爆撃機を消す、ウクライナの「秘密武器」
2023.10.14
■爆撃機を消す、ウクライナの「秘密武器」

960キロ離れたモスクワ狙う、ロシア爆撃機を消すウクライナの「秘密武器」

開戦から10カ月が過ぎたウクライナ戦争で無人機(ドローン)が核心「非対称戦力(相手の対応が難しい武器)」に浮上している。ウクライナはドローンを活用して数百キロ離れたロシアの軍事基地を相次いで打撃し、ロシアの長距離ミサイル空襲を阻止している。ロシアも不足するミサイルの代わりに自爆ドローンでウクライナの民間施設を攻撃している。

今月に入ってウクライナはロシア領土内の軍事基地を狙った長距離攻撃をしている。攻撃手段はドローンだ。26日、ウクライナの国境から約500キロ離れたロシア南部サラトフ州エンゲリス空軍基地には、ウクライナが送ったと推定されるドローンによる攻撃でロシア軍3人が死亡した。5、6日にもエンゲリス基地をはじめ、ロシア西部リャジャン州ディアギレボ空軍基地、ウクライナと隣接したクルスク州ボストーチヌイ飛行場などにウクライナ側のドローンによる空襲で死傷者が発生した。

〇ウクライナのドローン攻撃で減ったロシアのミサイル空襲

こうした攻撃は10月からロシアによるミサイル空襲を阻止する効果を出している。ニューヨークタイムズ(NYT)は26日、「エンゲリス基地など飛行場が攻撃を受けると、ロシアは戦闘機を別のところに移動させなければいけないほか、ここに配備された一部の巡航ミサイルまで失う可能性がある」とし「これら武器でウクライナを空襲しようとしていたロシアの計画にも支障が生じるしかない」と分析した。実際、エンゲリス基地には核爆弾の搭載が可能なロシア戦略爆撃機Tu-95、Tu-160が配備されている。ロシアはこれら爆撃機と長距離巡航ミサイルでウクライナの基盤施設を集中攻撃し、ウクライナ全域をエネルギー不足状態にした。

ドローンは事実上、ウクライナがロシアを直接打撃できる唯一の長距離攻撃手段だ。米国の支援で戦争中のウクライナだが、米国は長距離ミサイルを支援していない。米国の武器でウクライナがロシア本土を攻撃して戦争が拡大することを望まないからだ。

しかし米国はウクライナ軍が自らの武器でロシアを攻撃することには反対していない。オースティン米国防長官は6日、「米国はウクライナがロシア領土を狙える独自の長距離打撃能力を開発することを阻止していない」と述べた。米政治専門メディアのポリティコは「5、6日にロシア本土を攻撃したドローンは旧ソ連製ドローンTu-141をウクライナ軍が改造したものだ」と伝えた。NYタイムズによると、最近ウクライナの国営軍需会社は飛行距離が960キロ以上でロシアの首都モスクワまで打撃できるドローンを開発中という。

〇「ウクライナ戦争は最初のドローン戦争」

ドローンを戦場で活用するのはロシアも同じだ。相次ぐミサイル空襲で発射できるミサイルが減ると、イラン製自爆ドローン「シャヘド136」でウクライナの基盤施設を打撃している。

このためウクライナ戦争が「初の本格的なドローン戦争」(ワシントンポスト)という評価が出ている。ドローンが前面に登場して双方の戦争当事者に実質的な被害を与えたのは今回が初めてだからだ。アフガニスタンと中東で米軍がドローンを活用してきたが、当時は米国の空軍力で相手が完全に制圧された状況での作戦だった。

現代戦でドローンの効用価値が高まるのは何よりも安い費用のためだ。シャヘド136の場合、1機あたりの価格が2万ドル(約260万円)前後で、飛行可能距離も2000キロにのぼる。1発の発射のに数十万ドルから数百万ドルかかる長距離巡航ミサイルと比較すれば非常に安い。味方の人命被害なく敵の後方を攻撃できる。ワシントンポストは「ウクライナ軍が偵察用として使用する中国ドローン企業DJIのMatrice300ドローンの場合、4000ドルにすぎないが、ロシアの軍事施設を探知してウクライナ軍のロケット打撃正確度を大きく高めるのに寄与した」と伝えた。

〇ザワヒリ暗殺・アゼルバイジャン戦争などに使用

ドローンはイスラエルが1970-80代に中東国家の防空網識別のために戦場に初めて投入した。当時は偵察目的で使用された。イスラエルの成功に刺激された米国がコソボ戦争(1999)で偵察用ドローンMQ-1プレデターを試験的に投入して以降、本格的な開発に入り、ドローンは攻撃用に進化した。技術力を高めた米国は2020年にイラン革命防衛隊「コッズ部隊」のガセム・ソレイマニ司令官、今年8月にアルカイダのナンバー2、アル・ザワヒリをドローンで暗殺して世界を驚かせた。

米国以外の国もドローンを活用した多様な作戦をしている。イランは2019年、サウジアラビアの原油生産施設をドローンで攻撃して被害を与え、2020年のアゼルバイジャン-アルメニア戦争ではアゼルバイジャン軍がトルコ製無人機でアルメニア機甲戦力を無力化し、戦況を逆転させた。

〇生物化学兵器による大量殺傷も

今回のウクライナ戦争をきっかけにドローンの効率性が確認されたことで、今後、世界各国はドローン戦力拡充を攻撃的に進めると予想される。ロシア軍総司令官を歴任した退役将軍のユーリ・バルイェフスキー氏は先進軍事戦略に関する著書でドローンを「現代戦の象徴」と評価した。ただ、ドローン戦力が強化される中、生物化学兵器による大量殺傷攻撃も懸念される。実際、ウクライナ軍傘下の民兵隊組織のアゾフ連隊は「ロシアの無人機がマリウポリに正体不明の化学物質をまく攻撃をした」と主張した。

