プリゴジン氏すでに死亡「アブラムシのようにたちまちつぶされる」
2023.08.24



プリゴジン氏すでに死亡説「プーチン氏の命令」で自家用機撃墜 米シンクタンク 「アブラムシのようにたちまちつぶされる」

 ロシアの民間軍事会社ワグネルの創設者エフゲニー・プリゴジン氏が所有するビジネスジェット機が23日に墜落し、同氏を含む乗員乗客10人の死亡が確定的とみられているなか、米シンクタンク「戦争研究所」(ISW)は同日、「プーチン大統領がロシア軍司令部にプリゴジン氏の飛行機を撃墜し、死亡するよう命じたのは、ほぼ間違いない」と分析した。

 ISWは、「プーチン氏の許可なしにショイグ国防相ら軍の関係者がプリゴジン氏を処刑する可能性は、きわめて低い」と主張。その上で、「ワグネルのリーダーの暗殺は、独立組織としてのワグネルを排除するための最終段階だったとみられる」と指摘した。

 ジェット機が墜落する前日の22日には、プリゴジン氏に近いとされる、ウクライナ侵攻で軍の副司令官を務めたスロビキン航空宇宙軍司令官の解任が報道された。これについてISWは「偶然ではないだろう」とし、「クレムリン(ロシア政府)は、反乱に関与した者は処分され、ワグネルの挑戦は決着済みであるという明確なメッセージを送ろうとしたのだろう」との見方を示した。

 ISWはまた、プリゴジン氏らの「暗殺」は、「ワグネルの指揮系統とブランドに劇的な影響を与えるだろう」と述べた。ワグネルの指揮官や戦闘員らが身の危険を恐れたり、士気が低下したりする可能性にも言及した。

■目撃した女性「ドローン攻撃です」

 蛇行するように墜落していく飛行機のような物体。草原の中で燃え上がる様子も捉えられています。

 目撃している女性:「ドローン攻撃です。爆発が2回ありました。落ちていくの、見て」

 23日、ロシア北西部のトベリ州で墜落したジェット機には、乗客乗員合わせて10人が搭乗していて、全員死亡したということです。

 ワグネルはプリゴジン氏の死亡を発表しました。

 ジェット機はモスクワからロシア第2の都市・サンクトペテルブルクに向かう途中でした。

 プリゴジン氏は21日にビデオメッセージをSNSに投稿していました。

 プリゴジン氏:「ワグネルは偵察や捜索活動をし、すべての大陸においてロシアをより偉大にする」

 ただ、プリゴジン氏はアフリカにいるとしながらも、具体的な国名や撮影日時については明かしませんでした。

■墜落原因不明も…撮影者「撃ち落された」

 煙を出しながら、ジェット機が機体を制御できずにゆらゆらと落下していく。地上では黒い煙が上がっていた。

 辺り一帯が炎に覆われ、機体の一部だろうか、残骸らしきものも激しく燃えている。

 ロシア北西部のトベリ州。23日、ロシアの民間軍事会社「ワグネル」の創設者・プリゴジン氏が所有するビジネスジェット機が墜落したのだ。

 非常事態省によると、ジェット機には乗客乗員合わせて10人が搭乗していて、全員が死亡。ロシア航空輸送庁は、プリゴジン氏が搭乗していたと発表した。

 墜落の様子を撮影していた人はこう話している。

 撮影した人:「撃ち落された。爆音が2回聞こえた。見て見て、落ちていく」

 墜落の原因は分かっていない。

 ロシアメディアは、防空システムによる撃墜や機内で爆発が起こった可能性を指摘している。

直前に反乱後初SNS投稿も…場所や日時不明

 プリゴジン氏は6月の反乱後、目立った行動を避けていたが、21日に反乱後初めてビデオメッセージをSNSに投稿したばかりだった。

 プリゴジン氏:「ワグネル部隊は偵察と捜索活動を行っている。すべての大陸でロシアをさらに偉大にし、アフリカをさらに自由にする。アフリカの人々に正義と幸福を」

 プリゴジン氏は、アフリカにいるとしながらも具体的な国名や撮影日時については、明かしていなかった。

 墜落事故はなぜ起きたのだろうか。

■墜落機から黒煙 ワグネル系SNSに「訃報」

ロシアの首都モスクワの北西約300キロ 自家用機墜落 死亡確認「政敵粛清」

 夏の終わりで日が長い23日夕、ロシア中部トベリ州の集落クジェンキノに自家用ジェット機が墜落した。所有者は民間軍事会社ワグネルの創設者プリゴジン氏。SNSに投稿された現場で撮影したとされる動画は、黒煙を上げる残骸を捉えていた。

各種報道によると、同機は午後5時54分(日本時間同11時54分)、モスクワの「空の玄関口」シェレメチェボ空港を出発。26分後にレーダーから消えた。向かう先はプリゴジン氏が事業の拠点を置く出身地サンクトペテルブルクだった。

主要メディアが惨事を伝えるや否や、同機とされる航空機が青空を真っ逆さまに墜落する動画がインターネットに掲載された。撮影した近隣住民とみられる女性は、ウクライナからの飛来が多発するドローンの撃墜と勘違いした様子で「爆発音が2回聞こえ、落下している」と実況中継した。

ワグネル系列メディアはSNSで、同機は上空でロシア軍の地対空ミサイルによって撃墜されたと主張した。さらに、プリゴジン氏らの死亡はまだ正式に確認されていないにもかかわらず、「訃報」を早々に発表。サンクトペテルブルクの拠点ビルには窓ガラスをライトアップして「十字架」を描いた。

この日はプリゴジン氏所有の別の自家用ジェット機もモスクワ周辺を飛んでおり、消息を巡って情報が交錯。同氏は「アフリカ諸国の一つ」で撮影したとされる動画メッセージを21日にSNSで公表しており、ロシアに帰国したばかりだったという証言もある。

■墜落機搭乗者リストにプリゴジン氏 10人死亡、連絡取れず―ロシア

ロシア当局は23日、中部トベリ州クジェンキノで自家用ジェット機が墜落し、搭乗者リストに民間軍事会社ワグネルの創設者エブゲニー・プリゴジン氏(62)が含まれていると発表した。乗っていた10人全員が死亡したもようだ。プリゴジン氏が実際に搭乗していたかどうかは確認されていないが、ワグネル系列メディアはSNSで、プリゴジン氏の「訃報」を伝えた。爆発物が仕掛けられていたという見方もあり、当局は捜査を開始した。

ジェット機は、モスクワのシェレメチェボ空港から北西部サンクトペテルブルクに向かっていた。墜落原因は不明。地元メディア「フォンタンカ」によると、関係者はプリゴジン氏と連絡が取れなくなっている。同氏の側近ドミトリー・ウトキン氏も一緒にいたという情報がある。

ウクライナ侵攻に協力していたワグネルは前線から撤退後の6月23~24日、武装反乱を起こした。首謀したプリゴジン氏は、プーチン大統領から免責を受けるのと引き換えに、反乱軍と共に隣国ベラルーシに渡ることを約束した。しかし、拠点とするサンクトペテルブルクなどとの間を行き来し、合意を守っていなかった。

反乱を事前に予見していたとされる国際的な調査報道機関ベリングキャットのロシア担当調査員は最近、英紙に対し「6カ月後、プリゴジン氏は死んでいるか、2度目の反乱を起こすかのいずれかだ」と予想。反乱時にプーチン氏が「裏切り者」という強い言葉を使ったことを根拠に挙げ、近くプリゴジン氏の身辺に異変が起きる可能性があると分析していた。

■バイデン米大統領「驚かない」 

プーチン氏主導を示唆―ロシア機墜落 バイデン米大統領は23日、記者団に対し、ロシアの民間軍事会社ワグネルの創設者プリゴジン氏が搭乗機リストに記載されている自家用ジェット機が墜落し、乗員全員が死亡したとの情報に関し、「何が起こったのか、真相に関しては分からないが、驚きはない」と述べた。

バイデン氏は「ロシアで起きることでプーチンが関わっていないことは多くない」と述べ、プーチン大統領が関与していたとの見方を示唆した。ただ、「答えを知るほどには十分に分かっていない」として、詳細には触れなかった。

