ウクライナ「ロシア領(石油貯所)攻撃全壊に」
2023.03.01


ウクライナの無人偵察機が、クラスノダール地方のトゥアプセにある石油貯所を攻撃。トゥアプセは、ウクライナから 450 km 以上離れています。

ロシア国防省は2月28日、ウクライナがロシア南部クラスノダール地方とアドイゲヤ共和国にドローン(無人機)攻撃を試みたと発表した。これとは別に、モスクワ州のボロビヨフ知事は同州コロムナの近郊にウクライナのドローンが墜落したと明らかにした。

クラスノダール地方とアドイゲヤ共和国のドローンについて、同省は「ロシア連邦軍の電子戦部隊によって制圧された」とし、いずれのドローンも標的には命中しなかったと説明した。

同省の声明には「ドローン2機は制御不能に陥り、飛行経路から外れた。1機は野原に墜落し、もう1機は民間インフラ施設を攻撃したが害を及ぼさなかった」とある。

ソーシャルメディアに投稿され、CNNが撮影場所を特定した動画には、クラスノダール地方トゥアプセの黒海沿岸にある石油最大手ロスネスチの石油保管施設で火災が発生している様子が映っている。

同施設が意図した標的だったかどうかは不明だが、ウクライナ軍は以前、ロシアが支配する地域にある石油保管施設を標的にしたことがある。

一方、モスクワ州でのドローン墜落について、ボロビヨフ知事は「おそらく民間のインフラ施設が標的だった。負傷者や地上の被害はない。連邦保安庁などが対処しており、住民の安全を脅かすものはない」と説明した。

ロシア国営RIAノーボスチ通信は、ウクライナ製の攻撃ドローンUJ22に似ていると思われるドローンの写真を掲載した。UJ22は最長800キロ飛行できる。

今回の一連のドローン攻撃がウクライナによるものかどうか、CNNは独自に確認できていない。また、ウクライナはロシア領内への攻撃についてコメントしていない。
2023.03.01 16:00 | 固定リンク | 戦争
中国12項目の和平提案要旨
2023.03.01

中国の「和平案」 まずロシアに撤退を求めよ ドイツショルツ首相「幻想を抱くべきではない」 ゼレンスキー氏「北京で政府関係者と話し合い要求」

※下記に12項目の主な内容記載

 中国が本気でウクライナ危機の解決を目指すというのなら、まずロシアに軍部隊の撤退を求めるのが筋である。それがなくては、国際社会の理解は得られまい。

 ロシアのウクライナ侵略から1年に合わせ、中国が自国の立場を示す文書を発表した。

 主権と領土の一体性の尊重や、停戦の実現、和平交渉の開始など12項目を提案し、一見すると、「和平案」と受け取れる内容だ。ロシアが核の威嚇を続ける中で、核兵器使用や原子力発電所への攻撃に反対する立場も明記した。

 中国はこれまで、侵略を批判せず、ロシア産原油の輸入拡大などでロシアを支えてきた。一方で、事態が長期化すれば、経済の回復や欧州との関係改善が遅れることにもなるため、早期収拾が望ましいという事情もある。

 今回の提案は、中国が中立的で、和平に積極的だとの印象を国際社会に広く植え付けようという戦術に見える。

 問題は、和平案が停戦を実現するための具体策に言及していないことだ。露軍がウクライナから撤退することなしに、停戦や交渉を促すことは、結果的にロシアの支配を正当化することになる。

 習近平国家主席はこの1年でロシアのプーチン大統領と4回会談しているが、ウクライナのゼレンスキー大統領との対話は行っていない。ウクライナ側の主張に直接耳を傾けずに、どうやって和平を達成するというのか。

 米国は、中国がロシアに、これまで自制してきた殺傷力のある武器の提供を検討しているとして、強い懸念を示した。中国企業がロシアとの間で、自爆型無人機の売却や製造支援を交渉しているとも報じられている。

 中国が、ロシアの早期の勝利を導くために、武器支援という一線を越えようとしているとすれば、危険極まりない。

 支援に踏み切れば、中国はロシアによる主権と領土の侵害に直接加担することになる。国際社会の対中圧力強化によって孤立が深まるのは確実だ。ロシアに武器を提供する意思がないというなら、明確に表明すべきではないか。

