藤本健二氏「北朝鮮で何が?」
2023.01.15

平壌で消えた金正日の料理人・藤本健二氏 秘密を知り過ぎた男に何が起きているのか

 日米韓三国の情報関係者が、北朝鮮で行方不明になった「金正日の料理人」として知られる藤本健二氏死亡の可能性を口にし始めた。金正恩総書記の命運を左右する秘密を、握っていたという。それは何か。

 藤本氏は平壌で日本料理店「日本料理たかはし 」を経営していたが、2019年6月頃から姿を消した。捜査当局の取り調べを受けていた。日米韓三国の情報機関のスパイ疑惑で、拘束されたようだ。彼に関連して拘束された金正恩の秘書室長、金昌善はその後名誉回復したが、藤本氏の姿は消えたままだ。

 コトの始まりは2019年2月の、ベトナム・ハノイでの米朝首脳会談だった。金正恩がハノイに汽車で向かった2月23日未明に、スペインの北朝鮮大使館が襲われた。犯人グループは、ハノイ到着までは襲撃情報が金正恩に届かないことを知っていた。金正恩は、3日後の26日にハノイに到着し、襲撃事件を知り激怒した。

 この襲撃犯たちは、北朝鮮の秘密情報を知っていたから、金正恩は驚愕した。実は、北朝鮮のヨーロッパでの情報収集本部は、英国のロンドンに置かれていたが、駐英公使が韓国に亡命する事件が起き、北朝鮮は情報本部をスペインの大使館に移転させたばかりだった。犯人グループは、韓国系米国人が中心で、北朝鮮の機密情報を盗んで逃げたのだ。

 この事件は、北朝鮮の工作活動や秘密警察機能を持つ国家保衛省が、責任を問われ幹部が更迭される大問題に発展した。北朝鮮は、米CIA(中央情報局)が仕組んだ事件と判断し、北朝鮮の内外で米国のスパイ狩りが展開された。

 国家保衛省は、名誉回復のために日本や韓国と米国にいる工作員に、スパイ情報の収集を命じた。これが、藤本健二氏拘束のきっかけだった。

金正恩の機密情報とは
 金正恩は、日本にいた大物工作員に藤本氏に関する情報の確認を、直接指示した。この過程で、藤本氏が日本の公安機関や内閣調査室、韓国の情報機関、米CIAの幹部職員と接触していた事実を確認した。この工作員は、藤本氏が接触した人物の名前も確認して、報告書を北朝鮮に送った。

 ところが、この報告書類が送達事故で国家保衛省の手に渡ってしまった。名誉回復に必死の国家保衛省は、この報告書の内容を横取りし、藤本氏の捜査と逮捕に着手した。その過程で藤本氏は、米CIAや日本の情報機関、韓国情報機関との接触と機密漏洩を、明らかにした。

 秘書室長の金昌善は、藤本氏の身元保証人であったため、取り調べを受け解任されたが、スパイ事件や藤本氏の機密漏洩には関わっていない事実が明らかになり、名誉回復した。この捜査で、藤本氏が朝鮮総連の議長派宛に機密の全てを伝えていた事実も、明らかになった。このため、金正恩は反議長派の朴久好副議長を第一副議長に任命し、次期議長であると指示したが、現議長を解任できなかった。議長が、金正恩の機密情報を藤本氏から聞いていたから、と情報 関係者は理解した。どんな機密なのか。

 機密が何であるかについては、アメリカの情報機関関係者も口を閉ざす。その中の一人は、「アメリカは金正恩の血液検査とDNAを入手している」とだけ述べた。これは何を意味するのか、DNAは本人確認に必要なものだが、関係者の間で判断は分かれる。

 情報関係者が改めて注目しているのは、藤本氏の発言だ。2010年の金正日総書記の死去直前に、金正恩がテレビ映像に初めて映し出された 。テレビ局は、藤本氏をスタジオに呼び、本人かどうかの確認を求めた。

衝撃を与えた重村氏の発言
 藤本氏は、1989年から金正日の専属料理人となり、金正恩が7歳の頃から相手をした。2001年に「殺される危険」を 教えられ、日本に脱出した。なのに、また北朝鮮に帰ったのだから、何かがあったと考えないと理解できない。

 北朝鮮からの脅しは、日本に「逃亡」後も続き、北朝鮮から持ち帰った金正日の機密写真数百枚を、親しくなった女性が焼いて逃げた事件も起きた。女性は明らかに、北朝鮮の手先だった。「お前をいつでも殺せる」との脅しが込められていた。

