両手両足を縛られ「女性殺害」
2023.06.07
両手両足を縛られた状態 福岡・水巻の女性殺害事件

5日、福岡県水巻町のアパートの部屋で女性が殺害されているのが見つかった事件で、捜査関係者によりますと女性は両手両足を縛られた状態で居間のテーブルの下に上半身が隠れるようにして死亡していたということで警察は殺害された状況やいきさつを詳しく調べています。

5日の夜、福岡県水巻町二東のアパートの部屋で、ここに1人で住むパート従業員の辻つぐみさん(52)が死亡しているのが見つかり警察は殺人事件として捜査しています。

捜査関係者によりますと女性は居間で倒れているのが見つかった際、両手両足を縛られた状態で居間のテーブルの下に上半身が隠れるようにして死亡していたことです。

また、警察が遺体を調べたところ女性は今月2日から3日にかけて死亡したとみられ、死因は首を圧迫されたことによる窒息死だったことがわかっていますが、捜査関係者によりますと、体にはほかにもすり傷やあざなど、争ったような痕跡があったということです。

女性が倒れているのを見つけ警察に通報したという近所に住む男性は「室内は、散らかった状態であさられたような感じだった。優しい真面目な人でトラブルがあるような人ではなかった」などと話しています。

事件の前に女性から警察に対してトラブルなどの相談はなかったということで警察は殺害された状況やいきさつを詳しく調べています。

 県警によると、死因は首を圧迫されたことによる窒息だった。2~3日ごろ殺害されたとみられる。遺体発見時、玄関は施錠されていなかった。これまで辻さんが周囲とトラブルを抱えていたとの情報はない。県警は殺人事件として折尾署に捜査本部を設置した。

■アパートに女性の遺体、福岡 無施錠、事件視野に捜査

 5日午後8時半ごろ、福岡県水巻町のアパートの一室で、警察官が女性の遺体を見つけた。折尾署によると、この部屋に1人で暮らす50代の女性とみられる。玄関は無施錠で、現場の状況から事件に巻き込まれた可能性もあるとみて捜査している。署が6日、発表した。

 部屋の中を見た近くの住民によると、引き出しが開いたままで荒らされたような形跡があった。

 署によると、女性は目立った外傷はなく、司法解剖して死因を調べる。2日まで出勤していたが、土日を挟んで5日に出勤しなかった。同日午後4時半ごろ、同僚の男性が「連絡が取れない」と通報した。

 現場はJR東水巻駅から西に約750メートルの住宅街。
2023.06.07 16:20 | 固定リンク | 事件/事故
ガーシー元議員「強制送還」で逮捕
2023.06.05
ガーシー元参議院議員を逮捕 著名人を脅迫した疑いなど 警視庁 「UAEが強制送還」


動画投稿サイトで著名人らを繰り返し脅迫した疑いなどで逮捕状が出ている、ガーシー元参議院議員が、4日、滞在先のUAE=アラブ首長国連邦から帰国し、暴力行為等処罰法違反などの疑いで警視庁に逮捕されました。

警視庁は、動画配信の詳しいいきさつについて、元議員を取り調べることにしています。

逮捕されたのは、元参議院議員のガーシー、本名・東谷義和容疑者(51)です。

捜査関係者によりますと、去年、動画投稿サイトで、著名人や実業家を繰り返し脅迫したり中傷したりしたなどとして、暴力行為等処罰法違反の常習的脅迫などの疑いが持たれています。

元議員をめぐっては、ことし4月にパスポートは失効していましたが、その後もUAE=アラブ首長国連邦に滞在しているとみられていました。

警視庁が、ICPO=国際刑事警察機構を通じて国際手配するとともに、先月、現地に捜査員を派遣し、現地当局に元議員の早期の帰国に向けて働きかけていたということです。

元議員は4日夕方、飛行機で成田空港に帰国したところを警視庁に逮捕されました。

警視庁は、動画配信の詳しいいきさつについて取り調べることにしています。

■ガーシー元議員 空港では

ガーシー元議員は青色の半袖Tシャツに白い短いズボン姿で、大勢の捜査員に囲まれて空港をゆっくりと無言のまま歩いていました。

この際、集まった報道陣に目を向け、時折笑みを浮かべることもありました。

またガーシー元議員は午後6時ごろ、捜査員に囲まれて成田空港の地下駐車場に姿を見せました。

まっすぐ前を向いて歩き、報道陣に軽く頭を下げたあと、待機していた警察の車両に乗り込んで、空港をあとにしました。

■「動画配信は事実」ガーシー容疑者、接見弁護士に捜査協力の意思

接見した弁護士に「動画を配信したことは事実なので、やったことはやったということで(捜査に)協力する」という趣旨の説明をしていたことが判明した。弁護士が接見後、インターネットのライブ配信で明らかにした。