■「遺体袋山積み」…プーチンの傭兵、バフムトで大規模戦死

ロシアのプーチン大統領の最側近である民間軍事企業のワグネルグループがウクライナ戦争の最大激戦地であるバフムトで大きな損失を出しているものと把握された。英日刊紙ガーディアンは3日、ワグネルグループ創設者のエフゲニー・プリゴジン氏がウクライナ東部戦線を視察する姿を収めた映像を入手してこのように報道した。

公開された映像にはプリゴジン氏がある建物の地下室を視察する様子が含まれている。床のあちこちには戦闘で死亡したワグネルグループの傭兵の遺体収納袋が置かれており、別の一方には足の踏み場もないほど積み上げられた遺体収納袋も見られる。プリゴジン氏が「戦闘で死亡した戦士らは棺に収められて家に帰るだろう」と話す姿とともに、兵士らが遺体収納袋を運ぶ場面も収められた。ガーディアンが公開した別の映像ではプリゴジン氏が「バフムトではすべての家が要塞化されている」と話す。「1棟過ぎれば防衛線、1棟過ぎればまた別の防衛線が出てくる」ということだ。この戦線で彼らが大きな困難に陥っている傍証だと同紙は伝えた。

ウクライナ東部ドネツク州に位置するバハムトは最近戦争の最大の激戦地に浮かび上がったところだ。

ドネツク州の半分を占領し自国領だと主張するロシアは昨年11月に南部ヘルソンから退いてからはこの地域を死守するために全力を挙げている。そのためには主要都市へ向かう要衝地であるバフムトの掌握が重要だ。プーチン大統領はワグネルグループをこの地域の核心戦力として投じ、新たに補充する兵力も次々と送っている。そのため戦闘が塹壕戦に広がり、ロシアとウクライナの双方で1日数百人の死傷者が続出しているとガーディアンは伝えた。

それでもロシアのバフムト戦闘勝利は容易ではなさそうだとの観測が出ている。ニューズウィークは3日、「ウクライナもやはりバフムトで兵力を増強している。ロシアが突破口を見いだす可能性はますます低くなっている」と報道した。

残忍なことで悪名高いワグネルグループはプーチンが手足のように働かせる傭兵集団だ。戦争が激しくなりプリゴジン氏が直接ロシアの刑務所を訪問して釈放を見返りに囚人を募集する場面が公開されたりもした。米国情報機関は先月ワグネルグループが北朝鮮から兵器を購入しウクライナ戦争で使っていると発表している。

■「ロシア、夜中に遺体2500体をひそかに移送…遺体列車の姿に衝撃」

ロシアがウクライナで死亡した自国の軍人の数を隠すため夜間に乗じて戦死者の遺体を少なくとも2500体を本国に移送したという証言がベラルーシから出た。

テレグラフは19日、ラジオ・フリー・ヨーロッパなどの報道を引用し、ロシア軍戦死者の遺体が夜中にウクライナと近いベラルーシ南東部の都市ゴメリを経て本国に移送されたと報道した。

ゴメリの病院のある医師はラジオ・フリー・ヨーロッパに「3月13日まで2500体を超える遺体が(ウクライナから)ゴメリに移送され列車と航空機でロシアに運ばれた」と話した。ゴメリ近郊マジルのある医師も「当初は遺体が救急車で搬送されロシア行きの列車に載せられた。ところがだれかがこの場面を撮影した動画をインターネットに載せたため、後に人々の関心を集めないよう(遺体は)夜に移送され始めた」と語った。

ゴメリとマジルの住民らも遺体安置所がロシア軍の遺体であふれている状況だと伝えた。マジルのある住民は「遺体安置所には信じられないほどの遺体があり、マジル駅の乗客は列車に載せられた遺体の数に衝撃を受けた」と話した。

これら地域の病院は負傷し治療を受けようとするロシア軍人であふれている。病床が不足するほどで入院中だった一部の患者は病床を空けるために退院させられ、外科医師も不足している状態だと外信は伝えた。ある住民は「病院には負傷したロシア人がとても多い。本当にぞっとする」と話した。

ロシアがウクライナでの自国の戦死者数を正確に明らかにしない中で、ベラルーシで起きているこうしたことはロシア軍の死亡者数を推定する端緒になるだろうとテレグラフは伝えた。

メディアによると、ロシア軍を治療中のベラルーシの医療陣は死傷者と関連した情報を口外しないよう指示を受けており、病院に携帯電話を持ち込むことも禁止された。ロシア軍の死傷者と関連して十分な情報がある医療陣は解雇されたり辞めたある人権活動家は伝えた。

テレグラフは、これはロシア当局が自国の軍人の死傷者数をロシア国民に隠すのにどれだけ必死なのかを示すものと伝えた。また、このように情報が強力に統制されており、ベラルーシで発生するロシア軍関連のことを正確に把握するのは難しい状況だと伝えた。

2日にロシア軍は先月24日の開戦後に自国軍の兵士498人が戦死し、1597人が負傷したと明らかにしてから死傷者規模を発表していない。

こうした中、ウクライナ外務省は19日に公式ツイッターアカウントを通じ、ロシアがウクライナを侵攻してからのロシア軍の死亡者が1万4400人に達すると明らかにした。また、ロシア軍は航空機95機、ヘリコプター115機、装甲車1470台、大砲213台などの兵器と装備を失ったと主張した。ただロシアは人命被害と装備損失規模をほとんど公開しておらず、こうした主張は正確には確認されていない。

