【反転攻勢】「D-Day作戦」露軍制圧へ
2023.06.13


ウクライナ側と協力して国境地帯を攻めるロシアの反プーチン武装勢力を叩くか、反転攻勢に備えてウクライナの占領地域を守るか。「D-Day作戦」の主戦場はどこか? 対応を間違えればヒットラーの二の舞に

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が窮地に追い込まれているようだ。

ロシア軍はウクライナ軍による2つの攻勢に直面している。一つはウクライナ軍に協力するロシア人武装勢力がロシアの国境付近で破壊行為を行いながら展開している件。もう一つは、ロシアが占領したウクライナ一部地域の奪還を目指し、ウクライナ軍が準備を進めてきた大規模反転攻勢「D-Day作戦」だ。

国境地帯で続いている無人機攻撃や砲撃は、ロシアの国境防衛が甘く、国境地帯に暮らすロシア市民の安全が確保できていないことを示しており、プーチンとロシア軍にとって恥辱だ。一方の反転攻勢は戦略上の脅威を意味し、ウクライナ側が目的を達成すれば、ウクライナ南部と東部の広い地域をロシアに統合するというプーチンの野望は砕け散る。

有力シンクタンク「国際危機グループ」のロシア担当上級アナリスト、オレグ・イグナトフは本誌に対し、ロシア政府は同時発生したこの2つの問題により、身動きが取れない状態にあると語った。

イグナトフはロシアの戦略立案者について、「彼らには今、選択肢がない」と指摘する。「ウクライナがロシア軍の兵力を分散させようとしていることは彼らもわかっている。ウクライナ側は、ロシアが国境地帯の脅威に攻撃に反応して、ウクライナ国内にいるロシア軍部隊を国境付近に向かわせることを狙っている」と述べた。

■せっかくの要塞が空っぽに?

「だが国境のロシア側に兵力を差し向ければ、ウクライナ南部や東部の拠点が手薄になる。ロシア軍は各所で反攻に備えた要塞化を進めてきたが、兵士がいなければ要塞も意味がない」

海外の有識者や超国家主義のロシア人ブロガーは、越境攻撃が行われたことに驚きを表明している。この数週間、ウクライナ軍に協力するロシア人武装組織「自由ロシア軍団」と「ロシア義勇軍団」がウクライナ側からロシア側へ越境攻撃を仕掛けているのだ。

ウクライナと国境を接するベルゴロドに暮らすロシア人住民はすでに慌てて避難を始めている。反ロシアの武装組織は、ロシア軍の複数の兵士を捕虜にしたとも主張しており、ロシア側に捕えられているウクライナの捕虜との交換交渉を持ちかけている。

米シンクタンク「戦争研究所」は4日に発表した報告書の中で、「ベルゴロド州への攻撃について、ロシア側の反応や報道が少ないことは、ロシア指導部がいまだに対応を決めかねている証拠かもしれない」と指摘した。

イグナトフは、ロシア軍の反応が鈍いのは、彼らがウクライナ国内の占領地域の防衛を優先しているためかもしれないと分析。

「ロシア政府とロシア軍は、国境地帯で起きていることの影響を抑え込もうとしている」と、イグナトフは言う。「何も特別なことは起きていないふりをしたいのだ。彼らの言動からは、武装組織はともかく、ウクライナ軍本体がベルゴロドやクルスク地方に侵攻してくることはないだろうとたかをくくっている様子がうかがえる」

だがもしその通りだとしても、一連の攻撃はロシア政府に難しい問題を突きつける。

「両国の国境線、つまり前線は非常に長く、およそ1300キロメートルにも及ぶ」「ロシア軍は、この前線すべてをカバーすることはできない。ウクライナの東部と南部にほぼ全ての部隊を配備しているからだ。彼らはおそらく、ウクライナ軍の反転攻勢が東部のドンバスか南部のザポリージャから行われると予想しているのだろう」