高橋弁護士は配信で、ガーシー容疑者は帰国したことについて「すっきりした気持ちとほっとした気持ちが強い」と穏やかな表情で話していたと説明した。「自分で空港に向かい、自主的に帰国した。無理やり帰国させられたわけではない」と強調し、移送時などに笑みを浮かべていたことは「マスコミがたくさんいたから」と話したという。

一方、容疑についてガーシー氏は「配信した事実関係については客観的証拠もあるので、(捜査に)協力姿勢でいく」と説明したという。

捜査関係者によると、今回の帰国は「(ガーシー容疑者の)自主的な帰国ではない」としており、UAEがガーシー容疑者を国外へ退去させたとみられる。

■刑事告訴していた実業家の1人「事実を話して」

ガーシー元議員が逮捕されたことについて、刑事告訴していた実業家の1人は「取り調べに素直に応じ、事実を話してもらいたいと思います。私に関する配信内容が事実無根であったことが一日も早く明らかになることを希望します」というコメントを出しました。

■政女の前身のN党立花氏「帰国するにはそれなりの理由が」

政治家女子48党の前身のNHK党の党首として、去年の参議院選挙にガーシー氏を擁立した立花孝志氏は、4日午後3時から記者会見を行いました。

この中で、立花氏は「驚いたというのが正直な感想だが、帰国するのにはそれなりの理由があるのだろう。ガーシー氏がやったことのすべてが正しいとは思っていないが、言っていることの中には正しいこともあり、党として全力でサポートしていく」と述べました

■ガーシー元議員の実家 警視庁が捜索 外務省が旅券返納命令も

動画投稿サイトで著名人らを繰り返し脅迫した疑いなどで逮捕状が出ているガーシー元参議院議員について、警視庁は詳しいいきさつなどを調べるため、3月24日朝から兵庫県にある実家を関係先として捜索しました。

国会への欠席を続け除名された元参議院議員のガーシー、本名・東谷義和容疑者(51)は去年2月から8月にかけて動画投稿サイトで著名人や実業家を繰り返し脅迫したり中傷したりした疑いがあり、警視庁は先週、暴力行為等処罰法違反の常習的脅迫などの疑いで逮捕状を取りました。

ガーシー元議員はUAE=アラブ首長国連邦に滞在しているとみられていて、警視庁は、詳しいいきさつなどを調べるため、24日朝から、兵庫県伊丹市にある実家を捜索しました。

この事件で警視庁は、一部の動画制作や編集に関わったとして元議員の知人の会社経営者の逮捕状も取っていて、複数の人物が動画配信に関与していたとみて引き続き捜査を進めています。

警視庁は、元議員が帰国する可能性は低いとみて、今後、警察庁を通じてICPO=国際刑事警察機構に申請し、国際手配する方針だった。
2023.06.05 08:25 | 固定リンク | 事件/事故
天安門事件で中国に変化が
2023.06.05
中国 天安門事件から34年 政府への批判は徹底的に抑え込まれる

中国の首都 北京で民主化を求める学生らの運動が武力で鎮圧され、大勢の死傷者が出た天安門事件から、6月4日で34年になりました。
習近平国家主席への権力の集中が進む中、情報統制が強化され、共産党や政府への批判は徹底的に抑え込まれています。

34年前の1989年6月4日に起きた天安門事件では、民主化を求めて北京の天安門広場やその周辺に集まっていた学生や市民に対して軍が発砲するなどして鎮圧し、大勢の死傷者が出ました。

中国共産党や政府は、事件を「動乱」と結論づけて、当時の対応は正しかったとする立場を変えておらず、情報統制が年々強化される中、事件を公に語ることはタブー視されています。

