トランプ氏「おしまい」元司法長官
2023.06.15


トランプ前大統領、元司法長官は起訴状正しければ「おしまい」

核兵器情報を含む数百点の機密文書を権限なく自宅に保管していた罪で米司法省に起訴された、ドナルド・トランプ前米大統領は12日、フロリダ州マイアミに近い自分のゴルフ・リゾートに到着した。13日午後にも、マイアミにある同州南部地区の連邦地裁へ出廷する。他方、トランプ政権で司法長官を務めたビル・バー氏は米FOXニュースに対して、起訴状の内容が正確なら、前大統領は「おしまいだ」と話した。

ニュージャージー州にある自分のゴルフ場からマイアミ近くのリゾート施設「トランプ・ドーラル」へと移動した前大統領は、ステーキハウスにいた客たちと記念撮影などしながら歓談。何かを質問されて「何もしてない」「何もなかった」と答えるのが聞かれた。

「ずっと応援してますよ」とバーの客が声をかけると、「どうもありがとう」と前大統領は答えた。

他方、マイアミのフランシス・スアレス市長は記者団に、前大統領の出廷に備えて市内の警備体制を強化していると話した。最大5万人規模の群衆を想定して、警官を配備する方針という。ただし複数の米メディアは消息筋の話として、集まるのは数千人だろうとの見通しを伝えている。

「全員、平和的に行動してほしい」とスアレス市長は話した。

起訴状によると、罪状は37件。前大統領が退任後、フロリダ州の自宅兼リゾート施設「マール・ア・ラーゴ」の大広間やシャワーなどに、機密文書の入った箱を積み上げていたという。さらに、捜査員にうその証言をしたほか、機密文書に関する連邦捜査局(FBI)の捜査を妨害しようとしたという。

「この国を危険にさらす違法行為」 トランプ前大統領起訴について特別検察官

アメリカの大統領経験者が、連邦法違反で起訴されるのは史上初めて。前大統領はすでに今年3月末、2016年大統領選直前に元ポルノ女優に支払った性的関係の口止め料をめぐり、ニューヨーク州の大陪審によって34件の事業記録改ざん罪で起訴され、4月に逮捕され、初出廷していた。大統領経験者が起訴されるのは、この時が初めて。

トランプ前大統領は、すべての起訴内容について、全面的に否定。司法省のジャック・スミス特別検察官を「狂人」だと罵倒している。

週末に開いた支持者集会では、今回の起訴を「腐敗した」FBIによる「選挙妨害」だと攻撃。さらに、たとえ有罪になっても2024年大統領選で再選を目指すことには変わりないと強調した。

米司法省が公開した起訴状には、トランプ邸のシャワー室や広間に積み上げられた機密書類の箱の写真が掲載されていた



■「手堅い起訴内容」=元司法長官

前日11日には、2019年2月から2020年12月にかけてトランプ政権の司法長官だったビル・バー氏がFOXニュースで、スミス特別検察官による起訴内容は手堅いものだと述べ、「(罪状の)半分も真実なら、(前大統領は)おしまいだ。非常に詳細な起訴内容で、非常に深刻だ」と話した。

バー元司法長官が使った「He is toast」という表現は、「彼はこんがり焼かれてしまう」から転じて「おしまいだ」という意味の慣用表現。バー氏は在任中、トランプ大統領(当時)を強力に支持していたが、辞任後は批判に転じている。

「(前大統領が自宅で)保管していた書類の機密性の高さとその数に、衝撃を受けた。(中略)機密文書を意図的に保持していたという、スパイ防止法にもとづく罪状は手堅い内容だと思う」とも、バー氏は話した。

「バー元司法長官(左)」は在任中、トランプ大統領(当時)を強力に支持していたが、辞任後は批判に転じている

バー氏のこの発言の直後、トランプ前大統領はバー氏について「不満だらけの元従業員」で、「弱くてまったく無能だった、怠慢な司法長官」だったと攻撃した。

共和党内の実力者の多くは、2024年大統領選の共和党候補指名争いで先頭に立ち続ける前大統領を、正面から批判していない。その多くは今回の起訴について、司法省やジョー・バイデン政権、民主党に批判の矛先を向けている。

BBCがアメリカで提携するCBSニュースが18日に公表した世論調査によると、大統領選の共和党予備選で投票する予定の有権者のうち、76%が今回の起訴について、前大統領の行動がアメリカの安全保障を脅かしたのかどうかよりも、起訴が政治的動機によるものなのかどうかが気がかりだと答えている。

大統領記録法は、大統領や副大統領について、公務に関する記録を退任時に国立公文書館に提出しなければならないと定めている。その上で政府文書は、厳重に管理・保管されなくてはならないとしている。

