習政権「経済難民・毛沢東時代」へ
2024.01.05
習政権、ドル本位制でお先真っ暗 「経済難民」 国民の不満抑圧 毛沢東時代逆戻り

ドル本位制、米ドルを中心とする国際通貨体制。第2次世界大戦中1944年、世界経済を安定させるため米国のブレトン・ウッズに各国代表が集まり、金1オンスを35米ドルと交換できることを定め、さらに各国通貨と米ドルの交換比率を一定に保つ固定相場制の仕組みを決めました。

これを「ブレトン・ウッズ体制」、または「金・ドル本位制」と呼びます。この体制は1971年にニクソン米大統領がドルと金の交換を停止し、変動相場制に移行したことで崩れました。しかし、現在もなお米ドルは世界の基軸通貨の地位を維持しているため、ドル本位制は続いているともいえます。

中国は世界第二位の経済大国であり、国際社会において重要な役割を果たしている。しかし、中国の経済成長は近年減速し、内外の様々な課題に直面している。特に、習近平政権は、ドル本位制に依存した経済体制や、元の流出による経済難民の発生、毛沢東時代に逆戻りした国民の不満の抑圧など、深刻な問題を抱えている。本論文では、これらの問題の原因と影響、そして解決策について分析する。

■ドル本位制と経済難民の問題

中国の経済は、ドル本位制に基づいて発展してきた。ドル本位制とは、元の為替レートをドルに固定し、ドルを準備通貨として使用することで、国際市場における競争力を高めるとともに、経済の安定化を図るという制度である。ドル本位制により、中国は、低コストの労働力や資源を活用して、輸出産業を拡大し、外貨準備を蓄積することができた。また、ドル本位制は、外国からの投資や資金流入を促進し、経済の発展に寄与した。

しかし、ドル本位制には、以下のような欠点も存在する。

ドル本位制は、ドルの価値の変動に左右される。ドルが高くなれば、元も高くなり、輸出産業の競争力が低下する。ドルが低くなれば、元も低くなり、輸入品の価格が上昇する。これにより、中国の経済は、ドルの需給や金利政策など、アメリカの経済状況に依存することになる。

ドル本位制は、国内の経済調整を困難にする。元の為替レートを固定することで、国内の物価や賃金の調整ができなくなる。これにより、中国は、インフレーションやデフレーション、失業や所得格差など、経済の不均衡や不安定を招くことになる。

ドル本位制は、経済難民の発生を招く。経済難民とは、経済的な理由で、自国を離れて他国に移住する人々のことである。ドル本位制により、中国の富裕層や企業は、元の価値が下落するリスクを回避するために、ドルや他の外貨に換えて、海外に資産を移すことができる。

これにより、中国からは、大量の元が流出し、国内の資金不足や金融危機を引き起こす可能性がある。また、中国の中間層や若者は、国内の経済環境や社会状況に不満を持ち、より高い生活水準や自由度を求めて、欧米などの先進国に移住することができる。

これにより、中国からは、人材や知識が流出し、国内の経済発展やイノベーションを阻害する可能性がある。

■国民の不満の抑圧と毛沢東時代の逆戻り

中国の国民は、ドル本位制や経済難民の問題に加えて、習近平政権の政治的な抑圧にも直面している。習近平政権は、2012年に権力を掌握して以来、中国共産党の一党独裁を強化し、自らの権力を固めるために、以下のような措置をとってきた。

憲法の改正により、国家主席の任期制限を撤廃し、無期限での続投を可能にした。

反腐敗キャンペーンを名目に、政敵や批判者を粛清し、党内の統制を強めた。

国家安全法や香港国家安全維持法などの法律を制定し、香港や台湾などの自治権を制限し、民主化運動や人権活動家を弾圧した。

ウイグル族やチベット族などの少数民族に対して、強制収容所や再教育キャンプなどの人権侵害を行った。

インターネットやメディアなどの情報の統制を強化し、検閲や監視を強化した。

これらの措置は、毛沢東時代における文化大革命や大躍進政策などの過激な政治運動を彷彿とさせるものであり、国民の不満や反発を招いている。しかし、習近平政権は、国民の不満を抑圧することで、自らの権威を維持しようとしている。これは、中国の経済や社会の発展にとって、長期的に見て、非常に有害な影響を及ぼすことになる。

習近平政権は、ドル本位制に依存した経済体制や、元の流出による経済難民の発生、毛沢東時代に逆戻りした国民の不満の抑圧など、深刻な問題を抱えていることが明らかになった。これらの問題を解決するためには、以下のような対策が必要である。

ドル本位制からの脱却と元の自由化を進めることで、国内の経済調整能力を高めるとともに、国際的な金融協調を強化すること。

経済難民の流出を防ぐことにつきる。
2024.01.05 17:42 | 固定リンク | 経済
ダイハツ、新車全車種の販売停止
2023.12.20
■ダイハツ、新車全車種の販売停止へ 国交省検査検討 衝突試験不正

トヨタ自動車の子会社のダイハツ工業で車両の安全性を確認する衝突試験で不正があった問題を巡り、ダイハツがほぼ全車種の新車販売を停止する方針を固めたことが関係者への取材で明らかになった。

20日、国土交通省に第三者委員会の調査結果を報告し、記者会見で公表する。これを受け、国交省はダイハツに立ち入り検査するとともに、不正が確認された車種の安全性を自前の検査で確認する方向で検討している。

大手メーカーが全車種の販売を停止し、国交省が検査に入る異例の展開となる。

ダイハツはトヨタの完全子会社で、軽自動車市場で約3割のシェアを握る。2022年度の販売台数は国内60万3238台、世界で計110万2570台。小型車の開発・生産に強みを持ち、トヨタとの共同開発やOEM(相手先ブランドによる受託生産)を手掛けている。

■ダイハツの側面衝突試験不正とその背景・影響

はじめに

ダイハツ工業株式会社(以下、ダイハツ)は、2023年4月に海外市場向けの4車種で側面衝突試験の認証申請において不正行為を行っていたことを発表した。この不正行為は、認証する車両の前席ドア内張り部品の内部に不正な加工を行い、法規に定められた側面衝突試験の手順・方法に違反していたものである。この問題は、ダイハツの信頼と品質に大きな影響を与えたとともに、トヨタ自動車株式会社(以下、トヨタ)とのOEM供給や共同開発にも波及した。

