中国「左から右への大きな揺り戻しが」
2023.09.11

5年後か10年後は分かりませんが、 習近平 体制の『後』を考えるとすれば、やがて将来の中国には揺り戻しが発生するはずです。

中国人民解放軍大幅な改変 中国軍幹部も党に反旗 人事で左遷も インド国境、西部戦区の司令官2か月で更迭 ロケット軍トップも共産党に反旗

中国共産党は23日、第20期中央委員会第1回全体会議(1中全会)で、軍の最高意思決定機関である中央軍事委員会の体制を固めた。習近平総書記(国家主席)を頂点に、習氏に近くて台湾情勢に精通した幹部を相次ぎ引き上げた。台湾の武力統一も選択肢に軍拡を加速する見通しだ。

中央軍事委は習氏をトップに7人の幹部で構成する。台湾の武力統一の是非や核弾頭を搭載する,弾道ミサイルの中国の戦略ミサイル部隊である,ロケット軍のトップ2人が同時に交代したという報道がありました。

ロケット軍は、核兵器や弾道ミサイルを管轄する中国人民解放軍の独立軍種で、宇宙やサイバー戦などを担当する戦略支援部隊とともに、中国の新たな戦略力を構成しています。

ロケット軍のトップ2人が同時に交代した理由は不明ですが、背景には汚職や機密漏えいなど軍内の深刻な問題があるとの観測が出ています。

また、台湾有事の際の米国の介入に備えて核戦力の増強を図るなかで、ロケット軍の重要性は増しており、不透明な人事は国際的な信用を損ない、誤解が生じるリスクを増大させるとの懸念も指摘されています。

しかし2020年10月に「習近平主席」は、中国共産党中央委員会第五次全体会議で、習近平が「戦闘力」を重視する方針を示したことに対し、軍の幹部が「戦闘力」ではなく「戦闘能力」を強調すべきだと主張し左遷されました。

この違いは、習近平が政治的な忠誠心やイデオロギーを重視するのに対し、一部の軍幹部が実戦能力や技術力を重視するという考え方の相違を反映しています。

2021年3月、中国人民解放軍ロケット軍のトップ2人が同時に交代しました。この人事は、ロケット軍内で汚職や機密漏えいなどの問題が発生していたことや、習近平が核戦力の増強を図る中でロケット軍の重要性を高めたことなどが背景にあるとされています。

2021年7月、中国共産党創立100周年記念式典で、習近平が「台湾統一」を強調したことに対し、一部の軍関係者が「台湾有事」に備える準備や意欲が不十分だと指摘しました。

この指摘は、習近平が台湾問題で強硬姿勢を示す一方で、中国軍が実際の戦闘に対する不安や懸念を抱えていることを示しています。

以上のように、中国軍内には習近平に対する不満や批判が存在している可能性はありますが、それが反旗や反乱に発展する可能性は低いと考えられます。中国軍は中国共産党の指導下にあり、習近平は党中央軍事委員会主席として最高指揮権を握っています。

また、習近平は自らの権力基盤を強化するために、軍内の粛清や改革を断行し、忠誠心や政治的な信頼性を重視する人事を行ってきました。その結果、中国軍は習近平の統制下にあり、忠誠を誓っています。

中国共産党は2021年9月23日、第20期中央委員会第1回全体会議(1中全会)で、軍の最高意思決定機関である中央軍事委員会の体制を固めた。

習近平国家主席は中央軍事委員会主席に再任され、副主席には張又侠、劉亥慶の両氏が選出された。また、10人の委員には習氏の側近や台湾統一を念頭に置いた人事が目立った。

中国人民解放軍は2021年1月、国境地帯で軍務についている兵士や若くて優秀な将校を中心に、大幅な昇給を予定していることが明らかになった。習近平国家主席は戦争の危機を言及し、「中国人民解放軍は勝利しなければならない」と強調しており、軍将兵の待遇改善で、彼らを軍に引き留めようと躍起になっているという。

若い将校の給料は大佐級でこれまでの40%増、2万元(約32万円)の月給だったものが、4000元(約6万4000円)増の2万4000元(約38万4000円)にアップされることになる。

中国人民解放軍が、国境地帯で軍務についている兵士や若くて優秀な将校を中心に、今年中の大幅な昇給を予定していることが明らかになった。中国では昔から「好鉄不打釘、好人不当兵」(良い鉄は釘にはならず、良い人は兵隊にはならない)という成句が知られているが、軍のトップである習近平国家主席は最近、戦争の危機を言及し、「中国人民解放軍は勝利しなければならない」と強調しており、軍将兵の待遇改善で、彼らを軍に引き留めようと躍起になっているという。中国問題専門のネットメディア「多維新聞網」が報じた。

 中国ではこのところ、インドとの国境でインド軍と軍事的な衝突があり、数十人の中国兵が犠牲になったと伝えられたほか、チベット自治区や新疆ウイグル自治区、南シナ海などで過酷な任務が続き、軍を離れる兵士が増えている。