複数の法曹関係者は、今回の起訴内容を受けて前大統領が有罪となった場合、量刑は相当なものとなり、場合によっては長期の禁錮刑につながる可能性もあると話している。

スミス特別検察官は9日、フロリダ州の連邦地裁が起訴状を開示したことを受け、異例の記者発表に臨み、「この国の法体系はひとつでそれは全員に適用される。法律を適用し事実を集める。それが捜査の結果を決定する。それ以上でも、それ以下でもない」と言明していた。

米司法省は、フロリダ州のドナルド・トランプ前大統領の自宅から押収された書類が、連邦捜査局(FBI)の捜索を妨害する目的で隠されていた可能性が高いとみている。8月30日に公表された裁判書類で判明した。

FBIは8月初め、トランプ氏の私邸兼リゾート施設「マール・ア・ラーゴ」を家宅捜索した際、機密文書を含む書類などを押収。これに対してトランプ氏は、捜査の差し止めを求めて、司法省を提訴している。

この裁判の中で司法省は、トランプ氏の機密文書の取り扱いについて、捜索を「妨害するために対策が取られていた可能性が高い」とする文書を提出した。

トランプ氏は、不正を否定している。

アメリカの大統領は退任時に、在任中のすべての政府文書や電子メールなどを、国立公文書館に移す決まりになっている。FBIは、トランプ氏が2021年1月に退任した際にこうした記録を不適切に扱い、ホワイトハウスからマール・ア・ラーゴに移したかどうか捜査している。
2023.06.15 22:59 | 固定リンク | 国際
ワグネル囚人部隊「4つの階級」とは?
2023.06.15



ワグネルを支配する「ロシア刑務所の掟」が戦場に染み出す...極めて厳格な身分制度の「4つの階級」とは?

ワグネルの囚人部隊を支配する独自の規律、裏社会の論理を理解せずにロシアと戦争の本質は分からない。

ロシアはウクライナを侵略したことにより、さまざまな面で大きな代償を払わされることになった。ロシア軍の人的損害は特に深刻だ。ロシア軍は侵攻開始初期から多くの戦闘員を失い続けている。

そうした戦闘員不足の穴埋めをしてきたのが、ウラジーミル・プーチン大統領の盟友とされたエフゲニー・プリゴジンが率いる民間軍事会社「ワグネル」だ。ワグネルは、ロシアの刑務所に収監されている受刑者の中から、活発に、時には強引な方法で戦闘員を集めている。受刑者には、戦闘に参加することと引き換えに、任務が終了した後の自由が約束される。同様の戦闘員確保の方法は、ロシア国防省も正規軍で採用するようになった。

西側諸国の専門家は見落としがちだが、受刑者が戦闘に参加するようになり、刑務所の文化が戦闘員の日常と戦争の在り方に大きな影響を及ぼし始めている。

ロシアの社会で犯罪者たちの慣習や規範が強い影響力を持つのは、最近に始まったことではない。実際、プーチンの周辺で大きな権力を振るっている人の中には、刑務所への服役経験の持ち主が驚くほど多い。ワグネルのプリゴジンもその1人だ。しかし、ウクライナ侵攻が始まって以降、犯罪者たちの文化が持つ影響力は一層強まっている。

■刑務所を支配する4つの階級

4月9日、プリゴジンの広報担当部門がメッセージアプリの「テレグラム」に、戦闘員になった受刑者の置かれている状況について寄せられた質問に対する回答を掲載した。その回答の中でプリゴジンは、政府がそうした戦闘員たちを不適切に扱っていると厳しく批判している。

「(身分の低い受刑者たちが)一般の受刑者たちと一緒に肩を並べて戦っているという噂が聞こえてくる。こうしたことは(刑務所の)掟、いわば不文律に真っ向から反する。誰もが知っているとおり、ロシア人は何世紀もの間、そのようなルールに従って生きてきた。その意味で現在の状況はとうてい容認できるものではないと、私には思える」

事情を知らない人が読むと、意味不明の文章に思えるかもしれない。しかしロシアの刑務所文化に照らせば、これは完全に筋が通っている。

その文化は帝政ロシアの時代に端を発するが、主に旧ソ連時代の刑務所や収容所で形づくられていった。この文化の核を成すのは、「パニャーチエ」(直訳すると「概念」といった意味)と呼ばれる暗黙の掟だ。その掟の下、受刑者が取るべき行動、さまざまな禁止行為と違反者への厳しい罰則、そして刑務所内の身分制度などがルール化されている。

ロシアの刑務所内の身分制度は極めて厳格なものだ。そのルールは、ヒエラルキーの頂点に位置する受刑者たちの利害に沿うものであり、刑務所の管理者たちもそうした身分制度の存在が受刑者を統制する上で好都合だと考えている場合もある。

受刑者は、大まかに4つの階級に分類される。カースト制度さながらに、上の階級に昇格することは不可能に等しいが、下の階級に降格することは至って容易だ。下の階級に転落することへの恐怖は、刑務所内のあらゆる人間関係に影響を及ぼす。その4つの階級は、それぞれ「盗賊」「男」「雄ヤギ」「雄鶏」という隠語で呼ばれている。

