ロシア北方領土演習「只の威嚇」か
2023.04.18
ロシアの太平洋艦隊は、日本のウクライナ追加支援を牽制するため北方領土でミサイル発射訓練などを行っただが、日本を脅すほどの戦闘力はない、と米シンクタンクが分析した

北方領土で演習のロシア太平洋艦隊は日本を脅かせるほど強くない──米ISW

ロシア海軍がアジア太平洋地域で軍事・安全保障任務を遂行するためにある太平洋艦隊は、他国から脅威とみなされるには「戦闘力」不足の可能性が高いと、米シンクタンクが指摘した。

アメリカのシンクタンク戦争研究所(ISW)は、4月14日にウクライナ戦争に関する最新の分析を発表。ロシア軍が太平洋艦隊の抜き打ち検査の一環としてミサイル発射と魚雷のテストを実施したことについてコメントした。

ロシア政府は目前に迫った5月のG7サミットにおいて日本のさらなるウクライナ支援を抑止する材料として、太平洋艦隊の戦闘点検で威嚇しようとしたのだろう、とISWは述べている。

ドイツのキール世界経済研究所が4月4日に発表したデータによると、この戦争が始まってから、日本がウクライナに提供した援助の総額は、2月24日の時点で56億6000万ユーロ(62億ドル)に達している。

ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相は14日、今回の抜き打ち検査の目的は 「海洋における敵の攻撃を撃退するために、軍隊の能力を高めることだ」と、国営テレビで発表した。

この検査は「あらゆる戦略的方向で任務を遂行するための軍司令部や各部隊の状態を評価し、準備態勢を高めること」をめざすものだ、とショイグは述べ、それには千島列島南部とサハリン島に上陸する敵を撃退する能力も含まれる、と付け加えた。

■対ウクライナ追加支援を警戒

千島列島の国後、択捉、色丹、歯舞の4島は、第二次世界大戦の終結時にソ連が占領し、自国領に「編入」した島々だ。日本はこの4島を日本固有の「北方領土」と主張しており、この問題で日露関係は何十年にもわたって緊張している。第二次大戦を正式に終結させる平和条約が日露間で締結されなかったのは、日本が領有権を主張し、ロシアが占領している島々をめぐる紛争が主な理由となっている。

この4島は日本の北海道とロシアのカムチャッカ半島の間に位置するため、多くの軍事的、政治的な利点がある。

5月19日から21日にかけて開催されるG7サミットで議長を務める予定の岸田文雄首相は、3月にウクライナの首都キーウをサプライズ訪問。議長国を務める日本として「ウクライナ侵略への対応を主導する決意を示すことができた」と語った。

「ロシアの東部を管轄する東部軍管区(EMD)は最近、日本の千島列島の北に位置する幌筵島(パラムシル島)に、ロシアが開発した沿岸防衛用地対艦ミサイルシステムの砲台を配備した。これは日本がウクライナへの追加支援を行うことに対する警告であろうと当研究所は評価した」とISWは報告している。

ISWは、広島で開催されるG7で日本がウクライナへの支援を増やさないように、ロシアは北太平洋で「軍事態勢」をとり、日本の鼻先で軍備増強をしてみせようとしている可能性が高いと述べた。

だがISWの評価によれば、ロシア軍は「現時点で日本を脅かす立場にない」という。そして、太平洋艦隊の第40海軍歩兵旅団と第155海軍歩兵旅団の部隊が、昨年末と今年初めにウクライナ東部ドネツク州のヴフレダール付近の戦闘で、大きな損害を被ったことを指摘した。

「太平洋艦隊は、太平洋地域におけるロシアのパワー・プロジェクション(戦力投射)能力に必要な戦闘力が不足しているようだ。そうであれば、日本にとっての真の脅威となるような姿勢を見せたり、対等な軍事大国であることを中国に確信させたりすることは難しい」と、ISWは主張している。
2023.04.18 16:42 | 固定リンク | 戦争
「食中毒」激痛=アニサキス
2023.04.18