本論文では、ダイハツの側面衝突試験不正の経緯とその背景・影響について分析する。まず、不正の発覚から調査・報告までの流れを概観する。次に、不正の原因として考えられる開発体制や組織文化、法規対応の問題点を指摘する。最後に、不正の影響として、ダイハツの販売・業績・ブランドイメージの低下、トヨタとの関係の悪化、法的・社会的な責任の追及などを検討する。

■不正の発覚から調査・報告までの流れ

ダイハツの側面衝突試験不正は、2023年4月に内部通報によって発覚した。不正を行った疑いのある担当部署や関連部署へのヒアリング調査、車両の現物調査、設計変更履歴や開発過程の試験結果などの開発経緯の調査を行ったところ、通報通りの不正行為があったことを確認した。

不正の対象となった車種は、トヨタの「ヤリスエイティブ」「アギヤ」、プロデュアの「アジア」、開発中の1車種の計4車種であった。これらの車種は、ダイハツが開発から必要な各種認証試験合格までを実施し、トヨタが当局に車両型式の認可の申請をし、必要な認可を受けた後、トヨタブランドで販売していた。ダイハツは、不正行為の事実が判明後、速やかに審査機関・認証当局に報告・相談の上、トヨタと協議し、認可対象国における出荷を停止した。

ダイハツは、側面衝突試験の不正を受けて、5月15日に第三者委員会を設置した。社内調査や再発防止策の策定を進めていたが、当初の夏ごろから11月末に延期となり、最終的には12月20日まで延びることになった2。12月20日には、ダイハツの側面衝突試験不正の全容と原因、再発防止策などを記した第三者委員会報告書が公表された3。報告書によると、不正の背景には、開発部門の組織体制や文化、法規対応の問題点などがあったとされる。

■不正の原因として考えられる開発体制や組織文化、法規対応の問題点

第三者委員会報告書によると、ダイハツの側面衝突試験不正の原因として考えられる開発体制や組織文化、法規対応の問題点は、以下のように指摘されている。

開発部門の組織体制の問題点

性能開発・評価・認証の各機能が1つの室の中で担当されており、チェック機能が働かなかった。

認証担当者の責任と権限が不明確であり、認証試験の実施や結果の報告に関するルールや手順が不十分だった。

認証担当者の人材育成や教育が不十分であり、法規の知識や技術力が低かった。

認証担当者の人員不足や業務量の増加に対応できなかった。

開発部門の組織文化の問題点

開発部門のトップダウン型の指示や評価が強く、現場の声が上に届かなかった。

開発部門の目標や方針が不明確であり、品質よりもスピードやコストが優先された。

開発部門のコミュニケーションや情報共有が不十分であり、不正行為に気づいても報告や対策ができなかった。

開発部門の倫理意識や法規遵守意識が低く、不正行為を正当化や容認する風潮があった。

法規対応の問題点

法規の変更や複雑化に対応できなかった。

法規の解釈や適用に関する基準や判断が不明確であり、認証当局との調整や確認が不十分だった。

法規の遵守を確保するための管理体制や監査体制が不十分だった。

■ダイハツの側面衝突試験不正が新車販売に与えた影響は

ダイハツ工業株式会社(以下、ダイハツ)は、2023年4月に海外市場向けの4車種で側面衝突試験の認証申請において不正行為を行っていたことを発表した1。この不正行為は、認証する車両の前席ドア内張り部品の内部に不正な加工を行い、法規に定められた側面衝突試験の手順・方法に違反していたものである。この問題は、ダイハツの信頼と品質に大きな影響を与えたとともに、トヨタ自動車株式会社(以下、トヨタ)とのOEM供給や共同開発にも波及した。

本論文では、ダイハツの側面衝突試験不正が新車販売に与えた影響について分析する。まず、不正の発覚から販売・出荷停止までの流れを概観する。次に、販売・出荷停止が及ぼした影響として、販売台数や納期の減少、ユーザーの不満や不信感の増加、競合他社との差別化の失敗などを指摘する。最後に、販売・出荷停止の解除や再開の見通しについて考察する。

■不正の発覚から販売・出荷停止までの流れ

ダイハツの側面衝突試験不正は、2023年4月に内部通報によって発覚した。不正を行った疑いのある担当部署や関連部署へのヒアリング調査、車両の現物調査、設計変更履歴や開発過程の試験結果などの開発経緯の調査を行ったところ、通報通りの不正行為があったことを確認した。

不正の対象となった車種は、トヨタの「ヤリスエイティブ」「アギヤ」、プロデュアの「アジア」、開発中の1車種の計4車種であった。これらの車種は、ダイハツが開発から必要な各種認証試験合格までを実施し、トヨタが当局に車両型式の認可の申請をし、必要な認可を受けた後、トヨタブランドで販売していた。ダイハツは、不正行為の事実が判明後、速やかに審査機関・認証当局に報告・相談の上、トヨタと協議し、認可対象国における出荷を停止した。

不正の発覚から販売・出荷停止までの流れは、以下の図のようになる。

![不正の発覚から販売・出荷停止までの流れ]

■販売・出荷停止が及ぼした影響

ダイハツの側面衝突試験不正による販売・出荷停止は、ダイハツとトヨタの新車販売に大きな影響を与えた。以下に、その影響として考えられる点を挙げる。

販売台数や納期の減少

ダイハツは、不正の対象となった4車種のほかにも、同じハイブリッドシステムを搭載する「ロッキー」「ライズ」のハイブリッド車も出荷停止とした。これらの車種は、ダイハツの主力商品であり、2022年の販売台数は合計で約7万8000台に達していた。これらの車種の販売・出荷停止は、ダイハツの販売台数や収益に大きなマイナスとなった。

トヨタは、不正の対象となった4車種のほかにも、ダイハツからOEM供給を受けている「ルーミー」「タンク」「トール」「パッソ」などの車種も出荷停止とした。これらの車種は、トヨタのコンパクトカーの中核を担っており、2022年の販売台数は合計で約28万台に達していた。これらの車種の販売・出荷停止は、トヨタの販売台数やシェアに大きなマイナスとなった。

