新型ロケット「H3」初号機「2000億円」以上
2023.06.05
新型ロケット「H3」初号機の打ち上げ失敗、さらに新型のメインエンジンで想定外の振動が確認されるなど開発が難航した結果、初号機の打ち上げは、当初の2020年度から2度延期され、開発費用は2000億円を超えてしまった。2023年3月7日。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2023年3月7日、同日午前に発生した新型ロケット「H3」初号機の打ち上げ失敗について記者会見を開いた。第2段エンジン「LE-5B-3」が着火しなかったことは確実と表明。今後は、着火しなかった原因を調査する。エンジン点火機構や点火機構を制御する制御系、制御系に点火信号を送る機体アビオニクス(電子機器類)と、点火に至るまでの信号の流れをさかのぼって事故原因を探る。

JAXA理事長の山川宏氏は会見で、「原因究明を通じて信頼を回復していく。信頼の回復にはどれだけ早く失敗に対応できるかと、その内容について透明性を持って示せるかにかかっている。それが海外ユーザーの信頼性を確保していくためには大変重要と考えている」と述べ、早期の原因究明・対策と打ち上げ再開を目指す姿勢を見せた。

 文部科学省官房審議官のの原克彦氏も「一刻も早く原因を究明したい」と、早期原因究明を支援する考えを明らかにした。

 JAXAは山川理事長を長とする対策本部を設置し、原因調査を開始する。

エンジン不着火の2段と衛星は、フィリピン東方沖合に落下2023年3月7日夕刻の時点で判明している事実は以下の通りだ。

[1]打ち上げ後304秒の第1段と第2段の分離までは、計画通り正常に飛行した。
[2]打ち上げ後316秒に予定していた第2段エンジン「LE-5B-3」が着火しなかった。打ち上げ中にエンジンなどから取得できた複数のテレメトリーデータから着火しなかったことは確実。「今はエンジンが着火しなかったという事実しか分からない」(JAXA理事の布野泰広氏)。
[3]そのまま飛行を続けてもペイロード(積載物)の地球観測衛星「だいち3号」を所定の軌道に投入する望みがないとして、打ち上げ後835秒の午前10時51分50秒に、破壊指令コマンドを送信した。
[4]第2段および衛星は、分離された第1段と共に、フィリピン東方海上に落下したものと推定される。エンジンが着火しなかったことから弾道飛行で第1段の落下海域に落ちたことは確実。

 1999年11月に発生した「H-II」ロケット8号機の打ち上げ失敗では海中に没した第1段エンジン「LE-7」を引き揚げ回収して原因を究明した。この時はLE-7のインデューサーという部品が運転途中で破損したために打ち上げが失敗したと分かっている。布野理事は「(今回はそもそもエンジンが着火していないので)現時点では、H3第2段の回収は考えていない」と回収に否定的な考えを示した。
2023.06.05 20:43 | 固定リンク | 化学
ガーシー元議員「強制送還」で逮捕
2023.06.05
ガーシー元参議院議員を逮捕 著名人を脅迫した疑いなど 警視庁 「UAEが強制送還」


動画投稿サイトで著名人らを繰り返し脅迫した疑いなどで逮捕状が出ている、ガーシー元参議院議員が、4日、滞在先のUAE=アラブ首長国連邦から帰国し、暴力行為等処罰法違反などの疑いで警視庁に逮捕されました。

警視庁は、動画配信の詳しいいきさつについて、元議員を取り調べることにしています。

逮捕されたのは、元参議院議員のガーシー、本名・東谷義和容疑者(51)です。

捜査関係者によりますと、去年、動画投稿サイトで、著名人や実業家を繰り返し脅迫したり中傷したりしたなどとして、暴力行為等処罰法違反の常習的脅迫などの疑いが持たれています。

