トライベイキャピタルと三浦瑠璃氏、旧統一教会との関係は「特捜部家宅捜索」
2024.06.07
東京地検特捜部が、太陽光発電などを手がける投資会社「トライベイキャピタル」(東京都千代田区)などを突然家宅捜索した事件について、興味深い事実が明らかになっています 旧統一教会との関係は...

以下は、この事件に関連する重要なポイントです。

トライベイキャピタルと三浦瑠璃氏:

トライベイキャピタルは、太陽光発電投資を手がける投資会社で、三浦清志氏が社長を務めています。

同じフロアには「山猫総合研究所」という会社が入居しており、この会社で代表を務めるのは政治学者・三浦瑠璃氏です。

失踪した10億円と民事訴訟:

トライベイキャピタルの特別目的会社(SPC)である「STC3」が計画した太陽光発電投資物件に関連する民事訴訟があります。

この訴訟は、約9万坪の土地を取得して、発電出力2万KWの施設を建設するプロジェクトについてのものです。

トライベイキャピタル側に10億円の投資をした不動産会社「マーキス」が関与しており、この投資には元東京地検特捜部長の大鶴基成弁護士も名を連ねていました。

横領容疑と家宅捜索:

三浦清志容疑者は、太陽光発電事業の契約をする際に出資者に業務委託費10億円のうち、人件費は約2億5000万円と説明していたとされています。

この事件は、約10億円をだまし取ったとして刑事告訴されたことに端を発しています。

この事件は、太陽光発電投資に関連する複雑な問題を浮き彫りにしており、捜査が進行中です。


「三浦瑠麗の夫」10億円詐欺訴訟で明らかになった驚きのスキームがヤバすぎる《訴訟資料入手》

9万坪の土地を取得する大プロジェクト

東京地検特捜部は1月17日、太陽光発電などを手がける投資会社「トライベイキャピタル」(東京都千代田区)などを突然家宅捜索した。同社は衆議院第一議員会館の目の前のビルに本社を置く。同じフロアに「山猫総合研究所」という会社が入居しているが、この会社で代表を務めるのは政治学者・三浦瑠麗氏だ。

三浦瑠麗氏の夫・三浦清志氏が社長を務めるトライベイキャピタルは、なぜ特捜部にガサ入れされたのか。同社が太陽光発電投資でトラブルになり、民事訴訟が起こったことをきっかけに、この捜査は始まった。いったい三浦夫妻に何が起こっているのか?

「現代ビジネス」は2つの訴訟資料を独占入手し、トライベイキャピタルの関係者からも重要な証言を得た。

民事訴訟になっているのは、トライベイキャピタルのSPC(特別目的会社)である「STC3」が計画した太陽光発電投資物件に関するものだ。兵庫県福崎町にある約9万坪の土地の大半を取得して、発電出力2万KWの施設を建設するプロジェクトだった。

トライベイキャピタルは、建設計画と同時に投資を平行して募っていた。ここにトライベイキャピタル側に10億円の投資をしたのは、不動産会社・マーキス(東京都千代田区)。

同社社長でもある税所篤氏が経営する投資会社のメタキャピタル(東京都港区)も投資に関与している模様だ。このメタキャピタルは、役員としてソニーの元最高経営責任者・出井伸之氏(故人)が名を連ねていたことでも知られ、顧問には元東京地検特捜部長の大鶴基成弁護士の名がある。

2021年6月2日から東京地裁で始まった裁判資料によれば、2019年1月頃、三浦清志氏は、税所氏に福崎町の太陽光発電プロジェクトに10億円の投資を求めてきた。実際、2019年6月にSTC3名義の銀行口座に10億円が振り込まれ、「兵庫県福崎太陽光発電プロジェクトに関する売買及び開発契約書」が交わされた。

麻布警察署長に「詐欺罪で告訴状」

清志氏が税所氏に説明していたのは、以下のような流れだった。

(1) トライベイキャピタル側が事業用地確保のために必要な住民の同意をとる。

(2) その後、マーキスが10億円をSTC3に出資する。

(3) トライベイキャピタル側が、太陽光発電の事業権利(ID)と土地を取得したうえ、開発許可を申請して、当該役所などの許認可を得る。

(4) トライベイキャピタル側が、役所などの許認可を前提に金融機関から融資を得る。

(5) トライベイキャピタル側は、この融資のお金を使い、マーキスがSTC3に出資した権利の80%を(マーキスから)10億円で取得する。

(6) マーキスは残った権利20%分を行使して、太陽光発電の売電利益を得る。

だが、この太陽光発電プロジェクトが進展することはなかった。10億円を出資したマーキス側とトライベイキャピタル側でトラブルになり、民事調停なども実施されたが、不調に終わった(途中10億円のうち手数料名目などで2億円程度がマーキス側に戻される不可解なカネの流れたあったことが、裁判資料では明らかになっている)。

2021年2月、東京簡裁に提出された調停事件での答弁書には、《マーキスは、麻布警察署長宛に詐欺罪で告訴状を提出することを検討しており、準備を進めている。》と記されている。

