ビッグモーター新社長、副社長ら聴取
2023.08.16
ビッグモーター新社長、副社長ら聴取 保険金不正請求問題で国交省 整備工場に立ち入り検査、最終的に行政処分も

ビッグモーターによる自動車保険の保険金不正請求問題で、国土交通省は26日、同社への聴取を実施する。社内調査では、少なくとも1275件の不正が見つかった。国交省は同社から詳細を確認し、一連の不正が道路運送車両法違反に当たるかどうかを調べる。

同社によると、聴取には和泉伸二社長や石橋光国副社長(いずれも26日付で就任)らが出席するという。直前で退任した兼重宏行前社長と長男の宏一前副社長の出席は不透明。6月に外部弁護士がまとめた調査報告書では、従業員が故意に車体を傷つけて修理代を水増し請求していたとされている。

聴取で法令違反の疑いが強まれば、ビッグモーターの整備工場に立ち入り検査する方針。最終的に各地の運輸局が工場を行政処分する可能性がある。

■出向の保険会社の責任は

「ビッグモーター」監督官庁がメス 出向の保険会社の責任は 第三者機関による調査も浮上、対象は数十万台規模か

自動車保険の保険金不正請求問題が発覚した中古車販売大手「ビッグモーター」に対し、監督官庁が本格的な調査に乗り出している。国土交通省は26日にも、同社側から聞き取り調査を行う方針を固めた。同省関係者への取材で判明した。斉藤鉄夫国土交通相は21日の閣議後記者会見で、ヒアリングを「国交省内で近日中に実施する」と述べていた。道路運送車両法に違反する疑いがあると認められれば、事業場への立ち入り検査なども検討する。

金融庁はすでに、ビッグモーターの保険代理店としての業務実態を調査している。不正横行期間中、ビッグモーターに出向者を出していた損害保険大手の責任の有無も調査の焦点となる。

ビッグモーターに対する第三者機関による調査も浮上している。社内調査では踏み込み不足になると懸念した損害保険会社が要求した。対象は数十万台規模に膨らむ可能性がある。

■ビッグモーター保険金不正請求

ビッグモーター保険金不正請求 車所有者への器物損壊・保険会社への詐欺で立件も 止めるべき経営陣「黙認なら共犯に」

「買い取り台数日本一」をうたう中古車販売大手ビッグモーターによる自動車保険の保険金不正請求問題が大きな衝撃を与えている。車両を故意に傷つけ、損害保険会社に修理代を水増し請求する不正行為が全国の工場であったと外部弁護士による調査報告書が認定したが、経営陣や従業員らは刑事や民事でどんな責任を問われる可能性があるのか。専門家に聞いた。

調査報告書では、経営陣は工場に対し、修理による収益として1台当たり14万円前後のノルマを課していたとされている。案件は「@(アット)」の隠語で呼ばれ、工場長同士の情報交換によって、靴下にゴルフボールを入れて車両にぶつけたり、工具のドライバーでひっかくなどさまざまな手口の不正が広まったという。

元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士によると、刑事責任では、車を損傷させたことで器物損壊罪(3年以下の懲役または30万円以下の罰金もしくは科料)に加え、詐欺罪(10年以下の懲役)に問われる可能性があるという。「車両を自ら壊しているにもかかわらず、客による損傷を装って保険会社に請求し、保険金が支払われることで詐欺罪が成立する。器物損壊の被害者は車の所有者だが、詐欺の被害者は、直接お金を出している保険会社になるだろう」と解説する。

責任が及ぶ範囲として若狭氏は、「直接の不正行為をした従業員のほか、指示をしていた上司も責任が問われる可能性がある。経営陣も止めるべき立場にありながら黙認していれば、共犯になりうる」と語る。

損害賠償など民事についてはどうか。若狭氏は「保険会社側が水増しされた分の保険料の返金を請求するだろう。車の所有者個人については『騙された』という点で慰謝料を請求できる余地もあるが、認められたとしても1人あたり5万~10万円程度ではないか」との見方を示す。