「盗賊」は、刑務所の受刑者の中の権力者。職業的犯罪者や、犯罪者の世界の一員として常にそのルールの下で生きることを選んだ者たちだ。盗賊は人数こそ少ないが、刑務所内で絶大な権力と影響力を握っている。この階級には、マフィアの首領のような者も含まれる。

「男」は、大きなトラブルなしに刑期を終えたいと思っている者たち。刑務所の掟のことは知っていて、それを尊重する。刑務所の管理者側に協力することはしない。

「雄ヤギ」は、刑務所の管理者たちに協力するが、刑務所の暗黙の掟も尊重して行動する。刑務所内のヤミ商人として、たばこやドラッグやゲーム機などの品物を調達する者もこの階級に属する。

■「雄鶏」階級の過酷な現実

最下層のカーストが「雄鶏」だ。受刑者の誰もがこの階級への降格に怯えている。ここに転落するのは簡単だが、いったん転落すると二度とはい上がることはできない。

雄鶏たちは、刑務所内で誰もが嫌がる仕事を押し付けられる。便器の掃除や、他の受刑者の下着の洗濯などをさせられるほか、しばしば性奴隷として扱われるのだ。

この階級は、刑務所における不可触民のような存在だ。他の階級の受刑者は、性行為以外で雄鶏と接触すべきではないとされている。実際にその体に触れるだけでなく、この者たちが触った物に触れることも原則として禁忌とされている。他の階級の受刑者がこの禁忌を犯した瞬間に、その人物も雄鶏階級に転落する。雄鶏が刑務所で他の房に移動するときは、自分の身分を宣言しなくてはならない。

上位の受刑者と雄鶏の間で認められている「付き合い」は、性的サービスの売買にレイプ、そして暴力に限られる。暴力は蹴るか道具を使うかで、殴るのは触れることになるのでタブーだ。雄鶏の立場は実に悲惨で、自殺に追い込まれる者も多い。盗賊たちにわざと触れて報復を図るケースもあるが、命懸けだ。

プリゴジンは前述のテレグラムへの投稿で、国のために戦っても刑務所カーストからの解放はないことを明言している。戦闘員不足にあれほど悩まされているロシアが、凝り固まった「身分制」にこだわるのは奇異に映るかもしれない。だが裏社会の掟(刑務所の中の掟だけでなく、犯罪者たちのあるべき行動、やってはならない行動を規定する不文律)をそう簡単に捨て去るわけにはいかないのだ。

2月21日にリークされた受刑者向けスピーチの動画でも、プリゴジンが裏社会の掟を尊んでいることが見て取れる。「必要なのは犯罪者の人材だ。私自身、ロシアの英雄になる前に10年間、服役した」とプリゴジンは語るとともに、ワグネルが裏社会の掟に基づいて運営されていることを強調した。「あらゆる暗黙のルールをわれわれは尊重している」

プリゴジンによれば、暴力犯罪を犯した受刑者はヒエラルキーの頂点だ。望ましい罪状は殺人に重傷害、強盗、武装強盗。「取締官や警官をたたきのめした場合はさらにポイントが高くなる」と彼は述べた。

だが、これで優秀な部隊ができるはずがない。組織的な暴力に従事するのは肉体的にも精神的にもきつい。だからこそ軍隊では、兵士間の仲間意識や士官への敬意(少なくとも服従)が不可欠なのだ。

■元ワグネルの犯罪が急増中

しかし、ワグネルを支えているのはそれとは異なる文化だ。互敬の精神も軍隊の伝統も存在せず、最上位カーストの受刑者にとって軍隊内の上官に服従するのは文字どおりタブーだ。死者への敬意もない。刑務所の掟とヒエラルキーがあるから、ワグネルの戦闘員は互いに絆を結ぼうとはしない。そもそも彼らは「消耗品」なのだ。

刑務所文化が軍隊内に広がったことが、ロシア軍が残酷の度を増し、ウクライナ各地で戦争犯罪が起きた原因の1つかもしれない。他方でそれは、ロシア国内にも悪しき影響をもたらしている。元受刑者らは半年間の契約期間を終えると、戦闘員をやめて故郷に帰る。これは本来の刑期よりずっと短い。

ロシア国内での元ワグネル戦闘員による犯罪は増加の一途だ。アナリストや、ミハイル・ホドルコフスキーのようなロシアの野党政治家らは、犯罪が急増し暴力の時代となった1990年代の再来だと危機感を募らせている。裏社会のボスたち、刑務所の掟、そして広い意味でのパニャーチエが社会の中で再び勢いを増している。ロシアという国そのものが無法地帯と化しつつある。しかも90年代と違い、犯罪者たちは軍用の武器を持っている。