今回の捜査は、マーキスが三浦氏を麻布警察署ではなく、同社の顧問を務める大鶴基成氏の「古巣」である東京地検特捜部に「詐欺罪」で刑事告訴した結果だとみられる。

10億円を欺しとろうという詐欺だったと主張しているわけだが、ここには前段があった。

そもそもこの兵庫県福崎町の太陽光プロジェクトでは、京都市内に本社を置くA社が、すでに太陽光発電の事業権利(ID)と一部の土地を取得していた。トライベイキャピタルは、そこに追加の土地取得を行い、事業を進める計画だった。

2018年7月に、京都市のA社はトライベイキャピタルと、土地と事業権利を譲り渡す契約を交わしている。

大規模な太陽光発電施設の建設には、近隣住民の同意が必要という自治体が急増している。兵庫県福崎町のプロジェクトでも、同意がないかぎり計画が前に進まない状況だった。

住民の同意はとれていなかった

前述したように、マーキスが10億円を出資する際の重要な条件は、住民の同意が必要だったことは契約書にも明らかになっている。

だが、この住民への同意を巡って、もともとの土地を持っていたA社とトライベイキャピタル側で紛争が起こった。A社はトライベイキャピタル側から、契約書の代金が支払われていないと主張した。2020年2月から京都地裁で始まった裁判(トライベイキャピタル側が土地所有権や転売などの禁止を主張するもの)で、トライベイキャピタル側の訴状には《(A社がとるとしていた)住民同意は未だとれていない》と書かれている。

一方のA社は、トライベイキャピタル側の主張に猛反発した。

《(A社から)地元住民の同意は取れる見込みである」との説明を行ったと主張していますがこれは誤り》
《(同意の前提である)開発図面が完成していない》
《(地元住民の同意がとれないのは)原告側の能力不足》

このように主張したうえ、測量や地盤調査のボーリング工事や同意書は、トライベイキャピタル側ではなくA社が自ら取得していると反論している。

A社は、トライベイキャピタル側から代金が支払われない以上、IDや土地が譲り渡せないと主張した。

訴訟資料によれば、2019年2月、清志氏はA社に対して、住民からの同意取得が難航していることに関して、言い訳のようにこうメール送信している。

《地元説明会での厳しい反応については、我々も大変残念に思っております。自治会の役員が交代されたことが大きな要因》

※なぜ泥沼の訴訟に至ったのか? 

特捜部が追い込む「三浦瑠麗の夫」弁護士はあの統一教会弁護人だった!

では、A社との裁判での清志氏の証言や、三浦夫妻を知るトライベイキャピタルの関係者の独自告白を紹介する。

「なぜ泥沼の訴訟に至ったのか?」については、三浦瑠麗氏の夫である三浦清志氏が社長を務める投資会社「トライベイキャピタル」に関連する驚きのスキームが明らかになっています。

この訴訟は、太陽光発電投資におけるトラブルから発端を迎え、民事訴訟が起こったことをきっかけに、特捜部の捜査が始まりました。

「なぜ10億円の出資を受けたのか?」

東京地検特捜部は1月17日、太陽光発電などを手がける投資会社「トライベイキャピタル」(東京都千代田区)などを突然家宅捜索した。同社は衆議院第一議員会館の目の前のビルに本社を置く。同じフロアに「山猫総合研究所」という会社が入居しているが、この会社で代表を務めるのは政治学者・三浦瑠麗氏だ。

三浦瑠麗氏の夫・三浦清志氏が社長を務めるトライベイキャピタルは、なぜ特捜部にガサ入れされたのか。同社が太陽光発電投資でトラブルになり、民事訴訟が起こったことをきっかけに、この捜査は始まった。いったい三浦夫妻に何が起こっているのか?

訴訟資料によれば、2019年2月、三浦清志氏は京都市のA社に対して、住民からの同意取得が難航していることに関して、言い訳のようにこうメール送信している。

《地元説明会での厳しい反応については、我々も大変残念に思っております。自治会の役員が交代されたことが大きな要因》

前提条件である住民同意がとれないばかりか、それを理由にA社への支払いを拒んだため、土地の引き渡しも難航することになったわけだ。

だが、同時に、すでに清志氏はマーキス側から10億円の出資を受けてしまっていた。

A社との裁判のなかで、清志氏は

「住民の同意がないのに、なぜ10億円の出資を受けたのか」と自身の代理人弁護士(後述)から聞かれると、

「住民同意を受けられる見込みが十分にあると思っていた」

と見通しの甘さを認めている。

地元でもこのプロジェクトは問題になっていた。福崎町議会では、2018年12月19日、そして2020年3月25日と二度にわたり定例議会でこのプロジェクトがとりあげられ、

《(地元住民は)2回程度しか業者と会っておらず、現在事業に同意するかどうか慎重に検討。大規模開発や林地開発に係る許可申請書は提出されていない》という町議の発言がなされている。