天安門広場やその周辺には4日朝、多くの観光客が訪れる一方で、大勢の警察官が配置され、犠牲者を追悼する動きなどを警戒して厳重な警備態勢が敷かれていました。

習近平国家主席が異例の3期目に入り、権力の集中が進む中、事件の真相究明や責任追及を求める声は封じ込められ、共産党や政府への批判は徹底的に抑え込まれています。

■遺族でつくるグループ「天安門の母」が書簡を公開

天安門事件で家族を亡くした遺族は「天安門の母」というグループをつくり、中国政府や指導者に宛てた書簡を公開するなどして真相究明や謝罪を求め続けています。

ことしも天安門事件が起きた6月4日を前に、遺族116人が連名でインターネット上に書簡を公開しました。

書簡では「34年がたったが、一夜にして突然、家族を失った苦しみは、悪夢のように心の底に永遠にまとわりついて離れない」として、今も苦しむ遺族の心情を表しています。

そのうえで「政府は事件をコントロールし、残酷な事実の記憶を人々の心から消し去ろうとしている」として、事件の風化を懸念しています。

そして、「希望は見えないが私たちは諦めない。人間としての尊厳を守り、犠牲者たちの正義のために政府がすべての遺族に謝罪し、当時の悲劇について国民にざんげすることを待ち望む」と、中国政府を非難しています。

しかし、この書簡は情報統制が厳しい中国では閲覧が制限されて、多くの人が見ることはできません。

事件から34年たち、遺族が高齢化し、亡くなる人が相次いでいて、書簡では、この1年で新型コロナウイルスなどで7人が亡くなったことを明らかにしています。

■遺族「34年間沈黙してきた政府を受け入れることはできない」

「天安門の母」の中心メンバーの1人で、夫を亡くした尤維潔さん(69)は、「この時期になると、愛する家族が殺された当時の情景が頭に浮かび、必ず気持ちが沈んでくる。天安門事件は政府が軍隊を使って国民を銃殺した犯罪であり、34年間も沈黙してきた政府を受け入れることはできない」と話していました。

尤さんは、中国国内で情報統制が年々強化されるとともに、遺族が高齢化し、亡くなる人が相次いでいることを踏まえ、「政府が天安門事件をタブーにしたので、事件を知っている親の世代が話さなければ、若者たちには分からない。みんなが伝えないなら、若い世代は少しずつ忘れていくだろう」と述べ、事件が風化することを心配していました。

また、香港で3年前から天安門事件の犠牲者を悼み、中国の民主化を訴える大規模な集会が開かれなくなったことについては、「追悼集会は中国の人たちに天安門事件を理解してもらう窓口だったが、政府によって禁止された。香港メディアも報道を禁止された。香港政府のやり方はとても残念だし、天安門事件は決して忘れてはならず、非難されなければならない」と訴えていました。

こうした一方で、海外では今も支援の動きが続いていることについて、尤さんは「日本を含む世界各地で毎年この時期に天安門事件の犠牲者を追悼してくれることに感謝している」と話していました。

■中国外務省「中国政府は明確な結論出している」

天安門事件からことしで34年になるのを前に、中国外務省の毛寧報道官は、2日の記者会見で「1980年代末に起きた政治的な騒ぎについて、中国政府はとっくに明確な結論を出している」と述べ、事件の評価を見直す必要はないという立場を強調しました。

そのうえで、世界各地で事件を追悼する活動が行われることについて、「事件を口実に中国を中傷し、内政に干渉するいかなるたくらみも、思いどおりにならないだろう」と述べ、反発しました。

■遺族が墓参りの墓地も警察官や警備員が厳戒態勢

天安門事件で家族を亡くした遺族のグループ「天安門の母」の中心メンバーの1人で、夫を亡くした尤維潔さん(69)などが毎年墓参りに訪れている北京郊外の墓地でも、4日の朝から大勢の警察官や警備員が厳戒態勢を敷いていました。

