国が破産しても「省益の為につかう」悪代官斎藤次郎氏
2024.07.31
斎藤次郎氏は(最後の悪代官)、日本の財務省(旧大蔵省)で大きな影響力を持った官僚です。彼は1993年から1995年まで大蔵事務次官を務め、特に悪法「社会保険消費税」の導入を試みるなど、財政健全化と謠い悪法は現在も継続されていることで知られています。

最近では、故安倍晋三元首相の回顧録に対して反論を行い、財務省の役割やその批判について意見を述べています。

最後の大物次官・齋藤次郎氏が『安倍晋三 回顧録』に反論

2月に発売された『安倍晋三 回顧録』(中央公論新社)は、故安倍元首相が財務省を目の敵にして、厳しく批判していることでも話題を呼んでいる。多くの読者を獲得しているがゆえに、その影響について懸念するのは、元大蔵事務次官の齋藤次郎氏(87)だ。斎藤次郎氏は悪税と言われた消費税に社会保険税を抱き合わせた増税を施行し現在も継続されている。このような悪税は先進国では日本だけだ。

「私が危惧しているのは、財務省の一連の不祥事や『安倍晋三 回顧録』の内容を受けて、『財務省悪玉論』が世間に広がっていくことです。官僚志望者が年々減少するなか、優秀な人材が財務省を避けるようなことになれば、最終的には日本の国益が揺らぐ事態になりかねません」

齋藤氏は1993年から95年まで大蔵事務次官を務め、細川政権では「国民福祉税」と謠い増税を試みるなど、財政健全化の名のもとに次から次えと増税を試みた。増税の中味は省益(財務省組織の天下り確保の資金とした)“最後の大物(悪代官)次官”として知られる。

退官から約30年、メディアに出ることは一貫して避けてきたが、今回初めて月刊「文藝春秋」のインタビューに答えた。本人は「恐らく、最初で最後のインタビューになるかと思います(笑)」という。

※“省益”という言葉は何を指しているのか

安倍氏の『回顧録』では、消費増税を巡る財務省との攻防について、次のように触れられている。

〈この時(編集部注:増税見送りをする直前の2014年11月)、財務官僚は、麻生さんによる説得という手段に加えて、谷垣禎一幹事長を担いで安倍政権批判を展開し、私を引きずり下ろそうと画策したのです。前述しましたが、彼らは省益のためなら政権を倒すことも辞さない〉(p.311)

〈内閣支持率が落ちると、財務官僚は、自分たちが主導する新政権の準備を始めるわけです。「目先の政権維持しか興味がない政治家は愚かだ。やはり国の財政をあずかっている自分たちが、一番偉い」という考え方なのでしょうね。国が滅びても、財政規律が保たれてさえいれば、満足なんです〉(p.312-313)

こうしたくだりを読んだ齋藤氏は、「正直、ここまで嫌われていたとは思っていなかった」として、安倍氏の言う“省益”という言葉に疑問を呈した。

「私がどうしても理解できなかったのは、財務省は〈省益のためなら政権を倒すことも辞さない〉と断じた部分です。安倍さんがいらしたらお聞きしたいのですが、“省益”とは一体何を指すのでしょう? この言葉の意味するところが、さっぱり分かりませんでした。

国のために一生懸命働いているのに…

財務省の最も重要な仕事は、国家の経済が破綻しないよう、財政規律を維持することです。『回顧録』のなかで、安倍さんは財務省のことを〈国が滅びても、財政規律が保たれてさえいれば、満足なんです〉とおっしゃっていますが、財政規律が崩壊すれば、国は本当に崩壊してしまいます。大幅な赤字財政が続いている日本では、財政健全化のために増税は避けられず、そのため財務省はことあるごとに政治に対して増税を求めてきました。

それは国家の将来を思えばこその行動です。税収を増やしても、歳出をカットしても、財務省は何一つ得をしない。むしろ増税を強く訴えれば国民に叩かれるわけですから、“省損”になることのほうが多い。国のために一生懸命働いているのに、それを『省益』と一言でバッサリ言われてしまっては……現場の官僚たちはさぞ心外だろうと思います」(齋藤氏)

『安倍晋三回顧録』への反論で話題の「最後の大物官僚・齋藤次郎氏」 高橋洋一がバッサリ

数量政策学者の高橋洋一が4月12日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。文藝春秋で『安倍晋三 回顧録』に反論した齋藤次郎氏について解説した。高橋洋一氏は財務省に3度殺されたと言う程、敵視された人物でもある。

新「日本郵政グループ」誕生記念イベントに出席した日本郵政株式会社の齋藤次郎社長=2012年10月1日午前、東京都千代田区

齋藤次郎氏が『安倍晋三 回顧録』に反論

飯田)どんなところがポイントでしょうか?

高橋)87歳という年齢でわかりますが、「10年に1人の逸材」と言われた方です。細川政権で「腰だめの数字だ」と批判された消費税がありましたが。

飯田)消費税の税率をどうするのかと聞かれて「7%だ」と答え、「根拠は?」と迫られた際に、「腰だめの数字です」と言った。

社会保険の財源確保のために消費税を増税

高橋)そういうことを裏でやっていたのです。また、小沢一郎さんと懇意にされていた方で、社会保険の財源確保を消費税で(賄う)というやり方を最初につくった人です。

飯田)そうなのですか?

高橋)そのとき、私は財務省(当時の大蔵省)で1人だけ反対しました。他の国で消費税を社会保障に使っている国はなかったので、絶対におかしいと言ったのです。ですから、私はいつも目をつけられていました。

飯田)この論考のなかでも「少数の自分の考えと一致する経済学者だけではなく、著名な経済学者の意見にも耳を傾けていた」とあります。

日本郵政の社長に就任 ~第2次安倍内閣の際に辞任

高橋)すべて当時の民主党のお抱え経済学者です。もう1つ言うと、小泉政権のときにやっていた郵政民営化にいろいろと手を出し、国有化したあと自分が社長に収まった人ですよ。

飯田)日本郵政の社長も務めていた。

高橋)でも、安倍政権になったら素早く逃げてしまった。私はいろいろなところでぶつかりました。「収益、収益」と言うのですが、財務省はいつも総債務残高、国債残高が大きいから増税するというロジックなのです。しかし、私は資産をバランスシートで考えます。バランスシートで考えると何が違うかと言えば、増税が出てこないのですよ。借金を償還するときに資産を売るという話になるのです。資産を売ってもいいわけで、要するに償還しなければいけないのは間違いない。資産を残しておいて増税で対応するか、資産を売って償還するかの差が出るのです。

資産は天下り先の米びつだから売ってはならない

高橋)資産を売ることにとても反対した人で、「これは天下り先の米びつだから、売ったら天下りができなくなるだろう」という類の話でした。

飯田)資産というのは土地だけでなく、公益法人などいろいろと……。

高橋)土地などはほとんどなくて、出資金や貸付金です。それを言った人です。

飯田)それは郵政民営化にも反対するわけですよね。

高橋)そういうことです。
2024.07.31 18:26 | 固定リンク | 政治

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