ウ軍SBU特殊部隊「戦車次々破壊」
2023.06.12



6月10日に反攻したとみられるウクライナ軍「9両か10両か? 10両だ! それが、SBUの『ホワイトウルブス』が一晩でやっつけたロシア戦車の数だ!」と、SBUはテレグラムで興奮気味にコメントした。土曜の午後時点で、動画の再生回数は4万7000回にのぼった。東部と南部でロシア軍部隊を蹴散らす動画で士気上がる。

ウクライナは同国の東部でロシア軍部隊の車列を攻撃し、破壊する映像を公開。いよいよ始まったウクライナ軍の反転攻勢の勢いを見せつけた。

ウクライナ軍参謀本部は6月10日、ウクライナ保安局(SBU)管轄の特殊部隊「ホワイトウルブス(白い狼)」がロシア軍陣地に照準を合わせて攻撃を行い、ウクライナ東部でロシア軍部隊を蹴散らしたと発表した。

公開された映像はドローンで撮影されたものと見られ、ウクライナ軍は過去1週間でロシア軍の戦車7台と防空壕15カ所を破壊したと発表した。

ウクライナは、ロシア軍部隊の車両や兵器を破壊する戦闘の映像を頻繁に公開しており、その中には「ホワイトウルブス」部隊の手柄とされるケースも少なくない。

ウクライナのメディアは10日、ロシアに併合されたウクライナ南部ザポリージャで、ロシア軍の車列を破壊する模様を映した動画を公開した。国際社会の大半は、この地域に対するロシアの支配を認めていない。

ウクライナ・プラウダはこの動画に、「ロシア空挺部隊第83旅団の軍用車の車列が、ウクライナの大砲による砲撃を受けた」というコメントを付けた。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ウクライナ軍が「反攻と防御の作戦」を開始したと述べたが、それ以上具体的な情報は提供しなかった。

ウクライナ軍の指揮官たちは「全員が前向きなムードだ」とメディアに語り、こう付け加えた。「このことをプーチンに伝えてくれ」

ロシア政府の声明によれば、ウラジーミル・プーチン大統領は9日に「ウクライナの反撃が始まったことは、絶対確実だと言える」と語り、「ウクライナ軍は与えられた任務を達成できなかった」と付け加えた。

イギリス国防省は10日、過去24時間にウクライナ東部と南部で「重要なウクライナ軍の作戦」が実施されたと述べた。

「いくつかの地域で、ウクライナ軍は順調に作戦を進め、ロシア軍の第一防衛ラインを突破したようだ」と、英国防省は毎日の更新情報として伝えた。「他の地域では、ウクライナ軍の進撃は比較的遅い」

英国防省によれば、ロシア軍の戦いぶりは「まちまち」だが、いくつかの防衛作戦を実施したようだ。ダム爆破もそのうちの一つだ。

ワシントンのシンクタンク戦争研究所は、ウクライナ軍が6月10日に前線の「少なくとも4つの地域で」反攻作戦を実施したと発表した。

ロシア国防省は同日、ウクライナは9日にドネツクとザポリージャ、そして激戦地のバフムートで反攻作戦を試みたが、失敗に終わったと発表した。しかし、ザポリージャは,ウクライナが進撃中で塹壕をいくつも破壊したとある(SBU特殊部隊)。
2023.06.12 19:57 | 固定リンク | 戦争
ロシア破壊作戦「ダム原発爆破・戦術核兵器・特別軍事作戦」
2023.06.12



ロシア破壊作戦エスカレート「ダム/原発爆破・戦術核兵器---特別軍事作戦」

11日のウクライナメディアによると、ウクライナ軍当局者は、東部ドネツク州と南部ザポロジエ州の境界付近のダムをロシア軍が爆破し、川の両岸に洪水を引き起こしたと主張した。ウクライナ軍の反転攻勢を遅らせるのが狙いとの見方を示した。

ウクライナでは南部ヘルソン州カホフカ水力発電所のダムが6日に決壊し、大規模な洪水を引き起こしたばかり。ウクライナはロシアが爆破したとして非難している。当局者は、これらのダムの決壊はロシア軍の「戦術」だと指摘した。