三浦夫妻のオフィスに政治家が

《(2019年)5月20日の三浦の報告では「TRIBAY(注・トライベイキャピタル)名義で、本件土地の周辺住民の同意について、好意的な回答を得られているが、正式の同意は必要な許認可を得た後にとの連絡がきている」などと説明。A社と争いや、事業に支障となる事情が存在することは説明することはなし。

6月17日、マーキスは三浦を信用し、売買等契約に調印》

だが実際は住民同意を巡ってA社と争いがこの時期には続いていた。トライベイキャピタル側は、住民の同意がとれるかどうかわからない事実を隠して、マーキスに「同意がとれる」と申し向け10億円を出資させたことが詐欺にあたる──これが今回の刑事告訴の内容だとみられる。

太陽光発電投資を巡っては、近年、いくつもの刑事事件が起こっている。2021年5月にはテクノシステムの生田尚之被告が東京地検特捜部に逮捕され、共犯者の一部は有罪判決が言い渡されている。2022年2月は、大樹総研に特捜部が捜索に入った。太陽光発電事業の疑惑が取りざたされている。

そして、三浦氏のトライベイキャピタルにも今回ガサが入った。

共通するのが政治家との深い関係だ。テクノシステムは、小泉純一郎元首相や自民党の麻生太郎副総裁の名前が取り沙汰されたし、大樹総研は菅義偉元首相や二階俊博元幹事長が、同社のトップ、矢島義也氏の結婚式に出席しているなど、「政界タニマチ」として有名な存在だった。

トライベイキャピタルの関係者がこう明かす。

「うちのホームページを見てもらうと、所在地は議員会館の目の前で、豪華なオフィスビルの1階です。けど普段、仕事している社員は5〜6人というところでしょうか。そんな会社が、いとも簡単に10億円もの融資が受けられたのは、なぜでしょうか。

清志氏の妻、瑠麗さんの存在は大きかったと思います。私が事務所にいたときも、自民党の大物政治家がわざわざ瑠麗氏を訪ねて会いにきて、清志氏が同席したことがありました。

瑠麗さんも清志氏の太陽光発電投資事業が信用を得るために、サポートしていたと感じました。訴訟になっているA社に対しても、清志氏は瑠麗さんの存在を話していますよ」

2019年2月26日、衆議院 予算委員会公聴会に公述人として出席した際に、三浦瑠理氏はこう語っている。

「日本国内で再生可能エネルギーというものが、例えば、開発が非常に難しい状況、あるいは、かつてのかなり高いFIT価格というものが非常に土地取引に投機性を与えてしまって、なかなか再生可能エネルギー、例えばメガソーラーなどがつくられないまま、土地ばかりが転売されるというふうな状況が多々ございました」

京都地裁に立った弁護士の正体

また2020年12月25日の「第6回成長戦略会議」に出席した瑠麗氏は

「低価格で生産できる業者を、もし、今後10年間潰してしまうと、10年後に、FIT(政府の固定価格買取制度)が切れた後の太陽光もそのまま終わってしまうことになりかねない」

「再エネのエネルギーとしての特質は、分散型の電源として地産地消が可能であることであり、「幅広い業者が実施可能」な汎用技術に基づき、「幅広い地域金融機関もできる再エネファイナンス」を通じて全国に広げることの重要性に目を向けるべき」

2019年3月30日のツイートには

《太陽光発電にはダメな業者がたくさんいる。それは事実であり取り締まっていくべきです》

《現在メガソーラー発電所を建設する上でもっとも需要があるのがゴルフ場です。日本のゴルフ人口は減り続け、田舎のゴルフ場はほぼ赤字。だから、ここがお金を生む発電所に替わっていくことには社会的ニーズがある》

いずれも、太陽光発電投資を手がける夫・清志氏を援護射撃するかの発言である。

今回、東京地検特捜部の捜索を受け、瑠麗氏は以下のコメントを発表した。

《今般、私の夫である三浦清志の会社が東京地方検察庁による捜索を受けたという一部報道は事実です。私としてはまったく夫の会社経営には関与しておらず、一切知り得ないことではございますが、捜査に全面的に協力する所存です。》

そんな中、もう一つの奇妙な事実が明らかになった。

京都地裁で清志氏とA社の訴訟では福本修也弁護士が代理人として立っていた。

昨年9月22日、旧統一教会が開いた記者会見で、教団の顧問弁護士として記者会見に臨んだ人物だ。テッシーこと勅使河原秀行氏の脇で、威圧的な発言を繰り返したことで話題となった。東京大学法学部を卒業後、検察官を経て、2000年に弁護士に転身している。旧統一教会の現役信者であり、教団の多くの訴訟で代理人を務める。

《福本修也弁護士は信者なのに渋谷区松濤に豪邸を持てるのはなぜ?》と紀藤正樹弁護士は2022年12月9日にツイートしている。

普段は歯切れのいい語りがウリの瑠麗氏だが、旧統一教会問題については安倍晋三元首相への思慕の念からか、その献金問題を《競馬でスったって同じじゃないですか》などと擁護するような発言を繰り返してきた。

全国霊感商法対策弁護士連絡会の弁護士がこう明かす。

「三浦氏はなぜ福本修也弁護士に依頼したのでしょうかね。福本弁護士は信者ですから、彼のクライアントは旧統一教会の信者や関係ある人ばかりじゃないかと誰もが思いますよね」