 プーチン氏は、中国高官との会談で、習氏のロシア訪問を待ち望んでいると強調した。侵略の泥沼化を受けて、中国依存が強まっていることの表れである。

 中国のロシアへの影響力は増大した。習氏はこの状態を踏まえ、和平への道は露軍撤退しかないことをプーチン氏に説くべきだ。

■中国「12項目」文書にゼレンスキー氏「当事国だけが和平案を提案できる」

 ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は24日、ロシアによる侵略開始から1年に合わせて記者会見を開いた。中国外務省が、ウクライナ危機の政治解決に向けた文書を発表したことに対し、「戦争の当事国だけが和平案を提案できる」と慎重な立場を示した。一方で、 習近平シージンピン 国家主席と会談する用意があると明らかにした。

 中国は「中国の立場」とする文書で「各国の主権尊重」や「停戦」、「和平交渉の開始」など12項目の提案を示した。

 ゼレンスキー氏は12項目の中に「いくつか同意できない項目がある」と述べ、ウクライナの領土保全や露軍のウクライナからの撤退などが明記されていないことに不満をにじませた。

 ウクライナは、露軍の完全撤退や全領土の返還などを求める「10項目の和平案」を公表している。ウクライナの外相は24日、地元メディアに対し、中国が項目に「一方的な制裁の停止」を盛り込んだことについて、「(対露)制裁は重要な手段で制裁停止には同意できない」と述べた。

 一方、記者会見でゼレンスキー氏は、中国の習氏との会談について、「世界の安全保障のために有益だと考える」と前向きな姿勢を示した。習氏が訪露し、プーチン大統領と面会する前に、会ってクギをさしたいとの狙いもあるとみられる。米欧が指摘する中国の対露軍事支援の可能性については、「ないと強く信じたい」と述べた。

 ゼレンスキー氏はこの日、2時間半にわたって熱弁をふるった。

 露軍は24日も東部ドンバス地方(ドネツク、ルハンスク州)で激しい攻撃を続けた。

 ウクライナ軍参謀本部によると、25日朝までの24時間で、計27回の空爆があったという。東部ドニプロペトロウシク州当局は24日、州内で計100発以上の砲撃があったと発表した。

■中国発「ウクライナ和平案」12項目

 中国はロシアのウクライナ侵攻1年目を迎えるにあたり、ロシアとウクライナ両国に対し、12項目からなる和平案を提示し、停戦に向け調停役を買って出てきた。中国外務省は24日、ウェブサイトで12項目の和平案を掲載し、両国に紛争の「政治的解決」を求めている。

「ウクライナ危機への政治的解決のための中国の立場」とタイトルされた和平案では、両国にできるだけ早い時期に直接対話の再開を要求し、「紛争当事者は国際人権を厳守し、民間人や民間施設への攻撃を回避しなければならない」と求めると共に、「核兵器の使用は絶対にあってはならない」と要求している。以下、中国の12項目からなるウクライナ和平案を紹介する。

1) 国家の主権を尊重:一般に認められている国際法と国連憲章は「厳密に」遵守されなければならない。
2) 冷戦の考え方を放棄、自国の安全のために他国を犠牲にしてはならない。
3) 敵対行為をやめる:全ての当事者は「合理性を保ち、自制を保ち」、紛争を煽ってはならない。
4) 和平交渉の再開:対話と交渉がウクライナ危機に対する唯一の実行可能な解決策だ。
5) 人道危機の解決:人道危機の緩和に貢献する全ての行動は「奨励され、支援されなければならない」
6) 民間人と戦争捕虜の保護:全ての紛争当事者は、国際法を遵守し、民間人や民間インフラへの攻撃を回避する必要がある。
7) 原子力発電所の安全確保:原子力発電所への武力攻撃を拒否する。
8) 戦略的リスクの軽減:核兵器は使用されるべきではなく、核戦争は行われるべきではない。
9) 穀物輸出の促進:全ての当事者は黒海穀物協定を実施する必要がある。
10) 一方的な制裁を止める:一方的な制裁と圧力は問題を解決できず、新しい問題を生み出すだけだ。
11) サプライチェーンの安定化:全ての関係者は、既存の世界貿易システムを維持し、世界経済を政治目的の武器に使用してはならない。
12) 復興計画:国際社会は、影響を受けた地域で紛争後の復興を実施するための措置を講じるべきだ。

