ロシア核攻撃の報復先は?
2023.04.22

ロシア核ミサイル

【米機密文書】

■ロシアが核攻撃に踏み切ったらアメリカはどこに報復するか? 米政権内で行われていた机上演習の衝撃的な中身

 ロシアのウクライナ侵攻後、ロシアが通常兵器のみならず、核戦力を使用することに対する懸念が高まっている。ロシアが万が一にも核戦力を行使した場合、米国はどのような対応を取るのか。実は米国はバイデン大統領と同じ民主党のオバマ政権の末期、ロシアの核使用を想定した机上作戦演習を行い、具体的な報復の対象を選んでいた。

 ラトビアの首都リガに拠点を置き、ロシアに関する独自の報道を続けている独立系ニュースサイト「ザ・インサイダー」はこのほど、米国の著名ジャーナリストの調査報道を引用する形で、米国の報復シナリオに関する特集記事を掲載した。同盟国への核攻撃に核で反撃しない選択肢も示されるなど、ロシア侵攻後、日本でも始まった「核の傘」による安全保障を巡る議論にも一石を投じるものとなっている。

■現実的な脅威

 ここで、核に関して、米国と並ぶ核大国のリーダーたるロシアのプーチン大統領がどのような発言を行ってきたかを振り返ってみたい。ロシアが「特別軍事作戦」と呼ぶウクライナ侵攻を開始した2月24日の演説で、プーチン氏は「誰であれ外部からわれわれに介入しようとする者、ましてや脅威を与えようとする者は知っておくべきだ。その結果は、今まで歴史上、見たことのないようなものとなる」と、北大西洋条約機構(NATO)が侵攻に介入すれば核兵器を使用する可能性を示唆。また、27日には、ショイグ国防相に対し「NATO加盟国から攻撃的な発言が行われている」と述べ、核抑止力部隊を高い警戒態勢に置くよう命じ、米国などをけん制した。

 これに対し、米中央情報局(CIA)のバーンズ長官はロシアの戦術核使用の可能性を「軽視できない」と言及。一方、ブルームバーグ通信によると、米国防総省傘下の国防情報局(DIA)のベリア局長は、ウクライナ軍の抵抗で侵攻が長引き通常兵器が不足する事態に陥れば、ロシアは核抑止力への依存を強める可能性が高いとする報告書をまとめた。

ラブロフ外相

 こうした発言は、米国でロシアによるウクライナでの戦術核使用が、あり得ない話ではなく、現実味をもって受け止められていることを示している。

 また、ロシアのラブロフ外相は4月25日、「核戦争を起こさないことがロシアの基本的な立場だ」としながら、現在はロシア米国間の対話のチャンネルが存在しないと指摘し、第3次大戦が起きる可能性は「十分にあり、過小評価すべきではない」と強調した。

 プーチン大統領は27日にも、第三国がロシアに戦略的脅威を与えようとした場合は「電撃的で素早い対抗措置を取る」と述べて核兵器使用を辞さない姿勢を示した。

■核で報復しない

 2016年、米国の国家安全保障に関する最高意思決定機関の一つで、大統領への諮問機関である国家安全保障会議(NSC)が開かれた。機密指定された会合の議論の中身は、米国のオンライン誌スレートのフレッド・カプラン氏の調査報道により明らかになった。

 NSCが議論したのは、2014年のクリミア編入後、ウクライナ東部ドンバス地域への介入を続けるロシアが、隣接するバルト3国(リトアニア、ラトビア、エストニア)の一つに侵攻した場合、米国はどう対応するかについてだった。

 会合の参加者は、国防総省、情報機関を含む政府各省庁の次官級代表。シナリオは、通常戦力で勝るNATOがロシア軍の侵攻を食い止め、優位に戦いを進める中、ロシアは、限定された規模の核攻撃を行って、敵に戦闘停止を強要する「エスカレーション抑止」概念に基づいて、NATO軍、ないしはドイツの軍事基地に対して「低出力」の戦術核兵器を使用するというものだった。