元議員をめぐっては、ことし4月にパスポートは失効していましたが、その後もUAE=アラブ首長国連邦に滞在しているとみられていました。

警視庁が、ICPO=国際刑事警察機構を通じて国際手配するとともに、先月、現地に捜査員を派遣し、現地当局に元議員の早期の帰国に向けて働きかけていたということです。

元議員は4日夕方、飛行機で成田空港に帰国したところを警視庁に逮捕されました。

警視庁は、動画配信の詳しいいきさつについて取り調べることにしています。

■ガーシー元議員 空港では

ガーシー元議員は青色の半袖Tシャツに白い短いズボン姿で、大勢の捜査員に囲まれて空港をゆっくりと無言のまま歩いていました。

この際、集まった報道陣に目を向け、時折笑みを浮かべることもありました。

またガーシー元議員は午後6時ごろ、捜査員に囲まれて成田空港の地下駐車場に姿を見せました。

まっすぐ前を向いて歩き、報道陣に軽く頭を下げたあと、待機していた警察の車両に乗り込んで、空港をあとにしました。

■「動画配信は事実」ガーシー容疑者、接見弁護士に捜査協力の意思

接見した弁護士に「動画を配信したことは事実なので、やったことはやったということで(捜査に)協力する」という趣旨の説明をしていたことが判明した。弁護士が接見後、インターネットのライブ配信で明らかにした。

高橋弁護士は配信で、ガーシー容疑者は帰国したことについて「すっきりした気持ちとほっとした気持ちが強い」と穏やかな表情で話していたと説明した。「自分で空港に向かい、自主的に帰国した。無理やり帰国させられたわけではない」と強調し、移送時などに笑みを浮かべていたことは「マスコミがたくさんいたから」と話したという。

一方、容疑についてガーシー氏は「配信した事実関係については客観的証拠もあるので、(捜査に)協力姿勢でいく」と説明したという。

捜査関係者によると、今回の帰国は「(ガーシー容疑者の)自主的な帰国ではない」としており、UAEがガーシー容疑者を国外へ退去させたとみられる。

■刑事告訴していた実業家の1人「事実を話して」

ガーシー元議員が逮捕されたことについて、刑事告訴していた実業家の1人は「取り調べに素直に応じ、事実を話してもらいたいと思います。私に関する配信内容が事実無根であったことが一日も早く明らかになることを希望します」というコメントを出しました。

■政女の前身のN党立花氏「帰国するにはそれなりの理由が」

政治家女子48党の前身のNHK党の党首として、去年の参議院選挙にガーシー氏を擁立した立花孝志氏は、4日午後3時から記者会見を行いました。

この中で、立花氏は「驚いたというのが正直な感想だが、帰国するのにはそれなりの理由があるのだろう。ガーシー氏がやったことのすべてが正しいとは思っていないが、言っていることの中には正しいこともあり、党として全力でサポートしていく」と述べました

■ガーシー元議員の実家 警視庁が捜索 外務省が旅券返納命令も

動画投稿サイトで著名人らを繰り返し脅迫した疑いなどで逮捕状が出ているガーシー元参議院議員について、警視庁は詳しいいきさつなどを調べるため、3月24日朝から兵庫県にある実家を関係先として捜索しました。

国会への欠席を続け除名された元参議院議員のガーシー、本名・東谷義和容疑者(51)は去年2月から8月にかけて動画投稿サイトで著名人や実業家を繰り返し脅迫したり中傷したりした疑いがあり、警視庁は先週、暴力行為等処罰法違反の常習的脅迫などの疑いで逮捕状を取りました。

ガーシー元議員はUAE=アラブ首長国連邦に滞在しているとみられていて、警視庁は、詳しいいきさつなどを調べるため、24日朝から、兵庫県伊丹市にある実家を捜索しました。

この事件で警視庁は、一部の動画制作や編集に関わったとして元議員の知人の会社経営者の逮捕状も取っていて、複数の人物が動画配信に関与していたとみて引き続き捜査を進めています。

警視庁は、元議員が帰国する可能性は低いとみて、今後、警察庁を通じてICPO=国際刑事警察機構に申請し、国際手配する方針だった。
2023.06.05 08:25 | 固定リンク | 事件/事故
天安門事件で中国に変化が
2023.06.05
中国 天安門事件から34年 政府への批判は徹底的に抑え込まれる

