戦争は終わらせる「その意味は?」
2024.07.23
トランプ前大統領が「戦争を直ぐ終わらせる」と発言した背景には、いくつかの意味が含まれています。

迅速な和平交渉

トランプ氏は、ロシアのプーチン大統領とウクライナのゼレンスキー大統領との間で迅速な和平交渉を行うことで、戦争を終結させると主張しています。

ロシア利せず”ウクライナ側明かす。

アメリカのトランプ前大統領は、秋の大統領選挙で自身が勝利してもロシアを利することはないという趣旨の発言をウクライナのゼレンスキー大統領に伝えたとウクライナ側が明らかにしました。

ゼレンスキー政権は、ロシアと近いとされるトランプ氏の今回の発言を「興味深い」としていて真意を含めて引き続き注視するとみられます。

今月19日に行われたアメリカのトランプ前大統領とウクライナのゼレンスキー大統領による電話会談について、ウクライナ大統領府の報道官が内容の一部を地元メディアに明らかにしました。

それによりますと電話会談の中でトランプ前大統領は、「私が大統領選挙で勝利するとロシアを利すると伝えるようなフェイクニュースを信じてはならない」と述べ勝利してもロシアを利することはないと伝えたということです。

ゼレンスキー政権は、ロシアに近いとされ、ウクライナ侵攻を24時間で終わらせることができると主張するトランプ氏の動向に警戒しているだけに報道官は「非常に興味深い発言だ」としていて真意も含めて引き続き注視するとみられます。

一方、トランプ氏の戦争終結をめぐる発言についてキーウ市内で人々に話を聞くと「終結の鍵はワシントンではなくモスクワにある」とか「彼は具体的な計画を示していない」と話すなど不信感を抱く人もいました。

ウクライナへの支援停止(力による平和)

トランプ氏の発言には、アメリカがウクライナへの軍事支援を停止することで、戦争を終わらせるという意味も含まれています。

しかしこれは、ウクライナがロシアの要求を受け入れるのでなく、ウクライナがロシア全域を攻撃できる最も強力な兵器を提供することが背景にあることだ。

政治的アピール

トランプ氏の発言は、彼の外交手腕をアピールするための政治的な戦略でもあります。彼は、自分が大統領であれば迅速に問題を解決できるというメッセージを支持者に伝えようとしています。

このように、トランプ氏の発言には複数の意味が含まれており、単なる言葉以上の戦略的な意図があると考えられます。

トランプ氏「力による平和」重視 直接対話と両輪 AFPIフライツ氏

米国のトランプ陣営の政策研究機関「米国第一政策研究所(AFPI)」の外交政策担当代表フレッド・フライツ氏が産経新聞と会見した。記事本文で語った以外の発言の要旨は以下の通り。

安全保障戦略

トランプ氏の安全保障政策は「力による平和」であり、抑止のための軍事力の選別的な行使だといえる。他方、バイデン政権は軍事力を軽視し、気候変動への対処に重点をおく。その結果、アフガニスタンからの撤退の大失態に始まり、ロシアのウクライナ侵略、ハマスのイスラエル攻撃、中国の台湾への軍事威嚇など米国の力の弱化を誘因とする騒乱が起きた。

トランプ政権時代は全世界で新たな戦争は起きず、中東ではイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」を撃滅した。その原因となった「強い米国」の再現を目指し、国防予算を大幅に増加する。しかし、同盟諸国の防衛負担の増加をも求め、とくに北大西洋条約機構(NATO)の西欧諸国の国防費の国内総生産(GDP)比2%以上への増加達成を強く要求する。

対ロシア政策

トランプ氏はロシアのプーチン大統領への警戒も強く、在任時代にはウクライナに攻撃用を含む兵器を供与していた。オバマ政権時代にはロシアが(ウクライナ南部の)クリミアを侵略したが、トランプ政権時代にはなかった。しかしトランプ氏は、バイデン大統領がプーチン氏への直接の働きかけをしない点には批判的で、抗議のための首脳外交を考えている。

アジア太平洋

トランプ次期政権は、バイデン政権で軽視されてきたアジア太平洋への政策を再強化する。バイデン政権はアジア軽視の実態を韓国の尹錫悦大統領の核武装志向発言で突然、覚醒させられた形で昨年8月の米日韓3国首脳会談に踏みきった。この動きは歓迎すべきだが、なおウクライナや中東の紛争に追われすぎている。

北朝鮮の核開発

トランプ次期政権はバイデン政権が放置してきた北朝鮮の核やミサイルの増強に対して、軍事オプションをも含めての強固な措置をとる。ロシアへの兵器供与を止める。その一方、金正恩総書記がトランプ大統領との対面交渉を好んだ点を利用して、同総書記が一時は合意した核開発の停止を履行させる。

北朝鮮による日本人拉致問題には2017~21年の前回在任中、歴代の大統領と比べても熱心に取り組んだことで知られる。盟友だった安倍晋三元首相の求めを受けて拉致被害者家族と面会を重ね、国連総会演説では横田めぐみさん(59)=拉致当時(13)=の解放を訴えた。金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記と会談した際は、繰り返し拉致問題の解決を迫っていた。

拉致家族の不安は杞憂に

トランプ氏の次期大統領就任が決まった2016年11月当時は、拉致問題に対する考えが不透明で、被害者家族からは不安げな声も漏れていた。拉致被害者の田口八重子さん(68)=拉致当時(22)=の兄で家族会代表を務めた飯塚繁雄さん(享年83)は「トランプ氏は日本人拉致を知らないだろう」と懐疑的な様子で語っていた。

