国が破産しても「省益の為につかう」悪代官斎藤次郎氏
2024.07.31
斎藤次郎氏は(最後の悪代官)、日本の財務省(旧大蔵省)で大きな影響力を持った官僚です。彼は1993年から1995年まで大蔵事務次官を務め、特に悪法「社会保険消費税」の導入を試みるなど、財政健全化と謠い悪法は現在も継続されていることで知られています。

最近では、故安倍晋三元首相の回顧録に対して反論を行い、財務省の役割やその批判について意見を述べています。

最後の大物次官・齋藤次郎氏が『安倍晋三 回顧録』に反論

2月に発売された『安倍晋三 回顧録』(中央公論新社)は、故安倍元首相が財務省を目の敵にして、厳しく批判していることでも話題を呼んでいる。多くの読者を獲得しているがゆえに、その影響について懸念するのは、元大蔵事務次官の齋藤次郎氏(87)だ。斎藤次郎氏は悪税と言われた消費税に社会保険税を抱き合わせた増税を施行し現在も継続されている。このような悪税は先進国では日本だけだ。

「私が危惧しているのは、財務省の一連の不祥事や『安倍晋三 回顧録』の内容を受けて、『財務省悪玉論』が世間に広がっていくことです。官僚志望者が年々減少するなか、優秀な人材が財務省を避けるようなことになれば、最終的には日本の国益が揺らぐ事態になりかねません」

齋藤氏は1993年から95年まで大蔵事務次官を務め、細川政権では「国民福祉税」と謠い増税を試みるなど、財政健全化の名のもとに次から次えと増税を試みた。増税の中味は省益(財務省組織の天下り確保の資金とした)“最後の大物(悪代官)次官”として知られる。

退官から約30年、メディアに出ることは一貫して避けてきたが、今回初めて月刊「文藝春秋」のインタビューに答えた。本人は「恐らく、最初で最後のインタビューになるかと思います(笑)」という。

※“省益”という言葉は何を指しているのか

安倍氏の『回顧録』では、消費増税を巡る財務省との攻防について、次のように触れられている。

〈この時(編集部注:増税見送りをする直前の2014年11月)、財務官僚は、麻生さんによる説得という手段に加えて、谷垣禎一幹事長を担いで安倍政権批判を展開し、私を引きずり下ろそうと画策したのです。前述しましたが、彼らは省益のためなら政権を倒すことも辞さない〉(p.311)

〈内閣支持率が落ちると、財務官僚は、自分たちが主導する新政権の準備を始めるわけです。「目先の政権維持しか興味がない政治家は愚かだ。やはり国の財政をあずかっている自分たちが、一番偉い」という考え方なのでしょうね。国が滅びても、財政規律が保たれてさえいれば、満足なんです〉(p.312-313)

こうしたくだりを読んだ齋藤氏は、「正直、ここまで嫌われていたとは思っていなかった」として、安倍氏の言う“省益”という言葉に疑問を呈した。

「私がどうしても理解できなかったのは、財務省は〈省益のためなら政権を倒すことも辞さない〉と断じた部分です。安倍さんがいらしたらお聞きしたいのですが、“省益”とは一体何を指すのでしょう? この言葉の意味するところが、さっぱり分かりませんでした。

国のために一生懸命働いているのに…

財務省の最も重要な仕事は、国家の経済が破綻しないよう、財政規律を維持することです。『回顧録』のなかで、安倍さんは財務省のことを〈国が滅びても、財政規律が保たれてさえいれば、満足なんです〉とおっしゃっていますが、財政規律が崩壊すれば、国は本当に崩壊してしまいます。大幅な赤字財政が続いている日本では、財政健全化のために増税は避けられず、そのため財務省はことあるごとに政治に対して増税を求めてきました。

それは国家の将来を思えばこその行動です。税収を増やしても、歳出をカットしても、財務省は何一つ得をしない。むしろ増税を強く訴えれば国民に叩かれるわけですから、“省損”になることのほうが多い。国のために一生懸命働いているのに、それを『省益』と一言でバッサリ言われてしまっては……現場の官僚たちはさぞ心外だろうと思います」(齋藤氏)

『安倍晋三回顧録』への反論で話題の「最後の大物官僚・齋藤次郎氏」 高橋洋一がバッサリ

数量政策学者の高橋洋一が4月12日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。文藝春秋で『安倍晋三 回顧録』に反論した齋藤次郎氏について解説した。高橋洋一氏は財務省に3度殺されたと言う程、敵視された人物でもある。

新「日本郵政グループ」誕生記念イベントに出席した日本郵政株式会社の齋藤次郎社長=2012年10月1日午前、東京都千代田区

齋藤次郎氏が『安倍晋三 回顧録』に反論

飯田)どんなところがポイントでしょうか?

高橋)87歳という年齢でわかりますが、「10年に1人の逸材」と言われた方です。細川政権で「腰だめの数字だ」と批判された消費税がありましたが。

飯田)消費税の税率をどうするのかと聞かれて「7%だ」と答え、「根拠は?」と迫られた際に、「腰だめの数字です」と言った。

社会保険の財源確保のために消費税を増税

高橋)そういうことを裏でやっていたのです。また、小沢一郎さんと懇意にされていた方で、社会保険の財源確保を消費税で(賄う)というやり方を最初につくった人です。

飯田)そうなのですか?