中国の首都 北京で民主化を求める学生らの運動が武力で鎮圧され、大勢の死傷者が出た天安門事件から、6月4日で34年になりました。
習近平国家主席への権力の集中が進む中、情報統制が強化され、共産党や政府への批判は徹底的に抑え込まれています。

34年前の1989年6月4日に起きた天安門事件では、民主化を求めて北京の天安門広場やその周辺に集まっていた学生や市民に対して軍が発砲するなどして鎮圧し、大勢の死傷者が出ました。

中国共産党や政府は、事件を「動乱」と結論づけて、当時の対応は正しかったとする立場を変えておらず、情報統制が年々強化される中、事件を公に語ることはタブー視されています。

天安門広場やその周辺には4日朝、多くの観光客が訪れる一方で、大勢の警察官が配置され、犠牲者を追悼する動きなどを警戒して厳重な警備態勢が敷かれていました。

習近平国家主席が異例の3期目に入り、権力の集中が進む中、事件の真相究明や責任追及を求める声は封じ込められ、共産党や政府への批判は徹底的に抑え込まれています。

■遺族でつくるグループ「天安門の母」が書簡を公開

天安門事件で家族を亡くした遺族は「天安門の母」というグループをつくり、中国政府や指導者に宛てた書簡を公開するなどして真相究明や謝罪を求め続けています。

ことしも天安門事件が起きた6月4日を前に、遺族116人が連名でインターネット上に書簡を公開しました。

書簡では「34年がたったが、一夜にして突然、家族を失った苦しみは、悪夢のように心の底に永遠にまとわりついて離れない」として、今も苦しむ遺族の心情を表しています。

そのうえで「政府は事件をコントロールし、残酷な事実の記憶を人々の心から消し去ろうとしている」として、事件の風化を懸念しています。

そして、「希望は見えないが私たちは諦めない。人間としての尊厳を守り、犠牲者たちの正義のために政府がすべての遺族に謝罪し、当時の悲劇について国民にざんげすることを待ち望む」と、中国政府を非難しています。

しかし、この書簡は情報統制が厳しい中国では閲覧が制限されて、多くの人が見ることはできません。

事件から34年たち、遺族が高齢化し、亡くなる人が相次いでいて、書簡では、この1年で新型コロナウイルスなどで7人が亡くなったことを明らかにしています。

■遺族「34年間沈黙してきた政府を受け入れることはできない」

「天安門の母」の中心メンバーの1人で、夫を亡くした尤維潔さん(69)は、「この時期になると、愛する家族が殺された当時の情景が頭に浮かび、必ず気持ちが沈んでくる。天安門事件は政府が軍隊を使って国民を銃殺した犯罪であり、34年間も沈黙してきた政府を受け入れることはできない」と話していました。

尤さんは、中国国内で情報統制が年々強化されるとともに、遺族が高齢化し、亡くなる人が相次いでいることを踏まえ、「政府が天安門事件をタブーにしたので、事件を知っている親の世代が話さなければ、若者たちには分からない。みんなが伝えないなら、若い世代は少しずつ忘れていくだろう」と述べ、事件が風化することを心配していました。

また、香港で3年前から天安門事件の犠牲者を悼み、中国の民主化を訴える大規模な集会が開かれなくなったことについては、「追悼集会は中国の人たちに天安門事件を理解してもらう窓口だったが、政府によって禁止された。香港メディアも報道を禁止された。香港政府のやり方はとても残念だし、天安門事件は決して忘れてはならず、非難されなければならない」と訴えていました。

こうした一方で、海外では今も支援の動きが続いていることについて、尤さんは「日本を含む世界各地で毎年この時期に天安門事件の犠牲者を追悼してくれることに感謝している」と話していました。

■中国外務省「中国政府は明確な結論出している」

天安門事件からことしで34年になるのを前に、中国外務省の毛寧報道官は、2日の記者会見で「1980年代末に起きた政治的な騒ぎについて、中国政府はとっくに明確な結論を出している」と述べ、事件の評価を見直す必要はないという立場を強調しました。