一方、高橋裕樹弁護士は「保険額を超えた修理代を個人が負担していた場合は請求できるが、ビッグモーターの従業員による損傷かどうかを見分けることは簡単ではない。損傷によって車の価値が目減りする『格落ち』について損賠請求も可能だが、高級車でない限り、認められないことも多い。認められたとしても、1台当たり高くて10万~数十万円前後で、物損の場合、慰謝料も発生しないため、訴訟費用の割に合わないのが現実だ」と指摘した。

■ビッグモーターが開けた「パンドラの箱」

ビッグモーター問題が開けた車体整備業界の「パンドラの箱」 背景に理不尽押しつける損保会社と指定工場の力関係

「ビッグモーターの保険金不正請求問題に関して言えば、それは絶対に許すことのできない問題であることは間違いない。しかしそうした不正行為に手を染めていたのは、果たしてビッグモーターだけだったのか。もしかするとビッグモーターの一件が発覚したことによって、車体整備業界のパンドラの箱が開いてしまったようにも思える」

東京都内で自動車整備工場を経営する、ベテラン修理工がこう言ってみせる。

このベテラン修理工の言う、業界の「パンドラの箱」とは一体どのようなものなのだろうか。

「われわれの業界には、『ダイレクト・リペア・プログラム(DRP)』と呼称される仕組みがあります。このDRPとは、損保会社が自動車ユーザーに対して整備工場を直接紹介する仕組みのことを指します。その具体的な内容を一言で言ってしまえば、損保会社は整備事業者に対してお客を紹介する代わりに、修理に要した費用から一定額を差し引いた金額を、損保会社に請求する、というものです」(前述のベテラン修理工)

そして改めて指摘するまでもなく、損保会社の整備事業者への支払いは、保険金によって賄われることとなる。

それぞれの整備事業者が設定している工賃(時間当たりの対応単価)を、車体整備業界では「レバーレート」と呼んでいるが、DRPの仕組みが適用されると、その決定権は損保会社が握るのだという。

「整備事業者は損保から仕事を割り振られるのを待つ身ですから、立場的には損保会社のほうが圧倒的に上になってしまいます。従ってレバーレートも損保会社サイドに有利になるように設定されてしまうことが常です」(前述同)

しかもだ、そこからオートマチックに一定割合で値引きさせられてしまうのだ。

「細かい仕事の場合、その時点で赤字になってしまうこともあります。しかし整備事業者に課せられる負担は、それだけではないのです。事故車や故障車の回収や納車、はたまた代車の費用についてもDRPでは無料、つまり損保会社にはわれわれは請求できないことになっているのです」(別の整備事業者)

しかし、損保会社からのそうした理不尽な要求を飲んで指定工場にならないことには、なかなか仕事にありつくことができないという。要求を断って適正価格で仕事をしようとしたならば、その仕事は他の業者に回されてしまうだけなのだ。

つまり今回のビッグモーターが手を染めてしまった保険金不正請求問題の背景には、前述してきたような車体整備業界の暗部が見え隠れしていると言っていいだろう。

もちろんビッグモーターがやったことは、場合によっては保険金詐欺とされてもおかしくない行為だ。絶対に許されるものではない。

■金融庁が保険契約捏造で報告命令

ビッグモーター、求人「年収5千万」の裏ではびこる不正の温床 追及本格化、金融庁が保険契約捏造で報告命令

泣く子も黙る金融庁が、中古車販売大手ビッグモーター問題の追及に本腰を入れる。自動車保険の水増し請求疑惑に続き、保険代理店としての立場を悪用し、虚偽の自動車保険契約を結んでいた疑いも浮上、保険業法違反の恐れがあるとして実態を調べる。

金融庁は31日にも同社に報告徴求命令を出す。関東財務局も既に同社役員を呼んで任意の聴取を行っており、問題が認められれば業務改善命令などの処分を行う。一定期間の業務停止や保険代理店の登録取り消しといった厳しい措置に踏み切る可能性もある。

関係者の話を総合すると、個人が所有していない車両を対象とした保険契約が昨年、福井県の店舗で複数確認され、捏造に当たると判断された。対象車両は車検証がある展示車両などが考えられる。

これまでのところ契約者自体が架空だった事案は確認されておらず、契約件数や手数料収入のノルマがあったかどうかは分かっていないが、従業員が保険料を自己負担した可能性がある。