■プーチン氏周辺で40人が〝怪死〟

オルガルヒ、科学者、軍幹部、官僚…「アブラムシのようにたちまちつぶされる」ロシアのウラジーミル・プーチン大統領周辺で、不審死が相次いでいる。

特に顕著なのが昨年2月のウクライナ侵略開始以降で、オリガルヒ(新興財閥)や科学者、技術者、軍幹部、政治家、官僚ら約40人の死が「事故」や「自殺」として片付けられているという。政敵に暗殺を仕掛けたり重罪を科すなど粛清を強めている。識者は、プーチン政権内の混乱が背景にあると指摘する。

米政府は17日、ロシア反体制派のアレクセイ・ナワリヌイ氏毒殺未遂に関わったとして、ロシア連邦保安局(FSB)の職員4人に対する制裁を発表した。FSBはプーチン氏の出身母体であるソ連国家保安委員会(KGB)の流れをくむ諜報組織だ。

ナワリヌイ氏は2020年8月20日にロシア国内でお茶を飲んだ後、意識を失い救急搬送された。ドイツでの療養を経て21年1月に帰国した際、過去の経済事件で有罪判決を受けながら出頭を怠ったなどとして逮捕され、刑務所で服役。「過激派団体を創設した罪」などで新たに懲役19年の刑を言い渡された。

■「ガスプロム」科学者も

米CNNは、昨年だけで少なくとも13人の実業家が怪死したと報じた。ガスプロムやルクオイルなど石油大手企業の幹部らの遺体が「転落死」や「無理心中」とみられる状況で発見された。露独立系メディア「ノーバヤ・ガゼータ」は、ガスプロムの汚職疑惑について調査報道を展開していた。

航空研究所や造船所の所長、物理学者など科学者、技術者のほか、政界や行政関係者も怪死を遂げている。今年5月には科学・高等教育省のピョートル・クチェレンコ次官がキューバから帰国中の航空機内で体調を崩して死亡した。クチェレンコ氏は死の直前、ジャーナリストの友人との会話でウクライナ侵攻を批判していたという。友人が公開した会話では「抗うつ薬と精神安定剤を同時に飲んでいる。あまり役に立たない」「アブラムシのようにたちまちつぶされる」などと語っていた。

昨年12月には西部ウラジーミル州議員で、富豪としても知られるパベル・アントフ氏らが滞在先のインドのホテルで死亡しているのが見つかった。アントフ氏は「プーチン大統領の支持者だ」と強調していたが、ウクライナ侵略に批判的なメッセージを発信したとみられる。

■国防省幹部が転落死

さらに今年1月には、南部ダゲスタン共和国のナンバー2まで上り詰めたマゴメド・アブドゥラエフ氏が交通事故で死亡。2月にはプーチン氏の盟友とされた国防省幹部が転落死したとされる。

筑波大学の中村逸郎名誉教授は「オリガルヒや反体制派らの不審死は治安当局の関与をにおわせるものも多かったが、政権に近い政治家や官僚の不審死は侵略前はあまりなかった。周辺国が関与した可能性もゼロではないが、プーチン政権内部の権力闘争を反映しているとも考えられる。プーチン氏が政権内のバランスをとるのに苦心しているかもしれない」と分析した。

■クルスクとモスクワ「ドローン空爆」

クルスクとモスクワが夜間に無人機によって攻撃された

クルスクでは、ドローンが駅の屋根に衝突し、屋根が炎上し、窓が吹き飛ばされ、5人が負傷した。

モスクワ市長は、防空部隊がモスクワとその地域上空で「無人機を撃墜した」と述べた。一方、ドモジェドヴォ空港とヴヌーコヴォ空港は「カーペット」計画を再導入し、数十便が再び遅延した。

■ウクライナ軍、クリミア半島で防空ミサイルシステム「S400」を破壊

ウクライナ軍は23日、ロシア軍が実効支配するクリミア半島で、地対空防衛ミサイルシステム「S400」を破壊したと明らかにした。

ウクライナ国防省情報総局によれば、攻撃は現地時間午前10時ごろ、クリミア半島のオレニフカ近郊で行われた。

CNNは「ジオロケーション」と呼ばれる方法で、情報総局が公開した爆発を捉えた動画とクリミア半島の同じ地域とを特定した。

情報総局によれば、爆発によって、S400やミサイル、要員が完全に破壊された。

情報総局は、こうしたシステムはロシア軍でも数が限られており、ロシア軍の防空システムにとって打撃となるとの見方を示した。
2023.08.24 14:09 | 固定リンク | 戦争
中国報道官「核開発や軍事情報などをCIAに提供」
2023.08.21


中国、スパイ疑惑で国家機関職員を捜査 元中国家機関職員、米国に渡りCIAの訓練を受ける 中国の核開発や軍事情報などをCIAに提供

中国国家安全省は21日、米中央情報局(CIA)に情報を提供したスパイ疑惑で中国籍の国家機関職員(39)を捜査していると明らかにした。留学先の日本でCIA工作員からスカウトされたとしている。

同省は約2週間前に、別の中国籍の人物がイタリアでCIA工作員からスカウトされたと発表したばかり。北京と東京の米大使館にコメントを求めたが、回答はない。

同省によると、スパイ疑惑がかけられている人物は名字がHaoで、ビザ(査証)申請の手続きで在日米大使館の「テッド」と名乗る職員と知り合いになり、夕食に招かれたり贈答品を受け取ったという。

テッドは大使館での任期終了前にHaoを「Li Jun」という名の職員に紹介。Haoの留学終了前にLiは自身がCIA工作員であることを明かし、「反逆をけしかけた」という。Haoはスパイ活動に関する契約を結び、訓練を受けて中国に帰国。その後、国家機関で働きながらCIAに情報を提供し、報酬を得ていたとしている。

中国では先月、反スパイ法が施行。国家安全省は今月、スパイ活動から自国を守るためには国民参加型の防衛ライン構築が必要だと表明している。


中国のスパイ疑惑:中国政府は、日本で米国中央情報局(CIA)から勧誘されたとされる国家機関の職員を捜査しています。

この職員は、中国の核開発や軍事情報などをCIAに提供した疑いがあります。

日本の報道:日本の朝日新聞は、このスパイ疑惑に関する詳細な記事を掲載しました。記事によると、この職員は2019年に日本でCIAの工作員と接触し、その後、米国に渡り、CIAの訓練を受けたということです。

中国の反応:中国外務省は、この報道に対して否定的なコメントを出しました。外務省の報道官は、この報道は「根拠のないでっち上げ」であり、「中国の国家安全を損なおうとする陰謀」だと非難しました。

この職員はまだ逮捕されていないようです。国家安全省は21日に捜査を公表しただけで、具体的な容疑や逮捕状況については明らかにしていません。

この職員は日本で米国中央情報局(CIA)から勧誘されたとされ、中国の核開発や軍事情報などをCIAに提供した疑いがあります。

中国では7月に改正反スパイ法が施行され、取り締まりが強化されています。

この法律では、スパイ行為に対する最高刑は死刑となっています。 この職員の運命は不透明です。

■中国政府は、このスパイ疑惑に対して厳しい対応をとっています。以下のような対応をしています。

捜査の公表:国家安全省は21日に、日本で米国中央情報局(CIA)から勧誘されたとされる国家機関の職員を捜査していることを公表しました。 この職員は、中国の核開発や軍事情報などをCIAに提供した疑いがあります。

報道の否定:中国外務省は、日本の朝日新聞がこのスパイ疑惑に関する詳細な記事を掲載したことに対して否定的なコメントを出しました。外務省の報道官は、この報道は「根拠のないでっち上げ」であり、「中国の国家安全を損なおうとする陰謀」だと非難しました。

法律の施行:中国では7月に改正反スパイ法が施行され、取り締まりが強化されています。 この法律では、スパイ行為に対する最高刑は死刑となっています。 この法律は、外国の組織や個人から情報を収集したり、秘密を漏洩したりする行為を禁止しています。