高橋)そのとき、私は財務省(当時の大蔵省)で1人だけ反対しました。他の国で消費税を社会保障に使っている国はなかったので、絶対におかしいと言ったのです。ですから、私はいつも目をつけられていました。

飯田)この論考のなかでも「少数の自分の考えと一致する経済学者だけではなく、著名な経済学者の意見にも耳を傾けていた」とあります。

日本郵政の社長に就任 ~第2次安倍内閣の際に辞任

高橋)すべて当時の民主党のお抱え経済学者です。もう1つ言うと、小泉政権のときにやっていた郵政民営化にいろいろと手を出し、国有化したあと自分が社長に収まった人ですよ。

飯田)日本郵政の社長も務めていた。

高橋)でも、安倍政権になったら素早く逃げてしまった。私はいろいろなところでぶつかりました。「収益、収益」と言うのですが、財務省はいつも総債務残高、国債残高が大きいから増税するというロジックなのです。しかし、私は資産をバランスシートで考えます。バランスシートで考えると何が違うかと言えば、増税が出てこないのですよ。借金を償還するときに資産を売るという話になるのです。資産を売ってもいいわけで、要するに償還しなければいけないのは間違いない。資産を残しておいて増税で対応するか、資産を売って償還するかの差が出るのです。

資産は天下り先の米びつだから売ってはならない

高橋)資産を売ることにとても反対した人で、「これは天下り先の米びつだから、売ったら天下りができなくなるだろう」という類の話でした。

飯田)資産というのは土地だけでなく、公益法人などいろいろと……。

高橋)土地などはほとんどなくて、出資金や貸付金です。それを言った人です。

飯田)それは郵政民営化にも反対するわけですよね。

高橋)そういうことです。
2024.07.31 18:26 | 固定リンク | 政治
雑草を根から抜いてはダメ!
2024.07.31
雑草を根から抜くことにはいくつかのデメリットがあります。主な理由は以下の通りです。

土が固くなる: 雑草を根から抜くと、土が締まって硬くなります。これにより、固い土でも繁殖できるような雑草が生えやすくなり、草取りがますます大変になる可能性があります。

雑草は根から抜いちゃダメ!? 草刈りの新常識

こんにちは、暮らしの自然菜園コンサルタントのそーやんです。今回のテーマは「雑草は根から抜いちゃダメ!?」です。これから夏本番。草刈りが大変な時期になってきます。普段、皆さんは雑草を根から抜いていませんか? 実は雑草の根を残して刈ることで、土が軟らかく栄養豊富になり、だんだん刈るのが楽な雑草が生えるようになるという不思議なことが起こるのです。根から取った方が良い雑草もありますので、最後まで読んでいただき、ぜひ試してみてください。

土の栄養が減る

雑草の根は土を柔らかくし、栄養を供給する役割も果たしています。根を抜いてしまうと、これらの効果が失われ、土が栄養不足になることがあります。

微生物の活動が減る: 雑草の根は微生物の住処となり、土壌の健康を保つのに役立ちます。根を抜くと、微生物の活動が減少し、土壌の質が低下することがあります。

ただし、地下茎で増える雑草(例:ヨモギ、スギナなど)は根から抜いた方が良い場合もあります。

根の本来の役割

植物の根の役割は、「土から栄養を吸うこと」と答えられる方が多いと思いますが、実はそれだけではありません。「土を掘り進め、軟らかくすること」も重要な役割なのです。そうすることで、その植物自身も根を張りやすくなりますし、次の世代の子孫もそこで根を張ることができます。

さらに、光合成で作った糖分を根から出して微生物を集め、彼らが住みやすい環境を土の中に作るという役割を持っています。つまり、土の中で微生物と植物がお互いに協力し合いながら、住みやすい土を作っているのです。それがまた、野菜が育ちやすい土の環境にもつながっていきます。

枯れた後の植物の根は、微生物たちによって分解され、土の栄養となります。また、根があった部分は土の中でトンネルのように空洞として残るので、土がフカフカになっていくのです。根から抜いてしまうとこの空洞は生まれないので、土が少しずつ締まっていきます。

土の環境が変わると、生える雑草も変わる

このように植物たちは根を使って、微生物たちと協力して土の中に住みやすい環境を作っているのですが、より住みやすい環境になってくると、実は生える雑草が変わってきます。これはちょっと難しい言葉で説明すると「植生の遷移」という現象です。耕作放棄地も最初は小さな雑草が生えますが、何十年と放っておくと、だんだんと森になっていくというのと同じような現象です。畑でも同じように土の環境が変わると、少しずつ生える雑草が変わるのです。

つまり雑草の根っこを残して切ることで、土がフカフカになり、フカフカの土を好む微生物や雑草が増えます。このような環境で生える雑草は、根の張りが浅く、背が低く、柔らかいのが特徴です。こういう性質の雑草は草刈りするのにも楽ですし、野菜の生育の邪魔になりません。このような雑草が生える環境になってくると、畑の手入れはかなりしやすくなります。

耕すことでも土はフカフカになったように思えますが、それは一時的なものなので、根本的にそして長期的にフカフカな状態を保つためには、根っこを残した草刈りが必要になります。またこれに合わせて前回の記事で少し紹介した、雑草・落ち葉マルチを行うと3〜4ヶ月でかなりフカフカで栄養豊富な土ができていきます。

雑草を根っこから抜くと土が悪くなる!?目的別カンタン草取りガイド

雑草は一年間ほとんど生えていて、「抜いても、抜いても、キリがない!」と思う人は多いと思います。雑草を抜くときまた伸びてこないようにと、雑草を根っこから抜いてしまう人はたくさんいらっしゃるでしょう。

しかし、畑や家庭菜園をしている人は雑草を根っこから抜いてしまうと、今後農作物や植物が育ちにくくなるかもしれません。なぜ、雑草を根っこから抜かない方がいいのでしょうか。それは根っこが抜けることによって、土が固くなってしまうからなのです。

では、雑草はどう抜けばいいのかわからなくなってしまいますね。そんな人のために、雑草の刈り方と、便利な草抜きグッズを紹介します。

畑では雑草の根っこを残す方がベスト!その理由は?