記者が取材のため墓地を訪れると、警察官に制止されてすぐに立ち去るよう求められ、敷地への立ち入りは一切認められませんでした。

天安門事件から34年が過ぎても、中国政府は遺族や報道関係者の動きに神経をとがらせています。

■香港の公園 追悼の動きなく 親中派団体のイベント開催

天安門事件が起きた6月4日に長年追悼集会が開かれてきた香港の公園では、当局によって追悼の動きが徹底的に抑え込まれる中、ことしは、親中派の団体によって中国各地の特産品を販売するイベントが行われ、大きく様変わりしています。

一国二制度のもと言論や集会の自由が認められてきた香港では、市民団体がおよそ30年間、毎年6月4日に香港中心部の公園で追悼集会を開き、ろうそくをともして犠牲者を悼むとともに、中国政府に事件の真相究明を求めてきました。

しかし、2020年と2021年はコロナ対策を理由に当局は集会の開催を許可しなかったほか、追悼集会を主催していた市民団体の幹部らが、反政府的な動きを取り締まる香港国家安全維持法違反などで相次いで起訴され、団体はおととし解散に追い込まれました。

追悼集会が開かれてきた公園では4日、親中派の団体が中国返還26周年を祝うイベントを開催し、中国各地の料理など特産品を販売するブースが設けられていて、多くの人が訪れていました。

香港メディアによりますと、警察はおよそ6000人を動員して公園周辺などの警戒にあたり、3日に4人を逮捕するなど、追悼の動きを徹底的に抑え込んでいます。

■中国でNHKの放送 天安門事件のニュースの際に一時中断

中国ではNHKの海外向けテレビ放送で日本時間の4日午後1時すぎ、天安門事件に関するニュースを伝えた際に、カラーバーとともに「信号の異常」などと表示され、放送が一時中断されました。

中国では、国内で放送される外国のテレビ局の放送内容も当局に監視されていて、中国政府や共産党にとって都合の悪い内容はたびたび中断されます。

中国当局が天安門事件に関する外国メディアの報道に神経をとがらせていることがうかがえます。

■天安門事件から34年を前に ニューヨークに記念館が開館

中国の北京で民主化を求める学生らの運動が武力で鎮圧され、大勢の死傷者が出た天安門事件から34年になるのを前に、事件の資料を集めた記念館が2日、アメリカ・ニューヨークで開館しました。

この記念館は、1989年6月4日に起きた天安門事件で、当時の学生リーダーの1人でアメリカに亡命した王丹氏らが募金を募りニューヨーク・マンハッタンのビルの中に設立しました。

記念館は、これまで香港で民主派の市民団体が運営してきましたが、政府による統制が強まる中、おととし香港の警察の捜索を受けるなどして閉館していました。

開館を記念する式典が2日行われ、王氏は「現在も政権によって人々が脅かされている。事件で犠牲になった人々を追悼し、当時の中国人の民主化の夢を思い返すべきだ」と述べ、事件を風化させないことが必要だと訴えました。

香港の記念館で展示されていた品々のほとんどが当局に押収されたため、ここには関係者から新たに寄せられた血に染まったシャツや当時の新聞記事などが展示されています。

この日は、当時の学生運動のリーダーや事件の関係者などが招待され、長年、中国の人権問題に取り組んできたという弁護士の男性は「これは単なる記憶ではなく未来に関わることで、ニューヨークに記念館ができたことには大きな意味がある」と話していました。
2023.06.05 08:12 | 固定リンク | 事件/事故
4人殺害男「笑いながら警官を撃った」
2023.05.26


【長野立てこもり4人死亡】「政憲は警官を撃った後に笑っていた」「刺された女性は瞳孔が開き硬直がはじまっていた」救助者が語る悪夢の殺害現場…親戚は「人付き合いが悪く、大学を中退して精神を病んだ」「消防団や祭りの寄り合いには一切顔を出さない」

長野県中野市江部で5月25日午後4時26分ごろ、屋外で女性が男に刺されるのを見た住民が110番通報。男は現場に急行したパトカーに向けて猟銃を発砲、近くの中野市議会議長、青木正道さん(57)の自宅に逃げ込んで立てこもった。この発砲で男性警察官2人が死亡、刺された女性も含めて計4人が死亡した。長野県警の要請を受けた警視庁と神奈川県警は特殊部隊を派遣し、発生から約12時間後の26日午前4時半ごろ、男の身柄を確保した。男は青木議長の長男、政憲容疑者(31)で、長野県警が殺人容疑で逮捕、動機などを調べている。