 12項目の中で、1)はウクライナに軍を侵攻させたプーチン大統領への批判になる一方、「台湾の軍事的統合」を図る中国共産党政権にとっては100%歓迎される内容とは言えない。ただし、紛争の和平案という以上、加害者側の国家主権蹂躙を指摘せざるを得なかったわけだ。6)のロシア軍の戦争犯罪行為を想起するならば、ロシア側にとっては歓迎されない項目だ。和平案では、民間人を安全な場所に連れて行くための人道的回廊の確立、および穀物輸出を確保するための措置も求めている。その一方、10)の「一方的制裁の中止」はロシアの願いに沿う内容だ。

 中国の習近平国家主席は中国外交のトップ、前外相の王毅・共産党政治局員を第59回「ミュンヘン安全保障会議」(MSC)、ハンガリー、そしてロシアに派遣し、世界に向かって中国のウクライナ和平案を提示する考えを示唆し、大国・中国の存在感を誇示しようと腐心している。一方、ゼレンスキー大統領は23日、中国の和平計画について、「北京で政府関係者と話し合いたい。私はまだ和平案の文書を見ていない」と指摘、「中国がウクライナについて話し始めたことは原則として良いことだ」と述べている。

 中国の12項目の和平案をみると、覇権争いをする米国を意識した内容がある。2)はその代表だ。中国の発展を阻止し、人権問題などで干渉し、圧力を行使する米国への批判だ。それを中国側は「冷戦の思想」と呼んでいる。10)の制裁の解除要求はロシアへの西側の経済制裁だけではなく、中国への制裁解除要求と受け取れる。

 中国はロシアにとって数少ない緊密なパートナーシップを維持している国だ。中国はウクライナ戦争でも可能な限り中立を守り、ロシアの侵略を批判する言葉を避けてきた。西側諸国がウクライナに武器を供給していることに対しも、「火に油を注いでいる。戦争を意図的にエスカレートさせている」と繰り返し非難してきた経緯がある。

 ウクライナを支援する欧米諸国は中国がロシアに軍需品などを支援するのではないかと懸念している。そのため、ブリンケン米国務長官は「中国のロシアへの武器支援が発覚すれば、厳しい制裁を科す」と警告してきた。

 北京にとって、対北米貿易はロシアとの経済関係を上回るものだから、ロシアに武器支援をし、米国から更なる厳しい経済制裁を受ければ、中国経済にとって大きなマイナスとなることは明らかだ。北京はそのリスクを犯してまでロシアを支援するだろうか。独週刊誌シュピーゲルは、ロシアが既に中国と無人機について交渉していると報道している。

 いずれにしても、中国発の和平案に対し、プーチン氏の反応が注目される。なお、ドイツのショルツ首相は23日、中国のウクライナ和平仲介に対して、「幻想を抱くべきではない」と警告を発している。

■中国の外交部は2月24日、「ウクライナ危機の政治的解決に関する中国の立場外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」と題する文章を公開した。ロシアのウクライナ侵攻に対する中国の主張を12項目にまとめたもの。

※以下12項目の主な内容
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1,各国の主権尊重

 国連憲章の趣旨と原則を含む、公認された国際法を厳守し、すべての国の主権、独立、領土の完全性を適切に保証する。

 国家は国の規模、強さ、貧富に関わらず平等であり、それぞれが国際関係の基本的な規範を共同で維持し、国際的な公正と正義を守る必要がある。

 国際法は平等かつ統一的に適用されるべきであり、ダブルスタンダードを取るべきではない
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2,冷戦思考の排除

 一国の安全保障は他国の安全保障を損なってはならず、地域の安全保障は軍事グループの強化または拡大によってはならない。

 各国の正当な安全保障上の利益と懸念は重視され、適切に解決されるべきである。

 共同の、包括的、協力的、持続可能な安全保障の概念を堅持し、世界の長期的な安定に焦点を当て、バランスのとれた、効果的で、持続可能なヨーロッパの安全保障の枠組み構築を促進し、自国の安全を他国の危険の上に打ち立てることに反対し、陣営対立の形成を防ぎ、ユーラシア大陸の平和と安定を共同で守るべきである。
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3,停戦、戦闘の終了