■ロシア国防省と契約せず、民間軍事会社ワグネル創設者-対立激化か

ロシアの民間軍事会社ワグネル・グループ創設者、エフゲニー・プリゴジン氏は、ウクライナでの戦闘に参加している同グループの雇い兵はロシア国防省と契約を結ばないと述べ、志願兵組織を正式化することを狙った政府側の新たな要求を押し返した。

国防省は10日、志願兵組織に対し7月1日までに契約を結ぶよう命じた。法的地位や社会的保護を提供し、志願兵とその家族に支援措置を講じるための取り組みだと説明している。しかしプリゴジン氏は11日のテレグラムへの投稿で、ショイグ国防相からの命令や布告はワグネルではなく国防省スタッフと軍兵士だけに関係したものだと指摘した。

国防省は契約が締結されない場合にどうなるのかは詳述していない

プリゴジン氏とロシア軍の確執がエスカレートする中で、同氏はかつて、プーチン大統領の戦争目標の結果やウクライナ側からの越境攻撃後の対応について国防省当局者を批判した後に、激戦地のウクライナ東部バフムトから部隊を撤退させると表明した経緯がある。

■ウクライナ反転攻勢、3村奪還

ウクライナ政府は11日、東部ドネツク州の3村をロシア側から奪還したと発表した。反攻開始を公式に認めて以降、初めての戦果となった。

ウクライナ国家国境庁はこの日、「ドネツク州ネスクチネ村に再びウクライナ旗が掲げられた」と発表。

ウクライナ軍も、南部ザポリージャ州との州境に位置する近隣のブラホダトネ村を制圧したと主張。部隊は、破壊された建物に兵士が国旗を掲げる動画を公開した。

さらに、ハンナ・マリャル国防次官も、ブラホダトネの北西のマカリウカ村を奪還したと発表した。

ウクライナ側がザポリージャ州まで進軍できれば、ロシアに併合されたクリミア半島につながる陸橋を支配下に置ける公算が大きくなり、ロシア側は劣勢に立たされることになる。

ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は10日、ロシアに対する反転攻勢が始まったことを認めた。

■「特別軍事作戦は継続しており、当初の目標を達成するまで継続する」

これが本気の発言なら、目標達成のため使われる兵器はもはや一つしか残されていない。77年の歳月を経て、再び世界は核の炎による悲劇を目の当たりにするのか。

国内で活発化し始めた反戦運動も核使用の現実味を高める一因となっている。ロシア軍が守勢に回っているという情報が徐々に伝わり、9月11日に行われた統一地方選では、公然と反戦の声を上げる野党政治家や有権者が目立った。

さらに「プーチンの頭脳」と呼ばれるロシアの極右思想家アレクサンドル・ドゥーギン氏の娘ダリア氏が暗殺された事件でも、反プーチンを掲げる『国民共和国軍』が犯行声明を発表した。

今、ロシア国内ではプーチン更迭を求める動きがかつてないほどに大きくなっているのだ。
ウクライナ軍が米国から供与された最新兵器で攻勢を続けるなか、プーチンは一発の核ミサイルで戦況をひっくり返そうとしている。いったい、どこが狙われるのか。

「『威嚇』として人的被害が少なく、かつロシアの領土に放射能の影響が及びにくい地方の原野などに、広島原爆の3分の1程度の威力を持った核ミサイルを落とす可能性があります。首都・キーウとオデーサを結んだ直線から東に離れたウクライナ中央部が着弾地点になると思います」(軍事評論家の高部正樹氏)

プーチンは原発を使った「核攻撃」を行う怖れもある。特殊部隊などの手で故意に事故を発生させ、放射能をバラまくのだ。標的になるのは南ウクライナ原発だろう。

現在ロシアが実効支配している地域にあるザポリージャ原発とちがって、ここならば、支配地域や周辺国の汚染は最小限となる。国際社会からの反発は必至だが、ロシアは「偶発的な事故」としてシラを切るだろう。いずれにしても、南部で攻勢を仕掛けようとしているウクライナ軍に対して強烈な牽制となる。
2023.06.12 12:10 | 固定リンク | 戦争
プリゴジン氏「ロシアの乗っ取り画策」司令官を拘束
2023.06.11