【食中毒】「針かナイフで胃をチクチク」激痛襲う“アニサキス”食中毒はナゼ増えた?専門家が指摘する意外な理由

白い糸状の虫、この画像、最近目にする機会が増えました。これは、「アニサキス」。寄生虫の一種でその幼虫が食中毒の原因となります。サバ・イワシ・カツオ・イカなど魚介類の内臓に寄生しますが、魚が死んで時間が経つと、筋肉、つまり刺身の部分に移動します。宮城県内では今年8件の食中毒が確認されていて、すでに去年を上回っています。

■アニサキス症になった男性の「痛すぎる」体験談

症状の特徴は、激しい胃の痛み。経験したことのある男性がtbcの取材に応じてくれました。

アニサキス症になった男性:
「(寝ていたら)全身がかゆいような、そこで異変に気付いた。20分~30分ぐらいしてから、みぞおち胃のあたりがキリキリキリと絞られているような痛みというか。針なのかナイフなのか鋭利なものでチクチクやられるような痛み。経験したことのない痛みだった」

岩沼市に住む30代男性。4月、市内のスーパーでイワシの刺身を購入し食べた4時間後、体に異変が起こりました。

市販の鎮痛剤を飲んでも痛みが和らぐことはなく、翌日、医療機関を受診し、胃からアニサキスが一匹見つかりました。

アニサキス症になった男性:
「(アニサキスについて)聞いたことはあったが、申し訳ないがまさかスーパーで売っている刺身でそうなるとは頭になかった。気を付けなければと」

アニサキスが胃の中で動くことから激しい痛みを引き起こします。強くなったり弱くなったり痛みの「波」があるなど個人差がみられるとのことですが、「特効薬」はないということです。

では、未然に防ぐにはどうすれば良いのでしょうか。

■鮮魚店での対策を取材!「目視」重要です

主な対策です。まずは冷凍、マイナス20度で24時間以上。そして加熱、中までしっかり火を通すことでアニサキスは死滅します。あとは、目視で確認することも重要です。

こちらは、フグの白子ですが、丸まっている白っぽいのが見えますね。
これがアニサキスです。鮮魚店では細心の注意を払って調理をしています。

仙台朝市の鮮魚店、金華山に話を聞きました。

金華山店主・田畑義照さん:
「頭と内臓を取って腹を洗う。ここに内臓が入っていたのでできるだけ(アニサキスがいないか)見て、腹の部分を大きめに取っちゃう」

内臓を取り除いたらさらに、腹の部分を細かく見ます。

金華山店主・田畑義照さん:
「第一段階としては目視で確認これが対策の一つ」

刺身にするときも1枚1枚、断面を確認します。

また、魚を仕入れる飲食店も「目視」が重要と話します。

鮮魚店を利用する飲食店店主:
「一番アナログかもしれないが目視を重用している。どんなに忙しくても刺身を切るときは絶対目を離さない」

次に見せてもらったのは、大型の冷凍庫です。

金華山店主・田畑義照さん:
「しめサバです。生の状態のサバをおろして、しめサバにして冷凍して、アニサキスが消滅するので解凍してお客様に提供します」

店では、マイナス50度ほどで魚を保管。特に注意が必要な「サバ」は酢で絞めてから、24時間以上冷凍することを徹底しています。

金華山店主・田畑義照さん:
「大事なのは対面して客と話すこと。安心して食べてもらいたいという気持ちはみんな一緒だと思う。食べる方も提供する方もしっかとした知識をもって販売、食べることを心がければ(被害は)減ると思う」

冷凍に関して、家庭用の冷凍庫でも大丈夫なのでしょうか。

■「中まで火が通るような調理が必要」

家庭でできることについては、専門家に話を伺いました。

水産化学が専門 東北大学 落合芳博名誉教授:
「家庭の冷凍庫だとマイナス20度までいかない場合もある(扉を)開け閉めしたりすると温度があがる。長期間冷凍で保管する。完全に凍結すれば死滅する」

酢やわさびなどは、アニサキスに効果はあるのでしょうか?

水産化学が専門 東北大学 落合芳博名誉教授:
「まったくない。炙りも表面しか焦がしていないので、中で生き残っている可能性がある。中まで火が通るような調理が必要」

アニサキスは寄生している魚が死んで、時間が経つと内臓から刺身の部分に移動するため、落合名誉教授は、「生の魚の場合は、新鮮で身が硬いものを選ぶことが大事なポイント」と話していました。
2023.04.18 09:29 | 固定リンク | 速報

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