報告徴求命令は、金融機関や金融商品取引業者による不正な取引などの恐れが生じた場合、金融庁が業務や財務の状況に関する報告や資料の提出を命じるもので、今回は損保7社も対象となっている。

28日には国土交通省が道路運送車両法違反の疑いで同社の店舗を立ち入り検査した。

求人サイトでは「営業職の平均年収1109万円、最高年収5040万円」など好待遇を強調していた同社だが、その裏に不正もいとわぬ体質がはびこっていた疑いが強まっている。

帝国データバンクの調べでは、同社は2022年度の中古車販売市場でシェア15%と業界最大手。帝国データは「消費者の不信感などから中古車需要の減少など風評悪化による影響が懸念される」としており、中古車市場全体への打撃になりかねないと指摘している。

■兼重社長辞任も「院政」確実 

本気度足りないグダグダ会見、強気発言連発も最後はトーンダウン

中古車販売大手ビッグモーターが25日、自動車保険の保険金不正請求問題の発覚後、初めて記者会見を開き、兼重宏行社長(71)と長男の宏一副社長(35)が辞任すると発表した。兼重氏は一連の不正行為を謝罪した一方、長時間の質疑で強気な顔をのぞかせる場面もあり、識者からは「なぜこんな会見になったのか」と疑問の声も上がった。兼重父子は辞任後も「院政」を敷く可能性が高く、同社が変われるのかは不透明だ。

100人を超える報道陣が詰めかけた会見場に現れた兼重氏は「私の責任だと極めて重く受け止めており、深く反省をしています」と謝罪。和泉伸二専務(54)=26日付で新社長に就任=らとともに深く頭を下げた。

ところが兼重氏の言葉は質疑応答の1問目から脱線した。ゴルフボールで故意に車に傷をつけて保険金を水増し請求していたことについて、「衝撃的で許せない。ゴルフを愛する人に対する冒涜(ぼうとく)ですよ! 事実関係が分かり次第、(関与した社員らの)刑事告訴を含む厳正な対処をしたい」と声を荒らげた。

兼重氏は、短期間で約1000人の退職者が出たと報じられたことには「辞めた人間の数は数えたことはない」とし、「不正を働いた人間はそれなりの償いをしてもらいたい」と強気の言葉を連発した。報道陣からは「経営トップとして被害者側に立っているのか加害者側に立っているのか」との質問も上がった。

展示した自動車が見やすいように店舗前の街路樹に除草剤がまかれていたのではとネット上で話題になっていることには「環境整備で…」と口にしかけて、隣の役員が慌てて割って入る一幕もあった。さらに、元社員のユーチューバーらが不正を生んだ企業風土を告発していることには「自分の胸に手を当てて考えて」と反省を促して〝再炎上〟した。会見に姿を見せなかった長男の宏一氏が降格人事を繰り返していたパワハラ疑惑については「行き過ぎがあったのかも」と話すにとどめた。

「組織ぐるみではない。天地神明に誓って不正は知らなかった」と否定した兼重氏は、会見冒頭で述べた刑事告訴について「そこまでする必要はない」とトーンダウンして2時間超の会見を終えた。

雑誌「経済界」編集局長の関慎夫氏は「準備期間があったにもかかわらず、なぜこんな会見になったのか」と話す。兼重父子は〝完全退陣〟だと強調されたが、オーナーであることに変わりはない。「いくら身を引くといっても、消費者はそのようには見ない。このような対応をしていたら会社の存続そのものが危うくなるのではないか。本気でというには物足りない会見だった」と述べた。

■保険金不正請求で批判止まらず

ビッグモーター、保険金不正請求で批判止まらず…「非常にショッキング」「常識を超えている」 修理の新規受付停止

自動車保険の保険金不正請求問題が発覚した中古車販売大手ビッグモーターに対する批判が止まらない。経団連の十倉雅和会長(住友化学会長)は21日、「あってはならない話で、詐欺だ。非常にショッキングな事件だ」と批判した。同社に対しては、副会長で東京海上ホールディングス会長の永野毅氏も「われわれのビジネスの常識を超えている」と述べており、驚愕(きょうがく)の不祥事発覚の余波が続いている。