プリゴジン氏に政治野心か 「総動員」「死刑」訴え地方行脚―ロシアの乗っ取りを画策 ワグネルがロシア軍旅団司令官を拘束

 ロシアの民間軍事会社ワグネルによるウクライナ東部ドネツク州バフムトの「完全制圧」宣言後、帰国した創設者プリゴジン氏が地方行脚を始め、連日のように記者会見を開いている。「プーチン大統領のシェフ」の異名を取るプリゴジン氏を巡っては、「政治的野心」があるのではないかとの見方が強まっている。

■非武装化にロシア失敗と主張

 ロシアの民間軍事会社ワグネルの創設者プリゴジン氏は、ロシアはウクライナ侵攻で目標とした「非武装化」に失敗し、ウクライナ軍は今や「世界最強の軍隊」の一つになったと述べた。政治学者がインタビュー動画を23日に公開した。保守派の一人として、長期戦を見据えて国内の楽観論を戒めたとみられる。

 ワグネル戦闘員は5月25日にバフムトから撤退を開始した。独立系メディアによると、これと並行してプリゴジン氏は30、31の両日、中部エカテリンブルクや極東ウラジオストク、シベリアのノボシビルスクを回って記者会見を開いた。

 同氏は、ロシア軍のウクライナ侵攻について「東部ドンバス地方解放に2年、首都キーウ(キエフ)到達に3~4年かかる」と長期化を予想。その上で「総動員令の早期発出」「(凍結中の)死刑執行の復活」「計画経済の導入」などが喫緊の課題だと訴えた。

 特に死刑に関し「戦時の犯罪には厳罰が必要だ」「(これに極刑を科したソ連の独裁者)スターリンは正しかった」と持論を展開。バフムトで元受刑者を含むワグネル戦闘員約2万人が戦死したと明らかにしたプリゴジン氏は、人命軽視の姿勢を問題視されており、総動員の主張は批判を集めそうだ。
 ただ、主戦論を掲げる保守派の一部から支持されており、プリゴジン氏はSNSによる過激な内容の情報発信を通じ、影響力の保持を試みている。政権に従順な左派政党「公正ロシア」の乗っ取りを画策中と伝えられたこともある。

 プリゴジン氏は、自身の地方行脚について「政治のキャリア始動と見なしてはならない」「大統領選出馬はない」と説明。一方で「ワグネルの第2戦線」と銘打った新たな活動を示唆し、政治的野心が警戒されている。

■「逃げたのはワグネル(偽情報)」 ロ軍抵抗―ウクライナ軍の現場指揮官

 ウクライナ軍の現場指揮官は、東部ドネツク州の激戦地バフムトで反転攻勢に出たことを認めた上で、ロシアの民間軍事会社ワグネルの戦闘員らが真っ先に逃げ出したと明らかにした。米CNNテレビが12日、インタビューを伝えた。ロシア軍は抵抗したという。

 ワグネル創設者でロシア国防省と対立するプリゴジン氏は最近、弾薬不足が解消されないと主張。ワグネルを側面支援するロシア軍が「配置転換」名目で逃亡していると告発していた。指揮官の証言が事実とすれば、これらの発言が「偽情報」だった可能性がある。

■ワグネル深刻な武器不足「制圧されない」―ウクライナ軍指揮官

 バフムトは、プリゴジン氏らが「実質的に包囲した」と主張したまま制圧されていない。深刻な武器不足が停滞の背景として指摘される。

 ロイター通信によると、プリゴジン氏は通信アプリ「テレグラム」に動画を投稿し「(武器不足の)理由を探そう。よくある官僚主義なのか(軍や政府のワグネルへの)裏切りなのか」と不満を口にした。「ワグネルが今、バフムトから退却したら全ての前線が崩壊する。(その結果)ロシアの国益を守る全編隊にとって状況は一層悪くなる」と警告。戦線維持には、ワグネルへの武器の供給が不可欠だと訴えた。

 プリゴジン氏は、これまでにもしばしば正規軍や国防省を批判し、軍や政界との不協和音は、足踏みを続ける侵攻の舞台裏をのぞかせてきた。

 交通の要衝バフムトは、ドネツク州北部掌握の足掛かりとなる。ロシアの部隊が犠牲を顧みない猛攻を繰り返している。守勢のウクライナ側は、地元部隊司令官が状況を「地獄のようだ」と表現した。撤退命令は出ていない。「防衛は続いている」と主張している。

