ワグネルがスーダンの準軍事組織に兵器供与
2023.04.21
リビア北東部のアルカディム航空基地、その南西にあるアルジュフラ航空基地、シリア沿岸のラタキア航空基地をイリューシン76輸送機は行き来した


スーダンの準軍事組織(ダガロ司令官)

■ワグネルがスーダンの準軍事組織に兵器供与、証拠浮上

ロシアの民間軍事会社ワグネルがスーダンの準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」に対して、国軍との戦闘を支援するためにミサイルを供与していることが分かった。スーダンや地域の外交筋がCNNに明らかにした。

スーダンではRSFのダガロ司令官と、軍事指導者で国軍トップでもあるブルハン将軍が権力争いを繰り広げている。複数の情報筋によると、供与された地対空ミサイルはRSFの戦闘員やダガロ氏にとって大きな追い風になっているという。

隣国リビアを捉えた衛星写真には、ワグネルの基地での活動が異常に増加している様子が写っており、こうした主張を補強している。リビアではワグネルの支援を受ける反政府のハフタル将軍が国土の広い部分を支配する。

ワグネルはウクライナでのロシアの軍事作戦で公然と重要な役割を果たし、残虐行為に及んだとの批判を繰り返し受けている。アフリカでは、ワグネルはロシアの影響力の強化や資源の掌握に関与してきた。

ダガロ氏とブルハン氏は民政復帰をめぐる交渉で主導権争いを展開していたが、今や交渉は崩壊し、スーダンはここ数十年で最悪規模の暴力に見舞われている。

戦闘で数百人が死亡したほか、数百万人が電気や水、食料を奪われている状況だ。

■衛星写真からわかる活動の増加

リビア北東部のアルカディム航空基地、その南西にあるアルジュフラ航空基地、シリア沿岸のラタキア航空基地をイリューシン76輸送機は行き来した

衛星画像やオランダに拠点を置くオープンソースの専門家によると、イリューシン76輸送機の動きは、スーダンでの衝突が始まる2日前の13日に増え始め、少なくとも19日までその状態が続いた。

この輸送機は13日、ハフタル氏が押さえるリビア北部のアルカディム航空基地からロシアの大規模航空基地があるシリアの沿岸都市ラタキアに飛んだ。翌日にはラタキアからアルカディムに帰還。その翌日には同じくハフタル氏が押さえるリビア北部のアルジュフラ航空基地に飛び、隔離されたエリアに駐機したが、前述のオランダの専門家によれば、これはかなり異例なことだという。スーダンでの軍事衝突が発生したのはこの日だった。

輸送機は18日に再びラタキアに飛び、その後アルカディムに帰還してからアルジュフラへと再度飛行した。その日、ロシアがスーダン北部にあるダガロ氏の部隊の陣地に地対空ミサイルを空から供与したと同地域やスーダンの情報筋は語る。

ダガロ氏は長年、ロシアのスーダンへの関与から大きな恩恵を受け、ロシアの兵器や訓練の主な受け手になってきた。

アルカディム航空基地にいるイリューシン75

CNNの2022年7月の調査では、ロシアとスーダン軍指導部の関係が深まっていることが判明。スーダン軍指導部は軍事支援や政治支援と引き換えに、同国が豊富に埋蔵する金へのアクセスをロシアに付与した。この関係が本格化したのは2014年のクリミア侵攻後で、ロシアは西側の制裁を回避するためアフリカの金に目を付けた。

22年のウクライナ侵攻やその後の相次ぐ制裁を受け、ロシアがスーダンから金を持ち出す動きが加速した。軍事政権を支える動きもさらに強まり、スーダン国内でのワグネルの活動が増加する結果になった。

スーダン軍とRSFの戦闘で黒煙が上がるスーダンの首都ハルツーム=19日

ブルハン氏やスーダン軍も以前、ロシアから支援を受けていた。ブルハン、ダガロ両氏は今回の戦闘が始まる前は共同歩調を取っており、2019年と21年には共にクーデータを主導した。両氏はまた、アラブ首長国連邦(UAE)やサウジアラビアの支援も以前受けていた。