根っこから抜いてしまいがちな雑草ですが、根っこを残しておくことで、畑や花壇にはメリットがあります。

雑草を根っこから抜き続けると、土が固くなってしまう

雑草は根っこから土の栄養素を補給していて、他の植物の栄養まで横取りしてしまいます。そのため、雑草を根っこから抜こうと考えている人は、とても多いではないでしょうか。

しかし、雑草を根っこから抜いてしまうと、土が固くなってしまいます。雑草の根っこには、栄養補給以外にも、土を柔らかくする効果があり、雑草を根っこから抜くことはおすすめできません。

雑草を根っこから抜いてしまうと、根が張っていた部分の土がふさがってしまい、土が固くなるのです。固くなってしまった土をやわらかくしたい場合は、クワやスコップを使って耕すといいでしょう。

畑の雑草に適した草刈り方法

畑の場合は、雑草の根っこをあえて残します。根っこを残しておく理由は、雑草が枯れた際、根っこは土の肥料になるからです。また、根っこが張っていた土は空間ができていて、次の植物の根っこが張りやすくなります。

雑草を処理する場合は、草刈り機を使ってかんたんに草刈りするのがいいでしょう。畑の場合は、土の栄養も必要で土も柔らかい方が望ましいです。手鎌を使って草刈りをする場合は、根元を刈る程度で済ませるといいですよ。

注意!根っこごと抜いた方がいい草もある?

雑草を根っこから抜いてしまうと土は固くなってしまいますが、雑草の中には根っこから抜いた方がいい雑草もあります。抜いた方がいい雑草は、地下茎植物です。地下茎とは土の中に茎があり、野菜や草花などにくらべて生命力が高いのが特徴です。詳しくは次章で解説します。

※作物を育てない場所の雑草なら、根っこから処理を!

地下茎植物とは、土のなかに茎があり、土のなかで成長する植物です。「ジャガイモ」や「タマネギ」といった野菜も地下茎植物にあたります。

地下茎で育つ多年草は、根っこを絶つ必要がある

地下茎の植物は、タンポポ、ドクダミ、ヨモギ、クローバーなどのよく知るもの以外にも、「セイタカアワダチソウ」や「ヤブガラシ」といったものも地下茎植物です。地下茎を処理する場合は、根っこを残してはいけません。

※根っこが少しでも残っていると、根っこが伸びて、また植物が育ってしまいます。そうならないためにも、地下茎の根っこはしっかりと抜きましょう。

成長がはやい一年生雑草は、先手必勝

一年生雑草とは、1年の間に成長、開花、受粉をする植物を指します。これらの過程を1年以内に済ませてしまうと、次の年も雑草が生えてきます。そのため、一年生雑草は早めに抜いてしまうのがおすすめです。

しつこい雑草に勝てる草取りスケジュール

雑草はしつこく生えてきます。一気に雑草を処理するのに適した、時期や環境を紹介します。

多年草の草取りに最適な時期はある

多年性雑草の場合は、草抜きに適した時期はとくにありません。草抜きをおこなう場合は、根が伸び始めて間もない段階で抜くのがおすすめです。根っこが短い段階で抜くと、草取りがかんたんにおこなえます。

根が伸びてしまうと、草抜きが大変になってしまいます。地下茎があると発覚した場合は、後回しにせず、気づいたときに草抜きをするのがおすすめです。

一年生雑草の草取りに適した時期は?

一年生雑草の草取りをおこなうのに最適な時期は、5月といわれています。一年生雑草は、春雑草と秋雑草の2種類あります。それぞれ発芽する時期も開花する時期も違いますが、植物が育ちやすくなる5月に除草しておくのが最適です。

除草剤をまいて、雑草を一気に片付けてしまうのも手段のひとつですよ。

草取りに適した天気は?

草取りをおこなう日は、雨上がりの土が柔らかくなっているタイミングが最適です。もし、晴れの日に草取りをしたい人は、水を散布しておくと土が柔らかくなって雨上がりと同じように草取りができます。

草取りを自分でおこなう場合は、虫にさされないように長袖・長ズボンを身につけ、軍手をはめてから草抜きに取りかかるのがおすすめです。

雑草を根っこから除去する道具はコレ!