 ヨルダンを訪問したオースティン米国防長官は6日、今後の展開は見通せないと述べつつ「戦略的と言うよりも象徴的な意味が大きい」とバフムト攻略の意味を読み解いた。ただ「バフムト陥落がロシア軍の次の攻勢につながるとは必ずしも言えない」と語り、甚大な犠牲を出し続けるロシアの戦術への評価は低い。

 一方、米シンクタンク戦争研究所は5日の戦況評価で「ウクライナの部隊が(バフムトを南北に流れる)バフムト川の東側堤防の陣地から退く動きがある」と分析した。ただ「限定的な戦術上の撤退」とみられ、完全撤退の意図があるか判断は時期尚早と指摘していた。

■ロシアの第1防衛線を突破―英国防省は10日

 英国防省は10日、ロシアの侵攻を受けるウクライナ軍が過去48時間に、同国の東部と南部で大規模な作戦を実施したとの分析を公表した。「いくつかの地域では前進し、ロシアの第1防衛線を突破した可能性が高い」とした。

 ゼレンスキー大統領はロシアに対する反転攻勢が始まっていることを認めており、戦況は新たな局面を迎えている。

 ウクライナメディアによると、ウクライナ軍東部方面部隊の報道官は10日、東部ドネツク州の激戦地バフムト周辺で「1日に最大1400メートル前進できた」と述べた。

 英国防省の分析によると、ロシア側は自軍が設置した地雷原を通って撤退し、犠牲者を出している部隊もある。

■ウ軍が反攻開始「プーチン`ヒトラーと同じ轍」

 ウクライナ軍「バフムート方面で支配的な高台を占領」

 ウクライナのハンナ・マリャル国防次官は5日、メッセンジャーアプリのテレグラムチャンネルで「いくつかの地域で攻撃的な行動に移行している。(東部ドネツク州の激戦地)バフムート方面は依然として敵対行為の震源地だ。そこでかなり広範囲に行動し、前進している。支配的な高台を占領している」と述べた。

 マリャル国防次官はさらにこう明らかにした。

 「敵は防御に徹し、陣地を保持しようとしている。南部で敵は守勢に回っている。局地戦が続いている。ロシアが積極的に反攻の情報を流している理由はバフムート方面での敗北から注意をそらす必要があるからだ。ホルティツィア作戦戦略グループは東部戦線で攻撃行動を展開している」

 「敵の激しい抵抗と陣地防御の試みにもかかわらず、わが部隊はいくつかの地域で前進している。バフムート方面の2カ所でそれぞれ200~1600メートル、100~700メートル進んだ。戦闘は続いている」

 ウクライナ軍は、バフムートを制圧したロシア軍を逆に包囲しようとしていると一部のアナリストは解説する。

 ウクライナ地上軍のオレクサンドル・シルスキー司令官のテレグラムチャンネルによると、突撃旅団の戦車が敵陣を破壊し、部隊が小さな森林地帯を前進している。戦闘の規模については言及を避けているものの、バフムートに向かって「われわれは前進を続けている」という。ここ数日、ウクライナ軍はバフムート周辺で前進するため限定的な努力を続けていた。

■口論の末、ワグネルがロシア軍旅団司令官を拘束

 これに先立ち、ロシア国防省はテレグラムチャンネルで「4日朝、敵は戦略予備軍から第23、31機械化旅団を投入し、他の部隊の支援を受けてドネツク方面の5つの前線で大規模な攻勢を開始した。わが軍は敵の機械化大隊6個と戦車大隊2個と交戦し、撃退した。ウクライナ軍の損失は250人以上の兵員、戦車16両、歩兵戦闘車3両、装甲戦闘車21両」と発表した。

 ロシア国防省によると、ドネツク州と南部ザポリージャ州でロシア軍は積極的な行動、空爆、砲撃を行い、ウクライナ軍に損失を与えた。合計して最大300人のウクライナ兵と戦車16両、装甲戦闘車両26両、車両14両を破壊したという。

