中国本当の経済どうなってるの?
2024.01.30
中国の経済は、新型コロナウイルスの影響を受けながらも、2023年には5.2%の成長率を達成したと政府が発表しました。しかし、この数字には疑問が残ります。なぜなら、中国の統計は政治的な圧力やデータの改ざんによって誇張されている可能性が高いからです。

中国の経済には深刻な構造問題があります。失業問題、不動産バブルの崩壊、過剰な債務、国有企業の非効率、民間企業の弾圧などが挙げられます345。これらの問題を解決するためには、政府の景気刺激策や金融緩和策ではなく、市場の自由化や制度改革が必要です。

しかし、中国の政治体制は、経済の質や効率よりも、成長率の高さや安定性を重視しています。そのため、中国の経済は、本当の回復や持続可能な成長を達成できるのか、不透明な状況が続いています。

■中国本当のGDP

中国の本当のGDPについては、さまざまな見方や推計があります。政府発表の統計には疑問が持たれており、人工衛星で光の量を測定したり、非公式のデータに基づいたりする方法もあります。

しかし、これらの方法も完全に正確とは言えません。中国経済はサービス業や新技術などによって多様化しており、一つの指標で測るのは難しいのです。

中国のGDPが米国を超える日は来るのでしょうか。それは今後の政策や環境にもよりますが、現在のところ、中国の経済規模は米国の約7割に留まっています。

中国本土と香港の株式市場は2021年2月のピークから計6兆3000億ドル(約930兆円)相当の時価総額を失った。

株安中国株6兆ドル損失

中国当局によるテクノロジー、教育産業に対する締め付け強化や、不動産危機、人口減少、輸出の低迷など、中国経済が抱える構造的な問題がある。

中国当局は市場安定化策や預金準備率の引き下げなどを発表したが、海外の投資家や個人投資家はこれらの措置が持続的な株価回復を促すのに十分なのか懐疑的だ。

中国経済の先行きに対する見方は極めて厳しく、中国経済が米国を追い抜けるのか、それとも日本のような停滞に陥るのか、議論が激しくなっている。

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米中経済戦争は、2018年から続く両国間の貿易摩擦で、関税や輸入制限などの措置が相次いで発動されました。これにより、世界の貿易や投資、生産、消費などに大きな悪影響が及びました。国際通貨基金(IMF)は、2019年の世界経済成長率を0.8ポイント低下させたと推計しています。

また、ブルームバーグ通信は、2019年の米国の名目GDP増加率が6.3%で、中国(4.6%)を大きく引き離したと報じました。しかし、米国の企業と消費者には、関税や輸入税が1カ月あたり30億ドル(約3290億円)の負担をかけたことが算出されています。中国もまた、経済成長率の低下や物価の下落、不動産市場の不況などに直面しています。

コロナの影響は、2020年に世界経済に深刻な打撃を与えました。IMFは、2020年の世界経済成長率をマイナス4.9%と予測し、経済損失は2年間で12.5兆ドル(約1300兆円)に達すると試算しました。中国は世界の主要経済国で唯一、2020年に経済がプラス成長となりました。しかし、コロナの感染拡大を防ぐための厳格な封鎖政策は、経済の活力を落としました。

米国はコロナの感染者数や死者数が世界最悪で、経済も大きく縮小しました。ただし、金融政策や財政刺激策によって、経済の回復傾向が強まっています。

今後の見通しとしては、米中経済戦争は収束に向かう可能性があります。

両国は2020年1月に第一段階の貿易協定に署名し、関税の一部撤廃や貿易の拡大などを合意しました。また、バイデン政権は、トランプ前政権よりも対中関係の修復に積極的であると見られています。しかし、米中の対立は経済分野にとどまらず、安全保障や人権、技術などの分野でも続いています。そのため、両国の経済関係が完全に正常化するのは困難であると考えられます。

両国の経済規模の格差も、今後さらに拡大する可能性があります。米国はコロナのワクチン接種や財政支出によって、経済のソフトランディングを目指しています。中国は人口減少やデフレーションなどの構造的な問題に直面し、経済の成長力が低下しています。

■習近平の政権延命の施策とは

党内の反対派や政敵を粛清する反腐敗運動や綱紀粛正を続けることで、自らの権力基盤を強化した。

共産党の指導性を強調し、国家機関や民間企業、社会団体などに党の統制を浸透させることで、政治的な忠誠を要求する。

国内の経済や社会の不平等や不公正を是正する「共同富裕」の理念を掲げ、不動産税や相続税の導入、プラットフォーム企業の規制、学習塾の禁止などの施策を実施することで、庶民の支持を得る。