CNNは米国と北大西洋条約機構(NATO)関係者らの情報によるとロシア軍の死傷者は3000人から1万人の間と推定されると報道した。

これに先立ち17日にニューヨーク・タイムズなどは米情報当局が開戦から約20日間のロシア軍の戦死者を7000人と推定したと伝えた。7000人という数は保守的な集計で、これは20年間にわたりイラクとアフガニスタンで戦死した米軍の数を合わせたものより多いとメディアは指摘した。
2023.10.14 10:12 | 固定リンク | 戦争
ハマス奇襲「成功」の裏側「破壊は中国人民解放軍61398部隊」
2023.10.13
ハマス奇襲「成功」の裏側(暗躍するロシア・中国・イラン)「欧米の本当の敵は中国」 世界最高の防空システム「アイアンドーム」を破った主犯は…中国軍のハッキング部隊

イスラエルの防空システム「アイアンドーム」の技術データが、中国人民解放軍によりハッキングされていた疑いがあると報道されている。

アイアンドームは、指揮ユニット、レーダー、ミサイルランチャーによって構成され、いずれも牽引により移動が可能。1台のレーダーと、各20発のタミルミサイルを装填した3台のランチャーが運用の基本単位。

イスラエルが2011年から運用している防空システム「アイアンドーム」の技術が、中国軍所属のハッカーによって盗まれていた疑いが浮上した。

セキュリティー関連ニュースサイト「KerbsOnSecurity」の報道によれば、米国のCyber Engineering Services(CES)社は、サイバー攻撃にさらされた防衛関連企業を、イスラエルのElisra Group社、Israel Aerospace Industries(IAI)社、Rafael Advanced Defence Systems社の3社と特定している。

CES社によれば、問題のハッキングは、アイアンドームの運用開始から約6カ月後の2011年10月に始まり、12年8月まで続いたという。盗まれたのはアイアンドームに関するデータだが、ハッカーはそのほかに、イスラエルの弾道弾迎撃ミサイル「アロー3」や無人機、弾道ロケットの技術などにも狙いをつけていたようだ。

CES社によれば、犯人はここ2、3年で明るみに出た一連のサイバー攻撃と同じで、元をたどればすべて上海を本拠とする中国人民解放軍61398部隊に行き着くという。

2014年5月、米国のエネルギー関連企業などをハッキングした疑いで訴追された5人の中国軍当局者も、同部隊に所属している。

CES社の設立者ジョセフ・ドリッスルはKerbsOnSecurityに対し、標的となった知的財産のほとんどは、実際にはイスラエルの企業に属するものではないと述べている。つまり、それらはBoeing社など米国の軍需企業から提供されたものであり、イスラエル側企業は米国政府の規制に基づき機密の漏洩を防ぐ義務があったということだ。なお、この件に関して、特定されたイスラエル企業は、重要な情報漏洩はなかったと述べている。

アイアンドームは、世界最高の防空システムのひとつとして高く評価され、複数の国がすでに秘密裏にシステムを入手したか、あるいは取得に向けてイスラエルと交渉中とされている(韓国やインド等が交渉している)。

Rafael Advanced Defense Systems社が開発するアイアンドームの後継システム「アイアンビーム」(Iron Beam)の概要も、徐々に明らかになりつつある。アイアンドームは対象を即座に識別するアルゴリズムを用い、人口集中地域へ飛来するロケット弾を撃ち落とすシステムだが、ミサイルの代わりに高エネルギーレーザー砲を用いるアイアンビームは、射程距離内のすべての発射体を熱探知で追跡してマッピングし、対象には限定されずに反応できるという(文末の動画は、アイアンビームのベースになっていると推定されているNorthrop Grumman社の戦術高エネルギーレーザー(The Tactical High-Energy Laser:THEL)技術を紹介している)。

■最新鋭防衛システムをハマスが突破できた原因

イスラエル軍の最新鋭防衛システムをハマスが突破できた原因が判明、色々な意味で格差が大きすぎた。

パレスチナのガザ地区を支配するイスラム組織ハマスが7日、イスラエルに対して過去最大規模の攻撃を仕掛けた。ハマス戦闘員はイスラエル側が境界に設けた防御を突破し、民間人数百人を殺害、多数を人質に取った。この急襲はイスラエル側にとって不意打ちで、旧日本軍による真珠湾攻撃にもなぞらえられている。ハマス側は小型のドローン(無人機)によってイスラエル国防軍の戦車も撃破。小規模で資金力も乏しいハマス軍事部門は、どのようにして世界有数の先進的な軍隊に奇襲をかけたのだろうか。

■ハマス奇襲「成功」の裏側

安物ロケット弾と小型ドローンの合せ技 ハマス奇襲「成功」の裏側

パレスチナのガザ地区を支配するイスラム組織ハマスが7日、イスラエルに対して過去最大規模の攻撃を仕掛けた。ハマス戦闘員はイスラエル側が境界に設けた防御を突破し、民間人数百人を殺害、多数を人質に取った。この急襲はイスラエル側にとって不意打ちで、旧日本軍による真珠湾攻撃にもなぞらえられている。ハマス側は小型のドローン(無人機)によってイスラエル国防軍の戦車も撃破。小規模で資金力も乏しいハマス軍事部門は、どのようにして世界有数の先進的な軍隊に奇襲をかけたのだろうか。

〇ロケット数千発でアイアンドーム破る?