 ウクライナの反プーチン準軍事組織も引き続きウクライナと国境を接するベルゴロド州への越境攻撃を試みたが、撃退したと発表した。

 ウクライナ南部のロシア軍占領地域にある巨大ダム、カホフカダムが破壊され、洪水のような水が放出された。数千人が避難した。ウクライナ軍と北大西洋条約機構(NATO)はロシア軍が破壊したと非難している。

 一方、英国防情報部は6日のツイートで「この48時間、数カ月間にわたって比較的静かだった場所も含め戦線の多くの区間で戦闘が大幅に増加している。同時にロシアの民間軍事会社ワグネル・グループとロシア国防総省の間の確執は前例のないレベルに達している」と指摘している。

 「ワグネル創設者エフゲニー・プリゴジンは初めてロシア軍がワグネルに対し意図的な殺傷力を行使したと主張した。口論になり、ワグネルはロシア軍旅団司令官を拘束したとみられる。ワグネルの大半はバフムートから撤退。ロシア軍は予備部隊が不足している。ワグネルが国防省にどの程度対応し続けるかが、今後数週間の紛争における重要な要素となる」

■反攻を控え、沈黙を呼びかけていたウクライナ軍

 反攻準備が整ったウクライナ軍は4日、沈黙を呼びかけた。いくつかの前線で戦闘が激化しているのは確実だ。米政府関係者も米紙ニューヨーク・タイムズに、攻撃の急増はウクライナ軍が長い間計画していたロシア軍に対する反攻が始まったことを示す可能性があると述べている。

 反攻はついに始まったのか。ウクライナ軍関係者は筆者にこんな見方を示す。

 「露ベルゴロド州への作戦とザポリージャ州への小規模な陽動作戦の組み合わせは反攻を前に敵の居場所と出方を探る行動の一部だ。ウクライナ陸軍はロシアの空軍と地上軍が軽部隊や即応部隊、本格的な戦闘集団を使ってどのように反応するかを確認したいのだ」

 ロシア軍は塹壕に身を潜めているため、偵察衛星やドローンだけではどこにいるかはっきりしない。

 「ロシア軍はウクライナ軍の全面的な反攻に備えて、防御部隊を分散させないようベルゴロド州の防御を放棄したいようだ。ナチスドイツのアドルフ・ヒトラーがD-デイ(ノルマンディー上陸作戦)でパンツァー戦車部隊の配置を間違えたことがドイツの防衛戦略を台無しにした。ウラジーミル・プーチン露大統領も同じ間違いを犯すかもしれない」

 「ロシア軍はウクライナ軍の反攻を防ぐため、塹壕、対戦車溝、竜の歯の3層の防御帯を頼りにしている。ウクライナ軍が防御帯で立ち往生したり失速したりすると、ロシアの多連装ロケット砲や榴弾砲の攻撃を受ける恐れがある。ロシア軍の大砲はウクライナ軍を8-10対1で圧倒している。一方、ロシア軍の戦車部隊は現在、ほとんどなきに等しい」

■攻防のカギを握る戦車部隊

 「ロシア軍は大砲と戦術航空(ヘリコプターや戦闘爆撃機)で戦うことになる。このためウクライナ軍は機甲師団による電撃戦と突破が必要だ。ウクライナ軍はロシア軍の防御が強固なポイントを迂回し、クリミア半島とロシア本土を結ぶ“陸の回廊”を分断するためアゾフ海とクリミア半島との境に到達する必要がある」とこのウクライナ軍関係者は言う。

 「ウクライナ軍の予備兵力は3~5旅団(1旅団の兵員4000人)で、これらは装甲兵と機械化歩兵の予備兵力である。昨年秋、北東部ハルキウで起きたことを思い出す必要がある。ロシア軍が再集結して動員された時にはウクライナ軍はすでに防御帯を突き破っていた。6週間だ。時間が経てばすべてが分かるだろう」

 2月の英シンクタンク「国際戦略研究所(IISS)」の報告では、ロシア軍はウクライナに侵攻して以来、T-72B3やT-72B3Mを含む近代戦車部隊の少なくとも半分を失った。損失は1700両以上とされる。