もちろん三浦夫妻と統一教会の関係は不明だが、なぜ福本氏に依頼したのかは謎が残る。

今回、東京地検特捜部がガサにまで入ったとなれば、立件される可能性が高い。当然、トライベイキャピタルと同じスペースに会社を構える三浦瑠麗氏も事情を聞かれることが予想される。政治学者としての立場にも大きな影響を与えそうだ。
2024.06.07 11:33 | 固定リンク | 事件/事故
失業率を下げることは賃上げに繋がる
2024.06.07
失業率の低下が賃上げにつながるという考え方は、一般的にはフィリップス曲線によって説明されます。フィリップス曲線は、失業率と賃金上昇率(またはインフレ率)の間に逆の関係があるとする経済理論です。つまり、失業率が低いときは賃金上昇率が高く、失業率が高いときは賃金上昇率が低いとされています1。

しかし、現実の経済では、この関係は必ずしも明確ではありません。例えば、米国では失業率が49年ぶりの低水準になったにも関わらず、賃金の上昇ペースは緩やかであると報告されています2。これは、賃金の上昇が高スキル人材に限られ、全体としては賃金が抑制されていることを示しています。

また、賃金上昇率と失業率の関係は、賃金がコストであるという企業の観点からも影響を受けます。賃金が上下すると、それが生産物の価格に反映され、結果としてインフレ率に影響を与えるため、賃金上昇率と失業率の間に関係が見られるとされています1。

結論として、失業率の低下が直接的に賃上げにつながるとは限らず、多くの要因が絡み合っているため、賃金上昇率に影響を与えることがあります。労働市場の構造、産業構造の変化、技術進歩、政策など、様々な要素が賃金に影響を及ぼす可能性があるため、失業率だけではなく、これらの要因も考慮する必要があります。

失業率が下がったことで政府は財政出動、公共事業に大幅投資を行うことで経済が復興

失業率が下がることで、政府が公共事業に投資することで経済復興を促すアプローチは、一般的には「内需主導型の経済対策」として知られています。具体的には、公共事業の建設や整備を通じて失業者を雇用し、経済全体の活性化を図ることを目指します。

以下に、失業率が下がった際に公共事業がどのような効果をもたらすかについて詳しく説明します。

雇用創出と経済活性化:

失業率が低下すると、公共事業によって多くの人々が雇用されます。建設労働者や技術者、設計者などが必要となり、これによって雇用機会が増加します。

雇用者は給与を受け取り、消費を刺激します。消費が増えることで、民間企業の売上も向上し、経済全体が活性化します。

乗数効果:

公共事業に投資することで、その直接的な経済効果だけでなく、さらなる波及効果が生まれます。

例えば、建設業者が賃金を受け取り、それを消費に回すことで、他の業界にも影響を及ぼします。この連鎖的な効果を「乗数効果」と呼びます。

デフレーション抑制:

デフレーション(物価の下落)が進行している場合、公共事業による需要拡大が重要です。

公共事業によって有効需要が増加し、物価の下落を食い止める効果があります。

潜在成長率の維持:

公共事業によって遊休施設や失業者の再活用が促進され、潜在成長率の低下を防ぎます。

技能の喪失や設備の廃棄を回避し、経済の持続的な成長を支えます。

総じて、失業率が下がった際に公共事業への投資は、雇用創出や経済活性化、デフレーション抑制、潜在成長率の維持など、多くの効果をもたらす重要な手段となります。
2024.06.07 10:13 | 固定リンク | 経済
米大統領選トランプ勝利「バイデン62兆円増税チョンボ」
2024.06.06
11月の米大統領選まで約半年、備えは十分か トランプ氏勝利なら台湾有事は「アジアの問題」に…安倍氏の不在は大きな損失

11月の米大統領選まで約半年となった。

政治専門サイト「リアル・クリア・ポリティックス(RCP)」によると、5月初めの時点でドナルド・トランプ前大統領の支持率は46・6%、ジョー・バイデン大統領の支持率は45・1%で、トランプ氏がわずかにリードしている。

ただし、米大統領選は各州で選挙人の数を奪う方式なので、全体的な支持率はあまり意味がない。

RCPによると、優勢・先行しているのはトランプ氏が25州の219人、バイデン氏が20州の215人と拮抗(きっこう)し、接戦州がアリゾナ、ジョージア、ミシガン、ミネソタ、ネバダ、ノースカロライナ、ペンシルベニア、ウィスコンシン、ネブラスカの9州104人となっている。

現時点で、ミネソタとネブラスカの11人はバイデン氏だが、残り7州の93人はトランプ氏とみられ、それを含めるとトランプ氏312人、バイデン氏226人で、トランプ氏の優勢が予想されている。