ハマス側が攻撃で主に用いてきたのは、「カッサム」と呼ばれるロケット弾である。これは工業用のパイプに、自家製のロケット燃料と市販の爆薬を詰め込んだ安上がりな兵器だ。ロケット燃料は砂糖と硝酸カリウム肥料をこね合わせて作る。要は粗製の兵器であり、それ自体は効果も高くないのだが、戦闘員2人が発射レールで装填して撃ったあと、イスラエル側に狙われる前に姿を消せるほどにはコンパクトなものである。

カッサムはロシア製の122mmM-21グラート多連装ロケット砲など、より大型の軍用ロケット砲で補完される。これらのロケット砲で使われるロケット弾はカッサムよりもサイズが大きいだけでなく、精度も高く破壊力も格段に上だ。半面、はるかに位置を特定されやすくなり、破壊もされやすい。

カッサムによる攻撃は基本的に擾乱射撃(休息の妨害や移動の阻止、士気の低下などを狙った射撃)だと言える。とりたてて目標を定めず撃ち込むから損害をもたらす可能性は低いものの、致命的になる場合もある。そこで、イスラエルがカッサムなどの攻撃を防ぐために設けたのが、有名な防空システム「アイアンドーム」である。レーダーと迎撃ミサイルで構成されるアイアンドームは、飛来してくる数百発のロケット弾を追跡・撃墜でき、2021年の紛争では4500発のロケット弾を90%という高い成功率で撃ち落としたと言われる。

とはいえ、アイアンドームのような先進的な装備にも限界はあり、ハマス側はこれが対処しきれないほど大量のロケット弾を撃ち込んで飽和させようとした。一部の報道によればハマス側は今回、20分で5000発ものロケット弾を浴びせたといい、その結果、多くがアイアンドーム突き抜けた可能性がある。

〇ドローンから爆弾投下で監視の目つぶす

ロケット弾による大規模な弾幕射撃は、地上での急襲の目くらましが主な目的だったのかもしれない。ガザはCCTVカメラの塔や人感センサーなど監視システムを備えた防護フェンスで囲まれており、何者かがイスラエル側に侵入しようとすれば警報が出される仕組みになっている。検問所のカメラは顔認識システムと連携しており、ガザとヨルダン川西岸地区は、世界でもっと厳重なデジタル監視下に置かれている場所と言われる。

ハマス側は主だった監視システムの位置を事前に特定し、襲撃の開始にあたってそれらをつぶすための兵器を用意していたもようだ。監視システムが破壊されると、イスラエル側はどこで何が起きているのかを正確に把握できなくなる。

ドローンの脅威へのソリューションを手がけるオーストラリア企業ドローンセック(Dronesec)は、ハマスのマルチコプター(複数回転翼)型ドローンがイスラエルの警備塔や検問所、通信塔に爆発物を投下する様子を捉えた映像を集めている。こうした映像の数からも、これが周到な連携作戦だったことがうかがえる。この作戦によって、ハマスの数百人規模の戦闘員は、作戦の次の段階である障壁の爆破や突破を監視の目を気にせず実行できた。センサーを失ったイスラエル側は、どこで主攻撃が行われているかつかめず、効果的な対応が取れなかったと考えられる。

〇自爆ドローン数十機も投入

ハマスによれば、自爆ドローン「ザワリ」35機もイスラエル側の攻撃目標に向けて発射したという。

ザワリ(またはズアリ)は、ロシアの自爆ドローン「ランセット」と同じくらいの大きさの携帯可能な固定翼ドローンで、名前は2016年に暗殺されたチュニジアのドローン専門家モハメド・ザワリに由来する。もともとは偵察用だったらしいが、現在は攻撃用に改造されている。

ハマスは2021年、開発した小型攻撃ドローン「シェハブ」について、アイアンドームの迎撃ミサイルを回避できると主張していた。地面近くを飛行できるドローンは、高いアーチ状の弾道軌道を描くロケット弾よりもはるかに見つけにくい。


映像によれば、ザワリも複数機が同時に発射されたとみられ、これもおそらく、イスラエル側の防空能力を圧倒して一部が突破する可能性を高める狙いだったのだろう。この新型ドローンは、最も成功した飛行パターンなど、過去のドローンでアイアンドームを試して得られたほかの教訓も取り入れているかもしれない。

ロシア軍は航続距離40km超、弾頭重量約5kgのランセットを使って、ウクライナ軍の防空や大砲、レーダーに対して一定の成功を収めている。ザワリの誘導システムがどうなっているのかは不明だが、おそらく固定目標のGPS座標をあらかじめ入力するのだろう。今回の攻撃の目標は、反撃を阻むために兵舎や指揮所のような高価値の軍事施設に据えた可能性もあるし、単にできるだけ大きな被害や恐怖を引き起こすために民間施設を狙った可能性もある。

〇戦車攻撃用のドローンや爆弾も配備か

ハマスは民間人を殺害しただけではない。攻撃の映像には、イスラエル国防軍の車両が多数撃破されたり損傷したりした様子も映っており、それにはメルカバMk4主力戦車数両も含まれる。イスラエルで開発されたメルカバは、RPG対戦車擲弾や携帯式ミサイルといった武装勢力が使うようなタイプの武器、あるいはもっと高度な脅威を想定して設計されている。とくに、迫り来る対戦車兵器を撃ち落とす「トロフィー・アクティブ・プロテクション・システム」は世界最先端の装備と考えられている。