事件現場は被害女性の散歩コースだった

死亡が確認された警官はいずれも中野署に勤務する玉井良樹警部補(46)と池内卓夫巡査部長(61)。近所に住む村上幸枝さん(66)も刺されて死亡。現場近くで倒れていた竹内靖子さん(70)も病院に搬送されたが、死亡した。
現場は長野電鉄信州中野駅の西約2キロメートルの田園地帯に住宅が点在する地域。普段はのどかだが、この日は救急車や捜査車両が次々に急行する中、時折発砲音が響くなど騒然となり、県警は現場を中心とした半径300メートルを避難区域に指定。近くの中野平中学校に住民ら約60人を避難させた。

政憲容疑者は迷彩柄の服に帽子、マスク、サングラスを装着して犯行に及び、屋外で女性を追いかけ、ナイフで切りつけた後、自宅に戻ったとみられる。凶行現場はネギとズッキーニの畑で、目撃者の大声を聞きつけ、被害者である村上さんの救護にあたった近くの造園業の男性(63)が取材にこう証言した。

「たまたま第一通報者の方の近所の畑で作業をしていたら、午後4時20分ごろ、『人が刺されたから来て!』と呼ばれたんです。現場に着くと、血まみれの女性が倒れていて、腕も90度に曲がったまま、ショック死したみたいな感じで、瞳孔を開いて倒れてました。硬直も始まっていたんですが、携帯電話で繋がっていた救急隊の方に『蘇生行為をしてください』と指示されたので、一生懸命に心臓マッサージをしました」

村上さんはいつもこの時間帯に散歩をしていたといい、この日も散歩中に被害に遭ったとみられる。男性はこの時点では、村上さんを襲ったのが知り合いの政憲容疑者とは知らず、ほどなくパトカーがやってきた。
男性が続ける。

「心臓マッサージをしていると、10メートル先くらいに猟銃を持って、腰にサバイバルナイフをぶら下げた政憲がいたんです。迷彩服に、クレー射撃用の薄いサングラスをかけていて、マスクはしていませんでした。猟銃は上下二連式のいわゆるシカを殺すための散弾銃で、サバイバルナイフは刃渡り30センチ近くあった気がします。

そんな格好でゆっくり近づいてきたので、『ヒマなら手伝ってくれ』と言おうとしたんですけど、すぐにパトカーがやって来ました。すると政憲は警告のサイレンを無視するように、運転席に散弾銃を向けたんです。

それでも私はその銃がまさか本物だと思わず救助に必死でした。ですが一緒に救助していた方が危険を察知し『逃げろ』と叫んだので、慌てて逃げました。後ろから『パン!』と乾いた音が2回聞こえました。一度だけ振り返ったんですけど、政憲は頬に笑みを浮かべていました。人を殺したのに笑ってたんですよ。

そうしてお巡りさんを殺したあとも焦る素ぶりはなく、ゆっくりと僕らとは逆の方向に歩いていきました。本当に怖かったし、政憲のあんな顔は初めて見たので不気味でした。そうこうするうちに、仕事先から戻ったであろう正道さんが自宅に入るわけにもいかず、遠巻きに覗き込んでいるところが見えました」

実家は名士の本家、三兄弟の長男として生まれた

青木議員は2014年に初当選し、22年に3選をはたすと議長に就任した。

近所の人の話では、父親が農協の理事を務めるなど農業関係の有力者で、正道さん自身も果樹園や農薬関係の会社を経営して成功していたという。

親戚筋の男性がこう語る。

「青木家は名士で、このあたりの青木姓の家はだいたい分家というか親戚で、正道さんが本家の名代として冠婚葬祭の仕切りなど、まとめ役を務めてきました。しかし長男の政憲は子供のころから人付き合いが苦手で、正道さんからすれば自分の後継としては物足りないと忸怩たる思いだったでしょう。すぐ下の妹は活発で東京の私立大を卒業して結婚して家を出て、5歳ぐらい離れた末っ子の弟は自衛隊に入って北海道に行きました。