草抜きをする場合、道具を使うことで手軽に雑草が除去できます。いくつか便利グッズを紹介しますね。

ねじり鎌は、初心者でも安心して使える道具です。固い土に生えてしまって草抜きが大変な雑草も、ねじり鎌を使えばかんたんに草抜きができます。コンクリートの隙間の雑草にも対応できるのがうれしいです。

盆栽用根ばさみ

盆栽用根ばさみは、本来は盆栽の剪定に使うはさみです。盆栽用根ばさみはレンガやコンクリートなどの「せまい隙間」に生えた雑草を刈ることができるので、せまいところの処理をする際は盆栽用根ばさみを使ってみてください。

フォーク型草抜き

フォーク型草抜きは、草抜きの先が2つ~3つにわかれている道具です。使い方はかんたんで、根元に差しこんで「テコの原理」で作業します。小さなお子さんでもお手伝いができるくらいにかんたんなので、おすすめです。

草抜き電動ドリル

電動ドリルが自宅にある場合は、草抜き用アタッチメントを装着させて、草抜き電動ドリルに変身させましょう。電動ドリルに草抜き用のアタッチメントを取りつけたら、雑草の根元に差しこんでドリルを稼働させます。

ドリルの回転によって雑草根っこから抜けるので、女性でも力を使わず草抜きがおこなえます。

総括

雑草を根っこから抜いてしまうことで、次の植物が育ちやすくなるかが変わってきます。畑や家庭菜園をしている場合は、適度に根っこを残すと柔らかく栄養のある土を維持できます。

地下茎の植物の場合は根っこから抜いてしまいましょう。一年生雑草の駆除目安は5月、多年生雑草は、時期に関係なく根が伸び始めてからです。もし自分での草抜きが困難だと感じる場合には、業者への依頼をおすすめします。

業者に依頼した際は、除草に関しての相談をすることも検討しましょう。プロからのアドバイスで、よりいい草取りをおこなえることを応援しています。
2024.07.31 15:58 | 固定リンク | ライフ
300億年に1秒の誤差
2024.07.31
光格子時計Optical Lattice Clock)は、非常に高精度な原子時計の一種です。従来のセシウム原子時計よりもさらに正確で、300億年に1秒の誤差しか生じないと言われています。

この時計は、レーザーを使って原子を光格子という特殊な構造に閉じ込め、その振動数を測定することで時間を計ります。これにより、一般相対性理論や特殊相対性理論に基づく時間の遅れを非常に高精度に測定することが可能です。

光格子時計の応用としては、地球の重力ポテンシャルのマッピングや、火山の噴火や津波の予知などが考えられています。また、GPSに代わる新たな測地技術としても期待されています。

時間を正確に測ること。それは、自然界の中から、「不変な周期現象」を見つけ出す試みでした。

かつては地球の自転や公転という周期現象が時間の「ものさし」に使われていました。ところが、たとえば、地球の自転は潮汐摩擦によってだんだん遅くなります。このものさしの精度をグッと向上させたのが、1955年に発明されたセシウム原子時計です。これは、その後大きく進歩し、今では絶対零度近くまで冷やしたセシウム原子が吸収するマイクロ波の振動数を利用し、3000万年に1秒も狂いません。

そして、東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻の香取秀俊教授が挑戦しているのはなんと、宇宙の年齢の2倍以上の、300億年で1秒も狂わない超高精度の時計。

なぜそんなに高精度で時間を測りたいのか?

さて、ふつうに暮らしている限りは、3000万年に1秒の誤差を気にすることはありません。それなのになぜ、香取教授はさらに3桁も精度を上げ、300億年に1秒の誤差、すなわち、10-18秒まで測れる時計を作ろうと考えたのでしょうか?

それには、アインシュタインの「特殊相対性理論」と「一般相対性理論」が関わってきます。特殊相対性理論によると、動いている物体では時間がゆっくりと流れます。また、一般相対性理論によると、重力が強いところでは時間がゆっくりと流れます。ところが、人が歩く程度の速さや、高低差1cmで生じる重力エネルギーの差による時間の遅れはごくごくわずかで、いまの原子時計では測ることができません。しかし、18桁の有効数字で時間を読める時計なら、この日常生活に現れる時間の遅れさえ捉えることができるのです。

光格子時計の原理

セシウム原子時計に代わる次世代原子時計の最有力候補は、絶対零度近くまで冷やした荷電粒子1つを電極の間にトラップし、100万回もの計測を繰り返して正確な振動数を測定するイオントラップ法と考えられてきました。これでは、18桁の時間を読むのに10日もかかります。

イオントラップ法でより正確な時計を作ろうとする機運が盛り上がる中、「すでに筋道の立てられた方法を改良していくよりも、みんなを驚かせるような新しいことをやりたい」と語る香取教授は、100万個の原子を集めて1回だけ計測すればいいじゃないかと「光格子時計」を提案しました。

光格子時計ではまず、レーザーを使って卵のパックのような原子の容れ物(=光格子)を用意します。このとき、容れ物の存在を原子に気づかれないようにするのがポイントです。このために香取教授が見つけたのが、「魔法波長」と名付けた特別な波長のレーザーでした。

次に、絶対零度近くまで冷やしたストロンチウム原子を容れ物の中に1つずつ収まるように入れます。そうしたうえで、すべての原子を同時に計測します。香取教授は、現在1000個の原子を使って実験していますが、将来的には、100万個の原子を同時に計測する予定です。こうすることで、イオントラップ法よりも100万倍速い。

完成した光格子時計

香取教授が理論を発表したのは2001年。基礎実験に成功したのが2003年。「もう10年以上も18桁の精度の実現を目指してきました」と語る香取教授は、2014年、ついにその精度の時計を実現し、2015年にNature Photonics誌で発表しました。

15桁の精度でしか時間の定義が実現されていない状況で、18桁の精度の時計ができたと宣言するのは、1秒刻みの目盛りしかない時計で、1ミリ秒の違いを測るようなものです。香取教授は、同じ原理を用いた2台の時計を作り、2つの針(目盛り)がピタリと一致することでもってこの難題に答えました。