なお、接戦州では勝てば選挙人が取れるが負ければ相手に回るので、最後まで予断を許さない。

トランプ氏は、各種の訴訟を抱えている。特に大きいのが前回の大統領選で敗北した後、連邦議会に暴徒が乱入した事件への関与の疑いだ。

日本の倫理観であれば、一般論として事件当事者でなくても、関与しただけで政治家としては厳しいだろう。三権分立の中、立法と行政は議院内閣制で互いに関係していることは理解していても、司法はそれらとは政治的に独立した存在で、裁判沙汰になるだけで政治家の資格を問われかねないというのが日本の実情だからだ。

他方、米国では「司法も政治の一部」という感覚だ。極論かもしれないが、国民から支持される政治家なら、司法で多少の問題があっても許容されるという雰囲気が米国にはあるようだ。

民主党支持者から見れば、トランプ氏の問題ぶりは許容できない。なので、トランプ氏が大統領に再選すれば、民主主義の危機だと強調する。だが、トランプ氏が再選されても民主主義の結果として米国は受け入れるだろう。

トランプ氏が再選した場合、気候変動問題に関する「パリ協定」から再離脱となり、環境政策は一変する。経済では、中国などを警戒し再び高関税政策を実施するかもしれない。安全保障面でも、欧州が応分の負担をしないなら、米国は北大西洋条約機構(NATO)を離脱すると揺さぶりをかけるだろう。7年前にトランプ大統領が就任した際、各国で見られた混乱がまたあるかもしれないが、今回は各国ともにある程度予測して対応できるのではないか。

日本は先日、麻生太郎自民党副総裁がトランプ氏と面談しており、それなりの対応の備えができているはずだ。ただし、トランプ氏は台湾有事に関して、「台湾はアジアの問題」と言い出しかねないのは心配だ。

■バイデン政権が「手続きミス」で自滅…62兆円が「実質増税」で米国経済がピンチに

62兆円の政府負担

先月末、バイデン政権に手痛い米連邦最高裁判決が二つも出た。

一つは、6月29日ハーバード大などの入試で黒人などを優遇する措置について、米連邦最高裁が違憲判断を下した。米大学では学生の多様性を確保するために積極的差別是正措置(アファーマティブ・アクション)を用いてきたが、これが排除されることになる。

積極的差別是正措置は、米民主党政権が1960年代から導入してきたものだが、米大学に留学経験がある筆者にとって、わかりにくいものだった。
実際の運用を簡単に述べると、黒人系やヒスパニック系は入試点数に上乗せされ、アジア系は逆に減点されるので、入学試験の点数で合否が決まる日本人からみると奇妙なものだ。

米最高裁は、これまで大学側の学問の自由を根拠に大学入試において積極的差別是正措置を長年認めてきた。多様性はやむを得ない利益であり、大学などが行っている積極的差別是正措置は、他の志願者に不要な不利益をもたらさないよう制限されているとの判断を示していた。

しかし、最高裁判事は、トランプ前大統領が保守派判事を3人任命したことで保守派が多数となった。

政策の「手続きミス」
もちろん、これらの一連の最高裁の判断には、最高裁判事についてトランプ前大統領が保守派判事を3人任命したことで保守派が多数となったことがある。

判例が明白な誤りとみられる場合は見直す姿勢を示していたので、それが実行された。その背景には最高裁判事で保守派が増えたことがあるが、社会での価値観が保守派に傾いていることもあるだろう。

人工妊娠中絶の是非は、かなり価値観に属するところだ。積極的差別是正措置の是非については、結果の平等を求めるか、機会の平等を求めるかという問題に帰着し、これも各々の価値観にかなり依存する。ただし、機会の平等に力点を置くのは、競争の重視である。

29日の判決後の政界の反応が好対照だ。バイデン米大統領はホワイトハウスで「裁判所の決定に断固反対する」とし、包摂的で多様な学生構成になるような有効な措置とそれを制限する措置について検証するよう教育省に指示するとした。

一方、トランプ前大統領は「米国にとって素晴らしい日だ」とし「並外れた能力と成功に必要なもの全てを備え、将来わが国に偉大さをもたらす人が、ついに報われる」とした。

バイデン政権による学生ローン返済免除の是非は、価値観の違いもあるが、政治を優先しすぎた政策の「手続きミス」の側面が強い。

というのも、バイデン政権は、2020年の選挙公約で連邦学生ローンの一部の返済を免除することを掲げていた。2022年8月、バイデン大統領は、連邦議会が教育省に与えた権限に基づき、連邦学生ローンの債務1万ドルを免除すると宣言した。

「増税」になるようなもの

アメリカには連邦政府を貸し手とする連邦学生ローンの借り手が4500万人おり、その総額は1.6兆ドル(230兆円)だ(2022年8月時点)。これらの借り手のうち、返済義務のない連邦奨学金(ペルグラントと言う)を受給している者については2万ドルを、非ペルグラント受給者については年収12万5000ドル未満であれば1万ドルまでの返済を免除するというのが、バイデン政権の打ち出した政策であった。

ただし、これはバイデン政権が打ち出した当初から、かなり法的な疑問があった。バイデン大統領のいう「連邦議会が教育省に与えた権限」とは、2003年学生高等教育支援法(The Higher Education Relief Opportunities for Students Act of 2003;HEROES法)で、バイデン政権ではその権限により返済期限の延期も債務免除できると考えていた。