 藤本氏は、12歳までの金正恩を知る唯一の人物だ。金正日は、子供や家族への高官の接触を禁じていたから、藤本氏以外には金正恩を知る人は、ほとんどいなかったので、彼の発言は注目された。藤本氏以外には、金正恩に 身近で接触し話を交わした人物は北朝鮮でもいなかった。

 朝鮮問題の専門家や政府関係者、取材記者らが注目する中で、藤本氏がテレビ局のスタジオで発言した。

「いやー、変われば変わるものだ」

 この発言は、平壌に衝撃を与えた。普通なら、「ご立派になられて、感激だ」と言えばいいのに、なぜ「変われば変わるものだ」と言ったのか。あたかも、自分が知っている金正恩とは違うとの意味に受け取られる表現だ。

 後になって、私は藤本氏に発言の真意を聞いたが「覚えていない」と逃げられた。北朝鮮は、口封じのために、平壌に呼び寄せたのか。情報機関関係者は、「藤本の発言に驚愕した平壌当局が、真実を口外させないために平壌に『永久帰国』させたが、スパイ容疑で消されたのではないか」とも推測する。

 彼はなお生存しているのか、あるいは刑務所か、政治犯収容所にいるのか。藤本氏の行方が分からなくなってから三年半が過ぎた。「金正日の料理人」は、金正恩への疑問とその謎を解くカギだけを残した。
2023.01.15 13:16 | 固定リンク | 国際
王将戦七番勝負「藤井聡太1勝」
2023.01.15

「なんなんだこの2人は…」藤井聡太-羽生善治、2日間にわたる“世紀の決戦”後にプロ棋士を驚かせたこと

 1月8日、藤井聡太王将-羽生善治九段の第72期ALSOK杯王将戦七番勝負が開幕した。

 会場となった静岡県掛川市の掛川城で観戦してきたので、現地の様子を交えて歴史的な一戦をレポートしたい。

ここぞというところで結果を残してきた戦法

 後手番となった羽生が選んだのは、王将リーグを全勝したときの原動力である横歩取りではなく、1手損角換わりだった。しかも本局の8手目角交換タイプは、2019年12月の三枚堂達也七段との朝日オープン戦以来、まる3年ぶりだ。藤井は局後に「想定はしていなかった」と語った。

 一方、羽生は「まだ可能性もあるのかなと思ったので。いろんなことを試みる中の一環で、やってみました」と語っている。羽生にとっては60局近くも採用し、タイトル戦の舞台だけでも19局も登板させている。ここぞというところで結果を残してきた戦法だ。経験の差で勝負しようとした。

 藤井は1手損対策で最有力とされている早繰り銀を採用。藤井といえば腰掛け銀だが、早繰り銀も永瀬拓矢王座との王位戦挑戦者決定戦と豊島将之九段との竜王戦七番勝負で採用しており、似た形の経験はある。

 だが、羽生は秘策を用意していた。38手目、前例の自陣角ではなく飛車取りに銀を打つという新手だ。さらに藤井の金をあえて玉側に移動させ、空いたスペースを垂れ歩で狙う。藤井は76分、70分と連続大長考に沈む。藤井の持ち時間を削り、後手番ながら中盤戦を互角に乗り切った。

「歩が下がり、歩が消える」

 2日目、藤井は再び時間を使い、敵陣に銀を打ち込み、飛車を金桂と交換して猛攻する。

 私は世紀の対決を生で見るべく掛川におもむき、立会の久保利明九段、副立会の神谷広志八段と検討する。「藤井の桂」が駒台に乗ったことで検討も弾む。飛車取りに桂を打たれては勝負は終わると、どう桂打を防ぐかを検討する。調べている内に、直感で浮かぶ手が思わしくなく、逆に人間には指しにくい手が正解となることが多いことがわかる。これは難しい将棋だねと皆がつぶやく。

 昼食休憩後、羽生はもっとも指しにくいとされていた手を指す。

 歩を交換して元いた場所の下に歩を打ち、桂を打つマス目を埋めたのだ。

 これは1994年6月米長邦雄名人との第52期名人戦第6局で披露し「歩が下がる」と呼ばれて話題になったテクニックだ。羽生はこの将棋を勝ち、23歳で名人位を獲得した。

 だが藤井も負けてはいない。自分の玉頭の歩を捨て、盤上から歩だけを消滅させ、空いたマス目に桂を打つ。

 囲碁・将棋チャンネルで解説していた森内俊之九段にも「見たことがない手筋ですね」と言わしめた妙手順だ。

羽生は“人間には指しにくい勝負手”を放つが…
 歩が下がり、歩が消える、なんと見事な技の掛け合いだろうか。そして、羽生が桂跳ねを防いで銀を引いたところがクライマックスだ。このまま藤井が先手先手で攻めると思いきや、自陣の左桂を跳ねて力をためたのだ。