一方、ビッグモーターが、事故などによって持ち込まれる車両修理の新規受け付けを停止したことが21日、同社関係者への取材で分かった。自動車保険の保険金不正請求が横行した問題への対応に専念するためで、ビッグモーター幹部が21日、店長クラスの従業員に対してLINEで通知した。

通知によると、修理の受け付け停止で工場などの作業が減ると見込まれることについて「今しばらくこの踏ん張りに耐えていただくことにご理解、ご協力を強くお願いします」と求めた。再開時期は未定で、長期化すれば業績への打撃は必至とみられる。
2023.08.16 21:03 | 固定リンク | 事件/事故
SMプレイ結束バンドで拘束「首を複数回刺す」
2023.08.16


■ススキノ首切り遺体 恐怖の動画撮影 田村瑠奈容疑者

後ろ手で拘束し殺害か 札幌ホテルの首切断事件、異常な犯行の様子が明らかに 押収された動画に男性を襲う場面が

札幌・ススキノのホテルで首を切断された男性(62)の遺体がみつかり、田村瑠奈容疑者(29)ら親子3人が殺人の疑いで逮捕された事件で、その異常な犯行の様子が明らかになってきている。

瑠奈容疑者は7月1~2日、ホテルの室内で、男性(62)の首元付近をナイフのような刃物で複数回突き刺し、出血性ショックで死亡させたとされる。

遺体の状況などから、男性はこのとき、後ろ手に拘束されており、抵抗できない状況の中、背後から刺されていたことが判明。押収された動画にも、ホテルの浴室でナイフを持った人物が男性を襲う様子が映っていた。

また、いまだに男性のスマートフォンは発見されていないが、瑠奈容疑者がホテル客室内で男性のスマホを工具で壊したとみられることも分かった。札幌・中央署捜査本部は瑠奈容疑者らが証拠の隠滅を図ったとみている。

■容疑者宅から「頭部発見」

札幌の首切断事件、父母娘が逮捕の異様な展開「人間を象徴する部分、遺棄以外の意味も」

札幌市の繁華街ススキノのホテルで男性の切断遺体が見つかった事件が大きく動いた。死体損壊などの疑いで逮捕された職業不詳、田村瑠奈(るな)容疑者(29)と父親の勤務医、修容疑者(59)の同市内の自宅から、頭部とみられるものが見つかったことが25日、分かった。札幌・中央署捜査本部は被害者のものとみて確認を進める。

捜査本部が自宅を家宅捜索したところ、人の頭部とみられるものが見つかった。瑠奈容疑者が1人で実行し、修容疑者は送迎するなどしていたとみている。捜査本部は25日、同じ男性に対する死体損壊などの疑いで母親のパート従業員、浩子容疑者(60)も逮捕した。娘と父親、母親が共犯で逮捕されるという異様な展開で、動機については謎も残る。

被害男性は北海道恵庭市の会社員、浦仁志さん(62)。死因は刺し傷による出血性ショックで、捜査本部は殺害容疑も視野に捜査する。

瑠奈容疑者について、近所の人たちは「地味な印象」「あまり見かけなかった」と話し、交流が乏しかった様子もうかがえた。「小学校の頃から学校にはあまり行っていないようだった」との証言もある。

修容疑者は札幌市の勤医協中央病院に精神科科長として勤務。身体疾患で入院した患者らの不安を和らげる「リエゾン・コンサルテーション」を担当していた。過労死やうつなど、メンタルヘルスに関する多くのシンポジウムや、講演会など社会的、啓蒙(けいもう)的な活動にも携わっていたという。

東京未来大の出口保行教授(犯罪心理学)は「通常は身内が犯罪を起こした場合は自首を勧めるなどストッパーになることが多い。親子で共犯になるのは珍しい。一般論として父親の犯行を娘が助けるという構図は考えにくく、娘の犯行に父親が介在したと考えられる。何らかの目的で計画段階から関与したか、後始末を手伝った可能性も考えられる」と語る。