■ロシア軍指導部に対する批判が強まる

イグナトフは言う。国境の事態に対する「ロシア当局の反応はとても鈍く、国境付近の住民を避難させ始めるのも遅かった。本来なら、国境地帯の住民すべてを避難させるのが妥当だろう。ウクライナ側に協力するロシア人戦闘員たちがロシア領内に侵入できるなら、国境地帯の村落を攻撃するもできるからだ。住民にとって危険は大きい」

一連の越境攻撃に、以前からウクライナへの攻撃が手ぬるいと主張してきたロシアの超国家主義者やブロガーらは憤っている。ロシア国内で親ウクライナの工作員がドローンによる攻撃や破壊工作を行っている疑いも浮上している上、一連の越境攻撃が起きたことで、ロシア軍の信頼はさらに揺らいでいる。

米戦争研究所は報告書の中で、ベルゴロド州に無人機攻撃や砲撃を許していることが、「ロシア軍指導部に対する批判の中心になりつつある」と指摘した。

ロシアの民間軍事会社ワグネルの創設者で、ロシア正規軍の悩みの種でもあるエフゲニー・プリゴジンは、必要とあればワグネルの傭兵を国境地帯に介入させる用意がある」と述べた。

プリゴジンはツイッターに「我々が求めるのは弾薬だけだ」と書き込んだ。「ロシア国防省がベルゴロドで起きていることを阻止しないならば、もちろん我々がベルゴロドに向かい、ロシア国民とそこに暮らしている全ての人を守るつもりだ」

元ロシア連邦保安局(FSB)将校で現在はブロガーとしてロシア政府を頻繁に批判しているイーゴリ・ギルキンは、ロシア政府はベルゴロドへの襲撃に対する反応が遅すぎると言う。

ギルキンはメッセージアプリ「テレグラム」上で、ウクライナ軍について「彼らはロシア連邦を内側から弱体化させるという一番の目的を達成しようとしている」と指摘。ウクライナはロシアに有利な冬の攻勢を耐え忍ぶ間も、何カ月もかけて部隊の強化と訓練を行ってきた、という。

「政府が長年にもわたってあらゆる方法で侮辱してきた敵が、ロシア市民を殺害し建物を破壊しても罰することもしないとは、市民のロシア当局への怒りを掻き立てるのにこれ以上の方法があるだろうか」とギルキンは書き込んだ。

■ロシア戦車がうっかり味方数人を轢く

ロシアは過去24時間で戦車13両、装甲車12両、兵員900名を失ったとウクライナ軍は12日に発表した。さもありなんと思わせる滑稽なほどの映像が暴露された。

ロシアの民間軍事会社、ワグネルと関係のあるテレグラムのチャンネル「グレーゾーン」が、ロシア軍の戦闘車両が兵士を轢いたところとみられる動画を投稿した。

ワグネルは現在、ウクライナ東部の包囲に加わっている。動画が撮影されたとみられるのは、ウクライナ東部の町ブフレダルで、ここ数週間激しい攻防が続いている場所だ。

ウクライナ軍は9日、ロシア軍がブフレダルをめぐる戦闘で数十台の軍事車両を失ったと発表している。

グレーゾーンが投稿したのは、ブフレダルの攻防戦のさなかに最近撮影されたとみられる動画だ。

「ブフレダルではまったくひどいことが起きている。それは何度も繰り返されてきたことであり、かつて問題を批判していた部隊の指揮下でも起きている。それでも問題は終わらない」とのコメントが付いている。

「もちろん、わが軍は敵に対してもダメージを与えている。だが敵の動画を見ると、わが軍には司令部レベルで指揮命令に今も危険な問題があることが見て取れる」

投稿によれば昨年、あるロシア軍の部隊から地元の沿海地方の知事に対し、「無能な」指揮官たちのせいでブフレダル近郊のパブリフカをめぐる戦いで苦戦を強いられたと抗議する声が上がったという。この時、名前が挙がったのがルスタム・ムラドフとズラブ・アフメドフという2人の将官だ。そしてこの部隊は再び、戦闘のただ中にある。