 紛争に勝者はいない。 各当事者は理性と自制を維持し、火に油を注がず、衝突を激化させず、ウクライナ危機をさらに悪化させたり、制御不能となることを防止し、ロシアとウクライナが互いに歩み寄ることを支援し、可能な限り早期に直接対話を再開させ、徐々に事態の沈静化と緩和を進め、最終的に全面停戦を達成すべきである。
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4,和平対話の始動

 対話と交渉は、ウクライナ危機を解決する唯一の実行可能な方法である。 危機の平和的な解決に資するあらゆる努力が奨励され、支援されるべきである。

 国際社会は和平を促し対話を促進するという正しい方向を堅持し、紛争の各当事者が危機の政治的解決への扉をできるだけ早く開くことを助け、交渉を再開するための条件を整え、プラットフォームを提供すべきである。中国はこの点で引き続き建設的な役割を果たす。
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5,人道危機の解決

 人道危機の緩和に資するすべての措置が奨励され、支援されるべきである。

 人道行動は、中立性と公平性の原則を順守し、人道問題の政治化を防止しなければならない。

 民間人の安全を適切に保護し、戦闘地域から民間人を避難させるための人道回廊を設立する。

 関連地域への人道支援を強化し、人道状況を改善し、迅速かつ安全でバリアフリーの人道アクセスを提供し、大規模な人道危機を防ぐ。

 紛争地域への人道支援における国連の調整的役割を支援する。
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6,民間人と捕虜の保護

 紛争当事者は、国際人道法を厳守し、民間人や民間施設への攻撃を避け、女性、子供などの紛争被害者を保護し、捕虜の基本的権利を尊重すべきである。

 中国は、ロシアとウクライナの間の捕虜交換を支援しており、それぞれがこのためにより有利な条件を作り上げるべきである。
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7,原子力発電所の安全確保

 原子力発電所などの平和的な核施設への武力攻撃に反対する。

 原子力安全条約およびその他の国際法を順守し、人為的な原子力事故を断固として回避するようそれぞれに呼びかける。

 国際原子力機関の、平和的原子力施設の安全とセキュリティを促進するための建設的な役割を支援する。
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8,戦略的リスクの減少

 核兵器は使用してはならず、核戦争はおこしてはならない。

 核兵器の使用、または使用するという威嚇に反対すべきである。

 核拡散を防止し、核危機を回避する。 いかなる国家のいかなる状況下での、生物化学兵器の開発および使用にも反対する。
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9,食糧の国外輸送の保障

 それぞれが、ロシア、トルコ、ウクライナ、および国連によって署名された黒海穀物輸送イニシアチブをバランスの取れた、包括的かつ効果的な方法で実施し、国連が重要な役割を果たすことを支援すべきである。

 中国が提案した国際的な食糧安全保障協力イニシアチブは、世界的な食糧危機に実行可能な解決策を提供している。
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10,一方的制裁の停止

 一方的な制裁と極度の圧力は、問題を解決できないだけでなく、新たな問題を生み出す。

 安全保障理事会の承認を経ていない一方的な制裁に反対する。

 関係国は、他国に対する一方的な制裁や「ロングアーム管轄」の乱用をやめ、ウクライナ危機を和らげる役割を果たし、また、発展途上国が経済を発展させ、人々の生活を改善するための条件を作り出すべきである。
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11産,業チェーン・サプライチェーンの安定確保

 各自が既存の世界経済システムをしっかりと保護し、世界経済の政治化、手段化、武器化に反対すべきである。

 危機の波及効果を共同で軽減し、国際的なエネルギー、金融、食糧貿易、輸送などの協力が妨げられ、世界経済の回復が損なわれるのを防止する。
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12,戦後復興の推進

 国際社会は紛争地域の戦後復興支援措置を取るべきである。

 中国はこのために支援を提供し、建設的な役割を果たす。
2023.03.01 14:13 | 固定リンク | 戦争

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