安倍氏は17年2月、大統領に就任したばかりのトランプ氏と米ワシントンで会談に臨み、拉致問題を切り出した。共同声明に拉致問題の早期解決の重要性が盛り込まれたものの、会談後の共同記者会見では、トランプ氏が自らの言葉で拉致に言及するには至らなかった。

初会談以降、安倍氏はトランプ氏に対し、電話会談を含めて機会があれば拉致問題の深刻さを取り上げ、「日本は絶対に譲歩しない」との決意を伝えた。拉致被害者家族も訪米団を結成し、同年9月にワシントンでトランプ政権幹部に拉致問題解決への協力を訴えた。米政権幹部は「拉致問題は現在進行形のテロだ」と呼応。トランプ氏が安倍氏の説明によって拉致問題に着目し、北朝鮮の人権侵害を調べるように指示したことを明かしたという。

中国への対処

中国に対しても軍事抑止と対話との両面の姿勢をとり、習近平国家主席との対話や中国訪問も前向きに考える。台湾に関しては米側の台湾関係法での規定通り、軍事介入の有無は曖昧のままにする。バイデン大統領が軍事介入すると述べ、それを取り消すという矛盾を繰り返したことを是正する。

フライツ氏によると、トランプ氏の中国政策は中国を米国にとっての最大脅威とみなし、十分な軍事抑止力を保持しながらも、対話を始め、台湾への攻撃を抑制する方針だという。バイデン政権は気候変動への対処を最優先させ、軍事力を軽視するため、中国が攻勢を強めてきた、ともいう。

対日関係

トランプ陣営は日本に対しては防衛面での絆の強化を基本とし、尖閣諸島(沖縄県石垣市)に対する中国の軍事攻勢にも日本側とともに共同対処する誓約を明確にする。国務長官や駐日大使にも日本重視を認識する人材を当てるだろう。とくに駐日大使は日本の内政に干渉などしない人物を任命するだろう。

対日政策についてトランプ氏もその支持層も、米国第一外交のアジアでの展開で日米同盟の堅持と強化を不可欠だとしていると強調した。

AFPIの国家安全保障部門の副部長で外交政策を統括するフレッド・フライツ氏は、会見でトランプ氏の対外政策について「まず軍事力を強くしながらも、その行使には慎重に同盟諸国と協力するが、同盟国側にも相当の役割を期待する」と述べ、特に「大統領自身の果断な政策決定が特徴でもある」と強調した。

フライツ氏はCIA(中央情報局)で朝鮮半島の核拡散防止などにあたり、トランプ前政権では大統領副補佐官、国家安全保障会議の主任スタッフを務めた。トランプ氏から今も直接、外交政策の協議を求められているという。

フライツ氏はトランプ氏の対日認識について「米国の国益優先という米国第一外交にとっても、アジア全域での経済や安保面の利益保持には日本との絆が決定的に重要だと考えている」と述べ、トランプ前政権の4年間、トランプ氏自身が日本との同盟の重視を貫いたと指摘した。第2次政権でも、その同盟の堅持と強化は主要方針になるだろう、という。

フライツ氏は、とくにトランプ前大統領が任期中に北朝鮮による日本人拉致事件の解決に多様な形で協力した事実をあげて、「敬意を抱いた安倍晋三氏から請われて、日本にとってのこの事件解決の重要性を理解し、硬軟両方の方法で協力した」と述べ、この点もトランプ氏の日本への友好姿勢の表れであり、第2次政権でも続けるだろう、と語った。

フライツ氏によると、トランプ氏の中国政策は中国を米国にとっての最大脅威とみなし、十分な軍事抑止力を保持しながらも、対話を始め、台湾への攻撃を抑制する方針だという。バイデン政権は気候変動への対処を最優先させ、軍事力を軽視するため、中国が攻勢を強めてきた、ともいう。

トランプ陣営はロシアも米国にとっての大きな脅威とみなし、強固な姿勢で対処するが、プーチン大統領との直接の対話をも必要だとみなす、とされる。

フライツ氏は最近の国際社会で話題を集めたトランプ氏の北大西洋条約機構(NATO)に関する言明については「欧州のエリートやグローバリストが最近、トランプ氏の米国内での人気を恐れて、(米国による)NATO離脱などというネガティブな予測を語り始めたが、根拠はない」として、トランプ氏は在任中からNATOの欧州諸国の防衛費の公正な負担を求めているだけだ、と指摘した。
2024.07.23 00:32 | 固定リンク | 防衛
クラウドストライクやウクライナ「米資金援助を巡り米大統領選に暗躍か」
2024.07.22
クラウドストライク(CrowdStrike)やウクライナ、米資金援助を巡り米大統領選に暗躍か

クラウドストライクは、エンドポイント、クラウドワークロード、アイデンティティ、データなどを保護するための先進的なクラウドネイティブプラットフォームを提供するグローバルなサイバーセキュリティ会社です。

彼らの主力製品であるCrowdStrike Falcon®プラットフォームは、リアルタイムの攻撃指標や脅威インテリジェンスを活用し、高精度の検知と自動化された保護を提供します。

クラウドストライクは、フォーチュン100企業の多くを含む23,000以上の顧客に信頼されています。彼らのソリューションは、企業が攻撃者の一歩先を行き、侵害を阻止するのに役立っています。

クラウドストライクのアップデートが原因で、Windowsシステムに大規模な障害が発生しました。この障害は、2024年7月19日にリリースされたFalconセンサーの更新によって引き起こされ、多くのWindowsマシンがブルースクリーン(BSoD)や無限再起動ループに陥りました。

この問題は、金融機関、病院、航空会社など、世界中の多くの産業に影響を及ぼしました。クラウドストライクは迅速に対応し、問題のある更新を修正しましたが、このインシデントに便乗したサイバー攻撃も報告されています。