 戦場の空白を埋めるため古い戦車を倉庫から引っ張り出している。今年、モスクワでの軍事パレードに参加した戦車は第二次大戦時のソ連製T-34型1両のみだった。

 IISSのヘンリー・ボイド研究員は「実際の数字はそれよりも20~40%高いのではないか。2000~2300両が失われた可能性がある」と指摘している。ウクライナ軍も戦車を失ったが、ロシア軍が戦場に放置した戦車を奪取、ドイツや英国などからレオパルト2やチャレンジャー2など約300両の主力戦車を受け取り、補強してきた。

■ヒトラーがD-デイで犯した間違い

 米軍関係者や家族のためのサイト「ミリタリー・ドット・コム」で戦史家ジョセフ・V・ミカレフ氏が、ヒトラーがD-デイで犯した間違いについて解説している。

 「問題はパンツァー戦車部隊の配置が違っていたら、ドイツ軍はノルマンディーへの連合軍の上陸をうまく撃退し、D-デイの結果に影響を与えたかどうかだ」という。ミカレフ氏によると――。

 パンツァー戦車部隊の作戦展開にはヒトラーの確認が必要であった。名将エルヴィン・ロンメルは、上陸はカレーとブローニュ・シュル・メールの間で行われる可能性が最も高いと考えていた。セーヌ川を挟んでノルマンディーの北側である。セーヌ川は河口のデルタが大きく、湿地帯が広がる。セーヌ川にかかる橋のいくつかはパンツァーの重量に耐えられない。

 北アフリカで連合軍と戦った経験から、ロンメルは連合軍の航空機が後方地域から前線へのパンツァー戦車部隊の移動を妨げると考えた。フランス沿岸部は湿地帯と丘陵地、森林地帯が組み合わさり、臨機応変に機甲部隊を集結させるのは容易ではない。ロンメルはコンクリート製のトーチカと圧倒的な火力で海岸線での撃破を唱えた。

 勝負の分かれ目は戦場にある9個師団のパンツァー戦車部隊と1個師団の機械化部隊にかかっていた。ロンメルは、歩兵を支援するパンツァー戦車部隊を、連合軍の弱点を突き、ドイツ軍の戦線の穴を塞ぐために展開する局所戦術部隊として海岸沿いに配置したいとヒトラーに直訴した。

 ヒトラーはロンメルの言い分を半分だけ取り入れ、パンツァー戦車部隊を二分した。ロンメルに与えられた3個師団のうちノルマンディーに配置されたのは1個だけだった。2個師団はセーヌ川以北に配置された。

■電撃戦の成否は先行する欺瞞作戦にかかっている

 ドイツは約1400両の戦車を保有していたが、連合軍の侵攻から48時間以内に行動を起こしたのは400両未満であった。ロンメルは上陸地点が判明する前にパンツァー戦車部隊を展開したことで、重要な時間帯に事実上、戦力外としてしまったとミカレフ氏は結論付けている。

 しかし、その裏には名将ロンメルをして上陸地点の判断を誤らせた連合軍の巧みな欺瞞作戦「フォーティテュード作戦」があった。

 ウクライナ軍はモスクワへのドローン攻撃や露ベルゴロド州への越境攻撃を仕掛け、バフムート包囲戦の開始でプーチンの面子を傷つけ、混乱に陥れている。機甲師団による電撃戦の成否は、先行する欺瞞作戦の出来にかかっている。

2023.06.11 10:30 | 固定リンク | 戦争
「黄金の小惑星」探査機、10月打ち上げ
2023.06.10



2023年10月は宇宙ファンにとって、なかなかの月になりそうだ。北米で驚異の「金環食」が見られるだけでなく、金属に富む小惑星プシケの探査機打ち上げも実施される予定だ。

プシケを英語読みした「サイキ」と名付けられたこの探査機は当初、2022年9月に打ち上げ予定だったが、開発とフライト・ソフトウエア試験の遅れにより延期された。米航空宇宙局(NASA)の元幹部A・トーマス・ヤングが率いる独立審査委員会による2022年11月の報告書では、NASAジェット推進研究所(JPL)の組織上の問題も打ち上げ延期の一因になったことが指摘された。