国際社会での発言力や影響力を高めるために、一帯一路やデジタルシルクロードなどの対外経済戦略を推進し、台湾や南シナ海などでの領有権主張や軍事的な示威行動を行うことで、国威を発揚する。

習近平政権の3期目は、中国の政治経済にとって多くの課題とリスクを抱えています。 経済政策では、新型コロナウイルスの影響で成長が鈍化し、少子高齢化や債務問題が深刻化しています。 また、米中対立やデジタル化の進展に対応するため、安全保障やセキュリティに重点を置いていますが、これは外資や民間企業の活動を制限し、経済の高度化や生産性の向上を阻害する可能性があります。

習近平政権は、経済回復と発展のために、外商投資の誘致や民営経済の保護などの対外開放の加速を打ち出しましたが、これが実効性を持つかどうかは不透明です。

政治面では、習近平政権は反腐敗運動や綱紀粛正と称して、党内の敵対派閥や政敵を粛清してきました。 これにより、習近平政権は権力を固めましたが、同時に潜在的な敵も増やしました。

また、習近平政権の周囲にはイエスマンばかりが集まり、集団思考や判断力の欠如が問題になっています。

習近平政権は、自らの権威を誇示するために、台湾や南シナ海などで強硬な姿勢をとっていますが、これは国際社会との対立や事故のリスクを高めています。

習近平政権は、3期目に入っても政治経済の崩壊を回避するために、以下のような対策をとる必要があると考えられます。

経済政策では、ゼロコロナ政策の見直しやワクチン接種の促進、国内消費の拡大、産業の高度化やイノベーションの推進、不動産市場の安定化、債務問題の解決などを行う。

政治政策では、反腐敗運動や粛清を抑制し、党内の民主化や法治化を進める。 また、外交政策では、米国や日本などとの対話や協調を強化し、台湾や南シナ海などの紛争の平和的解決を目指す。

■今後の政治経済対策は

中国経済は、新型コロナウイルスの影響や不動産市場の低迷、電力不足などにより、2023年は5.4%程度の成長にとどまると予測されています。しかし、政府は景気対策として、中小企業の支援やインフラ投資の拡大などを行っており、2024年は5.0%程度の回復が見込まれています。

中国経済の回復の鍵は、民間企業の活力を取り戻すことだと言えます。民間企業は、中国の経済成長や雇用創出に大きく貢献していますが、近年は国有企業に比べて政策の恩恵を受けにくく、資金調達や規制などの面で不利な状況にあります。このため、民間企業の信頼感や投資意欲が低下し、不動産市場や消費市場にも悪影響を及ぼしています。

政府は、民間企業への支援を強化するために、以下のような対策を施行する必要があります。

金融政策の緩和や税制の優遇などにより、民間企業の資金繰りやコスト負担を軽減する。

中国政府は、民間企業の経済活動を促進するために、金融政策の緩和や税制の優遇などを行っています。例えば、2023年12月には、中央銀行は利下げを実施し、民間企業の借入金利を引き下げました。また、2024年1月には、政府は減税や減免などの措置を発表し、民間企業の税負担を約2.6兆元(約43兆円)軽減しました。これらの政策は、民間企業の資金繰りやコスト負担を軽減するとともに、市場の信頼感や投資意欲を高める効果が期待されています。

不動産市場の安定化や住宅需要の喚起により、民間デベロッパーの業績や信用を回復する。

不動産市場の調整局面から脱するために、工事中断により物件引渡しが困難化した建設プロジェクトを対象とした特別融資枠を設定し、デベロッパーの資金繰りを支援する。

住宅価格の下落が3か月連続する都市では、住宅ローン金利の新たな調整メカニズムを導入し、所定のレンジを下回る金利設定が認められるようにする。

住宅購入者の権利保護を強化し、デベロッパーの債務問題による被害を防止するために、銀行に対し、住宅ローンの返済期限の延長や繰り上げ返済の免除などの措置を講じるよう要請する。

これらの対策は、民間デベロッパーの業績や信用を回復するとともに、住宅市場の安定化や住宅需要の喚起にも寄与する効果が期待されています。

規制や監督の緩和や透明化により、民間企業のイノベーションや競争力を高める。

会社法の改正により、民間企業の設立や持分譲渡の手続きを簡素化し、財産権の保護を強化する1。
独占禁止法の適用により、国有企業やプラットフォーム企業の市場支配力を抑制し、公平な競争環境を整備する。