クラウドストライクの最近のアップデートに便乗したサイバー攻撃が報告されています。攻撃者は、クラウドストライクの修正プログラムやアップデートを装ったマルウェアを配布し、システムに悪意のあるソフトウェアを潜入させる試みを行っています。

特に、偽のCrowdStrikeアップデートを通じて「HijackLoader」などのマルウェアが配布され、感染したシステムにリモートアクセスツールをインストールするケースが確認されています。このような攻撃は、混乱に乗じて行われるため、一般にはきずきにくいものです。

クラウドストライクが意図的に不具合を起こしてマルウェアを潜入「HijackLoader」などのマルウェアをインストール、これにより、2024年の米国大統領選挙に介入するつもりなのか。

ウクライナ支援反対の副大統領候補バンス氏にゼレンスキー氏「彼は何が起きているか理解していない」

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は18日、英BBCのインタビューで、11月の米大統領選でトランプ前大統領が当選した場合、新政権との関係構築は「厳しい仕事になる」との認識を示した。

トランプ氏が副大統領候補に選んだJ・D・バンス上院議員はウクライナ支援に反対している。ゼレンスキー氏は「彼はウクライナで何が起きているのか理解していないのかもしれない。(新政権が誕生しても)我々は米国と協力しなければならない」と強調した。

バンス氏は過去にインターネット配信番組で「ウクライナがどうなろうとも知ったことではない」と述べたことがある。

米副大統領候補バンス氏、ウクライナ巡りトランプ氏より「過激」との声 欧州で警戒感

11月の米大統領選に向け、ウクライナ支援に反対姿勢を示すJ・D・バンス上院議員が共和党の副大統領候補に選ばれたことで、欧州当局者の間で警戒感が強まっている。

選挙戦でトランプ前大統領が返り咲きを果たせば、トランプ・バンス政権の下、米国がウクライナ支援を打ち切るか縮小し、ウクライナが和平交渉に追い込まれることが懸念されている。

ドイツのショルツ政権の一端を担う「緑の党」のラング共同党首は、バンス氏の副大統領候補への指名について「欧州にとり憂慮すべきこと」と述べた。

バンス氏は今年2月のミュンヘン安全保障会議で、ロシアのプーチン大統領は欧州にとり実存的な脅威ではなく、欧米がウクライナの勝利のために十分な軍事支援を供与することできないと主張。米国の戦略的優先事項はアジアと中東にあると示唆していた。

緑の党のラング氏はこうしたバンス氏の見解について、トランプ、バンス両氏がいかに早く「ウクライナをプーチン氏に引き渡す」かを浮き彫りにしていると述べた。

ドイツ社会民主党(SPD)のシュミット外交問題報道官もロイターに対し、「バンス氏はウクライナ問題でトランプ氏よりも過激な立場を取っており、軍事支援の終了を望んでいる。外交政策の点では、トランプ氏よりも孤立主義的だ」という認識を示した。

バンス氏は今年4月に米国で成立したウクライナ支援法の採決で反対票を投じた。2022年には「ウクライナで何が起ころうと、あまり気にしていない」と述べていた。

しかし、ラストベルト(さびた工業地帯)と呼ばれるオハイオ州の貧しい労働者階級出身のバンス氏について、性急に結論を出すことを警告する声もある。

ウクライナ支援を訴える米国拠点の慈善団体「ラゾム・フォー・ウクライナ」の幹部は、バンス氏の生い立ちを考えれば「米国のウクライナ支援が唯一の選択肢と結論付けるのではないか」とし、「副大統領としてバンス氏の見解が進化していくことを期待している」と述べた。

フランスの外交官も、米大統領選はまだ終わっていないと強調。「自己達成的な予言を作り出すのをやめる必要がある。トランプ氏はまだ勝ってはいないし、バイデン氏は負けてない」とくぎを刺した。

ゼレンスキー大統領トランプ氏と和平方策の直接会談で合意

ウクライナのゼレンスキー大統領が11月の米大統領選でトランプ前大統領が勝利するシナリオへの備えを始めた。19日にはトランプ氏と電話協議し、ウクライナ和平の方策を話し合うため直接会談することで合意した。

トランプ氏は自身が立ち上げたソーシャルメディアで「とても良い」協議ができたと発信した。「次の米大統領として平和をもたらし、戦争を終わらせる」と強調。ロシアとウクライナが「暴力を終わらせ、繁栄への道を邁進することになろう。
2024.07.22 10:26 | 固定リンク | 国際
トランプ前大統領暗殺未遂(CIAorFBI関与)
2024.07.18

ケネディ大統領及びロバート・ケネディ司法長官の暗殺とトランプ前大統領暗殺未遂(CIAorFBI関与)

ケネディ大統領の暗殺(CIA関与)

ジョン・F・ケネディ大統領の暗殺に関しては、さまざまな陰謀説が存在します。その中でも、CIAが関与していたという説は特に有名です。この説の支持者は、ケネディ大統領のキューバや共産主義に対するスタンスがCIAにとって脅威だったと考えています。

実際、ケネディ大統領が暗殺された1963年11月22日以降、ウォーレン委員会の報告書ではリー・ハーヴェイ・オズワルドの単独犯行と結論付けられましたが、多くの人々はこれに疑問を抱いています2。2022年には、バイデン政権が一部の機密文書を公開しましたが、依然として多くの文書が非公開のままであり、陰謀説が再燃しています。

ロバート・ケネディ司法長官の暗殺(CIA関与)

さらに、ロバート・ケネディ司法長官の暗殺については、様々な陰謀論が存在します。その中でも、CIAの関与が疑われる説が特に注目されています。

1968年6月5日、ロバート・ケネディはカリフォルニア州ロサンゼルスのアンバサダーホテルで銃撃されました。犯人として逮捕されたのはパレスチナ移民のサーハン・サーハンでしたが、事件には複数の謎が残されています1。

