失業率を下げることは賃上げに繋がる
2024.06.07
失業率の低下が賃上げにつながるという考え方は、一般的にはフィリップス曲線によって説明されます。フィリップス曲線は、失業率と賃金上昇率(またはインフレ率)の間に逆の関係があるとする経済理論です。つまり、失業率が低いときは賃金上昇率が高く、失業率が高いときは賃金上昇率が低いとされています1。

しかし、現実の経済では、この関係は必ずしも明確ではありません。例えば、米国では失業率が49年ぶりの低水準になったにも関わらず、賃金の上昇ペースは緩やかであると報告されています2。これは、賃金の上昇が高スキル人材に限られ、全体としては賃金が抑制されていることを示しています。

また、賃金上昇率と失業率の関係は、賃金がコストであるという企業の観点からも影響を受けます。賃金が上下すると、それが生産物の価格に反映され、結果としてインフレ率に影響を与えるため、賃金上昇率と失業率の間に関係が見られるとされています1。

結論として、失業率の低下が直接的に賃上げにつながるとは限らず、多くの要因が絡み合っているため、賃金上昇率に影響を与えることがあります。労働市場の構造、産業構造の変化、技術進歩、政策など、様々な要素が賃金に影響を及ぼす可能性があるため、失業率だけではなく、これらの要因も考慮する必要があります。

失業率が下がったことで政府は財政出動、公共事業に大幅投資を行うことで経済が復興

失業率が下がることで、政府が公共事業に投資することで経済復興を促すアプローチは、一般的には「内需主導型の経済対策」として知られています。具体的には、公共事業の建設や整備を通じて失業者を雇用し、経済全体の活性化を図ることを目指します。

以下に、失業率が下がった際に公共事業がどのような効果をもたらすかについて詳しく説明します。

雇用創出と経済活性化:

失業率が低下すると、公共事業によって多くの人々が雇用されます。建設労働者や技術者、設計者などが必要となり、これによって雇用機会が増加します。

雇用者は給与を受け取り、消費を刺激します。消費が増えることで、民間企業の売上も向上し、経済全体が活性化します。

乗数効果:

公共事業に投資することで、その直接的な経済効果だけでなく、さらなる波及効果が生まれます。

例えば、建設業者が賃金を受け取り、それを消費に回すことで、他の業界にも影響を及ぼします。この連鎖的な効果を「乗数効果」と呼びます。

デフレーション抑制:

デフレーション(物価の下落)が進行している場合、公共事業による需要拡大が重要です。

公共事業によって有効需要が増加し、物価の下落を食い止める効果があります。

潜在成長率の維持:

公共事業によって遊休施設や失業者の再活用が促進され、潜在成長率の低下を防ぎます。

技能の喪失や設備の廃棄を回避し、経済の持続的な成長を支えます。

総じて、失業率が下がった際に公共事業への投資は、雇用創出や経済活性化、デフレーション抑制、潜在成長率の維持など、多くの効果をもたらす重要な手段となります。
2024.06.07 10:13 | 固定リンク | 経済

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