■指揮命令の問題が露わ

「悪名高いが英雄的なロシア太平洋艦隊第155海兵旅団はパブリブカの戦闘中、ムラドフとアフメドフ(ムラドフは現在も司令官の座にある)の名前を挙げて沿海地方のオレグ・コジェミャコ知事に助けを求めた。現在、同旅団はブフレダル制圧に向けて戦闘を続けている」と投稿には書かれている。

惨状は動画を見れば「一目瞭然」だと、グレーゾーンは指摘する。

「車両の残骸が少なくとも30個、体に火のついた乗組員が走り回り、(装甲歩兵戦闘車の)BMPが自国の兵士を轢くなど、チェチェン戦争の1場面のようだ」

投稿された動画からは、2人の兵士が戦闘車の下敷きになって引きずられたり、1人の兵士が走り出てきた直後に戦闘車が爆発する様子が見て取れる。

親ロシア派勢力が「建国」したドネツク人民共和国を率いるデニス・プシーリンに言わせると、ブフレダル制圧はロシアのウクライナ侵攻の行方を左右する可能性がある。

彼はロシア国営RIAノーボスチ通信に対して1月、モスクワは「ブフレダルからのよい知らせを待っている」と語った。この町を包囲して「解放」できれば、「たくさんの問題が解決する」と述べた。

「この集落を制圧すれば、わが軍の部隊にとってクラスノアルミスク(ポクロウシク)やクラホフスコエ方面への道が開ける」とプシーリンは述べた。

ウクライナ軍は12日、ロシア軍は過去24時間にで戦車13両、装甲車12両、兵員900名を失ったととウクライナ軍は12日に発表している。
2023.06.13 18:23 | 固定リンク | 戦争
川崎商店街「高級時計店強盗」1人逮捕
2023.06.13

川崎市幸区の腕時計販売店に押し入り従業員にけがを負わせたとして強盗致傷容疑で逮捕された職業不詳の八木貴寛容疑者(26)=大阪府高槻市=が「交流サイト(SNS)の募集を見て応じた」と供述していることが12日、捜査関係者への取材で分かった。神奈川県警は、事件の実行役として「闇バイト」に応募した可能性があるとみて、背景を調べる。

 県警によると、八木容疑者ら2人は11日午後1時ごろ、店に押し入ってショーケースをたたき割った上、逃走し、従業員にけがをさせた疑いがある。

 捜査関係者によると、容疑者は直後に確保されたが、1人は行方が分からず、別の人物が車で逃走を手助けした疑いがある。

 また、犯人は逃げる際、コードを足に絡ませ、転んだ隙に捕まった。コードは通行人のもので、逃げてくる犯人の足に絡ませ転がした。

 時計店に2人が強盗に入った事件で、現行犯逮捕された男が「SNSの募集を見て応募した」と供述していることが分かりました。

 大阪府高槻市に住む八木貴寛容疑者(26)は11日午後1時ごろ、川崎市幸区にある時計店に押し入り、逃走する際、店員にけがをさせた疑いが持たれています。

 その後の捜査関係者への取材で、八木容疑者が「SNSの募集を見て応募した」と供述していることが分かりました。

 警察は、八木容疑者が「闇バイト」などで事件に加わった可能性があるとみています。
2023.06.13 14:37 | 固定リンク | 事件/事故
マルクスの予言は当たらない
2023.06.13
■中産階級の出現でマルクスの予言通りにはいかなかった。

 総じていうと、世界が共産主義の波に飲み込まれるということは起こりませんでした。さまざまな理由がありますが、現象的にいえば、マルクスが予言したように、労働者の運命が悪化の一途をたどるということはありませんでした。中産階級が出現したためです。

 マルクスの予言によれば、プロレタリアートは生存水準かそれ以下の生活しか送れないようになるため、革命のみが希望となり、共産党に集結するとされていました。対して、中産階級には余裕があります。例えば、「自分が中卒だったから、子どもには高校や大学に行かせよう」とか、「借家ではなくて一戸建ての家に住もう」とか、「休みには旅行に出かけよう」など、全体的に余裕を持っています。余裕があるということは、失われる財産を持っているので、それをリスクにさらして社会を変える、あるいは共産党に入るなどとはあまり思わない。そのような人々が増えてきてしまったのが、現象的な理由です。