だが、西側メディアはこうした側面をほとんど見過ごしている。プリゴジンの発言を報道する際も、肝心な点を伝えていない。

プリゴジンの言葉からは裏社会的な考え方がにじみ出ている。だがプーチンは、発言の中で裏社会の掟についてはっきり触れるのを明らかに避けている。一方でプーチンが、この掟を固く守っている印象もある。彼は元KGB工作員で、有罪判決を受けたことはないものの、長年にわたって犯罪組織とのつながりを保ってきた。

プーチンが掲げるロシアの伝統的価値観にも、そんな掟の影響がうかがえる。特にマッチョな行動や性的な純潔を尊ぶ点だ。ロシアという国の同性愛への嫌悪も、男をレイプするのは普通だが男を愛するのは体面を失う行為だとするカースト的サディズムを勘定に入れなければ理解できない。

ロシアの著名なジャーナリストで政治家のマキシム・カッツ(現在はイスラエル在住)は私に、プーチンとロシアの政治エリート全般を理解するのにパニャーチエは欠かせない要素だと語った。

「元KGBの連中はランクの高い犯罪者の振る舞いをまねしたがる」と、カッツは言う。「プーチンの犯罪者のような振る舞いは、いい家の子がいじめっ子の振る舞いをまねしようとはするけれど、決していじめっ子の仲間入りはしないというのに似ている。ロシアの犯罪者の世界では、盗賊と『ゴミ』(官憲)をはっきりと区別する。ゴミは何とかして裏社会のまねをしようとするが、裏社会からすればゴミは人間以下の存在だ。ゴミの言葉は安っぽいコスプレみたいなもので、『掟』を本気でありがたがっているわけではない」

プーチンは掟をまねしているだけかもしれない。だが犯罪者の世界では、掟は本気で守られている。西側のアナリストたちもその重さについて考えてみるべきだ。
2023.06.15 17:27 | 固定リンク | 戦争
プリゴジン「人気急上昇で暗殺の危機」
2023.06.15


【救世主:プリゴジン】ロシア政府とロシア軍を声高に批判した5月、ワグネルの創設者プリゴジンに対するロシア人の関心は急上昇。インターネットでの検索回数は「プーチンの2倍」を超えた。 公然と反旗を翻すプリゴジン「人気急上昇で暗殺の危機も」

ウラジーミル・プーチン大統領はもはや、ロシアで最も人気のある人物ではないようだ。ロシア人が5月にインターネット上で検索した人物を調べたところ、プーチンよりも民間軍事会社ワグネルの創設者エフゲニー・プリゴジンの検索回数が、プーチンの検索回数の2倍にのぼったことが分かった。

ロシアの独立系メディア「Verstka」によると、プリゴジンとロシア国防省の確執がエスカレートした5月は、ロシアの指導者であるプーチンよりも、傭兵を率いるプリゴジンに関する検索のほうがはるかに多かった。

クレムリン御用達のケータリング会社を経営することから「プーチンのシェフ」とも呼ばれるプリゴジンは、何カ月も前から、激しい戦闘が続くウクライナ東部の要衝バフムトにワグネルの戦闘員を投入し、多くの犠牲を出しながら戦果を上げてきた。

一方でセルゲイ・ショイグ国防相やロシア軍のバレリー・ゲラシモフ参謀総長を声高に批判し、ロシア政府との関係が悪化した。

■ロシア政府と軍を批判

プリゴジンは5月5日、バフムトで戦死したとする戦闘員らの遺体の前に立ち、ロシア国防省を猛烈に批判する動画をインターネットに投稿した。さらにその数時間後には、プーチンに直接、弾薬の供給を呼びかけた。プリゴジンはそれまでにも弾薬の供給不足や戦闘員の死について不満を表明していたが、批判の対象はショイグやゲラシモフで、プーチンを直接批判したのはこれが初めてだった。

さらにプリゴジンは、ロシアが第2次世界大戦でドイツに勝利したことを祝う5月9日の戦勝記念日にも弾薬不足について不満を表明。新たな動画の中でプリゴジンは、弾薬は依然として供給されないのに、ロシア政府からは、ワグネルがバフムトから撤退したら国家に対する反逆と見なすと脅されたと述べた。

そしてプリゴジンは5月25日に公開した動画の中で、ワグネルが掌握したバフムト市街地から撤収を開始したと明らかにした。

これに対してロシア政府は、これまで直接の管轄下にはなかったワグネルなどの志願兵部隊に国防省と契約を交わすよう命じ、ロシア軍の指揮下に入れようとしている。だがプリゴジンは契約を拒否している。

■「人気の出過ぎ」は危ない

Verstkaがグーグル・トレンドで調べたところによれば、ロシアでは5月に入ってから、プリゴジンについて検索する人が増加。月末までにはプーチンを追い抜き、5月28日から6月3日にかけては、プリゴジンの人気度(検索頻度)が最高の100ポイントに達したのに対し、プーチンの人気度はわずか28ポイントだった。