さらに今、香取教授の実験室がある東京大学と理化学研究所のそれぞれで18桁の精度の時計を開発し、光ファイバーでつなぐ実験を進めています。2箇所の高低差は約15m。光格子時計を使って時間の進み方の違いを示すこの実験は、一般相対性理論の原理を応用する新しい測地技術の実証です。

実は、相対性理論からの帰結として、同じ時間を2つの場所で共有することは、難しいことです。同じ時間を測っているはずが、実は2カ所の重力ポテンシャルの差だけずれてしまいます。光格子時計は、重力ポテンシャル計や高度計としての役割を担うようになります。

精密な重力ポテンシャル計で、火山の噴火や津波の到来が観測できるかもしれません。光格子時計の正確な時間が広く普及すれば、誰も予想もしない新しい使い方が登場することでしょう。
2024.07.31 08:23 | 固定リンク | 化学
如何にしてトランプ氏に対応「緊急で勧告する」
2024.07.28
「トランプ再選でこれから日本は《救われる》」...緊急で勧告する「日本が見る栄光」

慧眼の専門家たちと読み解くトランプ再選後の世界と日本

アメリカの政治学者「Gゼロ」(理想のリーダー)というコンセプトを提唱。世界各国の政府・企業に地政学的観点から助言を行う。

第二次トランプ政権は「反省」から始まる

バイデン氏が大統領選から撤退し、カマラ・ハリス副大統領を後継者として指名しました。

民主党内部にはハリス氏以外にも有力な候補者が何人もいますが、現時点で大統領候補に名乗りを上げた人は一人もいません。これで、ますますトランプ氏が有利となりました。

本来は、候補者同士を競わせたうえでハリス氏にバトンタッチすべきでした。そうすれば、民主党の候補者選びそれ自体がショーになり国内の目を民主党に向かせることができたはずです。今回、そうした競争を経ずにハリス氏に交代とな、トランプ再選の可能性が高まったといえます。

それでは、実際にトランプ再選となった場合になにが起きるのかを見ていきましょう。

まず、トランプ氏は前回の「反省」から始めるはずです。前回の反省とはなにか。それは、政権移行の準備が整わず、重要な役職が空席のまま時間だけが過ぎてしまったことです。

1期目のときは、準備が不十分だったために、トランプ氏のビジョンに共感していない人もたくさん政権内部で雇わなければなりませんでした。

そこで、現在トランプ氏は、前政権時代の高官が設立したシンクタンクをベースに、人材補充の準備を進めています。

すなわち、今回のトランプ政権は就任と同時に思い通りの政策を進めることができるのです。

関税と経済制裁で脅す民主党バイデン大統領

では、「トランプ2・0」の世界では、具体的にどんな変化があるでしょうか。

ポイントは「関税」です。トランプ氏はなによりも貿易不均衡を嫌います。バイデン氏も前トランプ政権を踏襲し、中国などに対して高い関税をかけ、貿易障壁を強化してきました。

トランプ再選となれば、こうした政策を続け、アメリカの貿易相手国や競合他社に継続するでしょう。中国に対しては60%の関税を課すとも言っています。

では、日本にはどんな影響があるでしょうか。普通に、日本はトランプ氏に諭されるでしょう。

まずトランプ氏は、中国同様、日本には一次政権政権時の反省から事前に連絡してくるはずです。

そこで、「もし関税をかけてほしくなければ……」とトランプ氏は、在日米軍基地の経費の負担額を求めて来ますが、さらに協議を求めてきます。また、トランプ氏は安倍さんの時のように聞く耳を持っています。

もう一つ、トランプ氏は円安ドル高を嫌っています。経済制裁などを脅し文句に、ドル安へと誘導するよう求めてくる可能性があります。ここでも日本は必要以上の為替介入を強いられてしまうかもしれません。

「円安」が日本にとって有利である「理由」 高橋洋一が解説

数量政策学者の高橋洋一が6月14日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。東京市場での円・株・債券のトリプル安について解説した。

円相場、1ドル=134円40銭付近で取引

6月13日のニューヨーク株式市場で、ダウ平均株価は先週末と比べて876ドル05セント安い3万516ドル74セントで取引を終えた。ハイテク銘柄中心のナスダック総合指数は530.79ポイント下がって10809.23。一方、円相場は1ドル=134円40銭付近で取引されている。

アメリカの場合は、インフレ率をどうするかということが政策課題になってきているのですか?

全体で8%くらいですからね。下がると思っていたら、5月に少し上がってしまった。

円安になるとGDPが上がり、日本にとっては有利なこと

日本で「円安」と盛んに言うではないですか。報道を見ると「とても悪いことなのか」と思いますが、ファクトとしては、円安になると実質国内総生産(GDP)は上がるのです。自国通貨安は自分の国には有利であり、他の国には不利ということで、「近隣窮乏化」などという言い方をします。近隣窮乏化というのは、周りの人には迷惑な話であるということです。

周りの国にとっては。

日本国内で批判が出るということが、私は不思議ですね。普通は海外から批判が出るのです。「日本だけがよくて、他の国は大変だよ」という文句が来るのです。

お前だけよくていいよなと。

中小企業には不利だが超優良企業には有利な円安 ~プラスマイナスを合わせるとプラスが大きいのでGDPが増える。

そういう文句がくるのだけれど、いまのところきていないのはラッキーです。10%くらい円安になるとGDPは1%くらい上がるので、有利な話なのです。こういう話をすると「中小企業は」という話題になりますが、為替というのは、中小企業には円安は不利です。ただし、エクセレントカンパニーには有利です。

