TPPにイギリス、ウクライナ加入へ
2024.06.06
TPPにイギリス、ウクライナ加入へ、核兵器保有国の加盟で防衛力強化へ、ウクライナの小麦が...

TPP、または「環太平洋パートナーシップ協定」の加盟国は、以下の通りです。

オーストラリア

ブルネイ

カナダ

チリ

日本

マレーシア

メキシコ

ニュージーランド

ペルー

シンガポール

ベトナム

イギリス

これらの国々は、経済成長を促進し、相互の貿易と投資を拡大するために、関税の撤廃や貿易の自由化を目指しています。

TPP加盟条件は民主主義体制が不可欠と言われてます。

またTPP、または環太平洋パートナーシップ協定への加盟条件には、民主主義体制が不可欠であるという観点が含まれています。TPPは、関税のほぼ全面的な撤廃、知的財産権の保護、自由なデータ流通、国有企業への不公正な補助金の制限など、高いレベルの自由化ルールを定めており、これらの条件を受け入れることが前提となっています。

加盟国は、自由貿易と経済の成長を促進するために、これらの厳格なルールを守ることに同意しています。また、法の支配や基本的人権の尊重など、民主主義の価値観を共有することも重要視されています。これは、TPPが単なる経済的な協定を超え、参加国間の政治的・社会的な価値観の一致をも目指していることを示しています。

さらに軍事協力も

しかし、経済と安全保障は密接に関連しており、TPPが地域の安全保障にも影響を与える可能性があります。例えば、経済的な結びつきが強まることで、加盟国間の政治的な連携が深まり、軍事的な協力にもつながることが考えられます。

また、TPP加盟国は、経済的な利益を享受する一方で、地域の安定や平和を維持するために、軍事的な側面での協力を強化することも重要視しています。これには、防衛装備品の輸出や軍事技術の共有、共同訓練などが含まれることがあります。

またイギリスがTPPに加盟したことで、協定の防衛力が強化されたことは否めません。さらに、経済的な結びつきが強まることで、加盟国間の政治的な連携や安全保障の面での協力が促進される可能性はあります。

イギリスは「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTTP)」の加盟国として合意されました。これにより、イギリスは加盟国へのチーズ、チョコレート、機械、ジン、ウイスキーなどの輸出で関税を抑えることができるようになります。また、イギリス政府は、CPTTP加盟がイギリス経済に与える恩恵はごくわずかだと見ていますが、首相はCPTTP加盟は「ブレグジット後の自由における本物の経済的利益」を示すものだと述べています。

さらに、ウクライナが環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟を申請したことが明らかになりました。TPPを担当する後藤経済再生相は、「ウクライナがTPPの高いレベルを完全に満たすことができるかどうか、見極める必要がある」と述べています。実現すれば、欧州からの参加は英国に続いて2か国目となります。

15日からニュージーランドでTPPの閣僚級会合が開かれる予定で、ウクライナ加盟について議論が始まります。

加盟が実現されれば小麦が大量に輸入されます。経済的恩恵が大きく期待されることでしょう。

■ウクライナのTPP加盟申請、経済分野で一部代替も可能に NATOやEUは加盟実現に長期間必要、高いハードルも

ウクライナが環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への加盟を申請し、ニュージーランドで15、16日に開かれる閣僚会合で協議される見通しだという。

ウクライナは、1991年12月に旧ソ連が崩壊した後、旧ソ連体制から脱却するために北大西洋条約機構(NATO)加盟や欧州連合(EU)加盟を目指した。

NATO加盟には極めて高いハードル(加盟国がロシアから攻撃されると加盟国はロシアを相手に戦争をしなければいけないという集団的自衛権)があり、これまで何度も政治課題になりながらもドイツ、フランスらの反対で頓挫してきた。

また、EU加盟には、民主主義、法の支配、人権や少数派の保護といった高いハードルがあり、当時のウクライナでは無理だったし、EU側もロシアを刺激しないように、ウクライナの要請を却下した。

その後、ウクライナは、ロシアの圧力の中で欧州志向を徐々に強めつつ、2019年2月ウクライナ議会は憲法を改正し、EUとNATOへの加盟を目標として明記した。

そして今回のロシアによる侵攻のなか、ウクライナは22年9月30日、正式にNATO加盟の申請を行った。

他方、EUは22年6月23日、ウクライナを加盟候補国とすることを決定した。こちらの方がNATO加盟より進んでおり、ウクライナはEUと正式な加盟交渉中であるが、過去の加盟国をみると、候補国となってから加盟実現まで10年程度を要している。

クロアチアは04年にEUの加盟候補国となったが、加盟したのは13年。トルコは1950年代からEU加盟を求め、99年に加盟候補国となったが、いまだに加盟していない。

また、ウクライナの1人当たり国内総生産(GDP)は4000ドル程度で、EU平均の1割程度、EU内の最貧国であるブルガリアの半分にも満たない。

実際問題としてウクライナの国是であるNATO、EU加盟には時間がかかる。そうであれば、少なくとも経済分野でEU加盟の後押しにもなり、一部の代替も可能なTPP加盟に関心を持つのは当然だろう。

TPPは民主主義の経済圏であり、専制国家の中国を排除する包囲網でもある。つまり、TPPでは物品貿易、サービス貿易の自由化、知的財産権の保護などのほかに、資本の自由化や国有企業改革もあり、共産党1党独裁の中国は国家体制(生産手段の国有化原則)を変更せざるを得なくなるので、事実上参加できないハードルになっている。

この点に着目した英国も、EU離脱後にTPP参加を表明した。TPP加盟国は英国の加盟を認めることで正式合意する見込みだ。

EUには経済だけではなく政治統合の側面もあるので高いハードルだが、TPPは経済中心なので民主主義国ならハードルはそれほど高くない。この点もウクライナには魅力だ。ウクライナを経済支援する国際世論次第でもあるが、ウクライナにとってはEUよりも加盟は容易だろう。
2024.06.06 18:09 | 固定リンク | 経済

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