自宅は札幌市営地下鉄の駅から歩いて数分の静かな住宅街にある3階建てで、近所の住民らによると、一家は新築された約20年前に住み始めたという。

自宅に頭部を隠していたとみられることについて、出口氏は「外よりも自宅の方が発見されにくいとして遺棄目的だった可能性はある。父親が医師として保存の専門知識を生かしたとも推測できる。ただ、通常は遺体を自分のそばに置いておくことは考えにくい。頭部は人間を象徴する部分なので、他の意味があるのかもしれない」との見方を示した。

■「犯罪心理学者」

札幌ススキノ首切り遺体「切断頭部を動画撮影」の猟奇性、何者かが浴室で触る様子も 「よほど自分の行為に執着か」

事件は一段と猟奇性を帯びてきた。札幌市中央区の繁華街ススキノのホテルで男性(62)の遺体を損壊するなどした疑いで無職、田村瑠奈容疑者(29)=同市厚別区=と両親が逮捕された事件で、切断された頭部を撮影した動画が押収されていたことが分かった。どのような精神状態だったのか。

動画は容疑者親子宅の家宅捜索で見つかり、浴室で撮影されていた。何者かが手袋をして頭部を触っている様子も映っていたといい、札幌・中央署捜査本部は特定を進め、経緯を調べる。

頭部は親子宅の浴室で見つかった。一部傷みが進行しており、歯型から身元を北海道恵庭市の会社員、浦仁志さんと確認した。

犯罪心理学が専門の出口保行・東京未来大教授は、「普通はあり得ない行為だ。多くの犯罪者は自分の犯行に関するものが映像のような証拠に残ることを忌み嫌う。よほど自分の行為に執着していたのかもしれない」と指摘する。

事件は7月1日午後10時50分ごろ、札幌市内のホテルの客室に瑠奈容疑者と浦さんが入り、約3時間後に瑠奈容疑者が1人で退出した。その際に、瑠奈容疑者は切断した首を自宅に持ち帰ったとみられる。

出口氏は「相手の命を奪うという結果だけではなく、死んでいく様子に刺激を受けるなど殺害のプロセスに重きを置く犯罪者もいる。切断された頭部を撮影するのは常軌を逸した行動であるのは確かだが、相手に対する負の感情、恨みが強かった可能性もある」との見方を示した。

瑠奈容疑者は1人で首を切断した可能性が高いが、「海外では捜査機関が犯人を男性だとみていたが、結果的に女性だった事件もある。精神状態次第で人格や顔つき、筋力まで変化するという事例も報告されている。ただ、被害者は瑠奈容疑者の父親と近い年齢で、トラブルがあってもすぐに殺意がわくとは考えにくい。一度トラブルがあった人物となぜ2人でホテルに入室したのかも注目される」と日向野氏は語る。

修容疑者は送迎役を務め、浩子容疑者は自宅に頭部が持ち込まれていたことを認識していた疑いがある。日向野氏は「一般には子供が犯罪に至るレベルの行動をしようとした場合、家族が説得するか裁判に持ち込むのが普通で、共犯者にはなりにくい」としたうえで、こんな見方を示す。

「修容疑者が瑠奈容疑者に対して〝一体感〟に近い強い愛情を抱いていた場合、娘のトラブルの話を聞いて、自らの社会的地位を考慮できなくなるほどの怒りの感情がわいたとも考えられる。母親は日常から父親に従わざるをえない立場だったのではないか」

■田村瑠奈容疑者が男性から「暴力を受けた」と母・浩子容疑者が主張 家族ぐるみの犯行心理

札幌市の繁華街ススキノのホテルで男性(62)の遺体を損壊した疑いで、職業不詳の田村瑠奈容疑者(29)ら親子3人が逮捕された事件で、母親の浩子容疑者(60)が「娘と男性との間でトラブルがあった」と供述していることが分かった。瑠奈容疑者の犯行の動機となった可能性もあるが、父で精神科医の修容疑者(59)が計画段階から関与するなど「家族ぐるみ」で犯行に及ぶのはやはり異様だ。一家の心理状態を精神科医が読み解いた。