またロシアの検索エンジン「Yandex」の統計データによれば、ロシア国民が5月に「プーチンのシェフ」を検索した回数は74万4000回(前回の最多記録は1月の49万8100回)。「ウラジーミル・プーチン」の検索回数は30万5000回でだった。

この調査結果について、ウクライナ内務省のアントン・ゲラシチェンコ顧問は、「ロシア国防省と対立したことでプリゴジンの人気が高まり、今やその人気はプーチンをしのいでいる」とツイート。「ロシア国民が5月にプリゴジンに関する情報を検索した回数は、プーチンに関するニュースの検索回数の2倍にのぼった」「これほど人気が出ると、プリゴジンに何か事故が起こるのではないかと思う」

■目立ちすぎたプリゴジン

英オックスフォード大学で冷戦後の旧ソ連と東欧諸国の専門家であるブラド・ミフネンコは本誌に対して、プリゴジンは5月に「自分を大きく見せすぎた」と語った。彼の「命は近いうちに、何者かの手によって突然終わりを迎えさせられることになるだろう」との見方を示した。

ミフネンコは「プリゴジンがロシア国家の偽装により、手に拳銃を持ち馬鹿げた遺書を遺して『自殺』遺体で発見される方に賭ける」と言う。「ロシア政府がウクライナ側にプリゴジンの正確な居場所に関する情報を提供する可能性もある。ウクライナに彼を殺させ、骨抜きになったワグネルを『英雄』と称えるプロパガンダを出し、さらなる新兵を集めようとするかもしれない」

■ウクライナ軍の反攻を前にドローンが首都を攻撃し、「義勇軍」は国境の村を占拠

ほころび始めたプーチン支配...想定外が続く独裁者の憂鬱──ロシアの仕掛けた戦争がブーメランのように跳ね返る

ロシアの首都モスクワで5月30日、何とも奇妙な光景が市民を驚かせた。白昼堂々と正体不明のドローン(無人機)の群れが市の中心部に飛来したのだ。ロシア当局によればその数は8機だが、ネット上では5機から25機以上までさまざまな説が入り乱れた。

象徴的な攻撃ではなかった。クレムリン宮殿の尖塔の上にはためく国旗をドローンで倒すといったものではない。ターゲットは不明。ロシア当局は5機をミサイルで撃墜し3機を電子妨害で無効化したと発表したが、制御を失ったドローンが集合住宅に激突した。モスクワが空から攻撃されたのは1941年のナチス・ドイツによる空爆以来のことだ。

ところが翌日には、このドローン攻撃はロシアの国営メディアのトップニュースではほとんど扱われず、モスクワ市民は何事もなかったかのように日常を取り戻した。影響らしきものといえば、さらなるドローン攻撃を防ぐためにGPSサービスが停止され、タクシーの配車アプリが使いにくくなったことくらいだ。

とはいえ、ロシア人にとっては気の毒なことに、首都がやすやすと狙われたこの屈辱的な襲撃はほんの手始めにすぎず、その後の長い1週間に祖国防衛の手薄さを印象付けるニュースが次々に伝えられることになった。

6月4日には、「自由ロシア軍団」および「ロシア義勇軍団」を名乗り、「プーチン支配のくびきからロシアを解放する」と豪語する2つの武装集団が、ウクライナ北東部と国境を接するロシア西部のベルゴロド州に侵入し、ほぼ無抵抗で村を占拠したと発表した。国境警備が手薄だったのは訳がある。この一帯に配備されていたロシア兵の大半はウクライナ軍の大規模な反転攻勢に備えてウクライナ東部と南部に移動していたのだ。

武装集団の1つは、一時期占拠した国境の村で数人のロシア兵を捕虜にした。そしてベルゴロド州のビャチェスラフ・グラドコフ知事に捕虜交換に応じるよう呼びかけた。意外にも知事はこれにあっさり応じたが、結局は捕虜引き渡しの場に現れなかった。

■ブーメラン効果に苦しむ

国境から約8キロにあるベルゴロド州シェベキノ(戦争開始前の人口は約4万人)は厳戒態勢が敷かれ、住民は避難を余儀なくされた。突然家を追われることになった住民にすれば、プーチン政権は自分たちを見捨てたも同然だ。

ウクライナ政府はしてやったりとばかり、ロシア領内に侵入したのはロシア人戦闘員であり、自分たちは彼らを統制できないと主張した。2014年春にロシアが支援する武装集団がウクライナ東部への攻撃を開始したとき、プーチンが言ったセリフをそっくりそのままお返しした格好だ。

ロシアにとってさらに屈辱的だったのは、ウクライナのツイッターユーザーたちが早速、ベルゴロド州のウクライナ語表記を用いて「ビルホロド人民共和国」の誕生を宣言したことだ。彼らの悪ふざけはさらに続き、この地域の人口の「100%超を占めるロシア系住民」が住民投票で分離独立を支持した、などとツイート。住民投票で支持されたと主張してウクライナ東部の2つの「共和国」の独立を承認したロシアの理不尽なやり方を皮肉ってみせた。