ダイハツとトヨタは、販売・出荷停止となった車種の受注残分について、注文の取り消しや車種の変更をお願いするなどの対応を行った。しかし、その対応には限界があり、多くのユーザーは納車の遅延や不確実性に直面した。特に、ハイブリッド車は部品不足の影響で納期が長期化しており、ユーザーの不満や不安が高まった。

ユーザーの不満や不信感の増加

ダイハツとトヨタのユーザーは、販売・出荷停止によって納車の遅延や不確実性に苦しめられた。特に、ハイブリッド車を注文していたユーザーは、燃費性能や環境性能を重視していたため、他の車種に変更することに抵抗を感じた。また、不正行為によって車両の安全性や性能に疑問を持ったユーザーも少なくなかった。

■ダイハツ、新車全車種の販売停止へ 衝突試験不正で国交省立ち入り

 トヨタ自動車の子会社のダイハツ工業で車両の安全性を確認する衝突試験で不正があった問題を巡り、ダイハツがほぼ全車種の新車販売を停止する方針を固めたことが関係者への取材で明らかになった。20日、国土交通省に第三者委員会の調査結果を報告し、記者会見で公表する。これを受け、国交省はダイハツに立ち入り検査するとともに、不正が確認された車種の安全性を自前の検査で確認する方向で検討している。

■ダイハツ、衝突試験不正の調査結果 近日中に公表 20日にもサプライヤー対象に説明会

ダイハツ工業が、側面衝突試験の認証問題について、第三者委員会による調査結果や再発防止策などを近く公表することがわかった。12月20日にも一部のサプライヤーを対象に説明会を開く予定。ディーラーには、発表日同日に公表するとみられる。

側突試験の不正を受け、同社は5月15日に第三者委員会を設置。社内調査や再発防止策の策定を進めていた。当初、夏ごろに不正の要因などを報告する予定だったが、11月末に延期となり、最終的には12月20日まで延びることになった。

同社は4月28日に海外向け車両での側突試験認証申請で不正があったと公表した。対象車種はタイとマレーシア、インドネシアで発売済みの2車種と、6月に発売予定の1車種、開発中の1車種の計4車種で、対象台数は8万8123台に上った。

さらに5月19日にはダイハツ「ロッキー」とトヨタ自動車にOEM(相手先ブランドによる生産)供給する「ライズ」のハイブリッド車(HV)でポール側突試験の認証試験手続きで不正が発覚。同試験では、電柱などを模擬したポールを運転席と助手席それぞれ衝突させ、乗員の安全性や燃料漏れなどを確認する必要があるが、運転席側のデータを助手席側のデータと同じものを提出していた。

その後の社内試験で安全性は確認したが、不正の全容がわからず、生産・販売を停止。調査が長期化していることもあり、受注取り消しも開始した。
2023.12.20 12:50 | 固定リンク | 経済
新NISAのデメリットは売却で「20.315%の税金」
2023.12.19
「新NISA」いいことばかりでない デメリットもあります は売却すれば、値上がり益に対して20.315%の税金 口座開設できるのは18歳以上

2024年から始まる新NISAは、値上がり益や配当金などの所得に対して非課税の特典を受けられる投資制度です。現行のNISAと比べて、非課税期間や口座開設期間が無期限になり、非課税枠も大幅に拡大されます。また、つみたて投資枠と成長投資枠の2種類の口座を併用することができます。このように、新NISAは投資家にとって魅力的な制度と言えますが、その中でも特に配当株や優待株に投資する場合には、有利な条件が多くあります。新NISAで配当株や優待株に投資するメリットとデメリットの注意点について解説します。

新NISAで配当株や優待株に投資するメリットは、主に以下の3点です。

- 配当金が非課税になる
- 優待の長期保有特典を受けやすくなる
- 配当再投資による複利効果が高まる

まず、配当金が非課税になるという点ですが、これは新NISAの最大の特徴と言えます。通常、配当金は20.315%の税金がかかりますが、新NISAの成長投資枠で配当株を保有すれば、その税金を免れることができます。

これにより、配当利回りが実質的に高くなり、投資収益が増えます。例えば、配当利回りが3%の株を100万円分購入した場合、通常は年間3万円の配当金を受け取れますが、そのうち約6千円が税金として引かれます。しかし、新NISAで購入すれば、税金がかからないので、年間3万円の配当金を全額受け取ることができます。これは、配当利回りが3.75%の株に投資したのと同じ効果になります。配当利回りが高い株ほど、このメリットは大きくなります。

次に、優待の長期保有特典を受けやすくなるという点ですが、これは新NISAの非課税期間が無期限になったことによるものです。現行のNISAでは、非課税期間は5年間と限られているため、優待の長期保有特典を受けるには、非課税期間が終了した後に課税口座に移管する必要があります。しかし、この移管には手数料や税金がかかる場合があります。また、移管後は値上がり益や配当金に税金がかかるようになります。これらのデメリットを避けるためには、非課税期間が終了する前に売却する必要がありますが、それでは優待の長期保有特典を受けられません。

しかし、新NISAでは非課税期間が無期限になったので、このような問題は発生しません。優待の長期保有特典がある株を新NISAで購入すれば、売却することなく、ずっと非課税のままで優待を受け続けることができます。例えば、KDDIは5年以上保有すると、3000円相当のカタログギフトが5000円相当になるという優待があります。このような優待を最大限に活用するには、新NISAが最適です。

最後に、配当再投資による複利効果が高まるという点ですが、これは新NISAの非課税枠が大幅に拡大されたことによるものです。現行のNISAでは、非課税枠は年間120万円と限られているため、配当金を再投資する場合には、その分だけ非課税枠を消費してしまいます。

しかし、新NISAでは、非課税枠は通算1800万円となり、年間の制限もなくなります。これにより、配当金を再投資することによって、非課税枠を使い切るリスクが低くなります。配当金を再投資することによって、配当金が配当金を生むという複利効果が発生し、長期的には資産が大きく増える可能性があります。例えば、配当利回りが3%の株を100万円分購入し、配当金を再投資する場合、10年後には約134万円、20年後には約180万円になります。

