日銀・植田和男総裁「会見」=期待大
2023.04.10


日銀・植田和男総裁が就任、新体制が本格始動…経済情勢や今後の金融政策を説明へ

 日銀新総裁候補・植田和男氏は「バランス型」の論客…「理論と実務を融合できる」と評価

 10年国債の流通利回り、一時0・5%まで上昇…日銀の人事方針受け

 10日の東京債券市場で、長期金利の代表的な指標となる新発10年物国債の流通利回りが一時、日本銀行が上限とする0・5%まで上昇(債券価格は下落)した。0・5%まで上昇するのは1月18日以来ぶり。

 日銀が先月18日に金利政策を維持すると発表した後、直前まで上限の0・5%を上回っていた利回りは低下し、足元では0・4%台で推移していた。

 10日午後の取引では、4月8日に任期満了を迎える日銀の黒田 東彦はるひこ 総裁の後任について、政府が植田和男・元日銀審議委員を充てる方針を固めたと伝わり、金融政策が修正されるとの警戒感から利回りの上昇圧力が高まった。

 日本銀行の植田和男総裁(71)が9日付で就任し、新体制が10日、本格始動した。物価高が広がる中で、10年にわたる大規模な金融緩和をどのように修正するかが焦点となる。植田氏は10日夜、日銀本店で記者会見し、国内の経済・物価情勢や、今後の金融政策について考え方を説明する見通しだ。

 総裁任期は1期5年。植田氏は東大や共立女子大で教授を務め、日銀初の経済学者出身の総裁となる。1998~2005年には日銀で金融政策の決定に関わる審議委員を務め、量的緩和の導入決定などに携わった。

 植田氏はこれまでの金融緩和を「適切」としつつも、市場金利が下がり過ぎるなどの悪影響(副作用)を注視する考えを示している。米欧で金融不安が高まり、経済の先行き不透明感は根強い。賃上げが伴う安定的な物価上昇率2%の実現に向けて道筋をつけられるかどうかが問われる。

 記者会見には、3月に副総裁に就任した氷見野良三(62)、内田真一(60)両氏も同席する。

 政府が日本銀行の新総裁への起用方針を固めた植田和男氏(71)は、国際経済学を専門に学術界に身を置いてきた生粋の経済学者だ。

 日銀で審議委員を務めた1998年からの7年間は、日本が激動の時代だった。植田氏はたびたび、金融政策決定会合での議論に、一石を投じた。

 日本長期信用銀行などが経営破綻した金融危機から日本経済が回復する過程だった2000年8月、ゼロ金利解除が議論になった決定会合で、反対票を投じた。デフレへ戻ってしまうことへの懸念があった。一方で、景気の悪化を受けて再び金融緩和に進む01年に導入した、市場に大量のお金を供給する量的緩和については「積極的な意味が見いだしがたい」と慎重論を展開した。

 日銀審議委員を退いた後も、英語が堪能なことから、日銀が主催する世界の中央銀行トップ経験者や著名な学者を呼んだ国際シンポジウムで討議の座長も務める。現在も日銀金融研究所の特別顧問で、日銀職員をはじめ、国内外の識者からの信頼が厚い。

 植田氏が金融政策に関わっていたころからよく知る、東短リサーチの加藤出・チーフエコノミストは「金融政策決定会合の議論をリードした論客で、理論と実務を融合できる資質を持つ」と、評価する。物価が持続的に下落するデフレからの脱却を掲げて大胆な金融緩和に積極的だった現在の黒田 東彦はるひこ 総裁とは異なる「バランス型」との見方が多い。

 日銀は黒田氏体制の下で、市場に、前例のない規模でお金を供給してきた。植田氏は読売新聞などに対する10日夜の取材で、日銀の金融政策を正常化する「出口戦略」について、「本当に出口に行くとしたら難しい問題で、そのことは百も承知している」と語った。

 植田氏は、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用委員会で委員長も務めたほか、日本政策投資銀行で社外取締役を務め、政府系の仕事も担う。新総裁として、政府と連携しつつ、日本経済のかじ取り役としての手腕が問われる。

2023.04.10 19:34 | 固定リンク | 経済
米テスラ、中国投資拡大「メガパック」工場新設
2023.04.10
米テスラ、中国に蓄電池工場 年1万基生産へ(1基3600世帯供給)「メガパック」工場新設


テスラ、上海に「メガパック」工場を設置へ…米以外で初の大型蓄電システム生産拠点に 中国投資拡大

 中国国営新華社通信などは9日、米電気自動車(EV)大手のテスラが上海市浦東新区に大型蓄電池「メガパック」の工場を建設すると報じた。

 カリフォルニア州ラスロップに次ぐ2カ所目のメガパック生産拠点となる。テスラにとっては、同新区にあるEV工場「ギガファクトリー3」に続く大規模対中投資となる。

 電気自動車(EV)メーカー、米テスラは中国・上海市に新たなバッテリー工場を建設する。米中の緊張が高まりつつある中、中国での投資を拡大する。

 テスラはこの新工場で大型蓄電池「メガパック」を生産する。同社は上海市にEVを製造するギガファクトリーをすでに設けている。イーロン・マスク氏率いるテスラは上海での同プロジェクト調印式でメガパック工場の新設を発表した。マスク氏は中国を訪問中とされている。

 調印式にはテスラの自動車事業担当シニアバイスプレジデントを務める朱暁彤(トム・チュー)氏や、上海政府高官らが出席した。

 テスラの発表によると、今年第3四半期(7-9月)に建設開始の予定。来年第2四半期(4-6月)に生産を開始する。

 メガパックは電力網の安定化に貢献することを意図した大規模バッテリー。新工場は年1万のメガパック、約40ギガワット時(GWh)相当の蓄電分を当初製造する予定で、世界中で販売されるという。

 エネルギー貯蔵製品への需要が高まっていることを受け、中国で生産量の拡大を図る。今年7~9月期に着工し、来年4~6月期に生産を開始。生産能力は年約40ギガワット時で、メガパックを年間1万基生産する見込みという。

 中国国営新華社通信は9日、米電気自動車(EV)大手テスラが上海市に大型蓄電システム「メガパック」の生産工場を設けると報じた。2019年から同市内の巨大工場でEVを生産しており、対中投資を一段と強化する。

 工場は来年春以降に操業を開始し、年間1万台のメガパックを生産する予定。メガパック1台で3600世帯の1時間分の電力需要に相当する電力を蓄えられる。テスラはEVのほかにも、再生可能エネルギーに不可欠となる蓄電システムを主力事業に位置づけ、日本を含めた各国で販売している。米国以外にメガパックの生産拠点を設けるのは初めてという。

 米メディアによると、イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は現在中国を訪問中とされ、10日に上海工場を視察する予定。

2023.04.10 09:39 | 固定リンク | 経済

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