民主党のナンシー・ペロシ下院議長ですら 2021年7月、「一般的に、米国の大統領が債務免除の権限を持っていると考えられているが、そうではない。(債務返済を)延期することはできるが、免除する権限はない。議会の決定が必要」と述べていた。

実際、バイデン大統領と前任の共和党トランプ氏はともにHEROES法により、コロナ下での学生ローン借り手の経済的負担を軽減するため、学生ローンの債務返済を延期した。

しかし、バイデン政権は、HEROES法を拡大解釈し、債務免除を公約にし、それを実施した。そこで、法律問題が発生し、今回の米連邦最高裁の判断に至ったわけだ。2020年のバイデン政権発足直後は、上院も下院も民主党優勢だったのであるから、もう少し丁寧に議会運営すべきだったし、もっと早く公約を実現すべきだった。

6月30日の米連邦最高裁判断に対するホワイト政府の声明は情けない。「裁判所の決定は間違っている」といい、別のアプローチの救済策を打ち出したようだ。

しかし、そうした救済策(最高裁が認めなかった法律とは別の法律を根拠とした救済措置)もうまく行くという保証はない。というか、最高裁判断の抜け穴とみられ、否定される可能性も少なくない。その場合、上述の通り停止命令が出された昨年11月までに2600万人超が申請した4300億ドル(約62兆円)の債務帳消しがパーになると、米国経済への悪影響もある。

最大62兆円のバラマキをしたのに、それが一転「増税」となるようなものだ。

景気が下ぶれする

しかも、バイデン政権では、今年6月、共和党との間で交わされた債務上限引き上げ合意の一環として、学生ローン返済の猶予を9月末をもって終了させる法案に署名している。

そのため、連邦政府の学生ローンは9月1日から再び利息が発生し、借り手は10月から返済を再開する必要がある。それに追い打ちするように、債務返済を免除されていたはずなのに、返済も必要となれば、米国経済に悪影響があるだろう。

米国経済は、バイデン政権の200兆円にも達するコロナ対策で、コロナ収束後、景気過熱でインフレ率が高くなった。FRBが必死もインフレを抑え込んだが、今度は「債務返済」という逆対策で景気が下振れするかもしれない。

これまで、米国の金融引き締めで、円安を進んでいたが、バイデン政権の対策によっては、円安の潮目が変わる可能性がある。
2024.06.06 19:33 | 固定リンク | 国際
TPPにイギリス、ウクライナ加入へ
2024.06.06
TPPにイギリス、ウクライナ加入へ、核兵器保有国の加盟で防衛力強化へ、ウクライナの小麦が...

TPP、または「環太平洋パートナーシップ協定」の加盟国は、以下の通りです。

オーストラリア

ブルネイ

カナダ

チリ

日本

マレーシア

メキシコ

ニュージーランド

ペルー

シンガポール

ベトナム

イギリス

これらの国々は、経済成長を促進し、相互の貿易と投資を拡大するために、関税の撤廃や貿易の自由化を目指しています。

TPP加盟条件は民主主義体制が不可欠と言われてます。

またTPP、または環太平洋パートナーシップ協定への加盟条件には、民主主義体制が不可欠であるという観点が含まれています。TPPは、関税のほぼ全面的な撤廃、知的財産権の保護、自由なデータ流通、国有企業への不公正な補助金の制限など、高いレベルの自由化ルールを定めており、これらの条件を受け入れることが前提となっています。

加盟国は、自由貿易と経済の成長を促進するために、これらの厳格なルールを守ることに同意しています。また、法の支配や基本的人権の尊重など、民主主義の価値観を共有することも重要視されています。これは、TPPが単なる経済的な協定を超え、参加国間の政治的・社会的な価値観の一致をも目指していることを示しています。

さらに軍事協力も

しかし、経済と安全保障は密接に関連しており、TPPが地域の安全保障にも影響を与える可能性があります。例えば、経済的な結びつきが強まることで、加盟国間の政治的な連携が深まり、軍事的な協力にもつながることが考えられます。

また、TPP加盟国は、経済的な利益を享受する一方で、地域の安定や平和を維持するために、軍事的な側面での協力を強化することも重要視しています。これには、防衛装備品の輸出や軍事技術の共有、共同訓練などが含まれることがあります。

またイギリスがTPPに加盟したことで、協定の防衛力が強化されたことは否めません。さらに、経済的な結びつきが強まることで、加盟国間の政治的な連携や安全保障の面での協力が促進される可能性はあります。

イギリスは「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTTP)」の加盟国として合意されました。これにより、イギリスは加盟国へのチーズ、チョコレート、機械、ジン、ウイスキーなどの輸出で関税を抑えることができるようになります。また、イギリス政府は、CPTTP加盟がイギリス経済に与える恩恵はごくわずかだと見ていますが、首相はCPTTP加盟は「ブレグジット後の自由における本物の経済的利益」を示すものだと述べています。

