」を中心とする空母打撃群を新たに地中海に派遣すると発表した。

中東情勢が緊迫する中、2隻目の空母を投入し、イスラエルに対する軍事行動の抑止を目指す。

 米軍は既に空母「ジェラルド・フォード」を中心とする空母打撃群をイスラエルに近い東地中海に展開している。

 カービー氏は空母派遣について、「イスラエルに敵意を抱く組織、国家などに対し、抑止力を高めるのが狙いだ」と説明した。2隻目の空母は今後大西洋を横断し、地中海に向かう予定だという。

■イギリス、東地中海に海軍艇を派遣へ イスラエル首相に支援伝える

英首相官邸は12日、「イスラエルを支援する」目的で、地中海東部に偵察機と海軍の艦船2隻を派遣すると発表した。リシ・スーナク首相は同日、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と電話協議し、支援を表明した。

発表によると、偵察機は13日にパトロールを開始する。「テロリスト集団への武器の移動など、地域の安定に対する脅威を追跡する」という。

この取り組みには、偵察機のほかヘリコプター、海上哨戒機P8、海軍の一個中隊が関係している。

スーナク首相は声明で、この軍事支援が事態の「さらなる深刻化を防ぐ」だろうとした。

また、「イスラエルおよび地域のパートナーに実質的な支援を提供し、抑止力と保証を与える」ため、英軍は待機しているとした。

今回の計画では、英海軍の機動部隊が来週この地域に移動し、人道支援活動をサポートすることになっている。

スーナク氏は、イスラエルで起きた「恐ろしい光景」が「繰り返されない」よう、政府として「明確な姿勢を示す必要がある」と説明。

「安全を回復し、ハマスのテロリストによる野蛮な攻撃の犠牲となった罪のない何千もの人々に人道支援が届くよう、この地域の私たちの軍事・外交チームは国際的なパートナーを支援していく」とした。

スーナク氏はまた、イスラエルやキプロス、地域に展開している軍部隊に対し、有事計画の支援に備えて態勢強化を求めた。

イスラエル南部では7日、パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスがかつてない規模の攻撃を仕掛けた。少なくとも1300人を殺害、150人近くを人質に取ってガザ地区に連れ去った。

イスラエルはガザ地区に報復の空爆を実施しており、1500人以上が死亡している。

グラント・シャップス英国防相は、今回の軍事支援は「ハマスのテロ作戦を確実に失敗させるというイギリスの決意の紛れもない表明となる」と述べた。

一方、イギリス外務省はイスラエルに取り残された国民のため、航空機の手配を始めた。

最初の飛行機は12日にテルアヴィヴを出発の予定。「安全状況次第で今後数日のうちに」さらなる退避便を予定しているという。

〇イスラエル首相と電話協議

英首相官邸は12日、スーナク氏とイスラエルのネタニヤフ首相が電話で協議したと発表した。

発表によると、スーナク氏は「イギリスはテロとの戦いにおいてイスラエルと共にある」と表明。ハマスがイスラエル国民に二度と残虐行為を実行できなくなることに賛同したという。

スーナク氏はまた、ハマスがガザ地区の市民の中に紛れていると指摘。一般のパレスチナ人の保護と、それらの人々への人道支援の促進に、あらゆる手段を講じることが重要だと伝えたという。

この電話協議に先立ち、スーナク氏はエジプトのアブドゥルファタハ・アル・シーシ大統領と協議。ガザ地区に閉じ込められたイギリス人やその他の人々を脱出させるため、エジプト国境のラファ検問所を開くことの「重要性」について話し合ったという。
2023.10.15 07:54 | 固定リンク | 戦争

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