 飛車を捨てて猛攻しながらここで手を渡すとは。だが指されてみると次の桂跳ねがとても厳しい。斜めに配置した2枚の桂が強烈な存在感を放っている。羽生は63分の大長考で、角を打って盤上の桂と交換し、取った桂を金取りに打つという、これまた人間には指しにくい勝負手を放つ。だが、藤井はわずか5分で桂を中央に跳ね、ここで勝負あった。

 羽生はあえて金を取らずに攻め合いに出たが、藤井の寄せは正確無比だった。角を立て続けに打ち、あの桂が天使の跳躍をして敵陣に成り込み、最後は角の王手に桂を温存して銀を犠打して終局。投了図の羽生玉には金を取って、桂を打ち、歩以外余らない詰みがある。藤井の寄せは、まるで詰将棋かと思うように美しい。

 新手の銀打ち、歩の垂らし、歩が下がる、角桂交換して手番を握る、羽生は持てる技を出して戦った。藤井の桂のマークも外さなかった。だが終盤に入ってから自陣の桂が三段跳びしてくるところまでは捕捉できなかった。

感想戦は1時間を超えても楽しそうに続く

 2人は大盤解説会場で挨拶した後感想戦に。羽生は盤面を鋭くにらみ、藤井は扇子をクルクルさせ、何度もまばたきをする。タイトル戦の初戦となれば、軽く流すのが普通だが、感想戦とは思えないほど真剣に読んでいる。31歳9ヶ月差という年齢の壁を超えて将棋の真理を追求しようとしている。

 藤井は一回まばたきするたびに、扇子を回転させるたびに、10手は読んでいるだろうか? 2日間脳をいじめにいじめ抜いたはずなのに、なんなんだこの2人は。

 特に羽生の姿を見て驚いた。2022年3月A級順位戦で広瀬章人八段に競り負け、感想戦で疲れ切った顔をしていたのとは別人のようにはつらつとしている。私たちの羽生善治が、2年ぶりにタイトル戦の舞台に戻ってきたのだ。

 感想戦が1時間を超えても楽しそうに続くのを見て、ふとサッカーワールドカップのスペイン戦でゴールを決めた田中碧さんがテレビの対談で語った言葉を思い出した。



「楽しいって、スポーツだけに限らず一番強いですね」

 できることならば2人の戦いをずっとずっと見ていたい。
2023.01.15 12:56 | 固定リンク | 囲碁将棋
中国の三人っ子政策「日本車”追い風”」
2023.01.15

中国の地方における人口の変化

 過剰な人口増加を抑えるため、中国政府は1980年ごろに「独生子女政策(一人っ子政策)」を導入。これにより一組の夫婦が設けることのできる子供の数が「1人」に限定され、違反した夫婦には多額の違反金が課されることになった。しかし労働力として重宝される「男子」に人口が偏るなど弊害が目立ち、若者世代の減少による急速な高齢化も問題視されている。

 こうした問題に対処するため、中国では2016年に「全面二孩政策(全面二人っ子政策)」を導入、さらに2021年には「一組の夫婦に3人までの子供を認める」と発表するなど、高齢化対策を全面的に開始した。

 中国・計画出産関連機構の撤廃、出産自由化か

 2016年に「全面二人っ子政策」を導入した中国。一人っ子政策による少子化の進行に歯止めをかけるのが狙いだったが、増加したのは2016年のみで、翌2017年には出生数が再び減少に転じた。

 これを受けて中国当局は、「計画出産に関連する3機構を撤廃する」と発表。出産自由化へ移行する準備段階に入ったのでは、との臆測を呼んでいる(2018年時点)。

 人口と経済の危うい関係、中国はどうなる

 出生数の低下に伴う若者人口比率の低下は、経済に大きな影響を与えると考えられている。例えば「逆依存人口比率」(1人の被扶養者が何人の働き手に支えられているかという指標)が下り坂に差し掛かると経済活動が鈍化するとされ、日本では実際に「1965年の証券不況」や「1990年のバブル崩壊」が発生した。

 今こうしたリスクに直面しているのが中国だ。近い将来、中国経済が日本のバブル崩壊と同様の経験をすることになるのか、注目が集まっている。

 認知症1000万人、中国の今。中国人民大学教授に聞く

 現在の中国で、少子化と並んで問題視されているのが高齢化だ。すでに65歳以上の人口は1億6700万人に上り(2018年末時点)、2050年までにその数は倍になると考えられている。一方で中国の社会保障は日本ほど整っておらず、都市部と地方の格差も大きい。高齢者が受け取る年金額と医療費のバランスも問題だ。