UAEとサウジアラビアはスーダンでの衝突の余波がより広い地域に及ぶことを懸念し、スーダンに事態の鎮静化を求めている。

それでも、外国勢力はこの紛争への介入を既に始めている。エジプトはブルハン氏と長年の関係があり、権力闘争でひそかに同氏を支援していたとスーダンや地域の外交筋は語る。衝突が発生した日、スーダン北部の軍の空港にいたエジプト軍兵士らが身柄を拘束され、数日後に解放される一幕もあった。

RSFはCNNに寄せた声明で、ロシアやリビアから支援を受け取っていることを否定。ハフタル氏やワグネルのトップ、エフゲニー・プリゴジン氏のコメントは得られなかった。
2023.04.21 14:38 | 固定リンク | 戦争
中国の海外警察拠点
2023.04.21
  中国の海外警察拠点に関する質問主意書

神谷宗幣

 令和四年九月二十九日付け米FOX NEWSウェブ版は、スペインに本部を置く人権監視団体NGO「Safeguard Defenders」が九月に発行した「海外一一〇番:中国の国境を越えた警察の暴走(110 Overseas : Chinese Transnational Policing Gone Wild)」と題するレポートを引用し、中国警察は米国やカナダに中国系市民を監視するための海外拠点を開設していると報じている。

 同NGOのレポートによると、中国政府は、海外在住中国人による詐欺事件が問題となっているため、二〇二一年四月から二〇二二年七月までに二十三万人の詐欺容疑者に対して、中国への「帰国説得」に成功したと公表している。

 「帰国説得」とは、中国の警察当局が海外に設置した拠点等を活用して、海外在住容疑者を帰国させるもので、同レポートによると、その方法として、次の(一)から(三)があるとしている。

(一) 海外在住容疑者の中国にいる家族を探し出し、脅迫、嫌がらせ、拘留、監禁などの手段で圧力をかけ、逃亡犯を自主的に帰国させるよう家族を説得する。

(二) 海外在住容疑者に直接アプローチする。オンラインで容疑者に接近又は海外潜入捜査官や代理人を派遣して、逃亡犯に脅迫や嫌がらせをして帰国を促す。

(三) 海外在住容疑者を誘拐して強制的に帰国させる。

 また、同レポートはこのような中国警察の海外拠点は世界中に存在しているとして、その一部について、中国メディアの記事を引用し、その具体的な所在地リストを公表している。

 それによると、東京都内にも中国警察の海外拠点として、「福州公安」の「海外一一〇番警察報告服務台」が存在するとしており、その所在地と名称を明らかにしている。

 そこで以下質問する。

一 政府は、中国警察の海外拠点が我が国国内に存在し、右のような捜査・取締りに準じた活動を行っている事実を把握しているか。把握しているのであれば、これは国際捜査共助等に関する法律に基づいて実施されているものか。

二 中国の捜査当局が我が国国内で、右のような捜査・取締り活動を展開しているのであれば、我が国の司法権や日本国憲法が保障する人権諸規定を侵害するものではないか、政府の見解如何。

三 前記NGOのレポートは、こうした中国警察の海外拠点と中国共産党の統一戦線工作組織との結び付きを示唆している。我が国における中国共産党統一戦線工作組織について二〇一八年二月十二日付け新華網日本語版は「二月十一日、東京都文京区の日中友好会館で、全日本華人中国和平統一促進協議会を設立した」旨を報じている。こうした組織が我が国で何を目的にどのような活動をしているのか政府として把握しているか。

■参議院議員神谷宗幣君提出中国の海外警察拠点に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

  参議院議員神谷宗幣君提出中国の海外警察拠点に関する質問に対する答弁書

一及び三について

 お尋ねについてお答えすることは、我が国の情報収集能力等を明らかにするおそれがあることから、差し控えたい。

二について

 お尋ねについては、「我が国の司法権や日本国憲法が保障する人権諸規定を侵害する」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではなく、また、個別具体的な状況に即して判断されるものであり、一概にお答えすることは困難であるが、一般論としては、外国又はその機関が我が国の領域内で公権力の行使と呼ばれるような行為を我が国の同意を得ずに行うことは、我が国に対する主権の侵害となると認識している。
2023.04.21 13:31 | 固定リンク | 防衛

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