ミャンマー民主化運動「特殊詐欺と利益共有」
2024.01.17
少数民族の歪んだ民主化運動 中国の犯罪組織と結託、利益共有 そして3万人強制送還

ミャンマーから中国特殊詐欺強制送還とは、ミャンマーで中国人を標的にした電話やインターネットの詐欺に関わった容疑者が、中国側に移送されることです。

2023年9月から12月にかけて、ミャンマーで逮捕された中国人の詐欺容疑者は約3万人に上り、中国公安省はこれらの容疑者を次々と中国に送還しました。

ミャンマーでは中国人や現地の住民など10万人以上が詐欺組織で活動しているとされており、中には詐欺グループにだまされて連れ出された中国の若者が、軟禁状態に置かれ、働かされているケースもあるといいます。

ミャンマー政府は「特に中国人を対象とした詐欺行為について、取り締まりを強化する」としています。

この背景には以下の情報があると考えられます。

中国では電話やインターネットなどを使った詐欺が社会問題になっており、被害額は2022年には約40兆円に達したとされています。

中国当局が社会の統制を強め、犯罪の取り締まりも強化していることから、中国人詐欺グループは東南アジアなど近隣に移って中国人相手に犯行を続けています。

ミャンマー北部は中国人詐欺グループの拠点となっており、中国人や現地の住民など10万人以上が詐欺組織で活動しているとされています。

中国人詐欺グループは、詐欺グループにだまされて連れ出された中国の若者を軟禁状態に置き、働かせているケースもあるといいます。

中国とミャンマーは、両国の警察が共同で大規模な捜査を実施し、多数の中国人を拘束し、中国側に引き渡しています。

2023年9月から12月までの間に、ミャンマーから中国へ強制送還された中国人は約3万人に上っています。この中には、詐欺グループの幹部や、強制送還後に再入国した者も含まれています。

中国犯罪集団がミャンマーに進出した理由は、主に2つあります。1つ目は、中国国内での取り締まりが厳しくなったことで、海外に拠点を移す必要があったことです。2つ目は、ミャンマーには中国語を話せる少数民族が多く、コミュニケーションや協力が容易だったことです。

ミャンマー側が中国犯罪集団を許した背景には、主に2つあります。1つ目は、ミャンマーの警察能力が低下していたことで、犯罪を防ぐことができなかったことです。2つ目は、中国犯罪集団がミャンマーの少数民族の一部と結託して、武装勢力や反政府勢力として活動していたことです。

■ミャンマー側の少数民族が政府側と敵対し、中国側の犯罪集団と結託し利益を共有その背景は

ミャンマーの少数民族は、英国植民地時代の分割統治により、ビルマ民族とは異なる歴史や文化を持っています。

ミャンマーの独立後も、ビルマ民族が主導する政府は、少数民族の自治や文化的権利を認めず、軍事的に制圧しようとしました。

これに対して、少数民族は武装勢力を結成し、政府軍とのあいだで60年以上にわたって内戦を続けてきました。

2012年の民政移管後、一部の武装勢力と政府は停戦合意を交わしましたが、和平のあり方については合意に至っていませんでした。

政府は多民族国家であることを標榜しつつも、少数民族の文化的権利を制限する「ビルマ化」をすすめてきました。

2021年2月のクーデター発生後、少数民族武装勢力は、反軍政の民主派組織「国統一政府(NUG)」と連携し、政府軍に対して攻勢を強めました。

少数民族武装勢力は、政府軍の人権侵害や民主化の妨害に反対し、自らの民族の権利や尊厳を守るために戦っていると主張しています。

■少数民族の歪んだ民主化運動

少数民族武装勢力が、中国の犯罪組織と結託、利益を共有という歪んだ関係を推し進めた理由について、以下のことが挙げられます。

少数民族武装勢力は、中国の犯罪組織との結託により、資金や武器、情報などの支援を受けることができました。これにより、政府軍に対抗する能力を高めることができました。

中国の犯罪組織は、少数民族武装勢力との結託により、ミャンマーの地下資源や宝石、麻薬などの密輸ルートを確保することができました。これにより、中国国内での詐欺や賭博などの犯罪活動に利益を得ることができました。

少数民族武装勢力と中国の犯罪組織は、互いに利益を共有するだけでなく、政治的な目的も持っていました。少数民族武装勢力は、ミャンマーの民主化や多民族連邦の実現を目指していました。中国の犯罪組織は、ミャンマーの不安定化や中国の影響力の拡大を目指していました。

このように、少数民族武装勢力と中国の犯罪組織は、経済的、軍事的、政治的な利害が一致することから、歪んだ関係を推し進めたと考えられます。

中国政府はミャンマー政府を支援する一方、敵対する少数民族と犯罪集団の一網打尽を図る構えか、ミャンマー残留中国人10万人の一部3万人の強制送還を強行した。

■ミャンマー政府軍の弱体化

ミャンマー政府軍は、2021年2月のクーデター以降、反軍政派の武装勢力や市民の抵抗に直面しており、多くの兵士が死亡、負傷、脱走、亡命などにより減少しています。

ミャンマー政府軍の人員は、2021年のクーデター前には約35万人だったと推定されていますが、2023年5月時点で約31万人にまで減少したと見られています。

ミャンマー政府軍の新規採用は、クーデターに反対する国民の間で人気がなく、報奨金を引き上げても効果がないとされています。

ミャンマー政府軍は、犯罪者や麻薬中毒者などの質の低い人材を受け入れることで、戦闘能力や士気の低下を招いていると指摘されています。

ミャンマー政府軍は、データの隠匿や改ざんが横行しており、総司令官や副司令官でさえ、部隊内の正確な状況を把握していない可能性があるという。

ミャンマー政府軍は、東部シャン州で活動する少数民族の武装勢力との戦闘で、多数の軍事拠点や国境検問所、貿易ルートなどを失い、最大の後退を経験しています。

ミャンマー政府軍は、空爆や砲撃で応戦していますが、増援部隊を投入することも、失った勢いを取り戻すこともできていません。

ミャンマー政府軍は、少数民族の武装勢力に対する攻撃により、中国との関係も悪化させています。中国は、ミャンマーで活動する詐欺組織に対する対策を求めており、自国民の避難を促しています。さらに犯罪集団メンバーの強制送還を実施しています。
2024.01.17 12:42 | 固定リンク | 事件/事故

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