超優良企業には。

輸出比率が全然違うためです。輸出は世界市場で行わなければいけないから、比較的エクセレントカンパニーには有利なのです。輸入は誰でもできるのですが、中小企業は輸出比率が低い。そういう意味では、円安の恩恵を得にくいのは間違いありません。それでも、プラスマイナスを合わせるとプラスの方が大きいので、GDPが増えるということです。

政策対応としては円安で大変な輸入業者や中小企業への対策をする

GDPが増えるのだから、政策対応は簡単なのです。円安で大変な輸入業者や中小企業への対策をすればいいということです。

大企業の収益が増える、イコール税収も増えるので、その部分を再分配すればいい。

例えば、企業収益が過去最高の企業が多いはずなのです。ということは法人税収も大きくなる。それを再分配すればいいので、政策対応は簡単です。GDPが減るような状況での政策対応は大変だけれど、GDPが増えるときは簡単です。

「円安」により、IMFの経済見通しでは日本だけが昨年より成長率が高い

「円安だ」と大騒ぎしていますが、「GDPが増える」ということはどこも書かないのです。不思議です。内閣府の経済モデルでも言えるし、世界のOECDやIMFの経済モデルでも同じです。

経済モデルは。

IMFの経済見通しだと、今年(2022年)の予想は日本だけが去年より成長率が高くなるのですよ。それは円安だからです。

通常、為替が安くなるときには株は高くなる ~今回の株安はアメリカ要因のため

ニュースの見出しとしては「東京市場で円・株・債券トリプル安」ということを言っていまして、1ドル=135円台前半までいきました。1998年10月以来、およそ24年ぶりです。日経平均株価は昨日(13日)、800円を超す値下がりとなり、2万7000円割れ。長期金利の10年国債利回りが年率で0.255%まで上昇。価格は下落したということですが、日銀の目安を超えてきたではないかというようなことも言われています。産経新聞は悪い円安論という言い方です。

実質国内総生産(GDP)が増えて「悪い」と言われると、どうしていいのかわかりません。株と為替だけの話をすると、エクセレントカンパニーにはプラスだから、エクセレントカンパニーで構成される株価は円安がプラスになるのですよ。過去の例を見ても、為替が安くなるときに株が高くなる場合はかなり多いです。

為替が安くなるときには。

今回どうして株が下がったかと言うと、アメリカの要因があるわけです。株は2つの要因で決まっていて、為替とアメリカです。アメリカの影響が大きいと、こういうことが起こるのです。

今回のように。

債券の方は安くなったと言うけれど、イールドカーブ・コントロールで金利を一定にさせる。はっきり言うと10年金利で0.25%に収まっているから、これ以上にはならないですね。

ここから先は日銀が間に入っていく。

一面だけを見て誤った報道をするマスコミ

それはそれでけっこうなことなのですけれどね。金利が安い状態だから、GDPも増えるということなのです。それなのに、一面だけを見て100円ショップがどうのこうのと言うでしょう? 完全に一面だけのストーリーというやり方で、全体を見誤っている報道です。

全体を見誤る。

これはマクロ経済の話だから、全体の話をしないとダメです。マスコミがストーリーテラーとして、1つの例からすべてを説明したがることはよくあることですが、マクロ経済の説明のときにはほとんど間違いになります。

社会的なドキュメンタリーではよくある手法ですが、経済でやろうとしているのですか?

1つのことで説明してしまって、「GDPが増える」という話は説明しない。それはダメなのです。マクロ経済としては「GDPが増える」ということで説明が終わるのです。もちろんプラスマイナスはありますが、全体では増えるということです。

円安のいまこそ内需対策をすれば景気は上がる ~追い風である「円安」だけでいいと対策しない政府

「10%円安になるとGDPが1%程度増える」ということですが。

大体1%増えます。

円安が始まったのは、当然ながらウクライナ情勢によるところがありました。2月の水準だと、私が記憶しているのは1ドル=110円台ぐらいだったと思うのですが。

そうですね。

そうすると、いま135円ということは、20%ぐらいは円安ということですよね。

日本の経済成長率がこれで持っているようなものです。

GDPが2%増えると考えれば。

そうですね。逆に言うと、内需の話がきちんとできていない。例えば補正予算は全然足りていません。その部分をきちんとやっていないけれど、円安で持っているという感じです。内需への対応をもう少しきちんとやれば、上がるのです。

そうですよね。経済協力開発機構(OECD)の予測を見ると、日本は大体1.8~1.9%の成長と。「あれ?」と思うのは、為替で説明がついてしまうことですね。

大体はそうですよ。逆に言うと、内需対策をサボっているということなのです。だから「こういうときに内需対策をすれば、ダブルパンチでちょうどいい」と私は思いますけれどね。フォローウィンドが吹いているから、「これはチャンス」と思えばいいのですが。

追い風。

だけど、「追い風だけでいい」と思ってしまっているのでしょう。

追い風で進んでいるから、漕がなくていいやと。

そんな感じになってしまっているのですね。

いまこそ、「Go To トラベル」をやるべき ~いまやれば経済に火が点くはず
高橋)いろいろな発言でも強制貯蓄論というものがあって、自然に爆発するということで、景気対策をサボるのです。強制貯蓄論が出たときには、「少しでも火を点けたらすごいよ」と私は言う方なのですけれどね。具体的に言うと、例えばGo To トラベルです。

Go To。

東京都民割が人気なのでしょう?