プーチン大統領

■米国の報復は

 米国の報復は、どのような兵器を使って、どこを攻撃すべきか―。さまざまな意見が出されたが、議論をリードしたのは当時のバイデン副大統領の国家安全保障問題担当補佐官を務めたコリン・カール氏=現国防次官(政策担当)=だった。カール氏はロシアによる核の使用は1945年の広島、長崎以降、初めての歴史的出来事であり、ロシアを孤立させ、政治的、経済的打撃を与えるため国際社会を結束させる絶好の機会だと言明。核で報復することは「大局観に欠いた」行動であり、核使用の閾値を下げるだけでなく、強力な制裁措置よりも効果は乏しいと主張した。

 議論は続いたが、結局、NATO制服組トップである欧州連合軍のブリードラブ最高司令官を含め「最初の対応」は核による報復ではなく、通常戦力によるものとすることで落ち着いた。

■標的は同盟国

 1カ月後に、今度は参加者のレベルを上げた閣僚級のNSC会合が開かれ、同様のテーマが議論された。前回同様、核による報復をしない方が賢明との意見もあったが、もし敵国が核攻撃すれば米国は直ちに核で報復するとの同盟国の信頼が崩れれば、米国を中心とする世界的な安全保障体制は崩壊してしまうとのアシュトン・カーター国防長官の主張が優勢となった。現在国務長官のブリンケン国務副長官は、立場を鮮明にしなかったという。

ブリンケン米国務長官

 次に議論の対象となったのが、米国は具体的にどこに報復するかについてだった。最初に挙がった候補は、ロシア西部の飛び地で、バルト海に面する軍港を持つカリーニングラードだったが、飛び地とはいえ、ロシア領土に核ミサイルを落とすことは、全面的な核戦争に発展する恐れがあるとして却下。バルト3国に侵攻したロシア軍に対する攻撃も検討されたが、同盟国の市民への被害を考慮し不適当とされた。

 結局、最終的に選ばれたのはロシアに隣接する同盟国ベラルーシだった。この机上演習では、同国はバルト3国侵攻には何の関係もなかったが、ロシアの同盟国と言うだけで、核攻撃の対象となることが決まった。

■低出力の核使用の是非

 同様の机上演習は、共和党のトランプ政権時にも、ロシアが欧州の米軍施設に戦術核攻撃を行ったとの想定で国防総省が行い、核兵器を運用する戦略軍は、核による限定的報復を行うことを決定。攻撃手段として、当時配備が決まった低出力仕様の潜水艦発射弾道ミサイル、トライデントを使うことも決まった。これについてカプラン氏は、米国の原子力潜水艦からロシアに向けミサイルが発射された段階で、それが低出力の戦術核か、破壊力のはるかに大きい戦略核か判定できず、ロシアが大陸間弾道弾で報復する可能性があることや、そうした低出力のミサイル配備は逆に、核使用の閾値を下げ世界の安全保障体制を脆弱にするとして、専門家の間で慎重論が強いことを指摘している。

 議論を通じて見えてくるのは、米国がロシアの「エスカレーション抑止」概念に強い懸念を示し、対策を検討していたこと、一部とは言え「核の傘」の前提条件に反して核兵器による報復を行わない選択肢があったこと、そして大国間の核の応酬を避けるために、報復の対象として一方の同盟国が、核攻撃の目標となり得ることだった。またこうした軍事想定は、米政権内で極秘裏に行われ、ジャーナリストの調査報道がなければ、われわれ日本人はあずかり知らないままだったろう。
2023.04.22 16:04 | 固定リンク | 米機密文書流出
北朝鮮衛星→日本上空で撃墜!!
2023.04.22


北朝鮮衛星で破壊準備命令 防衛相、日本領域落下に備え

 浜田靖一防衛相は22日、北朝鮮が計画する「軍事偵察衛星1号機」を発射し、日本領域に落下する事態に備え、自衛隊に「破壊措置準備命令」を出した。自衛隊は、地対空誘導弾パトリオット(PAC3)配備に着手。海上配備型迎撃ミサイル(SM3)搭載のイージス艦の展開に向けても作業を進める。政府関係者が明らかにした。

 準備命令は、自衛隊がミサイル防衛(MD)による迎撃態勢に入る前段階で必要な作業を進めるための措置。2012年、16年に南西諸島へPAC3を展開。今回も南西諸島へ配備を検討する。