これは、配当金を再投資しない場合に比べて、それぞれ約14万円、約50万円多いことになります。このように、配当再投資による複利効果を最大限に活かすには、新NISAが最適です。

新NISAで配当株や優待株に投資するメリットは、以上のように多くありますが、一方で注意点もあります。主に以下の2点です。

- 配当株や優待株の選択には慎重になる
- 外国株式からの配当金には外国課税がかかる

まず、配当株や優待株の選択には慎重になるという点ですが、これは新NISAの非課税期間が無期限になったことによるものです。非課税期間が無期限になったことは、長期保有にメリットがありますが、逆に言えば、売却することにデメリットがあります。

新NISAで購入した株を売却する場合、その時点で値上がり益に対して20.315%の税金がかかります。また、売却した分の非課税枠は翌年に復活しますが、その年に使い切ることができるとは限りません。これらのことから、新NISAで購入した株は、できるだけ長期間保有することが望ましいと言えます。しかし、長期間保有するということは、その間に株価や配当金、優待内容が変わる可能性があるということです。配当利回りが低下したり、優待が廃止されたり、業績が悪化したりするような株を新NISAではお勧めできません。

■長期保有のための優良株の選択

2024年から始まる新NISAは、値上がり益や配当金などの所得に対して非課税の特典を受けられる投資制度です。現行のNISAと比べて、非課税期間や口座開設期間が無期限になり、非課税枠も大幅に拡大されます。また、つみたて投資枠と成長投資枠の2種類の口座を併用することができます。このように、新NISAは投資家にとって魅力的な制度と言えますが、その中でも特に成長投資枠で長期保有する場合には、優良株の選択が重要になります。本論文では、新NISAで長期保有(10年間)のための優良株選択の方法と、産業別におすすめの10社について解説します。

新NISAで長期保有のための優良株選択の方法は、主に以下の3点です。

- 配当利回りが高く、安定的に配当を支払っている株
- 業績が成長しており、将来性が高い株
- 優待が充実しており、長期保有にメリットがある株

まず、配当利回りが高く、安定的に配当を支払っている株というのは、新NISAの最大のメリットである配当金の非課税を最大限に活用できる株です。配当利回りとは、配当金の額を株価で割ったもので、株式投資の収益率の一つです。配当利回りが高いということは、株価に対して配当金の額が大きいということで、株主に還元される金額が多いということです。

配当金は株価の変動に左右されないため、株価が下がっても安定的な収入源となります。また、配当金を再投資することで、複利効果によって資産が増える可能性があります。配当利回りが高く、安定的に配当を支払っている株の例としては、日本たばこ産業(JT)や三菱HCキャピタルなどが挙げられます。

次に、業績が成長しており、将来性が高い株というのは、新NISAの非課税期間が無期限になったことによるメリットを最大限に活用できる株です。業績が成長しているということは、売上や利益が増えているということで、企業の価値が高まっているということです。将来性が高いということは、市場や技術の変化に対応できる能力や競争力があるということで、今後も成長が続くと期待できるということです。

業績が成長しており、将来性が高い株は、株価が上昇する可能性が高く、値上がり益を得ることができます。値上がり益は新NISAでは非課税になるため、売却するまでに膨大な利益が得られる可能性があります。業績が成長しており、将来性が高い株の例としては、ウーバー・テクノロジーズやプロクター・アンド・ギャンブルなどが挙げられます。

最後に、優待が充実しており、長期保有にメリットがある株というのは、新NISAの非課税期間が無期限になったことによるメリットを最大限に活用できる株です。

優待とは、株主に対して企業が提供する特典のことで、商品券や割引券、カタログギフトなどがあります。優待は株主に対する感謝の気持ちや忠誠心の向上を目的としていますが、実質的には株式投資の収益の一部となります。優待が充実しているということは、株主に対する還元が大きいということで、投資のモチベーションが高まります。

長期保有にメリットがあるということは、保有期間が長いほど優待の内容が良くなるということで、売却することなく株を保有し続けることができます。優待が充実しており、長期保有にメリットがある株の例としては、ビックカメラやKDDIなどが挙げられます。

最後に、新NISAで長期保有のための優良株選択の方法は、以上のように多くありますが、一方で注意点もあります。主に以下の2点です。

- 配当利回りだけでなく、配当性向や配当の安定性もチェックする
- 業績や将来性だけでなく、株価の割安度やリスクも考慮する

まず、配当利回りだけでなく、配当性向や配当の安定性もチェックするという点ですが、これは新NISAの非課税期間が無期限になったことによるものです。非課税期間が無期限になったことは、長期保有にメリットがありますが、逆に言えば、売却することにデメリットがあります。

新NISAで購入した株を売却する場合、その時点で値上がり益に対して20.315%の税金がかかります。また、売却した分の非課税枠は翌年に復活しますが、その年に使い切ることができるとは限りません。これらのことから、新NISAで購入した株は、できるだけ長期間保有することが望ましいと言えます。しかし、長期間保有するということは、その間に配当金が減らされたり、廃止されたりする可能性があるということです。配当利回りが高いということは、株価に対して配当金の額が大きいということですが、それは逆に言えば、配当金の額が大きいほど、配当金の額が乱高下の懸念もあるということです。その点を考慮するべきですね。

■新NISAのメリットとデメリット

はじめに

NISA(少額投資非課税制度)は、株式や投資信託などの資産運用による所得に対して非課税の優遇措置を受けられる制度である。2024年からは、現行のNISAに代わって新NISAが始まる予定である。新NISAは、現行のNISAよりも非課税期間や投資上限額などが拡充されるとともに、制度の恒久化が図られる。このように、新NISAは資産形成を促進するための魅力的な制度であるが、一方でデメリットも存在する。本論文では、新NISAのメリットとデメリットについて具体的に分析し、新NISAを利用する際の注意点や対策を提案する。

〇新NISAのメリット

新NISAのメリットは、主に以下の3点にまとめられる。

1. 非い課税期間や投資可能期間の制限が緩和される

現行のNISAでは、一般NISAの非課税期間は最長5年間、つみたてNISAの非課税期間は最長20年間である。また、一般NISAの利用可能期間は2023年末まで、つみたてNISAの利用可能期間は2042年末までである。これに対して、新NISAでは、成長投資枠とつみたて投資枠のどちらも非課税期間が無期限に延長されるとともに、制度の利用可能期間も恒久化される。これにより、長期的な資産運用を行うことができるようになる。

2. つみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能になる

現行のNISAでは、一般NISAとつみたてNISAは併用できない。一般NISAは株式や投資信託などに自由に投資できるが、年間の投資上限額は120万円である。つみたてNISAは長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託に限定されるが、年間の投資上限額は40万円である。

これに対して、新NISAでは、成長投資枠とつみたて投資枠を併用することができる。成長投資枠は一般NISAと同様に株式や投資信託などに自由に投資できるが、年間の投資上限額は240万円である。つみたて投資枠はつみたてNISAと同様に長期・積立・分散投資に適した投資信託に限定されるが、年間の投資上限額は120万円である。また、成長投資枠とつみたて投資枠を併用すると、年間で最大360万円まで新規投資ができる。これにより、投資の自由度や効率性が高まる。

3. 生涯非課税限度額の再利用が可能になる

現行のNISAでは、非課税保有限度額という概念がある。非課税保有限度額とは、NISA口座で保有できる商品の買付金額(簿価)の合計額の上限である。

一般NISAの非課税保有限度額は最大600万円、つみたてNISAの非課税保有限度額は最大800万円である。非課税保有限度額を超えると、超えた分は課税口座に払い出される。また、NISA口座で保有する商品を売却しても、非課税保有限度額は減らない。

これに対して、新NISAでは、生涯非課税限度額という概念が導入される。生涯非課税限度額とは、一生涯の非課税保有限度額であり、最大1,800万円(成長投資枠は1,200万円まで)である。また、新NISAの口座で保有する商品を売却すると、その商品の買付金額に相当する生涯非課税限度額が再利用できる。たとえば、1,800万円の生涯非課税限度額をすべて使い切っているときに、買付時の金額が200万円であった商品を売却すると、新たに200万円の新規投資ができるようになる。これにより、投資意向の変化やマーケット環境に合わせて保有資産を調整することができる。

〇新NISAのデメリット

新NISAのデメリットは、主に以下の3点にまとめられる。

1. 現行NISAの口座で保有する商品は新しい制度へのロールオーバーができない

現行の一般NISAでは、非課税期間満了の際にロールオーバーを行うことで、非課税期間の延長が行える。しかし、2024年以降は一般NISAと新NISAの保有分が別々に管理されるため、ロールオーバーが行えないようになる。したがって、2023年末までに購入した一般NISAの残高は、非課税期間満了までに売却するか、課税口座へ移管するかを選択しなくてはならない。これは、非課税期間が無期限になった新NISAに比べて不利な条件である。

2. 口座を開設できるのは18歳以上の人のみ

現行のNISAでは、ジュニアNISAを活用して未成年でも非課税で投資ができる。しかし、新NISAでは未成年を対象とした非課税制度は設けられていない。2023年末で制度終了のジュニアNISAの取り扱いについては、非課税期間満了後に新NISAの成長投資枠に移管することができるが、新規の口座開設はできない。これは、未成年の資産形成を支援するという観点からは不十分である。

3. 制限が緩和された分、投資判断が難しくなる

新NISAでは、非課税期間や投資上限額などが現行のNISAよりも大幅に拡充されることで、より長期的かつ多様な資産運用が可能になります。 しかし、これは同時に、投資判断が難しくなるというデメリットも伴います。 投資判断が難しくなる理由は、主に以下の3点にまとめられます。

1)非課税期間が無期限になることで、売却タイミングの見極めが必要になる

現行のNISAでは、非課税期間が最長5年間(一般NISA)や20年間(つみたてNISA)と決まっているため、非課税期間満了前に売却するか、課税口座に移管するかの選択肢があります。 しかし、新NISAでは、非課税期間が無期限になるため、売却するかどうかは投資家自身の判断に委ねられます。

これは、投資商品の価格変動やマーケット環境、自身の資産状況や目標などを考慮して、最適な売却タイミングを見極める必要があるということです。 また、売却した場合には、その商品の買付金額に相当する生涯非課税限度額が再利用できますが、年間投資上限額の範囲内でしか新規投資ができません。 したがって、売却した分を再投資するかどうかも、慎重に検討する必要があります。

2)つみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能になることで、投資商品の組み合わせが複雑になる

現行のNISAでは、一般NISAとつみたてNISAは併用できません。 一般NISAは株式や投資信託などに自由に投資できますが、年間の投資上限額は120万円です。 つみたてNISAは長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託に限定されますが、年間の投資上限額は40万円です。

これに対して、新NISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠を併用することができます。 つみたて投資枠はつみたてNISAと同様に長期・積立・分散投資に適した投資信託に限定されますが、年間の投資上限額は120万円です。 成長投資枠は一般NISAと同様に株式や投資信託などに自由に投資できますが、年間の投資上限額は240万円です。 また、併用すると、年間で最大360万円まで新規投資ができます。

これは、投資の自由度や効率性が高まるというメリットですが、同時に、投資商品の組み合わせやバランスを考えることが難しくなるというデメリットもあります。 例えば、つみたて投資枠でインデックス投資を行う場合、どのインデックスファンドを選ぶか、どのような配分にするか、どのくらいの期間で積み立てるかなどを決める必要があります。

また、成長投資枠で個別株やアクティブファンドを選ぶ場合、どの銘柄やファンドを選ぶか、どのようなリターンやリスクを期待するか、どのような売買戦略をとるかなどを決める必要があります。 さらに、つみたて投資枠と成長投資枠の両方を使う場合、それぞれの投資枠の割合や相互の関係性などを考慮する必要があります。 これらの判断は、投資家の目的やリスク許容度、資産状況、知識や経験などによって異なりますが、一概に正解があるとは言えません。 したがって、投資商品の選択や組み合わせは、自分自身で判断するか、専門家のアドバイスを受けるかのいずれかになります。

3)生涯非課税限度額の再利用が可能になることで、投資枠の管理が煩雑になる

現行のNISAでは、非課税保有限度額という概念があります。 非課税保有限度額とは、NISA口座で保有できる商品の買付金額(簿価)の合計額の上限です。 一般NISAの非課税保有限度額は最大600万円、つみたてNISAの非課税保有限度額は最大800万円です。 非課税保有限度額を超えると、超えた分は課税口座に払い出されます。 また、NISA口座で保有する商品を売却しても、非課税保有限度額は減らないため、再利用できません。