■中国政府は、さまざまな方法でスパイを見つけようとしています。

以下に、いくつかの例を挙げます。

反スパイ法の施行:中国では2023年7月に改正反スパイ法が施行され、スパイ行為の定義が拡大されました。この法律では、外国の組織や個人から情報を収集したり、秘密を漏洩したりする行為を禁止しています。また、スパイ行為に対する最高刑は死刑となっています。

この法律は、中国政府がスパイ活動を厳しく取り締まるための法的根拠となっています。

国家安全省の設立:中国では2015年に国家安全省が設立されました。この省は、国内外の諜報活動やサイバー攻撃などに対抗するための機関です。 国家安全省は、反スパイ法に基づいて、外国人や中国人のスパイ容疑者を捜査・逮捕しています。

盗聴・監視・工作:中国政府は、外国人や中国人の通話やインターネットのやりとりを盗聴したり、ホテルや公共施設などで監視カメラやマイクを仕掛けたりしています。

また、中国政府は、外国人や中国人に接近して友好関係を築き、情報を引き出そうとする工作員も使っています。

これらの方法で、中国政府はスパイ活動の証拠や情報源を探っています。

以上のように、中国政府は多方面からスパイを見つけるために努力しています。しかし、これらの方法は必ずしも正確で公正ではありません。無実の人々がスパイ罪で逮捕されたり、拷問されたりすることもあります。

そのため、中国に渡航する際には言動に注意する必要があります。

■日本でスパイ活動が行われる理由は、以下のようなものが考えられます。

日本の技術力:日本は世界的に高い技術力を持つ国であり、特に5Gやレーダー、人工衛星などの先端技術に関する情報は、他国の軍事や経済にとって有用です。

そのため、中国やロシアなどの国は、日本の企業や研究機関から機密情報を盗み出そうとするスパイを送り込んでいます。

日本の地政学的位置:日本はアジア太平洋地域において、米国の同盟国として重要な役割を果たしています。

そのため、米国との関係や外交・防衛政策に関する情報は、米国に対抗する国にとって興味深いものです。1 また、日本は北朝鮮や中国との間に領土問題や歴史問題などを抱えており、これらの国は日本の内政や世論に影響を与えようとする工作活動を行っています。

日本の法制度の不備:日本にはスパイ防止法という法律がありません。123 そのため、スパイ行為を行ったとしても、不正競争防止法や刑法などの他の法律で処罰するしかありませんが、これらの法律では罰則が軽く、抑止力に欠けます。

また、スパイ行為を行った外国人に対しても、外交特権や外交関係法などの制約があって逮捕・起訴・送還することが困難です。

そのため、日本は他の先進国に比べてスパイ活動がしやすい環境にあると言えます。

日本の法制度の不備:日本にはスパイ防止法という法律がありません。123 そのため、スパイ行為を行ったとしても、不正競争防止法や刑法などの他の法律で処罰するしかありませんが、これらの法律では罰則が軽く、抑止力に欠けます。

また、スパイ行為を行った外国人に対しても、外交特権や外交関係法などの制約があって逮捕・起訴・送還することが困難です。

そのため、日本は他の先進国に比べてスパイ活動がしやすい環境にあると言えます。

日本には、中国やロシア以外からもスパイが来ることがあります。例えば、以下のようなケースがあります。

米国からのスパイ:米国は日本の同盟国ですが、日本の政治や防衛に関する情報を収集するためにスパイを送り込んでいます。 2019年には、米国中央情報局(CIA)の工作員が日本の国家機関の職員を勧誘し、中国の核開発や軍事情報などを提供させた疑いが発覚しました。

韓国からのスパイ:韓国は日本と歴史的に対立しており、日本の内政や世論に影響を与えようとする工作活動を行っています。 2018年には、韓国の諜報機関である国家情報院(NIS)の工作員が日本の政治家やジャーナリストに接近し、反日的な言動を促したり、情報を引き出そうとした疑いが浮上しました。

北朝鮮からのスパイ:北朝鮮は日本と敵対しており、日本の軍事や経済に関する情報を盗み出すためにスパイを送り込んでいます。 2017年には、北朝鮮の工作員が日本で偽装結婚したり、偽造パスポートを使って入国したりしていたことが判明しました。

以上のように、中国やロシア以外からもスパイが来ることがあります。日本は多くの国からスパイ活動の対象となっており、注意が必要です。

■米国や韓国が日本を監視する必要があるのは、主に以下の理由が考えられます。

安全保障上の理由:米国や韓国は、日本と同じく北朝鮮や中国の核・ミサイルなどの脅威に直面しています。

そのため、日本の軍事や防衛に関する情報を収集し、自国の対応策を立てる必要があります。12 また、日本は米国の同盟国であり、韓国は日本と地理的に近い国であるため、朝鮮半島有事などの緊急事態に備えて、日本と協力することも重要です。

そのため、米国や韓国は、日本との情報共有や軍事演習などを通じて、日本を監視しています。

米国や韓国が日本を監視する必要があるのは、主に以下の理由が考えられます:

安全保障上の理由:米国や韓国は、日本と同じく北朝鮮や中国の核・ミサイルなどの脅威に直面しています。

そのため、日本の軍事や防衛に関する情報を収集し、自国の対応策を立てる必要があります。

また、日本は米国の同盟国であり、韓国は日本と地理的に近い国であるため、朝鮮半島有事などの緊急事態に備えて、日本と協力することも重要です。

そのため、米国や韓国は、日本との情報共有や軍事演習などを通じて、日本を監視しています。

以上のように、米国や韓国が日本を監視する必要があるのは、安全保障上の理由と経済上の理由が主なものです。しかし、これらの理由は必ずしも正当化されるものではありません。

日本は自国の主権や利益を守るためにも、米国や韓国からの監視に対して適切な対応をする必要があります。

■日本でも、他国を監視するために様々な手段を用いています。例えば、防衛省は、衛星や偵察機、無人機などを使って、周辺国の軍事動向やミサイル発射などの情報を収集しています。

また、外務省は、在外公館や海外のメディアなどを通じて、他国の政治・経済・社会の状況や日本との関係に影響を与える出来事などを監視しています。さらに、警察庁は、国際テロや組織犯罪などに対抗するために、国際刑事警察機構(ICPO)や各国の警察機関と連携して、情報交換や捜査協力などを行っています。

これらの監視活動は、日本の安全保障や国益を守るために必要なものですが、同時に他国の主権や人権を尊重し、国際法や条約などに基づいて行われるべきです。

また、監視される側としても、自国の情報を適切に管理し、不正な侵入や漏洩などを防止する措置を講じる必要があります。監視という行為は、善悪両面の影響を及ぼす可能性があるため、その目的や方法については常に透明性と責任を持つべきだと思います。

■日本政府は、情報を管理するために以下のような仕組みや方針を設けています。

情報セキュリティ基本方針:政府情報システムのセキュリティ対策に関する基本的な考え方や目標、責任体制などを示した方針です2。政府情報システムのセキュリティレベルの向上や、サイバー攻撃への対応能力の強化などが目指されています。

内閣情報調査室:国内外の特異情報の分析を行い、内閣総理大臣に直接報告する機関です3。最高位の内閣情報官は事務次官級で、日本政府の情報機関を代表する取りまとめの役割を担っています。

内閣サイバーセキュリティセンター:国家レベルでのサイバーセキュリティ戦略の策定や推進、各府省や民間セクターとの連携、サイバー攻撃への対応などを行う機関です4。サイバーセキュリティ基本法に基づいて設置されています。

以上のように、日本政府は情報を管理するために様々な仕組みや方針を設けています。これらは、日本の安全保障や国益を守るために必要なものですが、同時に他国や個人の主権や人権を尊重し、国際法や条約などに基づいて行われるべきです。また、情報管理に関する透明性や責任も重要です。

策定のための体制作り:情報セキュリティ基本方針を策定する責任者や担当者を選出し、情報セキュリティ委員会などの組織を立ち上げます。必要に応じて、外部の専門家やコンサルタントに協力を依頼します。