ドローンの首都襲来にしろ武装集団の越境攻撃にしろ、ロシアの仕掛けた戦争がブーメランのように跳ね返ってロシアを痛めつけているのは明らかだ。今のロシア軍には祖国を強固に防衛しつつ、ウクライナを支配下に置くなどという離れ業はできっこない。

折しも戦況はウクライナ優勢に傾きつつある。ウクライナ東部ドンバス地方ではロシア軍の攻勢は行き詰まり、ウクライナ軍は東部と南部で反転攻勢に向けた偵察攻撃を行いつつ、西側が新たに供与した長距離ミサイルでロシア軍の拠点を猛攻。ロシア領内の重要施設を狙ったドローン攻撃も実施しているとみられる。

そして、ロシアの態勢はほころびつつあるようだ。その格好の例として、民間軍事会社ワグネルの創設者エフゲニー・プリゴジンとロシア国防省の激しい対立はさらにエスカレートしている。

プリゴジンは6月4日、ウクライナ東部の占領地でワグネルが拘束したロシア軍将校を尋問する動画を公開した。ロシア軍第72機械化旅団の中尉と名乗る男性はカメラの前で、ワグネルを撃つよう部隊に命令したと認めた。ロシア人同士が撃ち合い、軍事会社の傭兵が自国の正規軍の上級将校を捕らえる──国家崩壊の足音が聞こえてきそうだ。

ロシア領内への攻撃やドローンのクレムリン攻撃は、戦争の全体的な展開には大きな影響を及ぼさないとしても、心理的な影響は計り知れない。

国営テレビのトーク番組は、普段は陽気な愛国主義とウクライナ侵攻の話題を交互に繰り返しているが、最近は敗北主義に傾きつつある。事実上の国営メディアであるニュース専門テレビ局RTのマルガリータ・シモニャン編集長は他局のトーク番組で、第1次大戦でロシア帝国軍が大敗を喫し、兵士が反乱を起こして政権が転覆した1917年に重ねるような発言をした。

6月1日の公開討論会で与党・統一ロシアの有力議員コンスタンティン・ザトゥリンは、戦争の展開に異例の率直さで疑問を投げかけ、戦争の目標は「非現実的」だと言った。党は直ちに、問責の可能性がある発言のため調査をしていると発表した。

■公然と反旗を翻す今や末期

こうした混乱の中、ロシアの急進的な民族主義右派の一部はプーチンの優柔不断さを直接、攻撃し始めている。

元ロシア連邦保安局(FSB)大佐のイーゴリ・ギルキンは80万人以上の視聴者がいるテレグラムのチャンネルで毎日のように、プーチンのリーダーシップの欠如を嘲笑している。

ドンバス地方で親ロシア派武装勢力を率いてウクライナ政府軍と戦ったギルキンは、オランダの国際司法裁判所に出廷しないまま22年に終身刑を言い渡されている戦争犯罪者でもある。彼が共同設立した過激な超国家主義グループ「怒れる愛国者クラブ」は、「軍の信用を失墜させた」容疑で捜査中と報道されている。

ロシア当局は苦境に立たされている。国の指導部を最も声高に批判する人々を起訴しなければ弱腰と見なされ、検閲を擦り抜けた不満がさらに増えかねない。

しかし、起訴したらしたで、ロシア政府より戦争に深く関与している右派ナショナリストの怒りをあおる恐れがある。さらに、ワグネルなど準軍事組織は軍の他の勢力との対立が長期化しており、ロシアの最高司令部に公然と反抗するようになった。

ロシアの統制が崩壊しつつある今、プーチンはどこにいるのだろうか。ドローンがモスクワを攻撃した日、大統領が国民に向けて緊急演説をすることはなかった。

その日、業界団体の会議に出席したプーチンは記者団のインタビューに応じ、7分間にわたっていつものように文明の衝突やNATOの侵攻について非難し、いつもと同じ不満を取りとめもなくぼそぼそと語った。ドローン攻撃にも言及したものの、モスクワの防空部隊が撃退したことを称賛した程度だった。

ベルゴロド州の住民も国のリーダーがパニックを鎮めてくれるのではないかと待ちわびているが、前線での最近の注目すべき変化について、プーチンから具体的な発言は今のところない。

ロシア人が戦争と呼ぶことを許されていないプーチンの戦争物語に、後退の文字はない。そして、戦争がここまで長期化する可能性も、ウクライナが再び攻勢に転じる可能性も、無人機がモスクワを攻撃する可能性も、ロシア人戦闘員がロシアの領土を解放すると主張する可能性も、プーチンの物語には織り込まれていなかった。

プーチンが自らつくり出した未曽有の危機のさなかに彼の支配が解体しつつある。
2023.06.15 16:01 | 固定リンク | 戦争
第35統合軍参謀長「戦死」
2023.06.15
「最も聡明で有能」軍歴30年のロシア軍参謀長が死亡…英供与の巡航ミサイルとの見方も