これに対して、新NISAでは、生涯非課税限度額という概念が導入されます。 生涯非課税限度額とは、一生涯の非課税保有限度額であり、最大1,800万円(成長投資枠は1,200万円まで)です。 また、新NISAの口座で保有する商品を売却すると、その商品の買付金額に相当する生涯非課税限度額が再利用できます。 たとえば、1,800万円の生涯非課税限度額をすべて使い切っているときに、買付時の金額が200万円であった商品を売却すると、新たに200万円の新規投資ができるようになります。

これは、投資意向の変化やマーケット環境に合わせて保有資産を調整することができるというメリットですが、同時に、投資枠の管理が煩雑になるというデメリットもあります。

なぜなら、新NISAでは、生涯非課税限度額の残高上限の金額は、買付け残高(簿価残高)で管理されます。つまり、NISA口座で購入した商品の買付金額の合計額です。新NISAでは、生涯非課税限度額は全体で1,800万円(成長投資枠は1,200万円まで)となります1。

また、NISA口座で保有する商品を売却すると、その商品の買付金額に相当する生涯非課税限度額が再利用できます2。たとえば、1,800万円の生涯非課税限度額をすべて使い切っているときに、買付時の金額が200万円であった商品を売却すると、新たに200万円の新規投資ができるようになります。このように、新NISAでは、生涯非課税限度額の残高は、買付け残高から売却額を差し引いたものとなります。
2023.12.19 08:26 | 固定リンク | 経済
トヨタ発表の真実とは?
2023.11.15
トヨタ発表の真実とは、トヨタ自動車が2030年までに30車種のEV(電気自動車)を展開し、350万台を販売するという目標を発表したことです。

この目標は、トヨタがEVに及び腰だったという世間の認識を払拭し、脱炭素社会に向けた取り組みを加速するためのものです。トヨタは、EVの心臓部となる車載電池の生産を拡大し、リチウム電池に代わる全固体電池を2027年にも実用化するという技術的な挑戦も行っています。

トヨタは、自動車業界の100年に一度の変革期において、自動車会社からモビリティカンパニーへの転換を目指しています。

トヨタ“EV350万台”達成には電池が足りない理由、「絶頂トヨタの死角」は欧州にある

本格EV発売前にそろり電池を増産も生産能力「40倍超」増強の見通しは立たず

トヨタ自動車は本格的なEV(電気自動車)シフトの第1弾として新型EV「bZ4X」を2022年半ばから世界各地で販売する。これに合わせて、トヨタグループの電池工場ではそろり稼働をスタートさせたようだ。

兵庫県姫路市の電池工場では、EV電池の生産能力を年間8万台分増強する計画を打ち出しており、21年から順次生産を拡大している。

この工場は、元々はパナソニック資本の液晶工場だった。すでに液晶事業から撤退しており、その空きスペースを活用してトヨタ向けEV電池の生産増強に充てている。今後も一段の増産が続く予定だ。

一方、トヨタの車載電池工場の本拠地は兵庫県加西市にある。これは旧三洋電機の電池工場で、パナソニックの傘下を経て、20年4月からトヨタグループ入りした。今のところは、ハイブリッド車(HEV)とプラグインハイブリッド車(PHEV)用の電池生産がメインだが、今後はEV電池に主軸を移していくとみられる。

昨年春の時点で、トヨタのリチウムイオン電池の生産能力は年6ギガワット時(GWh)。これを30年のEV販売350万台の目標に向けて2兆円を投資し、40倍を超える270GWhまで拡張する計画だ。

 それにしても、これだけの生産能力を本当に増強できるのか。当然、国内生産だけでは足りないので、海外主要地域で生産するか外部調達するかの布石を打つ必要があるのだが、その見通しは不透明なままだ。世界の競合自動車メーカーと比べても慎重姿勢が目立つ。

 果たして、トヨタが電池投資に及び腰なのはなぜなのか。次ページではその内実を明かすと共に、トヨタの電池戦略に欠けている「重要なピース」についても取り上げる。

トヨタ 「全固体電池」2027年にもEVで実用化へ 水素の燃料電池車も次世代型を開発

トヨタ自動車は次世代の車に向けた新たな技術を公開し、リチウム電池に代わる「全固体電池」を2027年にもEV(電気自動車)で実用化を目指すと明らかにしました。

 全固体電池は充電時間を10分以下に短縮でき、航続距離も約1200キロに伸ばせるということです。

 トヨタは今後の脱炭素戦略での全固体電池について、エンジンとモーターを備えたハイブリッド車から搭載するとしていたこれまでの計画を見直し、早ければ2027年にEVでの実用化を目指すと発表しました。

 また、水素を燃料にした燃料電池は燃費の向上やコストが半減する次世代型を開発し、2026年の実装を目指しています。

 トヨタはハイブリッド車のほか、EVや燃料電池車も含めて全方位的な戦略で脱炭素への取り組みを進める方針です。

「トヨタこそ正しいと主張すべき」EV30車種投入の衝撃会見で語られなかった"本当の世界戦略"

トヨタ自動車は12月14日、2030年までに30車種のBEV(バッテリー式電気自動車)を展開し、350万台を販売すると発表した。これに対し海外メディアは「(約1000万台の生産台数の)たった3分の1だけ。VWは50%なのに」などと速報。自動車業界に詳しいマーケティング/ブランディングコンサルタントの山崎明氏は「彼らはトヨタの野心的な戦略の意味を理解できていない」と指摘する──。

■トヨタの野心的な戦略

トヨタ自動車の「バッテリーEV戦略発表会」が12月14日に開催された。2030年までに30車種のBEV(エンジンを持たない純粋の電気自動車)を発売し、2030年に350万台のBEVを作るという野心的な戦略である。

テスラの今年の販売台数は100万台弱と想定されるので、その3.5倍レベルの目標である。今までBEVに慎重な姿勢を見せていたトヨタとしては大きく一歩を踏み出した格好だ。