目的、情報資産の対象範囲、期間、役割分担などの決定:情報セキュリティ基本方針の目的や適用範囲、実施期間、各組織や個人の役割や責任などを明確にします。

策定スケジュールの決定:情報セキュリティ基本方針の策定にかかる時間や工程、進捗管理方法などを決めます。

基本方針の策定:情報セキュリティに関する組織の理念や指針、目標や方針などを記述します。具体的な対策内容は含めません。

情報資産の洗い出し、リスク分析とその対策:守るべき情報資産を洗い出し、その重要度や脆弱性、脅威や影響度などを分析し、必要な対策を選択します。

対策基準と実施内容の策定:情報資産ごとに適用する対策基準と実施内容を具体的に記述します。例えば、アクセス制御や暗号化、バックアップなどの技術的対策や、教育・訓練や監査などの組織的・人的対策などです。

以上のように、情報セキュリティ基本方針は、慎重かつ具体的に策定されています。情報セキュリティ基本方針は、政府情報システムの安全性と信頼性を高めるために重要なものです。
2023.08.21 14:04 | 固定リンク | 速報
クリミア橋攻撃「敗走の露軍そこにクラスター弾・ほぼ全滅」
2023.08.20


クリミアのケルチ橋に複数のミサイル攻撃 敗走のロシア軍そこにクラスター弾ほぼ全滅 ウ軍のへりキラー「Ka52」撃墜

ロシア国防省は12日、ロシアがウクライナから併合したクリミアと、ロシア本土を結ぶ主要交通路のケルチ大橋が、ウクライナのミサイル2発に攻撃されたと発表した。

ロシア国防省は、ウクライナが同日午後1時ごろ、S-200ミサイル2機をケルチ橋へ向けて発射したものの、どちらも迎撃したため、橋に損傷はなかったとしている。S-200は冷戦時代にソヴィエト連邦で開発された誘導型長距離高高度防空ミサイルシステムで、ウクライナが地上戦用に改良したものとみられる。

ソーシャルメディアに投稿された動画では、ケルチ橋の近くで煙が上っている様子が見える。

ウクライナはこの件についてコメントしていない。

ロシア外務省は、「このような野蛮な行為には必ず対応する」と述べた。

ロシアがクリミア知事に任命したセルゲイ・アクショノフ氏は、ケルチ海峡で3発目のミサイルが撃墜されたと述べた。

アクショノフ知事の顧問は、橋の通行は一時停止されたと明らかにした。立ち上った煙は、軍による意図的な「煙幕」だと話した。

これに先立ちロシアは同日、クリミア近くでウクライナのドローン(無人機)20機を撃墜したとしていた。

ウクライナは今回のケルチ橋攻撃や使用兵器について認めていないが、ウクライナが奪還を目指すクリミアをはじめウクライナ南部と、ロシア本土を結ぶ重要な輸送路なだけに、昨年から繰り返しケルチ橋を攻撃している。

ウクライナのニュースサイト「ユーロマイダン・プレス」は7月、改良型S-200ミサイルがケルチ橋のほか、ロシアのロストフ州とブリヤンスク州の軍事拠点を攻撃するために使用されたと伝えた。

7月12日には橋で起きた爆発で2人が死亡し、1人が負傷した。

ウクライナは当時、攻撃したことを認めなかったが、BBCロシア語が取材したウクライナ治安当局の関係者は、攻撃は自分たちによるもので、水上ドローン(無人機)を使ったと話した。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は7月21日、ケルチ大橋は正当な軍事標的だと主張した。ゼレンスキー氏は米コロラド州アスペンで開かれた安全保障関連会議でオンライン演説し、「この戦争の弾薬を届けるのに毎日使われる」大橋を「無効」にする必要があると述べ、ウクライナ政府は大橋を「敵の施設」とみなしていると話していた。

昨年10月に起きた橋の爆発については、当事者はまだ判明していない。当時の監視カメラ映像には、上向きに傾斜する橋の路面を複数の車両が通行する間に、その後ろの片側で巨大な火の玉が発生する様子が映っていた。この爆発の影響でケルチ橋は部分的に閉鎖され、今年2月に全面通行が再開した。

ウクライナ軍は、ロシアが2014年に併合したクリミアをはじめ、2022年2月からの侵攻で制圧した東部や南部の地域を奪還しようと、春から反転攻勢を続けている。夏に入り、ケルチ橋周辺での軍事行動が歴然として頻度を増した。

ゼレンスキー大統領は6月下旬の時点で、反攻の進展が「望んだより遅い」とBBCに対して認めていた。ロシア軍が20万平方キロメートルのウクライナ領土に地雷を仕掛けて守りを固めているため、進軍は容易ではないと、ゼレンスキー氏は話していた。

ロシア政府は、首都モスクワのクレムリン(大統領府)や政府省庁の入る高層ビル群への相次ぐドローン攻撃も、ウクライナによるものと非難している。

モスクワへのドローン攻撃についてウクライナは自分たちによるものと認めていないものの、最初の高層ビル攻撃をロシアが発表すると、ゼレンスキー大統領は「戦争は徐々にロシア領に戻りつつある。ロシアにとって象徴的な中心地や軍の基地へ。これは不可避で自然で、まったく公平なプロセスだ」と発言している。

他方、ロシアはウクライナの民間施設への攻撃を続けている。ウクライナによると、今月5日には北東部ハルキウ州の輸血センターを破壊。南部ザポリッジャでも民間インフラの攻撃が続いているという。

■ウ軍スウェーデン製ミサイルで「露軍Ka52へり」撃墜

ウクライナ軍の旅団が6月4日夜にウクライナ南部と東部で待望の反攻作戦を開始したとき、ロシア空軍のヘリコプターが待ち構えていた。

ウクライナ軍は首都キーウなど主要都市周辺に防空網を集中させていたため、前線の旅団は上空からの攻撃にさらされることになった。ロシア軍はウクライナの計画の弱点を突いた。

それから10週間後、ウクライナ軍は反抗を率いる旅団の上空へと防空範囲を拡大したようだ。ウクライナ軍は8月17日、ロシア軍の攻撃ヘリ2機を撃墜した。

この撃墜はウクライナ軍第47独立機械化旅団にとっては特に喜びだった。同旅団は南部ザポリージャ州マラトクマチカの南方で6月8日夜に攻勢をかけた際、ロシア軍ヘリからの攻撃で大損害を受けた。

同旅団と、ともに戦っている第33独立機械化旅団は地雷や大砲に見舞われ、空からも攻撃を受けた。その夜、レオパルト2A6戦車やレオパルト2R地雷除去車、M2ブラッドレー歩兵戦闘車など優れた戦闘車両を少なくとも20両超失った。

ウクライナ軍は最終的にマラトクマチカに広がる地雷原を回避する方法を見つけ、6月8日に放棄した車両の多くを回収。これらの車両は修理されたと思われる。第47旅団と第33旅団の戦隊は数キロ南下し、最終的にロボティネに到達した。ロボティネは約72km南のメリトポリにのびるルート上に位置し、ロシア軍の拠点が置かれている。

第47旅団がロシア軍の攻撃ヘリKa52に報復したのは、ロボティネのロシア軍陣地のすぐ北の場所だった。Ka52の多くはロシアが占領している港湾都市ベルジャンスクを拠点としている。

第47旅団はスウェーデン製のサーブRBS70レーザー誘導ミサイルを発射してKa52を撃墜。ヘリの乗員2人のうち1人が死亡したと報じられた。同日、別の部隊も東部バフムート周辺でKa-52を撃墜した。

この2機の撃墜で、ロシアが18カ月におよぶウクライナとの戦争で失ったKa52の数は少なくとも計41機になった。ロシアの航空機メーカー、カモフがロシア空軍向けに製造したKa52のおよそ3分の1にあたる。

■ロシア軍が前線上空の制空権を失う可能性

Ka52は過酷な戦争を経験してきた。高度なVikhr(ヴィーフリ)対戦車ミサイルを使用するために、Ka52の乗員は数秒間、地上から数百百メートル弱ほどのところでホバリングしなければならない。攻撃を受けやすくなるその数秒間、Ka52の乗員は搭載の通信妨害装置で身を守る。

Ka52はレーザーや赤外線で誘導されるミサイルには対抗できるが、レーダー誘導ミサイルには対抗できない。そのためKa52は、レーダーを妨害する装置を搭載しているより重量のあるミルMi28と編隊を組んで飛ぶことが多い。

