藤井聡太王将が2勝目=2勝1敗に
2023.01.29


藤井聡太王将が2勝目 挑戦者・羽生善治九段との“金沢対局”を制する シリーズは2勝1敗に/将棋・王将戦七番勝負第3局

 将棋の囲碁将棋チャンネル 第72期ALSOK杯王将戦七番勝負第3局が1月28・29日の両日、石川県金沢市の「金沢東急ホテル」で行われ、藤井聡太王将(竜王、王位、叡王、棋聖、20)が挑戦者の羽生善治九段に95手で勝利し、2勝1敗と白星を先行させた。将棋界のスーパースター同士が激突する大注目のシリーズ。次戦、第4局は2月9・10日、東京都立川市の「SORANO HOTEL」で指される。

 歴史的建造物や豊な食文化、伝統芸能が魅力の文化都市・金沢対決は、令和の天才・藤井王将に軍配が上がった。本局は第1局で先勝を飾った藤井王将の先手番。羽生九段は出だしで角道を止め、居飛車・振り飛車両方の可能性を示唆した。「相手の出方次第という感じでしたが、この作戦は両方見せながら駒組みを決めるということ」と出だしから絶対王者に揺さぶりをかけた。

 藤井王将は、「(居飛車・振り飛車の)どちらにも対応できる手を考えながら指していました」。細かな駆け引きののちに、羽生九段は「まだ未解決の部分もあるのかなと思って」と雁木模様に。藤井王将は急戦を仕掛けてねじり合いへと進行した。

 超難解な中盤戦に突入すると、藤井王将が長考を重ねて緊張感を漂わせた。羽生九段が前日に封じた50手の開封で対局が再開されると、盤上はより一層緊迫していく。羽生九段は、藤井王将の攻撃をかわすように中段へと玉を上げた。終局後には「自陣にいっぱい駒がいるので、入玉というよりはちょっと攻めを緩和するという意図で指していたんですけど、なかなかまとまりきらなかった気がします」と振り返った羽生九段。強く攻勢に出た藤井王将がペースを掴むと、幅広い選択肢の中から慎重に指し手を選び、リードを拡大させていった。

 じわじわと劣勢に追い込まれた羽生九段も、連勝を目指すべく簡単に折れる訳にはいかない。随所で工夫を見せ、終盤では先手の桂馬に狙いをつけ反撃を繰り出したが、藤井王将は揺るがず冷静。緩急自在の指し回しを見せた藤井王将が押し切り、2勝目を手にした。

 快勝を飾った藤井王将は、「角と金を交換したあたりがどういう構想で指すのかが非常に難しくて、わからないところの多い将棋だったなと感じています」と総括。敗れた羽生九段は、「封じ手が良い手ではなかったかもしれないです。ただ、代わりに何をやるというのは難しいので、あの辺のまとめ方に問題があったように感じます」と振り返った。

 シリーズは中盤戦へ。第4局の開催地、東京・立川は藤井王将が前年に王将位奪取を決めた思い出の地だ。次局で初防衛へ王手をかけたい藤井王将は、「第4局の前に何局か対局があるので、それらの対局も含めて状態を維持して第4局に臨めるようにしたいなと思います」、先手番で再び追きたい羽生九段は「気持ちを切り替えてまた次に臨みたいと思います」とそれぞれ次戦を見据えた。

 藤井王将は、中2日の2月1日には順位戦A級8回戦で永瀬拓矢王座(30)戦、さらに2月5日からは渡辺明棋王(名人、38)に挑戦する棋王戦五番勝負が開幕と重要対局が目白押しとなっている。ますます混戦が予想されるシリーズから目が離せない。

2023.01.29 18:16 | 固定リンク | 囲碁将棋
フィリピン「悪人の楽園」カジノも
2023.01.29


フィリピンの収容施設は「悪人の楽園」 通信機器入手も容易、オンラインカジノ運営も

全国で相次いで発生している強盗事件をめぐり、犯行の指示役とされる日本人特殊詐欺グループの一部は、フィリピン首都マニラ郊外の入管施設「ビクタン収容所」に拘束されている。施設内は腐敗が横行し、賄賂を出せば、酒や通信機器の入手も容易だ。内部事情を知る男性は管理が緩い様子を「悪人の楽園」と呼んだ。

◆賄賂で「VIPルーム」

施設には不法滞在などで母国への送還を待つ外国人や、各国から指名手配された逃亡犯が収容されている。最大で140人しか収容できないが、400人以上いることが常態化しており、日本人のほか中国人や韓国人らアジア系が多いという。

取材に応じた男性は、2010年代に収容所で施設の管理業務に携わった。男性によると、賄賂は長年にわたって横行しており、収容者はスマートフォンやノートパソコンのほか、酒の入手は容易。賄賂を受けとった職員が外部で直接買ったり、面会者による差し入れを見逃したりしたという。

施設内は2段ベッドが並ぶ劣悪な環境だが、5万ペソ(約12万円)ほどの賄賂を払えば利用できる「VIPルーム」と呼ばれるスペースもあった。

賄賂を受け取った所長が、収容者のオンラインカジノ運営を黙認していたことも問題となった。「いわば無法状態ともいえる状況だったので、(日本人のグループが)施設外に犯行指示を出すことは容易だろう」と男性は話した。

◆「告訴」で収容延長

常態化していたのが、賄賂による収容の〝延長〟だ。内部で「ペイ・トゥー・ステイ(支払いによる滞在)」と呼ばれ、収容所職員側が持ち掛けることもあり、帰国したら厳刑が待っている中国人が1億ペソ(約2億3千万円)を出したこともあった。

一部の収容者は本国への強制送還が避けられないとなると、外部協力者を利用し、自身を暴行や詐欺などの罪で告訴・告発させるという。司法手続きが正式に始まれば、母国への送還手続きは停止状態となるためだ。「有罪となれば、そのまま刑務所に収監される。帰国を引き延ばす手法だ」(地元ジャーナリスト)。

司法省報道官によると、グループのリーダー格である渡辺優樹容疑者は暴行罪で訴追されており、今後、フィリピンで裁判を控えている。外部協力者を利用し、収容を延長させた可能性がある。

司法省は今回の事件を受け、施設内で「携帯電話の使用を禁止する」との通達を出したが、裏を返せばこれまで使用が常態化していたといえる。施設管理に携わった男性は「入管施設や刑務所などは職員の待遇の悪さもあり、賄賂がはびこっている。悪人の楽園は1つではない」と話した。
2023.01.29 15:31 | 固定リンク | 事件/事故

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