恒大集団の会長許家印氏「消される恐れ自ら出頭」
2024.06.06
中国の不動産開発大手である「中国恒大集団(エバーグランデ)」の経営危機に。中国恒大集団は、世界で最も多額の負債を抱える企業の一つとなり、2021年に債務不履行(デフォルト)に陥りました。その後、経営危機はさらに悪化し、会長が警察の監視下に置かれるなど、多くの問題が報じられています。

2024年1月29日には、香港の裁判所から清算命令が下されました。清算とは、企業の資産を差し押さえて売却し、得られた金を未払い債務の返済に充てる手続きのことです。しかし、この命令が実行されるかどうかは中国政府次第であり、必ずしも恒大の破綻を意味するものではありません。

恒大集団の問題は、同社が抱える負債の規模が非常に大きく(30兆円とも言われる)、中国の不動産市場や金融システムに与える影響が懸念されているため、世界中の注目を集めています。

会長の許家印氏が拘束

中国恒大集団の会長、許家印氏が拘束されたとの報道があります。中国証券監督管理委員会は恒大地産集団の決算に虚偽記載があったと認定し、同社に対して約900億円の罰金を科しました。また、許家印氏には法定最高額の罰金約10億円を科し、証券市場からの永久追放処分としました。

さらに、恒大集団の株式取引が停止され、許家印会長が警察の監視下に置かれたと報じられています。恒大集団は巨額の負債を抱え、2021年に債務不履行に陥り、その後も経営危機が続いている状況です。許家印会長は犯罪に関与した疑いで「強制措置」を受けており、身柄を拘束されたとみられています。

このような状況は、中国の不動産市場や金融システムに大きな影響を与える可能性があり、世界中の注目を集めています。

また、許家印氏が自ら警察に出頭し、拘束されたという情報もあります。これは彼の命が狙われる恐れがあるためという情報もあります。この点については、公式な発表や確固たる証拠は報じられていません。許家印氏の拘束は、恒大集団の経営不透明感を一層濃くしており、中国の不動産市場や金融システムに影響を与えております。

中国の不動産バブル崩壊に関する懸念は、確かに多くの人々の間で話題になっています。不動産バブルが崩壊すると、経済的な影響だけでなく、社会的な不安定さも引き起こします。日本のバブル崩壊時に見られたような不審死の増加については、中国でも同様の現象が起こるのではないかという懸念があるようです。

このような事態については、許家印氏が自ら警察に出頭し拘束されたという情報も憶測の域を超えていませんが、日本のバブル崩壊時を鑑みれば全くないとは言い切れません。

負債額(約47兆1818億円)

中国恒大集団の負債額については、さまざまな報道がありますが、2022年末時点での総負債は約2兆4400億元(約47兆1818億円)に達しているとされています1。また、別の報告によると、恒大集団の負債総額は、取引先への未払い分などを含めると、約1兆9665億元(約33兆4000億円)に達するとみられています2。

これらの数字は中国の名目国内総生産(GDP)の約2%に相当するとも言われており、恒大集団の負債問題は中国経済にとって重要な課題となっています。恒大集団の経営危機は、中国の不動産市場や金融システムに大きな影響を与える可能性があるため、今後も注目が集まっています。

負債問題の解決方法は

恒大集団の負債問題の解決については、複数のシナリオが考えられますが、最終的な解決策は中国政府の方針や市場の動向に大きく依存するでしょう。以下は、現在検討されている可能性のある解決策です。

債務再編:

恒大集団は債権者との間で債務再編計画を進めており、新たな社債の発行や不動産サービス部門や電気自動車(EV)部門の株式と組み合わせた商品を提供する案が提示されています。

政府による介入:

中国政府は恒大集団のような大手企業の破綻を防ぐために介入する可能性があります。これは、経済全体への影響を最小限に抑えるために行われることが予想されます。

資産の売却:

恒大集団は資産の売却を通じて負債を減らすことも検討している可能性があります。これには、未完成のプロジェクトや他の事業部門の売却が含まれるかもしれません。

法的手続き:

米国での破産保護の申請や中国国内での清算手続きなど、法的な手段を通じて負債問題を解決する道もあります。

市場の回復: 不動産市場の回復や経済状況の改善が恒大集団の負債問題の解決に寄与する可能性もあります。

これらの解決策は、恒大集団の将来にとって重要な意味を持ちますが、どのような解決策が採用されるかは、今後の発展を見守る必要があります。また、恒大集団の問題は中国の不動産市場や金融システムに影響を与えるため、その解決策は中国経済全体にとっても重要です。

他に破産危機の企業は(約4兆6千億~5兆4千億円)

中国では恒大集団以外にも破産の危機に直面している企業があります。特に注目されているのは、シャドーバンキング(影の銀行)大手の中植企業集団です。2024年1月5日に北京市第一中級人民法院は、中植企業集団の破産申請を受理しました。同社は債務を返済できず、必要な資産が不足しているとして破産申請を行いました。

中植企業集団の経営危機は、2023年8月に傘下の信託会社中融が高利回りの信託商品でデフォルト(債務不履行)を起こしたことに端を発しています。中融は中国で9番目に大きな信託会社であり、不動産市場の調整が続く中で破産に至りました。中植企業集団の債務超過額は2,200億~2,600億元(約4兆6千億~5兆4千億円)にも達しているとされています。

このような大規模な企業の破産は、中国経済に強い逆風となり、不動産市場や金融システムに影響を与える可能性があります。中国のシャドーバンキングの混乱は、不動産市場への資金の流れを細らせ、市場の長期化をもたらすことが懸念されています。

他国の同様の事例は

他国でも不動産バブルの崩壊による経済危機の事例はあります。最も有名なのは、2008年のアメリカのサブプライムローン危機です。この危機は、不動産価格の急激な下落と多くの金融機関の破綻を引き起こし、世界的な経済不況につながりました。

また、1990年代初頭の日本でも、バブル経済の崩壊後に不動産価格が大幅に下落し、多くの企業が倒産しました。この結果、長期にわたる経済停滞期に入ることとなり、これを「失われた10年」と呼ぶことがあります。

さらに、スペインやアイルランドでも2000年代に不動産バブルが崩壊し、深刻な経済危機を経験しました。これらの国々では、不動産価格の急騰による過剰投資が問題となり、バブル崩壊後には多くの不動産が売れ残り、金融システムに大きな打撃を与えました。

これらの事例から、不動産バブルの崩壊は、単に不動産市場だけでなく、広範な経済活動に影響を及ぼすことが分かります。そのため、中国の不動産バブル崩壊も世界経済に影響を与える可能性があると考えられています。
2024.06.06 07:50 | 固定リンク | 経済

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