 社会保障体制の整備と充実、日本や欧米企業によるシニア市場の開拓、定年後のライフスタイルへの意識など、今後の中国にはさまざまな変革が求められている。

 人口増や温暖化…食糧の「偏在」が加速する

 出生数が低下したとはいえ、中国の人口は膨大だ。約14億人の人口を維持するには大量の食料が必要で、中国当局は今後に備えて「貿易戦争の中で食糧が弱点にならないよう」補強を急いでいる。指導部が中国古来の伝統とは真逆の「食べ残すな」という指令を出しているのも、その一環だ。

 結婚できない?しない?「一人っ子」たち。中国の婚活・出産事情

 2015年末まで行われていた一人っ子政策の弊害として指摘されるのが、アンバランスな男女比率だ。伝統的に男児が女児よりも重視されてきた中国では、意図的な産み分けを避けるために出生前の性別診断が禁じられている。だが、それでも男児の出生割合は女児より2割ほど高いという。

 これは中国の若い男性にとって「結婚しにくい(相手が見つからない)」ことを意味する。一方で高学歴の女性の独身比率も高まっており、こうしたマッチングの難しさが、中国のさらなる少子化につながっている。

 中国の「三人っ子政策」がうまくいきそうもない理由

 2021年、ついに中国政府が「一組の夫婦に3人までの子供を認める」と発表した。2016年の全面二人っ子政策でも少子化を食い止め切れなかったことから、さらなる緩和に踏み切った形だ。

 だが30年にわたる一人っ子政策で「中国の社会と経済がすっかり少子化に最適化」され、育児や教育にかかる費用の負担が増大していることなどから、単なる「出産制限の緩和」では出生数の改善は期待薄とみられている。

 中国の三人っ子政策、日本の自動車メーカーの追い風に

 一方で自動車メーカー、特に日系メーカーにとって、三人っ子政策は大きなチャンスとなる。中国人のファミリー構成が変化することで、日本の自動車メーカーが得意とする「3列シートの7人乗りSUV(多目的スポーツ車)」や「中高級MPV(多目的車)」の需要が増大すると考えられるためだ。

 中国の地場ブランドは比較的コンパクトなSUVで人気を集めているものの、こうしたメーカーが大型SUVのノウハウを身に付けるには時間がかかる。日本の自動車メーカーが中国市場でシェアを伸ばすためにも、中国の政策や消費市場の変化をしっかりと把握していくことが必要だ。

 約14億人という圧倒的な人口を誇る中国。一方で人口の過剰な増加を抑えるため、30年以上にわたり一人っ子政策を採用してきたことでも知られている。だが一人っ子政策による出生数の低下は、中国の経済や社会保障への大きなリスクをもたらしている。新たに導入された「出産制限の緩和」政策がどのような効果をもたらしていくか、要注目だ。
2023.01.15 11:32 | 固定リンク | 国際
露軍無差別攻撃で若い女性が窮地に
2023.01.15
救助隊はがれきから人々を救おうとしています。破壊された家の中に女性が立っていて、何か赤いものを持っています。それは子供です。ひどい!


2023.01.15 11:08 | 固定リンク | 戦争
ワグネル1日で「400人死亡」
2023.01.14


ワグネルが派遣した雇い兵約5万人のうち、4100人が死亡し、1万人が負傷。

また13日にはHIMARSの攻撃で400人以上が死亡したと言う。偵察ドローンで標的を特定しHIMARSで攻撃。

米ホワイトハウスの当局者は5日、ロシアの民間軍事会社ワグネル・グループ創設者でプーチン大統領の側近、エフゲニー・プリゴジン氏がウクライナ東部ドネツク州の激戦地バフムト近郊で採掘される塩や石こうを掌握することに関心があるとの見方を示した。

プリゴジン氏ひいてはロシアがバフムト掌握に「執念」を見せるのには金銭的動機があるようだと語った。

プリゴジン氏は西側諸国の制裁対象に指定されている。

同当局者によると、ワグネルが派遣した雇い兵約5万人のうち、4100人が死亡し、1万人が負傷。死者のうち1000人強は11月下旬から12月上旬の短い期間にバフムト周辺で死亡したという。

米政府高官は先月、ワグネルがクライナに侵攻するロシア軍を支えるため、北朝鮮から兵器の納入を受けたと明らかにしていた。ウクライナ侵攻でワグネルの役割が拡大しているとみられる。
2023.01.14 23:04 | 固定リンク | 戦争

- -