にもかかわらず、外国人記者から「なぜ350万台(トヨタの生産台数のうち約35%)なのか。他社のように100%とか50%ではないのか」という質問が出た。私はこれを聞いて、記者がこの記者発表の意味を理解していないと感じると同時に、この記者のパーセプションがBEV推進派の大多数の見方なのだろうと思った。

確かにアウディ、メルセデスベンツ、ボルボなどは2030年までにすべてBEVにすると発表しているし、トヨタの最大のライバルともいえるフォルクスワーゲンは2030年までに70種のBEVを発売し、全体の50%をBEVにすると発表しているため、この規模でもまだ見劣りするという見方もできなくはない。

■「環境派」に理解できないこと

この質問に対し、豊田社長は「エネルギー事情が異なる多様な市場を相手にしているのがトヨタ自動車。従って多様な解決策が必要」と答えていたが、果たして本意が伝わったのか非常に不安になった。

トヨタは一貫して「カーボンニュートラルのためには多様なソリューションが必要」と言い続けている。今回の発表もBEVの生産台数は増やすが、基本的な考え方は変わらない、というのが全体を通しての趣旨である。この考え方自体が「内燃機関やハイブリッドにこだわっている」「EVに消極的」という印象を、欧州を中心とした「環境派」に与えてしまっているようだ。

今回の発表会でもその印象を払拭ふっしょくすることはできなかったのではと危惧する。トヨタは非常に真面目かつ控えめな会社のため、どうも広報戦略(とくに海外向け)が弱い気がする。日本の主要メディアですら、欧州のプロパガンダに影響されてBEVに積極的に見えないトヨタに対して批判的な記事をよく見かける。

■各国で大きく異なる電力事情

まず主張すべきは、各国の電力事情である。ノルウェーのように発電のほぼすべてが再エネで行われている国、フランスのように原子力発電比率が極めて高い国では確かにBEVはカーボンフリーに直結する。ドイツのように発電の再エネ化を積極的に進めている国も、将来的にはBEV化はカーボンフリーに貢献するだろう。

しかし世界を見ればまだまだ火力発電が主体だ。とくに途上国でその傾向が強い。しかもアフリカではまだ電気の届いていない地域も多く、インドでも大都市ですら日常的に停電が起こっている状態だ。

このような地域では、2030年になっても事態が大きく改善される可能性は非常に低いだろう。人々の所得も低く、BEVを普及させることはどう考えても不可能だ。

■途上国を支える日本の自動車メーカー

こうした途上国で圧倒的なシェアを持っているのは日本の自動車メーカーである。欧州メーカーは高級車を中心としてわずかな台数を売っているにすぎない。生産台数でトヨタと肩を並べるフォルクスワーゲンも、BEV推進に積極的な欧州と中国だけで販売のほぼ8割を占め、それ以外の地域は非常に少ないのだ。

高級車メーカーは、BEVを買える財力のある限られた富裕層だけを相手にしていればいい(トヨタも、レクサスブランドは2035年に完全BEV化するとしている)。もし日本のメーカーがBEV主体に舵かじを切るとするならば、このような地域の顧客を見捨てることを意味する。

欧州と中国と富裕層のことだけを考えればいい欧州メーカーとは事情が異なるのだ。途上国では当面は化石燃料に頼らざるを得ないし、高価なBEVを買える層も少ない。そのような地域でCO2排出を少しでも減らすには、高効率エンジンや低価格ハイブリッドの提供が最も適している。理想的ではないかもしれないが、それが最も現実的かつ効果的な方法なのである。

■発売から1年が経過した現在の販売状況

トヨタが販売している5ナンバーのハイブリッド専用車「アクア」が昨年2021年7月にフルモデルチェンジをして2代目となった。

新型アクアは、トヨタとして初のバイポーラ型ニッケル水素バッテリーを採用し、日産「ノート」などと同様、シリーズ式ハイブリッド車(HV)のようにモーターだけによるEV走行領域を時速40km近くまで実現したことが新しい。加えて、電気自動車(EV)のようなアクセルのワンペダル操作もできるようにしている。ただし、当初の日産e-POWERのような停止までワンペダルで行うことはできない。また、日産も最新のEVやHVでは、停止までできない制御にしている。

新型アクアは、外観の質も大きく向上し、上級車種に思える趣を備えた。発売間もない昨年に試乗した折、駐車場で前型のアクアと並ぶ機会があった。前型アクアがよい意味で身近な大衆車的外観であるのに比べ、新型アクアは造形のみならず外板や塗装の作り込みも格段に向上していることに気づかされた。

発売から1年が経過し、アクアの販売状況を見ると、自動車販売協会連合会の乗用車ブランド通称名別順位によれば、発売された7月に直前の6月の20位から一気に5位まで順位をあげ、8月には3位となって9400台以上を売った。9月には2位となって1万1000台を超えている。10~11月は7000台超えで、12月は9000台だ。

年が明けて2022年に入っても多少の上下はあるが、好調は続き、昨年度(2021年4月~2022年3月)の合計販売台数は、2021年4~6月までの前型も含みながら8万4700台以上を売って5位につけている。

ただ、4月以降はやや低調気味で今年1~6月の上期の合計は約3万4000台で8位である。販売の数字は、1~2位の「ヤリス」や「カローラ」に比べると半分以下だ。しかし、ヤリスとカローラの台数には、「ヤリス クロス」や「カローラ クロス」といったSUVも含まれるので、単一のハッチバック車としては健闘しているとみていいのではないか。それでも他社の競合といえる日産ノート(4位)やホンダ「フリード」(6位)が、新型アクアより上位にいるのは気になるところかもしれない。

■トヨタ社長「腹心10人体制」の誤算、“豊田本家”至上主義が招くガバナンス不全

血は水よりも濃し──。トヨタ自動車の創業家、豊田家が経営への支配力を急速に高めている。あえて“トヨタムラ”のフィロソフィーや流儀を貫くことで社員の求心力を維持し、形式的なグローバル経営とは一線を画しているようにも映る。だが近年、豊田章男社長による独裁の弊害が「現場のひずみ」となって噴き出すようになってきた。電動化・脱炭素化により、折しも自動車業界はモビリティの価値が一変する大動乱期に突入したところだ。もはやトヨタの敵は、自動車メーカーだけではない。ITジャイアントであり、テスラであり、あらゆる水平分業プレーヤーである。常勝集団トヨタに、乗り越えたことのない高い壁が立ちはだかっている。