 また、大学や大学院を卒業した高学歴の若手将校の給料は、企業などに勤務している同世代よりも少なく、それが退役の大きな原因となっていると指摘されており、今回の軍将兵の給料アップにつながったと見られる。

 中国共産党中央軍事委員会主席を兼ねている習近平主席が決断したとされるが、習氏は軍の内部会議で「より近代的な軍事改革を推し進めた後、多くの才能と能力を持つ若い軍人や、辺境地区で人知れずに苦労して任務についている若い兵士の待遇を上げることが、中国軍が戦争に勝つ大きな要素となる」と指摘したという。

 とくに、若い将校の給料は大佐級でこれまでの40%増、2万元(約32万円)の月給だったものが、4000元(約6万4000円)増の2万4000元(約38万4000円)にアップされることになる。

また、チベットや南シナ海の島嶼部などの辺境で軍務についている兵士については、従来1万元程度の月給だったが、4000元アップの1万4000元に加えて、辺境手当として6000元が支給されて、計2万元に倍増するという大盤振る舞いだ。

 さらに、これらの将兵は退職したあとも、軍務についていた年数に応じて、毎月の年金も従来の2倍程度になる場合もあるという。

 ネット上では「習近平は(よい鉄はよい釘になり、よい人は良い兵になる)』となるよう軍事改革を進めようとしているようだ。この裏には、台湾への侵攻などの軍事的な野望がひそんでいるかもしれない」との見方も出ている。

■中国軍司令官、異例の「2か月」で交代…中央軍事委人事に関係か

中国軍でインドやアフガニスタンとの国境などを管轄する西部戦区の司令官が2021年9月6日、2か月で交代した。異例の短期間でのトップ交代は、軍の指導機関である共産党中央軍事委員会の人事に絡んだ動きとの見方が出ているほか、更迭説も浮上している。後任には汪海江氏を充て、上将に昇格させた。

中国軍でインドやアフガニスタンとの国境などを管轄する西部戦区の司令官が2か月で交代した。異例の短期間でのトップ交代は、軍の指導機関である共産党中央軍事委員会の人事に絡んだ動きとの見方が出ているほか、更迭説も浮上している。

習近平 中央軍事委主席(国家主席)は今月6日、7月に西部戦区の司令官に任命した 徐起零シューチーリン 上将(大将に相当)を交代させた。異動先は明らかになっていない。後任には 汪海江ワンハイジアン 氏を充て、上将に昇格させた。

徐氏は司令官になる前、同戦区の陸軍司令官を務め、2020年に起きたインド軍との国境衝突の対応にあたった。東部、北部、中部戦区での勤務経験があり、「通常戦のエキスパート」(関係筋)と評価されてきた。香港英字紙サウスチャイナ・モーニングポストは軍内部の関係者の話として、「北京は、徐氏に関し、より大きな計画がある」と伝え、来年秋の党大会を機に、大幅な人事異動が見込まれる中央軍事委に関連した人事との見方を示唆した。

習氏は7、9月、徐氏と汪氏を含む計9人を軍最高位の上将に昇格させており、中央軍事委入りの有資格者の育成を急いでいるとの見方が出ている。

汪氏は、新疆ウイグル、チベット自治区での勤務経験が長く、「西部国境の情勢に詳しく、アフガン情勢への即応に適任」(同)だとされる。

 徐氏の人事を巡っては、更迭説も出ている。関係筋によると、中印国境対立を巡り、外交当局が相手を威嚇する「 戦狼せんろう 外交」的な手法を取ったことに不満を抱いた徐氏が習氏に進言し、習氏の不興を買ったという。

 別の関係筋は「いずれにしても2か月での交代は極めて異例。上将人事は習氏が決めており、習氏の軍内部での権力集中はいっそう進んでいる」と分析した。

◆西部戦区 =中国軍が陸海空軍などを統合運用するために組織した五つの「戦区」の一つ。四川や重慶、新疆ウイグル、チベットなど中国西部の7省・直轄市・自治区を管轄する。隣接するインドやアフガニスタン、中央アジアとの国境管理にもあたる。司令部は四川省成都。内陸のため、陸軍、空軍を中心に構成されている。

■中国共産党政権が崩壊に直面している

世界では中国共産党政権が崩壊に直面しているという見方は、一部の専門家やメディアによって提唱されていますが、必ずしも定説とは言えません。中国共産党政権は、経済の減速、社会の不安、国際社会の圧力など、多くの困難に直面していますが、それらを乗り越えるための政策や戦略を展開しています。

米国の著名な中国政治研究者であるミンシン・ペイ氏は、習近平による統治は問題をはらんでおり、中国共産党政権は、毛沢東時代の終了後、最も崩壊に近づいていると主張しています。