2006年には、BBCの番組『Newsnight』で、CIA職員が暗殺当日に現場にいたことが報じられました1。また、2021年には、ジョー・バイデン大統領がケネディ暗殺に関する機密文書の全面公開を進める見通しが報じられ、再び注目を集めました2。

トランプ前大統領暗殺未遂

このような背景から、CIAの関与を疑う声が根強く存在していますが、公式には確認されていません。

トランプ前大統領が演説中に銃撃される暗殺未遂事件が発生しました。この事件に関して、CIAの関与が疑われている。

またCIAorFBIの報道ではイランが暗殺計画に関与していた可能性があるとリークされた。最近の報道によると、アメリカ当局はイランがトランプ前大統領の暗殺を計画しているとの情報を入手し、これに基づいてシークレットサービスがトランプ氏の警護を強化していたことが明らかになりました。トランプ氏は7月13日にペンシルベニア州で演説中に銃撃されましたが、犯人がイランの暗殺計画に関与していた証拠は見つかっていません。


イランの国連代表部は、暗殺計画の存在を否定し、これを根拠のない悪意のある主張だとしています。イランは、2020年にアメリカが行ったガセム・ソレイマニ司令官の殺害に対する報復を繰り返し言及しており、トランプ氏に対する脅威が続いているとされています。

この事件は、政治的暴力への懸念をさらに強めるものとなっています。

CIAやFBIが関与したとされる歴史的事件にはいくつかの例があります。以下にいくつかの代表的な事例を挙げます。

CIAの関与が疑われる事件

1953年のイラン・クーデター(アジャックス作戦)

CIAはイギリスのMI6と協力して、イランのモハンマド・モサッデク首相を追放し、シャーを復権させました。

1961年のピッグス湾侵攻

キューバのフィデル・カストロ政権を転覆させるために、CIAが支援した反革命軍がピッグス湾に上陸しましたが、失敗に終わりました。

1973年のチリ・クーデター

CIAはチリのサルバドール・アジェンデ政権を転覆させるために、アウグスト・ピノチェト将軍を支援しました。

FBIの関与が疑われる事件

9/11同時多発テロ

FBIは9/11攻撃に関する捜査資料を開示し、サウジアラビア政府の関与を調査しましたが、直接的な証拠は見つかりませんでした。

9/11同時多発テロは、2001年9月11日にアメリカで発生した一連のテロ攻撃です。この事件では、イスラム過激派組織アルカイダのメンバーが4機の旅客機をハイジャックし、ニューヨークのワールドトレードセンターとワシントンD.C.のペンタゴンに突入しました。

主な出来事

ワールドトレードセンターへの攻撃

アメリカン航空11便が午前8時46分に北棟に突入し、ユナイテッド航空175便が午前9時3分に南棟に突入しました。

両棟はその後倒壊し、多くの犠牲者が出ました。

ペンタゴンへの攻撃

アメリカン航空77便が午前9時37分にペンタゴンに突入し、建物の一部が崩壊しました。

ユナイテッド航空93便の墜落

乗客がハイジャック犯に抵抗し、ペンシルベニア州の野原に墜落しました。

影響とその後

この事件により、約3,000人が死亡し、25,000人以上が負傷しました。

アメリカ政府は対テロ戦争を宣言し、アフガニスタンへの軍事介入を開始しました。

事件後、空港のセキュリティが強化され、国際的なテロ対策が進められました。

この事件は、アメリカだけでなく世界中に大きな影響を与えました。

ウォーターゲート事件

1972年に発覚したこの事件では、FBIがニクソン大統領の再選委員会による不正行為を捜査し、最終的にニクソン大統領の辞任に繋がりました。

これらの事件は、CIAやFBIがどのように国際的および国内的な政治に影響を与えてきたかを示しています。他にも多くの事例があり、これらの機関の活動はしばしば議論の的となっています。



CIAとFBIは、それぞれ異なる役割を持ちながらも、国際的および国内的な政治に大きな影響を与えてきました。

**CIA(中央情報局)**は主に海外で活動し、外国の政府や組織に関する情報を収集・分析します。例えば、冷戦時代にはソビエト連邦との情報戦を主導し、現在でもテロリストや犯罪組織に関する情報収集を行っています1。日本においても、戦後の政治体制の形成に関与し、自民党の支援や反共産主義活動を行ってきました。

**FBI(連邦捜査局)**は主にアメリカ国内での犯罪捜査を担当し、連邦法の執行機関として機能します。例えば、2013年のボストンマラソン爆破テロ事件や2016年の米国大統領選挙におけるロシアの干渉疑惑の捜査を行いました3。また、国内テロや政治的暴力の増加に対しても積極的に対応しています。

CIAの事例

イランのモサデク政権の転覆(1953年)

CIAはイギリスのMI6と協力して、イランの首相モハンマド・モサデクを追放するクーデターを支援しました。これは、モサデクがイランの石油産業を国有化しようとしたことに対する反応でした。このクーデターは、イランの政治体制に大きな影響を与え、その後の米国とイランの関係にも長期的な影響を及ぼしました。

チリのアジェンデ政権の転覆(1973年)

CIAは、チリの社会主義者サルバドール・アジェンデ大統領を追放するためのクーデターを支援しました。このクーデターの結果、アウグスト・ピノチェト将軍が権力を握り、長期にわたる軍事独裁政権が成立しました。

FBIの事例

COINTELPRO(1956年-1971年)

FBIは、COINTELPRO(Counter Intelligence Program)という秘密プログラムを通じて、国内の政治活動家や市民権運動のリーダーを監視し、妨害しました。特に、マーティン・ルーサー・キング・ジュニアやブラックパンサー党などが標的となりました。