政憲は農業が好きで、地元の高校を卒業後は東京の私立大学で農業を学んでいたんだけど、人間関係に悩んで中退して帰ってきたんだよね。むこうで精神を病んだという噂もある。こっちに戻ってきても人付き合いが悪いのは変わらずで、消防団や祭りの寄り合いなどには一切顔を出さないし、友達と外食したり飲みに行ったりというのも聞いたことがない。本人は最近、プラムの栽培にこだわっていたみたいで一生懸命やっていたんだけどね」

現在、青木家に住んでいたのは政憲容疑者と両親、伯母(母の姉)の4人だったという。

息子の名前の農園…母がジェラート屋を経営

母親は経営者としての手腕も発揮し、政憲容疑者の名前をつけた果樹園でプラムやシャインマスカット、リンゴ、モモなどを栽培。その素材を生かしたジェラート店を2019年5月に軽井沢にオープンして成功させ、昨年8月に地元の中野市内に2号店を開店していた。

「政憲は昔からコミュニケーション能力が低くて、もの静かな子でしたね。小学生の頃から、道ですれ違うときに挨拶すると『こんにちは』と頭を下げてくれるんだけど、明るい妹と弟の2人と比べると少し暗い印象がありましたね。今から4、5年前に、地元の消防団とお祭りの保存会を抜けてしまったんだけど、そのメンバーたちも『話しかけても、あまり返事が返ってこない』と言ってましたから。

ちょうどそのころ、父親の正道から『政憲が農業やりたいと言い出したんで、重機を貸してくれないか』と頼まれたんです。それから最初は野菜畑、ぶどう農園を始めて、ジェラート屋を始めたんですけど、社長は正道の奥さんです。奥さんからしても、政憲は長男だから思い入れも強かったのでしょう」(青木家の近くに住む60代男性)

青木家の分家の女性もこう語る。

「政憲が行ってた高校は地元じゃ有名な進学校だから、成績は優秀なはずだよ。中学校でも学年で10位以内に入ってなきゃいけないくらいいいところだから。卒業後は私立大に進学したけど親父と話し合って中退したってのは聞いたな。正道は周囲の信頼もあって実力もある。権力があるから強気なのが玉にキズだけど、地元選出議員としては最高の人だよ。

奥さんはやり手で、政憲のことを溺愛していた。ジェラート屋もあいつの名前を使った農園から発展させた。政憲は農業ばっかりで客商売なんてできないからね。政憲は根っから大人しいけど、悪く言えば一般常識に欠けてるとこがあったわな。家にお客さんがきてもロクに挨拶もできねえんだ」

人付き合いの苦手な優しい農業青年がなぜ豹変したのか。2人の殉職者を出した長野県警の取り調べに注目が集まる。

■猟銃立てこもり男の身柄確保 議長の息子で…村の行事に参加も

警察官ら4人が死亡した長野県中野市の立てこもり事件は、26日午前4時40分ごろに男の身柄が確保され、警察署に移送されました。

■猟銃で撃たれたか…警察官2人死亡

 事件は午前4時30分すぎ、急展開を見せました。

 長野県中野市の住宅で立てこもっていた男は、自ら住宅を出て警察に身柄を確保されました。

 静かな町に緊張が走ったのは、25日午後4時30分ごろのことでした。長野県中野市で猟銃と刃物を持った男が、住宅に立てこもりました。

 110番通報:「騒ぎが起きている。男が女性を刺した」

 男は立てこもる前に、近くに住む村上幸枝さん(66)と、駆け付けた中野警察署の警察官2人を襲っていました。

 村上さんは男に刺され、玉井良樹警部補(46)と池内卓夫巡査部長(61)は猟銃で撃たれたとみられ、3人とも搬送先の病院で死亡が確認されています。

 また、立てこもり現場の付近で倒れていて救助できていなかった高齢女性は、男の身柄が確保された後に死亡が確認されました。

■目撃者「全然落ち着いていた」

 犯行の瞬間を目撃していた男性は、次のように話します。

 目撃者:「私は畑仕事していたんですよ。そしたら道路の下のほうから『助けてー誰か助けて!』っていう女の人の声が聞こえてきて。よく見たら、その後ろから20メートルくらい後から、迷彩服の男が追い掛けてきたもんで。これ、ただごとじゃねえなと思った」