役員を奥田元会長時代の「6分の1」に削減階層フラット化の副作用が露呈

トヨタ自動車では、毎週火曜日に主要プロジェクトの進捗などを社内で共有するための「大規模ミーティング」がオンラインもつないで開催されている。母体は20人程度の役員が出席するクローズドな会議体だったのだが、豊田章男・トヨタ社長の意向により海外の中堅幹部も含む200人以上が参加する大掛かりなイベントになった。

かつての役員会議では、プロジェクトを発表する事業部門による役員への根回しが頻繁に行われていた。あるトヨタ関係者は「自分のボス(役員)のプレゼンテーションが役員に受け入れられるように“多数派工作”が必須だった。プレゼンの途中で、ある副社長に『それはいいね』と合いの手を入れてもらうよう事前に約束を取り付けたこともあった」という。こうした大企業病ともいえるプロセスを介して経営の意思決定がなされ、会社の大きな方向性が決まっていたのだ。

さらに遡れば、「奥の院」で意思決定がなされていた時代もあった。2000年代前半、豊田家から章一郎氏(章男社長の父)、達郎氏(章一郎氏の弟)、章男氏の3人、非創業家からは奥田碩氏、張富士夫氏、渡辺捷昭氏の歴代社長3人が出席し合議制で最終判断が下された。ただし、「張氏がだいたい豊田家側につくので、結論は決まっていた」(トヨタ関係者)との証言もある。

章男氏が会議を200人の中堅幹部に開放したのも、有名無実化した会議体を活性化しようという意図があったのかもしれなかった。それに先立ち、20年以降に古参の執行役員を大量に削減され、現在は「最高幹部10人体制」となった。役員の階層をフラット化することで旧弊を打破し経営幹部の若返りを図ったものだった。

ところが、である。最高幹部役員で章男氏に忌憚なき意見を言える人物はほぼいない。また「200人が参加する会議では社長へのアピールの場になりがちで、重要な意思決定がなされることはない。階層をフラット化して自由闊達に議論をするというのは表向きの理由で、章男氏が何事も一人で決めたい、豊田家による中央集権を強めたいというのが本音だったのでは」とあるトヨタ社員は疑問を呈する。

ともかくも、役員の削減や階層のフラット化が、幹部社員から意思決定に関与する機会を奪う結果になってしまった。意思決定機関としての会議体は形骸化したも同然で、組織改革の“副作用”が生じてしまったと言える。
2023.11.15 15:02 | 固定リンク | 経済
あの大手「ガイア」倒産で再建支援なるか?
2023.11.09
パチンコホール運営大手「ガイア」が過去最大級の倒産…再建支援なるか? 直近の負債判明 1794億円

取引金融機関や納入元の遊技台メーカーなどの間では「10月中の倒産」はある程度織り込み済みだったようだ。同月初旬の手形決済が不調に終わっていたうえ、16、19、25、31日と月内に新たな手形決済日が立て続けに到来するとの情報が伝わっていたからだ。

パチンコホール運営大手、ガイア(東京・中央区)が先月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請、経営破綻した。負債総額は同時に再生法を申請したジャバやMGなどのグループ6社を含めて1793億円超。パチンコホール業界では過去最大級の倒産劇となる。

ガイアは1984年の設立。千葉市を皮切りに全国に店舗網を拡大し、ピーク時には5853億円の売上高を計上。「マルハン」「ダイナム」と並び業界御三家とも称された。

しかし2011年以降、代表取締役(当時)の覚醒剤取締法違反容疑による逮捕や所得隠し疑惑、粉飾決算疑惑などが相次いで噴出して信用が低下。23年5月期には売上高が1895億円にまで目減りし4期連続の最終赤字に陥るなど苦戦を強いられていた。金融筋によると、コロナ禍で客足が途絶えてからは元利払いの「リスケ(期日延期)要請もしばしば」。台所は火の車だったという。

■再建支援に乗り出したのは、あの“策士”

そんなガイアの再建支援にスポンサーとして名乗りを上げたのが東証スタンダード上場のJトラストだ。保証や債権回収などアジアを中心に金融関連事業を展開するグループで、民事再生の手続きが終了するまで、ひとまず運転資金50億円(極度額)を融資するDIPファイナンス契約を結んだ。

上場企業がパチンコホールの経営とはいささかコンプライアンス上のリスクが高いと言えなくもないが、Jトラストを率いるのは「名うての策士」(関係者)と取り沙汰される藤澤信義氏(社長)だ。

旧ライブドアの「残党」の一人で、東大医学部を卒業後、ゲームセンター運営会社や不動産担保ローン会社を渡り歩き、同社の身売りを機にライブドア幹部に迎えられた。会社更生法を申請して倒産した消費者金融・武富士の買収や破綻した日本振興銀行との蜜月ぶりなどでも知られる。

『逆張り経営』を得意とする藤澤氏のこと。ガイア再建にも何か秘策があるのでは? というのが事情通らの見立てだ。

■直近の負債判明

10月30日に東京地裁に民事再生法の適用を申請した(株)ガイア(TSR企業コード:320363295、東京都中央区)とグループ6社の債権者説明会が11月2日午前9時30分から始まった。

席上、ガイアグループ各社の合計残高試算表が開示され、2023年9月末現在のグループ7社の負債総額が1793億8558万円であることが判明した。

 各社の負債額は以下の通り。
・(株)ガイア(TSR企業コード:320363295):負債943億5574万円
・(株)ジャバ(TSR企業コード:295258926):負債101億4127万円
・(株)MG(TSR企業コード:023850850):負債174億8870万円
・(株)トポスエンタープライズ(TSR企業コード:320841790):負債115億4113万円
・(株)ユナイテッドエージェンシー(TSR企業コード:296175102):負債88億9163万円
・(株)ガイア・ビルド(TSR企業コード:296262234):負債155億1615万円
・(株)MG建設(TSR企業コード:024468304):負債214億5093万円
2023.11.09 10:10 | 固定リンク | 経済

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