2016年米国大統領選挙のロシア干渉疑惑の捜査

FBIは、2016年の米国大統領選挙におけるロシアの干渉疑惑について捜査を行いました。この捜査は、米国内で大きな政治的議論を引き起こし、トランプ政権の初期における重要な問題となりました。

これらの事例は、CIAとFBIがどのようにして国際的および国内的な政治に影響を与えてきたかを示しています。

「政治的暴力」が多発、脅威が増大するアメリカ

テロは国外から国内へ、3つの要因が引き金に

「アメリカではすでに内戦が始まっている」、ある元アメリカ連邦議会議員は筆者にそう語った。南北戦争のように南部と北部にアメリカが分かれて戦っているわけではないが、近年、アメリカ各地で小規模の政治的暴力事件が多発していることを内戦に例えている。

政治的暴力とは政治に関わる目的を達成するために暴力行為に出ることを指す。今、アメリカでは約半世紀ぶりに政治的暴力の脅威が増大している。議会で行われている2021年1月6日の連邦議会乱入事件を調査する下院特別委員会(以下、下院特別委員会)で改めてその脅威は浮き彫りとなった。

相次いで起こる不気味な政治的暴力事件

近年、アメリカでは政治絡みの不気味な事件が相次いで起きている。2020年4月には武装集団を含むミシガン州民数百人が同州議会議事堂に押しかけ、パンデミックのロックダウンに抗議。同年10月、連邦捜査局(FBI)はミシガン州のグレッチェン・ウィットマー知事の誘拐未遂事件で容疑者13人を逮捕した。

2020年大統領選後、右翼の白人至上主義者団体などの煽りもあり「選挙泥棒を阻止せよ(Stop the Steal)」のデモ活動が全米各地に広がった。それらは翌年、首都ワシントンで起きた連邦議会乱入事件の前兆でもあった。

直近では6月中旬、アイダホ州にて、LGBTQ(性的マイノリティー)のイベント妨害を計画していた白人至上主義者団体「パトリオットフロント」のメンバー31人が逮捕された。昨今、選挙関係者や反トランプ派の政治家に対する脅迫に関わるニュースが絶えない。

政治的暴力拡大は、FBIの国内テロ捜査件数にも顕著に表れている。クリストファー・レイFBI長官は上院公聴会にて、2020年春時点で国内テロ関連の捜査件数は1000件であったのが、2021年9月には3倍近い2700件まで拡大したと証言。2022年1月、司法省は国内テロ対策部門を新設し、取り締まりを強化している。

政治的暴力はアンティファ(反ファシズム主義者)など左翼でも一部見られるが、現時点で圧倒的に件数が多く法執行機関が注視しているのは右翼だ。
2024.07.18 19:07 | 固定リンク | クーデターテロ
トランプ氏銃弾が1インチずれていたら歴史を変えた
2024.07.16
最近の報道によると、トランプ前大統領がペンシルベニア州での選挙集会中に銃撃されましたが、弾丸がわずかにずれていたため命拾いしました。もし弾丸が1インチ(約2.5センチ)ずれていたら、頭部に当たって命を落としていた可能性が高く、アメリカの政治情勢に大きな影響を与えていたかもしれません。

この事件を受けて、OpenAIのサム・アルトマンCEOは、トランプ氏が命拾いしたことを「幸運」とし、国内の分断を回避するために国民が団結する必要性を訴えました。

もしトランプ氏が銃弾に倒れたら

アメリカの政治情勢に大きな影響を与えたでしょう。まず、共和党内でのリーダーシップ争いが激化し、次の大統領候補を選ぶための混乱が予想されます。また、トランプ氏の支持者たちの間での反発や抗議活動が広がる可能性もあります。

さらに、2024年の大統領選挙にも大きな影響を与えたでしょう。トランプ氏の死去により、共和党は新たな候補者を擁立する必要があり、その過程で党内の分裂が深まる可能性があります。一方で、民主党側もこの事件を受けて選挙戦略を見直す必要が生じたでしょう。

このような状況を考えると、トランプ氏が命拾いしたことは、アメリカの政治にとっても大きな意味を持つ出来事だったと言えます。

トランプ氏の生存がアメリカにどんな影響を与えるか

トランプ前大統領が銃撃事件で生存したことは、アメリカの政治や社会にいくつかの重要な影響を与えました。

共和党内の結束、トランプ氏の生存により、共和党内での支持が再確認され、彼のリーダーシップが強化されました。これにより、2024年の大統領選挙に向けて共和党内の結束が強まる。

選挙戦略の変更、この事件を受けて、民主党および共和党の両陣営は選挙戦略を見直す必要が生じました。特に、トランプ氏の支持者たちの結束が強まる中で、民主党は新たなアプローチを模索する必要があります。

政治的暴力への非難、トランプ氏への銃撃事件は、アメリカ国内での政治的暴力に対する非難を強めました。ジョー・バイデン大統領をはじめとする多くの政治家が、このような暴力行為を厳しく非難し、民主主義の重要性を強調しました。

社会的な影響、トランプ氏の生存は、彼の支持者たちにとって大きな励みとなり、彼らの間での結束が強まりました。一方で、反対派の間では不安や緊張が高まる可能性もあります。

このように、トランプ氏の生存はアメリカの政治や社会に多大な影響を与えています。

トランプ氏銃撃事件後、初の声明

米東部ペンシルベニア州バトラーで13日に起きたドナルド・トランプ前大統領(78)の銃撃事件で、トランプ氏は13日夜、自身のソーシャルメディアに声明を投稿した。「銃弾が右耳の上の方を貫通した。すぐにヒュー、ヒューという音が聞こえ、何かが起きたと気づいた」と事件の様子を振り返った。