 ウクライナ南部ザポリージャでロシア軍のベテラン将校が死亡したことが分かった。ウクライナが英国から供与され、最近実戦配備して使用中の長距離巡航ミサイル「ストームシャドー」によるものとみられている。

 英ガーディアン紙やロイター通信などは13日、ザポリージャ州の親ロシア派当局者の話として「ロシア軍第35軍参謀長のセルゲイ・ゴリャチェフ少将(52)が前日に死亡した」「ロシア軍は最も聡明(そうめい)で有能な、最高のプロフェッショナリズムと勇気を兼ね備えた優秀な指揮官を失った」と明らかにした。

 一部の専門家は「ゴリャチェフはストームシャドーによって死亡した可能性が高い」と分析している。ストームシャドーは英国が先月11日からウクライナに提供している長距離ミサイルで、最近は戦場でウクライナ軍の主力兵器として使用されており、新たな「ゲームチェンジャー」とも呼ばれている。

 輸出用で射程距離が250キロに達することから、ウクライナ軍はロシア本土にまで届く長距離の攻撃能力を確保するようになった。地下数十メートルのバンカーをも攻撃できるという。ただしウクライナ軍はこの兵器をロシア軍が占領している東部地域とクリミア半島のロシア軍に対する攻撃のみに使用することを約束した。

 ロシア軍で30年の経歴を持つ経験豊富なゴリャチェフ少将は生前多くの勲章を得た優秀な将校として知られている。過去には第2次チェチェン紛争で戦車旅団を指揮し、タジキスタンのロシア軍基地では総司令官も務めた。また親露分離勢力が掌握しているモルドバ東部のトランスニストリアでロシア軍を率いたこともある。

 外信はゴリャチェフの死について「先週から始まったウクライナ軍の反転攻勢で死亡したロシア軍の最も有名な将校」「ウクライナ戦争でロシア軍将官が死亡するのは昨年6月以来1年ぶりだ」と伝えている。ガーディアンは「ロシア軍は侵攻開始からこれまで12人以上の将官を失った」と伝えている。ただしロシア国防省は今もゴリャチェフの死亡についてコメントを出していない。

■ロシア第35統合軍参謀長のセルゲイ・ゴリャチェフ少将(52歳)戦死

ロシア軍高官で著名な退役軍人が、火曜日に西側諸国から送られた支援ミサイルの直撃を受け、ウクライナの報復攻撃で死亡したとロシア支援当局者が発表した。

ロシア軍の支配下にある南部ザポリージャ地域の一部にロシア駐在しているウラジミール・ロゴフ高官は、ロシア第35統合軍参謀長のセルゲイ・ゴリャチェフ少将(52歳)が月曜、ザポリージャ戦線で殺害されたと述べた。ウクライナ軍は一部の領土を取り戻した。

このニュースに関してロシア国防省からの即時確認はなかったが、このニュースはロシアの従軍記者でブロガーの「ヴォエンコール・Z」によって最初に報告された。

「軍は、最高のプロフェッショナリズムと個人的な勇気を兼ね備えた、最も聡明で最も有能な軍司令官の一人を失った。亡くなった方の家族と友人に心から哀悼の意を表します!」とロゴフ氏は自身の電報チャンネルに記した。

デイリー・メール紙によると、ゴリャチョフ少将の死により、ウクライナ戦争で死亡したロシアの将軍は11人となり、今年殺害されたロシアの将軍は初めてとなった。

110万人のフォロワーを持つロシアの人気戦争ブロガー、アナトリー・シャリー氏は、ゴリャチェフ少将が英国供給のストームシャドウ・ミサイルの直撃を受けたと語った。 彼は他の上級将校とともに死亡したとみられる。

「イギリスとフランスからこんにちは」と彼は書いた。

一方、ウクライナの専門家ミハイル・ジロホフ氏は、将軍の死はロシアにとって大きな打撃となったと述べた。

「通常、大将(がいる)に加えて、司令部で活動を行っていた大佐、中佐、少佐が死亡する。したがって、(ウクライナの)大規模な攻撃の前に第35軍の指揮所が攻撃されることになる」成功を達成するためには非常に真剣です」と彼は説明した

セルゲイ・ウラジミロヴィチ・ゴリャチェフは、グラウンド・レポートより引用、1970年10月22日にソビエト連邦モスクワ州オジェレリエで生まれた。

若いゴリャチョフは 1994 年にリャザン高等警備隊空挺指揮学校を卒業しました。彼はロシア連邦軍の連合軍士官学校で教育を続け、2008 年に学業を修了しました。

彼は偵察小隊長として軍人としてのキャリアをスタートし、その後、偵察部長補佐、偵察中隊長代理、偵察中隊長、空挺部隊大隊長など、さまざまな役職を歴任した。

ゴリャチョフ少将は第二次チェチェン戦争の退役軍人である。 その後、2011 年から 2013 年まで、西部軍管区の別の電動ライフル旅団の副司令官を務めました。

2013年3月、ゴリャチョフ少将は沿ドニエストルにおけるロシア軍の作戦グループ長に任命された。 その後、2018年11月にタジキスタンの第201ロシア軍事基地の司令官に就任した。


