尾身茂氏、中国コロナ会議出席へ
2023.06.15


■尾身茂氏「第9波の入り口に入ったのではないか」…5類移行後1か月で感染2・5倍

 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会長を務めた尾身茂氏は14日、東京都内で開かれた病院団体の会合で、「(流行の)第9波の入り口に入ったのではないか」と語った。新型コロナの感染症法上の分類が5類に移行して1か月間で、全国約5000か所の定点医療機関から報告された感染者数が2・5倍に増えたことなどから、今後の拡大の可能性に言及した。

 尾身氏は「第9波のコロナ感染による死亡者数を、(年末年始の2か月あまりで2万人に上った)第8波より少なくできれば、その後の流行に伴う被害も一定程度に抑えられる可能性がある」と述べた。重症化リスクが高い高齢者のワクチン接種や、介護施設での感染対策が重要だとしている。

■5類移行でも高い感染力「まだ普通の病気になっていない」 尾身茂コロナ分科会長、沖縄「拡大傾向に入っている」

 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会長で公益財団法人「結核予防会」の尾身茂理事長の講演会(主催・沖縄県結核予防婦人連絡協議会)が27日、浦添市のアイム・ユニバースてだこホールであった。県内の新型コロナの感染状況は「拡大傾向に入っている」と指摘。感染症法上の位置付けが5類へ移行しても高い感染力があることから、「まだ完全に普通の病気にはなっていない」と警鐘を鳴らした。

 尾身理事長はコロナ禍の約3年間を振り返り、人口10万人当たりの国内の死亡者数は海外と比べて低く抑えられた一方、緊急事態宣言などで社会経済活動や教育に大きな負担をかけたと指摘。医療逼迫(ひっぱく)やデジタル化の遅れによる不十分な情報共有などの課題も示した。

 その上で「問題点を検証し、次のパンデミック(世界的大流行)が起きた時、効果的な対策を打つことが大切だ」と強調。今後の懸念として若者のワクチン接種が低いことを挙げ、「致死率は低くなっても、それを上回る感染者数が出ている。ゼロにはならない病気だ」と説明した。

■尾身氏、コロナ5類移行後に警鐘 「まだ普通の病気ではない」

 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長(73)は2日、共同通信のインタビューに応じ、感染症法上の位置付けの5類移行に「社会を動かす時期に来ているとの考えには賛成だ」と理解を示す一方、高い感染力があることから「まだ完全に普通の病気にはなっていない」と指摘した。今後の感染症対策に生かすため、政府対応を徹底的に検証する必要性も強調した。

 尾身氏は、2020年の感染拡大当初から3年超にわたり、専門家の取りまとめ役として政府に助言してきた。「将来、歴史の審判に堪えられるようにと考えてきた」と振り返った。

 「法律で人々の行動を縛ったり、感染者をすぐ隔離したりする時期は、もう過ぎつつある」。昨年春ごろから対策の段階的な緩和を意識していたという。

 一方で、高い感染力や変異の予測ができない点を警戒。致死率は低下したものの感染力は増し、流行のたびに死者は増える傾向にある。「5類になったからといって感染者がすぐにゼロになることはない」と訴えた。

■尾身茂氏、中国コロナ会議出席へ 今月下旬、再流行の中で知見共有

日本政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会会長を務めた尾身茂氏が今月下旬に中国を訪問することが10日、分かった。感染症に関する国際会議に出席し、コロナ対策を議論する。複数の日中関係筋が明らかにした。会議を主催する中国は最近、コロナが再流行しており、日本を含む各国と知見を共有したい考えだ。

 会議は28~30日に雲南省昆明で開かれ、感染症予防や治療、緊急対応を世界の専門家が議論する。尾身氏は29日に講演し、2020年のコロナ感染拡大当初から3年超にわたり日本政府に助言してきた立場から、日本のコロナ対策の経験や感染症対策のあり方について見解を述べる。

 中国は習近平国家主席が掲げた感染を徹底して抑え込む「ゼロコロナ」政策の成果をアピールするとみられている。

 コロナ対策を巡っては、中国が情報開示に消極的で、感染実態を把握できないとして国際社会から批判された経緯がある。中国がこうした批判をかわすため、自国のコロナ対応の正当化に国際会議を利用するのではないかと懸念する声も関係国から上がっている。

2023.06.15 07:13 | 固定リンク | 医学

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