だが、この策が常に機能するとは限らない。特にRBS70に対してはそうだ。重量約86キロの2人で操作するこの防空システムは、超音速ミサイルを最大約9キロ先まで飛ばす。Vikhrの射程距離とほぼ同じだ。

RBS70は主にレーザーで誘導されるが、レーザーが偽装されても機能する。「地上のオペレーターは発射後いつでも手動で操作することができ、それにより目標地点を変更することができる」と開発元のサーブは説明している。

ロシア軍は41機のKa52に加えて少なくとも60機のヘリと74機超の固定翼機を失ってなお、前線上空をほぼ支配している。

ウクライナ軍の反攻に少しでも貢献し、生き残るためには、同軍のヘリはとんでもなく低空飛行しなければならない。一方、同軍の戦闘機は遠くから攻撃を仕かけ、西側製のさまざまな精密ミサイルや滑空爆弾を発射している。

最も激しい地上戦の真上に攻撃ヘリや戦闘爆撃機を自在に配備できるのはロシア空軍だけだ。

だがそれは今のところは、だ。ウクライナ軍のすべての旅団が、第47旅団のようにミサイル部隊を前方に配置することができれば、ロシア軍は最終的に前線上空の制空権を失う可能性がある。

■ウクライナ軍のM-55S戦車、想定外の激戦で奮闘

ウクライナ軍はロシアの占領軍に対する反転攻勢の準備を進めていた時期に、西側の支援国から寄付された重装備の大半を、新たに編制した旅団に配備した。

なかでも、陸軍の第47機械化旅団は多数の戦闘車両を与えられた。米国製M2歩兵戦闘車(IFV)90両のほか、フィンランドから供与されたレオパルト2R重地雷処理車全6両、スロベニアから供与されたM-55S戦車全28両などである。

第47機械化旅団はこの春、これら新しい車両の訓練に多くの時間を費やしていた。だが不可解なことに、ウクライナ軍が待望の反攻を6月上旬に始める少し前、第47機械化旅団が南部のザポリージャ州に展開したときには、M-55Sは同伴していなかった。

ただ今では、M-55Sの配備先ははっきりしている。それは、ロシア軍の占領下にある東部ルハンスク州西部の都市クレミンナのすぐ西側。運用しているのは、ウクライナ陸軍の別の新たな旅団、第67機械化旅団だ。

M-55Sはこの旅団に属する比較的規模の小さい大隊に配備され、同じ旅団の通常規模の戦車大隊に配備されているT-72戦車とともに戦っている。

証拠は徐々に積み上がっていた。7月12日、第67機械化旅団の医療要員として従軍しているアリーナ・ミハイロワは、クレミンナの西にある樹林帯の中に停められたM-55Sの写真を撮っている。数日後、M-55S1両がロシア軍の砲弾を食らい、イスラエル製の光学機器を破壊されている。クレミンナ郊外の所在地を監視で特定されたうえでの攻撃だった。

さらに7月22日ごろ、やはりクレミンナ郊外で別のM-55にロシア軍の砲弾が直撃し、大破している。

第47機械化旅団が、保有する唯一の戦車だったM-55Sを第67機械化旅団に譲った理由はよくわからない。M-55Sは旧ソ連のT-55戦車を大幅に改修し、英国製105mm砲などを搭載したものだが、ウクライナ軍参謀本部は、第47機械化旅団が南部トクマクの攻勢軸で持ちこたえてきたような戦闘に投入するには脆弱すぎると懸念したのかもしれない。

重量36トン、乗員4名のM-55Sは、たしかに爆発反応装甲(ERA)を何重にも備えてはいる。しかし、その下の鋼鉄は最も厚いところでもせいぜい数百mmしかない。現在の水準から見れば非常に心もとない防護だ。

ある意味、ウクライナ軍指導部の判断は正しかった。第47機械化旅団は南部の戦線で、ポルトガルとドイツから供与されたレオパルト2A6戦車21両をすべて運用する第33機械化旅団と組んでいる。重量69トンのレオパルト2A6は、場所によってはなんと1400mmの鋼鉄に匹敵する防御力を持つ。にもかかわらず、運用する大隊はすでにレオパルト2A6を少なくとも2両失っており、さらに9両が損傷を受けている。

もっとも、軍指導部がM-55Sを最も激しい戦闘にはさらしたくないと考えたのだとすれば、結果として大きな誤算になった。というのも、ロシア軍がウクライナ軍の反攻に対する反攻のために、使用できる最良の戦力を集中させることにしたのは、ほかならぬクレミンナの西方だったからだ。ロシア軍がここでの反・反攻によって、ウクライナ軍がはるか南で進める反攻作戦を頓挫させようという目論見なのは明らかだ。

ロシア軍はこれまでに、クレミンナの西へ数km前進している。それでも、M-55Sを擁する第67機械化旅団やスウェーデン製の最新鋭車両を装備する第21機械化旅団はロシア軍の大きな前進を食い止めている。反攻頓挫の試みを頓挫させているのだ。

ウクライナ軍は、M-55Sの戦車大隊がロシア軍の最良の部隊と直接衝突するのを避けようとしたのかもしれない。もしそうだったとすれば皮肉だが、結果としてこの大隊はロシア軍の最良の部隊と相まみえることになった。

■ロシア兵がウロジャイネから敗走、そこにクラスター弾

ウクライナ東部ドネツク州南部の集落、ウロジャイネを防衛するロシア軍守備隊の敗北はほぼ必至だった。南北に並行して走る3本の道路沿いに数百の建物が並ぶこの集落に対し、6月上旬以来、ウクライナ海兵隊の全4個旅団を含む強力な師団規模のウクライナ軍は波状的な強襲をかけながら前進し、側面から攻撃を加えてきたからだ。

ウロジャイネからずっと南下していくと、黒海に面しロシア軍の占領下にある港湾都市マリウポリに出る。ウロジャイネは、このライン上に数珠状に連なるロシア軍の重要な拠点の1つだ。ウクライナ軍はウロジャイネの東側と西側から前進し、第37自動車化狙撃旅団を含むロシア軍守備隊をじりじりと追い詰めてきた。そして、ロシア軍守備隊に残されたウロジャイネからの退路はとうとう1本だけになった。南側に隣接するサビトネ・バジャンニャ、スタロムリニウカ両集落に抜けるT0518という道路だ。

「ウロジャイネの奪還は時間の問題だった」と独立した調査組織コンフリクト・インテリジェンス・チーム(CIT)は書いている。消耗したロシア軍守備隊は12日か13日、全面撤退もしくは部分撤退を余儀なくされることになった。ロシア兵らはT0518道路とそれに隣接する草地を白昼堂々、徒歩で退却した。

ウクライナ軍のドローンはその様子を上空から監視していた。そして砲兵部隊が照準を合わせた。あたりは血の海になった。

ウクライナ国防省が13日に公開した2本のドローン映像には、ロシア兵数十人が道路を走る様子が映っている。1本目の動画では榴弾(りゅうだん)が炸裂し、兵士らが地面に吹き飛ばされる。2本目の動画では、対人・対装甲用クラスター弾DPICM(二重用途改良型通常弾)が撃ち込まれ、退却するロシア兵の上に子弾がばらまかれる。

ロシア軍は、2022年2月にウクライナに全面侵攻した当初からクラスター弾を使用してきた。ウクライナ軍は2022年末にトルコ製クラスター弾を入手し、先ごろ北大西洋条約機構(NATO)式の155ミリ榴弾砲用に米国製M483A1型DPICMも手に入れた。

重量約47キログラムのM483A1は空中で破裂して子弾が放出される。子弾が撒かれる範囲は破裂時の高度で変わってくるが、フットボール場より広くなることもある。米陸軍の野戦教範(フィールドマニュアル)によれば、各子弾は「2.5インチ(約6.3センチメートル)超の均質圧延装甲を貫通し、(あるいは)人員を無力化できる」