■打ち上げに青信号

しかし同じ委員会からこのたび、朗報が届いた。同ミッションが問題を修正し、打ち上げのめどがたったとのことだ。

同委員会は最新レポートで、「JPL組織全体とカリフォルニア工科大学の成果にはとても感心した」と説明。「JPLのディレクター、上級幹部らによる包括的対応は『ワールドクラス』と言える」とたたえた。

■プシケの謎

火星と木星の間にある小惑星帯に位置するプシケは、直径226kmで縦方向に自転している。その反射状態から見て、大部分が鉄、ニッケルあるいは金で構成されているとみられる。大きな衝突によって惑星のコアが宇宙に飛び出して生まれた珍しい天体だと考えられている。

プシケの価値を計算すると、1000京ドルに達するかもしれないとまで言われている。これは2023年の世界の国内総生産(GDP)の合計約105兆ドルを遥かに上回る額だ。

■打ち上げ計画

サイキは、2023年10月5~25日の間にフロリダ州ケネディ宇宙センターの39A発射施設からSpaceX(スペースX)のロケット「Falcon Heavy(ファルコン・ヘビー)」で打ち上げられ、火星近傍をフライバイ(接近通過)することでその重力から推進力を得て、2029年8月にプシケに到着する予定だ。その後26カ月間軌道を周回し、さまざまな高度から観測を行う。

現在ケネディ宇宙センター近くのAstrotech Space Operations Facilityに保管されているサイキは、今月中に最終組立て、試験、および打ち上げに向けた作業を開始する。
2023.06.10 20:27 | 固定リンク | 化学
ロシア「ダム破壊狂気の沙汰」世界へ震撼
2023.06.09

狂気のプーチン〟ロシア、別の巨大ダムも標的か!? 決壊したウクライナのダム以外も…「もっと爆破するよう指示している」衝撃の計画報道 「ダム破壊狂気の沙汰」世界へ震撼

ウクライナ南部ヘルソン州で6日に発生したカホフカ水力発電所の巨大ダム決壊をめぐっては、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領率いるウクライナと、ウラジーミル・プーチン大統領のロシアが、相手の破壊工作だと非難し合っている。こうしたなか、ロシアが別のダムを狙っているという衝撃情報が報じられた。ICC(国際刑事裁判所)による捜査打診の動きや、国際調査委員会設置を提案する動きも出ている。

「(ロシア側は)ドニプロ川のダムをもっと爆破するよう指示している」

ウクライナ国防相顧問のユーリ・サク氏は、英BBCラジオ4の番組で、傍受した電話の内容をこう明かした。決壊したダム以外も、標的になっている可能性があるようだ。

ダムが決壊した原因はいまだに判然としていないが、西側諸国ではロシアの責任を追及する声が高まっている。

6日に開かれた国連安全保障理事会の会合では、日本や欧米が、ロシアのウクライナ侵攻がダム決壊につながったと批判し、ロシア軍の撤退を改めて要求した。英国のカリウキ国連次席大使はロシアが民間施設への攻撃を繰り返してきたと前置きし「ダム決壊の責任が証明されれば、品位の低さを新たに示すことになる」と強く非難した。

これに対し、ロシア大統領府によると、プーチン氏は、ウクライナが西側の支援を受け、ロシア領内で破壊工作を行っていると強調。ダム破壊は「野蛮な行為の明白な例だ」と非難したという。

決壊原因の調査をめぐり、国際社会の関与を求める動きも出ている。

ロイター通信によると、ゼレンスキー氏は定例のビデオ演説で、同国の検察当局がダム破壊の捜査に国際司法を関与させるようICCの検察官に打診していると明らかにした。トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は7日、ゼレンスキー氏、プーチン氏とそれぞれ電話会談し、ダム決壊に関する国際調査委員会の設置を提案した。

一方、ダム決壊に伴う被害は甚大なものになるとの見方が出ている。

ウクライナの検察庁幹部は6日、ダム下流域の約80カ所の都市や集落が洪水被害に遭う恐れがあり、4万人超の避難が必要とする推計を明らかにした。州都ヘルソンでは残された人がいるもようだが、被害の全容は不明。米国家安全保障会議(NSC)のジョン・カービー戦略広報調整官は6日、「死者が多数に上る可能性がある」と述べた。
2023.06.09 11:31 | 固定リンク | 戦争

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