■革命の成功によって生まれた「マルクス=レーニン主義」

 この根源を探っていくと、『資本論』の主張の正しさへの懐疑が生まれます。『資本論』の証明は、ある意味で完璧です。『資本論』のモデルが正しいとすれば、労働者は搾取され続け、資本家は搾取し続けます。すると、専門的な言葉でいうと、徐々に利潤率が下がっていき、簡単にいうと儲からなくなっていくことが証明されています。儲からなくなってきても、資本主義は儲けを生み出さなければ成り立ちません。

 レーニンは、この状況で帝国主義が繁栄すると論じました。軍事力を用いて植民地に進出し、強引な手段で安く資源を入手し、ものを叩き売るなどして、資本主義を維持していこうと試みるのです。さまざまな国家が帝国主義的な拡大を目指すので、帝国主義戦争が起こります、帝国主義戦争は革命の好機となる、とレーニンは予言したのです。その予言の通り、第一次世界大戦が起こり、これを好機と見たロシア共産党は革命に成功しました。マルクス主義はレーニンによって現代に生かされ、革命に成功したゆえ、「マルクス=レーニン主義」と呼ばれるのです。レーニンはなかなか優れた人だったのです。

■『資本論』が依拠する理論は単純すぎる

 ここまでは『資本論』の主張は的中しているように見えます。しかしその後、多くの中産階級が現れました。『資本論』の構造は、単純化し過ぎているきらいがあります。アメリカの近代経済学者のサミュエルソンは、マルクスの『資本論』に興味を持ち、その数学的構造を明らかにしようとしましたが、失敗しました。それを受け継いだ森嶋通夫という立派な経済学者が、『マルクスの経済学』という本を著します。日本の経済学者の置塩信雄氏の数学的モデルを取り入れ、『資本論』の数学的構造を明らかにしました。これはノーベル賞級の仕事です。余裕があって数学に明るい方は、ぜひ『マルクスの経済学』をお読みになっていただければと思います。

■マルクスの「労働価値」

マルクス経済学の最大の特徴といえば「労働価値説」です。近代経済学にはない「投下労働価値」という概念を使います。

■「投下労働価値」

 投下労働価値とは、商品1単位を生産するために、直接・間接に必要な投入労働量のこと。服を例にとれば、服を作るための労働量はもちろん、その服を作るのに必要な布を作るための労働量、その布を作るのに必要な綿花を作るための労働量と、川上から川下まで全段階の投入労働量を足し合わせたものです。

 投下労働価値の概念を使うと、年ごとにある商品を純生産するためにどれくらいの労働が必要か計算できます。そうなれば、何を作る部門にどれだけの労働を取り分けなければならないのか、社会全体の労働配分を把握できます。

 生活に必要なものを1人で作ることはできませんから、人間はお互いのニーズを満たすために、社会全体で労働を分担して、生産したものを分け合っています。それは原始社会でも、現代のような商品生産社会でも変わりません。

 この「ヒトとヒトとの依存関係」こそが社会の本質です。ところが私たちの目に映る現象としては、価格とか賃金とか「モノとモノとの交換関係」として現れます。見た目ではない社会の本質を理解するために、労働価値説というツールが有効なのです。

■「搾取」についても、労働価値説によって説明ができます。

 人は労働を分担して必要なものを手に入れますが、社会全体を見ると、労働者が消費する必需品だけを生産しているわけではありません。直接労働に関わらない資本家のための商品や、機械や工場などの生産手段の拡大分もあります。このような労働者が自由にできない財を剰余生産物といいます。

 この剰余生産物も、社会全体で労働を分担して生産しているということになります。

 これを労働者1人当たりの労働時間に置き換えると、自らが入手できる財を生産する「必要労働」と、剰余生産物を生産するための「剰余労働」に分かれます(下の図)。労働者からすると、労働時間の一部は自分のために働き、残りは資本家のために働いている。ここに労働の搾取があるというわけです。
2023.06.13 11:57 | 固定リンク | 経済

- -