トランプ氏は事件発生から約2時間半後、自身のソーシャルメディアに声明を投稿した。事件に巻き込まれて死亡した支持者の遺族に哀悼の意を表し、自身を警護した大統領警護隊(シークレットサービス)などに謝意を示した。

また、「銃撃者に関しては現時点で何も分からない。異変を感じた直後、銃弾が肌を引き裂くのを感じた。多くの出血があり、何が起きたかを認識した。米国に神のご加護を」などと述べた。自身の容体には触れていないが、広報担当者は「トランプ氏は大丈夫だ」としている。

銃撃犯について、ペンシルベニア州ベセルパーク在住のトーマス・マシュー・クルックス容疑者(20)と特定したと伝えた。クルックス容疑者は、捜査機関の銃撃により死亡した。

米東部ペンシルベニア州バトラーで選挙集会中に共和党のドナルド・トランプ前大統領(78)が銃撃された事件で、米ワシントン・ポストなどは15日、同州在住のトーマス・マシュー・クルックス容疑者(20)が事件当日の朝に銃器店で弾丸50発を購入していたと報じた。同日にはホームセンターで長さ1・5メートルのハシゴも買っていた。

クルックス容疑者は13日夕、百数十メートル離れた建物の屋上から演説中だったトランプ氏を半自動小銃AR15で狙撃したとみられている。弾丸はトランプ氏を撃つため、ハシゴは建物によじ登る目的で購入した可能性がある。

FOXニュースによると、連邦捜査局(FBI)は15日、クルックス容疑者のパソコンのほか、車の中から押収した爆発物の解析を進めていると明らかにした。また、NBCニュースによると、クルックス容疑者の父親は事件発生後、警察に電話をして、息子がおらず、半自動小銃も見当たらないと話していたという。

トランプ氏は事件で耳を撃たれた。他にも聴衆1人が死亡し、2人が重傷を負った。

「サンモニ」またミス「なんちゅう事を言うねん」

お笑いタレントほんこん(60)が14日、X(旧ツイッター)を更新。フリーアナウンサー膳場貴子の発言に対し、苦言を呈した。

膳場はこの日、キャスターを務めるTBS系報道番組「サンデーモーニング」(日曜午前8時)で米トランプ前大統領(78)銃撃事件を伝えた。

トランプ氏が右耳を抑えてかがむこむ動画などを報道。膳場は「民主主義の根幹である選挙を暴力で妨害してくる。許せないことではあります」などと語った。そして元外務事務次官のコメンテーター藪中三十二氏は、トランプ氏が発砲音の直後に右こぶしを振り上げて無事をアピールしたことについて「『オレは元気だぞ!』と。むしろ選挙戦でいうと、変な話ですけど、有利に働く可能性がある」などと指摘、トランプ氏を貶める発言を。

それを受け、膳場も「そうですね。プラスのアピールにもなりかねない、という感じもしますね」と応じ、藪中三十二氏などに同調。今後この場面の動画などが拡散される可能性を示唆しながら「共和党、トランプ陣営がこれで結束していくきっかけにもなるかもしれない」などと話すやりとりがあった。

ほんこんは、膳場のこの発言を報じるメディアの記事を添付したポストなどを引用。「なんちゅう事を言うねん」「酷い話」などとつづった。また、別のポストでは銃撃事件に関し「無事でよかったが 聴衆に犠牲者が 合掌 また偏った報道している日曜朝の番組もある」と記した。

東国原英夫氏は、トランプ前大統領の銃撃事件に関する不適切な投稿について謝罪しました。彼は自身の「X」(旧ツイッター)で、事件が「やらせ」でなければトランプ氏が当選に近づくと投稿しましたが、これに対して批判が殺到しました。その後、東国原氏は情報収集が不十分でノー天気で軽率な発言だったと反省し、謝罪しました。

元宮崎県知事で衆院議員も務めた東国原英夫氏(66)が15日に自身のX(旧ツイッター)を更新。ドナルド・トランプ前大統領(78)が銃撃された事件について、不適切な投稿を行った件について謝罪した。

トランプ氏は13日(日本時間14日)、米東部ペンシルベニア州バトラーで開かれた選挙集会で演説中に銃撃された。銃撃で右耳を負傷したが、命に別条はない。一方、集会参加者の男性1人が死亡、男性2人が重傷を負った。容疑者は大統領警護隊(シークレットサービス)に射殺された。

この事件を受け、東国原氏は「これが『やらせ』で無ければ、トランプ氏は当確へ一歩も二歩も近づいた」と投稿。これに批判が寄せられ、のちほど削除された。

そして15日、この経緯をまとめた一部メディアの記事のリンクを添付すると「あっ、これに関しては、情報収集が足りておらず、軽々な判断・発言でした。大変申し訳有りませんでした。訂正しお詫びを申し上げます」と謝罪した。

倉田真由美氏、トランプ氏銃撃は“自作自演の可能性”に苦言「人が亡くなってるんだよ」

漫画家・倉田真由美氏(52)が14日に自身のX(旧ツイッター)を更新。米ペンシルバニア州で13日に演説中だったトランプ前大統領が銃撃を受けたことに言及した。

米メディアなどが伝えたもので、CNNテレビの中継などによると、トランプ前大統領は一旦、壇上で身を伏せたが、警護担当が駆け寄ると立ち上がり、力強く右の拳を突き上げた。右耳からは流血がみられた。

トランプ氏は自身のSNSに「ヒューヒューという音と銃声が聞こえ、すぐに弾丸が皮膚を突き破るのを感じた」「多くの出血があり、何が起きたか理解した」などとつづった。

この件について、倉田氏は「今の段階でイメージアップとか、自作自演の可能性とか、公で言うのは狂ってる。大統領はギリギリ無事ではあったが、人亡くなってるんだよ。トランプ憎しで、まともな判断が出来なくなっているのか」とつづった。