一方、2022年のロシアのウクライナ侵攻中、ゴリャチョフ少将は第5分離戦車旅団司令官として重要な役割を果たし、最終的に第35統合軍参謀長に就任した。
2023.06.15 14:21 | 固定リンク | 戦争
尾身茂氏、中国コロナ会議出席へ
2023.06.15


■尾身茂氏「第9波の入り口に入ったのではないか」…5類移行後1か月で感染2・5倍

 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会長を務めた尾身茂氏は14日、東京都内で開かれた病院団体の会合で、「(流行の)第9波の入り口に入ったのではないか」と語った。新型コロナの感染症法上の分類が5類に移行して1か月間で、全国約5000か所の定点医療機関から報告された感染者数が2・5倍に増えたことなどから、今後の拡大の可能性に言及した。

 尾身氏は「第9波のコロナ感染による死亡者数を、(年末年始の2か月あまりで2万人に上った)第8波より少なくできれば、その後の流行に伴う被害も一定程度に抑えられる可能性がある」と述べた。重症化リスクが高い高齢者のワクチン接種や、介護施設での感染対策が重要だとしている。

■5類移行でも高い感染力「まだ普通の病気になっていない」 尾身茂コロナ分科会長、沖縄「拡大傾向に入っている」

 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会長で公益財団法人「結核予防会」の尾身茂理事長の講演会(主催・沖縄県結核予防婦人連絡協議会)が27日、浦添市のアイム・ユニバースてだこホールであった。県内の新型コロナの感染状況は「拡大傾向に入っている」と指摘。感染症法上の位置付けが5類へ移行しても高い感染力があることから、「まだ完全に普通の病気にはなっていない」と警鐘を鳴らした。

 尾身理事長はコロナ禍の約3年間を振り返り、人口10万人当たりの国内の死亡者数は海外と比べて低く抑えられた一方、緊急事態宣言などで社会経済活動や教育に大きな負担をかけたと指摘。医療逼迫(ひっぱく)やデジタル化の遅れによる不十分な情報共有などの課題も示した。

 その上で「問題点を検証し、次のパンデミック(世界的大流行)が起きた時、効果的な対策を打つことが大切だ」と強調。今後の懸念として若者のワクチン接種が低いことを挙げ、「致死率は低くなっても、それを上回る感染者数が出ている。ゼロにはならない病気だ」と説明した。

■尾身氏、コロナ5類移行後に警鐘 「まだ普通の病気ではない」

 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長(73)は2日、共同通信のインタビューに応じ、感染症法上の位置付けの5類移行に「社会を動かす時期に来ているとの考えには賛成だ」と理解を示す一方、高い感染力があることから「まだ完全に普通の病気にはなっていない」と指摘した。今後の感染症対策に生かすため、政府対応を徹底的に検証する必要性も強調した。

 尾身氏は、2020年の感染拡大当初から3年超にわたり、専門家の取りまとめ役として政府に助言してきた。「将来、歴史の審判に堪えられるようにと考えてきた」と振り返った。

 「法律で人々の行動を縛ったり、感染者をすぐ隔離したりする時期は、もう過ぎつつある」。昨年春ごろから対策の段階的な緩和を意識していたという。

 一方で、高い感染力や変異の予測ができない点を警戒。致死率は低下したものの感染力は増し、流行のたびに死者は増える傾向にある。「5類になったからといって感染者がすぐにゼロになることはない」と訴えた。

■尾身茂氏、中国コロナ会議出席へ 今月下旬、再流行の中で知見共有

日本政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会会長を務めた尾身茂氏が今月下旬に中国を訪問することが10日、分かった。感染症に関する国際会議に出席し、コロナ対策を議論する。複数の日中関係筋が明らかにした。会議を主催する中国は最近、コロナが再流行しており、日本を含む各国と知見を共有したい考えだ。

 会議は28~30日に雲南省昆明で開かれ、感染症予防や治療、緊急対応を世界の専門家が議論する。尾身氏は29日に講演し、2020年のコロナ感染拡大当初から3年超にわたり日本政府に助言してきた立場から、日本のコロナ対策の経験や感染症対策のあり方について見解を述べる。

 中国は習近平国家主席が掲げた感染を徹底して抑え込む「ゼロコロナ」政策の成果をアピールするとみられている。

 コロナ対策を巡っては、中国が情報開示に消極的で、感染実態を把握できないとして国際社会から批判された経緯がある。中国がこうした批判をかわすため、自国のコロナ対応の正当化に国際会議を利用するのではないかと懸念する声も関係国から上がっている。

2023.06.15 07:13 | 固定リンク | 医学

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