ハマス側が撮影したある動画では、マルチコプター型ドローンがメルカバに弾薬を投下している。この弾薬は警備塔に対する攻撃で使われたものより一回り大きいようだ。ドローンセックは、ハマスのアルナセル・サラー・アルディーン旅団が、ウクライナ軍で運用されている重無人爆撃機のような大型のヘクサコプター(回転翼6つ)型攻撃ドローンを誇示したことに注目している。爆薬はメルカバに命中し、爆発したように見える。爆発の影響の評価はできないが、数秒後、戦車の右前部で火災が発生したようだ。

初期段階の未確認情報だが、イスラエルはメルカバ6両と装甲兵員輸送車17両を失ったと報告されている。ハマス側は、鹵獲した戦車のうち少なくとも1両はドローンで行動不能にさせたと主張しているが、それが動画に映っているものなのかははっきりしない。

奇襲攻撃後、守勢に回ったハマス側は、圧倒的に強力なイスラエル国防軍の攻撃によって甚大な損害を被る可能性が高い。ハマス側はおそらくロケット弾や自爆ドローンの在庫を使い果たしていて、長期にわたって作戦を続けていくのは無理だろう。だが、備えができていると言われていたイスラエル国防軍にハマスが大きな損害を与えうるという衝撃は、今後何年もの間、多くの疑問を生んでいくことになるに違いない。
2023.10.13 11:43 | 固定リンク | 戦争
イスラエルの防空システム破りの主犯は、中国人民解放軍61398部隊か
2023.10.11
ハマスの進行を許した原因は、イスラエルがハマスの能力を過小評価し、ガザ地区への封鎖や分離フェンスで十分な防御ができると過信していたと思われる。さらにイスラエルはハマスのロケット弾攻撃に対して「鉄ドーム」ミサイル防衛システムで対処できると考えていたが、ハマスは大量かつ連続的にロケット弾を発射し、鉄ドームの限界を突いたのか。

イスラエルがハマスの越境攻撃に対して情報収集や警戒態勢に不備があった。イスラエルは中東で最も優秀な諜報機関を持っているとされるが、ハマスがガザ地区から数百人の戦闘員を送り込む計画を事前に察知できなかったか、あるいは対応できなかったのではないか。

一方、イスラエルがハマスの攻撃に対して迅速かつ効果的な反撃を行えなかったこともあり、イスラエルはガザ地区への空爆や地上戦でハマスのインフラや戦闘員を破壊しようとしたようだが、ハマスは市民やメディアなどを盾に抵抗し、それを攻撃すれば国際社会から非難される恐れもあったと言われる。

■イスラエルの集落で住民虐殺か 取材班が現地入り、焼け跡に遺体も

イスラム組織「ハマス」の攻撃を受けたイスラエル南部のキブツ(農業共同体)クファルアザに10日、CNNなど外国の取材班が入った。イスラエル軍によると、ここでは女性や幼児、高齢者らが虐殺された。焼け跡には住民やハマス戦闘員らの遺体が横たわっていた。

取材班を先導したイスラエル軍の部隊は、民家を1軒ずつ回って遺体を収容し、トラックに積み込んでいた。

ハマスは7日、イスラエル側の複数の集落に越境攻撃を仕掛けた。クファルアザもそのひとつだ。

軍将校はCNNに、ハマスは女性や子どもらを過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」のような手口で容赦なく虐殺したと語った。

軍は死者の数を確認できていない。殺害された状況など、詳細も今のところ不明だ。

クファルアザの民家は略奪されて放火され、地面には遺体とともに壊れた家具やマットレス、アクセサリー、不発弾が散乱していた。

軍将校はCNNとのインタビューで、「40年間のキャリアで見たことも、想像したこともない光景だ」と語った。

イスラエル軍はこの数時間前、クファルアザなどハマスが侵入した地域を制圧したばかりだった。同将校によれば、兵士らは丸2日、路上や周辺の集落で次々に襲い掛かるハマス戦闘員と戦い続けた。完全武装の戦闘員らはアパートや部屋を順に回って、寝室の乳児や父母らを殺害したという。

■音楽フェス会場に260人の遺体、ガザで人質にされた観客の映像拡散

ロケット弾の砲撃が始まったのは午前6時半ごろだった。イスラエルの音楽フェスティバル会場にいた数百人は、ガザ戦闘員の銃撃を受けて逃げ惑った。

この会場は、7日午前、パレスチナ自治区ガザのイスラム組織ハマスによる一斉攻撃を受けた場所の一つだった。

イスラエル救助隊によると、フェスティバル会場では少なくとも260人の遺体が見つかった。観客の一部は人質に取られ、ガザから投稿された映像がSNSで拡散されている。

音楽フェスティバルに参加していたイスラエル人女性ノア・アルガマニさんと交際相手のアビナタン・オルさんも、武装集団に拉致された。

映像の中のアルガマニさんは、走り去るバイクの後ろに乗せられて助けを求めていた。近くにいたオルさんは数人の男たちにつかまり、後ろ手にしばられて歩かされていた。

家族や友人は、2人の居場所を突き止めて無事解放させるため、この映像が広く拡散することを望んでいる。

アルガマニさんの知人は、フェスティバル会場にいて行方が分からなくなった人を5~6人知っていると語った。

別の映像には、フェスティバル会場からガザに連れ去られた女性が意識を失った状態で映っていた。この女性はドイツとイスラエルの二重国籍をもつシャニ・ロークさんと判明。ロケット弾を手に持った男がロークさんの腰に足をかけ、別の男がロークさんの髪をつかんで、アラビア語で「神は偉大なり」と声を上げていた。