つまり米国製DPICMは装甲車両にとっても危険なものであり、無防備な歩兵にとっては致死的なものになる。ウロジャイネやそこからの脱出路で何人のロシア兵が死亡したかは不明だ。数十人かもしれないし、数百人にのぼるかもしれない。いずれにせよ、ウロジャイネに現在、生存しているロシア兵がいるとすれば、それはウクライナ側の捕虜になった者だけである可能性が高い。

これには異論もある。ウクライナ側、ロシア側どちらのウォッチャーの中にもウクライナ軍がウロジャイネを解放したとみる向きがある一方、米首都ワシントンにあるシンクタンク、戦争研究所(ISW)は13日の戦況分析でこう注意を促している。「ISWはロシア軍がウロジャイネから完全に撤退したという確証を得ていない。ロシア軍は現在、少なくともこの集落の南部に陣地を保持している可能性が高い」

とはいえ、ウロジャイネ南部の陣地になお少数のロシア兵が残っていようがいまいが、この集落をめぐる戦いが近々どういう結果になるかについては争いの余地がない。ロシア側ではすでに責任の所在探しが始まっている。「ロシアの情報スペースではウロジャイネでのウクライナの前進を機に、この区域でのロシア側の士気の低さや指揮上の課題が強調されている」とISWは指摘している。

ロシアのある軍事ブロガーは、歩兵を支援する戦車を送らなかったとして第37自動車化狙撃旅団をやり玉に挙げ、旅団の部隊は酔っ払っていたとも主張している。別の軍事ブロガーは、ウクライナ南部に展開しているロシア軍の旅団や連隊の多くを統括する第58諸兵科連合軍の司令官を解任したのはロシア政府の失策だったと難じている。

ウロジャイネやその周辺で死亡したロシア兵にとっては誰に責任があろうがもはや関係ない。第58諸兵科連合軍や第37自動車化狙撃旅団、ロシア政府にはほどなくして、防御陣地を保持できると証明する新たな機会が与えられるだろう。ウクライナ軍がウロジャイネを解放すれば(まだ解放していないとしての話だが)、次に狙うのは必然的にサビトネ・バジャンニャとスタロムリニウカになる。マリウポリへの途上にあるロシア軍の次の拠点だ。
2023.08.20 19:00 | 固定リンク | 戦争
DiDi(滴滴)が中国共産党の規制により最終赤字1兆円(500億元)
2023.08.19


■中国の配車アプリ最大手「滴滴出行(ディディ)」の2023年の財務状況 2023年12月期決算は最終損益が500億元(約1兆円)の赤字

滴滴出行は2023年1〜3月期決算(未監査)を発表しました。売上高は前年同期比19.1%増の427億元(約8400億円)、株主に帰属する純損失は前年同期の163億元(約3200億円)から12億元(約240億円)に縮小しました。

しかし、2023年12月期決算は最終損益が500億元(約1兆円)の赤字となり、前の期の5倍近くに拡大しました。

中国当局の規制強化などで運営コストが増加したことが原因とみられます。

滴滴出行は2022年6月に米国で上場しましたが、その直後に中国政府から個人情報保護や国家安全保障に関する調査を受けました。その結果、中国国内で新規ユーザー登録が停止されたほか、アプリストアから削除されるなどの影響を受けました。

滴滴出行は債務不履行に陥っているという報道は見当たりませんでしたが、上場後の株価下落や規制強化により、資金繰りや事業展開に困難が生じている可能性があります。

■DiDi(滴滴)が中国共産党の規制により最終赤字1兆円(500億元)になったということです。

売上高は23%増の1,738億元ということですから、3.5兆円程度です。主力の中国事業が20%増と全体を押し上げた、いわゆるウーバー的な配車サービスだけでなく、デリバリーサービスにもビジネスを展開しているということです。

これだけ伸びているのに、大幅減益の理由は、ここで働いている人への待遇改善などを実施した結果ということですが、それにしてもこれだけの赤字の説明にはなりません。

働いている人の待遇改善はもちろん必要ですが、ニューヨークの上場も取りやめ、23%増収でこんな赤字を出さなければならない事業は本当に継続できるのか、経済への影響は本当に吸収可能なのか、おおきなお世話ですが、心配になってきます。

■中国政府が滴滴出行に規制強化した理由は、主に以下の二つです。

滴滴出行が違法に個人情報を収集していたという疑いがあったこと。中国政府はインターネット安全法に基づいて、滴滴出行のアプリを新規ダウンロードや登録を停止させました。

滴滴出行は人々の移動に関する個人情報を最も詳細に把握しているIT企業であり、国家のデータ安全に関する管理はより厳格に行われるべきだという見方がありました。

滴滴出行が米国で上場したことで、中国のデータが外国に流出する可能性があったこと。中国政府は米国との対立を深めており、米国の証券取引委員会(SEC)が中国企業の監査資料の開示を求めていることにも警戒していました。

滴滴出行の最大株主はソフトバンク・ビジョン・ファンドで、2位はアメリカのUberでした。

■中国では、データ流出を防ぐために、個人情報保護法やサイバーセキュリティ法などの法制度を整備しています。

個人情報保護法は2021年11月1日から施行され、個人情報の収集、処理、共有、転送などに関するルールを定めています。サイバーセキュリティ法は2017年6月から施行され、重要なデータは国内に保存することや、海外へのデータ転送には政府の承認が必要であることなどを規定しています。

また、企業や研究機関も自主的にデータ流出を防ぐ対策を講じています。例えば、従業員に対して情報管理の教育や監査を行ったり、機密情報へのアクセス権限を制限したり、データの暗号化やバックアップを行ったりしています。

さらに、従業員との雇用契約において、情報漏洩の禁止や罰則を明記したり、退職時に機密情報の返還や削除を確認したりしています。

■中国の個人情報保護法は

2021年11月1日に施行された、中国で個人情報の保護を包括的に規定する初めての法律です。この法律は、個人情報の定義、取り扱いの適法性、本人への情報提供、委託先の管理・監督、共同利用、越境移転、本人の権利、保護措置、監査およびインシデント報告、DPO(データ保護責任者)の任命、代表者の設置、個人情報保護影響評価などについて規定しています。

この法律は、中国国内で個人情報を取り扱う企業だけでなく、中国国外で個人情報を取り扱う企業も対象としています。特に、中国国内の個人に対して商品またはサービスを提供することを目的とする場合や、中国国内の個人の行為を分析、評価することを目的とする場合は、この法律が適用されます。

この法律に違反した場合は、最大で5,000万元(約80億円)または前年度売上高の5%の罰金が科されるだけではなく、事業の停止や事業許可の取り消しが命じられる場合もあります。また、企業だけでなくその責任者に対しても罰則が科される可能性があります。

■中国2位に浮上のネット配車「T3出行」、約200億円を調達 王者DiDiの牙城を揺るがす

中国オンライン配車最大手の「滴滴出行(DiDi Chuxing)」は今年1月までの約1年半にわたり、サイバーセキュリティに関する法律に違反した疑いで当局の調査を受けていた。調査期間中、同社が新規ユーザーの登録を停止していた間隙を突き、競合他社が事業を拡大し、勢いを増した。

当局の審査終了、中国配車最大手「DiDi」 1年半ぶり新規登録再開が意味するもの

そのうちの1社、「T3出行(T3 Mobility)」がこのほど、シリーズA+で洪泰基金(Hongtai Aplus)などから10億元(約200億円)超を調達した。同社は現在、プレIPO(新規株式公開)の資金調達を進めているという。香港市場や上海・深圳のA株市場への上場を計画しているとみられる。

T3出行は、2019年4月に自動車大手の「中国第一汽車集団(FAW Group)」「東風汽車集団(Dongfeng Motor)」「長安汽車(Changan Automobile)」が共同設立したオンライン配車プラットフォームで、本社を南京市に置く。21年10月に実施したシリーズAでは、中信集団(CITIC Group)やアリババグループ、テンセントなどから77億元(約1500億円)を調達した。中国のオンライン配車企業が2018年以降に実施した資金調達としては最高額だった。

アリババ支援のネット配車「T3出行」が1360億円調達 近年業界最高額

T3出行は23年6月、設立後4年間の実績を披露した。現在は、中国118都市で事業を展開しており、1日当たりの配車件数は300万件余り、登録ユーザー数は累計2億人を突破、登録ドライバー数は110万人を超えているという。22年の累計配車件数の伸び率は業界トップ、市場シェアは2位だった。