彼は、習近平が権力を集中化し、反対派を弾圧し、改革を停滞させていることが、中国共産党政権のレジーム変容や社会変革を阻害し、長期的な危機を招くと論じています。

一方で、中国共産党政権は自らの正統性や安定性を維持するために、経済成長や国際競争力の向上を目指し、国内外の課題に対応しています。

例えば、24日に開かれた政治局会議では、「新たな困難と試練に直面している」としながらも、「高品質な発展」や「新たな発展段階」に向けた施策を打ち出しました。また、米国との対立や緊張を回避するために、「協力と対話」を求める姿勢も示しています。

しかし、中国共産党政権が直面する困難は軽視できないものです。特に、新型コロナウイルス感染症の大流行で死者が増える中、中国共産党が世界への約束を守れなかったことが、国際社会からの批判や不信を招いています。

米国のポンペオ国務長官は、中国共産党に対し、「互恵と透明性、説明責任」を要求し、「自由世界が変わらなければ、中国共産党が確実に我々を変える」と警告しています。

以上のように、世界では中国共産党政権が崩壊に直面しているという見方は一面的なものであり、その実態や将来性は複雑で多面的なものです。中国共産党政権がどのように変化し、世界とどのように向き合って行くかは今後も重要な視点です。

■左から右への大きな揺り戻しが起きる可能性も

中国の将来の見通しについては、様々な見方や予測がありますが、一般的には以下のような点が注目されています。

中国の経済は、改革開放政策によって高い成長率を維持してきましたが、近年は減速傾向にあります。特に、不動産市場のバブル崩壊や負債問題が深刻化しており、経済の質の高い発展を目指す習近平政権の課題となっています。

中国共産党は、今年10月に開催された党大会で、習近平総書記の3期目続投を確定させました。これは、党内の権力集中や強権化を象徴するものであり、改革開放時代の政治的土台を崩すことを意味します。

習近平政権は、米中対立や新型コロナウイルスの感染拡大などの外部環境の変化に対応するために、国内の社会統制やイデオロギー教育を強化しています。

中国の社会は、経済発展とともに多様化や複雑化しており、民主化や自由主義化への期待や要求も根強く存在しています。

しかし、現在の習近平政権は、これらの動きを抑圧する傾向にあります。歴史的に見ても、中国の政治状況は大きく揺れ動いてきたことから、将来的には左から右への大きな揺り戻しが起きる可能性も否定できません。

以上のように、中国の将来は不確実性が高く、予測が難しいと言えます。しかし、中国は世界第2位の経済大国であり、日本とも密接な関係にある国です。そのため、中国の動向には常に注意を払う必要があります。

■大きな揺り戻しが「5年後か10年後に変革が」

中国の現実問題として左から右への大きな揺り戻しはどのようにして起こり得るのか?

中国が左から右への大きな揺り戻しを経験する可能性については、様々な意見や分析があります。一般的には、中国の政治体制は歴史的に左右に揺れ動いてきたという観点から、現在の習近平政権の強権化は左に偏った状態であり、その後には必ず反動が起こるという考え方があります。例えば、ルポライターの安田峰俊さんは、強権・習近平体制に「やがて揺り戻し」 過去から予測する中国の将来という記事で、次のように述べています。

現在の中国は、共産党体制なりの『真ん中』よりもかなり左に偏った状態にあります。 5年後か10年後は分かりませんが、 習近平 体制の『後』を考えるとすれば、やがて将来の中国には揺り戻しが発生するはずです。

安田さんは、毛沢東による文化大革命や天安門事件など、中国の政治状況が大きく変化した歴史的事例を挙げて、今後は「左から真ん中に戻るだけではなく、場合によっては、たった10年前までは有力な選択肢だった右方向への大きな揺り戻しが起きてもおかしくない」と予測しています。

しかし、このような見方に対しては、中国の民主化運動を推進する米国最大のNGO・公民力量の主宰者である楊建利さんは中国の民主化、困難な理由と実現の可能性を問うという記事で異論を唱えています。楊さんは、習近平政権が党内民主化を阻止し、国家安全法や香港問題などで強硬姿勢を示していることから、「党内民主化」や「社会民主化」の道は閉ざされていると指摘しています。

楊さんは、中国の民主化に向けては、「市民社会」や「国際社会」の力が必要であると主張しています。2楊さんは、「市民社会」では、インターネットやSNSを通じて情報や意見を交換し、抗議や署名活動などで声を上げることが重要であると述べています。2また、「国際社会」では、米国や日本などの民主主義国家が中国に対して人権や自由を尊重するように圧力をかけることが必要であると説いています。

以上のように、中国が左から右への大きな揺り戻しを経験する可能性については、歴史的な視点や現実的な視点から異なる見方があります。中国の政治体制や社会状況は今後も変化し続けるでしょうから、この問題に関心を持ち続けることが重要だと思います。
2023.09.11 14:42 | 固定リンク | 国際

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