浩子容疑者は、瑠奈容疑者が被害男性から暴力を受けたとの趣旨も主張している。札幌・中央署捜査本部は真偽を含め慎重に調べている。

捜査本部は、犯行現場のホテルには瑠奈容疑者だけが立ち入ったとみている。修容疑者は瑠奈容疑者とともに事件で使われたとみられるのこぎりを購入。同じ店でスーツケースも買うなど、計画段階から遺体を切断、持ち去ることを想定していた疑いがある。

ヒガノクリニック院長で精神科医の日向野春総氏は6日の夕刊フジで、犯人像として「女性、医療関係者の可能性」を指摘していた。

■「人間の証明」から 「ゆがんだ愛情はいい結果をもたらさない」

札幌・ススキノのホテルで男性の切断遺体が見つかった事件は、一緒にホテルに同行した女に加え、その両親も逮捕されるという異常な様相を見せています。犯行前には父と娘でのこぎりを購入しており、家族ぐるみの犯行の線が濃厚です。

識者からは、親であれば普通、自首をうながすなどストッパーとなることが多いという指摘も上がっています。

親が子の犯行を手助けするという理解しがたい事件をみて、先日亡くなった作家、森村誠一さんの代表作「人間の証明」を思い出す。

1977年の映画版では、トップデザイナーとして確固たる地位を築いた女が、終戦直後に米兵との間にもうけた息子の突然の来日から犯罪に手を染める物語と並行して、ひき逃げ事件を起こしたもう一人の息子のほうは何とか助けようとする物語が進行します。

息子からひき逃げ事件を告白された女は、息子を守るためにアメリカへ送り出すのです。自身の、そして政治家である夫の地位を守るためでもありますが、すでに一人の息子を殺害して失った女が、もう一人の息子のほうは失いたくないという思いでそうした行動を取ったのです。

映画では、もう一人の息子もアメリカで警察官に射殺されてしまい、女はすべてを失います。

今回の事件で、両親がなぜ犯行を手助けしたのかは、これからの捜査で解明されるでしょう。娘への愛情もあったに違いありませんが、ゆがんだ愛情は決していい結果をもたらしません。
2023.08.16 20:36 | 固定リンク | 事件/事故
円安(輸出増)で「GDP6%増」
2023.08.16
日本の4~6月期GDPが6%増 円安(輸出増)と外国人観光客の回復が後押し

日本の内閣府は15日、4~6月の国内総生産(GDP)の速報値が年率換算で6%増だったと発表した。円安が輸出を後押しした。

GDP成長率は市場予想の約2倍と、過去3年近くで最大の伸び幅となった。

日本円はこのところ、世界の主要通貨に対して大きく下落している。対ドルでは今年に入ってから10%以上下げている。

これにより、日本製品が世界の消費者にとって安くなり、輸出を助けた格好だ。

GDPは、その国の経済の良し悪しを測る最も重要な指標の一つ。企業はこれを元に事業や雇用の拡大を決め、政府は課税額や歳出を算出する。

トヨタ自動車や本田技研工業(ホンダ)、日産自動車などの自動車メーカーはここ数カ月、輸出の需要の高まりから利益を伸ばしている。

4月末に政府が入国制限を解除し、観光客が増えたことも、日本経済の成長につながっている。

観光当局によると、外国人観光客数は6月時点で、新型コロナウイルスのパンデミック前の70%まで回復した。

また、中国が団体旅行を解禁した8月からは、観光客による消費で日本経済がさらに活性化すると期待されている。

パンデミック前、中国からの渡航者は日本の観光消費の3分の1以上を占めていた。

パンデミック後の国内消費の回復は遅れているが、こうした要素がその影響を相殺する効果を示している。

富士通のチーフエコノミスト、マーティン・シュルツ氏は、「日本の下半期の最大の難点は、国内経済が冷え込んでいることだ」と指摘する。

キャピタル・エコノミクスのマルセル・ティリアント氏は、今四半期の経済データの詳細は、「見出しほど印象的ではなかった」と語る。

ティリアント氏は、日本経済の半分以上を占める個人消費の落ち込みなど、多くの問題を強調した。

日本の労働者の賃金は、過去28年間で最も速いペースで上昇している。一方で、インフレ率が40年ぶりの高水準にあるため、賃金は実質ベースで1年以上、下がり続けている。
2023.08.16 11:05 | 固定リンク | 経済

- -