チャットGPTのCEOサム・アルトマン氏

対話型人工知能(AI)「チャットGPT」を手掛ける米オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)は14日、「1インチ(約2・5センチ)の違いが歴史に何をもたらすか、多くのことを考える」として、前日にトランプ前米大統領を狙った銃弾がわずかな差でずれた点を取り上げた。

米国民に対し、トランプ氏が命拾いした「幸運」をきちんと受け止め、国内で進む分断の回避に努めるべきだと訴えている。

トランプ氏は13日、東部ペンシルベニア州での選挙集会で銃撃された際に、弾丸が数センチずれて頭部に当たっていれば、命を落としていた可能性が大きい。そのような場合には、トランプ支持者と反トランプ派の対立が激化し、収拾のつかない事態に陥る恐れがあった。

アルトマン氏は「この瞬間が、私たちが奈落の底を見つめ、『神のご加護なしには最悪の事態に見舞われていた』と感謝する機会になるように祈る」と指摘。その上で「皆が言葉遣いを慎み、もう少しだけ団結できるようになってほしい」と呼びかけた。
2024.07.16 07:08 | 固定リンク | 国際
日本のクスリ、実はほぼ「中国製」だった…!
2024.07.15
AIに聴いてみた「日本のクスリ、実はほぼ中国製」

そうですね、最近の報道によると、日本で流通している多くの薬の原料は中国で製造されていることが明らかになっています。日本の製薬会社が製造する薬の多くは、原料や中間体を中国から輸入しているため、最終的な製品は日本製であっても、その原料は中国製であることが多いのです。

この状況は、医薬品の供給チェーンにおいて中国が重要な役割を果たしていることを示しています。もし中国からの供給が途絶えた場合、日本の医薬品供給に大きな影響を及ぼす可能性があります。

医薬品原料中国から

日本で使用される多くの医薬品の原料は中国から輸入されています。特にジェネリック医薬品(後発医薬品)の原料の多くが中国製です。これは、コスト削減や大量生産のために、中国が主要な供給元となっているためです。

この依存度の高さは、供給チェーンの脆弱性を示しており、特にパンデミックや政治的な緊張が供給に影響を与える可能性があります。

ジェネリック医薬品(後発医薬品)とは

ジェネリック医薬品は、新薬(先発医薬品)の特許が切れた後に製造・販売される薬です。新薬と同じ有効成分を含み、効き目や安全性が同等であると国に承認された薬です。

ジェネリック医薬品の主な特徴は以下の通りです。

低価格新薬に比べて開発費用が少ないため、価格が安く設定されています。

同等の品質、新薬と同じ有効成分を使用しており、効き目や安全性が同等です。

多様な選択肢、新薬の特許が切れた後に複数の製薬会社が製造するため、選択肢が増えます。ジェネリック医薬品は、医療費の削減や患者さんの負担軽減に貢献しています。

普段からクスリを飲んでいる人は、作っているのがどこの製薬会社か確認してみてほしい。おそらくそのほとんどが日本、あるいは欧米のメーカーの製品だろう。一部の漢方薬を除いて、中国製のものを飲んでいる人はほとんどいないのではないだろうか。

しかし日本の製薬会社は、クスリの原料となる有効成分の「原薬」の製造をほとんど海外に頼っている。厚生労働省も国内に原薬工場を作ったり備蓄を進めたりして、安定供給を目指しているが、リスクはそれだけにとどまらない。

原料のほとんどが「中国製」

慶應義塾大学名誉教授で、医療経済研究機構の副所長を務める印南一路氏が重ねて懸念しているのは、原薬の原料である化学物質のサプライチェーンの脆弱性だ。

「日本に輸出されている原薬にどこの原料が使われているのか厚労省が調べようとしたものの、海外メーカーにとって調達先は企業秘密であるため、完璧に特定するのは難しかった。しかし判明しているものに関しては、大部分が中国の企業が製造工程に関わった原薬だとわかったのです」

中国は安い労働力と緩い環境規制を背景にして、化学産業を大きく発展させてきた。安価な中国製の化学物質に頼り切った結果、日本はクスリの調達ルートの要衝を中国に握られてしまったのだ。このまま中国に原料調達を依存した状況が続けば、将来的に重要な医薬品を国内で製造できなくなる可能性も否定できない。

抗生物質が作れなくなる

「政治的に気に入らない行動を取る国に対して、重要な物資の輸出入を規制するなど経済面で圧力をかけて思い通りに動かそうとするのは、中国の常套手段と言ってもいい。実際にこういったケースは、過去に何度も起こっています。

2010年には尖閣諸島の問題をめぐって、中国が日本へのレアアース輸出を規制したことを覚えている人は多いでしょう。最近でも2020年にオーストラリアとの関係が悪化し、豪州産ワインに対して200%以上の関税をかけています。

習近平国家主席も2020年4月の共産党財経委員会で、グローバルサプライチェーンの中国依存度を高めることで、相手国への抑止能力を形成すると明言している。

つまりこのまま中国依存が続けば、あちらの思惑ひとつで原料や原薬の価格が引き上げられたり、クスリの材料が日本に入ってこなくなったりする恐れがあるのです」(印南氏、以下「 」内は同)

これまで中国が日本に対して、医薬品の原料の輸出を意図的にストップした事例は確認されていない。しかし「最悪の事態」を予期させるようなケースは、すでに起こっている。

「2019年2月、感染症の予防に欠かせない抗菌注射薬『セファゾリン』の供給が停止され、予定通りに手術を実施できない病院が続出しました。

セファゾリンを製造している日医工などはイタリアのメーカーから原薬を輸入していましたが、そもそも主要原料であるテトラゾール酢酸を製造しているのは、世界でも中国のとある企業1社だけ。中国当局が環境規制を強化し原料の供給が止まったため、セファゾリンも製造できなくなったわけです。