トラックの周りに集まった群衆からも声が上がり、1人の男はロークさんの頭につばを吐きかけた。

ロークさんの母はドイツのメディアの取材に対し、娘がツアーの一行と共にハマスに拉致され、意識を失った状態で車に乗せられた映像が送られてきたと訴えている。

■ハマスのイスラエル攻撃、外国人も犠牲に 「イスラム国」並みに野蛮で残酷と米高官が非難

パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム武装組織ハマスによるイスラエルへの奇襲攻撃で、外国人の犠牲者が相次ぎ報告されている。タイ外務省は9日、イスラエルでタイ人12人がハマスに殺害され、11人が連れ去られたと明らかにした。アメリカ政府も、イスラエルで少なくとも11人の自国民が死亡したと発表。その野蛮な残酷ぶりは武装勢力「イスラム国(IS)」に匹敵すると、ハマスを非難した。

7日朝、ガザ地区からイスラエルに向けてロケット弾が発射された。同時に、パレスチナ側の戦闘員が陸海空のルートに分かれて、一斉にイスラエル南部へ侵入。イスラエルはこれに空爆で応戦した。

タイ外務省によると、7日から続く暴力行為で、イスラエルにいるタイ人8人が負傷した。このほか、12人がハマスに殺害され、11人が連れ去られたという。

同省は、タイ市民を帰国させるための空軍機が待機していると明らかにした。

イスラエルでは、約3万人のタイ人が農業に従事している。その多くはガザとの境界付近で働いている。

ネパール政府も、イスラエルで自国民10人が死亡したと発表した。

このほか、アメリカやイギリス、ドイツなどが、イスラエルでの暴力行為で自国民が死亡したり、誘拐されたり、行方不明になっていると発表している。

イギリス政府筋は、イギリス人10人以上が死亡または行方不明になっている恐れがあると、BBCに話した。

インド政府は、イスラエルにいる自国民を帰国させるために「積極的に」取り組んでいるとしている。報道によると、イスラエルには約1万8000人のインド人が居住し、働いている。

イスラエルのタイ人労働者が巻き込まれる

タイのピパット・ラチャキットプラカーン労働相は、戦闘が起きている地域で約5000人のタイ人労働者が働いているが、イスラエル軍が安全な場所への労働者の移送を開始したと、AFP通信に述べた。また、労働者1099人が帰国を希望していると付け加えた。

ガザ地区に近いミヴタヒム町の農場で働く人々は、7日早朝にロケット弾が発射された後、ハマスの武装集団が農場を襲撃した時のことを語った。

「ハマスの武装集団はまずロケット弾を発射して、私たちの農場を襲撃した。私は走って自分の寝室に隠れなくてはならなかった」と、ウドムポーン・チャンパホムさんはBBCに話した。

チャンパホムさんはその後、イスラエル兵に助け出された。その時一緒にいた同僚のタイ人は、足に「瓶のふたほどの大きさ」の銃創を負ったが、回復しつつあるという。

別のタイ人労働者は、「走ってトラックの下に潜り込んだら、ハマス(の戦闘員)に引きずり出され、至近距離で銃を突き付けられた。(戦闘員は)地面に向けて発砲した」と、名前を伏せてBBCに語った。この労働者はその後、なんとか逃げ出したという。

イスラエルのアボカド農園で夫のアヌチャ・アンケオさんが2年近く働いているというワニダ・マールサさんは、夫も武装集団に捕らえられたと、BBCタイ語に話した。

ハマスが先週末に公開した動画には、アンケオさんが映っていた。「(動画の男性は)絶対に夫」だと、マールサさんは述べた。

そして、「バンコク時間の7日午前2時(イスラエル時間6日午後10時)以降、夫と連絡が取れていない。娘が寝る直前に、電話をかけたのが最後」だと付け加えた。

「イスラム国」に匹敵

アメリカのジョー・バイデン大統領は9日、ハマスによるイスラエルへの攻撃で少なくともアメリカ人11人が死亡したと明らかにした。

米国防総省高官は、ハマスによる前例のない攻撃について、「その野蛮な残酷ぶりは、ISに匹敵する」と非難した。

米当局は、殺害された人の身元は明らかにしていない。

バイデン大統領は、ハマスが人質として拘束している人の中に米市民が含まれている可能性は「高い」と述べた。

「非常につらい。許しがたい憎悪と暴力によって、家族が引き裂かれている」と、バイデン氏は声明で述べた。

さらに、アメリカはイスラエルによる人質発見を支援するため、専門家を派遣し、情報を共有しているとした。

国防総省高官は、防空と軍需品の支援を増やしているとしている。

行方不明者の中には、アメリカ系イスラエル人のハーシュ・ゴルバーグ=ポリンさん(23)も含まれる。武装集団に襲撃された、ガザ地区に近いイスラエル側の砂漠で開かれていた「スーパーノヴァ」音楽フェスティバルに参加していたという

ゴルバーグ=ポリンさんの両親は、イスラエル紙エルサレム・ポストに対し、息子から「愛している」と「ごめんね」という2つのメッセージを受け取ったと語った。

「息子に無事でいてほしい。ただそれだけだ」と、父親のジョナサン・ポリンさんは話した。

アメリカとイスラエルの二重国籍を持つイスラエル国防軍の兵士、イタイ・チェンさんは、7日から行方不明になっていると報じられている。

父親のルビー・チェンさんは米CNNに対し、息子を見つけるために国務省に助けを求めたが、アメリカは率先して捜索しようとはしていないようだと話した。

米オハイオ州シンシナティ出身で、イイスラエルで長く暮らしているハナ・カッツマンさんは、息子のハイムさんがガザ地区との境界に近いイスラエル南部のキブツ(農業共同体)で殺害されたと、フェイスブックに書いた。