 女性を追い掛けてきた男は、上下ともに迷彩服、帽子も迷彩柄、サングラスにマスク姿という、目立つ出で立ちでした。

 目撃者:「道路よりも、うちの畑は1メートルくらい高いんですよ。そこへ(女性が)駆け上がってきて、女性がもたついている間に追い掛けてるほうに追い付かれちゃって。女性の左後ろから左腕つかんで、その時にもう右手でナイフでぶすっと。サバイバルナイフ、30センチちょっとは(あった)でかいナイフ。なんでこんなひどいことするんだと言ったら、『殺したいから殺してやっただけだ』と言った。全然落ち着いていた。全く息も切れていないし、落ち着いて慌てて逃げようなんて様子もなかった」

 驚いた男性は、警察と消防に通報します。ほどなくしてパトカーが到着しますが、凶行は続きます。

 目撃者:「パトカーが入ってきて、後ろから散弾銃抱いて、さっきの男が走って来ていて。(パトカー)止まると同時くらいに、運転席側の窓のところから撃とうとしていたもんで。『やばいから逃げよう。今度銃だから逃げよう。ダメだ』。そしたらダーンって1発聞こえて、それから何秒もしないうちだね、もう1発ズドーンと音聞こえて」「(Q.中にいた警察官を狙って?)そうですね」

■容疑者の正体は…市議会議長の息子

 その後、男は自宅に立てこもりました。

 男の正体は、中野市議会の青木正道議長の息子だということが分かっています。

 男を知る近所の住民は、次のように話します。

 近所に住む男性:「あまり社会になじめないようなタイプの息子さんだった。村の行事に一時期参加していたけど、来なくなった」「(Q.コミュニケーションが苦手?)そうですね」

 長野県北部に位置する中野市は、住宅街の周りに田畑が広がる普段はのどかな田園地帯です。日が暮れた後も、現場には緊迫した状況が続きます。

 立てこもり現場では、午後7時台に1回、8時すぎにも1回、銃声が響きました。

 近隣住民:「(銃声は)多分8時ちょっと前くらい1回来た感じ。バンって感じで。怖いね。もし捕まらなかったら、あした朝、仕事出るか。どうしようって迷ってる」

■逃げ出した女性は…容疑者の母

 膠着状態が続くなか、事件発生からおよそ4時間後の25日午後8時半ごろでした。

 男が立てこもっている住宅から女性1人が逃げ出すことに成功し、警察が保護したということです。女性は、男の母親だという情報もあります。

 さらに、日付が変わった26日午前0時すぎには、もう一人、親族の女性が逃げ出すことに成功します。青木議長の無事は、確認されています。

 現場から半径300メートルの住民には警察から避難が呼び掛けられ、日付が変わってからも、慌ただしい動きが続きました。

 今、住民の女性、そして男性も出てきました。車に乗り込んでいきます。時刻は午前0時すぎです。まだ男が立てこもっているということで、警察官が一軒一軒回って避難を呼び掛けているものとみられます。

 近隣の中学校が避難所となっています。現在50人程度が避難していて、午前2時をまわった現在も、近隣住民の方が続々と非難をするため、こちらの中学校を訪れています。

■【続報】「パトカーに銃口向けた」目撃者が語る緊迫の現場 4人死亡立てこもり事件

中野市で4人が死亡した立てこもり事件で、現場に居合わせ、最初に刺された女性の救助にあたった男性が、緊迫した現場の状況を証言しました。

「人が刺されたということで私がとんで行って、救急車を呼んでくれということなので救急車を呼んだ。(刺された女性は)もう顔面蒼白で意識がなかった。救急隊員から(心肺蘇生を)やってくださいということなので極力やってみますということで(やった)」

(心肺蘇生をしている時は容疑者はいなかった?)「いない。で、パトカー来てよかったなと思った。パトカーとまる、そこに容疑者が銃口を向けて打つ構えをしはじめて、逃げろということで、(第一発見者と)2人で10メートルくらい逃げたところで一発ドンと打って。また5~6メートルくらいいったところでバンと(聞こえた)。それでで2発。(容疑者は)笑っているように見えた」

(ふだんの容疑者については…)

