ペンタゴン「漏洩した極秘情報とは?」
2023.04.09

ペンタゴンから流出、ウクライナ軍事支援の機密流出か SNS上、米国防総省が経緯調査 ウクライナを危険にさらす

 ロシアによる侵攻を受けるウクライナに米国やNATOが進めている軍事支援の機密文書がSNS上で拡散していたと報じた。米国防総省もこれらの機密流出を把握しており、事実関係の調査に乗り出した。

 同紙は、ウクライナ軍による反攻の阻止を図るロシア軍にとって貴重な情報になるとの専門家の見方を紹介。拡散した機密文書のうち、死傷者数などの記載にはロシア側に有利な改変の形跡が認められるとも伝えた。

 機密文書はツイッターやテレグラムで拡散。ウクライナ軍への武器供与計画や、現場の部隊の戦力、訓練時期などに関する情報が記載されているもようだ。

 ウクライナによるロシア攻撃に先立ち、アメリカとNATOがウクライナ軍を増強させるために立てた極秘計画の詳細を記した機密文書が、今週、米露のソーシャル・メディア上で拡散され、漏洩した。米紙ニューヨーク・タイムズ(4月6日付電子版)が、 バイデン政権の高官から得た情報として報じている。

 「トップ・シークレット」とラベル付けされ、「3月1日時点でのコンフリクト状況」と記されているその機密文書は、ツイッター及びロシアで約5億人の利用者を有す「テレグラム」というSNS上に投稿されたという。

 バイデン政権はその投稿を削除しようとしたが、うまくいっていないようだ。この機密文書は何者かによってリークされたか、あるいは、盗難されたと考えられており、ペンタゴンは現在調査中だ。

 機密文書には、極秘にされてきた重要な情報が含まれているという。たとえば、アメリカがウクライナに供与している高機動ロケット砲システムの使用率だ。高機動ロケット砲システムは、遠隔地から、弾薬庫やインフラ、軍隊密集地域などのターゲットを攻撃することを可能するシステムだ。ペンタゴンはこれまで、ウクライナ軍がどれだけの頻度でこのシステムを使用しているか公表していなかったが、この文書はそれを明らかにしているという。

 また、機密文書は、いつ、どこで、どのようにウクライナ軍が攻撃を始めるかなどの具体的な戦闘計画は提示していないものの、兵器や軍隊の輸送予定、増強されるウクライナ兵の数、ウクライナ軍の部隊、装備、トレーニング、1月から4月までのスケジュールなどの重要な情報も含んでいるという。9つの軍隊に必要な装備は、戦車250台以上、機械化車両350台以上という具体的な数まで記されているようだ。

 さらに、この機密文書にはオリジナルの文書を変更している部分があると見られることから、ロシア政府がプロパガンダのために変更したのではないかとアナリストは分析している。

 例えば、文書はロシア兵の死者数は1万6,000人から1万7,500人と過小評価し、反対に、ウクライナ兵の死者数は7万1,500人と過大評価しているという。ペンタゴンはウクライナとロシアの死傷者数を20万人と推定していることから、アナリストはロシア政府による偽情報作戦ではないかと述べている。

 同紙は「ウクライナを支援する取り組みにおける、アメリカ情報機関の重大な(義務の)不履行」と機密情報が守られなかった事態を問題視している。
2023.04.09 19:45 | 固定リンク | 戦争
中国の攻撃否定=「陸自事故」
2023.04.09


攻撃受けた可能性は? 防衛省幹部に聞く陸自ヘリ不明の理由 中国の攻撃否定

 沖縄県・宮古島周辺で陸上自衛隊員10人が乗ったヘリコプターが消息を絶った事故は、原因がはっきりしないことからインターネット上では外部から攻撃を受けたとの臆測が飛び交っている。その可能性について防衛省関係者に取材した。

 ヘリは、航空自衛隊宮古島分屯基地を6日午後3時46分ごろ離陸。54分ごろの無線連絡を最後に、56分ごろにレーダーから機影が消失した。陸上幕僚長は同日夜、現場海域で機材らしきものが発見されていることなどを理由に「航空事故」と表明した。

 その後、インターネット上ではヘリが中国軍の攻撃を受けて墜落したのではといった内容の書き込みが相次いだ。前日の5日に中国海軍の空母「山東」が沖縄の南で初めて確認されていたことから、関与を示唆するような書きぶりもあった。事故後に海上でヘリの一部とみられるものが見つかったことも、攻撃で破壊されたと受け止められる一因となったようだ。

 攻撃の手法として指摘されたのは、ミサイルが撃ち込まれたといった直接的なものと、機体に不具合を起こす電波を発信したという間接的なものだ。

 実際はどうなのか。

 ヘリの任務に精通した防衛省幹部によると、ミサイルで攻撃を受ければ大音量の爆発音がとどろき、機体は粉々に砕け散るという。しかし今回の事故では大きな音を聞いたという地元の証言はなく、ミサイルで破壊されれば海上に多数浮かんでいるはずの残骸も確認されていない。見つかったのは外れやすい機体の外側の部品とみられるものばかりだという。

 ミサイルを発射できる戦闘機や、ヘリに体当たりできるドローンを含め、国籍不明機の領空への接近も確認されていない。国外からミサイルが発射されたとすればレーダーで捕捉されるが、飛翔体(ひしょうたい)も探知されていない。こうしたことから、ミサイルによる攻撃を受けた可能性はないと判断されているという。

 機体に不具合を起こすような妨害電波による攻撃はなかったのか。

 同じ防衛省幹部によると、機体を対象とした電波だとしても、その影響は機体周辺の広範囲に広がり、管制塔のレーダーにもノイズが乗ったり、通信不通になったりと異常が出ることは避けられない。だが、そうした報告はなく、民間の通信機器などへの影響も今のところ確認されていない。妨害電波は航空機や艦艇だけでなく車両でも発射できるとされるが、地上から妨害する行為について「そこまでのリスクを冒すことは考えにくい」。この可能性もないと判断されている。
2023.04.09 15:50 | 固定リンク | 防衛

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