イスラエル在住の米市民アビー・オンさんは米MSNBCに対し、親族5人が人質に取られたと語った。7日に親族から、ガザ地区に近い南部ニル・オズの自宅にハマスの戦闘員がいるというワッツアップ・メッセージが届いたという。

その後、インターネット上に投稿された動画に、親類の12歳男子が映っているのを見たという。

こうした中、カナダの国際関係省は、少なくとも1人のカナダ人が死亡し、2人が行方不明になっていると認めた。

音楽フェスティバルに参加していた、モントリオール在住のアレクサンドル・ルックさん(33)が死亡した。父親のハイムさんがCBCの取材で認めた。

「息子はごく普通のやり方で、日常のひとコマを楽しもうとしていた、普通の若者だった」

ネパール人学生10人が死亡

イスラエル国内では、50カ国以上の国民が働いていると考えられている。

ネパール政府は8日、イスラエルで農業を学ぶネパール人学生10人が死亡したことを認めた。

犠牲者の1人は、ネパール東部のマドゥワン村出身のラジェシュ・クマール・スワルナカルさん(27)。農学部の最終学年で、オーストラリアへ行くことを希望していたと、きょうだいのムケシュさんはBBCネパール語に語った。

スワルナカルさんを「イスラエルに送り出すことに、私は乗り気ではなかった」と、ムケシュさんは話した。「自分は奨学金をもらえたのだと彼は強調して、イスラエルでのプログラム終了後にオーストラリアへ行く手続きができるよう、お金を貯めるつもりだと言っていた」。

父親のラジ・クマール・スワルナカルさんは、紛争が起こりやすい地域での職業訓練に息子を送り込んだ、イスラエル当局の怠慢を感じているという。

ネパールによると、計265人の学生が、イスラエル国内の様々な農場で働いている。

同国のファーウェスタン大学の学生17人が、ガザ地区近郊でハマス戦闘員に襲撃された。10人が死亡し、4人が地元の病院で治療を受けている。2人はイスラエル・テルアヴィヴまで助け出されたが、1人が行方不明になっている。

在イスラエルのネパール大使館によると、200人以上の自国民が、帰国希望の書類に記入している。イスラエルでは農業従事者に加えて、4500人のネパール人が介護士として働いているとの報告がある。
2023.10.11 19:59 | 固定リンク | 戦争
ウクライナの特殊部隊、クリミア上陸
2023.10.09
ノーベル平和賞モハンマディ氏「刑務所で最も光栄に満ちた日だった」…獄中から父親に電話報告

ウクライナ国防省情報総局のユソフ報道官は、南部クリミア半島にウクライナの特殊作戦部隊が上陸し、ロシア軍を攻撃した上で撤収したと明らかにした。ウクライナメディア「ウクラインスカ・プラウダ」が4日伝えた。クリミアは2014年にロシアが併合しており、ゼレンスキー大統領は奪還への決意を繰り返し表明している。

上陸したとする日時など詳細は不明。情報総局は、数隻の小型ボートが岸に近づき、上陸した複数の兵士がウクライナ国旗を掲げる動画を公開した。ユソフ氏は「多くのロシア兵が死傷した。ウクライナ兵にも犠牲が出たが、ロシア側ほど多くはない」と説明している。

一方、タス通信によると、ロシア連邦保安局(FSB)は、ウクライナ軍によるクリミア侵入を阻止して部隊の1人を拘束したと発表した。

ゼレンスキー氏は、東部と南部の4州とともに、クリミアも「占領から脱する」と強調するなど、クリミア奪還を譲れない目標に掲げる。

クリミア攻撃には無人機(ドローン)のほか、英国がフランスと共同開発した射程250キロ超の巡航ミサイル「ストームシャドー」(フランス名スカルプ)やウクライナ国産の巡航ミサイル「ネプチューン」を使用しているとの分析がある。米政権が供与すると報じられた射程約300キロのミサイル「ATACMS(エータクムス)」も使用する意向とみられる。

ただ、ウクライナでは兵器の不足も指摘されており、西側の支援がどこまで継続するかも焦点となっている。

■ウクライナ侵攻「終わりが見えてきた」 プーチン氏に、本当は肝が小さく・・・

島根県大田市長久町出身で、ロシア政治が専門の中村逸郎筑波大名誉教授(66)が16日、大田市内でロシアのウクライナ軍事侵攻について講演した。故郷を失い子どもが歩いて国外に避難するなどウクライナの人々が苦しむ実情を伝えたほか、プーチン大統領が戦争に突き進んだ背景を解説した。

中村氏はウクライナの人口の40%に当たる1650万人が出国した現状とともに、家族を失った5歳児が隣国ポーランドまでの約400キロを歩いている様子を動画で紹介。「そこに住んでいる人がいる」と述べ、戦況やどのようにウクライナが反転攻勢をするのかだけに注目するのではなく、戦禍で苦しむ人々を思い続ける心の重要性を訴えた。

戦争の発端は、プーチン大統領の個人的な死生観が引き起こしたのではないかと推測。本当は肝が小さく、自分を大きく見せようとした結果だと語った。

ロシアでは9月に統一地方選、来年3月に大統領選が控えており、クーデターの可能性にも言及。長引く戦争について「終わりが見えてきた」とも発言した。

軍事侵攻後、中村氏はかつて自身が住んだロシアから入国を禁止され「正直、最初はショックだった」と明かした。

■領土一部奪還でロシア軍増援阻止 英分析、ウクライナ反攻

英国防省は8日、反転攻勢を進めるウクライナ軍が今夏に東部ドネツク州の激戦地ウグレダルの周辺で少なくとも125平方キロの領土を奪還したと分析した。ウクライナ軍はこの作戦でロシア軍部隊を引き付け、ロシア側が他地域に増援することを阻止したとしている。