*2023年8月12日のレート(1元=約20円)で計算しています。

■自由がある国と自由がない国の経済活動とは

一般的には自由がある国の方が経済成長率や所得水準が高く、貧困や不平等が低い傾向があります。これは、自由がある国では市場経済や民主政治が発展し、個人や企業の権利や自由が保障されることで、イノベーションや競争力が高まり、社会的な安定や公正さが促進されるからです。

一方、自由がない国では計画経済や権威主義政治が支配し、個人や企業の権利や自由が制限されることで、イノベーションや競争力が低下し、社会的な不安や不公平が増大することが多いです。

また、自由がない国では政府の介入や腐敗が激しく、資源の効率的な配分や環境保護にも支障をきたすことがあります。

例えば、世界の自由度指数3で自由と評価された国々の平均GDP成長率は2019年に3.0%でしたが、自由がないと評価された国々の平均GDP成長率は1.4%にとどまりました。

また、世界銀行のデータによると、2019年に自由と評価された国々の平均一人当たりGDPは約4万ドルでしたが、自由がないと評価された国々の平均一人当たりGDPは約1万ドル以下でした。

さらに、2018年に自由と評価された国々の平均ジニ係数(所得格差を表す指標)は32.6でしたが、自由がないと評価された国々の平均ジニ係数は38.7でした。

■国内需要と外需のバランス

中国は2020年から2021年にかけて、世界的な需要回復やサプライチェーンの優位性によって、輸出入が急速に拡大しました。

特に半導体や医療品などの高付加価値製品やオンラインサービスなどの新興分野で競争力を高めました。

しかし、2022年に入ってからは、世界的な感染再拡大や物流混乱、資源価格高騰などの要因により、輸出入の伸び率が減速しています。

特に米国との貿易摩擦や欧州連合(EU)との投資協定(CAI)交渉の停滞など、国際関係の緊張も外需に影響を与えています。

一方、国内需要は感染症の影響や不動産規制などの要因により、消費や投資が低迷しています34。特に不動産市場の低迷は、建設業や金融業など関連する業種にも波及し、経済全体に悪影響を及ぼしています。

今後は、国内需要を拡大するために、消費の回復やインフラ投資の促進などの政策が重要になります。

特に消費者の信頼感や発展への確信を高めることが必要です。

■構造改革とイノベーション

中国は2020年から2021年にかけて、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて加速されたデジタル化や在宅需要に対応するために、イノベーション駆動による発展戦略を推進しました。

特に情報通信・情報技術サービスや医薬品などのハイテク分野では、生産や投資が高い伸びを示し、新たな経済成長の原動力となりました。

また、企業や研究機関も自主的にイノベーションを行い、特許出願数や科学論文数などで世界トップレベルに達しました。

しかし、イノベーションを促進するためには、市場経済や民主政治などの制度的な基盤が必要です。中国では、政府の介入や腐敗が激しく、知的財産権や法治などの保障が不十分であることが、イノベーションの障害となっています。

今後は、市場の競争力や公正さを高めるために、国有企業改革や金融改革などの構造改革が必要です。また、人材育成や国際協力などの方策も重要です。
2023.08.19 09:01 | 固定リンク | 経済
ビッグモーター新社長、副社長ら聴取
2023.08.16
ビッグモーター新社長、副社長ら聴取 保険金不正請求問題で国交省 整備工場に立ち入り検査、最終的に行政処分も

ビッグモーターによる自動車保険の保険金不正請求問題で、国土交通省は26日、同社への聴取を実施する。社内調査では、少なくとも1275件の不正が見つかった。国交省は同社から詳細を確認し、一連の不正が道路運送車両法違反に当たるかどうかを調べる。

同社によると、聴取には和泉伸二社長や石橋光国副社長(いずれも26日付で就任)らが出席するという。直前で退任した兼重宏行前社長と長男の宏一前副社長の出席は不透明。6月に外部弁護士がまとめた調査報告書では、従業員が故意に車体を傷つけて修理代を水増し請求していたとされている。

聴取で法令違反の疑いが強まれば、ビッグモーターの整備工場に立ち入り検査する方針。最終的に各地の運輸局が工場を行政処分する可能性がある。

■出向の保険会社の責任は

「ビッグモーター」監督官庁がメス 出向の保険会社の責任は 第三者機関による調査も浮上、対象は数十万台規模か

自動車保険の保険金不正請求問題が発覚した中古車販売大手「ビッグモーター」に対し、監督官庁が本格的な調査に乗り出している。国土交通省は26日にも、同社側から聞き取り調査を行う方針を固めた。同省関係者への取材で判明した。斉藤鉄夫国土交通相は21日の閣議後記者会見で、ヒアリングを「国交省内で近日中に実施する」と述べていた。道路運送車両法に違反する疑いがあると認められれば、事業場への立ち入り検査なども検討する。

金融庁はすでに、ビッグモーターの保険代理店としての業務実態を調査している。不正横行期間中、ビッグモーターに出向者を出していた損害保険大手の責任の有無も調査の焦点となる。

ビッグモーターに対する第三者機関による調査も浮上している。社内調査では踏み込み不足になると懸念した損害保険会社が要求した。対象は数十万台規模に膨らむ可能性がある。

■ビッグモーター保険金不正請求

ビッグモーター保険金不正請求 車所有者への器物損壊・保険会社への詐欺で立件も 止めるべき経営陣「黙認なら共犯に」

「買い取り台数日本一」をうたう中古車販売大手ビッグモーターによる自動車保険の保険金不正請求問題が大きな衝撃を与えている。車両を故意に傷つけ、損害保険会社に修理代を水増し請求する不正行為が全国の工場であったと外部弁護士による調査報告書が認定したが、経営陣や従業員らは刑事や民事でどんな責任を問われる可能性があるのか。専門家に聞いた。

調査報告書では、経営陣は工場に対し、修理による収益として1台当たり14万円前後のノルマを課していたとされている。案件は「@(アット)」の隠語で呼ばれ、工場長同士の情報交換によって、靴下にゴルフボールを入れて車両にぶつけたり、工具のドライバーでひっかくなどさまざまな手口の不正が広まったという。

元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士によると、刑事責任では、車を損傷させたことで器物損壊罪(3年以下の懲役または30万円以下の罰金もしくは科料)に加え、詐欺罪(10年以下の懲役)に問われる可能性があるという。「車両を自ら壊しているにもかかわらず、客による損傷を装って保険会社に請求し、保険金が支払われることで詐欺罪が成立する。器物損壊の被害者は車の所有者だが、詐欺の被害者は、直接お金を出している保険会社になるだろう」と解説する。

責任が及ぶ範囲として若狭氏は、「直接の不正行為をした従業員のほか、指示をしていた上司も責任が問われる可能性がある。経営陣も止めるべき立場にありながら黙認していれば、共犯になりうる」と語る。

損害賠償など民事についてはどうか。若狭氏は「保険会社側が水増しされた分の保険料の返金を請求するだろう。車の所有者個人については『騙された』という点で慰謝料を請求できる余地もあるが、認められたとしても1人あたり5万~10万円程度ではないか」との見方を示す。

一方、高橋裕樹弁護士は「保険額を超えた修理代を個人が負担していた場合は請求できるが、ビッグモーターの従業員による損傷かどうかを見分けることは簡単ではない。損傷によって車の価値が目減りする『格落ち』について損賠請求も可能だが、高級車でない限り、認められないことも多い。認められたとしても、1台当たり高くて10万~数十万円前後で、物損の場合、慰謝料も発生しないため、訴訟費用の割に合わないのが現実だ」と指摘した。

■ビッグモーターが開けた「パンドラの箱」

ビッグモーター問題が開けた車体整備業界の「パンドラの箱」 背景に理不尽押しつける損保会社と指定工場の力関係

「ビッグモーターの保険金不正請求問題に関して言えば、それは絶対に許すことのできない問題であることは間違いない。しかしそうした不正行為に手を染めていたのは、果たしてビッグモーターだけだったのか。もしかするとビッグモーターの一件が発覚したことによって、車体整備業界のパンドラの箱が開いてしまったようにも思える」

