台湾海底ケーブル切断「中国のテロ!」
2023.03.06
台湾 通信用海底ケーブル 1週間に2本切れる 中国船が切断「中国のテロ!」


海底ケーブル切断で電話やネット遮断、中国船関与か…台湾本島で同様の事態懸念

 2月上旬、台湾本島と離島を結ぶ通信用の海底ケーブルが切れる事案が1週間のうちに2件起き、台湾当局はいずれも中国の漁船や貨物船が付近の海域を通過した際に切断された疑いがあると見て調べています。

 台湾の通信会社の中華電信によりますと、今月2日、台湾本島と中国福建省に近い離島の馬祖島を結ぶ海底ケーブルのうち1本が切れ、8日にも別の1本が切れました。

 中華電信は海上保安当局に通報するとともに、馬祖島での通信サービスをマイクロ波伝送装置などに代替しているということです。

 台湾で通信行政を担当するNCCは、海上を移動する船舶の識別情報などから、2日の切断は中国籍の漁船が、8日の切断は中国籍の貨物船が、それぞれ付近の海域を通過した際に起きた疑いがあると見ていて、切断の原因をさらに詳しく調べることにしています。

 NCCによりますと、台湾本島と馬祖島を結ぶ海底ケーブルの切断などによる通信障害は、おととしに5件、去年も4件起きています。

 当局や通信業界の関係者の間では、海底の砂を採取する中国船の活動が近年、活発化していることが影響しているという指摘もあります。

 台湾では「海底ケーブルの切断が頻繁に起きるのは安全保障上の問題だ」として、当局に今回の問題を重視するよう求める声もあがっています。

 台湾が実効支配する馬祖列島と台湾本島を結ぶ通信用の海底ケーブル2本が2月上旬に相次いで切断され、島民の生活に支障が出た。中国の船舶が関与したとみられ、台湾有事となれば本島が同様の事態に陥る懸念が強まっている。

 「島外の情報が入らず、本当の『孤島』になった」。馬祖列島の南竿島で民宿を営む男性(33)は発生時、SNSを利用できず、不安が募った。3月に入ってもスマートフォンのデータ通信はつながりにくい。有線のネット回線は不通が続く。

 ケーブルは2月2日に1本目が切断され、8日に2本目が切れた。馬祖列島にはケーブルが2本しかなく、8日の切断直後に島外との電話やネットが遮断された。航空券の予約やネットバンキングができなくなり、買い物などで混乱が生じた。

 通信会社は発生後、本島からマイクロ波を送信して通信を確保したが、病院や行政機関などの利用が優先される。ケーブルの修理は4月20日に始まる予定だ。

 台湾当局は切断時に海上を航行した船舶の記録から、中国の漁船と貨物船が関与したと見ている。武力攻撃とは判断できない侵害行為「グレーゾーン事態」に該当するとの声が与党・民進党関係者らから上がる。

 台湾当局によると2020年以降、ケーブルの人為的な切断は30件あった。世界のケーブル損傷は年100~200件程度とされ、台湾の頻度は比較的高い。

 本島と馬祖列島や金門島、澎湖諸島などの離島や、離島同士を結ぶケーブルが被害に遭った。30件のうち漁船や海砂採取船が切断したケースは21件に及ぶ。離島周辺では、以前から中国の漁船や海砂採取船の強引な作業が問題となっていた。

◆ 馬祖列島 …中国福建省東沖の36の小島。中国に最も近い島は約10キロの距離にある。1949年に内戦で敗れた国民党政権が台湾に移った後、防衛の拠点となり、50年代には中国から砲撃を受けた。今も台湾軍が駐屯し、昨夏には中国からとみられる無人機の飛来が確認された。昨年12月時点の人口は約1万4000人。

台湾有事へ対策急ぐ
 ケーブル切断は 蔡英文ツァイインウェン 政権に通信確保の重要性を改めて認識させた。本島には、日本や米国、中国などと結ぶケーブルが10本以上通っているが、ケーブルの上陸地点は4か所しかない。有事になれば狙われ、遮断の恐れがある。台湾・国防安全研究院の曽怡碩氏は「外部情報が入らなくなった民衆がパニックに陥る危険性がある」と指摘する。

 切断された場合、通信確保の手段としてはマイクロ波のほかに衛星がある。ロシアに侵略されたウクライナに、米スペースXが衛星通信網「スターリンク」の高速通信サービスを提供してきた実績が知られる。

 蔡政権は有事の際にもネット環境を保つため、昨年から独自に衛星通信網を整備する計画に着手した。通信当局の幹部は「多様なバックアップシステムを整え、何が起きても通信を確保する」と述べた。
2023.03.06 15:37 | 固定リンク | 戦争

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