そうですね。

参院選のあとでは夏休みの計画に間に合わない
高橋)国の方もやればいいのだけれど、参議院選挙のあとに全部先送りしているのです。すべて検討になっている。いまやれば本当に火が点きますよ。

このタイミングでやると、ちょうど「夏休みはどうする?」という人たちが。

参議院選挙以降だと、夏休みに間に合わないかも知れないという不安が業者にもあるのですよ。参議院選挙以降であれば夏休み直前になりますね。

7月10日だと直前です。そのぐらいの時期には、もう予約を取ってしまっています。

インフレ率が高くなっても、景気対策で所得が上がっていれば問題はない
飯田)仮に経済対策で景気が「ドーン」と上がるとなると、インフレ率も高まるのではないかと思いますが、いかがですか?

高橋)逆に言うと、景気対策を行って所得が上がれば、簡単に転嫁できるという意味で、そちらの方がいいのです。少しインフレ率が高くなっても構いません。インフレ率が高くなっても、景気対策で所得が十分に上がっていれば大丈夫なのです。逆に、インフレ率が高まらないように所得を少なくすると転嫁できないから、企業の方にしわ寄せがいってしまって、最後は雇用に影響するのです。

なるほど。インフレ率は高まるかも知れないけれど、賃金などが……。

賃金も上がるから。

経済成長も高まって、実質部分でプラスになっていれば大丈夫だと。

他の国の方がインフレになっている部分だけ、最終需要があるという意味で、まだまともなのです。日本は最終需要がないけれど、インフレにもなりにくいので、そちらの方がよくない状況です。

需要がないから、今度は「生産を縮小しよう」ということになってしまう。

コストアップが価格転嫁できなかったら、事業を縮めて、最終的には雇用に影響します。ですからインフレになっても「けしからん」ということではなくて、「インフレになっても十分なくらいにお金を景気対策で撒け」というのが正しいのです。

トランプ氏「為替発言」の波紋 1ドル=110~120円まで円高に 日本は今のうちに外貨準備を減らし「円安差益確保」を

ドナルド・トランプ前米大統領が、円安や人民元安を警戒する発言をして話題となった。

トランプ氏は「アメリカ・ファースト(米国第一主義)」だ。重要・基幹産業は国内で完結し整備しようとしている。そのためにはドル高は不都合だ。今のドルが均衡レートより高いことも知っているようだ。

要するに、本コラムで何度も指摘してきた「近隣窮乏化」、つまりドル高は米国経済を弱らせるが、他国を強くすることを理解しているようだ。どこかの政治家や経済メディアのように「円高が日本経済に良く、円安が悪い」と思い込んでいるのと真逆である。トランプ氏からみれば、そうした人々は「日本ファースト」でないのでくみしやすいだろう。日本にとって国益を害する人たちだともいえる。

トランプ氏はもともと不動産業出身で、基本的には金融緩和を好むので、ドル安は居心地が悪くないはずだ。

実はトランプ氏は、前回の大統領当時から、ドル安を指向していた。しばしばドル安に口先で言及したが、実際には介入はなかった。

米国では、実務的に米財務省が米連邦準備制度理事会(FRB)と協議の上、為替介入を決定し、ニューヨーク地区連銀が介入事務を行う。介入金額は、米財務省とFRBが折半し、米財務省は外国為替安定基金から、FRBは自身のバランスシート(貸借対照表)から、それぞれ原資を拠出する。なお、日本では介入主体は財務省で、資金は財務省の外国為替資金特別会計(外為特会)から拠出されている。

為替介入の効果については、一時的であり、継続しないので、欧米では口先で言うことはあっても実際に介入が行われることはまずない。この点、日本の外貨準備は国内総生産(GDP)比で「3割弱」と先進国の「数%」より突出して高く、介入への批判が常にある。

なお、今年2月にブラジルで開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、これまでのG20声明の為替に関するコミットメントを再確認した。「通貨の競争的切り下げを回避し、競争力のために為替レートを目標としない」としている。

米国の金利はFRBの所管で、為替は2国間の金融政策の差で決まる。FRB議長は大統領が上院の助言と同意に基づいて任命する。FRBが独立しているといっても、事実上、政府の子会社であるので、政府の方針の下で金融政策をする。それに加えて、大統領の任命権があるので、金利も為替も長い目でみれば、トランプ氏の意向の通りになるだろう。

要するに、インフレ目標の範囲内で低金利、円高・ドル安になるだろう。円ドル相場は、為替が両通貨の交換比率であることから、その理論値は両通貨の比になるが、現状の理論値は1ドル=110~120円だ。そのあたりまで、円高になる可能性がある。

その水準になるまで、日本としては円安メリットを享受し、介入疑惑をなくすためにはできる限り外貨準備を減らして、円安差益を確保するほうがいい。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

関税や経済制裁などをちらつかせてくるトランプ流の交渉に日本は立ち向かわなければならない。交渉に失敗すれば、いいようにカネをむしり取られてしまいます。しかし、日本にトランプ氏と対等に渡り合える人物はいますか? 