 米国のバイデン大統領と韓国の尹錫悦大統領は26日、ワシントンで会談する予定。北朝鮮の核・ミサイル開発への対応策も協議する。北朝鮮の反発が予想される。政府関係者は「日本に被害が及ぶような万が一の事態に対応できるよう、準備を進める」と述べた。

 北朝鮮は、宇宙開発を担う国家宇宙開発局が昨年12月に「軍事偵察衛星1号機」の準備を今年4月までに完了すると予告しており、衛星と称した飛翔体を打ち上げる可能性がある。


■「軍事偵察衛星が完成」、近く打ち上げか 正恩氏、情報収集力の強化指示 北朝鮮

朝鮮中央通信は19日、北朝鮮初の軍事偵察衛星が今月時点で「完成している」と報じた。

 金正恩朝鮮労働党総書記は18日、国家宇宙開発局を視察し、「軍事偵察衛星1号機」を計画通り打ち上げるよう指示。事実上の打ち上げ予告とみられ、近く実施する可能性がある。

 同通信によると正恩氏は「衛星発射準備委員会」を設置し、最終準備を急いで終えるよう求めた。さらに、今後、複数の偵察衛星を続けて打ち上げ、情報収集能力を強化するよう命じたという。

■北朝鮮の軍事衛星発射に備え…防衛大臣、自衛隊に「破壊措置」の準備命令 沖縄地区にPAC-3配備へ

浜田防衛大臣は、北朝鮮が事実上の長距離弾道ミサイルとなる軍事偵察衛星を近く打ち上げるとみられることから、自衛隊に破壊措置の準備を命令しました。

北朝鮮は、今月19日に「軍事偵察衛星の1号機が完成した」と発表、近く発射するとみられます。これをうけ、浜田大臣はきょう、弾道ミサイルなどに対する破壊措置の準備を部隊に命令しました。

自衛隊は、▼沖縄地区に地対空誘導弾PAC-3を展開させることや▼イージス艦を展開すること、▼地方自治体との調整などを進めることになります。

北朝鮮は2009年4月以降4回にわたり、「人工衛星」と称する弾道ミサイルを予告した上で発射したことがあり、そのうち3回は沖縄県の周辺の海域を含む南側に向けて発射されました。

破壊措置準備の命令が出されるのは、2012年12月以来初めてです。


■北朝鮮の偵察衛星「発射強行なら安保理決議違反」 松野官房長

 松野博一官房長官は19日の記者会見で、北朝鮮国営の朝鮮中央通信が、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記が軍事偵察衛星が完成したことを明らかにし、打ち上げの準備を急ぐよう指示したと伝えたことについて、「国連安全保障理事会決議は北朝鮮による弾道ミサイル技術を使用した、いかなる発射も禁止している。衛星と称したとしても発射を強行すれば、明白な安保理決議違反であり、我が国の安全保障上の重大な挑発行為だ」と批判。そのうえで「断じて容認できない」と北朝鮮側を強くけん制した。
2023.04.22 15:25 | 固定リンク | 戦争
ロシア軍機「ロシアの都市爆撃」
2023.04.22


ロシア軍機がロシアの都市に弾薬投下、大きな爆発 国営通信

ロシア軍の戦闘爆撃機Su34が20日、ウクライナとの国境の北にあるロシアの都市ベルゴロド上空を飛行中に「航空用弾薬の緊急投下」に迫られ、市中心部で大規模な爆発が起こった。国営タス通信や地元当局者が明らかにした。

国営RIAノーボスチ通信はロシア国防省の話として、弾薬の投下が必要になった理由は調査中だと伝えた。同通信は、弾薬の「不測の」投下が起きたとしている。

ベルゴロド州のグラトコフ知事は、爆発で2人が負傷したと明らかにした。

同氏によれば、爆発は市中心部の交差点を揺らし、直径約20メートルの「非常に大きな衝突穴」ができた。付近の集合住宅の窓や駐車中の車数台が壊れ、電柱も倒れたという。

RIAノーボスチ通信によれば、高層マンション近くの店舗の屋根にはひっくり返った車がある。緊急部隊が現場に展開しているという。

ベルゴロドは人口40万人あまりの都市で、ウクライナとの国境から北方約40キロに位置する。
2023.04.22 11:52 | 固定リンク | 戦争

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