ただ、ロシア軍はウクライナ側のさらなる攻勢に備えて防御態勢を維持するとみられ、今後1カ月半の間に大規模な撤退が起きる可能性は低いとした。

ウクライナ空軍のイグナット報道官は8日、ロシア軍が秋から冬にかけてエネルギー施設を狙った大規模な無人機攻撃を準備していると述べた。地元メディアが伝えた。

■ノーベル平和賞モハンマディ氏「刑務所で最も光栄に満ちた日だった」…獄中から父親に電話報告

今年のノーベル平和賞受賞が決まったイラン人ジャーナリストで人権活動家のナルゲス・モハンマディ氏(51)=写真、AP=の公式SNSは7日、同氏が収監されている刑務所で、受賞決定の報に接した際の様子を伝えた。モハンマディ氏が同日、獄中から父親に電話で報告した内容で、「ナルゲス・モハンマディの家族」と署名されている。

投稿によると、モハンマディ氏は受賞について、「私たち全員にとって、刑務所で最も光栄に満ちた日だった」と語った。受賞決定後、初めての本人の喜びの声だ。

モハンマディ氏は首都テヘランにあるエビン刑務所の女子房に収監されているという。授賞発表当日の金曜日は外部との電話が禁じられ、一報は男子房から女子房に漏れ伝わった。

女子房では午後8時30分のニュース番組を視聴でき、否定的に論じるイランのニュースを見て、受賞を確信したという。受刑者たちは手をとって輪を作り、歌いながら昨年のヘジャブ抗議デモのスローガンにもなった「女性、命、自由」を連呼した。泣き出す受刑者もいたという。
2023.10.09 10:20 | 固定リンク | 戦争
プーチン「戦争終結日本に依頼」
2023.10.06
「制裁解除について日本と対話する用意がある」プーチン大統領 ソチで開かれた国際会議で発言

ロシアのプーチン大統領は南部ソチで開かれた国際会議で、日本との関係正常化について「対話する用意はあるが、日本側がイニシアチブを取る必要がある」などと主張しました。

ロシア・プーチン大統領

「ウクライナでのいわゆる戦争を始めたのは我々ではないと私は何度も述べてきた。逆に我々は終わらせようとしている」

プーチン大統領は5日、国内外のロシア専門家を集めて毎年開かれるバルダイ会議で演説し、ウクライナ侵攻をめぐり「ロシアは2014年からウクライナ東部のドンバスで続く紛争を終わらせるために特別軍事作戦を開始した」と改めて持論を展開しました。

「さらなる領土に興味はない」とも述べ、領土拡大のための戦争ではないと主張しました。

プーチン氏は、「射程が数千キロに及ぶ原子力推進式巡航ミサイル『ブレベスニク』の発射実験に初めて成功した」と述べ、「ロシアがもし核攻撃を受ければ敵に生き残る可能性はない」と威嚇しました。

さらに、「だれもロシアの言うことに耳を貸そうとせず、西側諸国の傲慢さは完全に常軌を逸していた」などと冷戦終結以降の西側諸国のロシアへの対応を批判しました。

ウクライナへの侵攻が長期化するなか、プーチン政権は、戦争が西側に起因するものだとするイメージを国民にアピールしています。

また、日本との関係をめぐってプーチン氏は、「我々が日本に制裁を科したわけではなく、窓を閉ざしたのは日本だ」と主張しました。

そのうえで、「制裁解除についてロシアは日本と対話する用意があるが、そのためには日本側がイニシアチブを取る必要がある」などと述べました。

■原子力ミサイル実験成功 プーチン大統領、米国けん制

ロシアのプーチン大統領は5日、南部ソチで開かれた国際討論フォーラム「ワルダイ会議」で、核弾頭を搭載できる原子力推進式巡航ミサイル「ブレベスニク」の実験に成功したとし、開発がほぼ完了したと述べた。多弾頭の新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「サルマト」も近く本格生産に入るとしたほか、核実験の再開も示唆し、米国をけん制した。

日ロ関係について、ウクライナ侵攻後に日本が対ロ制裁を科し「扉を閉ざした」と指摘。「日本が対話する時期だと考えるなら、応じる準備がある」と述べた。笹川平和財団の畔蒜泰助主任研究員の質問に答えた。

プーチン氏は、ロシア国内で核実験の再開を求める声があるとし、ロシアが批准し、米国は批准していない包括的核実験禁止条約(CTBT)の「批准撤回は可能だ」と語った。核を報復にのみ使用できるとするロシアの軍事ドクトリンは「変更不要」とも述べた。

ブレベスニクは、プーチン氏が18年の演説で開発中だと公表した新型兵器。

■ウクライナ東部ハルキウにミサイル攻撃 51人死亡

ウクライナ政府は、東部ハルキウ州でロシア軍の攻撃により51人が死亡したと明らかにしました。

 ウクライナ東部ハルキウ州の村で5日午後1時ごろ、ロシア軍の短距離弾道ミサイルがカフェと食料品店に着弾しました。

 この攻撃で6歳の少年を含む51人が死亡し、少なくとも6人がけがをしたということです。

 ウクライナへの侵攻が始まって以降、民間人の犠牲者が最も多かった攻撃だとみられています。

 地元メディアは当時、カフェにはおよそ60人が集まり追悼式を兼ねた会食をしていたと伝えています。

 ゼレンスキー大統領は今回の攻撃について、「完全に意図的なテロ行為だ」と非難しています。
2023.10.06 08:56 | 固定リンク | 戦争

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