さらに、ウクライナが環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟を申請したことが明らかになりました。TPPを担当する後藤経済再生相は、「ウクライナがTPPの高いレベルを完全に満たすことができるかどうか、見極める必要がある」と述べています。実現すれば、欧州からの参加は英国に続いて2か国目となります。

15日からニュージーランドでTPPの閣僚級会合が開かれる予定で、ウクライナ加盟について議論が始まります。

加盟が実現されれば小麦が大量に輸入されます。経済的恩恵が大きく期待されることでしょう。

■ウクライナのTPP加盟申請、経済分野で一部代替も可能に NATOやEUは加盟実現に長期間必要、高いハードルも

ウクライナが環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への加盟を申請し、ニュージーランドで15、16日に開かれる閣僚会合で協議される見通しだという。

ウクライナは、1991年12月に旧ソ連が崩壊した後、旧ソ連体制から脱却するために北大西洋条約機構(NATO)加盟や欧州連合(EU)加盟を目指した。

NATO加盟には極めて高いハードル(加盟国がロシアから攻撃されると加盟国はロシアを相手に戦争をしなければいけないという集団的自衛権)があり、これまで何度も政治課題になりながらもドイツ、フランスらの反対で頓挫してきた。

また、EU加盟には、民主主義、法の支配、人権や少数派の保護といった高いハードルがあり、当時のウクライナでは無理だったし、EU側もロシアを刺激しないように、ウクライナの要請を却下した。

その後、ウクライナは、ロシアの圧力の中で欧州志向を徐々に強めつつ、2019年2月ウクライナ議会は憲法を改正し、EUとNATOへの加盟を目標として明記した。

そして今回のロシアによる侵攻のなか、ウクライナは22年9月30日、正式にNATO加盟の申請を行った。

他方、EUは22年6月23日、ウクライナを加盟候補国とすることを決定した。こちらの方がNATO加盟より進んでおり、ウクライナはEUと正式な加盟交渉中であるが、過去の加盟国をみると、候補国となってから加盟実現まで10年程度を要している。

クロアチアは04年にEUの加盟候補国となったが、加盟したのは13年。トルコは1950年代からEU加盟を求め、99年に加盟候補国となったが、いまだに加盟していない。

また、ウクライナの1人当たり国内総生産(GDP)は4000ドル程度で、EU平均の1割程度、EU内の最貧国であるブルガリアの半分にも満たない。

実際問題としてウクライナの国是であるNATO、EU加盟には時間がかかる。そうであれば、少なくとも経済分野でEU加盟の後押しにもなり、一部の代替も可能なTPP加盟に関心を持つのは当然だろう。

TPPは民主主義の経済圏であり、専制国家の中国を排除する包囲網でもある。つまり、TPPでは物品貿易、サービス貿易の自由化、知的財産権の保護などのほかに、資本の自由化や国有企業改革もあり、共産党1党独裁の中国は国家体制(生産手段の国有化原則)を変更せざるを得なくなるので、事実上参加できないハードルになっている。

この点に着目した英国も、EU離脱後にTPP参加を表明した。TPP加盟国は英国の加盟を認めることで正式合意する見込みだ。

EUには経済だけではなく政治統合の側面もあるので高いハードルだが、TPPは経済中心なので民主主義国ならハードルはそれほど高くない。この点もウクライナには魅力だ。ウクライナを経済支援する国際世論次第でもあるが、ウクライナにとってはEUよりも加盟は容易だろう。
2024.06.06 18:09 | 固定リンク | 経済
恒大集団の会長許家印氏「消される恐れ自ら出頭」
2024.06.06
中国の不動産開発大手である「中国恒大集団(エバーグランデ)」の経営危機に。中国恒大集団は、世界で最も多額の負債を抱える企業の一つとなり、2021年に債務不履行(デフォルト)に陥りました。その後、経営危機はさらに悪化し、会長が警察の監視下に置かれるなど、多くの問題が報じられています。

2024年1月29日には、香港の裁判所から清算命令が下されました。清算とは、企業の資産を差し押さえて売却し、得られた金を未払い債務の返済に充てる手続きのことです。しかし、この命令が実行されるかどうかは中国政府次第であり、必ずしも恒大の破綻を意味するものではありません。

恒大集団の問題は、同社が抱える負債の規模が非常に大きく(30兆円とも言われる)、中国の不動産市場や金融システムに与える影響が懸念されているため、世界中の注目を集めています。

会長の許家印氏が拘束

中国恒大集団の会長、許家印氏が拘束されたとの報道があります。中国証券監督管理委員会は恒大地産集団の決算に虚偽記載があったと認定し、同社に対して約900億円の罰金を科しました。また、許家印氏には法定最高額の罰金約10億円を科し、証券市場からの永久追放処分としました。

さらに、恒大集団の株式取引が停止され、許家印会長が警察の監視下に置かれたと報じられています。恒大集団は巨額の負債を抱え、2021年に債務不履行に陥り、その後も経営危機が続いている状況です。許家印会長は犯罪に関与した疑いで「強制措置」を受けており、身柄を拘束されたとみられています。