「面白いこと話すとか、今の若い子たちと一緒になって話すとか、飲みに行くとか、そういうことがちょっと苦手な子だった」(人間関係のトラブルは?)「ない」(家族内でも?)「ないと思います。大きな声で騒ぐとかキレるとかそういうのは今まで見たことない」
2023.05.26 20:51 | 固定リンク | 事件/事故
男女の警察官2人が「銃を下ろしてください」長野4人死亡
2023.05.25



■男が猟銃発砲、警官ら3人死亡=1人も負傷、民家立てこもり―迷彩服姿、30代住人か・長野・中野市

 25日午後4時25分ごろ、長野県中野市江部で、「男が女性を刺した」と近隣住民から110番があった。県警によると、警察官が駆け付けたところ、男は猟銃を発砲。男女計4人が負傷し、うち女性と男性警察官2人の計3人が搬送先の病院で死亡した。男は迷彩服姿で民家に立てこもり、刃物も所持している可能性がある。目撃した近隣住民によると、男はこの民家に住む農業の30代という。

 県警は近隣住民に屋内避難を呼び掛けるとともに、現場周辺の立ち入りを規制。機動隊などを現場に派遣し、男の説得を続けているとみられる。

 県警や地元消防によると、警察官2人と女性が救急搬送され、いずれも死亡が確認された。近隣住民とみられる男性1人も負傷したが、搬送できておらず、容体は分かっていない。

 女性は、男が立てこもっている民家の北東約600メートル付近で刺された。通報を受けて駆け付けた警察官が猟銃を所持する男を発見。男は民家で発砲を始め、立てこもったという。上下とも迷彩服姿で、迷彩柄の帽子、サングラス、マスクを着用している。

 近隣住民によると、男は猟銃免許を持ち、猟犬を連れて姿を見せた際、警察官から「銃を下ろしてください」などと説得されたが応じなかったという。

 現場はJR信州中野駅の西約1.5キロ。現場周辺は半径300メートルにわたって立ち入りが規制されるなどし、県警や中野市は近隣住民に屋内から出ないよう呼び掛けた。

■「動くな」警察官の声響く 倒れる女性、緊急放送も―声震わす

 「動くな」「止まりなさい」。発砲現場周辺では、容疑者に制止を求める警察官の声が響き渡った。事件を目撃し、慌てて自宅に戻ったという近隣住民は「巻き込まれていたかもしれない」と恐怖に声を震わせた。

 近くに住む30代の女性会社員は午後4時45分ごろ、犬の散歩のため、自宅から数百メートル先の畑の方に歩いていたところ、パトカーが2台止まっているのを目撃した。別の住民からは「近寄ったら駄目だ」と引き返すように言われた。

 「動くな」「止まりなさい」。スピーカーのようなものを通じ、容疑者に制止を求める警察官の声が繰り返し周囲に響いていた。畑の上で、被害者とみられる女性があおむけに倒れているのも見えたという。

 「発砲事件があり、犯人逃走中」という市の放送が、周辺の住民に緊急事態を知らせていた。女性会社員は走って帰宅したといい、「いつもより早い時間帯に散歩に行っていたら、巻き込まれていたかもしれない。近くでこんなことが起こるなんて怖い」と語った。

■迷彩服、猟銃手に民家出入り 警官「下ろして」と説得

 発砲事件が起きた長野県中野市の現場付近の住民は、迷彩服姿の男が猟銃を手に、立てこもる民家に出入りする様子を目撃していた。

 この住民は午後4時半ごろ、パトカーのサイレンの音とともに、警察官が走って行く様子を自宅から見た。外に出ると、上下迷彩服で赤いジャケットを着たサングラス姿の男が猟銃を持ち、猟犬を連れて民家から出て来たという。

 男から10メートルほど離れたところから、男女の警察官2人が「銃を下ろしてください」と説得に当たっていた。男は発砲することなく、間もなく民家に戻ったという。その後、警察官が続々と集まり、民家を取り囲んだ。

 男は屋内をうろうろと歩き回っていたが、その後カーテンが閉められ、中の様子をうかがうことはできなくなったという。この住民は「こんな事件が起こって不安でびっくりしている。早く解決してほしい」と訴えた。
2023.05.25 21:15 | 固定リンク | 事件/事故

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