将来的には外交カードとして、中国がこのような事態をわざと引き起こすことも考えられる。場合によっては、日本人の健康に直結する抗菌薬や抗生物質すら国内で製造できなくなるかもしれません」

クスリだけではない

クスリだけならまだしも、医療資源の多くを中国から輸入しているのが日本の現状だ。

「日本で使われているマスクの多くは中国製。コロナ禍で一時期マスクが足りなくなりましたが、あれも中国からの輸入が滞ったからです。ほかにも日本は、アルコール消毒液やガーゼなどを中国から購入しています。もし外交関係が悪化してこれらの輸入が急に断たれたら、医療業界は大混乱に陥るでしょう」

過度に中国に依存した現状を見直すことこそ、本当の意味で日本人の健康につながる。






昨年、診療報酬改定をめぐって政府と医師会が激しく対立したことをおぼえているだろうか。

コロナ禍ではまちの診療所が閉鎖されるなど医療が機能不全に陥ったが、その期間にも医療法人の内部留保が大きく上昇していたことが発覚。にもかかわらず、診療報酬のアップを主張する医師会には、批判が相次いだ。

今年もまた、日本中枢の政策決定の現場で医療に関係するバトルが勃発している。テーマは「クスリ」だ。

6月21日に閣議決定された「骨太の方針2024」に、クスリの「費用対効果の評価を強化」する項目が盛り込まれた。本当に充分な効果があるのか、またその費用を健康保険で賄うのに有効なのかをしっかり検証しようというわけだ。

ところが、この政府の方針に医師会や製薬業界が猛反発している。日本の大手製薬メーカーでつくる業界団体は、与党・自民党の議員に相次いで接触し、「費用対効果評価の強化策には断固反対」と訴えている。

国民からすれば、効果のあるクスリが一刻も早く手に入るほうがいいに決まっているのだが、なぜ、こんな対立が起こるのだろうか。

慶應義塾大学名誉教授(医療経済)の印南一路氏は、1980年代から医療政策の現場に身をおき、クスリの保険の適用を決定する中医協(中央社会保険医療協議会)でも、委員を務めた医療経済の専門家だ。

いまのクスリと保険にまつわる仕組みを熟知する印南氏に、いまの「クスリの大問題」について聞いた。

オプジーボと湿布の意外な関係

クスリとしていったんは認められても、実際は効果に疑問符がつくクスリがあるとは知りませんでした。いまの保険医療の問題とは、どういうものなのでしょうか。

たとえば、皆さんがご存じの画期的な新薬に、ノーベル医学生理学賞を受賞した本庶佑先生らが開発した「オプジーボ」がありますよね。これはいま保険で、多くのがん患者さんが一定の負担で利用できています。

当初、オプジーボは注射一回、73万円もして、いまも15万円ほどの高額医薬品ですが、保険によって多くの患者さんが利用できるわけです。

当初は、患者数の少ない皮膚がんにだけ認めれていたので、保険財政的には31億円程度でした。それがどんどんいろいろな種類のがん患者に投与されるわけですから、保険財政を圧迫するという問題が出てきました。そのため、「高額医薬品は保険適用から外すべきだ」という議論もあったほどです。しかし、それでいいのでしょうか。

高額だけど画期的に治療に役に立つクスリには、みんなでリスクを分かちあう保険で医療費を賄うのが当然です。その考えに基づいて、政府も高額医薬品の保険適用を認めています。

しかし、安価なクスリやあまり大きな効果が認められないクスリについてはどうでしょうか。必ずしも保険で賄う必要はないはずです。

たとえば、湿布薬です。

湿布薬は、市販のものは薬局で300円とか500円程度。高いものでも1000円を超えるくらいです。ところが、保険適用されている湿布薬を患者に頼まれると、医師が言われるがままに処方してしまうという問題がある。

そのため、年間に医療保険から賄われる金額は4000億円とも5000億円とも言われています。

いま、保険財政を圧迫するのではないかと心配されているのは、高額医薬品の認知症治療薬「レカネマブ」です。

しかし、それでも年間の市場規模は1000億円。仮に湿布薬を保険から外したら、保険財政を安定的に維持しながら高額でも画期的な新薬を取り入れることができるわけです。

これからは効果のある新薬が登場すれば、たとえそれが高額だったとしても、誰もが利用できるような状態にすることが望ましいですよね。

世界の「いいクスリ」が日本人は使えない

国民皆保険のおかげで、日本では誰もが医療にアクセスできるわけですが、クスリの「費用対効果」を検討して保険に組み込む、あるいは、保険適用されているクスリの費用対効果を検証して保険から外すという機能が、イギリスやフランスなどの先進国と比べて弱かったのです。

日本はクスリと認められたら、ほぼ自動的に保険で利用できるようになるわけですが、じつはここに落とし穴がある。保険財政を圧迫してしまうという問題です。

このままでは、いずれ諸外国で使われている画期的な新薬が高額過ぎて、保険適用されないということも起こりえるかもしれませんね。

現状では、保険財政を配慮して薬価を低く抑えようとしているが、これでは製薬メーカーは開発のモチベーションをなくしてしまう。

ただでさえ、クスリの開発は長期にわたり、高額のコストが必要ですからね。このため、画期的な新薬を作った海外の製薬メーカーは、日本での販売を後回しにするという傾向がある。そのために、海外と比べて日本では画期的な新薬が行きわたらないドラック・ロスやドラック・ラグが生じてしまうのです。
2024.07.15 22:14 | 固定リンク | 医療

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