このような状況は、中国の不動産市場や金融システムに大きな影響を与える可能性があり、世界中の注目を集めています。

また、許家印氏が自ら警察に出頭し、拘束されたという情報もあります。これは彼の命が狙われる恐れがあるためという情報もあります。この点については、公式な発表や確固たる証拠は報じられていません。許家印氏の拘束は、恒大集団の経営不透明感を一層濃くしており、中国の不動産市場や金融システムに影響を与えております。

中国の不動産バブル崩壊に関する懸念は、確かに多くの人々の間で話題になっています。不動産バブルが崩壊すると、経済的な影響だけでなく、社会的な不安定さも引き起こします。日本のバブル崩壊時に見られたような不審死の増加については、中国でも同様の現象が起こるのではないかという懸念があるようです。

このような事態については、許家印氏が自ら警察に出頭し拘束されたという情報も憶測の域を超えていませんが、日本のバブル崩壊時を鑑みれば全くないとは言い切れません。

負債額(約47兆1818億円)

中国恒大集団の負債額については、さまざまな報道がありますが、2022年末時点での総負債は約2兆4400億元(約47兆1818億円)に達しているとされています1。また、別の報告によると、恒大集団の負債総額は、取引先への未払い分などを含めると、約1兆9665億元(約33兆4000億円)に達するとみられています2。

これらの数字は中国の名目国内総生産(GDP)の約2%に相当するとも言われており、恒大集団の負債問題は中国経済にとって重要な課題となっています。恒大集団の経営危機は、中国の不動産市場や金融システムに大きな影響を与える可能性があるため、今後も注目が集まっています。

負債問題の解決方法は

恒大集団の負債問題の解決については、複数のシナリオが考えられますが、最終的な解決策は中国政府の方針や市場の動向に大きく依存するでしょう。以下は、現在検討されている可能性のある解決策です。

債務再編:

恒大集団は債権者との間で債務再編計画を進めており、新たな社債の発行や不動産サービス部門や電気自動車(EV)部門の株式と組み合わせた商品を提供する案が提示されています。

政府による介入:

中国政府は恒大集団のような大手企業の破綻を防ぐために介入する可能性があります。これは、経済全体への影響を最小限に抑えるために行われることが予想されます。

資産の売却:

恒大集団は資産の売却を通じて負債を減らすことも検討している可能性があります。これには、未完成のプロジェクトや他の事業部門の売却が含まれるかもしれません。

法的手続き:

米国での破産保護の申請や中国国内での清算手続きなど、法的な手段を通じて負債問題を解決する道もあります。

市場の回復: 不動産市場の回復や経済状況の改善が恒大集団の負債問題の解決に寄与する可能性もあります。

これらの解決策は、恒大集団の将来にとって重要な意味を持ちますが、どのような解決策が採用されるかは、今後の発展を見守る必要があります。また、恒大集団の問題は中国の不動産市場や金融システムに影響を与えるため、その解決策は中国経済全体にとっても重要です。

他に破産危機の企業は(約4兆6千億~5兆4千億円)

中国では恒大集団以外にも破産の危機に直面している企業があります。特に注目されているのは、シャドーバンキング(影の銀行)大手の中植企業集団です。2024年1月5日に北京市第一中級人民法院は、中植企業集団の破産申請を受理しました。同社は債務を返済できず、必要な資産が不足しているとして破産申請を行いました。

中植企業集団の経営危機は、2023年8月に傘下の信託会社中融が高利回りの信託商品でデフォルト(債務不履行)を起こしたことに端を発しています。中融は中国で9番目に大きな信託会社であり、不動産市場の調整が続く中で破産に至りました。中植企業集団の債務超過額は2,200億~2,600億元(約4兆6千億~5兆4千億円)にも達しているとされています。

このような大規模な企業の破産は、中国経済に強い逆風となり、不動産市場や金融システムに影響を与える可能性があります。中国のシャドーバンキングの混乱は、不動産市場への資金の流れを細らせ、市場の長期化をもたらすことが懸念されています。

他国の同様の事例は

他国でも不動産バブルの崩壊による経済危機の事例はあります。最も有名なのは、2008年のアメリカのサブプライムローン危機です。この危機は、不動産価格の急激な下落と多くの金融機関の破綻を引き起こし、世界的な経済不況につながりました。

また、1990年代初頭の日本でも、バブル経済の崩壊後に不動産価格が大幅に下落し、多くの企業が倒産しました。この結果、長期にわたる経済停滞期に入ることとなり、これを「失われた10年」と呼ぶことがあります。

さらに、スペインやアイルランドでも2000年代に不動産バブルが崩壊し、深刻な経済危機を経験しました。これらの国々では、不動産価格の急騰による過剰投資が問題となり、バブル崩壊後には多くの不動産が売れ残り、金融システムに大きな打撃を与えました。

これらの事例から、不動産バブルの崩壊は、単に不動産市場だけでなく、広範な経済活動に影響を及ぼすことが分かります。そのため、中国の不動産バブル崩壊も世界経済に影響を与える可能性があると考えられています。
2024.06.06 07:50 | 固定リンク | 経済

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