東京都内で自動車整備工場を経営する、ベテラン修理工がこう言ってみせる。

このベテラン修理工の言う、業界の「パンドラの箱」とは一体どのようなものなのだろうか。

「われわれの業界には、『ダイレクト・リペア・プログラム(DRP)』と呼称される仕組みがあります。このDRPとは、損保会社が自動車ユーザーに対して整備工場を直接紹介する仕組みのことを指します。その具体的な内容を一言で言ってしまえば、損保会社は整備事業者に対してお客を紹介する代わりに、修理に要した費用から一定額を差し引いた金額を、損保会社に請求する、というものです」(前述のベテラン修理工)

そして改めて指摘するまでもなく、損保会社の整備事業者への支払いは、保険金によって賄われることとなる。

それぞれの整備事業者が設定している工賃(時間当たりの対応単価)を、車体整備業界では「レバーレート」と呼んでいるが、DRPの仕組みが適用されると、その決定権は損保会社が握るのだという。

「整備事業者は損保から仕事を割り振られるのを待つ身ですから、立場的には損保会社のほうが圧倒的に上になってしまいます。従ってレバーレートも損保会社サイドに有利になるように設定されてしまうことが常です」(前述同)

しかもだ、そこからオートマチックに一定割合で値引きさせられてしまうのだ。

「細かい仕事の場合、その時点で赤字になってしまうこともあります。しかし整備事業者に課せられる負担は、それだけではないのです。事故車や故障車の回収や納車、はたまた代車の費用についてもDRPでは無料、つまり損保会社にはわれわれは請求できないことになっているのです」(別の整備事業者)

しかし、損保会社からのそうした理不尽な要求を飲んで指定工場にならないことには、なかなか仕事にありつくことができないという。要求を断って適正価格で仕事をしようとしたならば、その仕事は他の業者に回されてしまうだけなのだ。

つまり今回のビッグモーターが手を染めてしまった保険金不正請求問題の背景には、前述してきたような車体整備業界の暗部が見え隠れしていると言っていいだろう。

もちろんビッグモーターがやったことは、場合によっては保険金詐欺とされてもおかしくない行為だ。絶対に許されるものではない。

■金融庁が保険契約捏造で報告命令

ビッグモーター、求人「年収5千万」の裏ではびこる不正の温床 追及本格化、金融庁が保険契約捏造で報告命令

泣く子も黙る金融庁が、中古車販売大手ビッグモーター問題の追及に本腰を入れる。自動車保険の水増し請求疑惑に続き、保険代理店としての立場を悪用し、虚偽の自動車保険契約を結んでいた疑いも浮上、保険業法違反の恐れがあるとして実態を調べる。

金融庁は31日にも同社に報告徴求命令を出す。関東財務局も既に同社役員を呼んで任意の聴取を行っており、問題が認められれば業務改善命令などの処分を行う。一定期間の業務停止や保険代理店の登録取り消しといった厳しい措置に踏み切る可能性もある。

関係者の話を総合すると、個人が所有していない車両を対象とした保険契約が昨年、福井県の店舗で複数確認され、捏造に当たると判断された。対象車両は車検証がある展示車両などが考えられる。

これまでのところ契約者自体が架空だった事案は確認されておらず、契約件数や手数料収入のノルマがあったかどうかは分かっていないが、従業員が保険料を自己負担した可能性がある。

報告徴求命令は、金融機関や金融商品取引業者による不正な取引などの恐れが生じた場合、金融庁が業務や財務の状況に関する報告や資料の提出を命じるもので、今回は損保7社も対象となっている。

28日には国土交通省が道路運送車両法違反の疑いで同社の店舗を立ち入り検査した。

求人サイトでは「営業職の平均年収1109万円、最高年収5040万円」など好待遇を強調していた同社だが、その裏に不正もいとわぬ体質がはびこっていた疑いが強まっている。

帝国データバンクの調べでは、同社は2022年度の中古車販売市場でシェア15%と業界最大手。帝国データは「消費者の不信感などから中古車需要の減少など風評悪化による影響が懸念される」としており、中古車市場全体への打撃になりかねないと指摘している。

■兼重社長辞任も「院政」確実 

本気度足りないグダグダ会見、強気発言連発も最後はトーンダウン

中古車販売大手ビッグモーターが25日、自動車保険の保険金不正請求問題の発覚後、初めて記者会見を開き、兼重宏行社長(71)と長男の宏一副社長(35)が辞任すると発表した。兼重氏は一連の不正行為を謝罪した一方、長時間の質疑で強気な顔をのぞかせる場面もあり、識者からは「なぜこんな会見になったのか」と疑問の声も上がった。兼重父子は辞任後も「院政」を敷く可能性が高く、同社が変われるのかは不透明だ。

100人を超える報道陣が詰めかけた会見場に現れた兼重氏は「私の責任だと極めて重く受け止めており、深く反省をしています」と謝罪。和泉伸二専務(54)=26日付で新社長に就任=らとともに深く頭を下げた。

ところが兼重氏の言葉は質疑応答の1問目から脱線した。ゴルフボールで故意に車に傷をつけて保険金を水増し請求していたことについて、「衝撃的で許せない。ゴルフを愛する人に対する冒涜(ぼうとく)ですよ! 事実関係が分かり次第、(関与した社員らの)刑事告訴を含む厳正な対処をしたい」と声を荒らげた。

兼重氏は、短期間で約1000人の退職者が出たと報じられたことには「辞めた人間の数は数えたことはない」とし、「不正を働いた人間はそれなりの償いをしてもらいたい」と強気の言葉を連発した。報道陣からは「経営トップとして被害者側に立っているのか加害者側に立っているのか」との質問も上がった。

展示した自動車が見やすいように店舗前の街路樹に除草剤がまかれていたのではとネット上で話題になっていることには「環境整備で…」と口にしかけて、隣の役員が慌てて割って入る一幕もあった。さらに、元社員のユーチューバーらが不正を生んだ企業風土を告発していることには「自分の胸に手を当てて考えて」と反省を促して〝再炎上〟した。会見に姿を見せなかった長男の宏一氏が降格人事を繰り返していたパワハラ疑惑については「行き過ぎがあったのかも」と話すにとどめた。

「組織ぐるみではない。天地神明に誓って不正は知らなかった」と否定した兼重氏は、会見冒頭で述べた刑事告訴について「そこまでする必要はない」とトーンダウンして2時間超の会見を終えた。

雑誌「経済界」編集局長の関慎夫氏は「準備期間があったにもかかわらず、なぜこんな会見になったのか」と話す。兼重父子は〝完全退陣〟だと強調されたが、オーナーであることに変わりはない。「いくら身を引くといっても、消費者はそのようには見ない。このような対応をしていたら会社の存続そのものが危うくなるのではないか。本気でというには物足りない会見だった」と述べた。

■保険金不正請求で批判止まらず

ビッグモーター、保険金不正請求で批判止まらず…「非常にショッキング」「常識を超えている」 修理の新規受付停止

自動車保険の保険金不正請求問題が発覚した中古車販売大手ビッグモーターに対する批判が止まらない。経団連の十倉雅和会長(住友化学会長)は21日、「あってはならない話で、詐欺だ。非常にショッキングな事件だ」と批判した。同社に対しては、副会長で東京海上ホールディングス会長の永野毅氏も「われわれのビジネスの常識を超えている」と述べており、驚愕(きょうがく)の不祥事発覚の余波が続いている。

一方、ビッグモーターが、事故などによって持ち込まれる車両修理の新規受け付けを停止したことが21日、同社関係者への取材で分かった。自動車保険の保険金不正請求が横行した問題への対応に専念するためで、ビッグモーター幹部が21日、店長クラスの従業員に対してLINEで通知した。

通知によると、修理の受け付け停止で工場などの作業が減ると見込まれることについて「今しばらくこの踏ん張りに耐えていただくことにご理解、ご協力を強くお願いします」と求めた。再開時期は未定で、長期化すれば業績への打撃は必至とみられる。
2023.08.16 21:03 | 固定リンク | 事件/事故

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