そのうえで、世界各地で事件を追悼する活動が行われることについて、「事件を口実に中国を中傷し、内政に干渉するいかなるたくらみも、思いどおりにならないだろう」と述べ、反発しました。

■遺族が墓参りの墓地も警察官や警備員が厳戒態勢

天安門事件で家族を亡くした遺族のグループ「天安門の母」の中心メンバーの1人で、夫を亡くした尤維潔さん(69)などが毎年墓参りに訪れている北京郊外の墓地でも、4日の朝から大勢の警察官や警備員が厳戒態勢を敷いていました。

記者が取材のため墓地を訪れると、警察官に制止されてすぐに立ち去るよう求められ、敷地への立ち入りは一切認められませんでした。

天安門事件から34年が過ぎても、中国政府は遺族や報道関係者の動きに神経をとがらせています。

■香港の公園 追悼の動きなく 親中派団体のイベント開催

天安門事件が起きた6月4日に長年追悼集会が開かれてきた香港の公園では、当局によって追悼の動きが徹底的に抑え込まれる中、ことしは、親中派の団体によって中国各地の特産品を販売するイベントが行われ、大きく様変わりしています。

一国二制度のもと言論や集会の自由が認められてきた香港では、市民団体がおよそ30年間、毎年6月4日に香港中心部の公園で追悼集会を開き、ろうそくをともして犠牲者を悼むとともに、中国政府に事件の真相究明を求めてきました。

しかし、2020年と2021年はコロナ対策を理由に当局は集会の開催を許可しなかったほか、追悼集会を主催していた市民団体の幹部らが、反政府的な動きを取り締まる香港国家安全維持法違反などで相次いで起訴され、団体はおととし解散に追い込まれました。

追悼集会が開かれてきた公園では4日、親中派の団体が中国返還26周年を祝うイベントを開催し、中国各地の料理など特産品を販売するブースが設けられていて、多くの人が訪れていました。

香港メディアによりますと、警察はおよそ6000人を動員して公園周辺などの警戒にあたり、3日に4人を逮捕するなど、追悼の動きを徹底的に抑え込んでいます。

■中国でNHKの放送 天安門事件のニュースの際に一時中断

中国ではNHKの海外向けテレビ放送で日本時間の4日午後1時すぎ、天安門事件に関するニュースを伝えた際に、カラーバーとともに「信号の異常」などと表示され、放送が一時中断されました。

中国では、国内で放送される外国のテレビ局の放送内容も当局に監視されていて、中国政府や共産党にとって都合の悪い内容はたびたび中断されます。

中国当局が天安門事件に関する外国メディアの報道に神経をとがらせていることがうかがえます。

■天安門事件から34年を前に ニューヨークに記念館が開館

中国の北京で民主化を求める学生らの運動が武力で鎮圧され、大勢の死傷者が出た天安門事件から34年になるのを前に、事件の資料を集めた記念館が2日、アメリカ・ニューヨークで開館しました。

この記念館は、1989年6月4日に起きた天安門事件で、当時の学生リーダーの1人でアメリカに亡命した王丹氏らが募金を募りニューヨーク・マンハッタンのビルの中に設立しました。

記念館は、これまで香港で民主派の市民団体が運営してきましたが、政府による統制が強まる中、おととし香港の警察の捜索を受けるなどして閉館していました。

開館を記念する式典が2日行われ、王氏は「現在も政権によって人々が脅かされている。事件で犠牲になった人々を追悼し、当時の中国人の民主化の夢を思い返すべきだ」と述べ、事件を風化させないことが必要だと訴えました。

香港の記念館で展示されていた品々のほとんどが当局に押収されたため、ここには関係者から新たに寄せられた血に染まったシャツや当時の新聞記事などが展示されています。

この日は、当時の学生運動のリーダーや事件の関係者などが招待され、長年、中国の人権問題に取り組んできたという弁護士の男性は「これは単なる記憶ではなく未来に関わることで、ニューヨークに記念館ができたことには大きな意味がある」と話していました。
2023.06.05 08:12 | 固定リンク | 事件/事故

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