データセキュリティ法や個人情報保護法の制定により、データの収集や利用に関する規範を明確にし、データの安全性や個人のプライバシーを保障する。

科学技術の発展に対応した法制度の改善や補完により、新興産業や新技術の発展を促進し、知的財産権の保護を強化する。

以上のような対策を実施することで、中国経済は緩やかながらも持続的な回復が可能だと考えられます。

しかし以上の対策は忌憚なく施行できるのか、習政権の実力が計られる。

■「共同富裕」とは

国民全体を豊かにすることを目指す習近平政権のスローガンです。 共同富裕は、所得格差や社会保障の不足など、急速な経済発展のもとで後回しにされてきた公平性の問題に対する取り組みを通して、共産党への信認を高める試みと解釈できます。

共同富裕を実現するための具体的な政策としては、以下のようなものがあります。

高額所得者や富裕層に対する課税や寄付の強化

低所得者や農村部の住民に対する所得補償や社会保障の拡充

不動産税の導入や住宅価格の抑制

教育や医療などの公共サービスの均等化や質の向上

ITや不動産開発、学習支援などの成長産業に対する規制や監督の強化

これらの政策は、中間層を厚くし、消費主導経済への移行や経済発展の質の向上に寄与すると期待されています。 また、社会の調和や安定にも貢献すると考えられています。

しかし、共同富裕には、経済の下押し圧力や「国進民退」のリスクも伴います。 一部の産業や企業が規制や寄付によって成長を阻害されることで、イノベーションや競争力が低下する可能性があります。 また、国有企業や政府の役割が強まることで、市場経済の原理や民間の自主性が損なわれる恐れがあります。

習近平政権が共同富裕を急ぐ背景には、SNSの普及によって格差を測る比較対象が広がり、格差に対する国民の許容度が低下したことがあるとみられます。 これは、「内巻」や「横たわり」といった厭世的な心情が若者の間に浸透していることからもうかがえます。

これらは、共産党が目指す社会から逸脱、あるいは、党の指導を拒絶する人が増えていることを意味し、経済成長とそれに伴う所得の上昇によって共産党への信認を高める、という従来の統治メカニズムが機能しにくくなったことを示しています。

共同富裕は、従来の統治メカニズムが機能しなくなったことを察知した習近平政権による新たな統治メカニズムの模索と解釈することもできます。 しかし、共同富裕を可能にするのはあくまで所得の再分配や公共サービスの充実などの2次分配であり、寄付や慈善などの3次分配ではありません。 中国が共同富裕に向けて前進できるか否かは、住宅価格がどのような軌道を描くかによって左右されると言えるでしょう。

「共同富裕」の寄付とは?

寄付というのは、習近平政権が富裕層や大企業に求めている社会還元の一つです。 共同富裕は、所得格差や社会保障の不足など、急速な経済発展のもとで後回しにされてきた公平性の問題に対する取り組みを通して、共産党への信認を高める手段と解釈できます。

具体的な寄付の内容としては、以下のようなものがあります。

テンセント(騰訊控股)は、教育、農村振興、医療、環境保護、災害救助などに計1000億元(約1兆7000億円)を強制されました。

バイトダンス(北京字節跳動科技)創業者の張一鳴は、教育基金として個人で5億元(約85億円)を強制されました。

アリババグループは、ギグワーカーや中小企業の支援、雇用促進のために5年間で計1000億元(約1兆7000億円)強制的に寄付しました。

その他にも、著名な俳優や歌手、起業家などが、教育や医療、貧困対策などとの名目で寄付させられました。

共産主義の土地革命と「共同富裕」の寄付との違い

共産党の目的と手段が異なります。

共産党の土地革命は、暴力や強制によって富を奪い、農民に分配することで、社会の階級を一掃することを目指していました。

「共同富裕」寄付は、富裕層や大企業に対して、道徳や法律に基づいて寄付や慈善事業を行うことを奨励し、低所得者や農村部の住民に対して所得補償や社会保障を拡充することで、社会の公平性を高めることを目指す。

しかし、習近平政権の「共同富裕」は、方法が異なるだけで、資本家の富を没収し貧富の格差を解消、真の共産主義社会「社会の階級を一掃する」その目的に変わりはありません。
2024.01.30 22:01 | 固定リンク | 経済

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