安倍晋三元首相はもう亡くなりました。あとは誰が残っているのでしょうか。私はトランプ再選後の日本を本当に心配しています。
2024.07.28 08:39 | 固定リンク | 国際
バイデン政権下のリベラル派の損失懸念で暗殺未遂か
2024.07.25
バイデン大統領が選挙で敗北することは、リベラル派にとっていくつかの面で困難をもたらす可能性があります。以下の点が特に懸念されています。

政策の後退

バイデン政権は気候変動対策や投票権拡大、社会プログラムの支出など、リベラル派が重視する政策を推進してきました。彼が敗北すると、これらの政策が後退する可能性があります。

政治的影響力の低下

バイデン大統領が敗北すると、リベラル派の政治的影響力が低下し、次の選挙に向けた戦略や候補者選びに影響を与える可能性があります。

党内の混乱

バイデン大統領が再選を目指す中で、彼の敗北は民主党内での混乱を引き起こし、次のリーダーを選ぶ過程が複雑化する可能性があります。

リベラル派にとって、バイデン大統領の敗北はこれらの懸念を現実のものとする可能性があるため、重要な選挙となります。

さらに米国がNATOやウクライナへの支援を続けることで、いくつかの経済的影響や雇用の不確実性が生じる可能性があります。以下の点が特に注目されています。

軍事支出の増加

ウクライナへの軍事支援やNATOの防衛強化に伴い、米国の軍事予算が増加する可能性があります。これにより、他の公共サービスやインフラへの投資が減少するリスクがあります。

経済的負担

ウクライナへの支援は、米国の財政に負担をかける可能性があります。特に長期的な支援が必要となる場合、財政赤字の拡大や国債の増加が懸念されます。

雇用の不確実性

軍事関連の支出が増加する一方で、他の産業への投資が減少する可能性があります。これにより、特定の産業での雇用が不安定になるリスクがあります。

国際貿易への影響

ウクライナ支援やNATOの防衛強化に伴う国際的な緊張が高まると、貿易関係に影響を与える可能性があります。特に、ロシアや中国との貿易が制限される場合、米国企業にとって不利な状況が生じる可能性があります。

トランプ氏が大統領になった場合の経済的影響

トランプ氏が再び大統領に就任した場合、経済に対する影響は多岐にわたると予想されます。以下の点が特に注目されています。

貿易政策の変化

トランプ氏は以前の政権時に保護主義的な貿易政策を推進し、中国をはじめとする多くの国に対して関税を導入しました。再選された場合、これらの政策が再び強化される可能性があり、世界貿易に影響を与えるでしょう。

トランプ前政権時と現在とでは、米国経済及び世界経済と金融情勢は大きく異なるという点だ。第1に、バイデン政権になってから、物価は大きく上昇し、それを受けてFRBは大幅な利上げを行った。米国経済は金融引き締めの影響を受けて既に脆弱であり、この先大きく減速する可能性がある。この点から、保護主義的な政策が米国経済を悪化させるリスクは、現在の方が高いのである。また、当時と比べて中国経済の減速が強まっていることも、保護主義的な政策が世界経済を悪化させるリスクを高めるだろう。

第2に、財政面で積極的なコロナ対策を行った結果、現在の財政環境はトランプ前政権時よりも悪化しており、また金融市場は財政環境の悪化をより警戒するようになっている。そのもとで財政拡張的な政策がとられれば、金利上昇あるいは金利高止まりが経済を悪化させるだろう。また、財政の悪化は通貨の信認を損ねることから、ドル安のリスクも高める。

ドルの価値

トランプ氏の政策はドル安を促進する可能性があります。これは、輸出を促進する一方で、輸入品の価格を上昇させることになります。

「為替は日米金利差と強い相関が続く」という前提を置いて話を進めます。また米国の利下げは米金利低下に直結し、日米金利差の縮小を招くとして、「米国の利下げ=ドル安」として取り扱います。

他方で、中国に加えてすべての貿易相手国に対して追加関税を導入するとするトランプ氏の政策では、輸入を減らして米国内の生産、雇用を拡大させる効果よりも、経済を悪化させる効果の方が勝るだろう。

追加関税は貿易相手側の報復措置を引き出し、世界貿易を縮小させる。また、追加関税は、国内消費者に輸入品をより高く買わせる増税策にも等しく、個人消費を悪化させる。こうした追加関税など保護主義的な政策がもたらす経済の悪影響は、大型減税の延長や規制緩和のプラス効果を大きく上回るものと考える。さらに、財政悪化による金利上昇も、景気に逆風となる。景気悪化は株安要因である。

また、トランプ氏はドル安政策を標榜している。米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策に関与する考えや財政悪化も、通貨の信認の低下を通じてドル安要因となる。保護主義的な政策などを通じて経済が悪化すれば、最終的には金利は大きく下がり、ドル安が進むだろう。

株式市場

トランプ氏の経済政策は、短期的には株式市場にプラスの影響を与える可能性がありますが、長期的には不確実性が増し、株価の変動が激しくなる可能性があります。

減税や規制緩和は、短期的には企業利益の増加や投資の活性化を通じて株式市場にプラスの影響を与えることがありました。長期的には政策の持続可能性や貿易戦争などの要因が不確実性を増し、株価の変動を引き起こす可能性があります。

財政政策

大型減税や社会保障支出の抑制など、財政赤字を拡大させる政策が再び導入される可能性があります。これにより、金利が上昇し、経済成長に影響を与える可能性があります。

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、インフレを抑制するために高金利を維持する方針を示しています。彼は、政策金利を高水準に保つ必要があると述べています。

しかし金利が上がれば雇用が統計が下がりデフレの懸念が生じ、俯瞰すると経済が停滞しGDPが下がり経済危機が懸念されることになります。

追加関税や保護主義的な政策は、国内の物価を押し上げる要因となり、インフレのリスクを高める可能性があります。
2024.07.25 18:59 | 固定リンク | 国際

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